(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸並びにその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C07C 229/30 20060101AFI20241213BHJP
C07C 229/12 20060101ALI20241213BHJP
C07C 227/04 20060101ALI20241213BHJP
C07C 227/16 20060101ALI20241213BHJP
C22B 3/32 20060101ALI20241213BHJP
C22B 59/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
C07C229/30 CSP
C07C229/12
C07C227/04
C07C227/16
C22B3/32
C22B59/00
(21)【出願番号】P 2022532696
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2021103175
(87)【国際公開番号】W WO2023272497
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】福建省金龍稀土股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤンリャン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ウゥ ユユアン
(72)【発明者】
【氏名】リン ジンチ
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-012370(JP,A)
【文献】米国特許第10189803(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第109942446(CN,A)
【文献】特開平09-118662(JP,A)
【文献】J. Org. Chem.,2020年,85,1718-1724
【文献】Tetrahedron Letters,2019年,60,1646-1648
【文献】J. Org. Chem.,1963年,28,2007-2009
【文献】Synthetic Communications,1987年,17(16),1965-1970
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示す構造を有し、
【化1】
ここで、R
1及びR
2は独立して、C7以上の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせにより置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基であり、
R
3は、炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせにより置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基であり、
XはHまたはOHであり、
nは1~10の自然数である
ことを特徴とする、N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項2】
前記R
1及びR
2は、独立して、C7-C30の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせにより置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基である
ことを特徴とする、請求項1に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項3】
前記R
3は、C6以上の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせにより置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基から選ばれる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項4】
前記R
1及びR
2が独立して、C7-C18の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせにより置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基である
ことを特徴とする、請求項2または3に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項5】
前記R
1及びR
2が独立して、C7以上の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基である
ことを特徴とする、請求項1
又は3のいずれかに記載のN,N-ヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項6】
前記R
1及びR
2が独立して、C7-C30の炭素原子が分岐鎖の、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基である
ことを特徴とする、請求項5に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項7】
前記R
1及びR
2が独立して、C7-C12の炭素原子が分岐鎖の、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基である
ことを特徴とする、請求項6に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項8】
前記R
1及びR
2が独立して、C7-C30の
炭素原子が直鎖または分岐鎖の、未置換のアルキル基である
ことを特徴とする、請求項1-
5のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項9】
前記R
1及びR
2が独立して、C7-C18の
炭素原子が直鎖または分岐鎖の、未置換のアルキル基である
ことを特徴とする、請求項8に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項10】
前記R
1及びR
2が独立して、C7-C10の
炭素原子が直鎖または分岐鎖の、未置換のアルキル基である
ことを特徴とする、請求項9に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項11】
前記XがHであり、前記nは1~6の自然数である
ことを特徴とする、請求項1-10のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項12】
前記R
1及びR
2は独立して、下記であり、
【化2】
ことを特徴とする、請求項1-
6、8-9、11のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項13】
前記R
1及びR
2は独立して、下記の基のいずれかであり、
【化3】
ことを特徴とする、請求項1-
9、11-12のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項14】
前記R
3は、C6-C30の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせにより置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基である
ことを特徴とする、請求項2-13のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項15】
前記R
3は、C6以上の炭素原子が直鎖または分岐鎖の、不飽和の未置換のヒドロカルビルである
ことを特徴とする、請求項1-1
3のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項16】
前記R
3は、C10以上の
炭素原子が直鎖のアルケニル基である
ことを特徴とする、請求項15に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項17】
前記R
3は、C10-C1
8の炭素原子が直鎖のアルケニル基である
ことを特徴とする、請求項16に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項18】
前記R
3は下記の基のいずれかであり、
【化4】
ことを特徴とする、請求項1-
15のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸。
【請求項19】
請求項1-
10、12-18のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法であって、
式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物を混合して反応させて、式IVに示すN,N-ジヒドロカルビルアミドカルボン酸を得て、還元剤で還元して、式Iに示すN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸を得て、
反応式は下記であり、
【化5】
ここで、R
1、R
2、R
3が請求項1-
10、12-18のいずれかに定義された基であり、nが1~10の自然数であり、XがHまたはOHである
ことを特徴とするN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法。
【請求項20】
前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物のモル比が、1:(0.8-1.2)である
ことを特徴とする、請求項19に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法。
【請求項21】
前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物を混合して反応させる温度が0-125℃であり、混合して反応させる時間が0.5-4hである
ことを特徴とする、請求項19または20に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法。
【請求項22】
前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物との混合反応は、無溶媒の条件で行われる
ことを特徴とする、請求項19-21のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法。
【請求項23】
前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物の混合反応は、溶媒中で行われる
ことを特徴とする、請求項19-21のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法。
【請求項24】
前記溶媒はすべて不活性溶媒であり、当該不活性溶媒は、ヘキサン、ジクロロメタン、石油エーテル、トルエン、キシレンまたは灯油から選ばれるいずれか、または少なくとも二つ以上の組み合わせである
ことを特徴とする、請求項23に記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法。
【請求項25】
請求項1-18のいずれかに記載のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の、希土類元素を分離する抽出剤の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は有機化合物の合成分野に関し、N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸並びにその調製方法及び使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
希土類元素とは、周期表において原子番号が57~71である15のランタニド元素、および同じような化学特性を持つ21番目の元素のスカンジウム、と39番目の元素のイットリウム、合計17の金属元素を指す。希土類元素は特別な磁気、光学及び電気の性能を持ち、「産業ビタミン」と言われ、冶金、石油化学、ガラスセラミック、エネルギー材料、軍事産業などの分野に広く用いられ、人類の社会の発展の重要な基礎的な原料である。
現在、自然界の希土類鉱石の採掘は、まず浸出剤で希土類のイオンを浸出させて希土類の浸出液を得て、それから溶媒抽出で希土類のイオンを逐次抽出して分離する。抽出剤の開発は溶媒抽出過程で最も中核的な技術であり、産業上応用されている希土類金属の抽出剤は、例えば抽出選択性、抽出速度、抽出能力、化合物の安定性、溶解性、ストリッピング性能、安全性、合成方法および原料など、複数の要因を考える必要があり、優れた抽出剤はめったに少ないが、良い抽出剤は製造プロセスを簡素化し、分離効率を改善し、製造コストを削減し、汚染物質の排出を削減することができる。
当分野では、既知の市販の抽出剤製品は、主に有機ホスフィン抽出剤、カルボン酸抽出剤及びアミン抽出剤を含み、典型的な有機ホスフィン抽出剤は、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ(2-エチルヘキシル)(P507)、ビス(2-エチルヘキシル)ホスホン酸(P204)、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(C272)、ホスホン酸トリブチル(TBP)などを含み、アミン抽出剤はトリ-n-オクチルアミン(N235)、二級炭素第一級アミン(N1923)、メチルトリオクチル塩化アンモニウム(N263)などを含み、カルボン酸抽出剤は、ナフテン酸、ネオデカン酸、sec-オクチルフェノキシ酢酸(CA-12)を含む。
市販の抽出剤はいくつかの欠点がある。例えばP507は希土類分離業界で最も汎用されている抽出剤であるものの、隣接の希土類元素に対する分離係数が低く、例えばプラセオジムとネオジムに対する分離係数が僅か1.4であり、プラセオジムとネオジムを分離するのが困難である。ナフテン酸は主に酸化イットリウムの分離精製に用いられるが、石油化学産業の副生成物であるナフテン酸は組成が複雑で、希土類元素を抽出するには、高いpH条件が必要であり、長期使用の場合はその組成が変化しやすく、有機相の濃度の低下をもたらし、分離プロセスの安定性が影響される。CA-12抽出剤はナフテン酸の代替品として試され、この抽出剤は、希土類元素の抽出分離プロセスでイットリウムとすべてのランタニドを効果的に分離することができ、ナフテン酸を用いたイットリウムの抽出分離における有機相の濃度の低下という問題も克服することができるが、この抽出系において、重い希土類とイットリウムの分離係数が低く、重い希土類元素とイットリウムを分離しにくく、分離効果を達するには、多段の抽出槽を設ける必要がある。
希土類元素をより効果的に分離するために、従来技術よりも高い分離係数を持ち、しかも従来技術の欠点を克服できる新型抽出剤、及びこの抽出剤を用いた抽出分離方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本願は、N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸並びにその調製方法及び使用を提供することを目的とする。前記N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸は、抽出剤として、混合希土類原料液から所定の希土類元素、特に希土類元素の混合物からイットリウムを分離精製することに用いられる。 この目的を実現するために、本願は下記の発明を採用する。
第一側面として、本願はN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸を提供し、前記N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸は下記の式Iに示す構造を有し、
【化1】
ここで、R
1及びR
2は独立して、C6以上(例えばC7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C22、C24、C26、C28、C30、C35、C40などであってもよい)の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基であり、
R
3は直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基であり、
XはHまたはOHであり、
nは1~10(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等である)の自然数である。
本願は、希土類金属を分離するアミノカルボン酸型抽出剤として、式Iに示す構造を有するアミノカルボン酸化合物及びその抽出分離方法を提供し、このような化合物を希土類金属の抽出剤とすることが開示されていない。このような化合物は、金属の抽出剤として、希土類元素に対して高い分離係数を有し、特に重い希土類及びイットリウムの分離に対して効率が高く、また、イットリウムを分離する際のナフテン酸の欠点を克服することができる。
好ましくは、本願の前記ヒドロカルビル基は、置換されたアルキル基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基から選ばれるいずれかであり、前記アルキル基、アルキニル基、アルケニル基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、エステル、エーテル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、メルカプト、スルホニル、チオール、イミノ、スルホアシルまたはスルファニルからなる群から選ばれるいずれかまたは少なくとも二つ以上の組み合わせであり、好ましくは、前記置換基がハロゲンである。
好ましくは、前記R
1及びR
2が独立して、C7-C30の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基であり、好ましくは、C7-C18の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基である。
好ましくは、前記R
1及びR
2が独立して、C7以上の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基、例えば(C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C22、C24、C26、C28、C30、C35、C40等)直鎖または分岐鎖かつ未置換のアルキル基、アルキニル基、アルケニル基であり、好ましくは、C7-C30の分岐鎖、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基であり、より好ましくは、C7-C12の分岐鎖、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基である。
好ましくは、前記R
1及びR
2が独立して、C7-C30の直鎖または分岐鎖の、未置換のアルキル基であり、好ましくは、C7-C18の直鎖または分岐鎖の、未置換のアルキル基であり、好ましくは、C7-C10直鎖または分岐鎖の、未置換のアルキル基である。
好ましくは、前記XがHであり、更に好ましくは、nが1-6の自然数である。
好ましくは、前記R
1及びR
2が独立して、下記であり、
【化2】
【化3】
好ましくは、前記R
3は、C6以上(例えばC6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C30、C40等でありうる)の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基からなる群から選ばれるものであり、好ましくは、C6-C30の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換のヒドロカルビル基である。
好ましくは、前記R
3はC6以上(例えばC6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C30、C40等でありうる)の直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、未置換のヒドロカルビル基からなる群から選ばれるものであり、好ましくは、C10以上の直鎖のアルケニル基であり、好ましくは、C10-C18の直鎖のアルケニル基である。
好ましくは、前記R
3が下記の基のいずれかであり、
【化4】
第二側面として、本願は、第一側面のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法を提供し、前記N,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の調製方法は、
式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物を混合して反応させて、式IVに示すN,N-ジヒドロカルビルアミドカルボン酸を得て、還元剤で還元して、式Iに示すN,N-ジヒドロカルビルアミドカルボン酸を得て、反応式は下記であり、
【化5】
ここで、R
1、R
2、R
3が第一側面に定義された基であり、nが1~10の自然数であり、XはHまたはOHである。
好ましくは、前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物のモル比が1:(0.8-1.2)であり、例えば1:0.8、1:0.9、1:1、1:1.1、1:1.2等であってもよい。
好ましくは、前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物を混合して反応させる時の温度が0-125℃であり、例えば0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃などであってもよく、混合して反応させる時間は0.5-4hであり、例えば0.5h、0.6h、0.8h、1h、1.2h、1.4h、1.6h、1.8h、2h、2.2h、2.4h、2.6h、2.8h、3h、3.2h、3.4h、3.6h、3.8h、4h等であってもよい。
好ましくは、無溶媒の条件で前記式IIに示すN,N-ジヒドロカルビル第二級アミンと式IIIに示すジカルボン酸無水物化合物を混合して反応させ、または溶媒中で反応させる。前記溶媒が不活性溶媒である。
本願は、無溶媒の条件で反応は行われることもでき、直接、式IIに示す構造の化合物と式IIIに示す構造の化合物を混合して反応させる。
好ましくは、前記不活性溶媒は、ヘキサン、ジクロロメタン、石油エーテル、トルエン、キシレンまたは灯油からなる群から選ばれるいずれか、または少なくとも二つ以上の組み合わせである。
第三側面として、本願は、第一側面のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸は、希土類元素を分離する抽出剤の調製における使用を提供する。
好ましくは、前記希土類元素を分離することは、具体的に希土類元素混合物からイットリウムを抽出分離する。
従来技術と比べて、本願は少なくとも下記の有利な効果を有する。
(1)本願が提供するアミノカルボン酸は、低濃度の希土類原料から希土類元素を濃縮すること、混合希土類原料からイットリウムを分離と精製すること、混合希土類原料からアルミニウム、鉄、放射性トリウム、放射性ウラン、アクチニウムなどの元素を取り除くこと、並びにその他の分野に用いられる。
(2)本願が提供するアミノカルボン酸は化学安定性がよく、強酸と強塩基に耐えてられて分解しない。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下、具体的な実施形態にて本願の発明を更に説明する。当業者が分かるように、前記具体的な実施形態は本願を理解しやすくするためのものに過ぎず、本発明に対する限定ではない。
【0005】
[実施例1]
本実施例は、式Iに示す化合物I-1を提供し、前記化合物I-1の構造式は下記である。
【化6】
化合物I-1の合成経路は下記である。
【化7】
合成方法は下記である。
(1)式II-1に示すN,N-ジヘプチル第二級アミン(21.4g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-1に示すオクテニルグルタル酸無水物化合物(22.5g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を2h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-1を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-1を還元し、化合物I-1を得た。
本願は化合物I-1をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.42(1H),5.34(1H),2.46(2H),2.40(4H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.54(2H),1.45(4H),1.33(2H),1.31(4H),1.31(2H),1.31(2H),1.29(2H),1.25(4H),1.19(4H),0.93(6H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,64.6,64.4(2C),34.8(2C),31.9,31.6,31.3(2C),31.2,29.9,29.4,29.0(2C),28.0,27.5,23.0(2C),22.7,18.7(2C),14.1,14.1(2C)。
【0006】
[実施例2]
本実施例は、式Iに示す化合物I-2を提供し、前記化合物I-2の構造式は下記である。
【化8】
化合物I-2の合成経路は下記である。
【化9】
合成方法は下記である。
(1)式II-2に示すN,N-ジイソオクチル第二級アミン(24.1g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-2に示すデセニルグルタル酸無水物化合物(25.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-2を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-2を還元し、化合物I-2を得た。
本願は化合物I-2をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.42(1H),5.34(1H),2.46(2H),2.40(4H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.55(2H),1.54(2H),1.33(2H),1.31(4H),1.30(2H),1.29(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.25(2H),1.25(4H),1.19(4H),0.99(6H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,64.6,63.1(2C),38.0(2C),32.3(2C),31.9,31.6,31.2,29.9,29.7,29.3,29.3(2C),28.0,27.5,26.3(2C),22.7,14.1,14.1(2C),11.6(2C)。
【0007】
[実施例3]
本実施例は、式Iに示す化合物I-3を提供し、前記化合物I-3の構造式は下記である。
【化10】
化合物I-3の合成経路は下記である。
【化11】
合成方法は下記である。
(1)式II-3に示すN,N-ジイソデシル第二級アミン(29.8g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-3に示すドデセニルピメリン酸無水物化合物(32.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-3を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びが溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-3を還元し、化合物I-3を得た。
本願は化合物I-3をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.42(1H),5.34(1H),5.31(1H),4.66(1H),2.40(4H),2.21(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.55(4H),1.54(2H),1.33(2H),1.30(2H),1.30(2H),1.29(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(4H),1.26(4H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(4H),1.25(4H),1.19(4H),0.99(6H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,133.5,132.4,55.7(2C),29.6,95.0,38.3(2C),37.5,34.0,32.6(2C),31.8(2C),31.9,29.9,29.6(2C),29.7,29.7,29.6,29.4,29.3,28.0,27.2,27.1(2C),27.0,26.3(2C),24.7,22.7(2C),22.7,14.1(2C),14.1,11.6(2C)。
【0008】
[実施例4]
本実施例は、式Iに示す化合物I-4を提供し、前記化合物I-4の構造式は下記である。
【化12】
化合物I-4の合成経路は下記である。
【化13】
合成方法は下記である。
(1)式II-4に示すN,N-ジオクタデシル第二級アミン(52.1g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-4に示すヘキサデセニルアゼライン酸無水物化合物(37.8g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-4を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-4を還元し、化合物I-4を得た。
本願は化合物I-4をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.42(1H),5.34(1H),2.46(2H),2.43(4H),2.21(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.54(2H),1.36(4H),1.33(2H),1.33(2H),1.30(2H),1.30(2H),1.29(2H),1.29(4H),1.27(4H),1.26(48H),1.26(4H),1.26(16H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,133.5,132.4,64.3,57.6(2C),34.0,33.2,32.2,31.9,31.9(2C),29.9,29.7,29.7,29.7,29.6(6C),29.6(20C),29.3,29.3(2C),29.3(2C),29.0,28.3(2C),28.0,27.3(2C),27.2,24.7,22.7,22.7(2C),14.1,14.1(2C)。
【0009】
[実施例5]
本実施例は、式Iに示す化合物I-5を提供し、前記化合物I-5の構造式は下記である。
【化14】
化合物I-5の合成経路は下記である。
【化15】
合成方法は下記である。
(1)式II-5に示すN,N-ジエイコサニル第二級アミン(57.8g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-5に示すドデセニルアジピン酸無水物化合物(29.4g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-5を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びが溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-5を還元し、化合物I-5を得た。
本願は化合物I-5をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.42(1H),5.34(1H),5.31(1H),4.66(1H),2.43(4H),2.33(2H),2.03(2H),1.94(2H),1.54(2H),1.37(4H),1.33(2H),1.30(2H),1.30(2H),1.29(2H),1.29(4H),1.27(4H),1.26(4H),1.26(8H),1.26(56H),1.25(2H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,133.5,132.4,94.4,51.4(2C),37.2,34.4,31.9,31.9(2C),29.9,29.7,29.7,29.6,29.6,29.6(24C),29.3,29.3(2C),29.3(2C),28.6(2C),28.0,27.3(2C),26.4,25.5,22.7,22.7(2C),14.1(2C),14.1。
【0010】
[実施例6]
本実施例は、式Iに示す化合物I-6を提供し、前記化合物I-6の構造式は下記である。
【化16】
化合物I-6の合成経路は下記である。
【化17】
合成方法は下記である。
(1)式II-6に示すN,N-ジイソオクテニル第二級アミン(23.8g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-6に示すデセニルアゼライン酸無水物化合物(30.8g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-6を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-6を還元し、化合物I-6を得た。
本願は化合物I-6をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.92(1H),5.42(1H),5.34(1H),3.23(2H),2.21(2H),2.18(4H),2.03(1H),2.00(4H),1.94(2H),1.54(2H),1.38(4H),1.33(2H),1.33(2H),1.30(2H),1.29(2H),1.29(4H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),0.93(6H),0.88(3H),0.85(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,133.5,132.4,124.6(2C),116.6(2C),62.0,34.0,33.4,32.4,31.9,29.9,29.7,29.7,29.7,29.6(2C),29.3,29.0,28.3(2C),28.0,28.0(2C),27.2,24.7,23.1(2C),22.7,11.8(2C),14.1,14.1(2C)。
【0011】
[実施例7]
本実施例は、式Iに示す化合物I-7を提供し、前記化合物I-7の構造式は下記である。
【化18】
化合物I-7の合成経路は下記である。
【化19】
合成方法は下記である。
(1)式II-7に示すN,N-ジイソデケニル第二級アミン(29.3g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-7に示すオクタデセニルトリデカン二酸無水物化合物(47.6g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-7を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-7を還元し、化合物I-7を得た。
本願は化合物I-7をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.92(2H),5.42(1H),5.34(1H),3.23(2H),2.21(2H),2.18(4H),2.03(1H),2.00(4H),1.94(2H),1.54(2H),1.33(2H),1.33(2H),1.33(4H),1.31(4H),1.31(4H),1.30(2H),1.30(2H),1.30(2H),1.29(2H),1.29(4H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(20H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),0.88(3H),0.88(6H),0.85(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,133.5,132.4,124.6(2C),116.6(2C),62.0,34.0,33.4,32.4,31.9,31.9(2C),30.0,29.9,29.7,29.7,29.6(8C),29.6,29.6,29.6,29.7(2C),29.3,29.3,29.0,28.6(2C),28.6(2C),28.0,28.0(2C),27.2,24.7,22.7,22.7(2C),14.1,14.1(2C),11.8(2C)。
【0012】
[実施例8]
本実施例は、式Iに示す化合物I-8を提供し、前記化合物I-8の構造式は下記である。
【化20】
化合物I-8の合成経路は下記である。
【化21】
合成方法は下記である。
(1)式II-8に示すN,N-ジデキニル第二級アミン(28.9g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-8に示すエイコサニルアゼライン酸無水物化合物(45.0g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-8を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-8を還元し、化合物I-8を得た。
本願は化合物I-8をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),2.69(2H),2.46(4H),2.21(2H),1.55(2H),1.54(2H),1.44(4H),1.33(2H),1.29(4H),1.26(4H),1.26(4H),1.26(4H),1.26(4H),1.26(26H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.19(2H),1.19(2H),1.15(1H),1.10(1H),0.99(3H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,83.3(2C),81.9(2C),56.6,34.9,37.3,34.0,31.9,31.9(2C),29.9,29.6,29.6(10C),29.3,29.3(2C),29.0,28.9,28.7(2C),28.7(2C),28.4(2C),28.3,27.7,27.4,24.7,23.5,22.7,22.7(2C),15.9(2C),12.2,14.1,14.1(2C)。
【0013】
[実施例9]
本実施例は、式Iに示す化合物I-9を提供し、前記化合物I-9の構造式は下記である。
【化22】
化合物I-9の合成経路は下記である。
【化23】
合成方法は、溶媒中または無溶媒の条件で実施可能であり、溶媒中の合成方法は下記である。
(1)式II-9に示すN,N-ジヘキサデキニル第二級アミン(45.8g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-9に示すトリアコニルアゼライン酸無水物化合物(52.0g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-9を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-9を還元し、化合物I-9を得た。
本願は化合物I-9をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),2.69(2H),2.46(4H),2.21(2H),1.54(2H),1.44(4H),1.33(2H),1.30(1H),1.29(4H),1.26(40H),1.26(16H),1.26(22H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.19(2H),1.19(2H),1.19(2H),1.15(1H),1.00(1H),0.88(3H),0.88(3H),0.88(3H),0.88(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,83.3(2C),81.9(2C),56.9,43.9,35.5,35.1,34.0,32.7,31.9,31.9,31.9(2C),29.9,29.9,29.6,29.6(5C),29.6(8C),29.6(12C),29.3,29.3,29.3(2C),29.2,29.0,28.7(2C),28.7(2C),28.4(2C),28.0,27.4,27.4,26.1,24.7,22.7,22.7,22.7(2C),19.1,15.9(2C),14.1,14.1,14.1(2C)。
【0014】
[実施例10]
本実施例は、式Iに示す化合物I-10を提供し、前記化合物I-10の構造式は下記である。
【化24】
化合物I-10の合成経路は下記である。
【化25】
合成方法は、溶媒中または無溶媒の条件で実施可能であり、溶媒中の合成方法は下記である。
(1)式II-10に示すN,N-ジクロロヘキサデシル第二級アミン(47.9g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-10に示すデセニルグルタル酸無水物化合物(32.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を2h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-10を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-10を還元し、化合物I-10を得た。
本願は化合物I-10をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.48(1H),5.43(1H),3.60(2H),3.60(2H),2.46(2H),2.43(1H),2.33(1H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.77(2H),1.77(2H),1.54(2H),1.49(2H),1.49(2H),1.46(2H),1.35(1H),1.33(2H),1.31(2H),1.31(2H),1.30(2H),1.29(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(6H),1.26(10H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),1.25(2H),0.88(3H),0.88(3H),0.87(3H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,77.0,75.5,59.9,44.7,44.7,40.1,38.2,34.0,32.3,31.9,31.3,31.3,31.1,31.2,29.9,29.7,29.7,29.6,29.6,29.6,29.6,29.6,29.6,29.6,29.6,29.3,28.8,28.8,27.6,27.5,27.3,26.7,26.3,26.2,22.7,18.5,16.7,14.1,11.6,11.0。
【0015】
[実施例11]
本実施例は、式Iに示す化合物I-11を提供し、前記化合物I-11の構造式は下記である。
【化26】
化合物I-11の合成経路は下記である。
【化27】
合成方法は下記である。
(1)式II-11に示すN,N-ジクロロテトラデシル第二級アミン(47.9g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-11に示すデセニルグルタル酸無水物化合物(32.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を2h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-11を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びZnCl
2が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-11を還元し、化合物I-11を得た。
本願は化合物I-11をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.48(1H),5.43(1H),3.60(4H),2.46(2H),2.43(2H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.77(4H),1.54(2H),1.49(4H),1.46(4H),1.33(2H),1.31(4H),1.30(2H),1.29(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(2H),1.26(20H),1.25(4H),1.25(4H),0.88(3H),0.87(6H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,75.2(2C),59.6,44.7(2C),38.2,34.0,32.3(2C),31.9,31.2,31.1(2C),29.9,29.7,29.7,29.6(10C),29.3,28.8(2C),27.5,27.3(2C),26.7(2C),26.2(2C),22.7,14.1,11.0(2C)。
【0016】
[実施例12]
本実施例は、式Iに示す化合物I-12を提供し、前記化合物I-12の構造式は下記である。
【化28】
化合物I-12の合成経路は下記である。
【化29】
合成方法は下記である。
(1)式II-12に示すN,N-ジアルキル第二級アミン(49.9g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-12に示すエイコサニルアゼライン酸無水物化合物(30.8g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-12を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びが溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-12を還元し、化合物I-12を得た。
本願は化合物I-12をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.31(1H),5.20(1H),4.66(1H),2.65(2H),2.43(2H),2.21(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.79(3H),1.64(3H),1.43(2H),1.37(2H),1.33(4H),1.30(2H),1.29(4H),1.27(2H),1.26(46H),1.25(10H),0.88(9H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,138.0,128.9,91.7,64.3,52.9,51.2,48.1,41.5,34.0,31.9,31.9,31.8,30.2,29.7,29.7,29.6(6C),29.6(8C),29.4,29.4,29.3,29.3,29.3,29.3,29.0,28.6,27.8,27.5,27.3,24.7,24.5,22.7,22.7,22.7,21.7,15.2,14.1,14.1,14.1。
【0017】
[実施例13]
本実施例は、式Iに示す化合物I-13を提供し、前記化合物I-13の構造式は下記である。
【化30】
化合物I-13の合成経路は下記である。
【化31】
合成方法は下記である。
(1)式II-13に示すN,N-ジアルキル第二級アミン(35.4g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-13に示すヘキサデシルピメリン酸無水物化合物(36.7g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-13を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム-塩化亜鉛(NaBH
4-ZnCl
2)が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-13を還元し、化合物I-13を得た。
本願は化合物I-13をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),2.43(2H),2.40(2H),2.40(2H),2.21(2H),1.54(2H),1.45(1H),1.36(2H),1.29(2H),1.27(2H),1.26(24H),1.26(24H),1.25(4H),1.25(2H),1.25(1H),1.25(4H),1.19(2H),1.19(2H),1.19(2H),0.93(3H),0.88(9H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,64.0,63.0,57.8,35.8,35.1,34.0,32.9,32.6,31.9,31.9,31.9,31.3,29.9,29.9,29.6(2C),29.6(4C),29.6(9C),29.3,29.3,29.3,29.3,28.3,27.3,27.1,26.8,26.5,25.0,22.7,22.7,22.7,18.7,14.1,14.1,14.1。
【0018】
[実施例14]
本実施例は、式Iに示す化合物I-14を提供し、前記化合物I-14の構造式は下記である。
【化32】
化合物I-14の合成経路は下記である。
【化33】
合成方法は下記である。
(1)式II-14に示すN,N-ジアルキル第二級アミン(24.1g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-14に示すデセニルグルタル酸無水物化合物(25.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-14を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム-塩化亜鉛(NaBH
4-ZnCl
2)が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-14を還元し、化合物I-14を得た。
本願は化合物I-14をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.48(1H),5.43(1H),2.46(2H),2.43(4H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.54(2H),1.36(4H),1.33(2H),1.30(2H),1.29(6H),1.27(4H),1.26(18H),0.88(9H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,64.0,57.6(2C),37.6,34.0,31.9(2C),31.9,31.2,29.9,29.7,29.7,29.3(4C),29.3,28.3(2C),27.5,27.3(2C),22.7(2C),22.7,14.1(2C),14.1。
【0019】
[実施例15]
本実施例は、式Iに示す化合物I-15を提供し、前記化合物I-15の構造式は下記である。
【化34】
化合物I-15の合成経路は下記である。
【化35】
合成方法は、溶媒中または無溶媒の条件で実施可能であり、溶媒中の合成方法は下記である。
(1)式II-15に示すN,N-ジアルキル第二級アミン(92.8g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-15に示すデシニルコハク酸無水物化合物(22.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-15を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム(NaBH
4)及びが溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-15を還元し、化合物I-15を得た。
本願は化合物I-15をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.31(1H),4.60(1H),3.54(4H),2.84(2H),2.81(1H),2.46(2H),1.96(2H),1.44(2H),1.31(4H),1.29(2H),1.28(4H),1.26(96H),1.25(8H),0.88(9H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ177.3,86.5,86.3,80.8,58.6(2C),50.9(2C),36.7,31.9(2C),31.2(2C),30.9,29.6(44C),29.3(2C),29.0,28.1,27.1,26.5(2C),22.7(2C),22.7,19.4,14.1(2C),14.1。
【0020】
[比較例1]
本実施例は、式Iに示す化合物I-d1を提供し、前記化合物I-d1の構造式は下記である。
【化36】
化合物I-d1の合成経路は下記である。
【化37】
合成方法は下記である。
(1)式II-d1に示すN,N-ジアルキル第二級アミン(18.5g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-d1に示すオクテニルグルタル酸無水物化合物(22.4g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-d1を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム-塩化亜鉛(NaBH
4-ZnCl
2)が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-d1を還元し、化合物I-d1を得た。
本願は化合物I-d1をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.48(1H),5.43(1H),2.63(2H),2.46(2H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.54(2H),1.33(2H),1.31(12H),1.29(2H),1.25(4H),1.06(6H),0.88(9H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,61.3(2C),59.0,38.2,34.6(2C),34.0,31.9,31.2,29.9,29.7(2C),29.4,27.5,22.7(2C),22.7,21.0(2C),14.1(2C),14.1。
【0021】
[比較例2]
本実施例は、式Iに示す化合物I-d2を提供し、前記化合物I-d1の構造式は下記である。
【化38】
化合物I-d2の合成経路は下記である。
【化39】
合成方法は下記である。
(1)式II-d2に示すN,N-ジアルキル第二級アミン(18.5g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-d2に示すデケニルグルタル酸無水物化合物(25.2g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-d2を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム-塩化亜鉛(NaBH
4-ZnCl
2)が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-d2を還元し、化合物I-d2を得た。
本願は化合物I-d2をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ12.01(1H),5.48(1H),5.43(1H),2.46(2H),2.43(4H),2.33(2H),2.03(1H),1.94(2H),1.54(2H),1.36(4H),1.33(2H),1.30(2H),1.29(6H),1.28(8H),1.26(6H),0.88(9H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,134.9,129.3,64.0,57.6(2C),37.6,34.0,31.9,31.5(2C),31.2,29.9,29.7,29.7,29.3,28.3(2C),27.5,27.0(2C),22.7(2C),22.7,14.1(2C),14.1。
【0022】
[比較例3]
本実施例は、式Iに示す化合物I-d3を提供し、前記化合物I-d1の構造式は下記である。
【化40】
化合物I-d3の合成経路は下記である。
【化41】
合成方法は下記である。
(1)式II-d3に示すN,N-ジアルケニル第二級アミン(15.3g,0.10mol)をトルエン(20mL)に溶かし、溶液一を得て、式III-d3に示すオクタデケニル二酸無水物化合物(47.6g,0.10mol)をトルエン(30mL)に溶かし、溶液二を得た。
(2)溶液一を溶液二に加えて、溶液を撹拌して、温度を80℃に昇温し、この反応温度を1h維持し、反応が終わった後、真空で濃縮し、トルエンを除去し、化合物IV-d3を得た。
(3)ホウ素化水素ナトリウム-塩化亜鉛(NaBH
4-ZnCl
2)が溶けているテトラヒドロフラン溶液中で、化合物IV-d3を還元し、化合物I-d3を得た。
本願は化合物I-d3をNMRで解析した。
1HNMR(500MHz,CDCl
3),δ11.87(1H),5.82(2H),5.48(1H),5.43(1H),5.13(2H),4.88(2H),2.76(2H),2.46(2H),2.21(2H),2.13(4H),2.03(1H),1.94(2H),1.54(2H),1.33(4H),1.30(4H),1.29(6H),1.26(26H),1.25(4H),1.11(6H),0.88(3H)。
13CNMR(500MHz,CDCl
3),δ178.4,133.5,133.0(2C),132.4,115.8(2C),59.8(2C),59.5,41.1(2C),38.8,34.0,34.0,33.2,31.9,30.0,29.9,29.7,29.7,29.6(3C),29.6(8C),29.3,29.3,29.0,27.2,24.7,22.7,18.1(2C),14.1。
【0023】
[試験例1]
希土類元素濃縮試験
(1)使用した上記実施例1-15及び比較例d1-d3で調製した化合物質量を、それぞれ(5.51、6.24、8.08、11.52、11.36、6.91、9.83、9.44、12.53、10.96、10.23、10.98、9.36、6.42、14.78及び5.15、5.51、8.01)gとした。
(2)上記抽出剤をそれぞれ10.8mol/Lの水酸化ナトリウムの水溶液0.96mLと混合し、25℃で5min鹸化させ、粘性液体として鹸化された抽出剤を得て、鹸化度は80%であった。
(3)室温で、粘性液体としての鹸化された抽出剤とイオン型希土類浸出液2000mLを混合し、濃縮時間を0.5hにした。イオン型希土類浸出液の成分は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、およびイットリウムの計15元素の希土類元素、全モル濃度が0.00636mol/Lであった。pH=6.0。濃縮前と濃縮後の水相における希土類イオンの濃度を測定し、希土類イオンの全濃縮率E%を計算した。
具体的な試験結果(希土類イオンの全濃縮率)を表1に示す。
【表1】
表1の試験データは、本願で調製したN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の濃縮率が95%以上であり、低濃度の希土類原料から希土類元素を濃縮するために用いられることを示す。
【0024】
[試験例2]
イットリウム分離試験
(1)上記実施例1-15および比較例1-3で調製した化合物を抽出剤溶液に調合し、前記抽出剤溶液の具体的な調合方法は以下のとおりである。実施例1-15および比較例1-3の抽出剤をそれぞれ(5.51、6.24、8.08、11.52、11.36、6.91、9.83、9.44、12.53、10.96、10.23、10.98、9.36、6.42、14.78及び5.15、5.51、8.01)g取り、トルエンをそれぞれ(19.5、18.8、16.9、13.5、13.6、18.1、15.2、15.6、12.5、14.0、14.8、14.0、15.6、18.6、10.2及び19.9、19.5、17.0)g取り、両者を混合して抽出剤溶液を得て、全体積が25mLであり、抽出剤の濃度が0.52mol/Lであった。
(2)上記抽出剤溶液をそれぞれ10.8mol/Lの水酸化ナトリウムの水溶液0.96mLと混合し、25℃で5min鹸化させ、鹸化された抽出剤溶液を得て、鹸化度は80%であった。
(3)室温で、鹸化された抽出剤溶液25mLと混合希土類溶液25mLを混合し、抽出時間を0.5hにした。混合希土類溶液の成分は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、およびイットリウムの計15元素の希土類元素、各元素の濃度はいずれも0.020mol/Lであった。抽出前と抽出後の水相における希土類イオンの濃度を測定し、そして各希土類イオン(Ln)のイットリウムイオン(Y)に対する相対分離係数をβ
Ln/Y計算した。
具体的な試験結果(希土類イオン(Ln)のイットリウムイオン(Y)に対する相対分離係数をβ
Ln/Y)を表2に示す。
【表2】
表2のデータから、本願が提供するアミノカルボン酸は、混合希土類元素からイットリウムを分離精製するために用いられることが分かる。
【0025】
[試験例3]
安定性試験
上記実施例1で調整した化合物I-1について安定性試験を行い、具体的な試験方法は以下のとおりである。化合物I-1を抽出剤溶液に調合し、前記抽出剤溶液の具体的な調合方法は下記である。43.9g取って100mLのトルエンと混合して、濃度が1.0mol/Lである抽出剤溶液を調合する。50mL抽出剤溶液を取って、50mL、濃度が6mol/Lである塩酸溶液と混合して撹拌し、別途50mL抽出剤溶液を取って、50mL、濃度が6mol/Lである水酸化ナトリウム溶液と混合して撹拌し、15日維持して、その後、NMRで試験の抽出剤の損失率を検測した。
実施例2~15及び比較例d1-d3における化合物の安定性の試験方法は化合物I-1と同じであった。
具体的な試験結果(塩酸媒体と液体塩基の中での抽出剤の損失率)を表3に示す。
【表3】
表3の試験データから、本願のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸は、塩酸媒体の中で抽出剤の損失率が0.04%以下であり、液体塩基の中で抽出剤の損失率が0.05%以下であることが分かる。これにより、本願で調製したN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸の化学安定性が極めてよく、強酸と強塩基に耐えて分解しないことが明らかになった。
なお、本願において、上記実施例を用いて本願のN,N-ジヒドロカルビルアミノカルボン酸並びにその調製方法と使用を説明したが、本願は上記実施例に限定されるものではなく、本願の実施形態は、上記実施例に限られない。本願の保護範囲は、特許請求の範囲により定められる。