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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】香料提示装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/28 20140101AFI20241213BHJP
【FI】
A63F13/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022556841
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2020039303
(87)【国際公開番号】W WO2022085056
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】町田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】平田 真一
(72)【発明者】
【氏名】浅野 剛史
(72)【発明者】
【氏名】西牧 洋一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高穂
(72)【発明者】
【氏名】植田 祐未
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-130255(JP,A)
【文献】特開2020-162923(JP,A)
【文献】特開平10-085315(JP,A)
【文献】特開平09-327506(JP,A)
【文献】特開2009-265453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/28
A61L 9/12
A63J 5/02
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料を封入した香料封入体を支持する封入体支持部と、
前記香料封入体に物理的に作用して香料封入体内の香料を放出させる作用体と、
前記放出された香料を導出するための所定方向への気流を形成する導出ファンと、
前記封入体支持部と前記作用体とを相対移動させる駆動部と、
を有し、
前記作用体は、前記香料封入体に当接して、前記駆動部により前記封入体支持部に対して相対移動されると、当接状態を維持したまま香料封入体をスクラッチして香料を放出させる香料提示装置。
【請求項2】
請求項に記載の香料提示装置であって、
前記駆動部は、香料を放出する際には、前記封入体支持部と前記作用体とを相対的に往復移動させる香料提示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の香料提示装置であって、
前記封入体支持部は、複数種類の香料をそれぞれ封入した複数種類の香料封入体を支持し、
前記作用体は、前記香料封入体の種類ごとに対応して設けられ、
前記駆動部を特定する情報と、駆動時間の情報とを受け入れて、前記情報で特定される駆動部が対応する作用体を、対応する香料封入体に対して相対移動させて、当該香料封入体内の香料を放出させる香料提示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の香料提示装置であって、さらに、
前記導出ファンが形成する気流の所定方向とは異なる方向に前記放出された香料を排気する排気ファンを有する香料提示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の香料提示装置であって、
前記導出ファンは、前記封入体支持部内で放出された香料を、前記所定方向へ導出するための気流を形成する香料提示装置。
【請求項6】
請求項に記載の香料提示装置であって、
前記導出ファンが形成する気流の所定方向とは異なる方向に、前記放出された香料を排気する排気ファンを有する香料提示装置。
【請求項7】
香料を封入した香料封入体を支持する封入体支持部と、
前記香料封入体に物理的に作用して香料封入体内の香料を放出させる作用体と、
前記放出された香料を導出するための所定方向への気流を形成する導出ファンと、を
有し、
前記封入体支持部は、シート状をなし、香料封入体がその表面に固定された封入体支持部であり、
前記作用体に対して当該封入体支持部を付勢する付勢部材が配されてなる香料提示装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の香料提示装置であって、
前記封入体支持部は、シート状をなし、香料封入体がその表面に固定された封入体支持部であり、
前記作用体に対して当該封入体支持部を付勢する付勢部材が配されてなる香料提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の香料提示デバイスが考えられている。例えば、香料カートリッジに液体香料を封入しておき、このカートリッジを加熱し、液化香料を気化させて、香りを提示するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年では香料をマイクロカプセル等に封入した封入体を用い、この封入体をシート状の媒体等に固定して利用する技術が開発されている。こうした媒体は取り扱いが簡易であるが、機械的に香料を提示することは考えられていないのが現状である。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、封入体を利用した香料提示を行うことのできる香料提示装置を提供することを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来例の問題点を解決するための本発明の一態様は、香料提示装置であって、香料材料を封入した香料封入体を支持する封入体支持部と、前記香料封入体に物理的に作用して香料封入体内の香料材料を放出させる作用体と、前記放出された香料材料を導出するための所定方向への気流を形成する導出ファンと、を有することとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様である香料提示装置によると、封入体を利用した香料提示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る香料提示装置の概略構成を表す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る香料提示装置が備えるトレイ部の構成を表す説明図である。
図3】本発明の実施の形態に係る香料提示装置にセットされる香料担持体の例を表す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係る香料提示装置の機構部の構成例を表す概略説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係る香料提示装置が備える作用部の構成例を表す説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る香料提示装置が備える作用部の構成及び動作例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る香料提示装置100は、家庭用ゲーム機やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に接続されて用いられ、図1に例示するように、トレイ部10と、機構部20と、制御回路部30とを含んで構成されている。なお、各図面において、サイズや比率などは説明のためのものであり、実施の際には適宜変更され得る。
【0009】
トレイ部10は、図1に例示したように、機構部20の側面にヒンジ101を介して連結されており、機構部20とトレイ部10とはヒンジ101に対向する側の側面が閉じた状態とされたとき一体となって容器体を形成し(図1(a))、トレイ部10から機構部20までの全体は柱状の形状となる。図中、Y軸正の方向を以下の説明では上方とし、Y軸負の方向を下方とする。
【0010】
またヒンジ101を開いたとき(図1(b))、機構部20とトレイ部10とはヒンジ101に対向する側の側面が開いた状態となり、トレイ部10の内部へのアクセスが可能となる。
【0011】
本実施の形態のトレイ部10は、封入体支持部として機能し、図2にその一部を破断した状態を例示するように、実質的に矩形状の底面部11と、当該底面部11の周縁部に形成された壁部12と、付勢部13とを含む。この付勢部13は実質的に、壁部12で囲まれた底面部11の内周と同じ形状をなすシート状の押圧体131と、この押圧体131と底面部11との間に介在し、押圧体131を機構部20側へ付勢する弾性体132とを備える。
【0012】
また実施の形態の一例では、トレイ部10の壁部12の一部にはトレイ部10の内側に向けて凸となった凸部が形成され、押圧体131がトレイ部10から外れてしまうことを防ぐように構成されていてもよい。
【0013】
本実施の形態の一例において、このトレイ部10には、図3に例示するような香料担持体200が収納される。この香料担持体200はシート状をなし、実質的に矩形状の形状を有するが、その非対称な位置に切り欠き200a,b…が形成されたものでよい。
【0014】
また香料担持体200の表面側には、香料を封入したマイクロカプセルが少なくとも一層分(一般には多層に積層されて)固定される。図3の例では、香料を封入したマイクロカプセルの層(以下、香料固定部と呼ぶ)201a,b…が、4箇所に、円盤状に形成されている例を示している。もっとも、この形成例は一例であり、これに限られるものではない。また、この各箇所に形成された香料固定部201a,b…に含まれる香料の種類は互いに異なっていてもよいし、同じものであってもよい。
【0015】
このようなマイクロカプセルの香料担持体200への固定は、マイクロカプセルを接着剤とともに香料担持体200上に塗布するなど、広く知られた方法で行われてよい。
【0016】
本実施の形態の香料提示装置100のトレイ部10の底面部11には、この香料担持体200の切り欠き200a,b…に係りあう係合凸部111が形成されていてもよい。この場合、押圧体131は係合凸部111を避けた形状としておく。これにより係合凸部111の上部は押圧体131よりも機構部20側に近接した位置に達し、トレイ部10に香料担持体200を収納する際、香料担持体200を、非対称に形成されたその切り欠き200a,b…が、対応する係合凸部111に係合するように配されることとなるため、その表裏や方向を誤って収納することがなくなる。
【0017】
図4に機構部20の構成を示す。図4(a)に例示するように、機構部20は、機構部筐体21と、香料担持体200上に形成された香料固定部201a,b…の数に応じて設けられる作用部22a,b…と、各作用部22a,b…をそれぞれ駆動する駆動部23a,b…と、気流制御部24とを含む。
【0018】
機構部筐体21は、作用部22a,b…がそれぞれ挿入された状態となる開口部210a,b…が形成された底部211を備え、駆動部23と、気流制御部24とをこの底面の上方に支持する。
【0019】
この作用部22(以下、各作用部22a,b…に共通した構成等については、作用部22というように符号を省略して記載する)は、図5及び図6に例示するように円環状の外周体221を備える。
【0020】
またこの外周体221には、外周体221の中心近傍の点(例えば図6に例示のように外周体221の中心点ないし、外周体221と同心かつ外周体221より小さい半径を有する仮想円C上に円周方向に等間隔にとった複数の点P,Q,R)を起点とする放射状または放射曲線状をなし、その終端側端部が外周体221に固定された複数のスポーク体222a,b…(以下区別の必要がないときはスポーク体222と表記する)が一体的に形成されている。さらにこのスポーク体222の下面(トレイ部10側)には、複数の柱状(図5,6の例では円柱状)の凸部223が設けられている。
【0021】
なお、スポーク体222は外周体221より高さ方向(Y軸方向)に伸びた状態となっており、凸部223の頭部(下方の頂部であって、後に説明するように香料担持体200に当接する側)は、角を落として丸められていてもよい。また外周体221の径は、香料担持体200上に形成された円盤状の香料固定部201の径と同等としておく。
【0022】
この作用部22の凸部223は、機構部筐体21の開口部210の底部よりもトレイ部10の向きに突出する(図4(b))。トレイ部10に香料担持体200を収納して、トレイ部10を閉じたときには、この凸部223は対応する位置にある香料担持体200の香料固定部201に当接する。すなわち本実施の形態では、この凸部223を備えた作用部22が、作用体に相当する。
【0023】
スポーク体222の外側端部2221は外周体221に連結され、またスポーク体222の内側端部は互いに連結されて中心体2222が形成される。さらにスポーク体222上に配された凸部223は、外周体221がその中心まわりに回転したとき、どの凸部の移動軌跡も重なり合わないように配されることが好適である(図6)。なお、図6では、スポーク体222a上の凸部223の移動軌跡を破線、スポーク体222b上の凸部223の移動軌跡を一点鎖線、スポーク体222c上の凸部223の移動軌跡を二点鎖線で示している。
【0024】
駆動部23(以下、各駆動部23a,b…に共通した構成等については、駆動部23というように符号を省略して記載する)は、モータなどのロータリアクチュエータを含んで構成される。この駆動部23の回転軸は、作用部22の外周体221の中心に連結され、作用部22の外周体221を回転駆動する。具体的に図5の例では、複数のスポーク体222が外周体221の中心近傍まで延設されているため、これらスポーク体22が形成する中心体2222の中心、すなわち外周体221の中心に相当する位置2223に駆動部23の回転軸が固定される。
【0025】
本実施の形態の一例では、この駆動部23は、ステッピングモータを備えて、後に説明する制御回路部30から入力される指示に従って、作用部22の外周体221を回転駆動する。この回転制御の方法については後に述べる。
【0026】
気流制御部24は、機構部筐体21の対向する2つの辺のそれぞれに配された一対の導出ファン241a及び排気ファン241bを含んで構成される。この導出ファン241aは、トレイ部10内で放出され、機構部筐体21の開口部210a,b…を介して流出する、気化した香料を、所定の方向、例えば機構部筐体21の外方へ導出する。また、排気ファン241bは、機構部筐体21の開口部210a,b…を介して流出する、気化した香料を、上記所定の方向とは異なる方向、例えば導出ファン241aとは異なる方向であって、機構部筐体21の外方へ導出する。
【0027】
図4に例示した例では、導出ファン241aと排気ファン241bとは機構部筐体21を挟んで互いに対向する位置に配されているため、導出ファン241aと排気ファン241bとは互いに逆方向への気流を生じさせることとなる。本実施の形態の一例では、導出ファン241aが利用者の鼻の方向への気流を生じさせ、排気ファン241bは利用者の鼻から離れる方向への気流を生じさせることとする。
【0028】
なお、このように、利用者の鼻から離れる方向への気流を生じさせる排気ファン241bを設けているのは、提示する香料を切り替える場合や、香料の提示を終了する場合に、利用者の鼻先から、現在までに提示していた香料の成分を迅速に除去するためであるが、その必要がない場合は、この、利用者の鼻から離れる方向への気流を生じさせる排気ファン241bは必ずしも必要ではない。
【0029】
次に、制御回路部30による駆動部23の回転制御の例について説明する。制御回路部30は、マイクロコンピュータ等を含んで構成され、内部に保持しているプログラムに従って動作する。この制御回路部30は、情報処理装置に有線または無線にて接続され、当該情報処理装置から回転させるべき駆動部23a,b…を特定する情報と、放出させる香料の匂いの強度を指定する情報との入力を受け入れて、当該情報で特定される駆動部23a,b…を、所定の方法で回転制御する。
【0030】
ここで香料の匂いの強度を指定する情報は、回転の継続時間または回数等を指定するものであり、制御回路部30は、指定された継続時間または回数だけ、特定された駆動部23a,b…を、F度だけ所定方向へ回転させ、B度だけ上記所定方向とは逆方向に回転させる往復回転動を繰り返す。これにより制御回路部30は、香料担持体200及びそれを支持するトレイ部10に対して作用体である作用部22の凸部223を相対移動させ、凸部223により香料担持体200上に形成した香料のマイクロカプセルを擦り潰して香料を放出させる。
【0031】
ただしここでF>B>0(なお、F,Bは整数である必要はない)とし、1回の往復回転動で、駆動部23a,b…は、F-B度だけ上記所定方向に回転した状態となる。これにより同じ箇所を何度も擦ることを防止できる。一例としてF=5度、B=4度とし、所定方向は駆動部23を下方から見たとき、時計回りに回転する方向とする。また往復回転動は1秒あたり4回(4往復)とする。
【0032】
[動作]
本実施の形態は以上の構成を備え、次のように動作する。本実施の形態の香料提示装置100は、例えば利用者が頭部に装着するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)に取り付けられ、導出ファン241aが生じさせる気流の下流側に利用者の鼻が位置するようにその向きが設定される。また、この香料提示装置100は、家庭用ゲーム機等の情報処理装置に接続される。
【0033】
利用者は、機構部20とトレイ部10とを連結するヒンジ101を開いて、トレイ部10内の、押圧体131上に予め用意した香料担持体200を、配置する。なお、この例では香料担持体200上に形成された香料固定部201a,b…にはそれぞれ互いに異なる匂いの香料が固定されているものとし、どの香料固定部201a,b…にどの種類の匂いの香料が固定されているかは、事前に、情報処理装置に対して設定されているものとする。
【0034】
このとき、香料担持体200は、弾性体132により押圧体131ごと上方に付勢された状態となっているので、利用者がヒンジ101を閉じると、香料担持体200上に形成された香料固定部201a,b…は、それぞれ対応する作用部22a,b…のスポーク体222上に形成された凸部223に当接された状態となる。
【0035】
情報処理装置は、例えばゲームなどのアプリケーションの実行中、当該アプリケーションにより利用者に対して匂いを提示するべき旨の指示が行われると、当該指示に従って、香料提示装置100を制御するための指示を生成する。
【0036】
ここで情報処理装置が生成する指示は、提示するべき匂いの香料を含む香料固定部201a,b…のいずれかに当接している作用部22a,b…に対応する駆動部23a,b…を特定する駆動対象特定情報と、駆動時間を特定する駆動時間情報とを含む。
【0037】
本実施の形態の香料提示装置100の制御回路部30は、情報処理装置からこの指示を受け入れて、指定された継続時間または回数だけ、特定された駆動部23a,b…を、5度だけ所定方向へ回転させ、4度だけ上記所定方向とは逆方向に回転させる往復回転動を繰り返す。また、この制御回路部30は、導出ファン241aを回転させて、香料提示装置100内部から利用者の鼻の方向へ向かう気流を生じさせる。
【0038】
例えばここで提示する香料の種類を、香料固定部201aに固定された香料(従って、駆動対象特定情報は駆動部23aを特定する情報となる)であるものとし、回転継続時間を2秒とすると、その旨の指示を情報処理装置から受け入れた香料提示装置100の制御回路部30は、駆動部23aを選択して、当該選択した駆動部23aを制御し、5度だけ所定方向へ回転させ、4度だけ上記所定方向とは逆方向に回転させる往復回転動を2秒間(例えば8回)繰り返させる。
【0039】
これにより、香料固定部201aに当接する駆動部23aの凸部223により、当該当接状態を維持したまま香料固定部201aが物理的にスクラッチされ、当該香料固定部201aに固定された香料マイクロカプセルの少なくとも一部が12度に亘って潰されて、その内部に封入されていた香料が放出される。
【0040】
放出された香料は、導出ファン241aによって生じた気流によって、香料提示装置100内から利用者の鼻先へ導出される。こうして利用者に対して当該放出された香料の匂いが提示される。
【0041】
[消臭]
またその後、情報処理装置が、ゲームなどのアプリケーションにより利用者に対する匂いの提示を停止するべき旨の指示を受けると、情報処理装置は、当該指示に従って、香料提示装置100を制御するための指示を生成する。
【0042】
この指示は、消臭の指示として香料提示装置100の制御回路部30へ出力される。香料提示装置100の制御回路部30は、消臭の指示を受けると、導出ファン241aを停止し(また駆動部23が動作しているときにはその動作を停止させて)、排気ファン241bを回転させる。そして、香料提示装置100内部から利用者の鼻とは逆の方向へ向かう気流を生じさせる。これにより、香料提示装置100内部に残存している、放出された香料が、利用者の鼻とは逆の方向へ排出される。
【0043】
なお、情報処理装置から前回提示するよう指示された種類の香料とは異なる種類の香料の提示が指示された場合、つまり、前回入力された指示に含まれる駆動対象特定情報で特定される駆動部23とは異なる駆動部23を特定する駆動対象特定情報が入力されたときには、制御回路部30は、まず消臭の動作として導出ファン241aを停止し(また駆動部23が動作しているときにはその動作を停止させて)、排気ファン241bを回転させる。
【0044】
そして排気ファン241bによる所定時間の排気の後、排気ファン241bを停止し、上記指示された情報で特定される駆動部23を制御して往復回転動を行わせるとともに、導出ファン241aを回転させて、香料提示装置100内部から利用者の鼻の方向へ向かう気流を生じさせる。
【0045】
制御回路部30がこのような制御を行うことにより、匂いが混合することがなくなる。もっとも、意図的に複数の種類の香料を混合させるべき旨の指示が行われた場合(駆動対象特定情報で特定される駆動部23が複数ある場合など)は、制御回路部30は当該駆動対象特定情報で特定された複数の駆動部23を一斉に制御し、それぞれに往復回転動を行わせるとともに、導出ファン241aを回転させて、香料提示装置100内部から利用者の鼻の方向へ向かう気流を生じさせる。
【0046】
[香料の放出量の制御]
ここまでの説明では、制御回路部30は、回転の継続時間や回数等の指定を受けて、当該継続時間または回数だけ、指示により特定された駆動部23a,b…を、F度だけ所定方向へ回転させ、B度だけ上記所定方向とは逆方向に回転させる往復回転動を繰り返すこととしていた。しかしながら、香料の種類によっては他の種類の香料と比べ、匂いが強かったり、あるいは弱かったりといったことがあり得る。
【0047】
そこで本実施の形態の一例では、制御回路部30は、予め情報処理装置から入力される指示により、駆動部23a,b…のそれぞれについて、一往復で行う回転量F,Bの設定(ただしF>B>0とする)を受け入れてもよい。例えば情報処理装置は、駆動部23aの一往復での回転量を、F=3度、B=2度と設定し、他の駆動部23b,c…の一往復での回転量を、F=5度、B=4度と設定してもよい。なお、どの設定においてもF-Bの大きさΔは一定としておくこととしてもよい。この場合は、情報処理装置がFまたはBの一方を設定し、他方は制御回路部30が予め定められたΔを用いて演算して設定することとしてもよい。
【0048】
[片方向の移動]
またここまでの説明では、制御回路部30は、駆動部23を制御する際、往復回転動を行わせることとしていたが、B=0(すなわち往復動ではなく片道移動)としてもよい。この場合は、情報処理装置からは回転量Fの設定のみを受け入れることとなる(F-Bは必ずしも一定ではなくなる)。
【0049】
[香料の認識]
また、本実施の形態の香料提示装置100は、そのトレイ部10に香料担持体200が収納されて閉じられたときに、当該香料担持体200の所定箇所に形成された符号画像(バーコードや二次元バーコード、その他のコンピュータ可読な画像)を読み取って、読み取ったデータを情報処理装置等に出力する符号画像リーダーを備えてもよい。
【0050】
この例では、香料担持体200上に形成された香料の種類(あるいはその組み合わせ)に応じて異なる符号を予め割り当てておき、当該符号に対応する符号画像を、香料担持体200の所定の位置に形成しておく。これにより、香料提示装置100にセットされた香料担持体200上の香料の種類の情報を、情報処理装置等が取得することが可能となる。
【0051】
なお、符号と香料の種類とを関連付けた情報は、図示しないサーバ等に登録しておき、情報処理装置がネットワーク等を介して当該サーバ等に問い合わせることで取得することとしてもよい。またこの情報には、香料の種類に限られず、香料ごとの匂いの強さに係る情報(一度にスクラッチするべき角度の情報等)が関連付けられていてもよい。これにより情報処理装置は、セットされた香料担持体200に対応した制御を指示できるようになる。
【符号の説明】
【0052】
100 香料提示装置、200 香料担持体、10 トレイ部、11 底面部、12 壁部、13 付勢部、20 機構部、21 機構部筐体、22 作用部、23 駆動部、24 気流制御部、30 制御回路部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6