(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】ティルティングファンアッセンブリを備えた航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 27/26 20060101AFI20241213BHJP
B64C 5/00 20060101ALI20241213BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20241213BHJP
B64D 27/31 20240101ALI20241213BHJP
B64D 27/34 20240101ALI20241213BHJP
B64D 27/357 20240101ALI20241213BHJP
【FI】
B64C27/26
B64C5/00
B64C13/20 Z
B64D27/31
B64D27/34
B64D27/357
(21)【出願番号】P 2022546400
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 US2021015789
(87)【国際公開番号】W WO2021155208
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-10-20
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520504231
【氏名又は名称】ウィスク アエロ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティグ、ジェイムズ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ツザルノトズキー、ウリ
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0215465(US,A1)
【文献】国際公開第2019/034765(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/064209(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0136897(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0094537(US,A1)
【文献】米国特許第03081964(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102014000509(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 5/00
B64C 13/20
B64C 27/26
B64D 27/30-27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向の離着陸のために構成されている航空機であって、前記航空機は、
胴体と;
前記胴体の両側に連結されている1対の翼と;
複数のリフトファンアッセンブリであって、前記複数のリフトファンアッセンブリは、垂直方向の揚力を生成させるように構成されている、複数のリフトファンアッセンブリと;
複数のティルティングファンアッセンブリであって、前記複数のティルティングファンアッセンブリは、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で移動するように構成されて
おり、前記複数のティルティングファンアッセンブリは、前記垂直方向リフト位置にあるときに、垂直方向の揚力を生成させるように構成されている、複数のティルティングファンアッセンブリと;
前記垂直方向リフト位置と前記前方飛行位置との間で前記複数のティルティングファンアッセンブリを制御するように構成可能な制御システムと
を含
み、
前記航空機は、前記1対の翼の下側に固定されている複数の支持構造体をさらに含み、前記複数のリフトファンアッセンブリのうちのリフトファンアッセンブリは、それぞれの支持構造体の第1の端部に固定されており、前記第1の端部は、前記1対の翼の後縁部に提供されており、
前記複数のティルティングファンアッセンブリのうちの少なくとも1つは、ティルティングメカニズムを介して、前記複数の支持構造体のうちの第1の支持構造体の第2の端部に連結されており、前記第2の端部は、前記1対の翼の前縁部に提供されている、航空機。
【請求項2】
前記航空機は、1つまたは複数のバッテリーユニットをさらに含み、前記1つまたは複数のバッテリーユニットは、前記複数のティルティングファンアッセンブリおよび前記複数のリフトファンアッセンブリに給電するように構成されている複数のバッテリーセルを含む、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記航空機は、前記胴体の後方端部に連結されているVテールの形態の尾翼をさらに含む、請求項1に記載の航空機。
【請求項4】
前記1対の翼は、高翼構成で前記胴体に連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項5】
前記複数のリフトファンアッセンブリは、前記航空機を垂直方向に移動させるために、前記1対の翼に対して固定された位置に装着される、請求項1に記載の航空機。
【請求項6】
前記複数のリフトファンアッセンブリのうちの1つまたは複数は、前記航空機の前方飛行の間に動作することを停止するように構成可能である、請求項5に記載の航空機。
【請求項7】
前記複数のリフトファンアッセンブリのそれぞれは、電気モーター駆動のローターを含む、請求項5に記載の航空機。
【請求項8】
少なくとも3つのリフトファンアッセンブリが、前記1対の翼のそれぞれに連結されている、請求項5に記載の航空機。
【請求項9】
前記複数のティルティングファンアッセンブリは、1つまたは複数のティルティングメカニズムを介して前記1対の翼のうちの少なくとも1つに連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項10】
少なくとも3つのティルティングファンアッセンブリは、前記1対の翼のそれぞれに連結されている、請求項9に記載の航空機。
【請求項11】
リフトファンアッセンブリおよびティルティングファンアッセンブリの組み合わせられた数は、少なくとも12である、請求項1に記載の航空機。
【請求項12】
前記複数のティルティングファンアッセンブリのうちのティルティングファンアッセンブリは、それぞれの支持構造体の第2の端部に連結されている、請求項
1に記載の航空機。
【請求項13】
第2のリフトファンアッセンブリは、前記複数の支持構造体のうちの少なくとも1つの支持構造体の第2の端部に連結されている、請求項
1に記載の航空機。
【請求項14】
前記航空機は、前記胴体に連結されている1つまたは複数の横方向の支持構造体をさらに含み、前記複数のティルティングファンアッセンブリは、前記1つまたは複数の横方向の支持構造体に連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項15】
前記1つまたは複数の横方向の支持構造体は、前記航空機の横方向軸線に平行な軸線の周りにティルトすることができる、請求項
14に記載の航空機。
【請求項16】
前記1つまたは複数の横方向の支持構造体は、前記1対の翼の前方において前記胴体に連結されている、請求項
14に記載の航空機。
【請求項17】
前記制御システムは、
フライトインストラクションを受信するように構成可能であり;
前記複数のティルティングファンアッセンブリの位置を決定するように構成可能であり;
前記フライトインストラクションに基づいて、前記垂直方向リフト位置と前記前方飛行位置との間で、前記複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を制御するように構成可能であり;
前記フライトインストラクションを考慮して、前記複数のティルティングファンアッセンブリの前記位置を連続的にモニタリングするように構成可能である、請求項1に記載の航空機。
【請求項18】
前記制御システムは、前記航空機に連結されているセンサーによって受信されるフライトデータに基づいて、前記ティルティングファンアッセンブリの前記位置を制御するように構成可能である、請求項
17に記載の航空機。
【請求項19】
前記制御システムは、前記ティルティングファンアッセンブリの前記位置を自動的に制御するように構成可能である、請求項
17に記載の航空機。
【請求項20】
前記制御システムは、遠隔エンティティーから受信される信号に基づいて、前記ティルティングファンアッセンブリの前記位置を制御するように構成可能である、請求項
17に記載の航空機。
【請求項21】
前記制御システムは、前記複数のティルティングファンアッセンブリのうちの第1のティルティングファンアッセンブリおよび第2のティルティングファンアッセンブリを互いに独立して制御するように構成可能である、請求項
17に記載の航空機。
【請求項22】
前記制御システムは、前記複数のティルティングファンアッセンブリの少なくともサブセットを同時に制御するように構成可能である、請求項
17に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年1月31日に出願された「Aircraft with Tilting Fans」という標題の米国仮特許出願第62/968,852号について、米国特許法第119条(e)の下での利益を主張し、その開示は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
説明されている実施形態は、概して、垂直方向の離着陸能力を有する航空機に関する。とりわけ、実施形態は、ホバリング、移行、および巡航飛行のために制御された方式で垂直方向のおよび水平方向の推力を提供する1つまたは複数のティルティングファンアッセンブリ(tilting fan assembly)を備えた航空機を提供する。
【背景技術】
【0003】
垂直方向の離着陸能力を有する航空機は、垂直方向にホバリング、離陸、および着陸することができるようにリフトファンを必要とする。しかし、そのような航空機は、また、空中で巡航することができるように前方推力も必要とする。垂直方向に作り出される推力は、機体に揚力を提供する。水平方向に作り出される推力は、前方移動を提供する。垂直離着陸(VTOL:vertical takeoff and landing)航空機は、垂直方向推力および水平方向推力の両方を作り出すべきであり、これらの力をバランスのとれた方式で制御することができるべきである。
【発明の概要】
【0004】
さまざまな実施形態は、垂直方向の離着陸のために構成されている航空機を提供する。航空機は、胴体と、胴体の両側に連結されている1対の翼と、1対の翼に連結されている複数のリフトファンアッセンブリと、複数のティルティングファンアッセンブリと、制御システムとを含む。複数のリフトファンアッセンブリは、垂直方向の揚力を生成させるように構成されている。複数のティルティングファンアッセンブリは、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で移動するように構成されている。制御システムは、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で複数のティルティングファンアッセンブリを制御するように構成可能である。
【0005】
いくつかの実施形態は、垂直方向の離着陸のために構成されている航空機を提供する。航空機は、胴体と、胴体の両側に連結されている1対の翼と、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で移動するように構成されている、1対の翼に連結されている複数のティルティングファンアッセンブリと、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で複数のティルティングファンアッセンブリを制御するように構成可能な制御システムとを含む。複数のティルティングファンアッセンブリは、垂直方向リフト位置にあるときに、垂直方向の揚力を生成させるように構成されている。航空機は、複数のティルティングファンアッセンブリに給電するように構成されている複数のバッテリーセルを含む1つまたは複数のバッテリーユニットをさらに含む。
【0006】
実施形態は、航空機の1つまたは複数のティルティングファンアッセンブリを制御するための垂直方向の離着陸のために構成されている航空機に連結されている制御システムによって実施される方法を提供する。制御システムは、フライトインストラクションを受信し、航空機に連結されている複数のティルティングファンアッセンブリの位置を決定し、フライトインストラクションに基づいて垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を制御し、フライトインストラクションを考慮して複数のティルティングファンアッセンブリの位置を連続的にモニタリングする。
【0007】
フライトインストラクションが離陸インストラクションまたは着陸インストラクションである場合には、制御システムは、前方飛行位置にある複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を垂直方向リフト位置へと制御する。フライトインストラクションが前方飛行インストラクションにある場合には、制御システムは、垂直方向リフト位置にある複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を前方飛行位置へと制御する。
【0008】
これらのおよび他の実施形態は、下記にさらに詳細に説明されている
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】さまざまな実施形態による例示的なVTOL航空機の簡略図である。
【
図1B】さまざまな実施形態による、1対のティルティングファンアッセンブリが前方飛行位置にある状態のVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図1C】さまざまな実施形態による、1対のティルティングファンアッセンブリが垂直方向リフト位置にある状態のVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図2A】さまざまな実施形態による、前部ティルティングファンアッセンブリが前方飛行位置にある状態のVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図2B】さまざまな実施形態による、前部ティルティングファンアッセンブリが垂直方向リフト位置にある状態のVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図3A】さまざまな実施形態による、ティルティングファンアッセンブリが前方飛行位置にある状態のVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図3B】さまざまな実施形態による、ティルティングファンアッセンブリが垂直方向リフト位置にある状態のVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図4】さまざまな実施形態による、垂直方向リフトと前方飛行との間の移行を通して、VTOL航空機のフライトを制御するためのプロセスの実施形態を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示されている技法は、概して、複数のリフトファンアッセンブリおよび少なくとも1つのティルティングファンアッセンブリを備えた航空機に関する。より具体的には、本明細書で開示されている技法は、垂直方向の移動のための複数のリフトファンアッセンブリと、前方移動のために前方飛行位置と垂直方向リフト位置との間でティルトするように構成されている1つまたは複数のティルティングファンアッセンブリとを備えたVTOL航空機を提供する。方法、プロセス、システム、およびデバイスなどを含む、さまざまな本発明の実施形態が、本明細書で説明されている。
【0011】
本開示による航空機のためのファンアッセンブリ配向の特徴および態様をより良好に認識するために、本開示のためのさらなる文脈が、本開示の実施形態によるVTOL航空機の特定の実装形態を議論することによって、以下のセクションにおいて提供される。これらの実施形態は、単に例示のためのものに過ぎず、他のファン構成が、本明細書で説明されているVTOL航空機と関連して用いられ得る。
【0012】
図1Aは、例示的なVTOL航空機100の簡略図を示している。さまざまな実施形態によれば、VTOL航空機100は、電気的に動力を与えられる航空機であることが可能である。いくつかの実施形態において、VTOL航空機100は、1つまたは複数の乗客および/または貨物を運搬するように構成され得り、自動的におよび/または遠隔に制御され得る(たとえば、航空機を動作させるためにオンボードパイロットを必要としなくてもよく、遠隔エンティティーから受信された制御信号またはインストラクションに基づいて制御されてもよい)。
図1Aに示されている例では、VTOL航空機100は、胴体102を含み、胴体102は、乗客および/または貨物を運搬するためのキャビンセクション140を含むことが可能である。たとえば、キャビンセクション140は、VTOL航空機100の機首に向けて提供され得る。また、VTOL航空機100は、胴体102の後方端部に連結されている水平安定板(たとえば、尾翼)130を含むことが可能である。尾翼130は、任意の適切な形状または形態になっていることが可能である。たとえば、尾翼130は、V字形状の(たとえば、Vテール)であることが可能である。1対の翼(たとえば、第1の翼106および第2の翼108)が、胴体102の両側に連結されている。いくつかの実施形態において、1対の翼は、高翼構成で胴体に連結され得る。すなわち、1対の翼は、
図1Aに示されているように、胴体の上側部分の上に装着され得る。複数のファンアッセンブリ(たとえば、リフトファンアッセンブリおよび/またはティルティングファンアッセンブリ)が、1対の翼に連結され得る。たとえば、VTOL航空機100は、翼間で等しく分割されている合計で12個のファンアッセンブリ(たとえば、ファン、ローター、プロペラ)を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ファンアッセンブリは、翼に直接的に連結され得る。他の実施形態において、ファンアッセンブリは、支持構造体104(たとえば、翼106、108の下側に連結され得るブームなど)の上に装着され得る。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、それぞれの翼106、108は、2つの支持構造体(たとえば、ブーム)104を含むことが可能であり、2つの支持構造体104は、その上に装着されている1対のリフトファンアッセンブリ(「リフトファン」としても知られる)110をそれぞれ含む。たとえば、それぞれのリフトファンアッセンブリは、ブーム104の端部に連結され得り、第1のリフトファンアッセンブリ113が、翼106、108の前部にあり、第2のリフトファンアッセンブリ110が、翼106、108の後部にあるようになっている。いくつかの実施形態において、ブーム104の反対側端部に連結されている2つのリフトファンアッセンブリ110、113は、反対側の迎え角で装着されているそれらのブレードを有することが可能であり、したがって、2つのリフトファンアッセンブリ110、113は、反対側方向にスピンすることが可能である。リフトファンアッセンブリ110、113は、VTOL航空機100のための垂直方向の揚力を生成させるように構成されている。
【0014】
さまざまな実施形態によれば、それぞれのリフトファンアッセンブリ110は、電気モーター駆動のローター(たとえば、組み合わせられたファンおよびモーター)の形態になっていることが可能であり、たとえば、離陸、ホバリング、および/または着陸の間に、航空機100を垂直方向に移動させるように構成され得る。ローターは、ハブに取り付けられているブレードを含むことが可能であり、または、一体ハブを備えた単一のピースとして製造され得る。ハブは、ブレードが接続する中心構造体を提供しており、いくつかの実施形態では、モーターを包む形状で作製されている。いくつかの実施形態において、モーターパーツは、ロープロファイルになっており、モーター全体がローターのハブの中にフィットするようになっており、前方に飛行するときに気流に対するより低い抵抗を提示する。ローターは、モーターの回転パーツに取り付けられている。モーターの静止パーツは、ブーム104に取り付けられている。いくつかの実施形態において、モーターは、永久磁石モーターであり、電子モーターコントローラーによって制御される。電子モーターコントローラーは、精密なシーケンスでモーターに電流を送り、所望の速度においてまたは所望のトルクを伴ってローターが回ることを可能にする。
【0015】
リフトファンアッセンブリ110は、所定の様式で配向され得る任意の適切な数のブレードを有することが可能である。リフトファンアッセンブリの配向は固定され得る(たとえば、リフトファンアッセンブリ110は、翼106、108に対して固定された位置に装着され得る)。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリ110のうちの1つまたは複数は、手動でまたは(たとえば、VTOL航空機100を制御する制御システム150(たとえば、フライト制御システムなど)からの)制御信号に応答して、翼106、108に対して再位置決めされるように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、リフトファンアッセンブリ110は、所定の迎え角を有する2つのブレードを有することが可能である。いくつかの実施形態において、2つの隣接するリフトファンアッセンブリ(たとえば、リフトファンアッセンブリ110およびリフトファンアッセンブリ111)は、反対の迎え角を有することが可能であり、2つの隣接するファンアッセンブリが反対側方向にスピンするようになっている。2つの隣接するリフトファンアッセンブリは、同じ翼(たとえば、
図1Aのリフトファンアッセンブリ110および111)の上にあることが可能であり、または、反対側の翼(たとえば、
図1Bのリフトファンアッセンブリ117および119)の上にあることが可能である。さまざまな実施形態によれば、リフトファンアッセンブリの第1のサブセットは、第1の方向にスピンすることが可能であり、リフトファンアッセンブリの第2のサブセット(たとえば、残りの部分)は、第2の方向(第1の方向とは反対側)にスピンすることが可能である。
【0016】
いくつかの実施形態において、それぞれの翼106、108は、少なくとも1つのティルティングファンアッセンブリ114(さまざまな実施形態において、「プロペラアッセンブリ」または「プロペラファンアッセンブリ」としても知られている)を担持する少なくとも1つの支持構造体(たとえば、ブーム)112を含むことが可能である。ティルティングファンアッセンブリ114は、(
図1Bに図示されているような)前方飛行位置と(
図1Cに図示されているような)垂直方向リフト位置との間で移動するように構成されている。少なくとも1つのティルティングファンアッセンブリ114を備えたブーム112は、リフトファンアッセンブリを担持するブームに加えたものであってもよく、または、その代わりのものであってもよい。ティルティングファンアッセンブリ114は、前方飛行位置(
図1A~
図1Bに図示されている)と垂直方向リフト位置(
図1Cに図示されている)との間で切り替えられ得る(たとえば、回転させられる)。ティルティングファンアッセンブリ114は、ティルティングメカニズム116(たとえば、モーターおよびカップリングメカニズムを含む)を介してブーム112に連結され得る。前方飛行位置では、ティルティングファンアッセンブリ114は、胴体102に対して実質的に垂直方向の配向になっていることが可能である。垂直方向リフト位置では、ティルティングファンアッセンブリ114は、胴体102に対して実質的に水平方向の配向になっていることが可能である。
【0017】
それぞれのティルティングファンアッセンブリ114は、組み合わせられたローターおよびモーターを含むことが可能である。ローターは、ハブに取り付けられているブレードを含むことが可能であり、または、一体ハブを備えた単一のピースとして製造され得る。ハブは、ブレードが接続する中心構造体を提供しており、いくつかの実施形態では、モーターを包む形状で作製されている。いくつかの実施形態において、モーターパーツは、ロープロファイルになっており、モーター全体がローターのハブの中にフィットするようになっており、前方に飛行するときに気流に対するより低い抵抗を提示する。ローターは、モーターの回転パーツに取り付けられている。モーターの静止パーツは、ブーム112または胴体102の他のパーツに取り付けられている。いくつかの実施形態において、モーターは、永久磁石モーターであり、電子モーターコントローラーによって制御される。電子モーターコントローラーは、精密なシーケンスでモーターに電流を送り、所望の速度においてまたは所望のトルクを伴ってローターが回ることを可能にする。ティルティングファンアッセンブリ114は、所定の様式で配向され得る任意の適切な数のブレードを有することが可能である。たとえば、ティルティングファンアッセンブリ114は、所定の迎え角を有する5つのブレードを有することが可能である。
【0018】
さまざまな実施形態によれば、第1の翼108の上のティルティングファンアッセンブリ114は、第2の翼106の上のティルティングファンアッセンブリ124と同時にティルトすることが可能である。たとえば、航空機の制御システム150は、複数のティルティングファンアッセンブリの少なくともサブセットを同時に制御することが可能である。すなわち、制御システム150は、それぞれのティルティングメカニズム116および126を実質的に同時に動作させることが可能である。いくつかの実施形態において、ティルティングメカニズム116および126は、互いに独立して動作させられ得る。いくつかの実施形態によれば、制御システム150は、自動的におよび/または遠隔から(たとえば、遠隔エンティティー(たとえば、リモートコントローラー、リモートパイロット、またはリモート制御タワーなど)から受信される制御信号を介して)、VTOL航空機100を制御するように構成可能であり得る(たとえば、ティルティングファンアッセンブリの位置の制御)。さまざまな実施形態において、制御システム150は、本明細書で説明されている処理機能および制御機能を果たすように構成されている1つまたは複数のプロセッサーを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、それぞれの翼106、108は、また、1つのリフトファンアッセンブリ110(たとえば、後部ファンアッセンブリ)および1つのティルティングファンアッセンブリ114を担持する少なくとも1つの支持構造体(たとえば、ブーム)112を含むことが可能である。たとえば、リフトファンアッセンブリ110は、翼106、108の後部に連結され得り、ティルティングファンアッセンブリ114は、翼106、108の前方に連結され得る。さまざまな実施形態によれば、複数のリフトファンアッセンブリが、1対の翼106、108の後縁部に連結され得り、および/または、複数のティルティングファンアッセンブリが、1つまたは複数のティルティングメカニズムを介して、1対の翼106、108の前縁部に連結され得る。
【0020】
図1A~
図1Cに図示されている例示的なVTOL航空機100は、合計で12個のファンアッセンブリ(10個のリフトファンアッセンブリおよび2つのティルティングファンアッセンブリ)を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、例示的なVTOL航空機のファンアッセンブリのうちの少なくとも1つの(または、好ましくは、1対)は、ティルティングファンアッセンブリである。ティルティングファンアッセンブリ114および124は、前方飛行位置にあるときに、前方飛行、上昇、降下、および巡航のための(および/または、それらへの移行のための)推力を提供することが可能である。リフトファンアッセンブリ110は、航空機を地面から持ち上げ、たとえば、離陸、ホバリング、および/または着陸の間に、制御を維持するのに十分な推力を提供する。さまざまな実施形態によれば、リフトファンアッセンブリ110は、VTOL航空機100の前方飛行の間に動作することを停止することが可能である。
【0021】
1つまたは複数のバッテリーユニット135は、VTOL航空機100に連結され、ファンアッセンブリ(リフトファンアッセンブリおよびティルティングファンアッセンブリ)に給電することが可能である。より具体的には、ファンアッセンブリは、1つまたは複数のバッテリーユニット135を含む電力システムによって給電される電気モーターによって駆動され得る。いくつかの実施形態において、それぞれのファンアッセンブリは、専用のバッテリーユニット135を有することが可能である。バッテリーユニット135は、ファンアッセンブリを担持するブームの上に提供されるか、胴体の中に提供されるか、または、それらの組み合わせであることが可能である。それぞれのバッテリーユニット135は、ファンアッセンブリに給電するように構成されている複数のバッテリーセルを含むことが可能である。したがって、VTOL航空機100は、電気航空機であることが可能である。代替的な実施形態において、VTOL航空機100は、ハイブリッド電気航空機であることが可能である。
【0022】
図1Bは、1対のティルティングファンアッセンブリ114、124が前方飛行位置にある状態のVTOL航空機100の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
【0023】
図1Cは、1対のティルティングファンアッセンブリ114、124が垂直方向リフト位置にある状態のVTOL航空機100の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
【0024】
航空機100に連結されている制御システム150(たとえば、フライト制御システム)は、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で複数のティルティングファンアッセンブリを制御するように構成され得る。たとえば、制御システム150は、前方飛行位置(
図1A~
図1Bに図示されている)から垂直方向リフト位置(
図1Cに図示されている)へ;および、垂直方向リフト位置(
図1Cに図示されている)から前方飛行位置(
図1A~
図1Bに図示されている)へ、ティルティングファンアッセンブリ114、124の位置決めを切り替えるようにティルティングメカニズム116、126を制御するように構成可能であり得る。いくつかの実施形態において、制御システム150は、1つまたは複数のセンサー(たとえば、空気温度、電気モーター温度、航空機の対気速度などを測定するセンサー)、コンピューター、および、航空機に連結されている他の入力/出力デバイスから、フライトデータを受信することが可能である。次いで、制御システム150は、センサー(たとえば、空気温度、電気モーター温度、航空機の対気速度などを測定するセンサー)、コンピューター、および、航空機に連結されている他の入力/出力デバイスから受信されるセンサーデータおよび/またはフライトデータに基づいて、2つの位置の間でティルティングファンアッセンブリ114、124を制御することが可能である。
【0025】
さまざまな実施形態によれば、制御システム150は、フライトインストラクション(たとえば、離陸、ホバリング、巡航、または着陸のインストラクションなど)を受信するように構成可能であり得る。次いで、制御システム150は、複数のティルティングファンアッセンブリの位置を決定することが可能であり、フライトインストラクションに基づいて、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を制御することが可能である。VTOL航空機100の動作の間に、制御システム150は、フライトインストラクションを考慮して複数のティルティングファンアッセンブリの位置を連続的にモニタリングするように構成可能であり得る。
【0026】
図1A~
図1Cに図示されている例示的なVTOL航空機100は、胴体102のより近くに、1対のティルティングファンアッセンブリ114、124を含む(それぞれの翼106、108の上に1つずつ提供されている)。ティルティングファンアッセンブリの数および場所は、
図1A~
図1Cに図示されているものに限定されないということ、ならびに、VTOL航空機は、より少ないもしくはより多い数のティルティングファンアッセンブリおよび/またはリフトファンアッセンブリを含むことが可能であるということを当業者は認識することとなる。たとえば、実施形態によれば、ブーム112は、ブーム104のうちの任意の1つと場所を交換することが可能である。さらなる別の実施形態によれば、すべての前部ファンアッセンブリ(または、すべての後部ファンアッセンブリ)は、ティルティングファンアッセンブリであることが可能である。
【0027】
図2A~
図2Bは、ティルティングファンアッセンブリを備えたVTOL航空機の別の例示的な実施形態を図示している。
図2A~
図2Bに図示されている例示的な実施形態において、複数のリフトファンアッセンブリが、1対の翼の後縁部に提供されており、複数のティルティングファンアッセンブリが、1対の翼の前縁部に提供されている。
図2A~
図2Bに図示されている例示的なVTOL航空機200は、ティルティングファンアッセンブリ204として構成されているすべての前部ファンアッセンブリを含む。したがって、例示的なVTOL航空機200では、すべてのブーム206は、同一であり、一方の端部にティルティングファンアッセンブリ204をそれぞれ含み、反対側端部にリフトファンアッセンブリ202をそれぞれ含む。すべてのブーム206は同一であるので、ブーム206は、翼の上の位置間で相互交換可能であり得る。たとえば、胴体のより近くの第1のブームは、隣接する第2のブーム(たとえば、翼の上の中間ブーム)または胴体からさらに離れた第3のブームと相互交換可能であり得る。いくつかの実施形態において、それぞれのティルティングファンアッセンブリ204は、個々のティルティングメカニズム208を介してブーム206に連結され得る。たとえば、少なくとも3つのティルティングファンアッセンブリは、
図2Aに示されているように、1対の翼のそれぞれに連結され得る。
【0028】
図2Aは、前部ティルティングファンアッセンブリ204が前方飛行位置にある状態のVTOL航空機200の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
【0029】
図2Bは、前部ティルティングファンアッセンブリ204が垂直方向リフト位置にある状態の(たとえば、前部ティルティングファンアッセンブリ204が空に向けて上向きになっている状態の)VTOL航空機200の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
【0030】
航空機200に連結されている制御システム250(たとえば、フライト制御システム)は、前方飛行位置(
図2Aに図示されている)から垂直方向リフト位置(
図2Bに図示されている)へ;および、垂直方向リフト位置(
図2Bに図示されている)から前方飛行位置(
図2Aに図示されている)へ、ティルティングファンアッセンブリ204の位置決めを切り替えるようにティルティングメカニズム208を制御するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、制御システム250は、センサー(たとえば、空気温度、電気モーター温度、航空機の対気速度などを測定するセンサー)、コンピューター、および、航空機に連結されている他の入力/出力デバイスから受信されるセンサーデータおよび/またはフライトデータに基づいて、2つの位置の間でティルティングファンアッセンブリ204を制御することが可能である。
【0031】
ティルティングファンアッセンブリ204は、1つまたは複数のティルティングメカニズムを介して翼に連結され得り、ティルティングファンアッセンブリ204は、ティルティングメカニズム208を介して個別に制御され得る。フライト制御システムは、ティルティングメカニズム208を同時に制御するように構成され得り、すべてのティルティングファンアッセンブリ204を同じ位置に同時に位置決めするようになっている。代替的に、フライト制御システムは、ティルティングメカニズム208を互いに独立して制御するように構成され得る。このように、フライト制御システムは、1つまたは複数のティルティングファンアッセンブリ204を識別することが可能であり、識別されたティルティングファンアッセンブリ204をティルティングファンアッセンブリの残りから独立して制御することが可能である。さまざまな実施形態によれば、フライト制御システムは、対称のおよび/または非対称のティルティングを使用し、ホバリングおよび移行(たとえば、垂直方向リフトと前方飛行との間の移行)の間の制御を増強することが可能である。ティルティングの追加的な自由度は、モーターアウト条件および公称条件の間の制御を増強することが可能である。
【0032】
図2A~
図2Bは、翼の前部(たとえば、前)縁部の上のティルティングファンアッセンブリ204、および、翼の後部(たとえば、後)縁部の上のリフトファンアッセンブリ202を図示しているが、この構成は、例示目的のためのものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリ202は、翼の前縁部の上に提供され得り、ティルティングファンアッセンブリ204は、翼の後縁部の上に提供され得る。
【0033】
さらに他の実施形態において、ティルティングファンアッセンブリ204およびリフトファンアッセンブリ202は、翼の前部部分および後方部分のそれぞれ一方の上に交互に設けられ得る。たとえば、第1の翼の前縁部は、第1のティルティングファンアッセンブリ204、リフトファンアッセンブリ202、および、第2のティルティングファンアッセンブリ204を含むことが可能である。第2の翼の前縁部は、ティルティングファンアッセンブリ204、リフトファンアッセンブリ202、および、別のティルティングファンアッセンブリ204を含むことが可能である。代替的に、第2の翼の前縁部は、第1のリフトファンアッセンブリ202、ティルティングファンアッセンブリ204、および、第2のリフトファンアッセンブリ202を含むことが可能である。同様の構成は、同様に、第1および第2の翼の後縁部にも適用され得る。
【0034】
図1A~
図2Bは、翼に連結されている複数のティルティングファンメカニズムを図示しているが、代替的な実施形態において、複数のティルティングファンメカニズムは、胴体に連結され得る。たとえば、複数のティルティングファンメカニズムは、胴体に連結されている1つまたは複数の横方向の支持構造体(たとえば、横方向ブーム)に連結され得る。
【0035】
図3A~
図3Bは、ティルティングファンアッセンブリを備えたVTOL航空機の別の実施形態を図示している。
図3A~
図3Bに図示されているVTOL航空機300は、航空機の機首のより近くに、翼の前部に提供された横方向ブーム310を含む。1つまたは複数のティルティングファンアッセンブリ314、324は、横方向ブーム310に連結されている。いくつかの実施形態において、横方向ブーム310は、航空機の横方向軸線に平行な軸線の周りにティルトするティルティングブームであることが可能であり、それによって、前方飛行位置(
図3Aに図示されている)と垂直方向リフト位置(
図3Bに図示されている)との間で同時にティルティングファンアッセンブリ314、324を移動させることが可能である。そのような実施形態では、横方向ブーム自身がティルティングブームである場合には、ティルティングメカニズムを介してティルティングファンアッセンブリ314、324を横方向ブーム310に連結することは必要でない可能性がある。横方向ブーム310のティルティングは、ティルティングファンアッセンブリ314、324の位置を修正するために制御され得る。他の実施形態において、横方向ブームおよびティルティングファンアッセンブリの両方は、互いに独立してティルトすることが可能である(たとえば、ティルティングファンアッセンブリ314は、1つまたは複数のティルティングメカニズムを介してティルティング横方向ブームに連結され得る)。
【0036】
横方向ブーム310は、単一のブームとして形成され得り、または、胴体の両側に連結されている2つの別個の横方向ブームとして形成され得る。横方向ブーム310は、1対の翼の前方において胴体に連結され得る。
【0037】
図1A~
図1Cに図示されている実施形態と同様に、
図3A~
図3Bに図示されている例示的なVTOL航空機300は、2つのブーム304を含み、2つのブーム304は、それぞれの翼の上の1対のリフトファンアッセンブリ302をそれぞれ担持している。例示的なVTOL航空機300は、より短いブーム306をさらに含み、より短いブーム306は、それぞれの翼に連結されており、単一のリフトファンアッセンブリ308を担持するそれぞれの翼の一方の側(たとえば、後部側)のみに延在している。
図3A~
図3Bに図示されているように、例示的なVTOL航空機は、10個のリフトファンアッセンブリおよび2つのティルティングファンアッセンブリを含む。
【0038】
図3Aは、ティルティングファンアッセンブリ314、324が前方飛行位置にある状態のVTOL航空機300の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
【0039】
図3Bは、ティルティングファンアッセンブリ314、324が垂直方向リフト位置にある状態のVTOL航空機300の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
【0040】
航空機300に連結されている制御システム350(たとえば、フライト制御システム)は、前方飛行位置(
図3Aに図示されている)から垂直方向リフト位置(
図3Bに図示されている)へ;および、垂直方向リフト位置(
図3Bに図示されている)から前方飛行位置(
図3Aに図示されている)へ、ティルティングファンアッセンブリ314、324を制御するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、制御システムは、センサー(たとえば、空気温度、電気モーター温度、航空機の対気速度などを測定するセンサー)、コンピューター、および、航空機に連結されている他の入力/出力デバイスから受信されるセンサーデータおよび/またはフライトデータに基づいて、2つの位置の間でティルティングファンアッセンブリ314、324のティルティングを制御することが可能である。
【0041】
横方向ブーム310がティルティングブームである実施形態では、制御システム350は、前方飛行位置(
図3Aに図示されている)から垂直方向リフト位置(
図3Bに図示されている)へ;および、垂直方向リフト位置(
図3Bに図示されている)から前方飛行位置(
図3Aに図示されている)へ、ティルティングファンアッセンブリ314、324の位置決めを切り替えるように横方向ブーム310のティルティングを制御するように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、制御システムは、センサー(たとえば、空気温度、電気モーター温度、航空機の対気速度などを測定するセンサー)、コンピューター、および、航空機に連結されている他の入力/出力デバイスから受信されるセンサーデータおよび/またはフライトデータに基づいて、2つの位置の間で横方向ブーム310のティルティングを制御することが可能である。
【0042】
いくつかの実施形態において、横方向ブーム310は、航空機のテールのより近くにおいて(または、航空機のテールの上に)、翼の後ろに提供され得る。そのような実施形態では、単一のリフトファンアッセンブリ308を担持する、それぞれの翼の一方の側のみに延在するより短いブーム306が、翼の前縁部に向けて延在することが可能である。
【0043】
代替的な実施形態によれば、ティルティングファンアッセンブリ314、324は、それぞれのティルティングメカニズムを介して横方向ブーム310に連結され得る。したがって、横方向ブーム310自身は、ティルティングブームであってもよく、または、ティルティングブームでなくてもよい。そのような実施形態では、ティルティングファンアッセンブリ314、324は、個別に(垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で)位置を切り替えるように制御され得る。そのような実施形態では、故障した(たとえば、壊れたまたは動かない)ティルティングファンアッセンブリを排除することによって、および、残りのティルティングファンアッセンブリを前方飛行位置から垂直方向リフト位置へ制御することによって、緊急着陸を行うことが依然として可能であり得る。たとえば、ティルティングファンアッセンブリ314、324は、同時に位置を切り替えるように個別に制御され得る。さらに別の例によれば、ティルティングファンアッセンブリ314、324は、異なる時間に(たとえば、連続的に、次々に)位置を切り替えるように個別に制御され得る。
【0044】
さまざまな実施形態によれば、任意の数のリフトファンアッセンブリが、VTOL航空機に連結され得る。たとえば、航空機は、(
図2Aに示されているように)それぞれの翼に連結されている3つのリフトファンアッセンブリを含むことが可能であり、または、航空機は、(
図1Aおよび
図3Aに示されているように)それぞれの翼に連結されている5つのリフトファンアッセンブリを含むことが可能である。他の実施形態は、リフトファンアッセンブリを含まないか(たとえば、リフトは、垂直方向の位置にあるティルティングファンアッセンブリを使用して生成され、したがって、航空機は、任意の数のティルティングファンアッセンブリを含むことが可能である)、2つのリフトファンアッセンブリを含むか、4つのリフトファンアッセンブリを含むか、または、6つの(もしくは、それ以上の)リフトファンアッセンブリを含むことが可能である。さまざまな実施形態によれば、航空機に連結されているリフトファンアッセンブリおよびティルティングファンアッセンブリの組み合わせられた数は、少なくとも12であることが可能である。
【0045】
さまざまな実施形態において、制御システム(たとえば、航空機のフライト制御システムなど)は、航空機のアクチュエーター(ローター、空気力学的な操縦翼面、ティルティングファンアッセンブリ、リフトファンアッセンブリ)を制御し、航空機が垂直方向リフト(たとえば、離昇/ホバリング/着陸)モードと前方飛行モードとの間で移行することを引き起こすように構成され得る。たとえば、制御システムは、フライトインストラクション(たとえば、離昇インストラクション、ホバリングインストラクション、着陸インストラクション、または前方飛行インストラクションなど)を受信するように構成され得る。フライトインストラクションが離陸インストラクションまたは着陸インストラクションである場合には、制御システムは、前方飛行位置にある複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を、垂直方向リフト位置へと制御することが可能である。フライトインストラクションが前方飛行インストラクションである場合には、制御システムは、垂直方向リフト位置にある複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を、前方飛行位置へと制御することが可能である。次いで、制御システムは、航空機に連結されている複数のティルティングファンアッセンブリの位置を決定し、フライトインストラクションに基づいて、垂直方向リフト位置と前方飛行位置との間で、複数のティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を制御することが可能である。制御システムは、フライトインストラクションを考慮して、複数のティルティングファンアッセンブリの位置を連続的にモニタリングすることが可能である。
【0046】
図4は、垂直方向リフトと前方飛行との間の移行を通して、垂直方向の離着陸のために構成されているVTOL航空機のフライトを制御するためのプロセスの実施形態を図示するフローチャートである。
【0047】
ステップS400において、航空機は、地面の上の静止した位置にあることが可能である。たとえば、航空機は、バッテリーを充電するための充電ステーションに駐機され得る。代替的に、航空機は、貨物または乗客を受け入れるのを待つ場所に駐機され得る。VTOL航空機のフライト制御システムは、所定の目的地に到着するための(たとえば、オートパイロット、パイロット、またはリモートコントローラーパイロットからの)飛行計画を受け取ることが可能である。飛行計画は、地面から離陸するためのインストラクションを含むことが可能である。
【0048】
ステップS402において、フライト制御システムは、航空機のすべてのティルティングファンアッセンブリが垂直方向リフト位置にあるかどうかを決定することが可能である。さまざまな実施形態によれば、垂直方向リフト位置にあるすべてのファンアッセンブリに垂直方向の揚力を生成させることが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態において、航空機が使用されていないときに(たとえば、地面に駐機されているとき、または、充電されているとき)、航空機は、すべてのティルティングファンアッセンブリを垂直方向リフト位置に維持するように構成され得る。
【0049】
ステップS402において、すべてのファンアッセンブリが垂直方向リフト位置にあるわけではないということが決定される場合には、フライト制御システムは、前方飛行位置にあるティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を垂直方向リフト位置に切り替えるように制御することが可能である(ステップS404)。たとえば、ティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数は、航空機が試験またはメンテナンス目的のために地面の上にいた間に、前方飛行位置に切り替えられている場合がある。
【0050】
ステップS406において、フライト制御システムは、航空機を地面から離昇させるための離陸シーケンスを開始させることが可能である。離陸シーケンスの間に、垂直方向リフト位置にあるリフトファンメカニズムおよびティルティングファンメカニズムが、すべて活性化させられ得る。
【0051】
ステップS408において、ステップS406を実施してから所定の量の時間が経過した後に、フライト制御システムは、前方飛行に移行するためのインストラクションを受信することが可能である。前方飛行モードに切り替える前に、制御システムは、航空機の高度、速度、および配向のうちの1つまたは複数をチェックし、パラメーターが所定の望ましい範囲内にあることを保証することが可能である。いくつかの実施形態において、制御システムは、パラメーターを遠隔エンティティー(たとえば、リモート制御タワー、リモートパイロット)に通信することが可能である。
【0052】
さまざまな実施形態において、所望の高度(たとえば、設計最小値、または、閾値よりも大きい)を達成することによって、および、ティルティングファンアッセンブリが前方飛行位置へ回転させられて高度を維持するのに十分な揚力を発生させ始めるように前方対気速度を増加させながら、安定性および高度を維持するために必要とされるのに応じてローターへの動力を調節しながら、ティルティングファンアッセンブリを前方飛行位置へ実質的に連続的に回転させることによって、前方飛行への移行が実現され得る。
【0053】
前方飛行に移行するためのインストラクションを受信すると、ステップS410において、制御システムは、ティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を制御し、垂直方向リフト位置から前方飛行位置へ切り替えることが可能である。いくつかの実施形態において、ティルティングファンアッセンブリは、実質的に同時に制御され得る。
【0054】
ステップS412において、制御システムは、ホバリングするかまたは着陸するための(たとえば、オートパイロット、パイロット、または遠隔エンティティーからの)インストラクションを受信することが可能である。それに応答して、ステップS414において、フライト制御システムは、ティルティングファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を制御し、前方飛行位置から垂直方向リフト位置へ切り替えることが可能である。ステップS416において、フライト制御システムは、航空機をホバリングさせるかまたは地面の上に着陸させるために、ホバリングまたは着陸シーケンスを開始させることが可能である。
【0055】
本明細書で議論されているさまざまな実施形態は、
図1A~
図3Bに図示されており、特定のテールを備えた航空機を使用する。しかし、実施形態は、図に図示されている特定のテールまたは航空機構成に限定されない。実施形態は、代替的なテールまたは代替的な設計を備えた航空機(従来のテールを備えた航空機、複数のテールを備えた航空機、または、テールを備えない航空機を含むがそれに限定されない)と組み合わせられ得るということを当業者は認識することとなる。
【0056】
簡単にするために、さまざまなアクティブおよびパッシブ回路コンポーネントは、図に示されていない。先述の明細書において、本開示の実施形態は、実装形態ごとに変化し得る多数の特定の詳細を参照して説明されてきた。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示目的の意味で見なされるべきである。本開示の範囲の唯一かつ排他的なインジケーター、および、本開示の範囲であるということを本出願人によって意図されているものは、本出願から生じる請求項のセットの文言通りの範囲および均等の範囲であり、そのような請求項が生じる特定の形態において、任意の後続の修正を含む。特定の実施形態の特定の詳細は、本開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく任意の適切な様式で組み合わせられ得る。
【0057】
説明されている実施形態の電子コンポーネントは、必要とされる目的のために特別に構築され得り、または、コンピューターの中に記憶されたコンピュータープログラムによって選択的に活性化もしくは再構成される1つもしくは複数の汎用コンピューターを含むことが可能である。そのようなコンピュータープログラムは、コンピューター可読のストレージ媒体(たとえば、それに限定されないが、フロッピーディスク、光ディスク、DVD、CD-ROM、磁気光ディスク、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードもしくは光学カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、または、電子的なインストラクションを記憶するのに適切な任意のタイプの媒体を含む任意のタイプのディスクなど)の中に記憶され得り、コンピューターシステムバスにそれぞれ連結され得る。
【0058】
追加的に、空間的に相対的な用語(たとえば、「前部」または「後ろ」など)は、たとえば、図に図示されているように、別のエレメントおよび/または特徴に対するエレメントおよび/または特徴の関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている配向に加えて、使用および/または動作におけるデバイスの異なる配向を包含するように意図されているということが理解されることとなる。たとえば、図の中のデバイスがひっくり返される場合には、「前部」表面として説明されているエレメントは、他のエレメントまたは特徴から「後ろ」に配向され得る。デバイスは、その他の方法で配向され得り(たとえば、90度回転させられるか、または、他の配向)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述子は、それにしたがって解釈される。