(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】アンカー装置、アンカー装置を含む定着具、及び定着具を製造する方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/00 20060101AFI20241213BHJP
E04B 1/41 20060101ALI20241213BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20241213BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20241213BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
E02D27/00 A
E04B1/41 502B
E04B1/58 511F
E04B1/24 R
E04G21/12 105Z
(21)【出願番号】P 2022525448
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2020077355
(87)【国際公開番号】W WO2021083598
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】102019007619.2
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522170489
【氏名又は名称】ゲーテーカー ゲヴィンデテヒニク クライマン ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コロッホ トーマス
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-140883(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047608(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/140893(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3052032(JP,U)
【文献】特開平11-158884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
E04G 21/12
E04B 1/00- 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのアンカーロッド(2)と、第1アンカープレート(3)とを備えたアンカー装置(1)であって、
前記第1アンカープレート(3)は、中央凹部(4)と開口部とを有し、各アンカーロッド(2)は、1つの開口部を通って案内され、前記アンカーロッド(2)毎に1つのナット(6)が、前記第1アンカープレート(3)の下側に取り付けられ、
前記アンカー装置(1)は、
a) 第2アンカープレート(7)と、
b) 前記アンカーロッド(2)の数に対応する他のアンカープレート(7,8,9,10)とのいずれかをさらに含み、
前記第2アンカープレート(7)は、開口部を有し、前記アンカーロッド(2)のうちの1つが各開口部を通って案内され、前記アンカーロッド(2)毎に2つの他のナット(11,12)が前記第2アンカープレート(7)を第2アンカープレートの下側及びアンカープレートの上側に固定し、
前記他のアンカープレート(7,8,9,10)は、前記他のアンカープレート(7,8,9,10)の各々が開口部を有し、前記アンカーロッド(2)の一方が各開口部を通って案内され、前記アンカーロッド(2)毎に2つの他のナット(11、12)が他のアンカープレート(7,8,9,10)を前記他のアンカープレートの上側及び前記他のアンカープレートの下側に固定
し、
前記第1アンカープレート(3)の中央凹部(4)にポケット型枠(15)が挿入され、前記ポケット型枠(15)のフランジが前記第1アンカープレート(3)の上側に平坦に載置される、
アンカー装置(1)。
【請求項2】
前記第1アンカープレート(3)が、前記第2アンカープレート(7)及び/又は前記他のアンカープレート(7,8,9,10)から離間している、
請求項1に記載のアンカー装置(1)。
【請求項3】
前記第1アンカープレート(3)と第2及び/又は他のアンカープレート(7,8,9,10)との間の距離が、少なくとも20cmである、
請求項1又は2に記載のアンカー装置(1)。
【請求項4】
前記開口部が、前記アンカープレート(3,7,8,9,10)の縁部に配置されている、
請求項1に記載のアンカー装置(1)。
【請求項5】
前記ポケット型枠(15)が開口部を有し、前記アンカーロッド(2)が前記開口部を貫通している、
請求項
1に記載のアンカー装置(1)。
【請求項6】
前記第1アンカープレート(3)の上側に配置されたナット(5)又はセンタリングディスク(26)と、
コラムベースプレートの上側に配置されたナット(5)とをさらに備え、
前記ナット(5)が、前記アンカーロッド(2)に回転可能に取り付けられている、
請求項
1から5のいずれか1項に記載のアンカー装置(1)。
【請求項7】
コンクリート基礎(21)と、
特に鋼コラム又は部分的にコンクリートで包まれたコラムよりなるコラム(22)と、
請求項1から
6のいずれか1項に記載のアンカー装置(1)とを含んでおり、
前記コラム(22)のコラムベース(23)が、第1アンカープレート(3)上に載置され、
剪断キー(24)が、前記コラムベースの下側に配置され、
アンカーロッド(2)が、前記コラムベース(23)の開口を通って案内され、
センタリングディスク(26)が、前記コラムベースの上側に配置され、ナット(5)によって前記アンカーロッド(2)に取り付けられる、
定着具(20)。
【請求項8】
前記剪断キー(24)が、前記コラムベース(23)に溶接されている、
請求項
7に記載の定着具(20)。
【請求項9】
前記第2アンカープレート(7)及び前記アンカーロッド(2)が、前記コンクリート基礎(21)内に包埋され、
前記第1アンカープレート(3)の下側に配置されたナット(6)とコンクリート基礎上面との間に距離がある、
請求項
7又は8に記載の定着具(20)。
【請求項10】
前記コンクリート基礎(21)と前記コラムベース(23)との間にポケット(25)が設けられ、
前記第1アンカープレート(3)の下側に配設されたナット(6)と、前記剪断キー(24)とが前記ポケット(25)に配設されている、
請求項
7から9のいずれか1項に記載の定着具(20)。
【請求項11】
前記ポケット(25)が、コンクリート又はモルタル化されている、
請求項
10に記載の定着具(20)。
【請求項12】
第2アンカープレート(7)及びアンカーロッド(2)が、コンクリート基礎(21)内に包埋され、第1アンカープレート(3)の下側に配置されたナット(6)とコンクリート基礎上面との間に距離があるように、請求項1から
6のいずれか1項に記載のアンカー装置(1)を前記コンクリート基礎(21)内に包埋する工程と、
前記第1アンカープレート(3)の下側に配置されているナット(6)を回して前記第1アンカープレート(3)を整列させる工程と、
剪断キー(24)をコラム(22)のコラムベース(23)の下側に配置して基礎(21)のポケット(25)に突出させ、前記アンカーロッド(2)を前記コラムベース(23)の貫通開口部から突出させるように、前記コラムベース(23)を前記第1アンカープレート(3)の上に配置する工程と、
センタリングディスク(26)を前記コラムベース(23)の上側に配置する工程と、
前記センタリングディスク(26)の上側に配置された締付ナット(5)により、前記センタリングディスク(26)を固定する工程と、
を含む、荷重支持型の定着具を製造するための方法。
【請求項13】
ポケット型枠(15)を前記第1アンカープレート(3)の前記中央凹部(4)に導入して前記コンクリート基礎(21)内に前記ポケット(25)を作製し、
前記ポケット(25)を前記コンクリート基礎(21)内に作製した後に、前記ポケット型枠(15)を取り外す、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記コラムベース(23)の下面と前記基礎(25)の上面との間の領域において、前記ポケット(25)に非収縮モルタル又はコンクリートを充填する工程をさらに含む、
請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカー装置に関する。さらに、本発明は、アンカー装置を含む定着具に関する。また、本発明は、定着具を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンカー装置が、従来技術から知られている。建設業界において、アンカーは構成部品の耐張力接続(定着具)のための部品である。アンカーは主に鋼で構成されているが、木材、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート、又はその他の耐張力材料から製造することもできる。鋼製のアンカー装置は、補強筋と主筋からなり、一緒に溶接されてケージを形成することができる。使用に応じて、異なる材料及び量を使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術は、公知のアンカー装置が溶接されなければならないという点で不利であり、そのため、アンカー装置を後から調整することができない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、従来技術から知られている欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するアンカー装置によって、請求項8の特徴を有するアンカー装置を備える定着具によって、及び請求項13の特徴を有するアンカー装置を製造する方法によって達成される。
【0006】
本発明によるアンカー装置は、少なくとも2つ、好ましくは3つ、特に好ましくは4つのアンカーロッドと第1アンカープレートとを備え、第1アンカープレートは、特にポケット型枠を収容するための好ましくは中央凹部と開口部とを有し、各アンカーロッドは1つの開口部を通って案内され、アンカーロッド毎に1つのナットが第1アンカープレートの下側に取り付けられ、アンカー装置はさらに第2アンカープレート及びアンカーロッドの本数に対応する他のアンカープレートのいずれかを備える。
【0007】
前記第2アンカープレートは、開口部を有し、アンカーロッドのうちの1つは、各開口部を通って案内され、アンカーロッド毎に2つの他のナットが、第2アンカープレートを第2アンカープレートの上側及び第2アンカープレートの下側に固定する。
【0008】
前記アンカーロッドの本数に対応する他のアンカープレートは、開口部を有する他のアンカープレートの各々と、各開口部を通って案内されるアンカーロッドの一方と、他のアンカープレート上側及び他のアンカープレート下側に他のアンカープレートを固定するアンカーロッド毎に2つのナットとを有する。
【0009】
特に好ましくは、アンカー装置は、第1アンカープレートに加えて、他のアンカープレートを備え、他のアンカープレートの各々は、少なくとも1つの開口部を有し、アンカーロッドの1つは、各開口部を通って案内され、アンカーロッド毎に、他のアンカープレート上側及び他のアンカープレート下側に、少なくとも2つの他のアンカープレートを固定する2つの他のナットを備える。
【0010】
したがって、アンカー装置は、2つのアンカーロッドがある場合には2つの他のアンカープレートを有することができ、3つのアンカーロッドがある場合には2つ又は3つの他のアンカープレートを有することができ、4つのアンカーロッドがある場合には3つ又は4つの他のアンカープレートを有することができる。
【0011】
第1アンカープレートは、アンカー型板として理解することができる。開口部は、孔又は穿孔と理解することができる。第2アンカープレート及び他のアンカープレートは、ブレーシング、ブレーシング手段、又はブレーシングプレートとして理解することができる。
【0012】
凹部は、開口部として理解することができる。凹部は第1アンカープレートを貫通している。中央凹部は、第1アンカープレートの中央又はほぼセンタリングに配置された凹部として理解することができる。好ましくは、凹部は、ポケット型枠を収容するように構成される。
【0013】
第1アンカープレート及び/又は他のアンカープレートの外側輪郭の成形は、基本的に、全ての公知の幾何学的形状の外側輪郭にしたがって形成することができる。外側輪郭の形状の選択は、コラムの外側輪郭によって異なる。例えば、連結されるべきコラムベースプレートもこのような外側輪郭を有し、アンカーロッドがブレーシングプレートとコラムベースプレートとの間に円形線に沿って互いに平行に配置されている場合、円形外側輪郭は丸い管状コラムに使用される。
【0014】
第1アンカープレートの開口部又は凹部の内側輪郭の形状は、厳格な仕様にしたがわない。それは、任意の公知の幾何学的形状を有することができ、長方形、正方形又は円形の輪郭が特に好ましい。凹部に挿入されるポケット型枠の成形で、グラウト注入後に再度取り外すものについても同様である。ポケットの形状、したがってポケット型枠本体の形状は、直方体状、直方体、ピラミッド形状、円筒形状、切頭円錐形状又は半球形状とすることができる。好ましくは、ポケット型枠の凹部輪郭の形状及び断面輪郭の選択は、ポケット型枠が凹部に挿入されたときの形態適合をもたらすべきである。
【0015】
基本的には、少なくとも2つのアンカーロッドの代わりにアンカープレートスペーサ要素を使用することもできる。それらは、ロッドとは形状が異なっていてもよく、それでも十分な安定性を提供する。アンカーロッドは、例えば、アンカーボルトとして、又はアンカープレートスペーサー要素の形態のアンカーサポートとして構成することができる。スペーサー要素の端面は、好ましくは、それぞれナット及びアンカープレートを収容する2つの短いアンカーロッドを有する。
【0016】
アンカーロッドの数は自由に選択することができる。コラムを取り付ける際の安定性の理由から、コラムベースを十分に安定した第1アンカープレート上に配置し、整列させることができるので、少なくとも3つのアンカーロッドを使用することが好ましい。コラムを取り付ける際の安定性の理由から、4つのアンカーロッドを使用することが好ましい。特に好ましくは、4つよりも多いアンカーロッドが使用される。これは、通常よりも高い安定性をもたらす。
【0017】
製造中、アンカー装置は単にネジ止めされ、溶接されない。これにより、アンカー装置を後で調整することができる。さらに、等級8.8の高強度アンカーロッドを使用することもでき、10.9及び12.9、並びに他の全ての材料等級も可能である。このようにして、アンカーロッドの比較的低い公称直径で高い引張力を伝達することができる。アンカー装置は、アンカーケージ又は補強ケージとして理解することができる。アンカーロッドは、アンカーボルト又はネジ付ロッドとしても理解することができる。アンカーロッドの少なくともいくつかは、1つ以上のネジ山を有する。したがって、使用される全てのナットは、アンカーロッドのネジ山と噛み合う雌ネジを有する。
【0018】
アンカー装置をコンクリート基礎に設置する場合、凹部を有する第1アンカープレートは、基礎の上縁から直径に依存する距離、特にアンカー型板の様式で配置することができる。これにより、最初のアンカープレートの下側にあるナットを依然として回すことができるようになる。
【0019】
好ましくは、第1アンカープレートは、第2アンカープレート及び/又は他のアンカープレートから離間して配置される。これは、十分な安定性を有するアンカー装置を提供する。前記距離は、一方では静的要件を満足し、他方では、製造されるポケットとブレーシングとの間に十分に大きなコンクリート厚が存在するように選択されることになる。第1アンカープレートと第2アンカープレート及び/又は他のアンカープレートとの間の距離は、例えば、20cm以上とすることができる。
【0020】
好ましくは、他のアンカープレートの各々は、少なくとも1つの開口部を有する。
【0021】
さらに好ましくは、開口部は、アンカープレートの縁部に配置される。これにより、アンカーロッドをアンカープレートに容易に通すことができる。
【0022】
特に好ましくは、ポケット型枠が、第1アンカープレートの上側に平坦な静止するポケット型枠の第1アンカープレート、フランジ又は折り畳み縁部の中央凹部に挿入される。つまり、第1アンカープレートの凹部は、ポケット型枠を収容するように構成されている。これにより、ポケット型枠を容易に取り付けることができる。ポケット型枠は、ポケットを製造するのに役立つ。ポケットは、基礎のキャビティ、空間、凹部、又は切欠として理解することができる。
【0023】
好ましくは、ポケット型枠も開口部を有し、アンカーロッドが開口部を貫通している。このようにして、ポケット型枠は簡単な方法で第1アンカープレートに連結される。
【0024】
好ましくは、アンカー装置は、アンカープレートの上側に配置されたナット、又はベースプレート上側又はフランジ上側に配置されたセンタリングディスク及びナットをさらに含み、ナットは回転可能な方法でアンカーロッドに取り付けられる。したがって、第1アンカープレートとポケット型枠は固定可能である。
【0025】
本発明による定着具は、コンクリート基礎と、コラム、特に鋼コラム又は部分的にコンクリートで包まれたコラムと、請求項のいずれか1項に記載のアンカー装置とを含み、コラムのコラムベースは第1アンカープレート上に載置され、剪断キーがコラムベースの下側に配置され、アンカーロッドがコラムベースの開口部を通って案内され、センタリングディスクがコラムベースの上側に配置され、センタリングディスクがナットによってアンカーロッドに取り付けられる。
【0026】
コラムの取付については、同じ施工区間に位置する全てのアンカー装置の第1アンカープレート(型板)を、第1アンカープレートの下側に位置するナットを回すことによって、同じ高さに調整する。そのためには、アンカープレート上側に配置されているナットを先に取り外す必要がある。このようにして、充填プレートを取り付けることなく、全ての鋼コラムをまったく同じ高さ(z方向)で取り付けることができる取付面を得ることができる。水平調整後、ナットをアンカーロッドにネジ戻し、センタリングディスクをコラムベースプレートに固定する。
【0027】
コラムのx方向及びy方向の調節性を可能にするために、コラムのコラムベースプレートには、大きな開口部又は大きな孔が配置される。構造的には、孔直径は、例えば自由に選択することができる。内径は、アンカーロッドの公称直径の例えば3倍の倍数とすることができる。これは、コラムをx方向及びy方向にシフトさせるためのアンカーロッドの公称直径の±1の許容範囲をもたらす。
【0028】
大きな孔は、センタリングディスクで覆うことができる。センタリングディスクは、偏心ディスクとして理解することができる。好ましくは、センタリングディスクは、開口部又は孔と、静的要件にしたがって選択されたオーバーラップとが、開口部中心又は孔中心に対するアンカーロッドの任意の位置で覆われるようなサイズである。センタリングディスク又は偏心ディスクの外側輪郭の成形は、全ての既知の幾何学的形状の外側輪郭にしたがって形成することもできる。好ましくは、円形及び/又は正方形の外側輪郭が、ここでは、センタリングディスクについて言及される。
【0029】
センタリングディスクはアンカープレートに溶接されていない。そのため、その後の防錆コーティングの補修は必要ない。
【0030】
アンカーロッドは、アンカーロッドと直交する大きな孔部のために力を伝達することができないため、追加の構成要素が必要となる。剪断キーを使用する。剪断キーは、静的要件を満たす断面を有する。剪断キーは、基本的に既知の任意の断面及び個々に製造又は溶接された断面を有することができる。剪断キーはコラムベースの下面に溶接されている。コラムベースプレートは第1アンカープレート上で静止しているか、又は直接配置されているため、第1アンカープレートには剪断キーを通過させるための開口部が必要である。
【0031】
基礎を製造するには、剪断キーが突出するポケットと、コラムの取付及びポケットのグラウト注入後に荷重をアンカーロッドに直交に伝達できるポケットを製造する必要がある。
【0032】
好ましくは、剪断キーは、コラムベースに溶接される。したがって、剪断力を簡単な方法で吸収することができる。剪断キーは、I型断面とすることができる。静的要件を満たす他の市販の断面構造物も同様に使用することができる。剪断キーには、基本的に既知の全ての断面及び個別に製造又は溶接された断面とすることができる。
【0033】
好ましくは、第2アンカープレートとアンカーロッドとは、コンクリート基礎内に包埋され、コンクリート基礎上側と、第1アンカープレート下側に配置されるナットとの間に距離がある。上側のアンカープレートを水平にするためにナットを回すことができるように、ナットの下面とコンクリート基礎上面との間に十分な距離を置く必要がある。これにより、基礎とアンカー装置との間に十分な静的接続がもたらされる。
【0034】
さらに、好ましくは、ポケットが、コンクリート基礎とコラムベース部との間に配置され、ナットは、第1アンカープレート下側に配置され、第1アンカープレートと、剪断キーは、ポケットに配置又は挿入されている。これにより、コラムを収容するために第1アンカープレート下側に配置されたナットを回すことによって、第1アンカープレートを水平にすることができる。水平調整のためには、第1アンカープレート上側に配置されているナットを先に取り外す必要がある。好ましくは、ポケットはモルタル又はコンクリートよりなる。これは、鋼構造物又は鋼コラムの位置合わせ後に行われる。
【0035】
本発明による荷重支持定着具を製造する方法は、
アンカー装置、特に、請求項のいずれか1項に記載のものを、コンクリート基礎に包埋し、第2アンカープレート及びアンカーロッドをコンクリート基礎に包埋し、コンクリート基礎の上側と、第1アンカープレートの下側に配置されたナットとの間に距離を設ける工程と、
第1アンカープレートの下側に配置されているナットを回転させることによって、第1アンカープレートを水平にし又は整列させる工程と、
第1アンカープレート上にコラムを配置し、その下側のコラムに剪断キーを配置し、その剪断キーを基礎のポケットに突出させ、その突出させたアンカーロッドをコラムの開口部に貫通させる工程と、
コラムベース上側にセンタリングディスクを配置する工程と、
センタリングディスクを固定するためにセンタリングディスクの上側に締付ナットを配置する工程と、を含む。
【0036】
第1アンカープレートの上側に配置されているナットは、第1アンカープレートが水平になるか、又は整列する前に取り外される。
【0037】
好ましくは、ポケット型枠は、コンクリート基礎内にポケットを作製するために、第1アンカープレートの中央凹部に導入され、ポケット型枠は、コンクリート基礎内にポケットが作製された後に、再び取り外される。これにより、ポケット型枠を再利用することができる。
【0038】
特に好ましくは、本方法は、
コラムベース下側と基礎上側との間の部分において無収縮モルタル又はコンクリートをポケットに充填する工程をさらに含む。
【0039】
アンカーバーは、基礎の上面から十分に離れて突出する。鋼コラムを基礎の上に置くと、剪断キーはポケットに入り、これは、鋼コラムが基礎の上に終端位置で載置されたとき、剪断キーと凹部の内面との間に空間があるのに十分大きい。
【0040】
鋼コラムが整列すると、アンカーボルトはセンタリングディスクによってフランジでコラムベース頂側に固定され、剪断キー、フランジ下面及び基礎凹部の間の基礎凹部には無収縮モルタル/コンクリートが充填される。
【0041】
したがって、取付作業全体は、基礎、フランジ(コラムベースプレート)及びアンカーに再加工なしで行われる。
【0042】
基礎に対応する凹部を形成するためにポリスチレンブロックを挿入することは、従来技術から知られている。
【0043】
ここでは、アンカーロッドにネジ止めされた型枠装置が、アンカー装置を設置する際に使用される。これは、基礎をコンクリートにする際に、必要な大きさのポケットが正確に正しい位置に生成されることを確実にするためである。
【0044】
好ましくは、型枠装置は、型枠油を使用してコンクリート又はモルタルの付着を効果的に防止することができる材料で作られる。好ましくは、材料は耐候性である。
【0045】
特に好ましくは、型枠装置は再使用可能である。これは、特に標準化されたアンカー装置に関連して有利である。というのは、型枠装置は、アンカー装置も供給する同じ供給業者/製造業者から調達することができるからである。
【0046】
さらに、この種のポケット型枠は、ポリスチレンブロックの使用及びそれに伴うスクラップポリスチレンの処分に伴う面倒な洗浄を不要にする。
【0047】
ポケットのグラウト注入後、全ての発生力(x,y,z)の基礎への静的に理想的な荷重導入を可能にするコラム状定着具を得ることができる。
【0048】
別の実施形態では、コラム基礎でのクランプを得ることができる。前記クランプは、コラム断面に対するアンカーロッドの静的に必要な配置によって生成される。
【0049】
好ましくは、等級8.8、10.9又は12.9の高強度アンカーロッドが使用され、現在の規格にしたがった他の全ての材料等級も同様に使用することができる。それらの番号、直径及び固定長さは、静的要件にしたがって選択されるべきである。また、筋かい(第2アンカープレート)の寸法、筋かい長さ、コンクリート鉄筋に依存する寸法、コンクリート等級を考慮する。
【0050】
アンカー装置の寸法は、構造的要件と静的要件の両方に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明によるアンカー装置の1実施形態の概略斜視図である。
【
図2】別の構成要素を有する
図1のアンカー装置の概略斜視図である。
【
図3】コンクリートに封入された
図2のアンカー装置の概略斜視図である。
【
図5】コンクリートに封入されたアンカー装置の別の概略斜視図である。
【
図6】本発明による定着具の1実施形態の概略斜視図である。
【
図7】追加のある
図6の定着具の実施形態の概略斜視図である。
【
図9】
図1の本発明による装置の別の実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0053】
図1は、アンカー装置1を示す。アンカー装置1は、4つのアンカーロッド2と、第1アンカープレート3とを備える。第1アンカープレート1は、アンカー型板として理解することができる。第1アンカープレート3は、中央凹部4と穿孔(borehole)を有する。各アンカーロッド2は、穿孔の1つを通って案内される。1つのナット6が、各アンカーロッド2にネジ込まれる。ナット6は、第1アンカープレート3のための台として機能し、ナット6はアンカープレートの下側に配置される。
図1において、ナット6は、第1アンカープレート3によって隠れている。それらは、例えば
図4に示されている。さらに、ナット5が設けられている。ナット5は、第1アンカープレート3を固定又は位置決めする役割を果たし、ナット5はアンカープレート上側に配置される。
【0054】
アンカー装置1は、第2アンカープレート7をさらに備える。第2アンカープレートは、ブレーシング又はブレーシングプレートとして理解することができる。第2アンカープレート7には穿孔がある。各アンカーロッド2は、穿孔の1つを通って案内される。2つのナット11及び12が、各アンカーロッド2にネジ込まれる。ナット12は、第2アンカープレート7の台として機能し、ナット12はアンカープレートの下側に配置される。ナット11は、第2アンカープレート7を固定又は位置決めする役割を果たし、ナット11はアンカープレート上側に配置される。
【0055】
第1アンカープレート3は、第2アンカープレート7から離間している。アンカープレート3及び7の穿孔は、アンカープレート3及び7の縁部に沿って配置されている。
【0056】
図2は、別の構成要素を有する
図1のアンカー装置1を示す。アンカー装置1は、追加的にポケット型枠15を有する。ポケット型枠15は第1アンカープレート3の中央凹部4に挿入される。ポケット型枠15のフランジ又は折り返し縁部は、第1アンカープレート3の上側で平坦に静止する。ポケット型枠15は開口部(opening) を有し、アンカーロッド2が開口部を貫通している。これで、ナット5がフランジ上側のアンカーロッド2に取り付けられる。
【0057】
ポケット型枠15は、以下により詳細に説明するように、コンクリート基礎に、専門用語でポケット(ドイツ語でコヒャ、矢筒)と呼ばれる基礎凹部を形成する役割を果たす。
【0058】
図3は、コンクリート基礎21に封入された
図2のポケット型枠15を備えたアンカー装置1を示す。
【0059】
まず、アンカー装置1は、コンクリート基礎21内に包埋され、第1アンカープレート3の下側に配置された第1アンカープレート3のナット6のためのコンクリート基礎21の上方に十分に離れて配置された第1アンカープレート3が、ナット6を回動させることにより、第1アンカープレート3をアンカーロッド2の長さに沿って上方(図中正z方向)及び下方(図中負z方向)に調整されるようにコンクリート基礎21の上方に十分に離れて配置される。ナット5は、水平にされる前に除去される。ナット5は、後に、センタリングディスク26によってコラムベース23を取り付けるためのコラムを取り付けるときに、アンカーロッド2にネジ戻されるようにするとよい。
【0060】
続いて、第1アンカープレート3は、アンカープレート下側に配置されている第1アンカープレート3のナット6を回すことによって、水平にされ又は整列される。取付コラム22のために、構造部分に位置する全ての第1アンカープレート3は、第1アンカープレート3の下側に配置されているナット6を回すことによって、建設的に必要な高さに調整される。
【0061】
コンクリート基礎21にポケット25を作製するために、ポケット型枠15が第1アンカープレート3の中央凹部4に導入される。ポケット型枠15は、コンクリート基礎21内にポケット25が作製された後、再び取り外される。
【0062】
図4は、
図3のA-A線断面を示しており、第2アンカープレート7及びアンカーロッド2は、第1アンカープレート3の下側に配置されたナット6の下のコンクリート基礎21に包埋されている。コンクリート基礎21の表面は、ナット6から離間している(距離17)。
【0063】
図5は、コンクリート基礎21のコンクリート打設後に再度ポケット型枠15が取り外された状態で、ナット5が再びプレート上側に静止した、
図3からの封入されたアンカー装置1を示す。しかしながら、ナット5は、この方法における、この段階では必要とされない。
【0064】
図6は、定着具20の概略斜視図である。定着具20は、上述のように、コンクリート基礎21と、コラム22(特に、コラムベース又はコラムベースプレート23を有する鋼コラム又は部分的にコンクリートで包まれたコラム)と、アンカー装置1とを備える。
【0065】
第1アンカープレート3上にコラム22のコラムベース23を配置する場合には、コラムベース下側に剪断キー24が配置される。剪断キー24は、基礎21のポケット25内に突出する。突出アンカーロッド2は、コラムベース23の穿孔を貫通している。
【0066】
センタリングディスク26が、コラムベース上側の各アンカーロッド2上に配置されている。続いて、第1アンカープレート3上側にナット5が配置され、アンカーロッド2上に回転自在に取り付けられたナット5が、センタリングディスク26と接触するまで締め付けられる。
【0067】
図7は、
図6の定着具20に付属品を追加して示す。コンクリート基礎21とコラムベース23との間に、コラムベース23のフランジ下側と基礎凹部の底との間にポケット25(
図8参照)の形で配置された空洞が、無収縮モルタル28でモルタル化されるか、又は代替的にコンクリート打設される。
【0068】
【0069】
コラム22のコラムベース23は、第1アンカープレート3上に載置され、剪断キー24は、コラムベースの下側に配置される。アンカーロッド2は、コラムベース23の開口部を通って案内される。さらに、センタリングディスク26は、コラムベースの上側に配置されている。センタリングディスク26自体は、ナット5によってアンカーロッド2に取り付けられている。
【0070】
剪断キー24はI型断面を有する。
【0071】
第2アンカープレート7及びアンカーロッド2は、コンクリート基礎21の表面とナット6との間に存在する空間である第1アンカープレート3の下側に配置されたナット6の下のコンクリート基礎21内に包埋される。
【0072】
上述したように、コンクリート基礎21とコラムベース23との間に配置されたポケット25は、モルタル化又はコンクリート打設される。
【0073】
第1アンカープレート3の下側に配設されたナット6と、第1アンカープレート3とがポケット25に配設されている。
【0074】
図9は、アンカー装置1の別の実施形態を示す。アンカー装置1は、4つのアンカーロッド2と、第1アンカープレート3とを備える。第1アンカープレート1は、アンカー型板として理解することができる。第1アンカープレート3は、中央凹部4と穿孔を有する。各アンカーロッド2は、1つの穿孔を通して案内される。1つのナット6が、各アンカーロッド2にネジ込まれる。ナット6は、第1アンカープレート3の台として機能し、ナット6は第1アンカープレート3の下側に配置される。さらに、ナット5が設けられている。
図9において、ナット6は、第1アンカープレート3によって隠れている。ナット5は、第1アンカープレート3を固定又は位置決めする役割を果たし、ナット5はアンカープレート上側に配置される。
【0075】
アンカー装置1は、他のアンカープレート7,8,9及び10を含む。他のアンカープレートは、ブレーシング又はブレーシングプレートとして理解することができる。アンカープレート7,8,9及び10の各々は、穿孔を有する。各アンカーロッド2は、穿孔の1つを通って案内される。2つのナット11,12が各アンカーロッド2にネジ込まれる。ナット12は、アンカープレート7,8,9及び10の台として機能し、ナット12はアンカープレート下側に配置される。ナット11は、アンカープレート7,8,9及び10を固定又は位置する役割を果たし、ナット11はアンカープレート上側に配置される。
【0076】
第1アンカープレート3は、他のアンカープレート7,8,9及び10から離間している。アンカープレート3,7,8,9及び10の穿孔は、アンカープレート3,7,8,9及び10の縁部に沿って配置される。
【0077】
図9のアンカー装置1は、アンカー装置を構成するための別の選択肢を示す。
【0078】
変形例として、少なくとも2つの他のアンカープレート7,8が、
図9に示される4つのアンカープレート7,8,9及び10の代わりに使用され得る。
【0079】
この場合、第1の他のアンカープレート7は、
図9のアンカープレート7,8に置き換えることができ、第2の他のアンカープレート8は、
図9のアンカープレート9及び10に置き換えることができ、さらに、第1の他のアンカープレート7は、
図9のアンカープレート7及び9に置き換えることができ、第2の他のアンカープレート8は、
図9のアンカープレート8及び10に置き換えることができる。
【0080】
次いで、2つの他のアンカープレート7,8は、少なくとも1つの開口部を有し、一方のアンカーロッド2は、各開口部を通って案内され、2つの他のナットは、アンカープレート7,8上側及びアンカープレート7,8下側において、2つの他のアンカープレート7,8を固定する。
【0081】
これは、アンカー装置を構成するための別のオプションを示す。
【0082】
別の変形例として、
図9に示す4つのアンカープレート7,8,9及び10の代わりに、少なくとも3つの他のアンカープレート7,8,9を使用することができる。この場合、アンカープレートの1つは、2つの開口部を有することができ、アンカーロッド2は、各開口部を通って案内される。第2及び第3のアンカープレートはそれぞれ、1つのアンカーロッド2が案内される1つの開口部を有することができる。これにより、3つのブレーシングプレートと4つのアンカーロッドとの複数の可能な組み合わせを実現することができる。
【0083】
したがって、第2アンカープレートを1つ、2つ、3つ又はそれ以上のブレーシングプレートに分割する方法の異なる選択肢が、アンカーロッドの必要性及び数に応じて生じる。個々のブレーシングプレートは、第2アンカープレートがどのように分割されるかに応じて、1つ、2つ、又はそれ以上のアンカーロッドを収容するための1つ、2つ、又はそれ以上の開口部又は孔を有することができ、これは、個々のブレーシングプレートの数と、それぞれのブレーシングプレート内のアンカーロッドを収容するための開口部の数との間に、様々な可能な組み合わせ及び配置が存在することを意味する。また、個々のブレーシングプレートの外側輪郭は、全ての既知の形状にしたがって形成することができ、個々のブレーシングプレートの各々の外側輪郭の形状は、個々に選択することができ、外側輪郭の均一な形状又は外側輪郭の任意の可能な混合を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 アンカー装置
2 アンカーロッド
3 第1アンカープレート(アンカー型板)
4 凹部
5 ナット
6 ナット
7 第2アンカープレート(ブレーシング)
8 第3アンカープレート(ブレーシング)
9 第4アンカープレート(ブレーシング)
10 第5アンカープレート(ブレーシング)
11 ナット
12 ナット
15 ポケット型枠
17 距離(スペース)
20 定着具(耐荷重構造)
21 コンクリート基礎
22 コラム
23 コラムベース(コラムベースプレート)
24 剪断キー
25 ポケット(キャビティ)
26 センタリングディスク
28 モルタル