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特許7603678車両トリップを分類するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】車両トリップを分類するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241213BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20241213BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241213BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241213BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241213BHJP
   G08G 1/09 20060101ALN20241213BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
G08G1/09 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022524732
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020056848
(87)【国際公開番号】W WO2021086714
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】16/665,969
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517263697
【氏名又は名称】オールステイト インシュアランス カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110003258
【氏名又は名称】弁理士法人北澤・小泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリーグ、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】レッシア、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、エンチェ
(72)【発明者】
【氏名】リンク、ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ、チャヴィ
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114047(JP,A)
【文献】米国特許第09900747(US,B1)
【文献】米国特許第09292982(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G07C 5/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分類サーバシステムにより、複数の地理的位置と、車両が各地理的位置にいた時刻を示す複数の時刻と、を含むテレマティクスデータを取得することと、
前記分類サーバシステムにより、前記テレマティクスデータに基づいて、複数のトリップを決定することと、
前記分類サーバシステムにより、前記複数のトリップに含まれる各トリップに対する複数の特徴を決定することと、
前記分類サーバシステムにより、前記複数のトリップに含まれる各トリップに対する前記複数の特徴に基づいて、前記各トリップを分類することと、を含む方法であって、
前記複数のトリップを決定することにおいて、
前記複数のトリップに含まれる各トリップは、開始位置と、前記車両が前記開始位置にいた開始時刻と、終了位置と、前記車両が前記終了位置にいた終了時刻と、を含み、
前記開始位置及び前記終了位置は、前記複数の地理的位置において示され、
前記各トリップを分類することにおいて、
分類されたトリップは、前記複数の特徴と、前記トリップがビジネストリップであるかパーソナルトリップであるかを示すラベルと、前記ラベルが前記トリップのクラスを正しく識別する確率的尤度を示す信頼性評価基準と、を含み、
前記ビジネストリップは、前記車両が業務で操作されているトリップであり、前記パーソナルトリップは、前記車両が私的な使用のために操作されているトリップであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記テレマティクスデータは、前記車両の運転者に関連するモバイルデバイスから取得されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テレマティクスデータは、前記車両の運転者を識別するための運転者識別子を更に含み、
前記分類サーバシステムにより、前記分類されたトリップに基づいて、前記運転者を、職業運転者又は私的運転者に分類すること、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一つのトリップに対する前記複数の特徴は、前記車両が訪れた関心ポイント(POI)における少なくとも一つの中間停止を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分類サーバシステムにより、終了閾値時間に基づいて、前記複数のトリップに含まれる一つのトリップの前記終了位置を決定することと、
前記分類サーバシステムにより、中間閾値時間に基づいて、前記少なくとも一つの中間停止を決定することと、を更に含み、
前記少なくとも一つの中間停止を決定することにおいて、
前記中間閾値時間は、前記終了閾値時間よりも短いことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のトリップに含まれる一つのトリップを、
前記分類サーバシステムにより、前記開始時刻及び前記終了時刻に基づいて、総トリップ期間を算出することと、
前記分類サーバシステムにより、前記トリップにおける各地理的位置間の距離に基づいて、トリップ走行距離を算出することと、
前記分類サーバシステムにより、前記トリップの前記開始位置及び前記終了位置間の理想走行距離に対する前記トリップ走行距離の比を算出することと、
前記分類サーバシステムにより、前記総トリップ期間と、前記トリップ走行距離と、前記開始位置及び前記終了位置間の前記理想走行距離に対する前記トリップ走行距離の前記比と、に基づいて、前記ラベルを生成することと、
により分類すること、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
マシン分類器を用いて各トリップを分類することと、
前記分類サーバシステムにより、前記分類されたトリップに基づいて、前記マシン分類器を再学習させることと、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
一又は複数のプロセッサと、
複数の命令を記憶するメモリと、を備えるコンピューティングデバイスであって、
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
複数の地理的位置と、車両が各地理的位置にいた時刻を示す複数の時刻と、を含むテレマティクスデータを取得することと、
前記テレマティクスデータに基づいて、複数のトリップを決定することと、
前記複数のトリップに含まれる各トリップに対する複数の特徴を決定することと、
前記複数のトリップに含まれる各トリップに対する前記複数の特徴に基づいて、前記各トリップを分類することと、を実行させ、
前記複数のトリップを決定することにおいて、
前記複数のトリップに含まれる各トリップは、開始位置と、前記車両が前記開始位置にいた開始時刻と、終了位置と、前記車両が前記終了位置にいた終了時刻と、を含み、
前記開始位置及び前記終了位置は、前記複数の地理的位置において示され、
前記各トリップを分類することにおいて、
分類されたトリップは、前記複数の特徴と、前記トリップがビジネストリップであるかパーソナルトリップであるかを示すラベルと、前記ラベルが前記トリップのクラスを正しく識別する確率的尤度を示す信頼性評価基準と、を含み、
前記ビジネストリップは、前記車両が業務で操作されているトリップであり、前記パーソナルトリップは、前記車両が私的な使用のために操作されているトリップであることを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
前記車両の運転者に関連するモバイルデバイスから前記テレマティクスデータを取得すること、を更に実行させることを特徴とする請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記テレマティクスデータは、前記車両の運転者を識別するための運転者識別子を更に含み、
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
前記分類されたトリップに基づいて、前記運転者を、職業運転者又は私的運転者に分類すること、を更に実行させることを特徴とする請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
一つのトリップに対する前記複数の特徴は、前記車両が訪れた関心ポイント(POI)における少なくとも一つの中間停止を含むことを特徴とする請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
終了閾値時間に基づいて、前記複数のトリップに含まれる一つのトリップの前記終了位置を決定することと、
中間閾値時間に基づいて、前記少なくとも一つの中間停止を決定することと、を更に実行させ、
前記少なくとも一つの中間停止を決定することにおいて、
前記中間閾値時間は、前記終了閾値時間よりも短いことを特徴とする請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
前記複数のトリップに含まれる一つのトリップを、
前記開始時刻及び前記終了時刻に基づいて、総トリップ期間を算出することと、
前記トリップにおける各地理的位置間の距離に基づいて、トリップ走行距離を算出することと、
前記トリップの前記開始位置及び前記終了位置間の理想走行距離に対する前記トリップ走行距離の比を算出することと、
前記総トリップ期間と、前記トリップ走行距離と、前記開始位置及び前記終了位置間の前記理想走行距離に対する前記トリップ走行距離の前記比と、に基づいて、前記ラベルを生成することと、
により分類すること、を更に実行させることを特徴とする請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
マシン分類器を用いて各トリップを分類することと、
前記分類されたトリップに基づいて、前記マシン分類器を再学習させることと、を更に実行させることを特徴とする請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
複数の命令を記憶する非一時的機械可読媒体であって、前記複数の命令は、一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記一又は複数のプロセッサに、
複数の地理的位置と、車両が各地理的位置にいた時刻を示す複数の時刻と、を含むテレマティクスデータを取得するステップと、
前記テレマティクスデータに基づいて、複数のトリップを決定するステップと、
前記複数のトリップに含まれる各トリップに対する複数の特徴を決定するステップと、
前記複数のトリップに含まれる各トリップに対する前記複数の特徴に基づいて、前記各トリップを分類するステップと、を実行させ、
前記複数のトリップを決定するステップにおいて、
前記複数のトリップに含まれる各トリップは、開始位置と、前記車両が前記開始位置にいた開始時刻と、終了位置と、前記車両が前記終了位置にいた終了時刻と、を含み、
前記開始位置及び前記終了位置は、前記複数の地理的位置において示され、
前記各トリップを分類するステップにおいて、
分類されたトリップは、前記複数の特徴と、前記トリップがビジネストリップであるかパーソナルトリップであるかを示すラベルと、前記ラベルが前記トリップのクラスを正しく識別する確率的尤度を示す信頼性評価基準と、を含み、
前記ビジネストリップは、前記車両が業務で操作されているトリップであり、前記パーソナルトリップは、前記車両が私的な使用のために操作されているトリップであることを特徴とする非一時的機械可読媒体。
【請求項16】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記一又は複数のプロセッサに、
前記車両の運転者に関連するモバイルデバイスから前記テレマティクスデータを取得するステップ、を更に実行させることを特徴とする請求項15に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項17】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記一又は複数のプロセッサに、
前記分類されたトリップに基づいて、前記車両の運転者を、職業運転者又は私的運転者に分類するステップ、を更に実行させ、
前記運転者は、前記テレマティクスデータにおいて示されることを特徴とする請求項15に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項18】
一つのトリップに対する前記複数の特徴は、前記車両が訪れた関心ポイント(POI)における少なくとも一つの中間停止を含むことを特徴とする請求項15に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項19】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記一又は複数のプロセッサに、
終了閾値時間に基づいて、前記複数のトリップに含まれる一つのトリップの前記終了位置を決定するステップと、
中間閾値時間に基づいて、前記少なくとも一つの中間停止を決定するステップと、を更に実行させ、
前記少なくとも一つの中間停止を決定するステップにおいて、
前記中間閾値時間は、前記終了閾値時間よりも短いことを特徴とする請求項18に記載の非一時的機械可読媒体。
【請求項20】
前記複数の命令は、前記一又は複数のプロセッサにより実行されると、前記一又は複数のプロセッサに、
前記複数のトリップに含まれる一つのトリップを、
前記開始時刻及び前記終了時刻に基づいて、総トリップ期間を算出することと、
前記トリップにおける各地理的位置間の距離に基づいて、トリップ走行距離を算出することと、
前記トリップの前記開始位置及び前記終了位置間の理想走行距離に対する前記トリップ走行距離の比を算出することと、
前記総トリップ期間と、前記トリップ走行距離と、前記開始位置及び前記終了位置間の前記理想走行距離に対する前記トリップ走行距離の前記比と、に基づいて、前記ラベルを生成することと、
により分類するステップ、を更に実行させることを特徴とする請求項15に記載の非一時的機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年10月28日出願の米国特許出願第16/665,969号に対する優先権を主張する。また、上記した出願は、全て、本明細書に取り込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明の態様は、データ処理に関し、より具体的にはテレマティクスデータの分類に関する。
【背景技術】
【0003】
TNCサービス事業(Transportation Network Company)は、ウェブサイト及びモバイルアプリを介して、乗客に車両をマッチングさせる。TNCサービス事業の運転者は、通常、乗客を乗せて運転する際に、自身で所有している車両又はリースした車両を使用する。したがって、運転者は業務(ビジネス)目的と私的(パーソナル)な目的との両方で、一台の車両を使用可能である。しかしながら、TNCサービス事業の分散性を有する特性上、特定の運転者がTNCサービス事業のために運転しているのか私的に使用しているのかを評価することは困難である。したがって、運転者が業務で移動(トリップ)しているのか私的に使用して移動(トリップ)しているのかを正確に判定する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
上記の技術背景に鑑み、以下、本発明のいくつかの態様についての基本的な理解を得るために、本開示の簡略化した概要を提示する。この概要は、本発明の広範に亘る概観ではない。本発明の鍵となる要素又は重要な要素を特定することを意図したものではなく、また、本発明の範囲の境界を明示することを意図したものでもない。以下の概要は、後に提示されるより詳細な説明に対する前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化した形式で単に提示するに過ぎない。
【0005】
本発明の実施の形態に係るシステム及び方法は、種々のテレマティクスデータを取得及び使用して、車両が行ったトリップを分類することができる。車両の運転中に取り込まれたテレマティクスデータに基づいて、複数のトリップモデルを生成することができる。トリップモデルの種々の特徴、例えば、一又は複数のトリップ中に車両が停止するタイミング及び/又は位置を使用して、トリップを業務目的のトリップ(ビジネストリップ)又は私的なトリップ(パーソナルトリップ)に分類できる。いくつかの実施の形態において、複数のマシン分類器は、ビジネストリップ又はパーソナルトリップとして既に分類された過去のトリップに基づいて、トリップモデル内の特徴を分類できるように学習させられる。複数のトリップモデルを他の運転者属性と組み合わせることにより、特定の車両及び/又は運転者を、TNCサービス事業に従事しているものとして分類することができる。
【0006】
本明細書に記載されているシステム及び方法には、他の追加要素、ステップ、コンピュータ実行可能命令、コンピュータ可読データ構造等も含めることができる。これに関しては、他の実施の形態もまた、本明細書に開示され、特許請求される。本発明におけるこれら及び他の実施の形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本発明におけるその他の特徴及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、例として図示されており、類似の参照番号が類似の要素を示す添付の図によって限定されるものではない。
【0008】
図1】本明細書に記載の一又は複数の態様を実装可能な動作環境の例を示す図である。
図2】本明細書に記載の一又は複数の態様に係るコンピューティングデバイスの一例を示す図である。
図3】本発明の少なくとも一の実施の形態に係る車両の使用状況の分類処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の少なくとも一の実施の形態に係る運転者を分類するための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に続く種々の実施の形態の記載では、添付図面を参照するが、添付図面は本明細書の一部を形成するものであり、添付図面には実施され得る本開示の種々の実施の形態が例として示される。他の実施の形態を利用し得ることは、理解されるべきである。
【0010】
本明細書に記載される態様は、車両トリップの分類に関する。本明細書に記載される様態は、また、分類された車両トリップに基づく運転者の分類に関する。車両の運転中に取り込まれたテレマティクスデータに基づいて、複数のトリップモデルを生成することができる。いくつかの実施の形態では、テレマティクスデータは、車両の運転者に関連するモバイルデバイス又はスマートフォン等のコンピューティングデバイスを用いて取り込まれる。トリップモデルの種々の特徴、例えば、一又は複数のトリップ中に車両が停止するタイミング及び/又は位置を使用して、トリップをビジネストリップ又はパーソナルトリップに分類できる。いくつかの実施の形態において、複数のマシン分類器が、既にビジネストリップ又はパーソナルトリップとして分類された過去の複数のトリップに基づいて、トリップモデル内の特徴を分類できるように学習させられる。複数のトリップモデルを他の運転者属性と組み合わせることにより、特定の車両及び/又は運転者を、TNCサービス事業に従事しているものとして分類することができる。運転者の分類は、車両及び/又は運転者がTNCサービス事業に関連する活動に通常従事している時間及び/又は位置に基づいて決定することができる。
【0011】
これら及び他の種々のシステム及び方法が、本明細書においてより完全に説明される。以下の開示を読むことにより当業者には理解されるであろうが、本明細書に記載される種々の態様は、方法、コンピュータシステム、又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。したがって、これらの態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた少なくとも一の実施の形態の形をとることができる。さらに、そのような態様は、記憶媒体内又は記憶媒体上で具現化されるコンピュータ可読プログラムコード又は命令を有する一又は複数のコンピュータ可読記憶媒体によって記憶されたコンピュータプログラム製品の形をとることができる。ハードディスク、CD-ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含む任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体が利用可能である。更に、本明細書に記載されるようなデータ又はイベントを表す種々の信号が、金属線、光ファイバ、及び/又は無線伝送媒体(例えば、空気及び/又は空間)等の信号伝導媒体を通って伝わる電磁波の形で、送信元と送信先との間で伝達可能である。
<動作環境及びコンピューティングデバイス>
【0012】
図1は、本発明の少なくとも一の実施の形態に係る動作環境100を示している。動作環境100は、ネットワーク140を介して通信する少なくとも一のクライアントデバイス110、少なくとも一の分類サーバシステム120、及び/又は少なくとも一の車両130を含む。本明細書に記載されているデバイス及びシステムのいずれも、図2に関して記載する一又は複数のコンピューティングデバイスを使用して、全体として又は部分的に実装可能である。
【0013】
本明細書に記載されるように、クライアントデバイス110及び分類サーバシステム120は、ユーザに、車両130からのテレマティクスデータの取得、トリップの生成、及び/又はトリップ、車両、及び/又は運転者の分類を可能にする。ネットワーク140は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線通信ネットワーク、及び/又は他の任意の通信ネットワーク、若しくはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
車両130は、例えば、自動車、オートバイ、スクーター、バス、レクリエーション用車両、ボート、又はセンサデータ或いは衝突データを収集及び解析可能な他の乗り物とすることができる。車両130内のテレマティクスデバイスは、センサデータを収集及び/又は受信するため、及び/又は車両130からセンサデータを受信するために使用することができる。テレマティクスデバイスは、データを処理して衝突イベント又は非衝突イベントを検出し、及び/又はセンサデータ若しくは衝突データを結果判定サーバシステム120若しくは他のコンピューティングデバイスに送信することができる。テレマティクスデバイスは、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチ、及び運転者又は乗客が車両130の内外に持ち運び可能な他のデバイスとすることができる。テレマティクスデバイスは、車両130との一体化及び/又はOBD2コネクタ等の診断コネクタを介する車両130内のデータバスへの接続も可能である。テレマティクスデバイスは、加速度、速度、位置、及びブレーキや、ターン、蛇行等の車両操作データ等、種々のデータを、テレマティクスデバイス本体及び/又は車両内に配置されたセンサから受信することができる。例えば、全地球測位システム(GPS)受信機を有するテレマティクスデバイスは、車両センサ又は外部車両システムとの通信を必要とせず、車両の位置、速度、方向及び他の基本的な運転データを特定することが可能である。しかしながら、Wi-Fiネットワークやセルラーネットワーク等、モバイルデバイスが接続した無線ネットワークに基づいて特定された位置等、他の種々の位置決定技術のいずれかを使用することもできることに留意されたい。GPS及び/又はコンパス等、テレマティクスデバイスの複数のセンサは、テレマティクスデバイス(及びそれに応じて車両130)が走行している速度及び/又は方向を感知することができる。テレマティクスデバイスの加速度計は、モバイルデバイスの加速度を感知可能である。ジャイロスコープを使用して、モバイルデバイスの向きを特定可能である。いくつかの態様では、例えば90Hzのレートで向きを特定することが可能である。ジャイロスコープを使用して、テレマティクスデバイスの回転速度を測定することもできる。磁力計を使用して、テレマティクスデバイスに対する磁場の強度及び方向を測定することができる。テレマティクスデバイスによって収集されたデータは、テレマティクスデバイス内に保存及び/又はテレマティクスデバイス内で解析することができる。テレマティクスデバイスの処理コンポーネントを使用して、センサデータを解析し、衝突が発生したか否かを判断し、衝突が発生したか否かを確認することができる。更に又は代替的に、テレマティクスデバイスは、保存又は解析のために、有線又は無線通信ネットワークを介して、一又は複数のコンピューティングデバイスにこのデータを送信することができる。種々の実施の形態において、テレマティクスデバイスは、衝突の発生を検出した場合にデータを送信する。
【0015】
車両130は、更に、短距離通信システムを含むことができる。短距離通信システムは、車両操作データを複数の近くの他の車両に送信するとともに車両操作データを複数の近くの他の車両から受信するように構成された車両ベースのデータ伝送システムとすることができる。いくつかの例では、通信システムは、専用狭域通信(DSRC)プロトコル及び規格を使用して、車両間の無線通信を実行することができる。米国では、5.850-5.925GHz帯域のうち75MHz幅がDSRCシステム及びアプリケーションに割り当てられており、他の国や管轄区域では他の種々のDSRC割り当てが定義されている。しかしながら、短距離通信システムは、DSRCを使用する必要はなく、WLAN通信プロトコル(例えば、IEEE 802.11)、Bluetooth(例えば、IEEE 802.15.1)、又は、Communication Access for Land Mobiles(CALM)無線通信プロトコル及び複数のエアインターフェースのうちの一又は複数等、他の例における他の短距離無線プロトコルを使用して実装可能である。短距離通信システム間の車車間伝送(V2V伝送)は、DSRC、Bluetooth、衛星、GSM赤外線、IEEE 802.11、WiMAX、RFID及び/又は任意の適切な無線通信媒体、規格及びプロトコルを介して送信することができる。特定のシステムにおいて、短距離通信システムは、車両130に設置された専用のハードウェア(例えば、トランシーバ、アンテナ等)を含むことができる。一方、他の例では、短距離通信システムは、既存の車両ハードウェアコンポーネント(例えば、無線及び衛星機器、ナビゲーションコンピュータ)を使用して実装可能、或いは、車両130内(又はその近く)のテレマティクスデバイス上で実行されるソフトウェアによって実装可能である。V2V通信の範囲は、使用される無線通信規格及びプロトコル、送信/受信ハードウェア(例えば、トランシーバ、電源、アンテナ)及び他の要因に依存し得る。短距離V2V通信は、わずか数フィートの範囲から何マイルの範囲にも及ぶことが可能であり、このV2V通信の範囲に応じて、種々のタイプの運転挙動や車両操作パラメータ等を決定することができる。
【0016】
V2V通信は、路車間通信(V2I通信)、例えば、車両からインフラストラクチャ等の非車両受信デバイスへの通信、又は非車両受信デバイスから車両への通信も含むことができる。インフラスラクチャには、料金所、鉄道の踏切、立体駐車場、道路セグメント、駐車場、建物又は他の構造物、及び/又は環境条件(例えば、天気、照明等)と駐車場の空き状況とを検出するための一又は複数のセンサを含むことが可能な道路交通監視装置、のうちの一又は複数を含むことができる。特定のV2V通信システムは、車両130から、車両の伝送能力の範囲内で通信を受信可能な任意の他の車両又は他のインフラストラクチャデバイスへ、データを定期的にブロードキャストすることができる。例えば、他の車両又は受信デバイスが範囲内にあるか否かに無関係に、車両130は、短距離通信システムを介して、特定の車両操作データを定期的に(例えば、0.1秒毎、0.5秒毎、1秒毎、5秒毎、動的に等)ブロードキャストすることができる。他の例では、短距離車両通信システムは、まず近くの車両及び受信デバイスを検出することができ、他の車両及び/又はデバイスへの車両操作データの送信開始前に、ハンドシェイクトランザクションを実行することにより、それぞれとの通信を初期化することができる。インフラストラクチャからのブロードキャストはまた、様々な範囲を有し、いくつかの例では、インフラストラクチャは、一又は複数のコンピューティングデバイスに更に情報を中継可能な中継局にブロードキャストすることができる。
【0017】
車両130及び/又はインフラストラクチャへ、又は、車両130及び/又はインフラストラクチャから送信される車両操作データ、車両運転データ、故障データ等のタイプは、V2V通信又はV2I通信に使用されるプロトコル及び規格、通信範囲及び他の要因に依存し得る。特定の例では、車両130は、位置(GPS座標又は他の座標系における絶対位置、及び/又は別の車両又は定点に対する相対位置を含むことができる)、速度、及び走行方向等、複数の類似の車両運転データの対応するセットを定期的にブロードキャストすることができる。特定の例では、V2V(又はV2I)通信システムにおける複数のノード(例えば、車両及び他の受信デバイス)は、同期した時刻信号を有する内部クロックを使用可能であり、送信時刻と受信時刻との差に基づいて受信側が送信ノードからの距離を算出できるように、V2V(又はV2I)通信内で送信時刻を送信することができる。車両の制御装置及び計器の状態又は使用状況も送信が可能である。例えば、車両130は加速中、ブレーキをかけている、ターンしている、のいずれなのか、そしてそれらはどの程度なのか、及び/又は車両のどの計器が現在運転者によって作動されているのか(例えば、ヘッドライト、方向指示器、ハザードライト、クルーズコントロール、四輪駆動、トラクションコントロール等)等である。車両がスリップしていること、衝撃が発生したこと、車両のエアバッグが作動したこと、或いは車両が予期せず急停車したこと等の車両の内部システムによる検出等の車両警告も、V2V(又はV2I)通信で送信することができる。
【0018】
他の種々の例では、短距離通信システムからのV2V又はV2I通信を受信する他の近くの車両又はインフラストラクチャデバイスに、V2V通信又はV2I通信を介して、任意の車両センサによって潜在的に収集された任意のデータを送信可能である。更に、車両のセンサからではない追加の車両運転データ(例えば、車両の製造メーカ/モデル/製造年情報、運転者保険情報、運転ルート情報、車両メンテナンス情報、運転者スコア等)を収集し、V2V通信又はV2I通信を使用して、短距離通信システムを用いて近くの車両及び他の受信デバイスへ送信することができる。
【0019】
動作環境100において、種々のデバイスへ及び種々のデバイスから送信されるデータは、安全(セキュア)機密データを含むことができる。したがって、セキュアなネットワークプロトコル及び暗号化を使用して、これらのデータの伝送を保護すること、及び、ソフトウェア開発システム内の種々のコンピューティングデバイス上に保存される際のデータの完全性を保護すること、が望ましい場合がある。例えば、種々のコンピューティングデバイス間でデータを伝送するために、ファイルベースの集積化スキーム又はサービスベースの集積化スキームを利用することができる。データは、種々のネットワーク通信プロトコルを使用して伝送することができる。ファイル転送においては、データの完全性を保護するために、セキュアなデータ送信プロトコル及び/又は暗号化、例えばファイル転送プロトコル(FTP)、セキュアファイル転送プロトコル(SFTP)、及び/又はプリティグッドプライバシー(PGP)暗号化等を使用可能である。多くの実施の形態では、一又は複数のウェブサービスを、種々のコンピューティングデバイス内に実装することができる。ウェブサービスは、権限を有する外部デバイス及びユーザによりアクセスされ、動作環境100内の種々のコンピューティングデバイス間のデータの入力、抽出及び操作をサポートすることができる。パーソナライズされた表示システムをサポートするために構築されたウェブサービスは、クロスドメイン及び/又はクロスプラットフォームとすることが可能であり、これらは企業での使用のために構築可能である。このようなウェブサービスは、ウェブサービス相互運用性(WS-I)ガイドライン等の種々のウェブサービス規格に従って開発することができる。データは、コンピューティングデバイス間のセキュアな接続を提供するために、セキュアソケットレイヤ(SSL)又はトランスポートレイヤセキュリティ(TLS)プロトコルを使用して伝送することができる。ウェブサービスは、XML暗号化を使用してセキュアなSOAPメッセージを提供するWSセキュリティ標準を使用して実装することができる。更に他の例では、セキュリティ及び統合レイヤは、セキュアなウェブサービスを提供するための専用のハードウェアを含むことができる。例えば、セキュアなネットワーク機器は、ハードウェア加速SSL及びHTTPS、WSセキュリティ、及び/又はファイアウォール等の組み込み機能を含むことができる。そのような専用のハードウェアは、任意の外部デバイスが当該専用のハードウェアと直接通信できるように、本明細書に記載の一又は複数のコンピューティングデバイスの前にある動作環境100に設置及び構成することができる。
【0020】
ここで示されたネットワーク接続は例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用可能であることが理解されるであろう。TCP/IP、イーサネット、FTP、HTTP等の種々のネットワークプロトコルと、GSM、CDMA、WiFi及びWiMAX等の種々の無線通信技術と、のいずれかの存在が推定され、本明細書に記載される種々のコンピューティングデバイスは、これらのネットワークプロトコル又は技術のいずれかを使用して通信するように構成することができる。
【0021】
ここで図2を参照すると、本発明の少なくとも一の実施の形態に係るコンピューティングデバイス200が示されている。コンピューティングデバイス200は、当該コンピューティングデバイス200と、RAM205、ROM207、入出力デバイス209、通信インターフェース211、及び/又はメモリ215を含むその関連コンポーネントと、の動作全体を制御するプロセッサ203を含むことができる。データバスは、プロセッサ203、RAM205、ROM207、メモリ215、I/Oデバイス209、及び/又は通信インターフェース211を、相互接続することができる。
【0022】
入出力(I/O)デバイス209は、マイクロホン、キーパッド、タッチパネル、及び/又はスタイラスを含むことが可能であり、これらを介して、コンピューティングデバイス200のユーザが入力を可能である。また、I/Oデバイス298は、音声出力を提供するためのスピーカ、ならびにテキスト、オーディオビジュアル、及び/又はグラフィック出力を提供するための映像表示機器、のうちの一又は複数を含むことも可能である。ソフトウェアは、メモリ215内部に格納され、コンピューティングデバイス200に種々の動作を行わせるための複数の命令を、プロセッサ203に提供することができる。例えば、メモリ215は、コンピューティングデバイス200により使用されるソフトウェア、例えば、オペレーティングシステム217、アプリケーションプログラム219、及び/又は関連する内部データベース221等を格納可能である。メモリ215内の種々のハードウェアメモリユニットは、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータ等の情報を格納するための任意の方法又は技術において実装される揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体を含むことができる。メモリ215は、一又は複数の物理的な永続メモリデバイス及び/又は一又は複数の非永続メモリデバイスを含むことができる。メモリ215は、ランダムアクセスメモリ(RAM)205、リードオンリーメモリ(ROM)207、電子的消去可能・プログラム可能型リードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージデバイス、若しくは、所望の情報を記憶するために使用可能であり且つプロセッサ203によってアクセス可能な任意の他の媒体、を含むことができるが、これらに限定されない。
【0023】
通信インターフェース211は、本明細書に記載されている任意のプロトコルを使用し、有線又は無線の任意のネットワークを介して通信するための一又は複数のトランシーバ、デジタル信号プロセッサ、及び/又は追加の回路及びソフトウェアを含むことができる。プロセッサ203には、シングルコア又はマルチコア(例えば、デュアルコア、クアッドコア等)のプロセッサであり得る単一の中央処理装置(CPU)を含むことができ、或いは複数のCPUを含むことができる。一又は複数のプロセッサ203及び関連コンポーネントは、コンピューティングデバイス200が一連のコンピュータ可読命令を実行することにより、本明細書で記載される処理のいくつか又は全てを実行可能とすることができる。図2には示されていないが、メモリ215内の種々の要素又はコンピューティングデバイス200の他のコンポーネントは、一又は複数のキャッシュ、例えばプロセッサ203により使用されるCPUキャッシュ、オペレーティングシステム217により使用されるページキャッシュ、ハードドライブのディスクキャッシュ、及び/又はデータベース221からのコンテンツをキャッシュするために使用されるデータベースキャッシュ、を含むことができる。CPUキャッシュを含む実施の形態では、CPUキャッシュは、一又は複数のプロセッサ203により使用され、メモリ待ち時間及びアクセス時間を短縮可能とする。プロセッサ203は、メモリ215に対する読み出し/書き込みではなく、CPUキャッシュからのデータの読み出し又はCPUキャッシュへのデータの書き込みが可能であり、これにより、これらの動作速度を向上可能となる。いくつかの例では、データベース221からの特定のデータが、RAM205内又は別個のコンピューティングデバイス上等、データベースとは別のメモリ内の別個のより小さいデータベースにキャッシュされるデータベースキャッシュを作成することができる。例えば、多層アプリケーションにおいては、アプリケーションサーバ上のデータベースキャッシュは、ネットワークを経由してバックエンドデータベースサーバと通信する必要がないため、データ検索及びデータ操作時間を短縮することができる。これらのタイプのキャッシュ等は、種々の実施の形態に含むことが可能であり、データを送受信する際の応答時間の短縮やネットワーク条件への依存性の低減等、ソフトウェア開発システムの特定の実装例において潜在的な利点を提供することができる。
【0024】
コンピューティングデバイス200の種々のコンポーネントは別々に説明されているが、これらの種々の構成要素の機能は、本発明から逸脱することなく、単一のコンポーネント及び/又は通信中の複数のコンピューティングデバイスにより組み合わせ及び/又は実行が可能である。
<車両の使用状況の分類>
【0025】
図3は、本発明の少なくとも一の実施の形態に係る車両の使用状況の分類処理を示すフローチャートである。処理300のステップのいくつか又は全ては、本明細書に記載の複数のコンピューティングデバイスのいずれか及び/又はそれらの組み合わせを用いて実行可能である。種々の実施の形態において、以下に記載されるステップのいくつか又は全ては、必要に応じて組み合わせることが可能、及び/又はサブステップに分割することが可能である。
【0026】
ステップ310では、テレマティクスデータを取得することができる。テレマティクスデータは、車両に関連するテレマティクスデバイスから取得することができる。テレマティクスデバイスは、車両に設置可能であり、及び/又は車両内の一人又は複数の人(例えば、運転者、乗客等)に関連するモバイルデバイスである。テレマティクスデータは、加速度データ、速度データ、ブレーキデータ、方位データ、地理データ、衝撃データ、車両及び/又は乗客の識別データ、及び/又は必要に応じて他の任意のデータを含むことができる。取得されたテレマティクスデータには、複数のテレマティクスデバイス及び/又は他の複数の車両及び/又は車両に近接する複数の位置に関連する複数のテレマティクスデバイスを使用して取り込まれたデータも含むことができる。テレマティクスデータは、テレマティクスデバイスに関連する複数のセンサを用いて取り込まれた未加工のセンサデータのサブセット及び/又はフルセットを含むことができる。種々の実施の形態において、テレマティクスデータは、テレマティクスデバイスを使用して取り込まれた未加工のセンサデータのストリームを含む。
【0027】
ステップ312では、一又は複数のトリップを決定することができる。トリップは、テレマティクスデータで識別された車両が特定の時間枠内に訪れる位置に基づき決定することができる。トリップは、開始位置、開始時刻、終了位置及び終了時刻を有することができる。トリップは、更に、複数の中間停止(途中停車)を有することが可能であり、各中間停止は、位置、中間開始時刻(停車開始時刻)及び中間終了時刻(停車終了時刻)を有する。トリップは、複数の位置及び複数の停止間に、さらに追加のトリップ位置を含むことができ、これにより、車両のとる経路を複数のトリップ位置により識別可能となる。複数の位置、複数の中間停止、及び/又は複数の追加のトリップ位置には、複数の地理的座標(GPS受信機を使用して生成された座標等)、複数の地理的ランドマーク、複数の住所、及び/又は他の任意の位置識別データを必要に応じて含めることができる。複数の時刻には、必要に応じて、時刻、日付、及び/又は曜日を含むことができる。多くの実施の形態において、トリップ開始及び/又はトリップ終了の地理的座標を使用することにより、適切なタイムゾーンを特定することができ、これにより、トリップ開始/終了タイムスタンプを、トリップ中の車両の物理的位置に対応する時刻に変換可能となる。
【0028】
ステップ314では、トリップの特徴を決定することができる。一のトリップ内で決定される複数の特徴は、当該トリップの開始位置、当該トリップの終了位置、複数の中間停止、特定の時刻における当該車両の加速、特定の時刻における当該車両の速度、当該車両が訪れた複数の関心ポイント(Point of Interest,POI)等を含むことができるが、これらに限定されない。多くの実施の形態において、トリップ中でないと分類された後、車両が移動を開始したことを特定することにより、開始位置が決定される。いくつかの実施の形態では、車両がトリップ終了閾値期間を超えて移動を停止したことを特定することにより、終了位置が決定される。種々の実施の形態において、一の中間停止は、車両が移動中であり且つある位置で少なくとも中間閾値期間停止したことにより特定される。いくつかの実施の形態では、中間閾値期間は、トリップ終了閾値期間よりも短い。トリップ終了閾値期間は、通常、中間閾値期間よりも長い。例えば、トリップ終了閾値期間は、20分、25分、30分等とすることができ、一方、中間閾値期間は、30秒、2分、5分等とすることができる。このようにして、トリップ終了と中間停止とを区別することができる。ここで示されている閾値は一例に過ぎず、必要に応じて任意の閾値を使用可能であることに留意されたい。多くの実施の形態では、POIは、居住地の住所及び/又は業務に対応する位置とすることができる。複数のPOIは、特定のPOI及び/又は重視に地理的座標をマッピングする種々の地理データベースを使用して、決定することができる。ここで、当該住所は当該POIにマッピングされ得る。このようにして、トリップ中に訪れた複数の位置の種類も特定が可能となる。多くの実施の形態において、トリップの特徴を決定することは、トリップモデルを生成することを含む。トリップモデルは、複数の地理的位置のセットと、地理的位置に関連する複数の特徴を特定するメタデータと、を含むことができる。これらの特徴は、本明細書に記載されるように、各地理的位置に関連する複数の停車の期間を含むことができるが、これに限定されない。
【0029】
ステップ316では、複数のトリップを分類することができる。トリップは、当該トリップがビジネストリップであるか(例えば、車両が業務で操作されているのか及び/又は車両の運転者が当該車両をTNCサービス事業の一環として操作しているのか)、及び/又はパーソナルトリップであるか(例えば、車両が運転者の私的な使用のために操作されているのか)を判定するために分類され得る。トリップの分類は、当該トリップをビジネストリップ及び/又はパーソナルトリップとしてラベル付けすることと、そのラベルが当該トリップのクラスを正しく識別する確率的尤度(probabilistic likelihood)を示す信頼性評価基準(confidence metric)と、を含むことができる。トリップは、トリップモデル内に存在する複数の特徴に基づいて分類が可能である。特徴は、トリップ期間、トリップ走行距離、及び/又は理想走行距離比としても知られるトリップの開始地点及び終了地点間における理想的な走行距離に対するトリップ走行距離の比を含むがこれらに限定されない種々の基準に従って分類できる。いくつかの実施の形態では、開始地点及び終了地点間における理想的な走行距離は、複数の地理的位置間の既知の経路(例えば車道)を含むマッピングデータベースを使用して、開始地点及び終了地点間の推奨ルートを生成することにより決定することができる。種々の実施の形態において、理想的な走行距離は、開始位置と終了位置との間の測地線距離となる。例えば、いくつかの短時間の中間停止があり、理想的なルートよりも大幅に長いルートを辿ったトリップは、ビジネストリップとしてラベル付けされる可能性が高い。一方、中間停止は一回のみであり、理想距離とほぼ同距離となるトリップは、パーソナルトリップとしてラベル付けされる可能性が高い。ラベルは、テキストラベル及び/又はスコア等、トリップの出力を識別する任意のデータとすることができる。多くの実施の形態では、トリップは0から1までのスケールでスコア付けされる。ここで、0は当該トリップが確実にパーソナルトリップであることを示し、1は当該トリップが確実にビジネストリップであることを示す。スコア閾値を使用して、トリップがパーソナルトリップであるかビジネストリップであるかを判定可能である。前例に戻ると、スコアが0.5未満の場合、トリップはパーソナルトリップとしてラベル付け可能であり、スコアが0.5より大きい場合、トリップはビジネストリップとしてラベル付け可能である。種々の実施の形態において、トリップに対するスコアは、トリップに対して生成されたラベルが正しい確率的尤度に基づいている。
【0030】
トリップは、特定の時間枠内に実施されたトリップのグループ化に基づいて分類することも可能である。時間枠は、5分、10分、及び/又は15分等、任意の時間枠とすることができる。複数のトリップを含むグループは、総トリップ期間、総走行距離、総理想走行距離比、グループ内の最小トリップ長、グループ内の最大トリップ長、グループ内の平均トリップ長、グループ内の最小トリップ距離、グループ内の最大トリップ距離、グループ内の平均トリップ距離、グループに対する最小理想走行距離比、グループに対する最大理想走行距離比、及び/又はグループに対する平均理想走行距離比、に基づいて分類することができる。複数のトリップを含むグループの総トリップ期間は、グループ内の複数のトリップのうち、最も早い開始時刻と最も遅い終了時刻とに基づいて決定することができる。総理想走行距離比は、グループ内の各トリップの総走行距離と、グループ内の最も早い開始点及び最も遅い終了点間の理想的なトリップと、に基づいて決定することができる。複数のトリップの分類は、複数のグループ化に基づいて行うことが可能であり、各トリップは、複数のグループに含めることが可能である。
【0031】
いくつかの実施の形態では、トリップラベル及び/又は確率的尤度は、一又は複数のマシン分類器を使用して算出することができる。決定木(デシジョンツリー)、k近傍法、サポートベクターマシン(SVM)、ニューラルネットワーク(NN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、及び又は確率的ニューラルネットワーク(PNN)を含む(ただしこれらに限定されない)種々のマシン分類器を利用することが可能である。RNNは、更に、完全リカレントネットワーク、ホップフィールドネットワーク、ボルツマンマシン、自己組織化マップ、学習ベクトル量子化、単純リカレントネットワーク、エコー状態ネットワーク、長短期記憶ネットワーク、双方向RNN、階層型RNN、確率的ニューラルネットワーク、及び/又は遺伝子スケールRNNを含むことができる(ただしこれらに限定されない)。多くの実施の形態において、マシン分類器の組み合わせを利用可能であり、可能な場合はより特殊なマシン分類器を、それ以外は一般的なマシン分類器を利用して、更に予測の精度を向上させることができる。マシン分類器は、過去のトリップデータに加え、各トリップがビジネストリップ及び/又はパーソナルトリップであるかを示す複数のグラウンドトゥルースラベルに基づいて学習させることが可能である。テレマティクスデータ等の各種追加データも、マシン分類器の学習に含めることができる。いくつかの実施の形態では、マシン分類器を学習させることは、特定のトリップが特定のラベルに関連付けられる確率的可能性を生成するためにマシン分類器によって利用される機械学習モデルの一又は複数のレイヤ内のニューロンに関する一又は複数の重みを自動的に更新することを含む。多くの実施の形態では、マシン分類器は、分類されたトリップを用いて再学習させることができる。このようにして、新たに取得したテレマティクスデータに基づき、マシン分類器の性能を継続的に向上させることができる。
【0032】
ステップ318では、運転者を分類することができる。分類されたトリップを使用して、車両及び/又は運転者がTNCサービス事業の提供するサービスに関連付けられているかを判定することができる。分類結果は、車両及び/又は運転者が、ビジネストリップ及び/又はパーソナルトリップに関連付けられた運転に従事している時間帯及び/又は曜日を示すこともできる。分類されたトリップに基づいて運転者を分類する種々の処理が、図4に関してより詳細に記載される。
【0033】
図4は、本発明の少なくとも一の実施の形態に係る運転者の分類処理を示すフローチャートである。処理400のステップのいくつか又は全ては、本明細書に記載の複数のコンピューティングデバイスのいずれか及び/又はそれらの組み合わせを用いて実行可能である。種々の実施の形態において、以下に記載されるステップのいくつか又は全ては、必要に応じて組み合わせることが可能、及び/又はサブステップに分割することが可能である。
【0034】
ステップ410では、分類されたトリップデータを取得することができる。本明細書に記載されているように、分類されたトリップデータは、複数のトリップのセット、特定のトリップがビジネストリップ及び/又はパーソナルトリップであるかを示す複数のラベル、及び/又はトリップに関連付けられたラベルが正しい確率的尤度、を含むことができる。
【0035】
ステップ414では、運転者を分類することができる。運転者を分類することにより、当該運転者が主にビジネストリップのために運転しているのか或いはパーソナルトリップのために運転しているのかを判定することができる。運転者の分類は、当該運転者が行った特定のタイプのトリップの数に基づいて実施することができる。運転者の分類は、当該運転者が行ったトリップの全体的な特性及び/又は特定の日及び/又は時間に当該運転者によって行われたトリップのタイプに基づいて実施することができる。例えば、運転者は金曜日及び土曜日の夜にTNCサービス事業のために定期的に運転し、それ以外の時間には私的(パーソナル)な理由で運転することができる。
【0036】
運転者の分類は、車両に対し、私用車両ではなく商用車両として保険に加入すべき時期を決定する場合等、種々の状況で役立つであろう。いくつかの実施の形態では、一台の車両に対し、当該車両が運転される時間帯に応じて、複数の保険証券を発行することができる。このようにして、車両が通常ビジネストリップに使用される時は商用車両として、パーソナルトリップに使用される時は私用車両として、保険に加入することができる。同様に、運転者についても、運転中の車両とは無関係に、ビジネストリップに従事しているかパーソナルトリップ中であるかを分類することができる。このようにして、各種車両を用いてTNCサービス事業の商業サービスを提供する運転者を追跡し、適切に保険をかけることができる。例えば、(単一の車両を所有するのではなく)特定の日にビジネストリップに従事するための車両をレンタルする運転者を特定することができる。この情報を使用して、例えば、当該運転者に対するレンタカーの変動料金の調整及び/又は私的な運転及び業務としての運転の両方をカバーする適切な保険の提案を実施可能となる。
【0037】
本明細書で議論される一又は複数の態様は、本明細書に記載されるように、一又は複数のコンピュータ若しくは他のデバイスにより実行される一又は複数のプログラムモジュール等、コンピュータ使用可能又は読み取り可能なデータ及び/又はコンピュータ実行可能命令で具現化することができる。一般に、プログラムモジュールには、コンピュータ又は他のデバイス内のプロセッサによって実行されると特定のタスクを実行し、或いは特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等が含まれる。モジュールは、後に実行するためにコンパイルされるソースコードプログラミング言語で作成することが可能であり、HTMLやXML等(ただしこれらに限定されない)のスクリプト言語で作成することも可能である。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、取り外し可能な記憶媒体、ソリッドステートメモリ、RAM等のコンピュータ可読媒体に格納することができる。当業者には理解されるように、種々の実施の形態において、プログラムモジュールの機能は所望に応じて組み合わせ又は分散が可能である。更に、当該機能は、ファームウェア、又は、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のハードウェア等価物により、全体又は部分的に具現化することができる。特定のデータ構造を使用して、本明細書で議論される一又は複数の態様をより効果的に実装することができ、そのようなデータ構造は、本明細書で記載されるコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内で企図される。本明細書で議論される種々の態様は、方法、コンピューティングデバイス、システム、及び/又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。
【0038】
本発明をある特定の態様について記載してきたが、種々の他の変更及び変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。特に、特定のアプリケーションの要件に対し、より適切な方法で同様の結果を達成するために、上記の種々の処理のいずれかを代替のシーケンスで、及び/又は(異なるコンピューティングデバイス上で)並列に実行することができる。したがって、本発明は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、具体的に記載されている以外の方法で実施することができることを理解されたい。このように、本発明の実施の形態は、全ての点で例として引用されたものと理解され、限定されるものではないと理解されるであろう。したがって、本発明の範囲は、例示された実施の形態によってではなく、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4