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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】触覚センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20241213BHJP
   G01L 1/14 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
G01L1/14 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022580804
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2021097426
(87)【国際公開番号】W WO2022001547
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】202010599981.1
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515354900
【氏名又は名称】ウェイハイ ファーリング オプト-エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】戚務昌
(72)【発明者】
【氏名】横道昌弘
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2015/115367(JP,A1)
【文献】国際公開第2018/012329(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
G01L 1/00-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニピュレータに適用される触覚センサであって、
前記マニピュレータが対象物体を把持する際に伝達される圧力を受け取り、その圧力をセンシング部に伝達する接触部と、
前記接触部の一方側に位置し、前記圧力の作用下で、前記接触部から離れる方向に移動する前記センシング部と、
前記センシング部の前記接触部から離れた側に位置し、前記センシング部の位置の変化をセンシングしてセンシング信号を生成する検出部であって、前記センシング信号は、マニピュレータと前記対象物体との間の接触パラメータを決定するように設定される、検出部とを含み、
前記接触パラメータは、接触点の位置と接触力の値を含み、
前記センシング部は、センシング電極を含み、
前記検出部は、
検出基板と、
前記検出基板上に位置するセンサチップであって、前記センシング電極は、前記センサチップ上に投影を有し、前記センサチップはボンディングワイヤを介して前記検出基板に電気的に接続されている、センサチップとを含む、触覚センサ。
【請求項2】
前記触覚センサは、前記接触部の一方側に位置する弾性部を更に含み、且つ前記センシング部は前記接触部と前記弾性部との間に位置する、請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項3】
前記検出基板は、
外部機器に接続され、前記検出基板に電気制御信号を提供し、且つ前記センシング信号を外部に伝達する電気インターフェースを含む、請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項4】
前記センサチップは、前記センシング電極と電界を形成する複数の検出電極を含み、各前記検出電極は、前記センシング電極と同じ方向に配列されている、請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項5】
前記センサチップは、前記センサチップに動作電圧及び駆動信号を提供する電気接続電極を更に含み、前記駆動信号は、クロック信号CLK、行駆動信号SI、及び出力信号SIGのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項6】
前記検出部は、
収容キャビティ及び開口部を有する筐体であって、前記検出基板及び前記センサチップが前記収容キャビティ内に位置する、筐体と、
前記筐体と共に取り囲んで密閉空間を形成する保護構造とを更に含む、請求項に記載の触覚センサ。
【請求項7】
前記保護構造は、保護カバープレート及び封止接着剤のうちの1つである、請求項6に記載の触覚センサ。
【請求項8】
前記接触部の材料は柔軟性材料であり、前記弾性部の材料はゴム材料である、請求項7に記載の触覚センサ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年6月28日に中国特許庁に出願された出願番号が202010599981.1であり、出願の名称が「触覚センサ」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照により本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明はセンサの技術分野に関し、具体的には、触覚センサに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、マニピュレータは、人間の手や腕の特定の動作機能を模倣して、一定の手順に従って物体を把持し、運搬し、ツールを操作できる自動操作装置であり、これは、人間の重労働に取って代わって生産の機械化と自動化を実現することができ、また、有害な環境で動作して人の安全を守ることもできるため、機械製造、冶金、エレクトロニクス、軽工業、原子力などの部門で広く使用されている。把持の過程で、マニピュレータは、マニピュレータと把持対象物体との間の接触点、及び接触点での把持力の大きさ(即ち、触覚及び力覚)を感知する必要がある。
【0004】
現在、マニプレータに一般的に使用されている接触センサのほとんどは圧力センサであり、圧力センサは、触覚及び力覚のフィードバックがなく、その柔軟性が大きく影響されるため、物体の把持精度が著しく低下し、把持が傾いて物体が落下することが常に発生する。また、現在の圧力センサは通常、一点式圧力センサであり、例えば、マニピュレータの関節にセンサアレイが適用され、アレイを利用して接触点のパラメータを測定し、しかしながら、この方法では、アレイの圧力センサが適用されているが、マニピュレータ内の空間が非常に小さいため、アレイの圧力センサの数が限られており、接触点の位置を正確に感知することができず、微細な物体を把持するというマニプレータの使用要求を満たすことができない。
【0005】
上記の問題に対して、有効な解決手段はまだ提案されていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、従来技術においてマニピュレータが圧力センサを用いるため、マニピュレータと物体との接触点を正確に感知することができず、物体を把持する際の精度が著しく低下するという技術的問題を少なくとも解決するための触覚センサを提供する。
【0007】
本発明の実施形態の一態様によれば、マニピュレータに適用される触覚センサが提供され、この触覚センサは、上記マニピュレータが対象物体を把持する際に伝達される圧力を受け取り、その圧力をセンシング部に伝達する接触部と、上記接触部の一方側に位置し、上記圧力の作用下で、上記接触部から離れる方向に移動する上記センシング部と、上記センシング部の上記接触部から離れた側に位置し、上記センシング部の位置の変化をセンシングしてセンシング信号を生成する検出部であって、上記センシング信号は、マニピュレータと上記対象物体との間の接触パラメータを決定するように設定される、検出部とを含む。
【0008】
好ましくは、上記触覚センサは、上記接触部の一方側に位置する弾性部を更に含み、且つ上記センシング部は上記接触部と上記弾性部との間に位置する。
【0009】
好ましくは、上記センシング部は、センシング電極を含む。
【0010】
好ましくは、上記検出部は、検出基板と、上記検出基板上に位置するセンサチップであって、上記センシング電極は、上記センサチップ上に投影を有し、上記センサチップはボンディングワイヤを介して上記検出基板に電気的に接続されている、センサチップとを含む。
【0011】
好ましくは、上記検出基板は、外部機器に接続され、上記検出基板に電気制御信号を提供し、且つ上記センシング信号を外部に伝達する電気インターフェースを含む。
【0012】
好ましくは、上記センサチップは、上記センシング電極と電界を形成する複数の検出電極を含み、各上記検出電極は、上記センシング電極と同じ方向に配列されている。
【0013】
好ましくは、上記センサチップは、上記センサチップに動作電圧及び駆動信号を提供する電気接続電極を更に含み、この駆動信号は、クロック信号CLK、行駆動信号SI、及び出力信号SIGのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
好ましくは、上記検出部は、収容キャビティ及び開口部を有する筐体であって、上記検出基板及び上記センサチップが上記収容キャビティ内に位置する、筐体と、上記筐体と共に取り囲んで密閉空間を形成する保護構造とを更に含む。
【0015】
好ましくは、上記保護構造は、保護カバープレート及び封止接着剤のうちの1つである。
【0016】
好ましくは、上記接触部の材料は柔軟性材料であり、上記弾性部の材料はゴム材料である。
【0017】
本発明の実施形態において、接触部は、マニピュレータが対象物体を把持する際に伝達される圧力を受け取り、その圧力をセンシング部に伝達し、センシング部は、圧力の作用下で、接触部から離れる方向に移動し、検出部は、上記センシング部の位置の変化をセンシングしてセンシング信号を生成し、ここで、センシング信号は、マニピュレータと対象物体との間の接触パラメータを決定するように設定される。この実施形態では、物体とマニピュレータとの接触点を正確に検出できる触覚センサが提供され、この触覚センサは、感知された圧力をセンシング信号の形でリアルタイムに外部に出力してフィードバックし、マニピュレータの把持状態を連続的に監視し、マニピュレータが物体を把持する際の接触点を調整して、物体の把持精度を向上させ、それにより、従来技術においてマニピュレータが圧力センサを用いるため、マニピュレータと物体との接触点を正確に感知することができず、物体を把持する際の精度が著しく低下するという技術的問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで説明される図面は、本発明をより理解するように提供されるものであり、本出願の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態及びその説明は、本発明を説明するためのものであり、本発明を不適切に限定するものではない。
図1】本発明の実施形態による好ましい触覚センサの外観概略図である。
図2】本発明の実施形態による好ましい触覚センサの断面構造概略図である。
図3】本発明の実施形態による好ましい検出基板の概略図である。
図4】本発明の実施形態による好ましいセンサチップの概略図である。
図5】本発明の実施形態による好ましい電気接続電極出力信号の概略図である。
図6】本発明の実施形態による別の好ましい触覚センサの概略図である。
図7】本発明の実施形態による別の好ましいセンサチップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当業者に本発明の解決手段をよりよく理解させるように、以下、本発明の実施形態における図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を明確且つ完全に説明するが、明らかに、記載される実施形態は本発明の実施形態の一部に過ぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に属するべきである。
【0020】
本発明の明細書及び特許請求の範囲並びに上記の図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似の対象を区別することを意図しており、必ずしも特定の順序又は前後の順序を説明することを意図していないことに留意されたい。このように使用される数字は、本明細書に記載の本発明の実施形態が本明細書に例示又は記載された順序以外の順序で実施され得るように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。更に、「含む」及び「有する」という用語、並びにそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又はデバイスは、必ずしも明示的に列挙されたステップ又はユニットに限定されず、明示的に列挙されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0021】
本発明の以下の実施形態は、様々なマニピュレータに適用することができ、マニピュレータに新しい触覚センサを設けることで、接触部及び弾性部に異なる触圧が作用し、センシング部のセンシング電極に異なる変位が発生すると同時に、検出電極に異なる量の電荷が発生し、それにより、異なるセンシング信号を出力し、出力信号の大きさ及び信号の出力波形に基づいて、接触力の大きさ及び接触点の位置を計算することができる。
【0022】
図1は、マニピュレータに適用される、本発明の実施形態による好ましい触覚センサの外観概略図であり、図1に示すように、この触覚センサは、接触部1と、センシング部2と、検出部4とを含み、ここで、接触部1は、マニピュレータが対象物体を把持する際に伝達される圧力を受け取り、その圧力をセンシング部に伝達する。
【0023】
上記接触部1は、外部の把持対象物体と接触することができ、外部接触の圧力を受け取り、同時にその圧力をセンシング部2及び弾性部3に伝達する。
【0024】
センシング部2は、接触部の一方側に位置し、圧力の作用下で、センシング部は接触部から離れる方向に移動する。
【0025】
好ましくは、センシング部は、センシング電極を含む。センシング電極は、平らなシート状の電極とすることができ、対象物体がマニピュレータに接触したときに加えられる力の大きさに応じて対応する変形を生じるように設定される。
【0026】
図1において、触覚センサは、接触部の一方側に位置する弾性部3を更に含み、且つセンシング部は接触部と弾性部との間に位置する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態として、接触部の材料は柔軟性材料であってもよく、弾性部の材料はゴム材料であってもよい。
【0028】
弾性部3は、接触部1から伝達される外部圧力を受け、センシング電極2を駆動して対応する変形を生じさせ、その結果、センシング電極2から検出部4までの距離Dが外力の作用によって変化する。
【0029】
上記センシング電極は、ベース電圧を含み、検出電極(検出部内に配置されている)と電界を形成して、検出電極上に電荷を形成することができる。センシング電極は、接触部1と弾性部3との間に位置し、接触部1と弾性部3の変形度に応じて変形することができ、接触部1に外力が作用すると(例えば、マニピュレータが対象物体を把持するとき)、対象物体と接触する作用力が接触部1を介して内部に伝達され、その結果、センシング電極2と弾性部3が作用力の大きさに応じて変形する。センシング電極2が変形すると、センシング電極と検出部4の表面との間の距離Dが変化する。接触力が大きいほど、センシング電極2の変形量が大きくなり、Dの値が小さくなり、センシング電極が検出部4に近くなる。接触点の位置が異なれば、Dが変化する位置も異なることから、圧力の大きさと着力点の位置、即ち接触点の位置と接触力の大きさを決定することができる。
【0030】
センシング電極に含まれるベース電圧は、事前に印加されてもよく、検出部4によって供給されてもよく、又は必要に応じて直接供給されてもよい。ベース電圧の電圧値は、触覚センサ全体の重要な1つのパラメータであり、電圧値の大きさは、接触部1と弾性部 3の柔軟性と厚さに関係しており、センシング電極から検出部4までの初期距離D、即ち触覚センサの使用環境である把持対象物体の初期重量の上限設計値にも関係する。把持重量が大きい場合、接触部1と弾性部3の柔軟性を低く、厚さを大きくする必要があり、これにより、センシング電極と検出部4との間の距離が大きくなり、このとき検出電極2に印加される電圧が高く、そうでない場合、印加される電圧が低い。
【0031】
図2は、本発明の実施形態による好ましい触覚センサの断面構造概略図であり、図2に示すように、触覚センサは、接触部1、センシング部2(センシング電極として理解することができる)、弾性部3、及び検出部4を含む。
【0032】
検出部4は、センシング部の接触部から離れた側に位置し、検出部は、前述のセンシング部の位置の変化をセンシングしてセンシング信号を生成し、センシング信号は、マニピュレータと対象物体との間の接触パラメータを決定するように設定される。
【0033】
本発明の実施形態では、検出部4は、検出基板と、検出基板上に位置するセンサチップであって、センシング電極は、センサチップ上に投影を有し、センサチップはボンディングワイヤを介して検出基板に電気的に接続されている、センサチップとを含む。
【0034】
検出部4によって、変形によるセンシング電極2の位置変化により対応する検出電極に生じされる電荷変化が測定される。
【0035】
図2に示すように、検出部4は、検出基板41と、センサチップ42と、ボンディングワイヤ43とを含む。
【0036】
好ましくは、検出基板は、外部機器に接続され、検出基板に電気制御信号を提供し、且つセンシング信号を外部に伝達する電気インターフェースを含む。図2に示すように、電気インターフェースは44である。
【0037】
検出基板41上にはセンサチップ42が搭載されており、センサチップ42上には検出電極421が設けられており、検出電極421はチップ表面に沿って直線状に配列されている。 ここで、センサチップのタイプは、電荷センシングセンサチップであってもよい。
【0038】
検出部4上のセンサチップは、検出電極421及び電気接続電極422を含む。
【0039】
図3は、本発明の実施形態による好ましい検出基板の概略図であり、図3に示すように、検出基板上にはセンサチップが設けられており、センサチップは検出電極421及び電気接続電極422を含む。センサチップ42は、ボンディングワイヤ43を介して検出基板41に電気的に接続され、検出基板41上には外部に接続されるための電気インターフェース44も設けられており、この電気インターフェース44を介して検出基板41に電気制御信号が提供され、検出されたセンシング信号が外部に出力される。
【0040】
図4は、本発明の実施形態による好ましいセンサチップの概略図であり、図4に示すように、センサチップ42上には、平行に配列されている複数の検出電極421及び電気接続電極422が設けられている。
【0041】
検出電極421は、センシング電極と電界を形成し、各検出電極は、センシング電極と同じ方向に配列されている。センシング電極は、検出電極421と同じ方向に配列され、検出電極421の真上に配置することができ、センシング電極に印加された電圧と検出電極421との間に電界が形成され、検出電極421にセンシング電荷が発生し、このように、センサチップ42は、検出電極421に発生した電荷信号を電圧信号に変換してセンシング信号を取得し、このセンシング信号を外部に出力することができる。検出電極421は、半導体プロセスによって製造された平面金属電極であり、使用される材料はアルミニウム材料を含み、検出電極421は、従来の論理スイッチを介してIC内部のシフト回路に接続され、シリアル信号に変換されて外部に出力される。
【0042】
電気接続電極422は、センサチップに動作電圧及び駆動信号を提供し、駆動信号は、クロック信号CLK、行駆動信号SI、及び出力信号SIGのうちの少なくとも1つを含む。駆動信号は、前述のクロック信号CLK及び行駆動信号SIに限定されない。
【0043】
図5は、本発明の実施形態による好ましい電気接続電極出力信号の概略図であり、図5に示すように、クロック信号の駆動下で、センサチップは、一つの行駆動信号SI(正パルス)が送出されるたびに1回の行走査を行い、各検出電極421に対応する1行の電圧信号を出力する。連続動作状態では、触覚センサは、センシング信号をリアルタイムに外部に出力することができ、制御システム/コンソールがセンシング信号を受信した後、それを圧力信号及び位置信号に変換し、それによりマニピュレータの動作状態を連続的に監視することができる。
【0044】
図4の検出基板41上に設けられているセンサチップ42のタイプは、任意に選択可能であり、センサチップは、半導体CMOSプロセスによって製造されたチップ(パッケージ化されていないベアチップ)であり、チップの表面には検出電極421及び電気接続電極422が配列されている。検出電極421は、チップの長さ方向に沿って均等に配列され、そのサイズは、必要とされる解像度に応じて設定することができる。
【0045】
好ましくは、検出部は、収容キャビティ及び開口部を有する筐体であって、検出基板及びセンサチップが収容キャビティ内に位置する、筐体と、筐体と共に取り囲んで密閉空間を形成する保護構造とを更に含む。
【0046】
本発明の実施形態では、保護構造は、保護カバープレート及び封止接着剤のうちの1つである。図2に示すように、保護カバープレートは45、筐体は46である。検出基板41は筐体46の内部に取り付けられ、センサチップ42を保護するために筐体46の上面に保護カバープレート45を取り付けることができる。
【0047】
図2において、センシング部2と保護カバープレート45との間のDは、センシング電極と検出部表面との間の距離を示す。
【0048】
上述の触覚センサでは、接触部1は、マニピュレータが対象物体を把持する際に伝達される圧力を受け取り、その圧力をセンシング部に伝達することができ、センシング部2は、圧力の作用下で、接触部から離れる方向に移動し、検出部4は、上記センシング部2の位置の変化をセンシングしてセンシング信号を生成し、ここで、センシング信号は、マニピュレータと対象物体との間の接触パラメータを決定するように設定される。この実施形態では、物体とマニピュレータとの接触点を正確に検出できる触覚センサが提供され、この触覚センサは、感知した圧力をセンシング信号の形でリアルタイムに外部に出力してフィードバックし、マニピュレータの把持状態を連続的に監視し、マニピュレータが物体を把持する際の接触点を調整し、物体の把持精度を向上させ、それにより、従来技術においてマニピュレータが圧力センサを用いるため、マニピュレータと物体との接触点を正確に感知することができず、物体を把持する際の精度が著しく低下するという技術的問題を解決する。
【0049】
センサチップ42が接続動作状態にあるとき、リアルタイムに信号を外部に出力し(外部物体との接触がなくても)、したがって、感知した圧力をセンシング信号の形でリアルタイムに外部に出力してフィードバックし、制御システムはマニピュレータの把持状況を連続的に監視することができる。
【0050】
本発明の実施形態では、センシング電極の方向を検出電極421の配列方向と同じ方向に設定することができ、また検出電極421の真上に設けることができ、センシング電極が位置する平面は、検出電極421が位置する平面と平行である。センシング電極と検出電極421とは、平板コンデンサの構造が形成され、平板コンデンサの原理によれば、C=q/Vであり、式中、Cはコンデンサの静電容量であり、qは検出電極にセンシングされる電荷値であり、Vはセンシング電極に印加されるベース電圧である。平板コンデンサの構造によれば、コンデンサの静電容量は、C=ε S/Dとして表すこともでき、式中、Cはコンデンサの静電容量であり、εは、平板間の媒体の誘電率であり、Sは検出電極421の面積であり、Dはセンシング電極と検出電極421との間の距離であり、これから検出電極のセンシング電荷値q=ε S*V/Dを計算することができる。
【0051】
検出電極421にセンシングされる電荷量は、主にセンシング電極に印加されるベース電圧V、及びセンシング電極と検出電極421との間の距離Dによって決定される。電荷量は印加されるベース電圧に比例し、ベース電圧Vが高いほど多くの電荷がセンシングされ、一方、電荷量は距離Dに反比例し、距離Dが近いほど多くの電荷がセンシングされる。
【0052】
本発明の実施形態では、比較的軽い物体を把持することを主目的として、厚さの薄い弾性部3と接触部1が使用され、例えば弾性部の厚さを2mmとし、ゴム材料を選択し、接触部1の厚さを5mmとし、同様にゴム材料を使用する。センシング電極の材料を選択する際は、各マニピュレータが把持する必要のある物体の質量に応じて異なる材料を選択し、例えば、センシング電極には、厚さ0.03mm、幅2mmの銅箔を用い、この銅箔を接触部1と弾性部3との間に接着して固定する。
【0053】
触覚センサが出力するセンシング信号の強度を接触力の大きさに換算し、また出力波形が示す各検出電極の出力値の大きさに応じて着力点の位置を換算することができる。
【0054】
比較的重い物体を把持する必要がある場合、接触部1と弾性部3の厚さを大きくし、柔軟性を低くすることで、センシング電極と検出部4との間の距離が大きくなり、触覚センサがより大きな作用力に耐えることができるようになる。センシング電極と検出部4との間の距離が大きくなると、検出電極421にセンシングされる電荷が減少し、作用力に対する感度が低下し、このとき、センシング電極の電圧を高くすることにより、出力信号の強度を高めることができる。
【0055】
図6は、本発明の実施形態による別の好ましい触覚センサの概略図であり、図6に示すように、チップの上部に取り付けられた保護カバープレートの代わりに、センサチップは封止層451によって保護され、ここで、封止層451は、封止接着剤を塗布することによって形成されることができ、封止接着剤を使用することで、検出部表面からセンサチップ表面までの距離を短縮することができ、それに応じてセンシング電極からチップ表面上の検出電極までの距離を短縮し、測定精度及び感度を向上させる。
【0056】
図6において、もう1つの違いは、弾性部3が検出部4の表面の周囲にのみ設けられており、センシング電極と検出部表面の間の領域が空(空気を媒体としてみなすこともできる)であることであり、これにより、センシング電極の位置変化範囲を拡大することができ、圧力の測定範囲を拡大することができる。
【0057】
また、把持対象物体が比較的大きい場合、触覚センサのサイズを長くして、検出基板41上に複数のセンサチップ42を配列することで検出範囲を拡大することができる。
【0058】
図7は、本発明の実施形態による別の好ましいセンサチップの概略図であり、図7に示すように、検出基板41上には3つのセンサチップ42が配列されており、検出基板41に同様に電気インターフェース44が配置されており、このとき、含まれる検出電極421の数は108個であり、検出範囲は54.9mmに達することができる。
【0059】
より大きな物体を把持することを望む場合は、複数の触覚センサを配置することができ、例えば、図1に示す触覚センサをマニピュレータの把持爪に間隔を空けて配置し、多接触点の感知構造を形成する。
【0060】
上記の本発明の実施形態の番号は、説明のためのものであり、実施形態の優劣を表すものではない。
【0061】
上述した本発明の実施形態において、各実施形態の説明には、独自の強調点があり、特定の実施形態で詳細に説明されていない部分については、他の実施形態の関連する説明を参照することができる。
【0062】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示された技術的内容が他の方法で実施され得ることを理解されたい。上述の装置の実施形態は例示的なものにすぎず、例えば、上記のユニットの分割は、論理的な機能の分割であってもよく、実際の実装で他の分割方法が存在してもよく、例えば、複数のユニット又は構成要素を組み合わせたり、別のシステムに統合したりしてもよく、あるいは一部の特徴を省略してもよく、又は実装しなくてもよい。更に、図示又は議論された相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェース、ユニット又はモジュールを介した間接結合又は通信接続であってもよく、また、電気的又は他の形態であってもよい。
【0063】
別々の部分として記述されたユニットは、物理的に分離されていてもされていなくてもよく、ユニットとして示された部分は物理的なユニットであってもでなくてもよく、即ち、1つの場所に配置することも、複数のユニットに分散することもできる。
【0064】
また、本発明の各実施形態における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが物理的に単独で存在してもよく、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上述の統合ユニットは、ハードウェアの形態で実装されてもよく、ソフトウェア機能ユニットの形態で実装されてもよい。
【0065】
上述の統合ユニットは、ソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。このような理解に基づいて、本発明の技術的解決手段は本質的に、又は従来技術に寄与する部分、又はこの技術的解決手段の全体若しくは一部は、ソフトウェア製品の形態で具現化することができ、このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納されており、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスなどであってもよい)に本発明の各実施形態に記載された方法のすべて又は一部のステップを実行させるためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体には、USBメモリ、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、モバイルハードディスク、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムコードを格納できる様々な媒体が含まれる。
【0066】
以上は、本発明の好ましい実施例にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善及び修正を加えることができ、これらの改善及び修正も本発明の保護範囲とみなされるべきであることに留意されたい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本出願の実施形態で提供される解決手段は、マニピュレータの把持状態を連続的に監視し、マニピュレータが物体を把持する際の接触点を調整し、物体の把持精度を向上させるために使用することができる。本出願の実施形態で提供される技術的解決手段は、様々なマニピュレータに適用することができ、マニピュレータに新しい触覚センサを設けることで、接触部及び弾性部に異なる触圧が作用し、センシング部のセンシング電極に異なる変位が発生すると同時に、検出電極に異なる量の電荷が発生し、それにより、異なるセンシング信号を出力し、出力信号の大きさ及び信号の出力波形に基づいて、接触力の大きさ及び接触点の位置を計算することができ、したがって、従来技術においてマニピュレータが圧力センサを用いるため、マニピュレータと物体との接触点を正確に感知することができず、物体を把持する際の精度が著しく低下するという技術的問題を解決する。本出願の実施形態は、感知した圧力をセンシング信号の形でリアルタイムに外部に出力してフィードバックすることができ、それによりマニピュレータの把持状態を連続的に監視し、マニピュレータが物体を把持する際の接触点を調整し、物体の把持精度を向上させる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7