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特許7603707スライド撮像装置およびスライドを撮像するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】スライド撮像装置およびスライドを撮像するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20241213BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20241213BHJP
   G02B 21/34 20060101ALI20241213BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G01N1/28 F
G02B21/36
G02B21/34
G01N35/04 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022558028
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2021057884
(87)【国際公開番号】W WO2021191411
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】20166155.0
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】ホル,コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】オスバルト,デニー
(72)【発明者】
【氏名】レーベルガー,マルク
(72)【発明者】
【氏名】シュプリング・デ・ソウザ,ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】バイザー,ミヒャエル
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/097523(WO,A1)
【文献】特開2018-112920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-37/00
G02B 21/36
G02B 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド撮像装置(110)であって、
スライド(140)に搭載された試料の画像(162)を生成するようにそれぞれ構成される少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)と、
複数のスライド(140)を装填可能であり、前記スライド(140)を保管するように構成される保管装置(118)と、
前記保管装置(118)から前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)または前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)に前記スライド(140)を選択的に供給するように構成される供給装置(120)と、を備え、
前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)が、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)の動作状態を示すように構成される少なくとも1つの視覚インジケータを備え、前記スライド撮像装置(110)が、前記少なくとも1つの視覚インジケータを使用して前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)の動作状態を検出するように構成される少なくとも1つのビジョンセンサ(166)をさらに備え、
前記供給装置(120)の動作は、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)の動作状態に関する情報を使用することによって制御され、
前記少なくとも1つのビジョンセンサ(166)が、対応する前記撮像装置(126、128、126’、128’)の前記少なくとも1つの視覚インジケータによって表示される視覚的構成を記録することによって、各撮像装置(126、128、126’、128’)についての個々のパターンを取得するように指定される、スライド撮像装置(110)。
【請求項2】
前記供給装置(120)が、前記保管装置(118)から前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)に前記スライド(140)を自動的に供給するように構成される、請求項1に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項3】
前記供給装置(120)がロボットアーム(154)を備える、請求項1または2に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項4】
前記第1の撮像装置(126、126’)および前記第2の撮像装置(128、128’)のうちの少なくとも1つが、2Dカメラまたはライン走査検出器から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項5】
前記保管装置(118)が、前記複数のスライド(140)を手動で装填可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項6】
前記保管装置(118)がスライドホルダ(142)を装填可能であり、前記スライドホルダ(142)が2つ以上のスライド(140)を保持するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項7】
前記供給装置(120)が、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)または前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)から前記保管装置(118)に前記スライド(140)を搬送するようにさらに構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項8】
前記供給装置(120)が、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)から前記保管装置(118)に、前記スライド(140)が装填された前記保管装置(118)内の関連する位置に前記スライド(140)を搬送するように構成される、請求項7に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項9】
特権処理のために決定された指定されたスライド(152)に搭載された少なくとも1つの試料によって前記第1の撮像装置(126、126’)および前記第2の撮像装置(128、128’)のうちの少なくとも1つをチャージするように構成される高速レーン(150)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項10】
フレーム(112)と、前記フレーム(112)に接続された第1のプレート(122)と、前記フレーム(112)に接続された第2のプレート(124)とをさらに備え、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)が、前記第1のプレート(122)上に配置され、前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)が、前記第2のプレート(124)上に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)が上下に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項12】
前記供給装置(120)、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)、および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されるオペレーティングシステム(170)をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの視覚インジケータが、少なくとも1つの発光ダイオード(164)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のスライド撮像装置(110)。
【請求項14】
スライド撮像装置(110)を用いて、複数のスライド(140)を撮像するための方法(210)であって、
前記スライド撮像装置(110)は、
スライド(140)に搭載された試料の画像(162)を生成するようにそれぞれ構成される少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)と、
複数のスライド(140)を装填可能であり、前記スライド(140)を保管するように構成される保管装置(118)と、
前記保管装置(118)から前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)または前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)に前記スライド(140)を選択的に供給するように構成される供給装置(120)と、を備え、
前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)が、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)の動作状態を示すように構成される少なくとも1つの視覚インジケータを備え、前記スライド撮像装置(110)が、前記少なくとも1つの視覚インジケータを使用して前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)の動作状態を検出するように構成される少なくとも1つのビジョンセンサ(166)をさらに備え、
前記供給装置(120)の動作は、前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)および前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)の動作状態に関する情報を使用することによって制御され、
前記少なくとも1つのビジョンセンサ(166)が、対応する前記撮像装置(126、128、126’、128’)の前記少なくとも1つの視覚インジケータによって表示される視覚的構成を記録することによって、各撮像装置(126、128、126’、128’)についての個々のパターンを取得するように指定され、
前記方法(210)は、
a) 前記複数のスライド(140)を前記保管装置(118)に装填し、且つ前記スライド(140)を前記保管装置(118)に保管するステップと、
b) 前記スライド(140)を前記保管装置(118)から前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)または前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)に選択的に供給するステップと、
c) 前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)または前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)を使用して、前記スライド(140)に搭載された試料の画像(162)を生成するステップと、を含む、方法(210)。
【請求項15】
前記スライド(140)が、前記保管装置(118)から前記少なくとも1つの第1の撮像装置(126、126’)または前記少なくとも1つの第2の撮像装置(128、128’)に自動的に供給される、請求項14に記載の方法(210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スライド撮像装置および複数のスライドを撮像するための方法に関する。ここで、スライド撮像装置は、好ましくは、デジタル病理学において使用することができる。しかしながら、さらなる使用が実現可能である。
【背景技術】
【0002】
スライド撮像装置は、スライドに搭載された試料の画像を生成するように構成された撮像装置を備える。最新の撮像装置によって生成される画像は、通常、デジタル画像であり、したがって、そのような画像は、「デジタルスライド」と呼ばれることがある。典型的には、スライドに搭載された試料は、組織試料などの生物学的検体である。典型的には、スライドは、ガラススライドである。典型的には、スライド撮像装置は、デジタルスライドから生成された情報の管理を可能にする画像ベースの情報環境として理解されることができるデジタル病理学において使用される。
【0003】
撮像装置が、例えば走査プロセスを使用することによって、スライドの大部分のまたは完全な表面を覆うことができる画像を生成することができる場合、対応するスライド撮像装置は、「全スライド撮像」装置と呼ばれることがある。スライド撮像装置は、2D(2次元)カメラまたはライン走査検出器を使用して、スライドに搭載された試料の画像を生成することができる。スライド撮像装置の例は、例えば、欧州特許第00534247号明細書、欧州特許出願公開第0245089号明細書、米国特許第6118582号明細書、米国特許第6522774号明細書、米国特許第6640014号明細書、米国特許第6711283号明細書、米国特許第7682573号明細書、国際公開第2013/017855号明細書、米国特許第8712116号明細書および米国特許第9116035号明細書に記載されている。
【0004】
一般に、撮像装置は、同時に1から1,000スライドの間の処理能力を有する。典型的には、10スライド未満の同時処理に関する低スループットを有する撮像装置と、100スライドを超える同時処理を指す高スループットを有する撮像装置とを区別することができ、したがって、10から100スライドを同時に処理するように構成された撮像装置は、中程度のスループットを有する撮像装置として示されることができる。撮像装置を1つ以上のスライドによってチャージするために、個々のスライドは、典型的には、特にスライドトレイまたはスライドラックから選択されるスライドリポジトリに手動で挿入され、その後、スライドに搭載された試料の所望の画像を生成するために撮像装置に導入される。
【0005】
しかしながら、従来のスライド撮像装置では、対応する撮像装置に故障が発生した後、故障が修復されるまで、スライドの処理が停止することが一般的であった。その結果、スライドの処理の停止は、バックアップ撮像装置が使用されることができない限り、病理において実行されるプロセス全体の完全な停止につながる可能性がある。しかしながら、バックアップ撮像装置は、一般に、まだ処理されておらず、故障した撮像装置に既に充電されているスライドの処理の遅延につながる。むしろ、撮像装置のスライド受け入れ部に既に挿入されているスライドは、撮像装置のスライド受け入れ部から取り外され、手動でバックアップ撮像装置に導入されなければならない。例として、高スループットを有する特定の撮像装置は、360スライドによってチャージされているが、60スライド後に既に故障が発生している。その結果、特定の撮像装置においてさらに処理されることができない残りの300枚のスライドは、手動でバックアップ撮像装置に移送される必要がある。そのような結果は、特に、スライドの一晩の処理において有害となる可能性があり、したがって、病理学における翌日の処置の遅延をもたらす。
【0006】
国際公開第2019/097523号明細書は、複数の顕微鏡モジュールと、複数のスライドを保持するためのカセットと、カセットと複数の顕微鏡モジュールとの間で複数のスライドを移動させるように構成されたスライドローダと、スライドローダに結合されたプロセッサとを備える顕微鏡システムを開示している。プロセッサは、実行されると、スライドローダに、複数の顕微鏡モジュールのうちの選択された顕微鏡モジュールにスライドを移動させるか、または選択された顕微鏡モジュールからスライドを移動させる命令によって構成されることができる。様々な他の方法、システム、およびコンピュータ可読媒体も開示される。
【0007】
米国特許出願公開第2007/057106号明細書は、複数のスライドカセットであって、各カセットが、複数の検体スライドをアクセス可能に保管するように構成された複数のスライドカセットと、それぞれが、保管カセットから取り出されたそれぞれの検体スライドから得られた画像を処理するための1つ以上のプロセッサと動作可能に結合された複数の撮像装置と、スライド係合機構を有する可動アームを含むスライド搬送システムであって、スライドカセットからスライドを取り出し、それぞれの撮像装置のスライドステージ上にスライドを位置決めし、撮像装置のスライドステージからスライドを取り出し、それぞれの保管カセットにスライドを搬送するように構成されたスライド搬送システムと、を含む、構成可能なスライド撮像システムを開示している。撮像装置の数が選択され、それらの動作が同期されて、伸縮アームのダウンタイムを最小限に抑えることができる。
【0008】
欧州特許出願公開第3324190号明細書は、第1および第2の撮像モジュールと、保管モジュールと、少なくとも1つのスライドを搬送するように動作可能な自動搬送モジュールと、搬送モジュールによる少なくとも1つのスライドの第1の撮像モジュール内および第2の撮像モジュール内への搬送を指示するように動作可能なコントローラと、を含む、装置を開示している。自動搬送モジュールを使用して少なくとも1つのスライドを第1の撮像モジュールに搬送することと、少なくとも1つのスライド上の試料の画像を第1の撮像モジュールによって取り込むことと、自動搬送モジュールを使用して少なくとも1つのスライドを保管モジュールに搬送することと、第1の撮像モジュールによって撮像された画像に加えて画像を撮像するための要求に応答して、少なくとも1つのスライドを第2の撮像モジュールに搬送することと、を含む方法をコントローラに実行させるためのプログラム命令を含む方法および機械可読媒体も開示される。
【0009】
独国特許第102013205001号明細書は、試料領域の光学的検出のために形成された検査ユニットであって、顕微鏡を備える検査ユニットを有する構成を開示している。前者の検査ユニットから空間的に離間した別の顕微鏡を有する別の検査ユニットが提供される。試料領域の光学的検出後、後者の検査ユニットの光学的検出領域において前者の検査ユニットによってプローブが搬送される位置決めユニットが設けられる。試料領域は、後者の検査ユニットによって光学的に検出される。さらに、切片、特に試料上の試料領域の光学的検出のための方法が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第00534247号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0245089号明細書
【文献】米国特許第6118582号明細書
【文献】米国特許第6522774号明細書
【文献】米国特許第6640014号明細書
【文献】米国特許第6711283号明細書
【文献】米国特許第7682573号明細書
【文献】国際公開第2013/017855号明細書
【文献】米国特許第8712116号明細書
【文献】米国特許第9116035号明細書
【文献】国際公開第2019/097523号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/057106号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3324190号明細書
【文献】独国特許第102013205001号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、スライドが撮像装置のスライド受け入れ部に導入されるように設けられる、撮像装置において処理されるスライドの中断されない処理を可能にするスライド撮像装置および複数のスライドを撮像するための方法を提供することが望ましい。
【0012】
特に、撮像装置の故障の場合にスライドの処理の改善を可能にすることが望ましく、故障は、撮像装置によるスライドの処理の停止を含む。本明細書では、特に、スライドの処理の改善は、撮像装置の故障時にスライドの手動操作を回避することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題は、独立請求項の特徴を有するスライド撮像装置および複数のスライドを撮像するための方法によって対処される。単独の様相で実現されても、任意の組み合わせにて実現されてもよい有利な実施形態が、従属請求項に挙げられる。
【0014】
以下において使用される場合、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはこれらの任意の文法的変化形は、包括的に用いられる。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0015】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回を超えて存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0016】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、決して特許請求の範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、およびそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0017】
本明細書において開示および提案されるのは、スライド撮像装置である。本明細書で使用される「スライド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、スライドの表面に搭載される試料のために指定された基材を指すことができる。本明細書で使用される「試料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、組織試料などの生物学的検体を指すことができる。しかしながら、他の種類の試料も実現可能とすることができる。
【0018】
特に、処理中にスライドにいかなる変化もなく試料を運ぶ目的のために、基材は、機械的に安定であり、したがって十分な機械的安定性を提供する任意の材料を含むことができる。特に、生物学的検体を運ぶ目的のために、基材は、好ましくは、生物学的材料と適合するように構成された表面を呈することができる。例として、スライドは、ガラススライドである。これは、ガラスが、一方では十分な機械的安定性を提供し、他方では生物学的物質との高い適合性を有することが知られているためである。しかしながら、スライドのためのさらなる種類の材料も実現可能とすることができる。
【0019】
さらに、スライドは、特に、スライドに搭載された試料の撮像を可能にすることができる形態を有することができる。本明細書で使用される「撮像する」または「画像を生成する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。これらの用語は、具体的には、限定されないが、「画像」という用語によっても示される試料の少なくとも1つの特性の2D 2次元表現を提供することを指すことができ、画像は、典型的には、観察者の眼鏡とは別に、好ましくはさらなる補助なしに、観察者の眼によって見られるように画面上で処理および表示されることができる。この目的のために、より詳細に上述したような撮像装置が、典型的には使用される。
【0020】
さらに、本明細書で使用される「装置」および「スライド撮像装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。これらの用語は、具体的には、限定されないが、以下により詳細に開示されるような複数の構成要素を有する装置を指すことができる。
【0021】
特に、スライド撮像装置は、
スライドに搭載された試料の画像を生成するようにそれぞれ構成される少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置と、
複数のスライドを装填可能であり、スライドを保管するように構成される保管装置と、
保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置にスライドを選択的に供給するように構成される供給装置と、を備える。
【0022】
したがって、スライド撮像装置は、少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置を備え、第1および第2の撮像装置のそれぞれは、互いに独立してスライドに搭載された試料の画像を生成するように構成される。本明細書で使用される「撮像装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、試料の少なくとも1つの視覚的特性の2D表現を生成するために指定された装置を指すことができる。特に、撮像装置は、2Dカメラまたはライン走査検出器から選択されることができる。しかしながら、さらなる種類の撮像装置も実現可能とすることができる。したがって、本発明にかかるスライド撮像装置は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の個々の撮像装置を備えることができ、個々の撮像装置のそれぞれは、以下により詳細に開示されるように、供給装置によって個別にアドレス指定されることができる。ここで、さらなる撮像装置は、特に、1つよりも多い撮像装置が故障した場合のさらなるバックアップオプションとして維持されることができる。
【0023】
試料の所望の画像を生成する目的で、スライドは、好ましくは、2D延在部および厚さを有するプレートであってもよく、プレートの2D延在部は、好ましくは、長方形または円形の形態を示してもよく、プレートの厚さは、延在部のサイズと比較して小さくてもよく、好ましくは、プレートの2D延在部の直線的な広がりの尺度よりも20%、より好ましくは10%、特に5%、またはそれ未満であってもよい。
【0024】
さらに、本明細書で使用される「第1の」および「第2の」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのそれらの通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。これらの用語は、具体的には、限定されないが、ランクまたは順序のない2つの個々の撮像装置を指すことができ、したがってこれらの用語が互いに交換されることができる。ここで、2つの個々の撮像装置は、好ましくは、同じタイプの撮像装置の2つのコピーを備えることができ、あるいは、2つの異なるタイプの撮像装置を備えることができる。
【0025】
スライド撮像装置は、複数のスライドを装填可能であり、スライドを保管するように構成される保管装置をさらに備える。「スライド」という用語については、上記提供された定義を参照することができる。本明細書で使用される「保管装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、個々のスライドホルダ、あるいは1つよりも多いスライドホルダを同時に受け入れるように指定されたスライドリポジトリを指すことができ、各スライドホルダは、1つよりも多いスライドを保持するように構成される。好ましい実施形態では、保管装置は、少なくとも2つの区画を備えることができ、各区画は、スライドの一部を保管するように構成される。本明細書では、区画は、隣接して配置された少なくとも2つの行を備えることができ、したがってスライドを互いに隣接して保管する。特に、保管装置は、スライドトレイまたはスライドラックから選択されてもよいが、さらなるタイプの保管装置も実現可能とすることができる。しかしながら、保管装置内のスライドおよび/またはスライドホルダのそれぞれのさらなる種類の配置も実現可能とすることができる。したがって、保管装置は、複数のスライドとともに、好ましくは手動で装填可能であってもよいが、保管装置の自動装填も考えられることができる。
【0026】
スライド撮像装置は、スライドを保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置に選択的に供給するように構成される供給装置をさらに備える。本明細書で使用される「供給装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、スライドを保管装置から第1の撮像装置および第2の撮像装置に選択的に移送するように構成される装置を指すことができる。この目的のために、供給装置は、ロボットアームを備えることができる。本明細書では、本明細書で使用される「ロボットアーム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのオブジェクト、特にスライドまたはスライドホルダを把持し、それを定義された目的地に移送することを含むが、これに限定されない、電気および/または空気圧駆動装置を使用して、手またはアームの少なくとも1つの形態を有し、手またはアームと同様の方法で移動するように構成されるプログラマブル機械ユニットを指すことができる。
【0027】
したがって、本明細書に開示されるようなスライド撮像装置のこの種の構成は、特に、単一のスライドまたはスライドホルダが、1つ以上のスライドが装填された後、少なくとも1つのスライドに搭載された試料の所望の画像を生成するために撮像装置に導入される既知のスライド撮像装置とは対照的である。本明細書で開示されるようなスライド撮像装置では、複数のスライドは、既知のスライド撮像装置とは対照的に、保管装置に装填され、スライドは、保管装置から少なくとも1つの第1の撮像装置または少なくとも1つの第2の撮像装置に選択的に供給されるまで保管され、スライドに搭載された試料の画像が生成される。ここで、スライドを保管装置から第1の撮像装置および第2の撮像装置に選択的に供給することは、好ましくは、自動化された方法で行われる。本明細書で使用される「自動化された方法で」および「自動的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。これらの用語は、具体的には、限定されないが、ユーザの手動による実行なしにスライドの移送を実行するように構成されたアルゴリズムに基づいて、スライド撮像装置のユーザの直接的な相互作用なしに実行される処理の種類を指すことができる。さらに、本明細書で使用される「選択的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、2つ以上の選択肢の間の決定方法を指すことができ、決定は、所定のアルゴリズムによって行われる。
【0028】
特に、決定は、オペレーティングシステムによって自動化された方法で行われてもよく、スライド撮像装置に含まれるオペレーティングシステムは、以下の原理に基づいてもよい所定のアルゴリズムにしたがって複数のスライドの走査を共有するように構成される:
少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が利用可能である限り、特に撮像装置の同様の利用率を得るために、少なくとも1つの第1の撮像装置と少なくとも1つの第2の撮像装置との間で、好ましくは等しい方法で、複数のスライドの走査を共有する;
しかしながら、特に特定の撮像装置の故障の場合に走査手順の停止を回避するために、利用可能な単一の撮像装置内で複数のスライドを走査する;
少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が利用可能ではないという可能性が低い場合に走査を停止する。
【0029】
本明細書で使用される「利用可能」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、対応する撮像装置がスライドを走査する準備ができている動作状態を指すことができる。しかしながら、撮像装置の動作状態は、特にウォームアップ段階中または対応する撮像装置の欠陥中に、非利用可能性状態をさらに想定することができる。
【0030】
したがって、オペレーティングシステムは、少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置のそれぞれの動作状態を認識することができ、各撮像装置の動作状態は、それぞれの撮像装置が利用可能であるか否かを決定するために使用される。この目的のために、各撮像装置の出力と、オペレーティングシステムが動作している可能性があるコンピュータとの間に直接接続が提供されることができる。代替的または追加的に、スライド撮像装置は、撮像装置の対応する動作状態を示すように構成される少なくとも1つのインジケータ、特に好ましくは1つ以上の発光ダイオード(LED)の形態の少なくとも1つの視覚インジケータを使用して、少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の動作状態を検出するように構成される少なくとも1つのビジョンセンサをさらに備えてもよい。結果として、各撮像装置に対してこのようにして個々のパターンが生成されることができ、「パターン」という用語は、対応する撮像装置の少なくとも1つのインジケータ、特に少なくとも1つの視覚インジケータ、好ましくは少なくとも1つのLEDによって表示される視覚的構成を指す。したがって、各撮像装置の動作状態は、各撮像装置について決定された個々のパターンに関連することができる。したがって、少なくとも1つのビジョンセンサによって各撮像装置の個々のパターンを記録することは、各撮像装置の動作状態に関する所望の情報を直接提供することができる。
【0031】
一般に、供給装置は、例えば、保管装置の上行から始まり下行に続く所定のルーチンルートに沿って、スライドまたはスライドホルダをそれぞれ処理するように構成されてもよい。特定の実施形態では、保管装置は、高速レーンをさらに備えてもよい。本明細書で使用される「高速レーン」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、指定されたスライドに搭載された少なくとも1つの試料を保管するように構成された保管装置のパーティションを指すことができ、各指定されたスライドは、供給装置によって通常使用される所定のルーチンルート外の特権処理(又は優先処理(privileged processing))のために決定される。このようにして、具体的に指定されたスライドは、スライド撮像装置のユーザの特定の要望にしたがってさらに処理されることができる。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、供給装置は、好ましくは走査プロセスの完了後に、スライドを第1の撮像装置または第2の撮像装置から保管装置に、特にスライドが装填された保管装置内の関連する位置に戻すように構成される。換言すれば、供給装置は、スライドが保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置に選択的に移送される前にスライドが装填されていた保管装置内の同じ位置に、第1の撮像装置または第2の撮像装置からスライドを戻すように構成される。したがって、スライド撮像装置のユーザは、それらが保管装置に提供されたのと同じ順序でスライドを受け取ることができ、したがってスライドのその後の識別および可能なさらなる処理を容易にする。
【0033】
さらに、スライド撮像装置は、好ましくは、特に、供給装置、第1の撮像装置、および第2の撮像装置のうちの少なくとも1つから選択されることができるスライド撮像装置の少なくとも1つの構成要素の動作を制御するように構成されることができるオペレーティングシステムを備えることができる。この目的のために、オペレーティングシステムは、少なくとも1つのコンピュータと、コンピュータに命令を入力するように構成される少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの表示装置とを備えることができる。ここで、入力装置は、好ましくは、キーボードを備えてもよい。さらに、表示装置は、好ましくは、スライド撮像装置の動作状態に関する少なくとも1つの情報をユーザに提示するように構成されてもよい。しかしながら、さらなる情報がさらに提供されてもよい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、オペレーティングシステムは、各撮像装置の動作状態に関する情報、特に各撮像装置の少なくとも1つのビジョンセンサによって取得された個々のパターンを使用することによって供給装置の動作を制御するように指定されることができる。特に、供給装置の動作は、現在利用可能な撮像装置に対してのみスライドまたはスライドホルダを送達および/または排出するように適合されることができる。換言すれば、オペレーティングシステムは、少なくとも1つの特定の撮像装置が現在利用できない可能性があることを考慮に入れ、それに応じて供給装置の動作を変更することができる。
【0035】
その結果、撮像装置の1つが故障した場合であっても、スライド撮像装置の動作は、ほとんど乱れることなく維持されることができ、それによってスライド撮像装置のスループットを同じまたはほぼ同じレベルに維持することができた。潜在的な故障の場合、オペレーティングシステムは、少なくとも1つの現在利用可能な撮像装置のみが送達または排出されるように、供給装置の動作モードを再配置することができる。換言すれば、スライド撮像装置は、故障の場合に連続的に動作することができ、または供給装置の動作モードを再配置するためにオペレーティングシステムによって必要とされることができるかなり短い時間間隔の後にのみ動作を再開することができる。さらに、この種の構成は、スライド撮像装置の動作中に、スライド撮像装置のユーザまたはスライド撮像装置を見ているサービス要員が潜在的に欠陥のある撮像装置に、特に欠陥のある撮像装置をチェックし、必要に応じて修理するためにアクセスすることを容易にすることができる。
【0036】
さらに、スライド撮像装置は、スライド撮像装置のユーザが見ることができるプレゼンテーションにおいて、少なくとも1つの画像、好ましくは複数の画像を示すように構成される少なくとも1つのモニタを備えることができる。特に、モニタは、様々な位置からのユーザによる少なくとも1つの画像の閲覧を容易にするために、回動可能なホルダに取り付けられることができる。
【0037】
スライド撮像装置のさらに好ましい構成が考えられることができる。したがって、スライド撮像装置は、フレーム、特に車輪を有するフレームと、フレームに接続された第1のプレートと、フレームに接続された第2のプレートとをさらに備えてもよく、第1の撮像装置は、第1のプレートに配置されてもよく、第2の撮像装置は、第2のプレートに配置されてもよい。ここで、第1のプレートおよび第2のプレートは、フレームから互いに独立して伸張可能であってもよく、したがって、サービス要員のための各撮像装置へのアクセスを改善する。しかしながら、少なくとも1つの撮像装置が移動するには繊細すぎると考えられる実施形態では、プレートは不要であってもよい。好ましくは、第1の撮像装置および第2の撮像装置は、互いに隣接して配置されることができ、特に、垂直に上下に配置されることができ、あるいは水平に隣接して配置されることができる。一般に、撮像装置の隣接配置は、供給装置のロボットアームによる少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置への到達を容易にすることができる。さらに、スライド撮像装置は、テーブルを備えてもよく、少なくとも保管装置および供給装置は、テーブルに取り付けられることができる。さらに、スライド撮像装置は、供給装置を少なくとも部分的に取り囲むハウジングを備えることができ、ハウジングは、安全ドアと、安全ドアの状態を検出するように構成された安全スイッチとを備えることができる。さらに、スライド撮像装置は、非常停止スイッチと、さらに非常停止ボタンとを備えることができ、非常停止スイッチは、非常停止ボタンを使用して動作可能とすることができる。スライド撮像装置のさらに好ましい構成に関するさらなる詳細については、以下に開示される実施形態を参照することができる。
【0038】
本明細書においてさらに開示および提案されるのは、複数のスライドを撮像するための方法であって、この方法は、以下のステップを含む:
a) 複数のスライドを保管装置に装填し、且つスライドを保管装置に保管するステップ;
b) スライドを保管装置から少なくとも1つの第1の撮像装置または少なくとも1つの第2の撮像装置に選択的に供給するステップ;および
c) 第1の撮像装置または第2の撮像装置を使用して、スライドに搭載された試料の画像を生成するステップ。
【0039】
特に、本方法は、ステップa)から開始することができ、以下、ステップb)およびc)は、ステップa)において提供された任意のスライドまたは好ましくは全てのスライドについて連続して繰り返されることができる。この目的のために、スライドは、自動化された方法で保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置に選択的に供給されてもよい。
【0040】
さらに、さらなるステップd)は、以下のように実行されることができる:
d) スライドを第1の撮像装置または第2の撮像装置から保管装置に搬送すること。
【0041】
既に示したように、スライドは、特に、スライドが装填された保管装置内の関連する位置に搬送されてもよい。換言すれば、スライドは、スライドが保管装置から少なくとも1つの第1の撮像装置または少なくとも1つの第2の撮像装置に供給される前にスライドが装填されていた保管装置内の同じ位置に搬送されてもよい。
【0042】
複数のスライドを撮像するための方法に関するさらなる詳細については、本明細書の他の箇所で説明するように、スライド撮像装置を参照することができる。
【0043】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、本発明にかかる方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムがさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読データキャリア」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令が記憶されたハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指すことができる。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体とすることができるか、またはそれを含むことができる。
【0045】
したがって、具体的には、上述したような方法ステップa)からd)の1つ、1つよりも多い、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行されることができる。
【0046】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、本発明にかかる方法を実行するために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が本明細書にさらに開示および提案される。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができる。
【0047】
本明細書にさらに開示および提案されるのは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法を実行することができるデータ構造が記憶されたデータキャリアである。
【0048】
本明細書にさらに開示および提案されるのは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上にかかる方法を実行するために、機械可読キャリアに記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在する。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されてもよい。
【0049】
最後に、本明細書に開示および提案されるのは、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0050】
本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法のうちの1つ以上の方法ステップまたは全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行することができる。一般に、これらの方法ステップは、検体の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含むことができる。
【0051】
具体的には、本明細書において、以下がさらに開示される:
プロセッサが、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造、
プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム、
コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、先行する実施形態にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された、記憶媒体、および
コンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行された場合に本明細書に記載の実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するプログラムコード手段を有しており、プログラムコード手段は記憶媒体上に記憶可能または記憶されているコンピュータプログラム製品。
【0052】
有利には、スライド撮像装置および複数のスライドを撮像するための方法は、撮像装置内で処理されるスライドの中断のない処理を可能にし、スライドは、撮像装置に導入される複数のスライドを装填可能な保管装置に設けられる。特に、それらは、撮像装置のいずれか1つの故障の場合にスライドの処理を改善することを可能にし、故障は、故障した撮像装置によるスライドの処理の停止を含む。特に、改善されたスライドの処理は、撮像装置のいずれか1つが故障した場合にスライドを手動で取り扱うことを回避する。走査手順の停止は、少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が故障のために利用できない、かなりまれな事象まで減らすことができる。
【0053】
要約すると、さらなる実施形態の可能性を排除することなく、以下の実施形態を想定することができる:
【0054】
実施形態1
スライド撮像装置であって、
スライドに搭載された試料の画像を生成するようにそれぞれ構成される少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置と、
複数のスライドを装填可能であり、スライドを保管するように構成される保管装置と、
保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置にスライドを選択的に供給するように構成される供給装置と、を備える、スライド撮像装置。
【0055】
実施形態2
供給装置が、保管装置から第1の撮像装置および第2の撮像装置にスライドを自動的に供給するように構成される、実施形態1に記載のスライド撮像装置。
【0056】
実施形態3
供給装置が、第1の撮像装置または第2の撮像装置から保管装置にスライドを搬送するようにさらに構成される、実施形態1または2に記載のスライド撮像装置。
【0057】
実施形態4
供給装置が、スライドが装填された保管装置内の関連する位置に、第1の撮像装置または第2の撮像装置から保管装置にスライドを搬送するように構成される、実施形態3に記載のスライド撮像装置。
【0058】
実施形態5
第1の撮像装置および第2の撮像装置のうちの少なくとも一方が、2Dカメラまたはライン走査検出器から選択される、実施形態1から4のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0059】
実施形態6
保管装置が、スライドホルダによって装填可能であり、スライドホルダが、1つよりも多いスライドを保持するように構成される、実施形態1から5のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0060】
実施形態7
保管装置が、複数のスライドまたはスライドホルダを手動で装填可能である、実施形態6に記載のスライド撮像装置。
【0061】
実施形態8
保管装置が、スライドまたはスライドホルダを互いに隣接する行に保管するように構成される、実施形態6または7に記載のスライド撮像装置。
【0062】
実施形態9
保管装置が、スライドまたはスライドホルダが装填されるラックを備える、実施形態6から8のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0063】
実施形態10
供給装置がロボットアームを備える、実施形態1から9のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0064】
実施形態11
ロボットアームが、スライドまたはスライドホルダを把持するように構成される把持装置を備える、実施形態10に記載のスライド撮像装置。
【0065】
実施形態12
把持装置が突起を有する、実施形態11に記載のスライド撮像装置。
【0066】
実施形態13
突起が、第1の撮像装置および/または第2の撮像装置の操作ボタンを押圧するように構成される、実施形態12に記載のスライド撮像装置。
【0067】
実施形態14
突起が、槍状または指状突起である、実施形態12または13に記載のスライド撮像装置。
【0068】
実施形態15
特権処理のために決定された指定されたスライドに搭載された少なくとも1つの試料によって第1の撮像装置または第2の撮像装置のうちの少なくとも一方をチャージするように構成される高速レーンをさらに備える、実施形態1から14のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0069】
実施形態16
フレーム、特に車輪を有するフレームと、フレームに接続された第1のプレートと、フレームに接続された第2のプレートとをさらに備え、第1の撮像装置が、第1のプレート上に配置され、第2の撮像装置が、第2のプレート上に配置される、実施形態1から15のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0070】
実施形態17
第1のプレートおよび第2のプレートが、互いに独立してフレームから伸張可能である、実施形態16に記載のスライド撮像装置。
【0071】
実施形態18
第1の撮像装置および第2の撮像装置が、互いに対して隣接して配置される、実施形態1から17のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0072】
実施形態19
第1の撮像装置および第2の撮像装置が、上下に、または互いに隣接して配置される、実施形態18に記載のスライド撮像装置。
【0073】
実施形態20
供給装置、第1の撮像装置、および第2の撮像装置のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されるオペレーティングシステムをさらに備える、実施形態1から19のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0074】
実施形態21
オペレーティングシステムが、少なくとも1つのコンピュータと、コンピュータに命令を入力するように構成される少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの表示装置とを備える、実施形態20に記載のスライド撮像装置。
【0075】
実施形態22
入力装置がキーボードを備える、実施形態21に記載のスライド撮像装置。
【0076】
実施形態23
オペレーティングシステムが、以下の原理に基づく所定のアルゴリズムにしたがって、スライドを保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置に選択的に供給することを制御するように構成される、実施形態20から22のいずれか一項に記載のスライド撮像装置:
少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が利用可能である限り、少なくとも1つの第1の撮像装置と少なくとも1つの第2の撮像装置との間で複数のスライドの走査を共有する;
利用可能な単一の撮像装置内で複数のスライドを走査する;
少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が利用可能でない場合に走査を停止する。
【0077】
実施形態24
第1の撮像装置または第2の撮像装置による走査後に、スライドに搭載された試料の画像を提示するように構成される少なくとも1つのモニタをさらに備える、実施形態1から23のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0078】
実施形態25
少なくとも1つのモニタが、回動可能なホルダに取り付けられている、実施形態24に記載のスライド撮像装置。
【0079】
実施形態26
テーブルをさらに備え、少なくとも保管装置および供給装置が、テーブルに取り付けられる、実施形態1から25のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0080】
実施形態27
供給装置を少なくとも部分的に取り囲むハウジングをさらに備える、実施形態1から26のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0081】
実施形態28
ハウジングが、安全ドアと、安全ドアの状態を検出する安全スイッチとを備える、実施形態27に記載のスライド撮像装置。
【0082】
実施形態29
非常停止スイッチをさらに備える、実施形態1から28のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0083】
実施形態30
非常停止ボタンをさらに備える、実施形態29に記載のスライド撮像装置。
【0084】
実施形態31
非常停止スイッチが、非常停止ボタンを使用して操作可能である、実施形態30に記載のスライド撮像装置。
【0085】
実施形態32
第1の撮像装置および第2の撮像装置が、第1の撮像装置および第2の撮像装置の動作状態を示すように構成される少なくとも1つのインジケータを備える、実施形態1から31のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0086】
実施形態33
少なくとも1つのインジケータが、少なくとも1つの視覚インジケータであるか、または少なくとも1つの視覚インジケータを備える、実施形態32に記載のスライド撮像装置。
【0087】
実施形態34
少なくとも1つのインジケータが、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を備える、実施形態32または33に記載のスライド撮像装置。
【0088】
実施形態35
スライド撮像装置が、少なくとも1つのインジケータを使用して第1の撮像装置および第2の撮像装置の動作状態を検出するように構成される少なくとも1つのビジョンセンサをさらに備える、実施形態32から34のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0089】
実施形態36
少なくとも1つのビジョンセンサが、対応する撮像装置の少なくとも1つのインジケータによって表示される視覚的構成を記録することによって、各撮像装置についての個々のパターンを取得するように指定される、実施形態35に記載のスライド撮像装置。
【0090】
実施形態37
各撮像装置の動作状態が、各撮像装置について決定された個々のパターンに関連する、実施形態36に記載のスライド撮像装置。
【0091】
実施形態38
少なくとも2つの第1の撮像装置および/または少なくとも2つの第2の撮像装置を備える、実施形態1から37のいずれか1つに記載のスライド撮像装置。
【0092】
実施形態39
複数のスライドを撮像するための方法であって、
a) 複数のスライドを保管装置に装填し、且つスライドを保管装置に保管するステップと、
b) スライドを保管装置から少なくとも1つの第1の撮像装置または少なくとも1つの第2の撮像装置に選択的に供給するステップと、
c) 第1の撮像装置または第2の撮像装置を使用して、スライドに搭載された試料の画像を生成するステップと、を含む、方法。
【0093】
実施形態40
スライドが、保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置に自動的に供給される、実施形態39に記載の方法。
【0094】
実施形態41
スライドが、以下の原理に基づく所定のアルゴリズムにしたがって、保管装置から第1の撮像装置または第2の撮像装置に選択的に供給される、実施形態39または40に記載の方法:
少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が利用可能である限り、少なくとも1つの第1の撮像装置と少なくとも1つの第2の撮像装置との間で複数のスライドの走査を共有する;
利用可能な単一の撮像装置内で複数のスライドを走査する;
少なくとも1つの第1の撮像装置および少なくとも1つの第2の撮像装置の双方が利用可能でない場合に走査を停止する。
【0095】
実施形態42
さらに、
d) スライドが、第1の撮像装置または第2の撮像装置から保管装置に搬送されるステップを含む、実施形態39から41のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態43
スライドが、スライドが装填された保管装置内の関連する位置に搬送される、実施形態42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0097】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。ここで、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
【0098】
図では以下のとおりである:
図1A】本開示にかかるスライド撮像装置の好ましい実施形態を側面図で概略的に示している。
図1B】本開示にかかるスライド撮像装置の好ましい実施形態を側面図で概略的に示している。
図2】本開示にかかる複数のスライドを撮像するための方法の好ましい実施形態を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0099】
図1は、本開示にかかるスライド撮像装置110の好ましい実施形態を側面図で概略的に示している。図1に示すように、スライド撮像装置110は、好ましくはフレーム112を備えることができ、フレーム112は、特に車輪114を備えることができ、したがってスライド撮像装置110が所望の位置に移動されることを可能にする。図1にさらに示すように、フレーム112は、テーブル116をさらに備え、少なくとも保管装置118および供給装置120がテーブル116に取り付けられている。しかしながら、保管装置118および供給装置120のためのさらなる種類の構成も考えられることができる。
【0100】
さらに、図1に示す実施形態によれば、第1のプレート122および第2のプレート124がフレーム112に接続され、第1の撮像装置126が第1のプレート122に配置され、第2の撮像装置128が第2のプレート124に配置される。その結果、図1Aに概略的に示されているスライド撮像装置110は、2つの個々の撮像装置126、128を備える。図1Bに示すさらなる実施形態では、スライド撮像装置110は、2対の個々の撮像装置126、128;126’、128’を備える。しかしながら、さらなる実施形態(ここには図示せず)では、スライド撮像装置110は、上記または下記により詳細に開示されるように、供給装置120によって個別にアドレス指定されることができる3つ、5つ、6つ、またはそれ以上の個々の撮像装置を備えてもよい。
【0101】
図1に示す特定の配置の結果として、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’は、上下に配置される。しかしながら、特に供給装置120が到達することができる限り、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’のためのさらなる種類の配置も考えられることができる。さらに、第1のプレート122および第2のプレート124は、好ましくは、特にサービスケースの場合にアクセスを容易にするために、特に伸縮レール(ここでは図示せず)を使用することによって、独立した方法でフレーム112から伸張可能であってもよい。この実施形態では、好ましくは、それぞれ撮像装置126、128;126’、128’のそれぞれの基部を受け入れるように設計されたプレート122、124の凹部によって正確な位置決めが達成されることができる。しかしながら、さらなる種類の構成も実現可能とすることができる。
【0102】
図1にさらに示されるように、本実施形態にかかるスライド撮像装置110は、供給装置120を少なくとも部分的に包囲し、したがって供給装置120の妨害されない動作を支持するハウジング130を備える。図1に概略的に示すように、ハウジング130は、安全ドア132および安全スイッチ134を有し、安全スイッチ134は、安全ドア132の開状態または閉状態などの安全ドア132の状態を検出するように構成される。しかしながら、さらなる種類の安全対策も可能とすることができる。
【0103】
さらに、図1に示すスライド撮像装置110の実施形態は、非常停止スイッチ136を備え、非常停止スイッチ136は、ここでは非常停止ボタン138を使用して動作可能である。しかしながら、さらなる種類の非常装備も実現可能とすることができる。非常停止スイッチ136は、非常停止ボタン138を押圧すると、サービス要員が必要と考える場合には、スライド撮像装置110の動作の即時停止を誘導することができる。
【0104】
図1に概略的に示すように、保管装置118は、複数のスライド140を装填可能であり、スライド140を保管するように構成される。特に、複数のスライド140は、保管装置118に手動で装填されてもよい。この目的のために、保管装置118は、個々のスライドおよびスライドホルダ142のうちの少なくとも一方を装填可能であってもよく、各スライドホルダ142は、1つよりも多いスライド140を保持するように構成される。図1にさらに示すように、保管装置118は、スライド140またはスライドホルダ142を、互いに隣接して配置された行144にそれぞれ保管するように構成される。しかしながら、保管装置118のさらなる構成も考えられることができる。
【0105】
一般に、供給装置120は、例えば、保管装置118の上行146から始まり下行148まで続く所定のルーチンルートに沿って、スライド140またはスライドホルダ142をそれぞれ処理するように構成されてもよい。本明細書に示す特定の実施形態では、保管装置118は、高速レーン150を備えることができ、高速レーン150は、指定されたスライド152に搭載された少なくとも1つの試料を保管するように構成することができ、高速レーン150に位置する各指定されたスライド152は、供給装置120によって通常使用される所定のルーチンルート外の特権処理のために決定される。
【0106】
図1にさらに概略的に示すように、供給装置120は、スライド140を保管装置118から第1の撮像装置126または第2の撮像装置128に選択的に供給するように構成される。図1Bにさらに概略的に示すように、供給装置120は、スライド140を保管装置118から第1の撮像装置126、126’のうちの一方または第2の撮像装置128、128’のうちの一方に選択的に供給するように構成されることができる。特に好ましい実施形態では、供給装置120は、スライド140を保管装置118から第1の撮像装置126、126’または第2の撮像装置128、128’に選択的に自動的に供給するように構成されてもよい。好ましくは、供給装置120の動作は、各撮像装置126、128;126’、128’の動作状態に関する情報を使用することによって、特に、現在利用可能な撮像装置のみにスライド140またはスライドホルダ142を送達するように、および/または現在利用可能な撮像装置のみからスライド140またはスライドホルダ142を排出するように供給装置120の動作を適合させることによって決定されることができ、それによって少なくとも1つの特定の撮像装置が現在利用可能でない可能性があることを考慮に入れて、供給装置の動作がそれに応じて変更されることができる。
【0107】
そこに概略的に示されているように、供給装置120は、特に、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’のそれぞれに含まれるようなスライド受け入れ部156、特にスリットにスライド140を導入するように構成することができるロボットアーム154を備えてもよく、スライド受け入れ部156は、撮像目的のためにスライド140を受け入れるように構成される。ここで、ロボットアーム154は、スライド140またはスライドホルダ142をそれぞれ把持するように構成された把持装置158を備えることができる。より具体的には、把持装置158は、第1の撮像装置126、126’または第2の撮像装置128、128’の操作ボタン160を押圧するように構成された突起(ここでは図示せず)、特に槍状または指状の突起を有してもよい。しかしながら、供給装置120のなおもさらなる種類の配置も可能とすることができる。
【0108】
さらに、供給装置120は、走査後にスライド140を第1の撮像装置126、126’から、または第2の撮像装置128、128’から保管装置118に戻すように構成されてもよい。その後、スライド140は、保管装置118から手動で取り外されることができ、したがって、さらなるスライド140のための空間を提供する。特に、供給装置120は、スライド140を第1の撮像装置126、126’から、または第2の撮像装置128、128’から保管装置118に戻して、走査前にスライド140が以前に装填された保管装置118内の関連する位置に搬送するように構成することができる。その結果、ユーザは、スライド140を保管装置118に提供されたのと同じ順序で受け取ることができる。
【0109】
既に上に示したように、図1Aに示す例示的なスライド撮像装置110は、第1の撮像装置126および第2の撮像装置128を備え、第1の撮像装置126および第2の撮像装置128のそれぞれは、スライド140に搭載された試料の画像162を生成するように構成される。同様に、さらなる第1の撮像装置126’およびさらなる第2の撮像装置128’のそれぞれは、図1Bには示されていないが、スライド140に搭載された試料の画像162を生成するように構成される。この目的のために、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’のそれぞれは、好ましくは、2Dカメラまたはライン走査検出器から選択されることができる。しかしながら、さらなる種類の撮像装置も実現可能とすることができる。
【0110】
特定の実施形態では、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’のうちの少なくとも1つは、第1の撮像装置126、126’または第2の撮像装置128、128’の動作状態をそれぞれ示すように構成された少なくとも1つのインジケータ、特に好ましくは1つ以上のLED164の形態の少なくとも1つの視覚インジケータを備えることができる。この特定の実施形態では、スライド撮像装置110は、図1に示すように、少なくとも1つの視覚インジケータ、特に少なくとも1つの視覚インジケータ、好ましくは1つ以上のLED164によって提供される表示を使用して、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’のうちの少なくとも1つの動作状態を検出するように構成された少なくとも1つのビジョンセンサ166をさらに備えることができる。この目的のために、ビジョンセンサ166は、図1に概略的に示すように光記録装置168を備えることができる。さらなる実施形態(ここには図示せず)では、スライド撮像装置110は、少なくとも2つの個々のビジョンセンサ166を備えることができ、各個々のビジョンセンサ166は、個々の光記録装置168を備えることができ、各個々の光記録装置168は、個々の撮像装置126、128;126’、128’の動作状態を検出するように割り当てられることができる。しかしながら、さらなる実施形態が依然として実現可能である。
【0111】
特に、個々のパターンは、したがって、個々の撮像装置126、128;126’、128’ごとに生成されることができ、パターンは、対応する撮像装置126、128;126’、128’のうちの少なくとも1つのインジケータ、特に少なくとも1つの視覚インジケータ、好ましくは少なくとも1つのLED164によって表示される視覚的構成を含む。結果として、少なくとも1つのビジョンセンサ166による各撮像装置126、128;126’、128’の個々のパターンの記録は、したがって、各個々の撮像装置126、128;126’、128’の動作状態に関する所望の情報を直接提供することができる。このようにして、スライド撮像装置110は、第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’から直接この情報を取得する必要なしに、それぞれ第1の撮像装置126、126’または第2の撮像装置128、128’の動作状態に独立してアクセスすることができる。しかしながら、一方では第1の撮像装置126、126’または第2の撮像装置128、128’と、他方では第1の撮像装置126、126’および第2の撮像装置128、128’の動作状態を提供するためのオペレーティングシステム170との間の直接通信も実現可能とすることができる。
【0112】
その結果として、供給装置120の動作は、供給装置120の動作が、現在利用可能な撮像装置のみにスライド140またはスライドホルダ142を送達するように、および/または現在利用可能な撮像装置のみからスライド140またはスライドホルダ142を排出するように適合されることができるように、各撮像装置126、128;126’、128’の動作状態に関する情報を使用することによって、特に、各撮像装置126、128;126’、128’について少なくとも1つのビジョンセンサ166によって取得された個々のパターンを使用することによって決定されることができる。したがって、スライド撮像装置110の動作は、撮像装置126、128;126’、128’のうちの1つが故障した場合であっても、少なくとも大部分は妨げられることがなく、この場合、オペレーティングシステム170は、それに応じて供給装置120の動作モードを再配置することができる。さらに、スライド撮像装置110のユーザまたはスライド撮像装置110を見ているサービス要員は、特に、欠陥のある撮像装置をチェックし、必要に応じて修理するために、潜在的に欠陥のある撮像装置にほとんど妨害されることなくアクセスすることができる。実施形態では、欠陥のある撮像装置へのアクセスは、特に伸縮レール(ここでは図示せず)を使用することによって、第1のプレート122または第2のプレート124がフレーム112から伸張可能であることによって容易にされる。そのような実施形態では、ユーザは、スライド撮像装置110の動作を中断することなく、欠陥のある撮像装置をチェックし、必要に応じて修理することができ、または欠陥のある撮像装置をスライド撮像装置110から取り外すことさえできる。
【0113】
上述したように、スライド撮像装置110は、供給装置120、少なくとも1つの第1の撮像装置126、126’および少なくとも1つの第2の撮像装置128、128’のうちの1つ以上の動作を制御するように構成することができるオペレーティングシステム170を備えてもよい。ここで、オペレーティングシステム170は、好ましくは、コンピュータ172と、コンピュータ170に命令を入力するように構成された入力装置174とを備えてもよく、入力装置174は、キーボード176と、少なくとも1つの表示装置178とを備えてもよい。ここで、表示装置178は、スライド撮像装置110の動作状況に関する情報を少なくとも1つ表示するために使用されることができる。
【0114】
さらに、スライド撮像装置110は、ユーザによって様々な位置から少なくとも1つの第1の撮像装置126、126’または少なくとも1つの第2の撮像装置128、128’によって走査された後にスライド140に搭載された試料の画像162を見やすくするために、好ましくは回動可能なホルダ(ここでは図示せず)に取り付けられることができる少なくとも1つのモニタ180を備えてもよい。
【0115】
図2は、複数のスライド140を撮像するための方法210の好ましい実施形態を概略的に示しており、方法210は、以下のステップを含む。
【0116】
ステップa)にかかる装填ステップ212では、複数のスライド140が保管装置118に装填され、保管装置118によって保管される。本明細書では、スライド140は、個々のスライド140として、または1つよりも多いスライド140を保持するように構成されたスライドホルダ142を使用することによって装填されてもよい。
【0117】
ステップb)による供給ステップ214において、スライド140は、好ましくは連続的に供給装置120を使用することによって、保管装置118から少なくとも1つの第1の撮像装置126、126’または少なくとも1つの第2の撮像装置128、128’に選択的に供給される。ここで、スライド140は、好ましくは、保管装置118から少なくとも1つの第1の撮像装置126、126’または少なくとも1つの第2の撮像装置128、128’に自動的に供給される。
【0118】
ステップc)による撮像ステップ216において、スライド140に搭載された試料の画像は、少なくとも1つの第1の撮像装置126、126’または少なくとも1つの第2の撮像装置128、128’を使用して生成される。次いで、画像162は、上述したようにモニタ180に表示されることができる。
【0119】
搬送ステップ218において、スライド140は、少なくとも1つの第1の撮像装置126、126’から、または少なくとも1つの第2の撮像装置128、128’から、個々のスライド140として、または複数のスライド140を保持するように構成されたスライドホルダ142を使用することによって、保管装置118に、特にスライド140が装填された保管装置118内の関連する位置に搬送されてもよい。
【0120】
複数のスライド140を撮像するための方法210に関するさらなる詳細については、上述したようにスライド撮像装置110を参照することができる。
【符号の説明】
【0121】
110 スライド撮像装置
112 フレーム
114 車輪
116 テーブル
118 保管装置
120 供給装置
122 第1のプレート
124 第2のプレート
126、126’ 第1の撮像装置
128、128’ 第2の撮像装置
130 ハウジング
132 安全ドア
134 安全スイッチ
136 非常停止スイッチ
138 非常停止ボタン
140 スライド
142 スライドホルダ
144 行
146 上行
148 下行
150 高速レーン
152 指定されたスライド
154 ロボットアーム
156 スライド受け入れ部
158 把持装置
160 操作ボタン
162 画像
164 発光ダイオード(LED)
166 ビジョンセンサ
168 光記録装置
170 オペレーティングシステム
172 コンピュータ
174 入力装置
176 キーボード
178 ディスプレイ
180 モニタ
210 スライドを撮像するための方法
212 装填ステップ
214 供給ステップ
216 撮像ステップ
218 搬送ステップ
図1A
図1B
図2