(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】医療用容器に取り付けるためのアダプタ、前記アダプタを含む医療用容器、および前記医療用容器を含む薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/34 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A61M5/34 510
A61M5/34 530
A61M5/34 540
(21)【出願番号】P 2022549571
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2021053851
(87)【国際公開番号】W WO2021165297
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-01-23
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セドリック リヴィエ
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0178627(US,A1)
【文献】特表2016-525003(JP,A)
【文献】特開2008-119359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器(100)をニードルハブなどのコネクタ(200)に接続するためのアダプタ(1)であって、前記アダプタ(1)は、
医療用容器(100)の遠位先端(102)に固定されるように構成された近位部分(4)と、
前記コネクタ(200)を受け入れるように構成された遠位部分(6)と、を有する管状壁(2)を備え、前記アダプタ(1)がさらに、
前記管状壁(2)を通って延びる少なくとも1つの開口部(8)と、
前記コネクタ(200)を前記アダプタ(1)に固定するために、前記コネクタ(200)の外翼などの接続要素(202)と協働するように構成された内側螺子(9)であって、前記接続要素(202)を前記少なくとも1つの開口部(8)に誘導するように構成される前記内側螺子(9)と、を備え、
前記コネクタ(200)が、前記アダプタ(1)と前記コネクタ(200)との接続が完了する漏れ限界位置に達したときに、前記接続要素(202)がエンドユーザに見えるように、前記少なくとも1つの開口部(8)が前記内側螺子(9)に対して配置され、
前記管状壁(2)は、前記コネクタ(200)が前記アダプタ(1)にねじ込まれたときに、前記コネクタ(200)の前記接続要素(202)に半径方向内向きの力を及ぼすように構成された内面(22)を有し、前記管状壁(2)の前記内面(22)は、
前記開口部(8)に対して配置されたテーパ部分(26)を備え
、前記開口部(8)内で前記接続要素(202)を解放し、それによって、前記接続が完了したことを前記エンドユーザに音で知らせる、アダプタ(1)。
【請求項2】
前記開口部(8)が、少なくとも部分的に前記内面(22)を通って延びている、請求項1に記載のアダプタ(1)。
【請求項3】
前記開口部(8)が、前記内側螺子(9)の螺子山根(92)に位置する、請求項1または請求項2に記載のアダプタ(1)。
【請求項4】
前記開口部(8)は、前記接続要素(202)を収容するように構成される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項5】
前記アダプタ(1)が、前記医療用容器(100)の前記遠位先端(102)に接着され、クリップされ、またはスナップフィットされるように構成される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項6】
前記アダプタ(1)が、光透過材料で作られている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項7】
遠位先端(102)と、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアダプタ(1)とを備え、前記アダプタ(1)が前記遠位先端(102)に固定されている、医療用容器(100)。
【請求項8】
前記アダプタ(1)の内面(22)および前記遠位先端(102)の外面(103)は、前記コネクタ(200)を受け入れるように構成された空洞(20)を画定し、前記空洞(20)は、近位に減少する断面を有する、請求項7に記載の医療用容器(100)。
【請求項9】
前記遠位先端(102)が円錐台形を有する、請求項7または請求項8に記載の医療用容器(100)。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の医療用容器(100)と、前記アダプタ(1)に固定されるように構成されたコネクタ(200)とを備える薬物送達デバイス(300)。
【請求項11】
前記開口部(8)と前記接続要素(202)とが相補的な形状をしている、請求項10に記載の薬物送達デバイス(300)。
【請求項12】
前記接続要素(202)が、前記開口部(8)に到達すると、前記開口部(8)の壁にぶつかるように構成される、請求項10または請求項11に記載の薬物送達デバイス(300)。
【請求項13】
前記アダプタ(1)は、第1のシェードを備え、前記接続要素(202)は、前記第1のシェードとは異なる第2のシェードを備える、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器に取り付けるためのアダプタ、前記アダプタを含む医療用容器、および前記医療用容器を含む薬物送達デバイスに関する。
【発明の概要】
【0002】
本出願において、構成部分またはデバイスの遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解され、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるものである。同様に、本出願において、”遠位方向“は、本発明のアダプタまたは医療用容器に関して、注入の方向を意味すると理解され、”近位方向”は、上記注入の方向とは反対の方向、すなわち、注入操作に関して、容器を保持している使用者の手に向かう方向を意味すると理解されるものである。
【0003】
基本的に、例えば注射器といった医療用容器は、その高い化学的不動態性、低いガス透過率および高い透明性のためにガラスでできていることが好ましく、それによって長期保存および容易な検査が可能となる。
【0004】
医療用容器は、通常、医療用製品を収容するためのリザーバを形成する容器を備える。容器は、医薬品が容器から排出される軸方向の通路を画定する長手方向の先端の形態の遠位端を有する。しかしながら、この長手方向の先端は、それ自体で非経口投与を可能にせず、注射器をニードルハブなどのコネクタに接続することを可能にする杭付きニードルまたはアダプタのいずれかを備えなければならない。このコネクタは、典型的には、アダプタにねじ込まれ、容器の遠位端に係合して、リザーバと前記コネクタとの間の流体経路を確立する。
【0005】
コネクタがアダプタに適切にねじ込まれていることが重要である。エンドユーザは、コネクタの適切な継手を容器の遠位端に取り付けるために、コネクタをアダプタにねじ込むときに十分なトルクをかけなければならない。アダプタへのコネクタのねじ切り不足またはねじ切り過ぎは、容器とコネクタとの間で流体を移送するときに、内部圧力によるコネクタの漏れまたは噴出をもたらす可能性がある。
【0006】
したがって、コネクタがアダプタに正しく接続されていることをエンドユーザに示し、したがって、接続および注入ステップ中のエンドユーザの信頼性を向上させる医療用容器が必要である。
【0007】
文書US2006178627は、注射器本体の遠位開口部を閉じるための注射器先端キャップを開示する。文書WO2011068544は、ペン注入デバイスと併せて薬剤を含有および分配するためのカートリッジを開示している。文書US2020022870は、バイアルに結合するためのアダプタを開示し、前記アダプタは、バイアルに含まれる製品で充填される注射デバイスによる複数の無菌針穿刺を可能にする。
【0008】
本発明の態様は、医療用容器をコネクタに接続するためのアダプタであって、アダプタは、
医療用容器の遠位先端に固定されるように構成された近位部分と、
前記コネクタを受け入れるように構成された遠位部分と、を有する管状壁から構成されており、前記アダプタは、
前記管状壁を通って延びる少なくとも1つの開口部と、
前記コネクタを前記アダプタに固定するために、前記コネクタの接続要素と協働するように構成された内側螺子であって、前記接続要素を前記少なくとも1つの開口部に誘導するように構成される前記内側螺子と、を更に備え、
前記少なくとも1つの開口部は、前記アダプタと前記コネクタとの間の前記接続が完了したときに、前記接続要素がエンドユーザに可視化されるように、前記内側螺子に対して配置される。したがって、アダプタは、接続が完了したことを視覚的に示す。
【0009】
したがって、本発明のアダプタは、コネクタが安全かつ十分にアダプタにねじ込まれていることを視覚的に示す。これにより、コネクタのアダプタへのねじ込みが過剰または不足することが防止される。
【0010】
一実施形態では、管状壁は、コネクタがアダプタにねじ込まれたときに、コネクタの接続要素に半径方向内向きの力を及ぼすように構成された内面を有する。
これにより、接続要素が開口部の壁にぶつかり、開口部に入ると音が発生する。その結果、アダプタはさらに、接続が完了したことを示す音声表示を提供し得る。
【0011】
好ましくは、管状壁の内面は、テーパ部分を含む。
したがって、先細になった内面は、接続要素の漸進的な圧縮を引き起こし、それによってねじ込みトルクの急激な増加を回避する。これはまた、アダプタにねじ込まれたときにコネクタが均一に応力を受けることを可能にし、それによって接続の信頼性を向上させる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの開口部は、少なくとも部分的に、前記内面を通って、好ましくは、前記テーパ部分を通って延びる。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つの開口部は、内側螺子(inner thread)の螺子山根(thread root)に位置する。
これにより、接続の信頼性が向上する。
【0014】
一実施形態では、少なくとも1つの開口部は、接続要素を収容するように構成される。
したがって、開口部は、アダプタに対して固定されたコネクタを維持するのに役立ち、それによって、コネクタのさらなるねじ込みまたは引き抜きを防止する。これにより、ねじ込み接続とスナップフィット接続の両方の利点から利益を得ることができる。
【0015】
アダプタは、有利には、少なくとも2つの開口部を含む。したがって、エンドユーザは、接続が完了したことを視覚的に確認するためにアダプタを回転させる必要はない。好ましくは、2つ以上の開口部は、円周方向に規則的に分布している。これにより、コネクタの非対称変形を回避することができる。
【0016】
一実施形態では、アダプタは、医療用容器の遠位先端に接着、クリップ、またはスナップフィットされるように構成される。
【0017】
一実施形態では、アダプタは、光透過性材料(light-transmitting material)で作製される。
これにより、開口部に係合された接続要素によって提供される視覚的表示が強化される。
【0018】
アダプタは、射出成形されてもよい。
【0019】
本発明の別の態様は、遠位先端および上述のアダプタを含む医療用容器であり、前記アダプタは遠位先端に固定されている。
【0020】
一実施形態では、アダプタの内面および遠位先端の外面は、コネクタを受け入れるように構成された空洞(cavity)を画定し、前記空洞は、近位に減少する断面を有する。
これは、アダプタの内面によって接続要素に及ぼされる半径方向の圧力を増加させ、それによってエンドユーザに提供される可聴表示を改善する。
【0021】
遠位先端は、円筒形または円錐台形(frustoconical shape)を有し得る。
一実施形態では、遠位先端は、円錐台形を有する。
【0022】
アダプタは、遠位先端に接着、クリップ、またはスナップフィットすることができる。
【0023】
医療用容器は、ガラスまたはプラスチック材料でできていてもよい。
【0024】
別の態様は、上述の医療用容器と、アダプタに固定されるように構成されたコネクタとを含む薬物送達デバイスである。
コネクタは、ニードルハブであってもよい。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの開口部および接続要素は、相補的に成形される。
したがって、開口部と接続要素は、ねじ込み接続とスナップフィット接続の両方を実現している。
【0026】
一実施形態では、接続要素は、開口部に到達するときに開口部の壁に当たるように構成される。
例えば、接続要素は、開口部の内側縁部、または前記開口部の遠位および/または近位の当接面(abutment surfaces)に当たることができる。
【0027】
アダプタは、いくつかの開口部を含み得、コネクタは、いくつかの接続要素を含み得、前記接続要素のそれぞれは、アダプタの対応する開口部に受容される。これにより、コネクタの非対称変形を回避することができる。開口部は、それぞれ、接続要素を円周方向に規則的に分布させてもよい。
典型的には、アダプタは、2つの開口部を含み、コネクタは、外翼などの2つの接続要素を含む。
【0028】
一実施形態では、アダプタは、第1のシェード(shade)を含み、接続要素は、前記第1のシェードとは異なる第2のシェードを含む。
【0029】
アダプタは、ポリカーボネート(PC)を含んでもよく、コネクタは、ポリプロピレン(PP)を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明およびそれから生じる利点は、以下の添付の図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるアダプタの側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるアダプタの断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態によるアダプタおよび医療用容器の側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態によるアダプタおよび薬物送達デバイスの側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態によるアダプタおよび薬物送達デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるアダプタ1が示される。
図4を参照すると、アダプタ1は、医療用容器100の遠位先端102に、より正確には、上記遠位先端102の外面に取り付けることが意図されたものである。上記外面は、円筒形または遠位に向かって先細な形とすることができる。遠位先端102は、長手方向(longitudinal direction)Aに延びる。
図5に示されるように、アダプタ1は、コネクタ、より具体的にはニードルハブ200をこの遠位先端102に接続することを可能にする。コネクタは、コネクタをアダプタ1に固定するために、外翼202などの接続要素を備える。
【0032】
図1~3を参照すると、アダプタ1は、内部空洞(内腔)20を画定する管状壁2の形態の円筒体を備える。アダプタ1は、医療用容器100に固定されるように構成された取り付けリングの形態であってよい近位部分4と、遠位先端102の通路と前記コネクタとの間に信頼できる流体連通を確立するためにコネクタを受け入れるように構成された接続リングの形態であってよい遠位部分6とを画定する。
【0033】
管状壁2は、内面22および外面24を有する。管状壁2は、コネクタとアダプタ1との間の接続が完了したことをエンドユーザに視覚的に示すために、コネクタの接続要素(複数可)と協働するように構成された1つまたは複数の貫通する、例えば2つの開口部8を備える。図示の例では、ニードルハブ200が2つの外翼202を含むため、管状壁2は2つの開口部8を含む。これらの開口部8のそれぞれは、前記外翼202の対応する1つと協働するように構成される。開口部8は、円周方向に規則的に分布し得る。したがって、
図1~7に示される2つの開口部8は、直径方向に正反対である。
【0034】
1つまたは複数の開口部8は、管状壁2の内面22から外面24まで、好ましくは直線的な半径方向に延在し、それによってエンドユーザに内腔20の可視性を提供する。
図2または
図4に見られるように、1つまたは複数の開口部8はまた、縦軸(longitudinal axis)Aに直交する平面内に延在してもよく、それによって、内側螺子9に対して傾斜してもよい。
【0035】
図3を参照すると、アダプタ1、より具体的には遠位部分6は、内面22から突出する内側螺子9をさらに備える。内側螺子9は、螺子山頂90および螺子山根92を画定する。内側螺子9は、ニードルハブ200をアダプタ1に固定するために、ニードルハブ200の外翼202と協働するように構成される。内側螺子9はまた、ニードルハブ200とアダプタ1との間の接続が完了するとすぐに外翼202がエンドユーザに見えるように、外翼202を開口部8に向かって誘導するように構成される。1つまたは複数の開口部8は、コネクタがアダプタ1にねじ込まれるときに、接続要素(複数可)の経路上に配置される。より具体的には、1つ以上の開口部8は、内側螺子9の螺子山根92内に延在する。1つ以上の開口部8はまた、
図3に示すように、内側螺子9の螺子山頂90に隣接するか、またはそれを通って延びる円周方向に、より具体的には、前記螺子山頂90の遠位側に一端を有してもよい。
【0036】
1つまたは複数の開口部8は、ニードルハブ200とアダプタ1との間の接続が安全かつ完了したときにのみ、外翼202がエンドユーザに見えるようにアダプタ1内にある。これは、実質的に、
図5~7に示されるように、ニードルハブ200が医療用容器100の遠位先端102と適切に適合する所定の位置に対応する。前記所定の位置は、ISO80369-7(2016)(パラグラフ6.1および6.2)に定義されるように、ニードルハブ200の漏れ限界であると有利に定義される。ニードルハブ200の接続が不十分で、前記位置に達していない場合でも、漏れが生じ得る。それどころか、ニードルハブ200が過度に接続されている場合、ニードルハブ200は壊れるか、アダプタから排出され得る。1つまたは複数の開口部8は、ニードルハブ200が漏れ限界位置に達したときにのみ、接続要素、すなわち外翼202を収容するように構成されることに留意されたい。
【0037】
図3に示されるように、1つまたは複数の開口部8は、外翼202が縦軸Aを中心に少なくとも1つの360°回転した後に開口部8に到達するように、内側螺子9の遠位端から少なくとも1つの螺子ピッチに位置してもよい。
【0038】
図4を参照すると、1つ以上の開口部8は、アダプタ1の遠位端からの距離dに位置し得、前記距離dは、例えば、少なくとも2mmに等しく、好ましくは6mm以下である。1つ以上の開口部8は、少なくとも0.5mm、好ましくは1mm以下であってよい幅wを有してもよい。1つ以上の開口部8は、少なくとも5mm、好ましくは7mm以下であってよい円弧長Lを有してもよい。
【0039】
内面22は、ニードルハブ200がアダプタ1にねじ込まれたときに、外翼202に半径方向内向きの力を及ぼすように構成され得ることに留意されたい。例えば、内面22は、近位方向に減少する断面を区切る近位テーパ部分26を含み得る。テーパ部分26は、円錐台形を有し得る。開口部8は、前記部分26に対して近位に位置してもよく、または内面22の前記部分26を貫通して、好ましくは部分26の近位端に配置されてもよい。その結果、ニードルハブ200がアダプタ1にねじ込まれると、外翼202は弾性的に変形する。1つまたは複数の開口部8は次いで、開口部8の壁に当たる外翼202を解放し、それによって、接続が完了したことをエンドユーザに聞こえる表示を提供する。内面22は、テーパ(先細り)部分26に対して近位および/または遠位に円筒形部分をさらに備え得る。図には示されていないが、代替的に、内面22は完全に円筒形であり得、外翼202に対して反応力を及ぼし得、前記外翼202は、ニードルハブ200がアダプタ1にねじ込まれたときに円錐台形を有する遠位先端102によって内面22に押し付けられる。
【0040】
内面22がテーパ部分26を含む場合、内側螺子9の螺子山根92のみが先細りすることが企図される。しかしながら、螺子山頂90は、実質的に円筒形状を有する。すなわち、螺子山頂90は、内面によって画定される導管の直径が近位に減少する間、依然として一定の直径を画定する。
【0041】
1つ以上の開口部8は、内側螺子9および外翼202によって達成される螺子接続に加えて、スナップフィット接続を達成するために、対応する外翼202を収容するように構成される。その結果、弾性的に変形した外翼202は、接続が安全であるとき、開口部8に飛び出す。
【0042】
より具体的には、1つ以上の開口部8および外翼202は、外翼202が開口部8と係合し、前記開口部8の内部に閉じ込められたままとなるように、相補的に形作られてもよい。
図6および7を参照すると、外翼202は、開口部8に少なくとも部分的に入るように構成された自由端204を有し得る。前記自由端204は、半径方向外向きにテーパ形状を有し得る。したがって、自由端204は、開口部8の内縁部80でアダプタ1に当たってもよい。1つ以上の開口部8は、外翼202を長手方向Aにブロックする近位および遠位の当接面(abutment surfaces)82、84を画定してもよく、1つ以上の開口部8はまた、外翼202を円周方向にブロックするために、直交当接面86を有してもよく、それによって、ニードルハブ200のアダプタ1への任意のさらなるまたは逆方向のねじ込みを防止する。
【0043】
アダプタ1は、好ましくは、医療用容器100の遠位先端102上に接着されてもよい。したがって、アダプタ1の近位部分4は、接着材料を受け入れるように構成された収容空間を備え得る。
【0044】
アダプタ1は、プラスチック材料、より正確には、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、およびこれらの組み合わせなどの医療用途に適合した任意の剛性ポリマーで作製されてもよい。好ましくは、アダプタ1はポリカーボネート(PC)製である。アダプタ1は、好ましくは、透光性材料で作られる。アダプタは、射出成形されてもよい。
【0045】
図4を参照すると、本発明はまた、遠位先端102および上述のアダプタ1を含む医療用容器100に関し、前記アダプタ1は、例えば、接着によって遠位先端102に取り付けられる。医療用容器は、ガラス製であってもよい。好ましくは、医療用容器は、シリンジ、例えば、充填済みまたは充填可能なシリンジである。医療用容器100は、医療用品のための貯留槽を画定する管状バレル104を含む。遠位先端102は、円筒状であっても、遠位に先細になっていてもよい。
【0046】
内面22の円錐(conical portion)部分26および/または遠位先端102の円錐形状により、内部空洞20は、近位に減少する断面を有する。したがって、内面22は、弾性的に変形される外翼202に半径方向の力を及ぼす。外翼202は、開口部8に到達した瞬間から元の形状に戻り、それによって接続完了を示す音を生成する。
【0047】
図5および6を参照すると、本発明はまた、上述の医療用容器100およびアダプタ1に固定されたニードルハブ200などのコネクタを含む薬物送達デバイス300に関する。ニードルハブ200は、遠位先端102、針カニューレ、および弾性アーム206を受容するための開放近位端を有し、前記弾性アーム206は、外翼202に設けられた端部を有する。
【0048】
薬物送達デバイス300のアダプタ1は、ニードルハブ200の外翼202と同じくらい多くの開口部を備え得る。外翼202のそれぞれは、開口部8のうちの1つと協働する。開口部8およびそれぞれの外翼202は、円周方向に規則的に分布してもよい。
【0049】
アダプタ1は、ニードルハブ200が前記第1のシェードとは異なる第2のシェードを含む間、有利に、第1のシェードを備え得る。第1のシェードは、光透過性材料であってもよく、第2のシェードは、第1のシェードよりも不透明な材料であってもよい。あるいは、第1のシェードは、第1の色または色合い(color shade)であってよく、第2のシェードは、異なる色または色合いであってよい。
【0050】
アダプタ1は、ポリカーボネート(PC)であってもよく、ニードルハブ200は、ポリプロピレン(PP)であってもよい。