(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】航空機
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A01M7/00 H
(21)【出願番号】P 2022521431
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2020077621
(87)【国際公開番号】W WO2021069316
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-20
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】マルコム、フエルス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、チャールズ、チャップル
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-206066(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216214(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/168045(WO,A1)
【文献】特開2007-030544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0145191(US,A1)
【文献】特開2018-127076(JP,A)
【文献】特開2018-055695(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012129(WO,A1)
【文献】特開2016-144990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
B64D 1/16-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(10)であって、
薬液タンク(20)と、
少なくとも1つの液体噴霧装置(30)と、
少なくとも1つのアクチュエータ(40)と、
複数のセンサ(50)と、
処理装置(60)と、
を含み、
前記薬液タンクは、薬液を保持するように構成され、
前記少なくとも1つの液体噴霧装置は、前記薬液を噴霧するように構成され、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記少なくとも1つの液体噴霧装置を動作させるように構成され、
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ(51)は、地面に対する前記航空機の速度を測定するように構成され、
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ(52)は、前記航空機の前後軸に対して前記航空機に対する空中浮遊粒子の距離、方向、および速度を測定するように構成される光検知測距(LIDAR)センサであり、
前記処理装置は、前記地面上への前記前後軸の投影に対する空気運動方向および距離を決定するため、ならびに前記地面に対する空気運動速度を決定するために、前記複数のセンサからセンサデータを受信し分析するように構成され、
前記地面上への前記前後軸の投影に対する前記空気運動方向および前記距離、ならびに前記地面に対する前記空気運動速度が、前記航空機の速度、前記航空機の前記前後軸に対して前記航空機に対する前記空中浮遊粒子の方向および距離、ならびに前記航空機に対する前記空中浮遊粒子の速度
を利用
して決定され、
前記処理装置は、前記航空機の少なくとも1つの飛行動作を制御する、および/または少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成され、前記航空機の前記少なくとも1つの飛行動作の制御のための少なくとも1つの命令
、および/または前記少なくとも1つのアクチュエータの制御のための少なくとも1つの命令
が、前記地面上への前記前後軸の投影に対する前記決定された空気運動方向および距離、ならびに前記地面に対する前記決定された空気運動速度
を利用
して決定される、
航空機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの飛行動作の制御は、前記地面または農作物からの前記航空機の高さ、および前記地面または農作物より上の前記航空機の前記前後軸に垂直の方向に延びる水平位置を変動させることを含む、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ(53)は、前記地面または農作物からの前記航空機の高さが決定され得るデータを提供するように構成され、前記処理装置は、前記地面に対する前記決定された空気運動速度の大きさに依存する前記地面または農作物からの高さまで前記航空機を飛行させるように構成される、請求項1または2に記載の航空機。
【請求項4】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ(54)は、前記地面または農作物より上の前記航空機の前記前後軸に垂直の方向に延びる水平方向が決定され得るデータを提供するように構成され、前記処理装置は、前記地面に対する前記決定された空気運動速度の大きさに依存する前記地面または農作物より上の水平位置まで前記航空機を飛行させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項5】
前記処理装置は、前記地面上への前記前後軸の投影に対する前記決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに応じて、前記地面または農作物より上の高さで前記航空機を飛行させるように、および/または前記地面または農作物より上の水平位置まで前記航空機を飛行させるように構成される、請求項3または4に記載の航空機。
【請求項6】
前記航空機が飛行される前記地面または農作物からの高さは、前記空気方向角度の余弦を乗じた前記地面に対する前記空気運動速度に基づいて計算される、請求項5に記載の航空機。
【請求項7】
前記航空機が飛行される前記地面または農作物より上の水平位置は、前記空気方向角度の余弦を乗じた前記地面に対する前記空気運動速度に少なくとも部分的に決定される、請求項5に記載の航空機。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記少なくとも1つの液体噴霧装置が前記薬液を噴霧するのを開始させるように構成され、および前記少なくとも1つの液体噴霧装置が前記薬液を噴霧するのを停止させるように構成される、少なくとも1つの起動アクチュエータ(41)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項9】
前記処理装置は、前記地面に対する前記決定された空気運動速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの起動アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置が前記薬液を噴霧することを停止させるように制御するように構成される、請求項8に記載の航空機。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記少なくとも1つの液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するように構成される少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータ(42)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項11】
前記処理装置は、前記地面上への前記航空機の前記前後軸の投影に対する前記決定された空気運動速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置によって噴霧される薬液の前記液滴サイズを制御するために、制御するように構成される、請求項10に記載の航空機。
【請求項12】
前記処理装置は、前記地面に対する前記決定された空気運動速度の大きさにおける増加に基づいて、前記液滴サイズを増加させるように構成される、請求項11に記載の航空機。
【請求項13】
前記処理装置は、前記地面上への前記航空機の前記前後軸の投影に対する前記決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置よって噴霧される薬液の前記液滴サイズを制御するために、制御するように構成され、前記空気方向角度は、前記地面上への前記航空機の前記前後軸の投影に対する前記決定された空気運動方向と前記地面上への前記航空機の前記前後軸の投影との間の角度である、請求項10~12のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項14】
前記液滴サイズは、前記空気方向角度の余弦を乗じた前記地面に対する前記空気運動速度に少なくとも部分的に決定される、請求項13に記載の航空機。
【請求項15】
前記航空機は、前記地面または農作物より上の少なくとも1つの画像を取得するように構成される少なくとも1つのセンサ(55)をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
風および突風によって引き起こされる噴霧ドリフトは、農業生産における大きな問題である。噴霧滴液が、脆弱区域内、傍にいる人、水域、および近隣の田畑などの非標的表面上へドリフトする。風速および風方向は、一定ではなく、時間的に(数秒から数時間)、および3つすべての次元において空間的に、変化し、これは、例えば、地面上の妨害物、地面または農作物からの表面摩擦、ならびに地面および気温における熱的変動によって引き起こされる。1mの高さを有する障害物は、最大10mまたはそれ以上風下まで延びる渦を発生させ得、(風速などの他の因子に応じて)2mの高さに到達することがあり、また木および建築物などのより大きい障害物の場合、そのような渦は、大幅にさらに遠くおよびより高く延び得る。ドローンなどの航空機は、一般的に、1~2mまたはそれ以上の高さで飛行し、またこの高さから製品を散布するため、地形構造における小さな障害物または変化でさえも、航空機の飛行経路内の風の構造に大きな影響を及ぼし得、風上効果が標的領域の変化(起伏のある地形、まだらの農作物穴掘、倒伏など)と組み合わされるときは特にそうである。これが理由で、航空機は、最適飛行経路から逸脱し得、噴霧は、その意図した堆積標的から逸脱し得る。
【0003】
この問題に対処する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
噴霧ドリフトの影響を軽減する方法を有することが有利であろう。
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題により解決され、更なる実施形態は、従属請求項内に組み込まれる。
【0006】
一態様において、
薬液タンクと、
少なくとも1つの液体噴霧装置と、
少なくとも1つのアクチュエータと、
複数のセンサと、
処理装置と、
を含む、航空機が提供される。
【0007】
薬液タンクは、薬液を保持するように構成される。少なくとも1つの液体噴霧装置は、薬液を噴霧するように構成される。少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置を動作させるように構成される。複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、地面に対する航空機の速度を測定するように構成される。複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、航空機の前後軸に対して航空機に対する空中浮遊粒子の方向、距離、および速度を測定するように構成される光検知測距(LIDAR)センサである。処理装置は、地面上への前後軸の投影に対する空気運動方向および距離を決定するため、ならびに地面に対する空気運動速度を決定するために、複数のセンサからセンサデータを受信し、分析するように構成される。この決定は、航空機の速度、航空機の前後軸に対して航空機に対する空中浮遊粒子の方向および距離、ならびに航空機に対する空中浮遊粒子の速度の利用を含む。処理装置は、航空機の少なくとも1つの飛行動作を制御する、および/または少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成される。航空機の少なくとも1つの飛行動作の制御のための少なくとも1つの命令の決定、および/または少なくとも1つのアクチュエータの制御のための少なくとも1つの命令の決定は、地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離、ならびに地面に対する決定された空気運動速度の利用を含む。
【0008】
言い換えると、航空機内に収容された/航空機に装着された光検知測距(LIDAR)センサは、例えば、移動している場合がある航空機の基準系に対して航空機の周りの約1~100メートルおよびそれ以上の範囲における、ならびに特に航空機の直近飛行経路内の領域を含む、空中浮遊粒子の方向、距離、および速度を検出する。LIDARセンサデータは、処理装置が、(地面に対する航空機の空気運動速度および方向の決定された情報と一緒に)経時的な空中浮遊粒子の運動に基づいて、空気運動(風)速度および空気運動(風)方向および空気運動(風)距離を決定することを可能にする。この情報は、次いで、移動している場合のある航空機がどのように薬液を噴霧するかを制御するために使用される。
【0009】
この様式では、風によって引き起こされる噴霧液のドリフトの影響は、航空機の制御および/または液体噴霧装置自体の制御により軽減され得、この軽減は実際の風の速度、方向、および距離を考慮している。他の風センサと比較して、LIDARは、より先見性を重視した戦略を伴った、したがってより高精度の、噴霧機の動作を可能にする。故に、航空機は、田畑の縁のより近く、および/もしくは歩道、つまり噴霧されるべきでない領域、のより近くに噴霧することができ、ならびに/または、噴霧は、その噴霧適用動作のための法的に要求される制限以内に留まりながら、現在達成できるものよりも高い航空機速度および高い風速で実施され得る。この様式では、特定の領域が2回噴霧される一方で、田畑のいくつかの部分が全く噴霧されないということも回避され得る。
【0010】
故に、噴霧ドリフトは、風の方向、距離、および速度を考慮し、またドリフト軽減の様々な側面(例えば、噴霧高さ、農作物の葉の密度、農作物外の葉による遮断、液滴サイズ分布)を組み合わせて、軽減され得る。
【0011】
薬液タンクおよび薬液に対する上の言及は、異なる液体、または液体および粉末などの個体を保持する2つのタンクが存在することを除外するものではなく、それらの2つのタンクの内容物は、その後、混合され、またその後、薬液として噴霧される。故に、1つのレベルにおいて、薬液タンクは、液体噴霧装置に接続されるチューブであってもよく、噴霧装置がそのチューブ内に保持される薬液を噴霧し、これは、2つの異なる流体、または流体および個体が、事前に混合され、次いで薬液として接続チューブに提供され、その後噴霧されるとしてもそうである。
【0012】
また、液体噴霧装置は、任意の種類またはタイプの、噴霧ノズルおよび/または回転ディスクアトマイザなどの噴霧デバイスを指す。好ましい実施形態において、液体噴霧装置は、回転ディスク(アトマイザ)液体噴霧装置を指す。
【0013】
例において、用語「薬液」は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、農作物栄養剤、バイオスティミュラント、植物成長調節物質など、化学および/または生物ベースの農業有効成分を含む液体を指す。
【0014】
例において、少なくとも1つの飛行動作の制御は、地面からの航空機の高さを変動させること、および地面または農作物より上の航空機の前後軸に垂直の方向に延びる(ならびに垂直軸に垂直および地面または農作物に平行の方向に延びる)水平位置を変動させることを含む。
【0015】
故に、このやり方では、風の速度および/または方向がより多くの噴霧ドリフトを、例えば、航空機の運動方向に垂直の横方向にもたらすとき、航空機運動方向により垂直の方向における風速増加および/または風方向移動の結果として、噴霧ドリフトが増大することが予期される場合、航空機はより低く飛行することができ、および/または航空機は風上に飛行することができ、このことは、航空機が田畑の境界で噴霧しており、その境界に平行に飛行しているときに重要になり得る。
【0016】
言い換えると、風の速度および方向が、望ましくない噴霧ドリフトが発生し得るようなものである場合、噴霧は、低減された地面からの高さまたは農作物からの高さで実施され得、噴霧が液体噴霧装置から地面または農作物まで進む時間がより小さいため、より少ないドリフトをもたらし、故に、噴霧ドリフトは少なくなる。代替的に、またはこのドリフト軽減方策と組み合わせて、航空機の水平位置は、例えば、風速が増加している場合はより風上方向に向かって変化され得る。航空機に対する空気運動の距離もまた、例えば、飛行経路内へと下降している空気内の乱流を軽減するために考慮される。
【0017】
例において、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、地面からの航空機の高さまたは農作物からの高さが決定され得るデータを提供するように構成される。処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさに依存する地面または農作物からの高さまで航空機を飛行させるように構成される。
【0018】
この様式では、液体噴霧装置は、風速を考慮して、噴霧ドリフトを軽減するために理想の位置に位置付けられ得る。
【0019】
例において、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、地面または農作物より上の航空機の前後軸に垂直の(ならびに地面または農作物に平行の)方向に延びる水平位置が決定され得るデータを提供するように構成される。処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさに依存する地面または農作物より上の水平位置まで航空機を飛行させるように構成される。
【0020】
この様式では、液体噴霧装置は、風速を考慮して、望ましくない領域への噴霧ドリフトを回避するために理想の位置に位置付けられ得る。
【0021】
例において、処理装置は、地面もしくは農作物より上の高さで航空機を飛行させるように、および/または地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに依存する地面もしくは農作物より上の水平位置まで航空機を飛行させるように構成される。
【0022】
この様式では、液体噴霧装置は、風の方向を考慮して、噴霧ドリフトを軽減するために、および/または望ましくない領域への噴霧ドリフトを回避するために理想の位置に位置付けられ得る。
【0023】
例において、航空機が飛行される地面または農作物からの高さは、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に基づいて計算される。
【0024】
言い換えると、横風、または噴霧ドリフトの航空機の進行運動方向に垂直である風の成分の影響は、航空機の高さの適切な制御を通じて軽減され得る。
【0025】
例において、航空機が飛行される地面または農作物より上の水平位置は、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に少なくとも部分的に決定される。
【0026】
言い換えると、横風、または望ましくない領域への噴霧ドリフトの航空機の進行運動方向に垂直である風の成分の影響は、地面に対する航空機の水平位置の適切な制御を通じて軽減され得る。
【0027】
例において、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置が薬液を噴霧するのを開始させるように構成され、および少なくとも1つの液体噴霧装置が薬液を噴霧するのを停止させるように構成される、少なくとも1つの起動アクチュエータを含む。
【0028】
故に、少なくとも1つの液体噴霧装置を動作させるように構成される少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置が噴霧することを停止し、実際にそれが再び噴霧することを開始させるように構成される少なくとも1つの起動アクチュエータを含む。
【0029】
例において、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの起動アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置が薬液を噴霧することを停止させるように制御するように構成される。
【0030】
この様式では、風速と風方向との組み合わせが、1つまたは複数の液体噴霧装置からの噴霧が問題となる噴霧ドリフトを引き起こし得る状況をもたらすとき、それらの装置はオフにされ得る。故に、例えば、航空機は、田畑の端において動作することができ、液体噴霧装置からの噴霧が田畑の境界を越えることを引き起こす突風は、それらの液体噴霧装置をオフにすることによって軽減され得る。
【0031】
例において、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するように構成される少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータを含む。
【0032】
故に、少なくとも1つの液体噴霧装置を動作させるように構成される少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置によって噴霧される液滴サイズを制御するように構成される少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータを含む。
【0033】
例において、処理装置は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するために、制御するように構成される。
【0034】
例において、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさにおける増加に基づいて、液滴サイズを増加させるように構成される。
【0035】
この様式では、風の速度および/または方向が、さもなければ問題となる噴霧ドリフトをもたらすと、噴霧される液滴サイズは、噴霧ドリフトを軽減するために増加され得るが、これは、小さい噴霧液滴と比較して、大きい噴霧液滴ほど、受けるドリフトが小さいからである。
【0036】
例において、処理装置は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するために、制御するように構成される。空気方向角度は、地面上への航空機の前後軸の投影の決定された空気運動方向と地面上への航空機の前後軸の投影との間の角度である。
【0037】
例において、液滴サイズは、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に少なくとも部分的に決定される。
【0038】
例において、航空機は、地面または農作物より上の少なくとも1つの画像を取得するように構成される少なくとも1つのセンサをさらに含む。
【0039】
この様式では、LIDARデータは、地面または農作物より上の周辺から取得される1つまたは複数の画像によって補足され得る。処理装置は、LIDARデータおよび画像データを融合し得る。これは、作物冠がLIDAR検出と干渉し得る作物冠-空気境界において有利である。
【0040】
処理装置がアクチュエータ、および/または航空機の飛行動作を制御するように構成されることが説明される上記において、これは、その制御のための命令を決定する処理装置に関する。例えば、処理装置は、アクチュエータを動作させるために使用される信号の形態で命令を決定することができる。例えば、処理装置は、特定の様式で航空機を飛行させるための命令を決定することができる。これは、航空機を飛行させるために直接使用される信号の形態、または、後で必要に応じて航空機を飛行させる専用飛行制御装置に提供される信号の形態にあり得る。
【0041】
上記態様および例は、以後説明される実施形態から明白になり、またこれを参照して説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
例示的な実施形態は、以下の図面を参照して以下に説明されるものとする。
【0043】
【
図3】航空機の平面図の概略例、ならびに3D空気運動速度および空気運動方向マップを示す図である。
【
図4】航空機の部分としての回転ディスクの概略例、および噴霧ドリフトに対する回転ディスクの高さの影響を示す図である。
【
図5】3D空気運動方向および空気運動速度マップからの飛行経路補正ありおよびなしでの航空機の飛行ルートの平面図の概略例を示す図である。
【
図6】航空機の部分としての回転ディスクの概略例、および噴霧液の液滴サイズに対する回転ディスクの回転速度の変化の影響を示す図である。
【
図7】噴霧ドリフトに対する噴霧液の液滴サイズの影響の概略例を示す図である。
【
図8】航空機の飛行ルートの平面図の概略図、ならびに飛行中の回転ディスクの回転速度の調節および噴霧液の液滴サイズを示す図である。
【
図9】航空機の飛行ルートの平面図の概略図、ならびに3D空気運動方向および空気運動速度マップ補正ありおよびなしの噴霧製品堆積幅(swath)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、航空機10の例を示す。航空機は、薬液タンク20、少なくとも1つの液体噴霧装置30、少なくとも1つのアクチュエータ40、複数のセンサ50、および処理装置60を含む。薬液タンクは、薬液を保持するように構成される。少なくとも1つの液体噴霧装置は、薬液を噴霧するように構成される。少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置を動作させるように構成される。複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ51は、地面に対する航空機の速度を測定するように構成される。複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ52は、航空機の前後軸に対して航空機に対する空中浮遊粒子の方向、距離、および速度を測定するように構成される光検知測距(LIDAR)センサである。処理装置は、地面上への前後軸の投影に対する空気運動方向および距離を決定し、地面に対する空気運動速度を決定するように構成される。この決定は、航空機の速度、航空機の前後軸に対して航空機に対する空中浮遊粒子の方向および距離、ならびに航空機に対する空中浮遊粒子の速度の利用を含む。処理装置は、航空機の少なくとも1つの飛行動作を制御する、および/または少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成される。航空機の少なくとも1つの飛行動作の制御のための少なくとも1つの命令の決定、および/または少なくとも1つのアクチュエータの制御のための少なくとも1つの命令の決定は、地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離、ならびに地面に対する決定された空気運動速度の利用を含む。
【0045】
例において、地面に対する航空機の速度を測定するように構成される少なくとも1つのセンサ51は、GPSシステムを含む。
【0046】
例において、地面に対する航空機の速度を測定するように構成される少なくとも1つのセンサ51は、レーザ反射率ベースのシステムを含む。
【0047】
例において、少なくとも1つのセンサ52は、LIDARセンサである。LIDARセンサは、ある距離の範囲にわたって風(空気運動)の速度および方向を測定するように構成される。LIDARは、光検知測距の原則に基づく。この技術の適用は、空中浮遊粒子からの後方散乱光の速度差を決定するためにドップラーシフト(波長の変化)を使用し、ドップラーLIDARとして知られている。距離は、空気中の光の速度から計算されるレーザからの光パルスからの時間遅延から決定される(パルスレーザ技術)。航空機に対する相対速度は、反射されたレーザパルスの周波数シフトから決定される。標的空間にわたってパルスを走査し、すべての情報を組み合わせることによって、3D風(空気運動)方向、距離、および速度マップが獲得され得、標的空間を連続的に走査することによって、3D風方向、距離、および速度マップは、風がどのように航空機の周りおよび特に航空機の前を移動しているかのほぼリアルタイムのマップを得るために、連続的に更新され得る。
【0048】
例において、少なくとも1つのセンサ52は、ドップラーLIDARセンサである。
【0049】
例において、LIDARセンサは、航空機の飛行方向に向かって延びる3次元(3D)錐体視(3次元体積)の形態で、航空機の前後軸に対して航空機に対する空中浮遊粒子の方向、距離、および速度を測定するように構成される。
【0050】
例において、LIDARセンサは、シャインプルーフの原理に従って連続稼働(CW)レーザおよび2Dカメラセンサアレイを使用する。このシステムにおいて、センサアレイは、レーザビームに対して角度付けされ、幅広い範囲の距離が同時に焦点を合わせられることを可能にする。これは、一般的には、シャインプルーフLIDARまたはSLIDARと称される。これの利点は、それがはるかに小さいこと、より単純なレーザを使用することができること、および航空機に搭載するのがより容易であることである。
【0051】
センサは、アレイ検出器の必要性を克服する合成アレイヘテロダイン検波(SAHD)を使用し得る。
【0052】
例において、LIDARに使用される光の波長は、例えば、200nmから最大2500nmおよびそれ以上に及び得る。600nm~2000nmの波長、さらには特に、目の安全性が改善される900nm~2000nmの可視領域の外側が好ましい。
【0053】
例において、LIDAR信号は、位相アレイによって生成される。ソリッドステート位相アレイの利点は、それを航空機への搭載に理想のものにする、その小さいサイズ、長寿命、および低エネルギー要件である。
【0054】
例において、LIDAR信号検出範囲は、1m未満の距離から1km超の距離に及ぶ。本発明のための好ましい空中浮遊粒子距離および空気運動距離範囲検出は、1メートルから最大500メートル、より好ましくは、1メートルから最大100メートルである。
【0055】
例において、空中浮遊粒子は、エアロゾル、ほこりの粒子、植生粒子、ごみの粒子、および小さい物体のうちの1つまたは複数を含む。
【0056】
例において、少なくとも1つの液体噴霧装置は、回転ディスク液体噴霧装置である。
【0057】
例によると、少なくとも1つの飛行動作の制御は、地面もしくは農作物からの航空機の高さ、または地面もしくは農作物より上の航空機の前後軸に垂直の方向に(および地面または農作物に平行の方向に)延びる水平位置を変動させることを含む。
【0058】
例において、少なくとも2つの飛行動作の制御は、地面または農作物からの航空機の高さを変動させること、および(好ましくは同時に)地面または農作物より上の航空機の前後軸に垂直の(および地面または農作物に平行の)方向に延びる水平位置を変動させることを含む。
【0059】
例によると、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ53は、地面または農作物からの航空機の高さが決定され得るデータを提供するように構成される。処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさに依存する地面または農作物からの高さまで航空機を飛行させるように構成される。
【0060】
例において、高さを決定するために使用されるセンサは、レーダセンサである。
【0061】
例において、高さを決定するために使用されるセンサは、レーザ飛行時間センサである。
【0062】
例によると、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ54は、地面または農作物より上の航空機の前後軸に垂直の方向に延びる水平位置が決定され得るデータを提供するように構成される。処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさに依存する地面または農作物より上の水平位置まで航空機を飛行させるように構成される。
【0063】
例において、水平位置を決定するために使用されるセンサは、GPSシステムである。
【0064】
例において、少なくとも1つのセンサ55は、地面または農作物からの液体噴霧装置の高さを決定するように構成される。例えば、液体噴霧装置は、航空機の本体部に対して移動可能であり得、例えば、航空機の下の伸縮延長部に取り付けられている。
【0065】
例によると、処理装置は、地面もしくは農作物より上の高さで航空機を飛行させるように、および/または地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに依存する地面または農作物より上の水平位置まで航空機を飛行させるように構成される。
【0066】
例によると、航空機が飛行される地面または農作物からの高さは、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に基づいて計算される。
【0067】
例によると、航空機が飛行される地面または農作物より上の水平位置は、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0068】
例において、処理装置は、地面もしくは農作物より上の高さで航空機を飛行させるように、および/または地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離ならびに地面に対する決定された空気運動速度に依存する地面もしくは農作物より上の水平位置まで航空機を飛行させるように構成される。
【0069】
例において、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさが1つまたは複数のしきい値を超えるとき、航空機を下方に飛行させるように構成される。
【0070】
この様式では、噴霧は、風速が既定の大きさを超えるまで既定の様式で継続することができ、その後、噴霧ドリフトが問題になり得るときに、是正措置がこの状況に対して取られ得る。これは、エネルギーを節約し、また、システムが最適設定を探し続け得るハンチングの可能性を軽減する。
【0071】
例において、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさが1つまたは複数のしきい値を超えるとき、航空機を風上の水平位置に飛行させるように構成される。
【0072】
例において、1つまたは複数のしきい値は、空気方向角度の大きさに依存する。空気方向角度は、地面に対する決定された空気運動方向と地面上への航空機の前後軸の投影との間の角度である。
【0073】
例において、1つまたは複数のしきい値は、複数のしきい値である。複数のしきい値のうちの1つのしきい値は、空気方向角度の余弦を乗じた既定の空気運動速度に基づいて決定される。
【0074】
例において、少なくとも1つの液体噴霧装置は、航空機に移動可能に装着される。複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ56は、垂直軸に対する少なくとも1つの液体噴霧装置の角度が決定され得るデータを提供するように構成される。少なくとも1つのアクチュエータ40は、少なくとも1つの液体噴霧装置を垂直軸に対して少なくとも1つの回転角度だけ回転させるように構成される少なくとも1つの第1の回転子アクチュエータ43を含む。処理装置は、少なくとも1つの液体噴霧装置のうちの1つまたは複数を回転させるように、少なくとも1つの第1の回転子アクチュエータのうちの1つまたは複数を制御するように構成される。
【0075】
例において、水平軸は、航空機の前後軸に垂直の方向に延び、また垂直軸に垂直の方向に延びる。複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ57は、水平軸に対する少なくとも1つの液体噴霧装置の角度が決定され得るデータを提供するように構成される。少なくとも1つのアクチュエータ40は、少なくとも1つの液体噴霧装置を水平軸に対して少なくとも1つの回転角度だけ回転させるように構成される少なくとも1つの第2の回転子アクチュエータ44を含む。処理装置は、少なくとも1つの液体噴霧装置のうちの1つまたは複数を回転させるように、少なくとも1つの第2の回転子アクチュエータのうちの1つまたは複数を制御するように構成される。
【0076】
例において、処理装置は、少なくとも1つの液体噴霧装置を垂直軸に対して同じ回転角度だけ一斉に回転させるように、少なくとも1つの第1の回転子アクチュエータを制御するように構成される。
【0077】
例において、処理装置は、少なくとも1つの液体噴霧装置を水平軸に対して同じ回転角度だけ一斉に回転させるように、少なくとも1つの第2の回転子アクチュエータを制御するように構成される。
【0078】
例において、処理装置による少なくとも1つのアクチュエータの制御は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさの利用を含む。
【0079】
例において、処理装置による少なくとも1つのアクチュエータの制御は、地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさの利用を含む。空気方向角度は、地面上への前後軸の投影の決定された空気運動方向と地面上への航空機の前後軸の投影との間の角度である。
【0080】
例において、垂直軸に対する少なくとも1つの回転角度は、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に少なくとも部分的に基づく。
【0081】
例において、処理装置による少なくとも1つのアクチュエータの制御は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離、ならびに地面に対する決定された空気運動速度の利用を含む。
【0082】
例によると、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置が薬液を噴霧するのを開始させるように構成され、および少なくとも1つの液体噴霧装置が薬液を噴霧するのを停止させるように構成される、少なくとも1つの起動アクチュエータ41を含む。
【0083】
例によると、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの起動アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置が薬液を噴霧することを停止させるように制御するように構成される。
【0084】
例において、処理装置は、地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの起動アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置が薬液を噴霧することを停止させるように制御するように構成される。空気方向角度は、地面上への前後軸の投影の決定された空気運動方向と地面上への航空機の前後軸の投影との間の角度である。
【0085】
例において、液体噴霧装置が噴霧することを停止させるための決定は、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に少なくとも部分的に基づく。
【0086】
例において、処理装置による液体噴霧装置が噴霧することを停止させるための決定は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離、ならびに地面に対する決定された空気運動速度の利用を含む。
【0087】
例によると、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するように構成される少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータ42を含む。例において、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置が回転ディスク(アトマイザ)液体噴霧装置であるとき、少なくとも1つの液体噴霧装置の回転速度または毎分回転数(RPM)を変化させることによって液滴サイズを制御するように構成される。
【0088】
例において、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置が噴霧ノズルを含むとき、少なくとも1つの液体噴霧装置の液体圧を変動させることによって液滴サイズを制御するように構成される。
【0089】
例において、処理装置は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離、ならびに地面に対する決定された空気運動速度に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータを、噴霧液の液滴サイズを制御するために、制御するように構成される。
【0090】
例によると、処理装置は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するために、制御するように構成される。
【0091】
例によると、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさにおける増加に基づいて、液滴サイズを増加させるように、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を制御するように構成される。
【0092】
例によると、処理装置は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの噴霧調節アクチュエータのうちの1つまたは複数を、等しい数の液体噴霧装置によって噴霧される薬液の液滴サイズを制御するために、制御するように構成される。空気方向角度は、地面上への航空機の前後軸の投影の決定された空気運動方向と地面上への航空機の前後軸の投影との間の角度である。
【0093】
例によると、液滴サイズは、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に少なくとも部分的に決定される。
【0094】
例において、少なくとも1つの液体噴霧装置は、航空機に移動可能に装着される。少なくとも1つの液体噴霧装置は、航空機の本体部から離れる方および向かう方へ移動されるように構成される。少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの液体噴霧装置を航空機の本体部から離れる方および向かう方へ移動させるように構成される少なくとも1つの延長アクチュエータ45を含む。少なくとも1つのアクチュエータの制御は、地面または農作物からの少なくとも1つの液体噴霧装置の高さを変動させるように少なくとも1つの延長アクチュエータを制御することを含む。
【0095】
例において、液体噴霧装置は、航空機の真下の延長可能および引き込み可能な取り付け部に取り付けられ、液体噴霧装置と航空機の本体部との間の距離が変動されることを可能にする。故に、航空機は、地面または農作物から一定の高さで飛行され得、地面または農作物からの液体噴霧装置の高さは変動され得る。このやり方では、噴霧ドリフトの可能性が増加する場合、これを軽減するための1つのやり方は、液体噴霧装置の高さを変動させるが、航空機を最適飛行高さに維持することによる、より低い高さからの噴霧である。噴霧される液体は、このとき、低減された時間にわたって空気中にあり、結果として、横にドリフトする時間はより少なく、これにより噴霧ドリフトを軽減する。
【0096】
例において、センサは、航空機の本体部の下の液体噴霧装置の距離を測定し、したがって、適切なセンサの使用を通じて地面または農作物からの航空機の本体部の高さを知ることにより、地面または農作物からの液体噴霧装置の高さが決定され得る。
【0097】
例において、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサ58は、地面または農作物からの少なくとも1つの液体噴霧装置の高さが決定され得るデータを提供するように構成される。処理装置は、地面または農作物に対する決定された空気運動速度の大きさに依存する地面または農作物からの高さに少なくとも1つの液体噴霧装置を位置付けるように、少なくとも1つの延長アクチュエータを制御するように構成される。
【0098】
例において、処理装置は、地面上への航空機の前後軸の投影に対する決定された空気運動方向および距離、ならびに地面に対する決定された空気運動速度に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの延長アクチュエータを制御するように構成される。
【0099】
例において、高さを決定するために使用されるセンサ58は、レーダセンサである。
【0100】
例において、高さを決定するために使用されるセンサ58は、レーザ飛行時間センサである。
【0101】
例において、処理装置は、地面上への前後軸の投影に対する決定された空気運動方向の空気方向角度の大きさに依存する地面または農作物からの高さに少なくとも1つの液体噴霧装置を位置付けるように、少なくとも1つの延長アクチュエータを制御するように構成される。
【0102】
例において、少なくとも1つの液体噴霧装置が位置付けられる地面または農作物からの高さは、空気方向角度の余弦を乗じた地面に対する空気運動速度に基づいて計算される。
【0103】
例において、処理装置は、地面に対する決定された空気運動速度の大きさが1つまたは複数のしきい値を超えるとき、少なくとも1つの液体噴霧装置を下方向に移動させるように、少なくとも1つの延長アクチュエータを制御するように構成される。
【0104】
例において、1つまたは複数のしきい値は、空気方向角度の大きさに依存する。空気方向角度は、地面に対する決定された空気運動方向と地面上への航空機の前後軸の投影との間の角度である。
【0105】
例によると、1つまたは複数のしきい値は、複数のしきい値である。複数のしきい値のうちの1つのしきい値は、空気方向角度の余弦を乗じた既定の空気運動速度に基づいて決定される。
【0106】
例によると、航空機は、地面または農作物より上の少なくとも1つの画像を取得するように構成される少なくとも1つのセンサ59をさらに含む。
【0107】
例において、センサ59は、カメラである。処理装置は、航空機の局所的近辺における更新された風(空気運動)速度、距離、および方向を連続的に生成するためにLIDARセンサからのデータおよびカメラ画像データを融合/補足することができる。これは、作物冠がLIDAR検出と干渉し得る作物冠-空気境界において有利である。
【0108】
本発明の別の実施形態は、本発明の航空機を含むシステムおよび基地局に関する。基地局は、例えば測候所などの他の構成要素、および/または、例えば田畑の縁に配置される、LIDARセンサへのワイヤレスまたは有線インターフェースを含み得る。これは、特に地形特徴(例えば、高い生垣、起伏のある田畑)がLIDARに必要とされる照準線に干渉する場合、航空機よりはるかに前に必要な行動を計画することができるという利点を有する。それはまた、田畑にわたる気象条件の高分解能マップが、航空機なしで構築され得、将来の計画を促進することを意味する。
【0109】
図2は、田畑における農作物の上を飛行し、これに噴霧する例示的な航空機10の平面図を示す。航空機は、田畑の境界の近くに、およびこれに平行に、飛行しており、風は、境界に向かう成分を伴って吹いている。機体は、速度V
Sで飛行しており、風は、特定の方向に速度V
AGで吹いている。航空機は、(経時的な空中浮遊粒子の運動の検出に基づいて)、言い換えると、航空機からの基準において、航空機に対する風の方向、距離、および速度を決定するために、LIDARセンサを有する。航空機の移動に起因して、測定される風方向、距離、および速度は共に、示されるように、それらの真の地上値から歪められている。故に、航空機において測定される風速は、V
AVへと歪められている。しかしながら、ベクトルベースの分析が、実際の地上の風方向、距離、および速度を決定するために使用され得る。このやり方では、田畑の境界へ向かう風速の成分は、地面に関して、決定され得る。次いで、航空機の処理装置は、風が強すぎ、また風の方向および距離が横ドリフトをもたらす場合、その液体噴霧装置を地面または農作物のより近くへ位置付けることができ、および/または処理装置は、液体噴霧装置を風の中へドリフトもしくは傾斜させることに左右されないより大きい液滴を噴霧するように、液体噴霧装置自体を制御することができる。航空機は、望ましくない領域へのドリフトを回避するために、風上方向に向かって水平に移動することもできる。噴霧液に対する機体の絶対速度は、特に重要でないことが分かっている。これは、噴霧液が航空機の前進速度に等しい前進速度を有するためであるが、噴霧は、非常に急速に遅延され、その後、空気からの抗力によって統制される速度で重力下で落ち、移動する空気、すなわち風によって大域的に運ばれる。
【0110】
しかしながら、噴霧液はまた、航空機の回転子翼からの空気の吹き下ろしによって取り込まれ得る。
【0111】
故に、以下の状況が適用され得、ここでは航空機は、噴霧ドリフトの影響を軽減するために適切な措置を取る。故に、風は、機体の順方向に垂直に吹く成分を有する風速を有する。風速のこの成分は、VAG1である。処理装置は、航空機をわずかに下方に飛行させた。この方策は、噴霧ドリフトが問題にならないように決定されており、境界の上に吹き飛ばされないという点で最適であるように決定されている。しかしながら、風は、風速に関しては増大しているため、ここでは、順方向に垂直の風速の成分は、値VAG2へ増大されている。この例では、処理装置は、航空機を、望ましくない領域へのより小さいドリフトが存在することが決定されている風上位置の方へさらに向けることによって、さもなければ発生する望ましくない領域へのドリフトの効果を軽減する。速度VAG3を有する横成分に至るまで突風がさらに吹くと、処理装置は、航空機が、地面のより近くに、またはさらに風上位置の方へ移動することができないことを決定し、したがって、より大きいサイズを有する液滴を噴霧するように液体噴霧装置を制御する。これらのより大型の液滴は、それらの断面積に関して増大した質量を有し、より小さい液滴よりも重力下でより速く落ち、したがって、それらが地面または農作物に到達する前に風で横方向に遠くまで運ばれることがなく、これにより噴霧ドリフトを軽減する。
【0112】
図3は、航空機の平面図の概略例、ならびに3D空気運動速度および空気運動方向マップを示す。クワドロコプタにより例示的に表される航空機10は、航空機の左下に描写されるような矢印の方向に飛行する。航空機のLIDARセンサ52は、航空機の前後軸に対して(および経時的に)航空機に対する空中浮遊粒子の速度、方向、および距離に関する情報を検知する。地面に対する航空機の速度の情報と一緒に、処理装置は、航空機より前の3D空気運動速度ならびに空気運動方向および距離マップをすべて3次元で決定する。
図3には、右側に2次元(x軸およびy軸の方向に延びる矢印)のみが示される。矢印の長さは、風(空気運動)の運動速度と相関し、矢印の方向は、特定の空間位置における風(空気運動)の運動方向と相関する。LIDARセンサデータの錐体視内の矢印の位置は、風(空気運動)距離と相関する。連続的に更新される3D空気運動速度ならびに空気運動方向および距離マップは、航空機の飛行動作のため、および/または液体噴霧装置を制御するために使用される。
【0113】
図4は、航空機の部分としての液体噴霧装置30の例としての回転ディスクの概略例、および噴霧ドリフトに対する回転ディスク30の高さの影響を示す図である。回転ディスクは、航空機のプロペラの下に位置し、点線は、航空機の他の部分(図示されない)への接続を示す。例(a)では、航空機が、示された風速度、方向、および距離に対して地面または農作物の上を高く飛行しすぎることから、噴霧ドリフトが発生する。例(b)では、航空機が、示された風速度、方向、および距離に対して地面または農作物の上を低減された高さで飛行することから、噴霧ドリフトは低減される。この例では、例(a)および例(b)の噴霧液の液滴サイズは同じである。
【0114】
図5は、3D空気運動方向、距離、および空気運動速度マップからの飛行経路補正ありおよびなしでの航空機の飛行ルートの平面図の概略例を示す。クワドロコプタにより例示的に表される航空機10は、左に描写されるような矢印の方向に飛行する。例(a)では、飛行ルートは、局所的な空気運動方向、距離、および空気運動速度に起因するいかなる飛行ルート補正もなしに示される。この飛行ルートの農地への噴霧幅堆積が、(c)に描写される。例(b)では、飛行ルートは、局所的な空気運動方向、距離、および空気運動速度に起因する飛行ルート補正(例えば、航空機の水平位置における補正)を伴って示される。この飛行ルートの農地への噴霧幅堆積が、(d)に描写される。それは、(c)に示されるような噴霧幅堆積よりも正確である。
【0115】
図6は、航空機の部分としての液体噴霧装置30の例としての回転ディスクの概略例、および噴霧液の液滴サイズに対する回転ディスクの回転速度の変化の影響を示す。回転ディスクは、航空機のプロペラの下に位置し、点線は、航空機の他の部分(図示されない)への接続を示す。左側では、回転ディスク30の回転速度は高く(高v
r)、細かい液滴が噴霧される。右側では、回転ディスク30の回転速度は低く(低v
r)、粗い液滴が噴霧される。
【0116】
図7は、噴霧ドリフトに対する噴霧液の液滴サイズの影響の概略例を示す。液体噴霧装置30の例としての回転ディスクは、航空機のプロペラの下に位置し、点線は、航空機の他の部分(図示されない)への接続を示す。粗い液滴が回転ディスク30によって生成される場合、同じ回転ディスク30(回転ディスクの回転速度はより高い)によって生成される細かい液滴と比較して、同様の風条件下で、ドリフトが少ない。
【0117】
図8は、航空機の飛行ルートの平面図の概略図、ならびに飛行中の回転ディスクの回転速度の調節および噴霧液の液滴サイズを示す。クワドロコプタにより例示的に表される航空機10は、左に描写されるような矢印の方向に飛行する。(a)では、回転ディスク速度が飛行ルート中にどのように補正されるかが示される。より高い空気運動方向および空気運動速度が発生する空間位置において、回転ディスクの速度は落とされ、これが、(b)に示されるように噴霧される粗い液体噴霧液滴を結果としてもたらす。
【0118】
図9は、航空機の飛行ルートの平面図の概略図、ならびに3D空気運動方向、距離、および空気運動速度マップ補正ありおよびなしの噴霧製品堆積幅を示す。例(a)では、クワドロコプタにより例示的に表される航空機10は、3D空気運動方向、距離、および空気運動速度マップに基づいたいかなる飛行ルート補正もなしに、描写されるような矢印の方向に飛行する。その結果、噴霧液堆積の多くの領域は、堆積なし(図内では符号“-“で示される)または2回の噴霧液堆積(図内では符号“+”で示されるのいずれかを有するという結果となる。例(b)では、航空機10は、3D空気運動方向、距離、および空気運動速度マップに基づいた飛行ルート補正ありで、描写されるような矢印の方向に飛行する。その結果、堆積なしまたは多すぎる堆積のいずれかを有する噴霧液堆積の領域はほとんど発生しない。
【0119】
本発明は、図面および前述の説明において詳細に例証および説明されているが、そのような例証および説明は、例証的または例示的と見なされるものであり、限定的ではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変異形は、図面、本開示、および従属請求項の研究から、特許請求された発明を実施することにおいて当業者により理解および達成され得る。
【0120】
特許請求項において、「含む」という用語は、他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は、複数形を除外するものではない。単一のプロセッサまたは他の装置が、特許請求項において列挙されるいくつかの項目の機能を満たし得る。特定の方策が相互に異なる従属請求項内に列挙されるということでだけでは、これらの方策の組み合わせを、利益をもたらすために使用することができないということは示さない。特許請求項内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。