(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】ぜん動内視鏡洗浄のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20241213BHJP
A61B 1/227 20060101ALI20241213BHJP
A61B 1/233 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
A61B1/12 510
A61B1/227
A61B1/233
(21)【出願番号】P 2022525516
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020057730
(87)【国際公開番号】W WO2021086960
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-26
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard, Office of the General Counsel, Kalamazoo, MI 49002 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルクレール, セオドア
(72)【発明者】
【氏名】パック, キャンディス
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-514693(JP,A)
【文献】特開2012-086014(JP,A)
【文献】特開2018-091324(JP,A)
【文献】国際公開第2019/042167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61M 3/00-9/00、31/00、39/00-39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡洗浄システムであって、
流体入口と、流体出口と、前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動させるように構成されたぜん動ポンプと、を含むポンプハウジングと、
前記ポンプハウジングの前記流体出口に流体的に接続された内視鏡シースであって、該内視鏡シースは内視鏡を受け入れるように構成される、前記内視鏡シースと、
前記ぜん動ポンプ
のアクティブ化
状態を制御するように構成され
るマイクロコントローラと、
を含
み、
前記ぜん動ポンプは、アクティブ化されると、第1の期間において第1の速度で前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動するように構成され、
前記ぜん動ポンプは、アクティブ化されている間に前記第1の期間が終了すると、第2の速度で前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動するように構成され、前記第2の速度は前記第1の速度より小さく、
前記ぜん動ポンプは、非アクティブ化されると、第2の期間において第3の速度で前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動するように構成され、
前記ぜん動ポンプは、非アクティブ化されている間に前記第2の期間が終了すると、第3の期間において第4の速度で前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動するように構成され、前記第4の速度は前記第3の速度より小さい
洗浄システム。
【請求項2】
前記ポンプハウジング内の前記ぜん動ポンプは、複数のぜん動ローラと、該複数のぜん動ローラを駆動するモータと
、を含む
請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記ぜん動ポンプは、前記モータに電源供給するバッテリアセンブリ
を含む
請求項
2に記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記内視鏡シースと前記ポンプハウジングの前記流体出口とがチューブによって流体的に接続されている
請求項1乃至
3の何れか1項に記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記チューブは、前記内視鏡シースの近位端に流体的に接続されている
請求項
4に記載の洗浄システム。
【請求項6】
前記内視鏡シースは、内視鏡の遠位端に流体を供給するように構成されている
請求項1乃至
5の何れか1項に記載の洗浄システム。
【請求項7】
前記流体入口は、前記ポンプハウジングの上面のスパイクを含む
請求項1乃至
6の何れか1項に記載の洗浄システム。
【請求項8】
前記スパイクは、中空のテーパスパイクである
請求項
7に記載の洗浄システム。
【請求項9】
前記中空のテーパスパイクは、流体源に挿入されるように構成される
請求項
8に記載の洗浄システム。
【請求項10】
前記流体源は、滅菌灌流バッグである
請求項
9に記載の洗浄システム。
【請求項11】
前記流体出口は、前記流体入口に対して垂直である
請求項1乃至
10の何れか1項に記載の洗浄システム。
【請求項12】
前記マイクロコントローラは、前記ぜん動ポンプが非アクティブ化されている間に前記第3の期間が終了すると、前記ぜん動ポンプをシャットオフさせるよう制御するように構成される
請求項1乃至11の何れか1項に記載の洗浄システム。
【請求項13】
内視鏡
洗浄システムを制御する方法であって、
前記内視鏡洗浄システムは、
流体入口と、流体出口と、前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動させるように構成されたぜん動ポンプと、を含むポンプハウジングと、
前記ポンプハウジングの前記流体出口に流体的に接続された内視鏡シースであって、該内視鏡シースは内視鏡を受け入れるように構成される、前記内視鏡シースと、
前記ぜん動ポンプのアクティブ化状態を制御するように構成されたマイクロコントローラと、
を含み、
前記方法は、
前記マイクロコントローラによりアクティブ化されると、前記ぜん動ポンプが、第1の期間において第1の速度で前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動することと、
アクティブ化されている間に前記第1の期間が終了すると、前記ぜん動ポンプが、第2の速度で前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動することであって、前記第2の速度は前記第1の速度より小さい、前記移動することと、
前記マイクロコントローラにより非アクティブ化されると、前記ぜん動ポンプが、第2の期間において第3の速度で前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動することと、
非アクティブ化されている間に前記第2の期間が終了すると、前記ぜん動ポンプが、第3の期間において第4の速度で前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動することであって、前記第4の速度は前記第3の速度より小さい、前記移動することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記第3の期間
が終了すると、前記ぜん動ポンプはシャットオフする
ことをさらに含む
請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記
ぜん動ポンプがアクティブ化されている間、
前記ぜん動ポンプは前記内視鏡シースから内視鏡の遠位端へ
流体を供給
する
請求項
13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記
ぜん動ポンプが非アクティブ化されている間、
前記ぜん動ポンプは内視鏡の遠位端から前記内視鏡シースへ
流体を除去
する
請求項
13乃至15の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2019年10月28日に出願された米国仮出願第62/926,823号の利益を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、内視鏡洗浄システムおよび方法に関し、より具体的には、自己完結型の内視鏡洗浄システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
耳鼻咽喉(ENT)用の一般的な内視鏡洗浄システムは、複数の部品から構成されており、これらの部品を接続してシステムを構成するためのセットアップに膨大な時間がかかる。また、これらの部品は高価であることが多く、システムを機能させるためには外部電源にアクセスする必要がある。
【0004】
例えば、一般的な内視鏡洗浄システムは、ポンプユニット用に外部電源を必要とする再利用可能な1台または2台のキャピタルコンソールを含むことができる。次に、チューブもポンプユニットに別途接続される。次に、使い捨てまたは再利用可能な内視鏡シースをチューブに接続して、システムを完成させることができる。このように、ポンプユニットで内視鏡洗浄シースまで流体を送り込むことができる。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、内視鏡洗浄を、オールインワンのポンプ、チューブ、シース、およびポンプ制御のシステムによって実現することができ、これは、オプションでシングルユースであってもよい。内視鏡洗浄システムは、シンプルに流体供給(例えば、滅菌灌流バッグ)に接続することができ、使用準備のためにシースに挿入される内視鏡を備え得る、自己電源供給式(例えば、バッテリ式)のオールインワンのポンプ、チューブ、シース、及びポンプ制御であり、ENT作業のセットアップ工程を簡略化することができる。したがって、流体供給と内視鏡をシステムに結合する以外に、内視鏡洗浄システムは、それが機能するために、追加の接続または外部電源を必要としない場合がある。
【0006】
ある態様によれば、内視鏡洗浄システムは、低侵襲手術中の内視鏡の術中洗浄のための自己完結型ポンプハウジング、チューブ、内視鏡シース、およびアクティブ化溶液を含むことができる。ポンプハウジングは、ポンプハウジングの重量を支えるだけでなく、流体のための入口を提供する無菌流体バッグに直接接続することができる中空のスパイクを含むことができる。ポンプハウジングは、フレキシブルチューブ、流体を置換する複数のぜん動ローラ、ローラを駆動するモータ、およびモータを駆動する電気バッテリアセンブリを含むことができる。さらに、この装置は、モータの速度と方向を自動的に調整するポンプ制御を含むことができる。チューブは、ポンプハウジングから内視鏡洗浄シースに向かって延びることができる。さらに、配線は、ポンプハウジングから、内視鏡洗浄シースに接続され得る手操作スイッチまで延びることができる。あるいは、配線はチューブから分離され、手操作スイッチではなく足操作スイッチで終端してもよい。スイッチをアクティブ化すると、内視鏡シースを通して内視鏡の遠位端に洗浄を目的とした流体を供給することができる。スイッチのアクティブ化が解除されると、ポンプは、内視鏡の端部から流体を除去するために、設定された期間、ポンプに向かって流体を引き戻すことができる。
【0007】
一態様によれば、内視鏡洗浄システムは、流体入口と、流体出口と、前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動させるように構成されたぜん動ポンプと、を含むポンプハウジングと、前記ポンプハウジングの前記流体出口に流体的に接続された内視鏡シースであって、該内視鏡シースは内視鏡を受け入れるように構成される、前記内視鏡シースと、前記ぜん動ポンプに通信可能に結合されたポンプ制御であって、該ポンプ制御は前記ぜん動ポンプをアクティブ化するように構成されている、前記ポンプ制御と、を含む。
【0008】
オプションで、前記ポンプハウジング内の前記ぜん動ポンプは、複数のぜん動ローラと、該複数のぜん動ローラを駆動するモータと、該モータに電力供給する電源と、を含む。
【0009】
オプションで、前記ポンプ制御は、前記モータの速度および方向を調節するように構成されている。
【0010】
オプションで、前記電源は、バッテリアセンブリである。
【0011】
オプションで、前記内視鏡シースと前記ポンプハウジングの前記流体出口とがチューブによって流体的に接続されている。
【0012】
オプションで、前記チューブは、前記内視鏡シースの近位端に流体的に接続されている。
【0013】
オプションで、前記ポンプ制御は、前記チューブの遠位端に取り付けられている。
【0014】
オプションで、前記ポンプ制御は、前記内視鏡シースの近位端によって前記チューブに取り付けられている。
【0015】
オプションで、前記内視鏡シースは、内視鏡の遠位端に流体を供給するように構成されている。
【0016】
オプションで、前記流体入口は、前記ポンプハウジングの上面のスパイクを含む。
【0017】
オプションで、前記スパイクは、中空のテーパスパイクである。
【0018】
オプションで、前記中空のテーパスパイクは、流体源に挿入されるように構成される。
【0019】
オプションで、前記流体源は、滅菌灌流バッグである。
【0020】
オプションで、前記流体出口は、前記流体入口に対して垂直である。
【0021】
オプションで、前記ポンプ制御は、前記ぜん動ポンプに無線的に通信可能に結合されている。
【0022】
オプションで、前記ポンプ制御は、手操作スイッチである。
【0023】
オプションで、前記ポンプ制御は、足操作スイッチである。
【0024】
オプションで、前記ぜん動ポンプは、前記ポンプ制御がアクティブ化されると、前記流体入口から前記流体出口へ流体を移動させるように構成されている。
【0025】
オプションで、前記ぜん動ポンプは、前記ポンプ制御が非アクティブ化されると、前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動させるように構成されている。
【0026】
一態様によれば、内視鏡を洗浄する方法は、ポンプ制御をアクティブ化することと、前記ポンプ制御がアクティブ化されると、ぜん動ポンプを介して、ポンプハウジングの流体入口から流体出口へ流体を移動させることであって、内視鏡を受け入れるように構成された内視鏡シースは前記ポンプハウジングの前記流体出口に流体的に接続される、前記移動させることと、ポンプ制御を非アクティブ化することと、前記ポンプ制御が非アクティブ化されると、前記ぜん動ポンプを介して、前記ポンプハウジングの前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動させることと、を含む。
【0027】
オプションで、前記ポンプ制御がアクティブ化されると、前記ぜん動ポンプは、第1の期間において前記流体入口から前記流体出口へ第1の速度で流体を移動させる。
【0028】
オプションで、前記ポンプ制御がアクティブ化されている間および前記第1の期間が終了すると、前記ぜん動ポンプは、前記流体入口から前記流体出口へ第2の速度で流体を移動させ、前記第2の速度は前記第1の速度よりも小さい。
【0029】
オプションで、前記ポンプ制御が非アクティブ化されると、前記ぜん動ポンプは、第2の期間において前記流体出口から前記流体入口へ第3の速度で流体を移動させる。
【0030】
オプションで、前記ポンプ制御が非アクティブ化されている間および前記第2の期間が終了すると、前記ぜん動ポンプは、前記流体出口から前記流体入口へ第4の速度で流体を移動させ、前記第4の速度は前記第3の速度よりも小さい。
【0031】
オプションで、前記ぜん動ポンプは、第3の期間において前記第4の速度で前記流体出口から前記流体入口へ流体を移動させる。
【0032】
オプションで、前記第3の期間の終了すると、前記ぜん動ポンプはシャットオフする。
【0033】
オプションで、内視鏡を前記内視鏡シースに挿入することを含む。
【0034】
オプションで、前記ポンプハウジングの前記流体入口を流体源に挿入することを含む。
【0035】
オプションで、前記流体入口は、中空のテーパスパイクである。
【0036】
オプションで、前記流体源は、滅菌灌流バッグである。
【0037】
オプションで、前記ポンプ制御は、前記ぜん動ポンプに通信可能に結合されている。
【0038】
オプションで、前記ポンプ制御は、前記ぜん動ポンプに無線的に通信可能に結合されている。
【0039】
オプションで、前記ポンプ制御がアクティブ化されている間、流体は前記内視鏡シースから内視鏡の遠位端へ供給される。
【0040】
オプションで、前記ポンプ制御が非アクティブ化されている間、流体は内視鏡の遠位端から前記内視鏡シースへ除去される。
【0041】
システムの観点から説明した変形例、態様、特徴およびオプションのいずれもが、方法にも等しく適用され、その逆もまた然りであることが理解されよう。また、上記の変形例、態様、特徴及びオプションのうちの任意の1つ又は複数を組み合わせることができることも明らかであろう。
【0042】
追加の利点は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。本明細書における態様および説明は、本質的に例示的なものであり、制限的なものではないとみなされる。
【0043】
本出願で言及された特許文書、科学論文およびデータベースを含むすべての出版物は、個々の出版物が個別に参照により組み込まれるのと同じ程度に、すべての目的のために参照により全体が組み込まれる。本明細書に定める定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願および他の刊行物に定める定義と矛盾する場合、本明細書に定める定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
例示的な実施形態は、添付の図を参照して説明され、その中で:
【0045】
【
図1】
図1は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、オールインワンのぜん動内視鏡洗浄システムの一例を示す。
【0046】
【
図2】
図2は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ポンプハウジングの分解図の一例を示す。
【0047】
【
図3】
図3は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、内部構成要素を見るための透明なハウジング要素を有するポンプハウジングの上部の一例を示す。
【0048】
【
図4A】
図4Aは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、上部ハウジング部材が取り外されたポンプハウジングの上面図を示す。
【0049】
【
図4B】
図4Bは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、上部ハウジング部材、ぜん動ハウジング、及びローラホルダが取り外されたポンプハウジングの上面図を示す。
【0050】
【
図4C】
図4Cは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、上部ハウジング部材が取り外されたポンプハウジングの遠近図を示す。
【0051】
【
図4D】
図4Dは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、上部ハウジング部材及びぜん動ハウジングが取り外されたポンプハウジングの遠近図を示す。
【0052】
【
図4E】
図4Eは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、上部ハウジング部材、ぜん動ハウジング、及びローラホルダが取り外されたポンプハウジングの遠近図を示す。
【0053】
【
図5A】
図5Aは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ポンプハウジングの断面を示す。
【0054】
【
図5B】
図5Bは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ポンプハウジングの断面を示す。
【0055】
【
図6】
図6は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ぜん動内視鏡洗浄システムのポンプ制御の拡大図を示す。
【0056】
【
図7】
図7は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ポンプハウジングに使用されるぜん動ポンプの遊星運動図を示す。
【0057】
【
図8A】
図8Aは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ルアーコネクタに取り付けられたポンプ制御を示す。
【0058】
【
図8B】
図8Bは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、接眼レンズに取り付けられたポンプ制御を示す。
【0059】
【
図9】
図9は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、ぜん動ポンプの5相洗浄サイクルの一例を示す。
【0060】
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態に従ったコンピュータを示す。
【0061】
図中、特に断りのない限り、同様の参照番号は同様の構成要素に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0062】
ここで、本明細書に記載されるシステムおよび方法の様々な態様およびバリエーションの実装および実施形態について詳細に言及する。システムおよび方法のいくつかの例示的な変形が本明細書に記載されているが、システムおよび方法の他の変形は、記載された態様のすべてまたは一部の組み合わせを有する任意の適切な方法で組み合わされた本明細書に記載されたシステムおよび方法の態様を含み得る。
【0063】
本明細書に記載されるのは、内視鏡洗浄システム及び方法である。いくつかの実施形態によれば、内視鏡洗浄システムは、内視鏡手術中の内視鏡の術中洗浄のための自己完結型ポンプハウジング、チューブ、シース、及びポンプ制御を含み得、これは、シングルユースシステムであり得る。いくつかの実施形態によれば、システムは、バッテリアセンブリを介して自己電源供給され得、内視鏡洗浄シースを通して流体の順流及び逆流を提供するために、すぐに使用できる(流体供給(例えば、滅菌灌流バッグ)に接続されることのみを必要とする)。ポンプハウジングからチューブや配線が伸び、内視鏡洗浄シースと手操作スイッチまたは足操作スイッチで終了する。スイッチを入れると、ポンプは内視鏡洗浄シースを通して内視鏡のレンズに流体を供給し、ゴミを洗浄することができる。スイッチが解除されると、ポンプは自動的に少量の流体を引き出して、内視鏡のレンズに残った流体を除去することができる。
【0064】
図1~
図6は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態によるオールインワンのぜん動内視鏡洗浄システム1の様々な態様の例を示す図である。いくつかの実施形態では、ぜん動システムは、耳鼻咽喉(ENT)処置のためのサイナススコープ洗浄に使用されて、処置中にサイナススコープを介した視覚化を明瞭に保つことができる。ぜん動システム1は、ポンプハウジング2を含むことができる。ポンプハウジングは、システム全体にわたって流体を移動させるぜん動ポンプを収容することができる。
【0065】
ポンプハウジングは、単一の部品であってもよいし、複数の部品から構成されていてもよい。例えば、ポンプハウジングは、上部ハウジング部材3と、中間ハウジング部材13と、下部ハウジング部材4とを含むことができる。上部ハウジング部材は、中間ハウジング部材に結合されることができ、中間ハウジング部材は、下部ハウジング部材に結合されることができる。このように、これらの様々なハウジング部材は、ポンプハウジングのシェルを形成するために一緒に結合又は接続することができる。いくつかの実施形態では、上部ハウジング部材の一部は、中間ハウジング部材の一部と重なり合うことができ、及び/又は中間ハウジング部材の一部は、下部ハウジング部材の一部と重なり合うことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポンプハウジングは、下部ハウジング部材に結合され得る下表面17を含み得る。いくつかの実施形態では、下部ハウジング部材および下表面は、単一部品として一体である。上部ハウジング部材は、ポンプハウジングの最上部の構成要素とすることができる。上部ハウジング部材は、その最上部または上表面上に入口5を含むことができる。入口は、ポンプハウジングへの流体入口として機能することができる。いくつかの実施形態では、注入口は、流体源に流体的に接続され得る。いくつかの実施形態では、注入口はスパイクである。例えば、流体源は、無菌灌流バッグとすることができ、ポンプハウジングの注入口は、無菌灌流バッグに直接スパイクで接続することができる。流体源は、灌流バッグに限定されず、滅菌生理食塩水バッグや滅菌水バッグなど、様々な流体源とすることができる。いくつかの実施形態では、入口は、中空のテーパスパイクとすることができる。スパイクは、ポンプハウジングのための流体入口を提供するだけでなく、ポンプハウジングを支持することができる。例えば、スパイクが滅菌灌流バッグコネクタに直接挿入される場合、スパイクは、コネクタ内のスパイクからの保持力によりバッグの下に垂れ下がるポンプハウジングを支持することができる。コネクタは、通常、エラストマーシールを有し、スパイクはこれを貫通することができる。一旦突き刺さると、スパイクはさらに挿入されることができる。いくつかの実施形態では、スパイクの外部テーパのために、スパイクを挿入するのに必要な力は、挿入の過程でより高くなり得る。一旦挿入されると、ポンプは、摩擦力によりコネクタに保持されることができる。テーパスパイクの場合、スパイクを挿入するほど外径が大きくなるため法線力が大きくなり、その結果、摩擦力も大きくなる可能性がある。この摩擦力がポンプにかかる重力より大きければ、ポンプはバッグにぶら下がることができ、抜け落ちることはない。また、エラストマーシールを介して挿入する代わりに、コネクタを短いフレキシブルなチューブにすることも可能である。ユーザはある種のシールを取り除いてから、入口/スパイクをチューブの端に挿入することができる。このタイプのコネクタにも、同じコンセプトが適用できる。
【0067】
また、ポンプハウジングは、ぜん動ポンプを含む。
図2に示すように、ぜん動ポンプは、ぜん動ハウジング9、ローラホルダ10、ローラ11、ぜん動ベース12、動力源ハウジング13、モータ14、動力源15、及びマイクロコントローラ16などの様々な構成要素を含むことができる。ローラホルダは、ローラを互いに、かつ中心軸から設定された距離で保持することができる。ローラホルダは、個々のローラの2つの自由度以外のすべての自由度を防止することができる。例えば、ローラは、その軸の周りを個々に自由に回転することができ、Z方向の並進運動は可能であるが、最終的にはぜん動ベース及びぜん動ハウジングを有する最終組立品において制御される。ぜん動ベースは主に3つの目的を持つことができる:(1)ローラのZ軸方向の並進運動を防ぐためにぜん動ハウジングとロックすることができる;(2)完全なぜん動アセンブリが残りのアセンブリと補正方向でロックされるように、中間モータ/バッテリハウジングに接続できる;(3)ローラホルダとローラがずれないようにガードとして機能することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、モータは、DC12Vモータなどの高回転DCモータとすることができる。モータは、ローラを駆動するモータシャフトを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のローラは、円筒形のぜん動ローラであり得る。いくつかの実施形態では、複数のローラは、3つのローラを含むことができる。モータは、ローラを駆動することができ、電源は、モータに電力供給/駆動することができる。いくつかの実施形態において、電源ハウジングは、中間ハウジング部材とすることができる。いくつかの実施形態では、電源は、バッテリアセンブリとすることができる。いくつかの実施形態では、バッテリアセンブリは、単3形(AA)電池を含むことができる。いくつかの実施形態では、電源ハウジングは、バッテリアセンブリのための円錐形バッテリコネクタ13Aを含むことができる。
【0069】
ぜん動ポンプは、フレキシブルチューブ6も含むことができる。ぜん動ポンプは、ローラの使用により、フレキシブルチューブ内の流体の正方向の移動で機能することができる。これは、モータに低コストで高回転のDCモータを利用することにより、使い捨てシステムに十分なコスト効果を持たせることができる。一般的なぜん動ポンプは、ローラを取り付けたプレートを直接回転させるため、高トルクのモータが必要である。しかし、ローラを遊星歯車として利用することで、高回転、低トルクのモータで同じ機能を実現することができる。
【0070】
例えば、
図7は、いくつかの実施形態に従って本明細書に開示されるポンプハウジングに使用されるぜん動ポンプの遊星運動図を示す。
図7は、ローラがモータシャフト及びフレキシブルチューブに対して圧迫され、それによってフレキシブルチューブを挟み込むことができることを示している。モータが回転すると、モータ軸に押し付けられたローラは、モータ軸の反対方向に回転するだけでなく、個々に回転することができる。ローラとフレキシブルチューブを収容するぜん動ハウジングにローラを押し付ける摩擦と力により、ローラが個別に回転すると、モータの軸を中心に位置が回転してしまうことがある。モータ軸、ローラ、およびぜん動ハウジングの間のサイズの比率により、ローラはモータの速度から減速して動くことができるが、モータはこの負荷から失速することはない。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、モータの方向を制御することによって、流体の双方向の移動を可能にすることができる。さらに、ぜん動ポンプは、システムの圧力に関係なく、一定の流量を有することができる。
【0071】
ぜん動ポンプのフレキシブルチューブは、上部ハウジング部材の流体入口に流体的に接続することができる。ぜん動ポンプのフレキシブルチューブは、流体出口6Aに流体的に接続されることもできる。流体出口は、上部ハウジング部材上に配置されることもできる。いくつかの実施形態において、流体出口は、
図1に示されるように、流体入口に対して垂直である。いくつかの実施形態では、流体出口は、上部ハウジング部材の側面上にある。いくつかの実施形態において、ぜん動ポンプのフレキシブルチューブは、流体出口にコネクタを含むことができる。コネクタは、ぜん動ポンプのフレキシブルチューブがポンプハウジングの外側のチューブに流体的に接続され得るようなチューブ-チューブのコネクタであり得る。
【0072】
上部ハウジング部材は、ぜん動ハウジング、ローラホルダ、ローラ、フレキシブルチューブ、およびぜん動ベースのアセンブリを覆うか、または収容することが可能である。中間ハウジング部材/電源ハウジングは、ぜん動ポンプ用の電源に接続することができる。さらに、下部ハウジング部材は、電源、モータ、およびマイクロコントローラを覆うことができる。
【0073】
ポンプハウジングの流体出口は、
図1に示すように、チューブ6に流体的に接続することができる。ポンプハウジングの外部にあるチューブの内径は、約0.1~5mm、約0.2~4mm、約0.5~2mm、約0.75~2mm、約1~1.5mm、または約1.3mmとすることができる。ポンプハウジングの外部にあるチューブの外径は、約0.5~10mm、約1~5mm、約2~4mm、約2.5~3.5mm、または約3mmとすることができる。ポンプハウジングの外部にあるチューブの壁厚は、約0.1~2mm、約0.3~1.5mm、約0.5~1mm、約0.75~0.95mm、または約0.85mmとすることができる。
【0074】
チューブの剛性は、チューブ内に背圧が溜まるのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、使用されるPVCチューブの硬度は85ショアAであり、他の寸法が一定であれば、この硬度以上の材料が有効である。チューブにおける重要な課題は、高内圧下でのチューブの伸びを防止および/または実質的に低減することである。伸びれば伸びるほど、ポンプを止めたときに放出される液量が多くなる。これは、材料特性だけでなく、チューブの肉厚と直径(および内圧)にも依存する。この材料と内径・肉厚の組み合わせにより、他の類似製品用チューブに見られる体積伸縮を防止および/または大幅に低減することができる。
【0075】
ポンプハウジングの流体出口はまた、内視鏡シース7に流体的に接続され得る。内視鏡シースとポンプハウジングの流体出口は、チューブ6によって流体的に接続され得る。チューブの遠位端は、内視鏡シースの近位端に流体接続することができ、一方、チューブの近位端は、
図1に示されるように、ポンプハウジングの流体出口に接続することができる。内視鏡シースは、内視鏡処置の間に使用するための内視鏡を受け入れるように構成され得る。加えて、内視鏡シースは、内視鏡の遠位端を洗浄するために、内視鏡の遠位端に流体を供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、内視鏡シースは、内視鏡の遠位先端部に流体を吐出するように構成されている。いくつかの実施形態では、内視鏡シースはまた、内視鏡の遠位先端から流体を除去するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体は、シースのチューブ接続部から、スコープの外径とシースの内径との間に形成される隙間を通って流れることができる。シースの遠位端は、スコープのレンズ上に流体を偏向させ、また、洗浄サイクル後にスコープのレンズ上に残る流体を除去するのを助けるように設計することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、足操作スイッチとすることができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、手操作スイッチとすることができる。
図8A及び
図8Bに示すように、ポンプ制御は、内視鏡シースのシャフト又はポンプハウジングと内視鏡シースを接続するチューブなどの装置上の特定の領域に取り付けられる(例えば、スナップ、ねじ止め、面ファスナー、接着剤塗布)ように設計されている機械的クリップに統合することができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、内視鏡シースの近位端に近接したチューブの遠位端に取り付けられる。
図1及び
図6に示されるように、ポンプ制御部8は、チューブ6に取り付けられ得る。
図8Aは、ルアーコネクタ6Bに接続されたポンプ制御部8を示す。ルアーコネクタは、チューブ6と内視鏡シース7とを流体的に接続することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、内視鏡シースに取り付けられ得る。例えば、ポンプ制御は、内視鏡シースのシャフト又は内視鏡シースのハブに取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、内視鏡シースの近位端に取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、
図8Bに示されるように、ポンプ制御は、内視鏡上の接眼レンズ18のネックに取り付けられ得る。接眼レンズは、内視鏡の最も近位にある構成要素であり得る。接眼レンズのネックは、接眼レンズが広がる前の、より薄い、円筒形のセクションであり得る。いくつかの実施形態では、接眼レンズは、カメラのカプラに接続するものである。外科医は、この場所でスイッチに容易にアクセスできるような方法で装置を保持する傾向があるので、この場所に手操作制御を置くことは可能であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、ぜん動洗浄システムにおけるポンプ制御の位置を決定することができる。
【0078】
ポンプ制御は、ぜん動ポンプを制御することができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、ぜん動ポンプをアクティブ化(作動)させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、ぜん動ポンプの方向を制御/調節するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御は、ぜん動ポンプの速度を制御/調節するように構成することができる。このように、ポンプ制御は、ぜん動ポンプのモータの速度及び方向を制御/調節し、それによって、ぜん動内視鏡洗浄システムを通る流体の速度及び方向を制御/調節するように構成され得る。
【0079】
ぜん動ポンプは、ポンプ制御8に通信可能に結合されることができる。このように、ぜん動ポンプのマイクロコントローラは、ポンプ制御8に通信可能に結合され得る。マイクロコントローラは、ぜん動ポンプを制御するために使用することができるプロセッサ、メモリ、および入出力周辺回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプおよびポンプ制御は、互いに無線的に通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプおよびポンプ制御は、配線(複数可)により互いに通信可能に結合される。ぜん動ポンプとポンプ制御とが配線によって互いに通信可能に結合されている場合、配線は、ポンプハウジングと内視鏡シースとの間のチューブの全長にわたってチューブ6に接続されることが可能である。いくつかの実施形態では、配線とチューブは、チューブが内視鏡シースに接続し(例えば、チューブが内視鏡シースに接続されるルアーコネクタに接続し)、配線が、内視鏡シース自体などの別の近くの構成要素に取り付けられるポンプ制御部に接続できるように、チューブの遠位端近くで分岐し得る。いくつかの実施形態では、配線とチューブは別々であることができる。例えば、ポンプ制御が足操作制御スイッチである場合、足操作制御スイッチは、ポンプハウジングと内視鏡シースとを接続するチューブの近くにはないであろう。
【0080】
内視鏡に流体が付着しないようにするために、内視鏡の遠位端に流体を吐出させ、洗浄サイクルの終了時に流体を除去することができる。この流体の双方向の移動は、モータを通る電流を逆向きにすることが可能なぜん動ポンプで可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及びポンプの洗浄サイクルは、5つの段階を有することができる。第1に、ユーザがポンプ制御をアクティブ化させると(例えば、ユーザがポンプ制御のスイッチ/ボタンを作動させると)、ポンプのマイクロコントローラは、モータをアクティブ化させて、内視鏡のレンズ上に移動させることができるシースの遠位端に流体を駆動させる。いくつかの実施形態では、ユーザがポンプ制御をアクティブ化させるとき、ぜん動ポンプは、流体がチューブ及びシースの端部にできるだけ早く到達するために、モータが一時的に最大速度で駆動されるように構成され得る。
【0081】
第2に、ぜん動ポンプは、ユーザが依然としてポンプ制御をアクティブ化させている(例えば、ポンプ制御のスイッチ/ボタンを押し続けている)限り、モータが前進方向に作動し続けるが、最適化された洗浄のために速度を低下させるように構成することが可能である。このように、ぜん動ポンプのマイクロコントローラは、最初にモータを高いRPMで短時間運転して流体を内視鏡シースまで迅速に駆動し、次にRPMを下げてポンプ制御がまだアクティブ化している間に内視鏡洗浄に最適な流れを提供するようにプログラムされることが可能である。
【0082】
第3に、ユーザがポンプ制御のアクティブ化を停止する(例えば、ユーザがポンプ制御のスイッチ/ボタンを離す)と、ぜん動ポンプは、内視鏡から残留流体をできるだけ早く除去するために、モータが全速力で逆向きに運転するように構成することが可能である。このように、ぜん動ポンプのマイクロコントローラは、ポンプ制御のアクティブ化が解除されたときに、ポンプを逆方向に運転するためにモータを通る電流を反転させるようにプログラムされ得る。これが起こると、ぜん動ローラは逆方向に回転し、内視鏡シース/内視鏡の遠位端から流体を引き抜くことができる。これは、洗浄後の内視鏡レンズの遠位端に残留する流体を除去する役割を果たす。
【0083】
第4に、この最初のランプ逆転期間の後、ぜん動ポンプは、モータが低速(すなわち、低RPM)で逆転運転する第2の一時的期間を有するように構成することができ、チューブ内の背圧の量を減少させることができる。これにより、ぜん動ポンプが作動していないときに、レンズ上に流体が滴下するのを防止することができる。最後に、ぜん動ポンプは、この第2の一時的な逆走期間の後にオフになるように構成することができる。
【0084】
この5段階のサイクルにより、洗浄性を損なわず、内視鏡レンズに流体が最初に到達する時間を短縮することができる。また、流体を素早く除去することができ、チューブ内の背圧の低減にも役立つ。
図9は、上述した5段階の洗浄サイクル及びぜん動ポンプモータの方向/速度を示す図である。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、ポンプ制御がアクティブ化されたときに、第1の期間において第1の速度でポンプハウジングの入口から出口に流体を移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ制御がまだアクティブ化されている間、ぜん動ポンプは、第1の期間が終了すると、第1の速度よりも小さい第2の速度でポンプハウジングの入口から出口に流体を移動させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、ポンプ制御がもはやアクティブ化されていないとき、流体を出口からポンプハウジングの入口へ自動的に移動させるように構成され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、ポンプ制御の非アクティブ化時に、ぜん動ポンプは、第2の期間において第3の速度で流体出口から流体入口に流体を置換するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ制御がまだ非アクティブ化されている間、および第2の期間が終了したとき、ぜん動ポンプは、第3の速度よりも小さい第4の速度で流体出口から流体入口に流体を移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、第3の期間において第4の速度で流体出口から流体入口に流体を移動させるように構成され得る。第3の期間が終了したとき、ぜん動ポンプは、オフになるように構成され得る。
【0086】
したがって、ユーザがポンプ制御をアクティブ化させると(例えば、ポンプ制御上のスイッチ/ボタンを押すことによって)、モータを比較的高速で前進(システムから流体を出す)させて流体を内視鏡シースの端部に到達させ、次に、モータ速度を洗浄サイクルのために減少させ、最後に、ユーザがポンプ制御を解除する(例えば、ポンプ制御上のスイッチ/ボタンを離すことによって)ときにモータを後退(システム内へ流体を入れる)させれば良い。このように、ぜん動ポンプは、ユーザがポンプ制御を作動/停止させたときに、流体の正逆方向を自動化するように構成することができる。
【0087】
したがって、ポンプ制御がアクティブ化されると、ぜん動ポンプは、流体をポンプハウジングの流体入口から流体出口に移動させることができる(すなわち、ポンプは、順方向に作動することができる)。ポンプハウジングを出た流体は、ポンプハウジングと内視鏡シースとを接続するチューブを介して移動することができる。内視鏡シースに到達すると、流体は、内視鏡シースの遠位端に向かって移動し、洗浄のために内視鏡(すなわち、内視鏡レンズ)上に堆積させることが可能である。ポンプ制御が非アクティブ化されると、ぜん動ポンプは、逆方向に動作することができる(すなわち、ぜん動ポンプは、流体出口から流体入口へ流体を移動させることができる)。したがって、内視鏡上に位置する流体は、内視鏡シースからポンプハウジングに向かって移動する内視鏡シースに吸い戻されることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、ぜん動内視鏡洗浄システムとは別の装置(例えば、コンピュータ)に接続することができる。例えば、ぜん動ポンプは、内視鏡自体のためのカメラ制御ユニットなどの別のデバイスに通信可能に結合され得る。この別個の装置は、先に論じたようなポンプ制御ではなく、ぜん動ポンプをアクティブ化/非アクティブ化させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、この別の装置に無線的に通信可能に結合されることができる。
【0089】
図10は、いくつかの実施形態に従った、コンピュータを示す図である。コンピュータ1000は、本明細書に記載されるようなぜん動内視鏡洗浄のためのシステムに接続することができる装置の構成要素であり得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ1000は、上述したように、内視鏡洗浄システムのぜん動ポンプを制御するための方法を実行するように構成され得る。
【0090】
コンピュータ1000は、ネットワークに接続されたホストコンピュータとすることができる。コンピュータ1000は、クライアントコンピュータまたはサーバとすることができる。
図10に示すように、コンピュータ300は、パーソナルコンピュータ;ワークステーション;サーバ;または電話やタブレットなどのハンドヘルドコンピュータデバイスなどの、任意の適切なタイプのマイクロプロセッサベースのデバイスとすることができる。コンピュータは、例えば、プロセッサ1010、入力デバイス1020、出力デバイス1030、ストレージ1040、及び通信デバイス1060のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0091】
入力デバイス1020は、タッチスクリーンまたはモニタ、キーボード、マウス、または音声認識デバイスなど、入力を提供する任意の適切なデバイスとすることができる。出力デバイス1030は、タッチスクリーン、モニタ、プリンタ、ディスクドライブ、またはスピーカなど、出力を提供する任意の適切なデバイスであり得る。
【0092】
ストレージ1040は、RAM、キャッシュ、ハードディスク、CD-ROMドライブ、テープドライブ、またはリムーバブルストレージディスクを含む電気、磁気、または光学メモリなど、ストレージを提供する任意の適切なデバイスとすることができる。通信デバイス1060は、ネットワークインターフェースチップまたはカードなど、ネットワークを介して信号を送受信することができる任意の適切なデバイスを含むことができる。コンピュータの構成要素は、物理的なバスを介して、または無線でなど、任意の適切な方法で接続することができる。ストレージ1040は、プロセッサ1010などの1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、ぜん動ポンプの制御に関して上述した方法の全てまたは一部など、本明細書に記載の方法を実行させる1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体とすることができる。
【0093】
ストレージ1040に格納され、プロセッサ1010によって実行され得るソフトウェア1050は、例えば、本開示の機能を具現化するプログラミング(例えば、上述のシステム、コンピュータ、サーバ、及び/又はデバイスにおいて具現化されるような)を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、ソフトウェア1050は、アプリケーションサーバおよびデータベースサーバなどのサーバの組み合わせで実装および実行され得る。
【0094】
ソフトウェア1050はまた、命令実行システム、装置、またはデバイスからソフトウェアに関連する命令をフェッチして実行できる、上述したような命令実行システム、装置、またはデバイスによってまたはそれらに関連して使用するための任意のコンピュータ可読記憶媒体内に格納および/または搬送することが可能である。本開示の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによってまたはそれらに関連して使用するためのプログラミングを含むまたは格納することができる、ストレージ1040などの任意の媒体であり得る。
【0095】
ソフトウェア1050はまた、命令実行システム、装置、またはデバイスからソフトウェアに関連する命令をフェッチして実行できる、上述したような命令実行システム、装置、またはデバイスによってまたはそれらに関連して使用するための任意の搬送媒体内で伝搬することができる。本開示の文脈では、搬送媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによってまたはそれらに関連して使用するためのプログラミングを通信、伝播、または輸送することができる任意の媒体であり得る。搬送可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁、または赤外線の有線または無線伝搬媒体を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
コンピュータ1000は、ネットワークに接続されてもよく、このネットワークは、任意の適切なタイプの相互接続された通信システムであることが可能である。ネットワークは、任意の好適な通信プロトコルを実装することができ、任意の好適なセキュリティプロトコルによってセキュリティ保護することができる。ネットワークは、無線ネットワーク接続、T1またはT3回線、ケーブルネットワーク、DSL、または電話回線など、ネットワーク信号の送信および受信を実装できる任意の好適な配置のネットワークリンクで構成することができる。
【0097】
コンピュータ1000は、ネットワーク上で動作するのに適した任意のオペレーティングシステムを実装することができる。ソフトウェア1050は、C、C++、Java、またはPythonなどの任意の適切なプログラミング言語で記述することができる。様々な実施形態において、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、例えば、クライアント/サーバ配置で、又はウェブベースのアプリケーション若しくはウェブサービスとしてウェブブラウザを介してなど、異なる構成で配備することができる。コンピュータ1000の上記の説明は、ぜん動ポンプのマイクロコントローラにも適用することができる。
【0098】
明確化及び簡潔な説明のために、特徴は、本明細書において、同一又は別々の実施形態の一部として記載されているが、本開示の範囲は、記載された特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態を含むことが理解されるであろう。
【0099】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記、および他の技術的および科学的用語または専門用語は、請求される主題が属する技術分野における通常の技術者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、一般に理解されている意味を有する用語は、明確化のため、および/またはすぐに参照できるように本明細書に定義され、そのような定義を本明細書に含めることは、必ずしも、当技術分野で一般に理解されていることとの実質的な違いを表すと解釈されるべきではない。
【0100】
本明細書において、ある値またはパラメータについて「約(about)」と言及することは、その値またはパラメータそれ自体に向けられた変形を含む(記述する)ものである。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。さらに、値またはパラメータの文字列が続くフレーズ「より小さい(less than)」、「より大きい(greater than)」、「最大で(at most)」、「少なくとも(at least)」、「以下(less than or equal to)」、「以上(greater than or equal to)」、または他の同様のフレーズへの言及は、値またはパラメータの文字列内の各値またはパラメータにそのフレーズを適用することを意味する。
【0101】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他に示さない限り、複数形も含むことが意図される。また、本明細書で使用される用語「及び/又は(and/or)」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての可能な組み合わせを指し、包含することが理解されるであろう。さらに、本明細書で使用される場合、用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、及び/又は「含む(comprising)」は、述べられた特徴、数値、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はユニットの存在を規定するが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、ユニット、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが理解されよう。
【0102】
本開示の特定の態様は、アルゴリズムの形態で本明細書に記載されるプロセスステップおよび命令を含む。本開示のプロセスステップおよび命令は、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで具現化され得、ソフトウェアで具現化される場合、様々なオペレーティングシステムによって使用される異なるプラットフォーム上に常駐し、そこから操作されるようにダウンロードされ得ることに留意されたい。以下の議論から明らかなように特に別段の記載がない限り、本明細書を通じて、「処理(processing)」、「計算(computing)」、「計算(calculating)」、「決定(determining)」、「表示(displaying)」、「生成(generating)」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他のかかる情報記憶、伝送または表示デバイス内で物理的(電子)量として表されるデータを操作および変換するコンピュータシステム、または同様の電子計算デバイスの動作および処理を指すことが理解されるであろう。
【0103】
いくつかの実施形態における本開示はまた、本明細書における操作を実行するための装置に関するものである。この装置は、必要な目的のために特別に構成されてもよいし、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータで構成されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、フロッピーディスク、USBフラッシュドライブ、外部ハードドライブ、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、または電子命令を格納するために適した任意のタイプの媒体に格納されてもよく、それぞれがコンピュータシステムバスに接続されてもよいが、これらに限定されることはない。さらに、本明細書で言及されるコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含んでもよく、異なる機能を実行するため、またはコンピューティング能力を高めるためなど、複数のプロセッサ設計を採用したアーキテクチャであってもよい。適切なプロセッサは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびASICを含む。
【0104】
本明細書に記載された方法、装置、およびシステムは、特定のコンピュータまたは他の装置と本質的に関連しない。様々な汎用システムも、本明細書の教示に従ったプログラムと共に使用することができ、あるいは、必要な方法ステップを実行するためにより特殊な装置を構築することが便利であることが判明する場合もある。これらのシステムの様々なための構造は、上記の説明から現れることができる。さらに、本開示は、任意の特定のプログラミング言語を参照して説明されるものではない。本明細書に記載された本発明の教示を実施するために、様々なプログラミング言語が使用され得ることが理解されよう。
【0105】
本願は、本文および図において、いくつかの数値範囲を開示している。開示された数値範囲は、本開示が開示された数値範囲全体で実施できるため、明細書に正確な範囲限定が逐語的に記載されていなくても、終点を含む開示された数値範囲内の任意の範囲または値を本質的にサポートするものである。
【0106】
上記の説明は、当業者が本開示を作成及び使用することを可能にするために提示され、特定の用途及びその要件の文脈で提供されるものである。好ましい実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであろうし、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施形態及び用途に適用することができる。したがって、本開示は、示された実施形態に限定されることを意図しておらず、本明細書に開示された原理及び特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。