(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】極低温ポンプのクールダウンのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F17C 9/02 20060101AFI20241213BHJP
F17C 5/06 20060101ALI20241213BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20241213BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20241213BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20241213BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
F17C9/02
F17C5/06
F17C13/00 302A
F04B39/12 C
F04B39/00 C
F04B49/10 321
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031609
(22)【出願日】2023-03-02
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ダブリュ.ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョナサン チャーク
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ピー.コーヘン
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06530761(US,B1)
【文献】特開2018-204721(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102019211535(DE,A1)
【文献】特開2012-002224(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102027236(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0028628(US,A1)
【文献】特開2018-076894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/06
F17C 9/02
F17C 13/00
F04B 15/08
F04B 39/00
F04B 39/12
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素の貯蔵及び分配のための装置であって、
少なくとも1つの貯蔵タンク、
前記少なくとも1つの貯蔵タンクから水素を受け取るように配置されたポンプ、
前記ポンプは、前記ポンプから液体が通過可能なポンプ吐出導管のためのポンプ吐出口を有し、
前記ポンプはまた、圧縮キャビティと、前記圧縮キャビティ内で移動可能な可動ピストンとを有し、前記ポンプはまた、前記圧縮キャビティ及び前記可動ピストンに隣接して配置されたピストンリングを有し、
前記ピストンリング及び前記圧縮キャビティは、水素ガスが、前記
可動ピストンが静止している間に圧縮キャビティ内へと通過可能であり、前記圧縮キャビティから、前記ピストンリングを通して、前記水素ガスを大気にベントするためのクールダウン吐出導管と流体連通するように構成された冷却流出口に通過可能であるように、配置及び構成されている、
水素供給導管構成であって、前記少なくとも1つの貯蔵タンクと前記ポンプの供給入口との間に接続されて、前記少なくとも1つの貯蔵タンクから前記ポンプに液体水素を提供する、液体供給導管、及び、前記少なくとも1つの貯蔵タンクと前記ポンプの供給入口との間に接続されて、前記少なくとも1つの貯蔵タンクから前記ポンプに水素ガスを提供する、水素ガス提供導管のうちの、少なくとも一方を含む、水素供給導管構成、
前記クールダウン吐出導管は、前記ポンプに接続され、それにより、前記冷却流出口を通過させられた水素ガスが、前記ポンプのクールダウン動作の間にベントされるように、前記ポンプから前記クールダウン吐出導管を通って通過可能である、
前記クールダウン吐出導管は、前記ポンプが非アクティブである間、前記ポンプのクールダウン動作の間に前記水素をベントするための開位置に調節可能な調節可能弁を有する、
前記ポンプに接続されて、前記少なくとも1つの貯蔵タンクから前記ポンプに供給される水素の温度を測定する、第1の温度センサおよび/または
前記クールダウン吐出導管に接続されて、前記クールダウン吐出導管を通過するための前記ポンプから出力される水素の温度を監視する、第2の温度センサ、
コントローラであって、前記第1の温度センサ及び/又は前記第2の温度センサに通信可能に接続されて、前記少なくとも1つの貯蔵タンクから前記ポンプに送られる前記水素の温度と、前記ポンプから出力され前記クールダウン吐出導管を通過する前記水素の温度との差を決定する、コントローラ、
を含み、
前記コントローラは、前記差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内であることの決定に応答して、前記ポンプが予め選択された動作温度範囲内の温度にあることを決定し、前記ポンプがディスペンサに向けて水素を供給するようアクティブ化可能であると決定するように構成された、水素の貯蔵及び分配のための装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値内の温度にあり、その差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内であることの決定に応答して、水素供給導管構成の弁を調節し、前記ポンプをオンにするようポンプ駆動モータと通信するように構成されている、請求項1に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
【請求項3】
前記ポンプは、前記水素ガスが冷却流出口に向かって冷却流路に沿って移動しながら前記
可動ピストンを通過した後に、前記水素ガスの一部を内部のポンプの構成要素に送るように配置された、内部冷却チャネルを含む、請求項1に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
【請求項4】
前記内部冷却チャネルは、前記ポンプのシリンダ内に画定されている、請求項3に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
【請求項5】
ポンプのクールダウン動作を実行する方法であって、
前記ポンプが非アクティブである間に、貯蔵タンクと流体連通しているポンプに接続されたクールダウン吐出導管の弁を開いて、前記貯蔵タンク内の水素が前記ポンプの圧縮キャビティ内へと通過可能となるようにすることと、
前記ポンプのピストンが静止している間に、前記貯蔵タンクから前記ポンプ内へと前記水素を送り、前記ポンプのピストンが静止している間に、前記圧縮キャビティに通過させられた水素ガスが、前記圧縮キャビティから、前記圧縮キャビティ及び前記ピストンに隣接して配置されたピストンリングを通って送られるようにすることと、
前記ピストンリングから前記クールダウン吐出導管に前記水素ガスを送ってベントさせることと、
前記貯蔵タンクから前記ポンプに供給される水素の温度を測定するために、前記ポンプの一部を通過する前記水素の温度を監視
し、
前記ポンプに接続された第1の温度センサが、前記ポンプの前記一部を通過する前記水素の温度を測定
すること、
前記クールダウン吐出導管を通過するために前記ポンプから出力される前記水素の温度を監視
し、
前記クールダウン吐出導管に接続された第2の温度センサが、前記クールダウン吐出導管を通過するために前記ポンプから出力される前記水素の温度を測定する
こと、
を含み、
前記第1の温度センサ及び/又は前記第2の温度センサに通信可能に接続され、前記ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値以下であるか否かを決定する、コントローラを有し、
前記ポンプが前記予め選択されたポンプ動作温度閾値以下であることの決定に応答して、前記コントローラは、前記クールダウン吐出導管の前記弁を閉じて水素ガスのベントを停止させるための通信を送信する、方法。
【請求項6】
前記ポンプが予め選択された動作ポンプ温度範囲内である温度にまで冷却されることを決定することと、
前記ポンプが前記予め選択された動作ポンプ温度範囲内である温度にあること、及びまた前記ポンプに流体接続されたディスペンサにおいて車両への燃料供給のための液体水素の需要があることの前記コントローラの決定に応答して、前記クールダウン吐出導管の弁を閉じて前記水素ガスのベントを停止し、前記貯蔵タンクから前記ディスペンサに向けて液体水素を供給するために前記ポンプの前記ピストンを前記圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして前記ポンプをオンにすることと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポンプを通過する前記水素の温度と、前記ポンプから出力され前記クールダウン吐出導管を通過させられた前記水素の温度との差を決定することと、
(i)前記差が前記予め選択されたポンプ動作温度閾値内にあること、(ii)前記ポンプを通過する前記水素の温度が予め選択されたポンプ動作温度範囲内にあること、及び(iii)また、前記ポンプに流体接続されたディスペンサにおいて車両への燃料供給のための液体水素の需要があること、の決定に応答して、前記クールダウン吐出導管の弁を閉じて水素のベントを停止し、前記貯蔵タンクから前記ディスペンサに向けて液体水素を供給するために前記ポンプの前記ピストンを前記圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして前記ポンプをオンにすることと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ポンプ内の温度が前記予め選択された動作温度範囲内にあることの決定に応答して、前記クールダウン吐出導管の弁を閉じて前記水素ガスのベントを停止し、前記貯蔵タンクからポンプに流体接続されたディスペンサに向けて液体水素を供給するために前記ポンプの前記ピストンを前記圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして前記ポンプをオンにすることと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温流体(例えば液体水素、液体酸素、液体窒素、液体ヘリウムなど)を使用するように配置及び構成され得るポンプを冷却するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素生成及び提供システムの例は、米国特許第6,401,767号、第6,474,078号、第6,619,336号、第6,708,573号、第6,745,801号、第6,786,245号、第7,028,724号、第7,328,726号、第7,793,675号、第7,921,883号、第8,020,589号、第8,286,675号、第8,365,777号、第8,453,682号、第8,899,278号、第9,074,730号、第9,151,448号、第9,261,238号、第9,279,541号、第9,404,620号、第9,863,583号、第10,502,649号、及び第10,508,770号に認められる。
【0003】
いくつかの水素燃料供給用途は、液体水素ポンプを利用することができる。かかるポンプの例は、米国特許出願公開第2007/0227614号及び第2018/0058441号、並びに中国特許公開第CN111765064A号及びCN110429300A号及び中国実用新案第CN213116590U号に認められる。
【0004】
米国特許第5,537,828号に開示されているように、極低温ポンプが低圧貯蔵タンクから高圧貯蔵タンクへ極低温液体を送り得る前に、ポンプに到達する前の液体の蒸発を最小化することを支援するため、適切な極低温温度まで冷却されることができる。極低温ポンプは、典型的には、蒸気又は液体と蒸気との混合物では、適切に動作しない。
【0005】
この問題に対処するために利用されてきた1つの解決策は、ポンプを液体水素温度にとどまることを確実にするよう低温流体中に浸漬することである。例えば、米国特許第6,474,078号は、この技術を開示している。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0096540号は、分注ステーションからの液化天然ガス(LNG)の配送のためのポンプを開示している。極低温LNGは、コールドショック又はインペラの選択加熱を回避するのに十分に低い温度にポンプ部分を維持するために、ポンプシステムを通して連続的に流れる必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ポンプを起動するのに必要とされる時間量を短縮しつつ、極低温流体(例えば水素)の損失を最小化することを支援するための、極低温ポンプのクールダウン動作のための新たな方法及び装置が必要であると判断した。いくつかの実施形態は、水素燃料の損失をかなり低減させつつ(例えば、いくつかの実施形態は、水素損失を例えば50%よりも大きく低減させ得る)、起動時間が2分程度又は2分未満まで短くなることを可能にし得る。いくつかの実施形態においては、ポンプは、ディスペンサ、流量制御マニホールド、又はその他の下流ユニットに向けての流体の流れを駆動することを支援するためにポンプが動作させられる前に実行される、クールダウン動作を受けることができる。実施形態は、クールダウン期間が従来の状況におけるよりも長くかかり得るものの、ポンプの起動プロセスがより迅速に行われることを可能とし、それによりポンプの動作の開始のために必要とされる全体の時間が大幅に短縮されるように構成されても良い。ポンプの冷却及びこの冷却された温度でのポンプの維持は、ポンプが迅速に始動させられ得る(例えば5分以内、5分未満かつ5秒より長い、最大2分、最大3分、10秒~2.5分、5秒~4分、など)ような態様で提供されても良い。実施形態は、ポンプを液体水素中に浸漬する必要も回避し得る、水素の損失を最小化する所望の冷却温度に、ポンプ温度が維持されることができるように提供されても良い。実施形態はまた、ポンプの動作に先立ってポンプの下流の導管をベントする必要性をも回避しつつ、ポンプのこの冷却された温度が維持されることができるように構成されても良い。
【0008】
極低温水素ポンプ(CHP)システム又はその他の極低温流体ポンプシステムの水素損失を低減させるための実施形態が提供され得る。例えば、いくつかの実施形態は、ポンプのクールダウンに必要とされるベントされる体積を低減させることによって、水素損失を低減させ得る。実施形態はまた、損失及び起動時間を低減させる加圧吐出ラインを用いたポンプの起動を容易化し得る。実施形態はまた、車両への直接充填を可能にする、より高速な起動時間を可能にすることができ、このことは、燃料供給ステーションのためのガス貯蔵又は二次予冷システムの必要性を最小化することができる。実施形態は、これに加えて、ポンプ内部の吐出経路に沿ってガスを流すことによって効率良い冷却を提供することができ、従来から迅速な起動動作と考えられているものを提供しようとする試みにおいて、その温度を維持するために完全に浸漬されるポンプと比較して、損失される水素の著しい減少を可能にし得ると、本発明者らは考えている。
【0009】
いくつかの実施形態は、ブローバイ回路を利用して、大気への流体の流れを可能にすることができる制御弁の利用により、クールダウン動作をサポートすることができる。好ましい実施形態においては、制御弁は、例えば大気圧である外部環境へと流体がベントされることを可能にする、空気動作型制御弁であっても良い。このクールダウン期間は、クールダウン動作が開始された時点におけるポンプの温度に依存して、かなりの時間を要し得る。ポンプが周囲温度にあるいくつかの状況においては、クールダウン動作は2時間までをも要し得る。ポンプが冷却された温度になると、ポンプは、迅速な起動(例えば5秒~5分、3分未満、2分未満、5秒~2分半の時間、10秒~3分の時間、など)を容易化するためにこの温度で維持されても良い。他の状況においては、ポンプは、クールダウンプロセスが短い時間しか要さないように、迅速に冷却され得る。ポンプは次いで、短い時間内(例えば5秒~5分の時間、3分未満、2分未満)でその動作温度まで冷却された後、起動動作を受けることができる。
【0010】
少なくとも1つの温度センサもまた、ポンプの温度を監視することを支援するように利用することができる。いくつかの実施形態においては、1つ以上の温度センサは、ポンプの出口において又はその近傍でポンプの温度を監視するように配置され得る、第1の温度センサを含んでも良い。また、ポンプ内の他のどこかの温度を監視するために、第2の温度センサが備えられても良い(例えばポンプへの供給入口の近傍又は該供給入口におけるセンサ)。この温度センサは、クールダウン動作のために供給される水素又はその他の極低温流体の温度を監視することを支援し、流れが所望のクールダウン動作を提供するために十分に低温であることを確認することを支援することができる。温度センサTEの例は、熱電対又はその他の適切なタイプの温度センサを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態は、ポンプが動作していないときに、液体水素燃料及び/又は非常に低温のガス(例えば貯蔵タンク内の極低温水素ガス)がポンプを通ってポンプの入口へと通過することを許容するように構成された装置を利用しても良い。大気へのブローバイ回路又はその他のベント構成がポンプに結合され、ポンプが作動していないときに開かれ、冷却流体がそこを通過させられて、ポンプのクールダウンのために、ポンプを通る流体の流れを、好ましくは遅い速度すなわち低い速度である予め選択された速度で駆動することを支援するようにされても良い。ポンプが予め選択された動作温度以下であり、ディスペンサにおいて流体の需要があると決定されると、ポンプが始動させられても良い。いくつかの実施形態においては、ポンプの始動は、下流の配管をベントしたり、ポンプを通して生成物を大気に流したりすることなく(ただし、この機能は依然として、予期されない性能問題、部品の故障などのために必要となり得る状況における使用のために、ブローバイ回路又はその他のベント構成によって提供されても良い)、ほぼ即時に(例えば数分以内、2分未満、0.25分~2分の範囲内、又は1~30秒の範囲内などで)起こり得る。いくつかの実施形態においては、この大幅に向上されたポンプ起動時間は、ポンプをその動作温度にまで冷却するために使用されるクールダウンプロセスのために生じ得る。他の実施形態においては、この大幅に向上されたポンプ起動時間は、ポンプと流体連通している貯蔵タンクから出力可能な液体及び/又はガスの極低温流の利用によって提供され得る。
【0012】
他の実施形態は、ポンプのシリンダが、低温ガス(例えば極低温ガス)、液体水素、又はその他の低温流体(例えば極低温酸素、極低温ヘリウム、極低温窒素、又は極低温水素のような極低温流体)が、ポンプのシリンダ内の平行経路を通してポンプを冷却することを可能とするサイズとされ及び構成されるよう、構成されても良い。この平行経路は、独立して使用されても良いし、全く使用されなくても良いし、又はピストンリングのまわりに冷却流体を通すよう画定された一次流路と組み合わせて使用されても良い。冷却流体のためのこの追加的な経路は、例えば、リングの摩耗の変動を相殺するため、又はポンプのアイドルピストン位置がポンプを通る流れを制限した場合に、使用されても良い。
【0013】
水素の貯蔵及び分配のための装置が提供される。この装置は、少なくとも1つの貯蔵タンクから水素を受け取るように配置されたポンプを含んでも良い。ポンプは、液体がポンプから出て通過可能であるポンプ吐出導管のためのポンプ吐出口を有しても良い。ポンプはまた、圧縮キャビティと、圧縮キャビティ内で移動可能な可動ピストンとを有しても良い。ポンプはまた、圧縮キャビティ及び可動ピストンに隣接して配置されたピストンリングを有しても良い。ピストンリング及び圧縮キャビティは、ピストンが静止している間に、水素ガスが圧縮キャビティ内へと通過可能であり、圧縮キャビティから、ピストンリングを通って、水素ガスを大気にベントするためクールダウン吐出導管と流体連通するように構成された冷却流出口に通過可能であるように、配置及び構成されても良い。
【0014】
クールダウン吐出導管は、圧縮された液体がポンプから通過可能なポンプ吐出導管とは別個のものであっても良い。例えば、ポンプから出てポンプ吐出導管を通過した流体は、クールダウン吐出導管を通過しない。また、ポンプから出てクールダウン吐出導管を通過した流体は、ポンプ吐出導管を通過しなくても良い。
【0015】
水素の貯蔵及び分配のための装置の実施形態はまた、貯蔵タンクと水素供給導管構成とを含んでも良い。水素供給導管構成は、(i)貯蔵タンクとポンプの供給入口との間に接続されて、貯蔵タンクからポンプに液体水素を提供する、液体供給導管、及び(ii)貯蔵タンクとポンプの供給入口との間に接続されて、貯蔵タンクからポンプに水素ガスを供給する、水素ガス提供導管のうちの、少なくとも一方を含んでも良い。装置の実施形態はまた、クールダウン吐出導管を含んでも良い。クールダウン吐出導管は、ポンプに接続され、それにより、冷却流出口を通過させられた水素ガスが、ポンプのクールダウン動作の間にベントされるために、ポンプから冷却流出口を通って通過可能である。
【0016】
クールダウン吐出導管は、ポンプが非アクティブである間、ポンプのクールダウン動作の間に水素をベントするために開位置に調節可能な、調節可能弁を有しても良い。調節可能弁はまた、ベントを防止するために閉じられることができる。閉じられたとき、クールダウン吐出導管は、該導管を通過する水素ガスを貯蔵タンクに戻すように提供して、ポンプのためのブローバイ蒸気戻し部として機能する、導管セグメントを含んでも良い。
【0017】
いくつかの実施形態においては、本装置は、1つ以上の温度センサを含んでも良い。例えば、実施形態は、(1)ポンプに接続されて、貯蔵タンクからポンプに供給される水素の温度を測定する、第1の温度センサと、(2)クールダウン吐出導管に接続されて、クールダウン吐出導管を通過するためポンプから出力される水素の温度を監視する、第2の温度センサと、のうちの少なくとも一方を含んでも良い。実施形態はまた、第1の温度センサ及び/又は第2の温度センサに通信可能に接続されて、貯蔵タンクからポンプに供給される水素の温度と、ポンプから出力されクールダウン吐出導管を通過する水素の温度との差を決定する、コントローラを含んでも良い。コントローラは、ハードウェア(例えば非一時的コンピュータ可読媒体に接続されたプロセッサ、及び温度センサとの通信のための少なくとも1つのトランシーバ又はインタフェース)を含んでも良い。コントローラは、その差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内であるとの決定に応答して、ポンプが予め選択された動作温度範囲内の温度にあることを決定し、ポンプがディスペンサに向かって水素を供給するようアクティブ化可能であることを決定するように構成されても良い。
【0018】
コントローラは、ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値内の温度にあり、その差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内であることの決定に応答して、水素供給導管構成の弁を調節し、ポンプをオンにするようポンプ駆動モータと通信するように構成されても良い。
【0019】
いくつかの実施形態においては、ポンプは、水素ガスが冷却流出口に向かって冷却流路に沿って移動しながらピストンを通過した後に、水素ガスの一部を内部のポンプの構成要素に通すように配置された、少なくとも1つの内部冷却チャネルを含んでも良い。例えば、冷却チャネルは、ポンプのシリンダ内に画定されても良い。
【0020】
ポンプのクールダウン動作を実行する方法も提供される。本方法の実施形態は、ポンプの迅速な起動を可能にし得る。この方法の実施形態は、ポンプが非アクティブである間に、貯蔵タンクと流体連通しているポンプに接続されたクールダウン吐出導管の弁を開いて、貯蔵タンク内の水素がポンプの圧縮キャビティ内へと通過可能となるようにすることを含んでも良い。本方法はまた、ピストンが静止している間に、圧縮キャビティに通過させられた水素ガスが、圧縮キャビティから、圧縮キャビティ及びピストンに隣接して配置されたピストンリングを通って送られるように、貯蔵タンクからポンプ内へと水素を送ることを含んでも良い。水素ガスは、ベントされるために、ピストンリングからクールダウン吐出導管に送られても良い。
【0021】
本方法の実施形態はまた、他のステップを含んでも良い。例えば、本方法は、ポンプが予め選択された動作ポンプ温度範囲内である温度にまで冷却されることを決定することと、ポンプが予め選択された動作ポンプ温度範囲内である温度にあること、及びポンプに流体接続されたディスペンサにおいて液体水素の需要があることの決定に応答して、クールダウン吐出導管の弁を閉じて水素ガスのベントを停止し、液体水素を貯蔵タンクから少なくとも1つのディスペンサに向けて供給するためにポンプのピストンを圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにしてポンプをオンにことと、を含んでも良い。
【0022】
別の例として、実施形態はまた、貯蔵タンクからポンプに供給される水素の温度を測定するために、ポンプの一部を通過する水素の温度を監視することと、クールダウン吐出導管を通過するためにポンプから出力される水素の温度を監視することと、を含んでも良い。第1の温度センサが、ポンプに接続されて、ポンプの一部を通過する水素の温度を測定しても良く、第2の温度センサが、クールダウン吐出導管に接続されて、クールダウン吐出導管を通過するためにポンプから出力される水素の温度を測定しても良い。
【0023】
本方法の実施形態は、コントローラを利用しても良い。コントローラは、例えば、少なくとも1つのトランシーバ又はインタフェースに接続されたプロセッサ、及び非一時的コンピュータ可読媒体のような、ハードウェアを含んでも良い。コントローラは、第1の温度センサ及び/又は第2の温度センサに通信可能に接続され、ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値以下であるか否かを決定しても良い。ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値以下であるとの決定に応答して、コントローラは、クールダウン吐出導管の弁を閉じて水素ガスのベントを停止させるための通信を送信しても良い。
【0024】
いくつかの実施形態においては、本方法はまた、ポンプを通過する水素の温度と、ポンプから出力されクールダウン吐出導管を通過させられた水素の温度との差を決定することを含んでも良い。(i)差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内にあること、(ii)ポンプを通過する水素の温度が予め選択されたポンプ動作温度範囲内にあること、及び(iii)ポンプに流体接続されたディスペンサにおいて液体水素の需要があること、の決定に応答して、クールダウン吐出導管の弁が閉じられて水素のベントを停止し、貯蔵タンクからディスペンサに向けて液体水素を供給するためにポンプのピストンを圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして、ポンプをオンにしても良い。
【0025】
他の実施形態においては、本方法は、温度センサの遠位測定点が、ポンプの底部及び/又はポンプ内の堰板に隣接するポンプ内の予め選択された検出位置でポンプ内に配置されるように配置された、ポンプに接続された温度センサを介して、ポンプ内の温度がポンプについての予め選択された動作温度範囲内にあることを決定することを含んでも良い。ポンプ内の温度が予め選択された動作温度範囲内にあること、及びポンプに流体接続されたディスペンサにおいて液体水素の需要があることの決定に応答して、クールダウン吐出導管の弁を閉じて水素ガスのベントを停止し、貯蔵タンクからディスペンサに向けて液体水素を供給するために、ポンプのピストンを圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにしてポンプをオンとすること。
【0026】
極低温流体の貯蔵及び分配装置のためのポンプもまた提供される。本ポンプの実施形態は、圧縮キャビティ内での運動のために可動ピストンロッドに接続されたピストンと、圧縮キャビティ及びピストンに隣接して配置されたピストンリングとを含んでも良い。本ポンプはまた、ポンプから極低温液体が通過可能である、ポンプ吐出導管のためのポンプ吐出口を有しても良い。ピストンリング及び圧縮キャビティは、ピストンが静止している間に、極低温ガスが、圧縮キャビティからピストンリングを通って、極低温ガスをベントするためのクールダウン吐出導管と流体連通するように構成された冷却流出口に向かって通過可能であるように、極低温ガスが圧縮キャビティへと通過可能であるように構成されても良い。
【0027】
本ポンプの実施形態は、他の要素を含んでも良い。例えば、本ポンプは、クールダウン吐出導管を含んでも良く、冷却流出口は、クールダウン吐出導管と流体連通していても良い。冷却流出口は、いくつかの実施形態において、ピストンの非圧縮側に配置されても良い。
【0028】
本ポンプにおいて利用されることができる極低温ガスは、(i)水素ガス、窒素ガス、酸素ガス、又はヘリウムガスであり得る。極低温ガスが水素ガスである実施形態においては、ポンプの圧縮チャンバ内に供給される液体は、極低温液体水素であり得る。極低温ガスが窒素ガスである実施形態においては、液体は、極低温液体窒素であり得る。極低温ガスが酸素である実施形態においては、液体は、極低温液体酸素であり得る。極低温ガスがヘリウムである実施形態においては、液体は、極低温液体ヘリウムであり得る。
【0029】
ポンプ吐出口を介してポンプから通過可能な液体は、ポンプから液体の流れを駆動するためにポンプが動作させられるときに、圧縮キャビティ内で生じるピストン運動を介してポンプから押し出される液体であっても良い。ポンプ吐出口を介してポンプから駆動される液体は、圧縮液体とも呼ばれ得る。
【0030】
いくつかの状況においては、極低温ガスは、極低温酸素ガス、極低温窒素ガス、極低温ヘリウムガス、若しくは極低温水素ガスであっても良く、又は、ポンプが非アクティブである間に、ポンプ内へと送られた極低温液体から形成された蒸気であっても良い。例えば、極低温水素ガスは、液体水素がポンプを冷却するときに水素ガスに気化された、ポンプに供給された極低温液体水素から形成されても良い。極低温窒素ガスは、液体窒素がポンプを冷却するときに窒素ガスに気化された、ポンプに供給された液体極低温窒素から形成されても良い。極低温酸素ガスは、液体酸素がポンプを冷却するときに酸素ガスに気化された、ポンプに供給された極低温液体酸素から形成されても良い。ヘリウムガスである極低温ヘリウムガスは、液体ヘリウムがポンプを冷却するときにヘリウムガスに気化された、ポンプに供給された極低温液体ヘリウムから形成されても良い。
【0031】
水素の貯蔵及び分配のための本発明者による装置、水素燃料の分注及び/又は貯蔵を容易化するように配置及び構成され得るポンプを冷却するための装置、ポンプの極低温動作のためのポンプ冷却のための装置、並びにそれらを製造及び使用する方法の、他の詳細、目的及び利点は、その特定の例示的な実施形態の以下の説明がなされるにつれて明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
水素の貯蔵及び分配のための装置、水素燃料の分注及び/又は貯蔵を容易化するように配置及び構成され得るポンプを冷却するための装置、ポンプの極低温動作のためのポンプ冷却のための装置、並びにこれらを製造及び使用する方法の、例示的な実施形態が、ここに含められる図面に示される。図面において使用される同様の参照文字は、同様の構成要素を識別し得ることは、理解されるべきである。
【0033】
【
図1】
図1は、水素燃料の分注及び貯蔵装置の第1の例示的な実施形態の模式的なブロック図である。
【0034】
【
図2】
図2は、水素燃料の分注及び貯蔵装置の第1の例示的な実施形態において利用され得る、ポンプ5を冷却するための装置の第1の例示的な実施形態の模式的な図である。コントローラCTRLが異なる要素(例えばポンプ5、温度センサTE、制御弁4acvなど)と有し得る例示的な通信接続は、末端に矢印を有する破線によって
図2に示されている。
【0035】
【
図3】
図3は、装置のポンプ5が水平ポンプとして構成されている、
図2に示されたポンプを冷却するための装置の第1の例示的な実施形態の断片的な内部の模式的な図である。
【0036】
【
図4】
図4は、装置のポンプ5が垂直ポンプとして構成されている、
図2に示されたポンプを冷却するための装置の第1の例示的な実施形態の断片的な内部の模式的な図である。
図4においては、ポンプ5の垂直方向の向きを示すことを支援するため、垂直軸線5axisが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1~
図4を参照すると、水素燃料の分注及び貯蔵装置は、液体水素を予め選択された圧力でその中に貯蔵するように構成された貯蔵タンク3を含んでも良い。貯蔵タンク内に貯蔵された水素は、液体水素をタンク内に貯蔵するために施設に輸送したものであっても良い1台以上のトレーラー、パイプライン、又はオンサイトの水素生成システム2(破線で示される)を介して供給されても良い。
【0038】
水素生成システム2は、例えば、アンモニアを分解して水素ガスを形成するための少なくとも1つのアンモニア(NH3)分解器システムを有する、アンモニア分解器システム、又は、メタンを改質して水素(H2)を形成する少なくとも1つのメタン改質器を有する、メタン改質器システムを含んでも良い。水素生成システム2は、形成された水素ガスを他のガス(例えば窒素、二酸化炭素など)から分離するための精製システム又はガス分離システムを利用するように構成されても良い。かかる精製システムは、例えば、圧力スイング吸着システム(PSA)及び/又は温度スイング吸着システム(TSA)を含んでも良い。他のタイプの精製システムが、代替として又はこれに加えて利用されても良い。いくつかの実施形態においては、水素生成システム2から出力される水素ガスは、水素生成システムから出力された水素が少なくとも99.5モル%(mol%)の水素、又は少なくとも99.7モル%の水素(例えば99.7モル%の水素~99.999モル%の水素の範囲内)になるように精製されても良い。水素生成システム2から出力された、又はそのシステムから受け取られた水素は、貯蔵タンク3での貯蔵のために液化されても良く、又は、燃料供給ステーションサイトにおける貯蔵タンク3における配送及び貯蔵のための輸送のために液化されても良い。
【0039】
貯蔵タンク3は、予め選択された貯蔵温度及び予め選択された貯蔵圧力で液体水素をその中に貯蔵する1つの容器又は複数の容器を含んでも良い。貯蔵される水素は、極低温で貯蔵される液体水素であっても良い。例えば、貯蔵される液体水素の温度は、-255℃~-241℃の温度範囲内、-255℃未満、-240℃~-255℃未満の範囲内、-253℃及び-241℃の範囲内、又はその他の、予め選択された貯蔵圧力範囲内でありつつ、水素を液体状に保つことが可能な適切な温度範囲内にあっても良い。貯蔵される液体水素の圧力は、9~12.07atmの範囲内、1atmより大きい圧力から12atmより低い圧力の範囲内、若しくは9atmよりも大きく12atmより小さい範囲内、9.0atm~11.6atm、又はその他の、予め選択された貯蔵圧力範囲内(例えば0.2MPa~1.1MPa、0.2MPaより高い圧力、0.5MPa~1.2MPa、10psigより高く135psigより低い圧力など)でありつつ、水素を液体状に保つために選択された適切な圧力範囲内であっても良いである。
【0040】
液体水素3Lが貯蔵タンク3内に貯蔵されている間、貯蔵タンク3内に水素ガス3Gが形成され得る。この水素ガス3Gは、以下に更に議論されるようなクールダウンプロセスを介してポンプ5の冷却を提供するために、貯蔵タンク3からベントされることができる。水素ガス3Gは、クールダウン動作及び/又は迅速な起動動作を提供するために、単独で及び/又は液体水素3Lの供給と組み合わせて利用され得る。他の状況においては、液体水素3Lは、水素ガス3Gの使用なしで、クールダウン動作及び/又は迅速な起動動作のために利用され得る。
【0041】
オンサイトの水素生成システム2が存在する実施形態については、貯蔵タンク3は、水素生成システム2から出力された水素を貯蔵して、燃料ステーションの少なくとも1つのディスペンサ9に対する水素の需要が、少なくとも1つのポンプ5及び流量制御マニホールド(FCM)7を介して1つ以上のディスペンサ9に向けて供給するために、貯蔵された水素が貯蔵タンク3から送り出される必要性に帰着するまで、その中に水素を保持し得る。水素生成システムから出力された水素は、貯蔵タンク3において液体水素として貯蔵するために液化されても良い。他の実施形態においては、貯蔵タンク3は、予め選択された貯蔵温度及び予め選択された貯蔵圧力で水素を貯蔵して、燃料ステーションの少なくとも1つのディスペンサ9に対する水素の需要が、少なくとも1つのポンプ5及び流量制御マニホールド(FCM)7を介して1つ以上のディスペンサ9に向けて供給するために、貯蔵された水素が貯蔵タンク3から送り出される必要性に帰着するまで、その中に液体水素を保持するように構成されても良い。
【0042】
少なくとも1つの貯蔵タンク3に貯蔵される水素は、いくつかの実施形態においては、少なくとも99.97モル%(mol%)の水素である水素であっても良い。貯蔵される水素はまた、いくつかの実施形態においては、最大300ppm(例えば0ppm~300ppmの範囲)の不純物の濃度を含んでも良い。最大300ppmの不純物(例えば累積合計で0ppm~300ppmの範囲の不純物)は、0ppm~5ppmの範囲内で存在する水、メタン又はその他の単炭素当量炭化水素を除く0ppm~2ppmの範囲内の総炭化水素、0ppm~5ppmの範囲内の酸素、0ppm~100ppmの範囲内のメタン、0ppm~300ppmの範囲内のヘリウム、0ppm~300ppmの範囲内の窒素、0ppm~300ppmの範囲内のアルゴン、0ppm~2ppmの範囲内の二酸化炭素、0ppm~0.2ppmの範囲内の一酸化炭素、0ppm~0.004ppmの範囲内の全硫黄化合物、0ppm~0.2ppmの範囲内のホルムアルデヒド、0ppm~0.2ppmの範囲内のギ酸、0ppm~0.1ppmの範囲内のアンモニア、0ppm~0.05ppmの範囲内のハロゲン系化合物を含み得る。
【0043】
貯蔵タンク3内に貯蔵された水素は、車両(例えば自動車、トラック、ボートなど)の燃料タンクに分注されるために、少なくとも1つのディスペンサ9に送られるためFCM7に向けて供給されても良い。水素供給導管4は、ポンプ5が水素の圧力を予め選択された水素供給圧力にまで上昇させ、貯蔵タンク3からFCM7に向けて水素の流れを駆動することを支援するように、貯蔵タンク3からポンプ5に水素を供給するように配置されても良い。
【0044】
ポンプ5から出力される液体水素は、熱交換器6(例えば気化器、その他のタイプの熱交換器など)に供給されて、ポンプ5からの出力された水素を、予め選択された温度範囲内にある予め選択された温度にまで加温しても良い。ポンプから出力された水素の一部は、熱交換器6をバイパスするためにバイパス導管6aを通過させられても良い。バイパス導管6aは、熱交換器6をバイパスするためにバイパス導管6aを通過させられる、ポンプ5から出力された水素のこの一部を制御するための、1つ以上の制御弁6acvを含む、バイパス導管構成6bpを含んでも良い。バイパスされたこの一部は、FCM7に供給される水素が予め選択された温度となるように又は予め選択された温度範囲内にあるように、熱交換器6から出力される水素の一部と混合するように供給されても良い。バイパスされたこの一部は、バイパスされたこの一部の使用を介して水素を加温するために、熱交換器6に必要とされる容量を低減させることにより、熱交換器6がより効率良く動作することを可能にし得る。このことは、動作コストを低減させ、熱交換器6のより効率の良い動作を提供し得る。
【0045】
いくつかの実施形態においては、バイパス導管6aのためのバイパス導管構成6bpは、FCM及び/又はディスペンサに供給するための水素の流れの混合のための温度制御を提供することを支援するために、別個の冷凍システム又は冷蔵システムを含んでも良い。これが利用され得るが、本明細書で議論される冷却プロセスの利用が、本発明者らによるクールダウンプロセスの実施形態を利用するポンプ5の実施形態によって提供され得る、ポンプ5の迅速な始動及び車両燃料タンクの比較的即時の充填の結果として、冷凍システムに対する必要性を低減し得るように(例えばその使用の回避を可能にするか、又はより小さなサイズのシステムが使用されることを可能にする)実施形態が構成されることも、企図される。
【0046】
更に他の実施形態においては、熱交換器6から出力された加温された水素との後の混合のために、熱交換器をバイパスするための第1のバイパス導管6aが利用されても良い。クールダウン吐出導管4bによって提供され得るベントに対するバックアップ又は補足として、追加的なベントの選択肢を提供するための、別個の第2の導管構成があっても良い。
【0047】
FCM7は、車両の燃料タンク内へと分配するために少なくとも1つのディスペンサ9に水素を供給するために、熱交換器6及び/又はバイパス導管6aのバイパス導管構成6bpから出力された水素を受け取るために、ポンプ5と少なくとも1つのディスペンサ9との間に流体接続されても良い。他のユニットが、ポンプ5とFCM7との間に配置されても良い。例えば、水素がFCMで受け取られる前に、予め選択されたFCM供給温度にまで水素を加温するために、水素の圧力がポンプ5を介して上昇させられた後に、ポンプ5の下流かつFCM7の上流に、少なくとも1つの熱交換器6があっても良い。
【0048】
いくつかの実施形態においては、第1のポンプ5と並行して及び/又は第1のポンプ5のバックアップとして機能するように配置された、第2のポンプ(図示されていない)があっても良い。第2のポンプが第1のポンプ5と並行して動作するように構成されたかかる実施形態においては、第2のポンプは、同様の流路及び導管の構成を利用しても良い。また、例えば、第2のポンプから出力された水素の温度を、その水素がFCM7で受け取られる前に調節するために、第2のポンプ(図示されていない)とFCM7との間に配置された第2の熱交換器(図示されていない)があっても良い。第2のポンプがバックアップポンプとして機能する状況においては、第2のポンプは、第1のポンプと同じ導管に接続され、保守若しくは修理の問題又は第1のポンプの動作に影響を及ぼし得る他の問題により第1のポンプを置き換えるようにライン上に置かれても良い。
【0049】
また、水素の圧力がポンプ5を介して上昇させられ、熱交換器6の出力を冷却するために熱交換器6及び/又はバイパスを通過させられた後に、より高い圧力で水素を貯蔵するために、FCM7から水素を受け取るためにFCMと流体連通している、より高圧の貯蔵器8があっても良い。高圧貯蔵器8は、その中の水素を、貯蔵タンク3の第1の圧力よりも高い第2の圧力で維持することができる。この高圧貯蔵のための圧力は、FCM7及び/又はディスペンサ9を介したタンク内への水素の分注を容易化することを支援するために、車両タンクが維持されるべき圧力よりも高く設定されても良い。
【0050】
FCM7は、1台以上の車両又はその他の装置の少なくとも1つの燃料タンクへの分注のために水素をディスペンサに提供するための燃料分注システムの1つ以上のディスペンサ9と流体接続されることができる。FCM7は、水素を受け取るディスペンサの近くに配置された種々の車両又はその他の装置の燃料タンク内に燃料を供給するためにディスペンサに水素を提供するために、燃料ステーションの1つ以上のディスペンサに同時に水素を分配するように構成されても良い。ディスペンサにおける水素の供給は、燃料ステーション又は燃料ステーションのディスペンサキオスクにおいて水素に対する支払いが行われた後に又はその前に行われても良い。
【0051】
水素燃料供給ステーションは、一日のうちほとんどではないとしても、何時間もの間、全く使用されないか又は非常に最小限の使用しかないことが多い。しかしながら、使用時には、燃料供給ステーションにおいては、水素に対する大きな需要があり得る。多くの場合、水素燃料のための豊富な貯蔵所が提供されるため、需要が存在するときには、ステーションは高い需要に対応することができる。高需要の状態が生じたとき(例えば燃料供給ステーションにおいて車両の燃料供給が必要とされるとき、燃料供給ステーションにおいて複数の車両の燃料タンクの燃料供給が生じるときなど)、1つ以上のディスペンサを介して分注するため、貯蔵タンク3から出てFCM7に向かう水素の流れを駆動することを支援するために、ポンプ5を迅速に起動する必要があり得る。本発明者らは、燃料供給ステーションが、無需要の状況から高需要の状況へより迅速に調節することができ、給油ディスペンサ9における車両燃料タンクの充填における過度の遅延を回避できるように、より迅速なポンプ起動を可能とすることが、有益となり得ると判断した。いくつかの実施形態において、このより迅速な起動は、比較的迅速な期間(例えば継続時間が5秒より長い一方で、10分未満、5分未満、2.5分未満)内に所望の動作温度にまでポンプが冷却されることを可能にし得る、迅速な起動プロセスの一部である、クールダウン動作の使用を介して、提供され得る。他の実施形態においては、この迅速な起動時間は、従来のポンプ浸漬アプローチを介して発生し得る著しい水素損失を回避しつつ、存在するディスペンサにおける要求に際して、ポンプが迅速な起動のために利用可能となり得るように、ポンプ5を所望の動作温度にするように機能する、かなりの時間(例えば最大2時間、30分以上かつ3時間未満、など)を要し得るクールダウン動作によって、提供され得る。実施形態は、迅速な起動を提供するために高需要の状況に対処することができ、一方で、必ずしも高需要の発生とみなされない燃料供給ステーションのディスペンサにおける需要が存在する他の状況にも対処することができる。
【0052】
本発明者はまた、ポンプ5の迅速な起動の提供は、より高圧の貯蔵の必要性を最小化又は排除することを支援し得ると判断した。より高圧力の貯蔵は、提供するには比較的高価であり、燃料供給ステーションにおいてかなりの空間を利用し得る。より高圧の貯蔵は、比較的迅速な期間内(例えば車両に燃料を提供するためにディスペンサが作動させられてから0.5~5分以内)でアクティブにされ得るポンプ5を採用することによって、排除されないとしても、最小化されることができる。この有利な特徴は、ポンプ5が、極低温貯蔵タンク(例えば低圧貯蔵タンク3)に対する追加的な熱負荷、又はタンクに対する著しい追加的な熱負荷を有することなく、非常に迅速に動作できる状態を維持することができる実施形態において、特に利用されることができる。例えば、低圧貯蔵タンク3内に貯蔵された水素からの著しい水素損失を回避する、予め選択されたクールダウン温度でのポンプの維持は、ポンプ5の迅速な起動機能によって提供される効率を向上させることを支援することができる。
【0053】
例えば、クールダウンプロセスのいくつかの実施形態は、最初に貯蔵タンク3からの極低温水素ガスを利用してポンプを冷却すること(貯蔵タンク3からのより暖かい蒸気の除去による減少させられた熱負荷)により、無駄になる水素生成物を最小化することができる。このタイプのクールダウンはまた、ポンプ5に供給される液体水素が、ポンプ5に通じる導管の温度により沸騰する状況を回避することを支援し、それにより、沸騰した液体を介して形成された蒸気が、液体が供給されている導管を介してタンクに戻ることができないので、形成された蒸気が、液体がポンプ5に到達することを防止し得る。かかる蒸気は、液体がポンプ5に通過することを可能にするために、ベントされる(またその後失われる)必要があり得、このことは、タンク3の熱負荷を減少させ、更なるポンプ冷却を提供し得る。クールダウン動作の間に液体がポンプ5に入ることを防止するクールダウンプロセスの実施形態は、生成されたガス、及び貯蔵タンク3からポンプ5へと通る際に蒸気へと沸騰する液体から形成されるガスをベントする必要性を、低減させることができる。かかるクールダウン動作は、ディスペンサ9における需要に応答して、ポンプが迅速にアクティブにされることができるように、効率良く改善された態様で、ポンプの迅速な起動を容易化することを支援することができる。
【0054】
図2~
図4から最も良く分かるように、ポンプ5は、ポンプ5の起動が比較的短い時間(例えば5分未満、2分以下、30秒以下、15秒~3分又は5秒~2.5分の範囲内、など)で起こり得るように、改善されたクールダウン動作を容易化するように配置及び構成され得る。クールダウン動作は、下流の配管をベントすることなく、又はポンプ5を通して生成物を大気へと流すことなく(ただし、この機能は依然として、予期されない性能問題、構成要素の故障などのために必要となり得る状況における使用のために、ポンプベント導管構成を介して提供されても良い)、ポンプ5が始動させられ得るように、実行され得る。かかる改善されたクールダウン動作は、燃料供給ステーションがより迅速に需要に適応することを可能にし、車両のタンクをより迅速に充填するための燃料供給ステーションの改善された動作を可能とし、又はそうでなければディスペンサが燃料タンクの充填のために操作されることを可能にする。本発明者らは、実施形態がまた、ポンプ浸漬アプローチと比較して発生する貯蔵水素の損失の大幅な低減により、水素の損失を回避することにおける著しい改善を提供し得ると考えている。更に、実施形態は、より少ない高圧貯蔵容量しか必要とされないことを可能にし、又はより高圧の貯蔵の排除を可能にし得る。
【0055】
水素供給導管構成4は、貯蔵タンク3をポンプ5に、ポンプ5をFCM7及びディスペンサ9に、流体接続する導管を含んでも良い。例えば、水素供給導管構成4は、液体水素3Lをポンプ5に供給するために、貯蔵タンク3とポンプ5の供給入口5aとの間に接続された液体供給導管4aを含んでも良い。水素供給導管構成4はまた、貯蔵タンク3内で水素ガス3Gを受け取り、その水素ガスをポンプ5に供給してポンプのクールダウン動作を実行するために水素ガス3Gを出力するように構成されても良い、水素ガス提供導管4gを含んでも良い。
【0056】
いくつかの実施形態においては、ポンプ5は、ガス提供導管4gと流体連通しているガス提供入口4goと、液体供給導管4aと流体連通している液体提供入口4aoとを含む複数の提供入口を含む、供給入口5aを有しても良い。他の実施形態においては(
図2において破線で示されるように)、ポンプ5は、ガス提供導管4g及び液体供給導管4aと流体連通している単一の提供入口を有する供給入口5aを含んでも良い。単一の提供入口を有する実施形態においては、ガス提供導管4gは、液体とガスとの混合物又はガスのみが、単一のポンプ供給入口5aを介してポンプ5に通過可能であるように、液体供給導管4aに接続するセグメント9g(破線で示される)を含んでも良い。ガス提供導管4gのこのセグメント9gは、クールダウン動作又はその他の動作のための追加的な流路の選択肢を提供するために、ポンプ5のための複数の提供入口を利用し得る実施形態においても存在しても良いことは、理解されるべきである。
【0057】
クールダウン吐出導管4bは、ポンプのクールダウン動作を実行するためにポンプを通過させられた水素が吐出されて、クールダウン動作の間にポンプ5から出力されたクールダウン水素をベントし、それによりクールダウン動作水素が、ポンプ5から下流に送られないように(例えば熱交換器6又はFCM7へと下流に流れないように)、大気への水素のベントを容易化するよう、ポンプ5に接続されても良い。水素のベントはまた、ポンプを予め選択された動作温度にまで冷却するためのクールダウン動作を実行するための、又はポンプをかかる温度で維持するための、水素の流れを駆動することを支援するために、他の機器が必要されないように、貯蔵タンク3からポンプ5への、及びその後ベントのためにポンプから出る、水素の流れを駆動することを支援するための圧力差を提供することができる。
【0058】
水素供給導管構成4のポンプ吐出導管4dは、ポンプ5を熱交換器6及びFCM7に接続することができ、それにより、ポンプ吐出口4dを介してポンプ5から出力された液体水素が、予め選択された温度範囲内で所望の予め選択されたFCM供給温度にまで加温されるために熱交換器6を通過可能となり、その後熱交換器6とFCM7の間に接続され得る水素供給導管構成4のFCM供給導管4eを介してFCM7に送られる。ポンプ吐出導管4dは、クールダウン吐出導管4bとは別個のものであっても良い。クールダウン吐出導管4bを介してポンプから送り出される水素ガスは、ポンプ吐出導管4dの一部を通過しなくても良い。また、ポンプ吐出導管4dに送られた水素が、FCM7及び少なくとも1つのディスペンサ9に向かって通過するので、ポンプ吐出導管4dを介してポンプ5から出力された水素は、クールダウン吐出導管4bを通過しない。
【0059】
予め選択された温度範囲は、車両燃料タンク内の圧縮の熱を最小化することを支援するように、燃料が燃料タンクに吐出される温度に近い温度であっても良い。いくつかの実施形態においては、予め選択された温度範囲は、-40℃以上50℃以下、-20°F~-40°F、又は-25℃~-40℃であっても良い。
【0060】
水素供給導管構成4はまた、ポンプ吐出導管4dに接続された水素バイパス導管構成6bpを含んでも良く、これにより、水素が、ポンプの冷却の二次又はバックアップ手段としてベント導管4fを介して大気にベントされることができ、及び/又は、したがって水素の一部が、水素がFCM7に送られる前に、水素を所望の温度範囲に維持するため、FCM7に供給される水素と混合するために使用されるために、熱交換器バイパス導管構成6bpを介して熱交換器6をバイパスすることができる。水素の一部が熱交換器6をバイパスすることを可能にするためのバイパス導管構成の使用は、水素を所望の予め選択されたFCM供給温度範囲で維持するための運用コストを節約するために、熱交換器6における負荷を低減することを支援し得る。例えば、熱交換器6をバイパスするかかるバイパス流を提供するために、ポンプ5及び導管の下流ベントのための制御弁4acvが閉じられ、一方で、水素の一部の流れが、バイパス導管構成を通過して熱交換器6をバイパスして、熱交換器6を通過させられ熱交換器6から出力される水素の加温された一部とその後混合するために、バイパス導管構成6bp内の他の弁が開かれることができる。
【0061】
逆止弁4cvが、導管構成4内に配置されても良い。逆止弁4cvの各々は、水素供給導管構成において水素が逆流することを防止するよう構成されても良く、これにより、水素が逆止弁を通過させられた後、その逆止弁4cvから逆流する(例えば貯蔵タンク3又はポンプ5に向かって上流に戻って)ことが防止される。例えば、少なくとも1つの逆止弁4cvが、熱交換器6とポンプ5との間に配置されても良く、これにより、水素が逆止弁を通過させられた後、ポンプ5に向かって逆流できないようにすることができる。別の例としては、少なくとも1つの逆止弁4cvが、クールダウン吐出導管4bに接続されても良く、これにより、クールダウン動作の間にポンプ5から出力された水素が、その逆止弁4cvを通過させられた後に、ポンプへと戻って流れることができないようにすることができる。
【0062】
水素供給導管構成4はまた、調節可能な制御弁4acvを含んでも良い。調節可能な制御弁4acvは、完全に閉じた位置と完全に開いた位置との間で調節されて、所望の流路に沿って水素供給導管構成4を通る流体の流れをガイドすることができる。
【0063】
例えば、第1の調節可能な制御弁4acv1は、クールダウン吐出導管4bに接続され、水素ガスの大気へのベントを可能にするために、及び圧力差を提供するために開かれ、これにより、FCM7及び/又はディスペンサ9に向けて液体を駆動するためのポンプ動作を開始することに先立って、タンクから送り出された水素ガス及び/又は液体が、クールダウン動作を実行するためにポンプ5へ供給されるようにすることができる。第2の調節可能な制御弁4acv2は、タンクとクールダウン吐出導管4bとの間に備えられ、第1の調節可能な制御弁4acvが開かれているときは閉じた状態に保たれ、第2の第1の調節可能な制御弁4acvが閉じられているときは開かれて、ディスペンサ9及び/又はFCM7に向けて液体水素を駆動するようポンプが動作させられたときに、水素ガスがタンク3に向かって戻ることを可能としても良い。
【0064】
バイパス導管構成6bpは、第3の調節可能な制御弁4avc3、第4の調節可能な制御弁4avc4、及び第5の調節可能な制御弁4acv5を含んでも良い。第3の調節可能な制御弁4acv3は、ポンプ5と熱交換器6との間の導管のベントを可能にするために開かれることができるアンローダ弁であっても良い。かかるベントのために、第4の調節可能な制御弁4acv4は閉位置にあっても良く、一方、第5の調節可能な制御弁4acv5は開位置にあっても良い。熱交換器6をバイパスして熱交換器6から出力された液体に再び混合され得る水素の流れを促進するために、第5の調節可能な制御弁4acv5が閉じられ、第3及び第4の調節可能な制御弁4acv3及び4acv4が開かれても良い。
【0065】
また、温度センサTEが、水素供給導管構成4及び/又は装置の異なるユニット(例えばポンプ5など)に接続されても良い。温度センサTEは、ポンプの動作、クールダウン動作の状態、又はその他の、測定された温度が装置の動作に関連し得る状態を監視するために、導管及び/又はポンプ5内の水素の温度を測定しても良い。いくつかの実施形態においては、温度センサは、熱電対又はその他のタイプの温度センサであっても良い。実施形態はまた、ポンプ5、導管構成4の弁、及びその他のユニットの動作の自動化された制御のための動作を監視するために、流量センサ、圧力センサ、又はその他のタイプのセンサを利用しても良い。かかるセンサは、自動化されたプロセス制御システムのコントローラCTRL又はその他のユニットに通信可能に接続されても良く、それにより、センサから得られた測定データが、動作を監視し、装置の動作を自動的に制御するために、制御システムに供給されても良い。
【0066】
図3及び
図4から最も良く理解され得るように、ポンプ5は、シリンダ5C及び可動ピストン5pを含んでも良い。可動ピストンロッド5rは、ピストン5pを移動させるためにシリンダを通って延在しても良く、該ピストンは、貯蔵タンク5から1つ以上のディスペンサ9に向けて水素を供給するために水素の圧力を増大させるため、ピストン5pが取り付けられているピストンロッド5rの後退又は伸長を介して、圧縮キャビティ5cav内に調節可能に配置される。圧縮キャビティ5cav内のピストン5pの運動を駆動するために、ポンプ駆動モータ又はその他のピストンロッド移動機構が、ピストンロッド5rに結合されても良い。水素は、ポンプ入口5aで受け取られ、圧縮キャビティ5cav内に供給されるために主供給入口5fiを通過しても良い。圧縮された水素流体は、ポンプ駆動モータがアクティブにされてピストン5pを動かすよう動作するときに、ピストン5pの運動により、ポンプ吐出導管4dに接続されたポンプ吐出口4doを介してこのキャビティから出力されることができる。液体水素は続いて、貯蔵タンクから受け取られ、圧縮キャビティ5cavに供給されて、そこで圧縮を受け、圧縮キャビティ5cavから、ポンプ吐出弁5dvを介してポンプ吐出口4doへと送り出されても良い。
【0067】
ポンプ5はまた、クールダウン動作の間に水素ガスの流れがポンプ5を通過することを可能にするように構成されても良い。例えば、タンク3からの水素は、圧縮キャビティ5cav内へと送られて、ポンプを冷却しても良く、これにより、ポンプがオフであるとき、すなわち非アクティブにされているとき(例えば、ピストン5pが、ポンプ吐出口4doを介して水素を出力するために水素の圧力を増大させるため、ポンプ駆動モータによって駆動されるピストンロッド5rの運動を介して動かされていないとき)、水素ガスが圧縮キャビティ5cav内へと通過可能とされても良い。水素は、水素ガスを大気にベントするために、クールダウン吐出導管4bに接続された弁の開きを介して、貯蔵タンクから出力されることができる。タンク3からの水素は、水素ガス提供導管4gを介して水素ガス3gとして、及び/又は、液体供給導管4aを介して液体水素として、出力され得る。水素のベントのために、クールダウン吐出導管4bの弁の開きを介して、水素の流れが誘導され得る。
【0068】
ポンプがオフである間にポンプ5に送られた水素は、クールダウン入口冷却流5cfiとして主供給入口5fiを介して圧縮キャビティ5cav内へと通ることができ、そのため、水素ガスが、予め選択された動作温度範囲内にある所望の動作温度にまでポンプを冷却するための冷却経路に沿って流れることができる。この流れに沿って送られる水素ガスは、水素ガス3Gとしてポンプ5に供給されるガス、又はポンプに供給される液体水素3Lがポンプ及び/又は供給導管の内部部分を冷却する際に加温されることによって生成されるガスであり得、これにより、冷却プロセスの間に、液体の少なくとも一部がそのガス状態に移行し、形成されるこのガスは、ベントを介して大気への吐出のためにクールダウン吐出導管4bを介してポンプから送り出される前に、後に他の内部のポンプの構成要素を通過するために圧縮キャビティ5cav内へと通る入口冷却流5cfiを含む冷却経路に沿って通ることができる。
【0069】
予め選択された動作温度範囲内にある所望の動作温度にまでポンプを冷却するための冷却経路は、水素ガスの冷却流が、圧縮キャビティ5cav内から、キャビティの封止を支援するために圧縮キャビティ5cavに隣接して配置されたピストンリング5prを通過するように画定されても良い。ピストンリング5prは、圧縮キャビティ5cav内のピストン5pの運動を介したポンプの動作の間に、可動ピストン5pと圧縮キャビティ5cavとの間に圧縮キャビティ5cavの封止を提供するために配置されるが、封止は、水素ガスに対する完全な封止ではなく、水素ガスの流れは、リング5prを通って流動可能であっても良い。クールダウン動作の間のかかる水素ガスの流れは、
図3及び
図4において初期水素冷却流5cfrとして示されており、これは、クールダウン動作の間にピストンリングに沿って及びピストンリングを通って動く水素ガス冷却流5cfを提供するために、圧縮キャビティ5cavからピストンリング5prへと通ることができる水素ガスの冷却流である。リングが摩耗を経験すると、水素ガスは、リングがより新しい摩耗していない状態にあるときよりも容易にピストンリング5prを通過することができる。クールダウン動作の間にピストン5pが動かされない場合、水素ガスは、圧縮キャビティ5cavからピストンリングを通って流れることができる。水素ガスのクールダウン動作冷却流路は、ピストンリングを通って、ピストンロッド5rに沿って通過するためのクールダウン動作の水素冷却流のセグメント5cfpに沿ってピストン5pを通過して、水素ガスのクールダウン動作冷却流の出口セグメント5cfoとして、クールダウン吐出導管4bの冷却流出口4boから放出されることができる。クールダウン動作のための水素冷却流の出口流は、クールダウン吐出導管4bを介して大気にベントされるよう冷却流出口4boから送られることができる。
【0070】
水素ガスのクールダウン冷却流は、ピストン5pに沿って、クールダウン吐出導管4bの冷却流出口4boに向かって通ることができる。冷却流出口4boの通過に先立って、水素の冷却流は、
図3及び
図4に示される水素冷却流路のセグメント5cfpにより示されるようなピストン5pの非圧縮側へと通ることができる。冷却流出口4boは、冷却流出口4boから出力される前に、水素ガスの冷却流がピストンの非圧縮側から(例えばピストン5pを越えてピストンロッド5rの一部に隣接して)通るように配置された冷却流吐出口であり、クールダウン吐出導管4bを介して外部の大気にクールダウン動作の水素の冷却流をベントするために、クールダウン吐出導管4bに接続可能であっても良い。
【0071】
いくつかの実施形態においては、水素ガスの一部が、ポンプ5の供給入口5aから、ポンプ5の供給入口5aと流体連通している少なくとも1つの冷却チャネル5ciを介して、ポンプ5の他の内部部分に通過可能となるように、少なくとも1つの冷却チャネル5ciが、ポンプ5内に画定されても良い。冷却チャネル5ciは、水素ガスを介してポンプの他の部分を冷却するために、シリンダ5C又はその他のポンプ部分の内部側と流体連通していても良い。いくつかの実施形態においては、冷却チャネル5ciは、少なくとも1つの穴を開けられた通路又はその他の画定された通路であっても良く、これにより、
図3及び
図4に示される水素冷却流のセグメント5cfpによって示されるようなピストン5pの非圧縮側に送られた水素ガスの一部が、ポンプ5の他の内部部分を冷却するために冷却チャネル5ciを通過することができる。
【0072】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの冷却チャネル5ciは、圧縮キャビティ5cavを介してクールダウン動作の間にポンプを通過させられた冷却水素ガスの流れを補完して、ポンプの他の内部要素をより効率良くかつ迅速に冷却することを支援するために利用され得る。更に他の実施形態においては、内部冷却チャネル5ciが存在しないか、又は利用されなくても良い。
【0073】
冷却チャネル5ciを通過させられた冷却のために利用される水素は、クールダウン吐出導管4bを介して、及び/又はポンプ5の蒸気戻し部を介して、ポンプから出力されても良い。例えば、水素ガスの流れは、ピストンロッド5rに隣接する位置から、ポンプの吐出弁5dvに隣接する位置まで延在し得る、少なくとも1つの冷却チャネル5ci、及び/又は、ポンプ吐出導管4dが流体連通している吐出口4do及び吐出口4doが流体連通している吐出弁5dvを介して、水素の吐出のための内部吐出経路に、通過させられることができる。水素はその後、大気へのベントのために、クールダウン吐出導管4bを介して出力されるために圧縮キャビティ5cavに送り戻されても良い。
【0074】
ポンプが作動させられ、ピストンロッド5rの運動を介してポンプ動作が開始された後、ポンプ5の動作の間のタンク3へと戻す水素ガスのブローバイは、クールダウン吐出導管4bからのベントを可能にするための、弁4acvが閉じられた後の、制御弁4acvの開位置への調節によって提供されることができ、それにより、ポンプが作動させられている間に、水素ガスがポンプ5から出てクールダウン吐出導管4bを介してタンク3に戻るよう通ることができる。例えば、いくつかの実施形態においては、クールダウン吐出導管4bの制御弁4acvは、ポンプが作動させられて、液体水素を圧縮して水素ガスのための移動のブローバイ経路を提供するときに、ベントのための弁を閉じ、クールダウン吐出導管4bを介した水素ガスの出力を可能として水素ガスをタンク3へ戻すための弁を開くように、調節されても良い。
【0075】
代替の構成においては、ポンプ5は、ポンプが圧縮キャビティ5cav内で流体を圧縮するように作動させられている間に、水素ガス提供導管4gが水素ガスのブローバイを提供できるように構成されても良い。かかる構成においては、ポンプ5が液体水素を圧縮してFCM7に向けて供給するよう作動させられている間に、水素ガスのブローバイがポンプを通して水素ガス提供導管4gに内部的に送られ、それによりこの導管が貯蔵タンク3への蒸気戻し部として機能するように、ベントのためのクールダウン吐出導管4bの弁が閉じられても良い。
【0076】
上述したように、クールダウン動作を実行するためにタンク3からポンプ5への水素の流れを容易化することを支援するために、ポンプは非アクティブとされたままでも良い(例えばポンプ駆動モータはオフのままにされても良いし、又は動作していなくても良い)。水素供給導管構成4を介してポンプ5及び貯蔵タンク3と流体連通しているクールダウン吐出導管4bの調節可能な制御弁は、タンク3を外部の大気にベントするために開かれても良い。クールダウン吐出導管4bを介してベントするための弁の開放(
図2において「Vent」の文字で示されるような)は、クールダウン吐出導管4bを介してベントされる前に、以上に議論されたようなクールダウン動作のための水素冷却流路に沿ってポンプキャビティ5cavを通過するために、水素が貯蔵タンク3からポンプ供給入口5aに低い速度で流れるように、水素供給導管構成4内の圧力を調節することができる。かかる低い速度の例は、0.53kg/hr+/-30%、0.1kg/hr~0.8kg/hrの速度、又は0.4kg/hr~0.6kg/hrである流速を含み得る。低い速度の別の例として、いくつかの実施形態は、0.1kg/hr~0.6kg/hrの範囲内であっても良い流量を利用しても良い。
【0077】
水素の流れは、水素ガス提供導管4gを介した水素ガス3G、及び/又は液体供給導管4aを介した液体水素3Lの流れを含んでも良い。これらの導管の制御弁4acvは、ベント制御弁が開かれている間、ポンプがクールダウン動作のために非アクティブにされている間にポンプ5への水素のこの流れを促進するために開かれても良い。
【0078】
クールダウン動作の結果として、比較的少量の水素が、水素の大気へのベントにより損失される。しかしながら、この水素の損失は、クールダウンプロセスの利用によって提供され得るポンプ5の迅速な起動に要し得る時間の大幅な削減に鑑みれば、許容され得るものである。
【0079】
更に、クールダウン動作のために利用される水素は、水素ガス3Gであっても良いし、又はそうでなければ貯蔵タンク3からベントされる必要があり得る水素ガス3Gを含んでも良い。ガス3Gをベントすることに先立つクールダウン動作における冷却のための水素ガス3Gの使用は、低圧貯蔵タンク3内での液体水素の貯蔵の結果として形成されるこの水素ガス3Gのより効率良い利用を提供し得る。このことは、そのガスを大気にベントすることに先立って、水素ガス3Gを有用な運用目的のために利用することによって、運用効率を更に向上させることができる。
【0080】
ポンプ5が比較的長い期間非アクティブにされることが予想されるいくつかの状況においては、クールダウン動作は、水素ガス3Gの使用のみによって実行されても良い。かかる動作は、いくつかの実施形態において、1~3時間の時間を要するクールダウン動作に帰着し得る。ポンプが所望の温度になると、クールダウン動作は、連続的又は定期的な間隔で、低い速度での水素ガス3Gの冷却流の使用により維持されても良い。このことは、そうでなければベントされる必要があるタンク3内のガスの使用によって、水素損失を最小化しつつ、燃料供給ステーションの需要が高いと予測される時間の近くで、ポンプを所望の温度に維持することを支援することができる。この迅速な起動機能は、他の高需要でない状況にも有益であり得る。例えば、かかる機能は、ポンプから下流における水素の高圧貯蔵又はその他の地上貯蔵の必要性を、排除しないとしても最小化することを支援するため、迅速な起動機能は、低需要状況において車両燃料タンクに燃料を供給するのに有利であり得る。
【0081】
他の状況においては、クールダウン動作はまた、液体水素3Lを利用しても良い。ポンプが非アクティブである間にクールダウン動作のためにポンプ5に供給される液体水素は、クールダウン動作がより迅速に実行される(例えば1~3分以内、5分以内、30秒~3分、30秒~2分、など)ことが可能となるように、ポンプを所望の動作温度にまでより迅速に冷却することができる。液体水素の使用は、ポンプが十分な時間非アクティブにされて、高すぎる温度(例えば予め選択された動作温度範囲内に入り得る温度よりも高い)に加温された後に、ディスペンサにおける需要が予想外に高くなったときに、クールダウン動作のために利用されても良い。液体水素3Lは、クールダウン動作において、単独で又は水素ガス3Gの使用と組み合わせて利用されても良い。以上に議論されたように、液体水素が使用される場合、液体水素は、クールダウン動作の間にポンプの構成要素及び液体供給導管から熱を吸収するにつれて加熱されるので、クールダウンプロセスの間に液体水素の多くが気化し得る。液体水素が冷却媒体として機能することによって引き起こされる水素液体の加熱から形成される、形成された水素ガスは、以上に議論されたように、冷却経路の流れに沿って通ることができる。
【0082】
コントローラCTRLに通信可能に接続され得る温度センサ及びその他の制御要素は、クールダウン動作を監視及び制御するために利用され得る。例えば、第1の温度センサTEは、ポンプ供給入口5aに送られる水素の温度を監視することができ、第2の温度センサTEは、大気に出力される(例えばベントされる)水素の温度を監視するために配置されることができる(例えばクールダウン吐出導管4bに接続された第2の温度センサTE)。第1及び第2の温度センサTEからの温度測定データは、他の弁の後続する制御のためにクールダウン動作を監視するためのそのデータの評価のために、及び、ポンプが予め選択された動作温度範囲内の十分に低温の動作温度にあり、1つ以上のディスペンサ9において燃料としての水素に対する需要があるようになった後に、ポンプの動作を開始するためにポンプ駆動モータを作動させるために、コントローラCTRLに送信されることが可能である。
【0083】
コントローラCTRLは、非一時的メモリに接続されたプロセッサと、プラント及び/又は装置のセンサ及びその他の要素と通信するための少なくとも1つのトランシーバと、を有するコンピュータデバイスであっても良い。コントローラは、温度センサTEから受信された温度データを評価して、クールダウン動作のためにポンプ5に供給される水素の入口温度(例えばポンプ5内に又はポンプ入口5a内に配置可能な第1の温度センサTEのデータから決定される温度)と、クールダウン動作の間にベントのために送られる水素の出口温度(例えばクールダウン吐出導管4b又は冷却流吐出口4bo内に配置可能な第2の温度センサTEのデータから決定される温度)と、の差を決定するように構成されても良い。第1及び第2の温度センサから受信されたデータから決定された入口温度と出口温度との差が、予め選択されたポンプ動作温度閾値内(例えば、差が200°F又は115℃以内、100°F又は60℃以内、50°F又は30℃以内、又はその他の適切な範囲内)であり、かつポンプ温度も予め選択された動作温度以下(例えば、ポンプの第1の温度センサTEが、ポンプ温度が-200°F以下、-300°F以下、-350°F以下、-400°F以下、-240℃以下、-180℃以下などであることを示す測定データを提供する)であると決定された場合、ポンプ5は、動作のための所望の動作温度であると決定されても良い。この温度確認プロセスは、ポンプ5の作動が望まれるような1つ以上のディスペンサ9において液体水素の需要があるとコントローラCTRLによって決定された後に、実行されても良い。
【0084】
この決定に応答して、コントローラCTRLは、水素供給導管構成4の弁4acvの調節及び装置の他のユニットの作動のために、他の要素と通信しても良い。例えば、ポンプ動作温度条件が満たされた後、導管構成4をベントするための弁4acvを閉じることによってクールダウン動作が停止されても良く、貯蔵タンク3からFCM7及びディスペンサ9に向けて液体水素を増大させられた圧力で供給するために、ポンプ吐出口4doを介して、ポンプ5を通して及びポンプ吐出導管4dを通して、貯蔵タンク3から出る液体水素3Lの流れを駆動することを、ポンプ5が開始するために、ポンプ駆動モータがオンにされても良い。
【0085】
コントローラCTRLは、この動作を自動的に制御するために、弁及びポンプ5に通信を送信しても良く、又は、CTRLは、操作者が入力デバイスを使用して弁の調節及びポンプ駆動モータの始動を開始するための入力を提供することを容易化するために、コントローラCTRLに通信可能に接続されたディスプレイを介して、この検出された状態に関連する指標の表示が操作者に表示されるようにするよう構成されても良い。この入力の受信に応答して、コントローラCTRLは次いで、1つ以上のディスペンサにおける液体水素の需要が、ポンプからディスペンサに向けて液体水素を供給することによって満たされ得るように、弁の調節及びポンプ駆動モータの起動などのための通信を送信しても良い。
【0086】
例えば、(i)ディスペンサ9において液体水素の需要があること、(ii)差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内にあること、及び(iii)ポンプの温度センサTEを介したポンプ温度が、ポンプが予め選択された動作温度閾値以下である温度であることを示すこと、の決定に応答して、コントローラCTRLは、水素のベントを停止するためにクールダウン吐出導管4bの弁を閉じ、水素を貯蔵タンク3から1つ以上のディスペンサ9に向けて供給するために圧縮キャビティ5cav内でポンプ5のピストン5pを動かすためにポンプ駆動モータをオンにしてポンプ5をオンにするための、通信を送信しても良い。これらの通信は、自動的に又は操作者からの入力の受信後に、送信されても良い。
【0087】
ディスペンサ9における液体水素の需要を満たすためにクールダウン動作が行われた後のポンプの起動のための、ポンプ5が所望の動作温度にあることの検出は、多数の異なる設計基準のセットを満たすように適合されても良い。いくつかの実施形態においては、温度センサTEの遠位測定点5tpは、予め選択された検出位置LDSにおいてポンプ内に配置されても良い。
図4に示されるポンプ5のような垂直ポンプについては、予め選択された検出位置LDSは、圧縮キャビティ5cavの主供給入口5fiの下のポンプシリンダの底部5btmに隣接していても良い。
図3に示されるポンプ5のような水平ポンプについては、予め選択された検出位置LDSは、圧縮キャビティ5cavと流体連通している主供給入口5fiに隣接して配置された堰板5wpによって、ポンプの底部5btm側に隣接していても良い。堰板5wpは、既知のレベル対流量関係を生成するために利用され得るポンプ内の堰バッフル又はその他のタイプの要素ともみなされ得る。遠位測定点5tpは、堰板5wpがポンプ5内の温度センサTEの測定点5tpと圧縮キャビティ5cav内に位置するピストン5pとの間にあるように、堰板5wpの背後に配置されても良い。
【0088】
クールダウン動作のために液体水素を利用するポンプ5の実施形態については、遠位測定点5tpの位置は、水素のクールダウン動作フローの結果としてこの予め選択された検出位置LDSに蓄積した液体水素の温度をこのセンサが測定するように、位置させられても良い。この検出は、例えば、温度センサTEが、タンク3内の液体極低温水素の温度に関連する温度(例えばポンプについての動作条件に対する温度センサTEの較正に依存して、-423°F、-253℃、-400°F、-240℃又は-423°F~-350°F若しくは
【0089】
-253℃~-180℃の温度、など)であるとして水素の温度を測定することによって行われても良い。この検出が行われると、クールダウン動作がポンプ5を十分に冷却したと決定されても良く、ポンプが起動されても良い。
【0090】
ポンプ5が十分に冷却され、ポンプ運転を開始することとなった後に、クールダウン吐出導管4bの1つ以上の弁が調節されて、ポンプ5の動作の間にピストンリング5prを通過し得る水素(例えば水素ガス)が、冷却流吐出口4boから出力されて、以上に議論されたように(ベントされる代わりに)貯蔵タンク3へ送り戻されるようにしても良い。
【0091】
ポンプが動作しているとき、ポンプ供給入口5aを介してポンプ5によって受け取られた水素は、圧縮され、続いてポンプ吐出導管4dを介してポンプ5から出力され得る。ポンプ5から出力された後、液体水素は、FCM供給導管4eを介してFCM7に供給される前に、熱交換器6を通過してそこで加温を受けることができる。熱交換器6を通過させられた水素の加温を容易化するため、加温媒体が並流又は向流で熱交換器6を通過させられても良い。水素は次いで、FCMから1つ以上のディスペンサ9に送られても良い。
【0092】
1つ以上のディスペンサ9における水素の需要が低いか停止している場合、ポンプの動作は停止されても良い(例えばポンプが非アクティブにされることができる)。ポンプ5は、該ポンプを通過する極低温水素がないために、長時間オフにされ、オフの間は温かいものとなり得る。1つ以上のディスペンサ9における水素の需要の次の増大により、ポンプ5が再びオンにされる場合に、ポンプ駆動モータが作動させられる前にクールダウン動作が再び実行されて、FCM7及び1つ以上のディスペンサ9に向けて水素を供給するためにオンにされる前に、ポンプ5が所望の動作温度になることを確実にしても良い。クールダウン動作の実行は、FCM7及びディスペンサ9に水素を流すためにポンプ5がアクティブにされる(又は再びアクティブにされる)たびに、ポンプ駆動モータをオンにすることに先立って行われても良い。
【0093】
ポンプ5の実施形態及びポンプ5を冷却するための装置の実施形態を利用するポンプのクールダウン動作の実施形態の実行は、水素バイパス導管6a及びベント導管4fを介して、下流配管をベントすることを必要とすること又はポンプ5を介して水素生成物を大気に流すことなく、ポンプ5が所望の動作温度にまで冷却されることを可能にし得る。しかしながら、バイパス導管6aと流体連通している下流ベント導管4fは、装置の実施形態において、動作の間に生じ得る種々の問題を考慮するよう、保守又は緊急のベント機能を提供するために保持されても良い。
【0094】
ポンプ5の実施形態及びポンプ5を冷却するための装置の実施形態を利用するポンプクールダウン動作の実施形態は、ポンプを極低温液体水素に浸漬することを必要とすること、又は常に液体水素を連続的な動作でポンプを通過させることなく、ポンプ5が所望の動作温度にまで冷却されることを可能にし得る。このことは、ポンプの常時運転を回避することによりエネルギー利用率を改善することができ、ポンプの常時浸漬又は必要でないときのポンプの連続運転若しくはポンプを通る生成物の流れに関連する高いコスト及び保守の問題を回避することができる。かかるポンプ浸漬方式は、例えば、ポンプが浸漬されたままにされると起きる著しい水素の沸騰により、著しい損失を招き得る。ポンプ浸漬アプローチとは対照的に、本発明者らは、本発明者らの装置及びポンプのクールダウン方法の実施形態が、ポンプが動作していない間のポンプの浸漬の結果として生じ得る著しい水素損失を回避することができると考えている。
【0095】
ポンプ5の実施形態及びポンプ5を冷却するための装置の実施形態を利用するポンプクールダウン動作の実施形態は、ポンプ5がポンプのクールダウンのために必要とされる水素のベント量を低減させることによって水素損失を低減させることを可能とし、水素損失を低減させポンプの起動時間を短縮するよう加圧吐出ラインによるより迅速なポンプ起動時間を容易化し、ディスペンサ9における車両の直接充填を行うためのより高速なポンプ起動時間を可能にする一方で、燃料供給ステーションのためのガス貯蔵又は二次予冷システムの必要性を最小化することを支援し、また、ポンプ内部の冷却水素ガス吐出経路に沿って水素を流すことにより効率良い冷却を提供することができる。
【0096】
本発明者らは、本発明者らのポンプ5の実施形態及びポンプ5を冷却するための本発明者らの装置の実施形態を利用する、本発明者らのポンプのクールダウン動作の実施形態の内々の実験及びシミュレーションを行い、いくつかの状況においては、起動時間が2分未満(例えば30秒未満、15秒未満、5秒未満、5秒~2分、など)になり得る一方、ポンプが高い周囲温度まで加温されたものとなり得る他の極端な温度状況においては、起動時間が2~5分の範囲となり得ることを見出した。他の温度状況においては、異なる実施形態及び異なるポンプ始動温度を使用して実施された異なる実験について、ポンプ5は、20分未満を要するクールダウン時間、4~7分の範囲内であったクールダウン時間、及び5分未満であったクールダウン時間で、十分に冷却されることが可能であった。更に、従来のクールダウン動作と比較した場合、水素損失が50%よりも大きく低減させられることができ、水素損失の低減において著しい動作上の改善を提供することができる。
【0097】
水素燃料の分注及び/又は貯蔵を容易化するように配置及び構成され得るポンプを冷却するための装置の実施形態、ポンプの極低温動作のためのポンプ冷却のための装置、ポンプ駆動モータの始動に先立つ本発明者らのポンプのクールダウン動作の実施形態、並びにこれらの製造方法及び使用方法はそれぞれ、動作を監視及び制御するように配置及び構成されたプロセス制御要素(例えば、温度及び圧力センサ、流量センサ、プロセッサ、非一時的メモリ、及びセンサ要素、弁と通信するための少なくとも1つのトランシーバを含む少なくとも1つのワークステーションを有する自動化されたプロセス制御システム、及びワークステーション及び/又は装置の別のコンピュータデバイスにおいて実行され得る自動化されたプロセス制御システムのためのユーザインタフェースを提供するコントローラ、など)を含むように構成されても良いことは、理解されるべきである。
【0098】
本明細書で議論される例示的な実施形態のうちのいくつかは、水素の利用に関するものである。水素は、極低温流体の一例である。ポンプ5の他の実施形態は、水素ガス及び/又は液体水素の代わりに、他のタイプの極低温流体(例えば極低温液体及び/又は極低温ガス)とともに利用され得る。例えば、貯蔵タンク3は、他のタイプの極低温流体(例えば極低温ヘリウム、極低温窒素、又は極低温酸素)を保持しても良い。かかる実施形態においては、ポンプ吐出導管4dは、FCM7及び/又はディスペンサ9の代わりに、その後の使用のためにプラント要素にポンピングされた液体を供給しても良い。かかる実施形態については、液体供給導管4aは、液体極低温供給導管4aとみなされ得る。かかる実施形態においては、ディスペンサ9における需要も、コントローラCTRLを介したポンプ5のアクティブ化のための基準でない場合がある。その代わりに、動作温度評価基準(例えばプラント要素又は空気分離ユニット要素に対する極低温液体又は極低温流体の需要など)に加えて、他の制御基準が含められても良い。それ故、水素燃料供給ステーションの例示的な実施形態は一例であり、水素燃料供給ステーションのタイプの環境における使用に加えて、他の実施形態及び用途も企図されることは、理解されるべきである。実施形態は、代替として、空気分離ユニット、空気分離プラント、又はその他の1つ以上の極低温液体若しくは極低温流体(例えば極低温酸素、極低温窒素、極低温ヘリウムなど)を利用し得る工業的なプラントで利用され得る。水素ガス及び/又は液体水素を参照しながら以上に議論されたポンプのクールダウン動作のための冷却経路は、これらの実施形態について、かかる流路に沿って通る異なる極低温ガス及び極低温液体の使用を含んでも良い。例えば、極低温ガスは、かかる実施形態について、水素ガスの代わりに、極低温窒素、酸素、又はヘリウムガスであっても良い。かかる実施形態においては、ポンプを介して使用される極低温液体は、以上に議論されたものと同じ液体水素の流路及び吐出に沿って通ることができる。しかしながら、その極低温液体は、FCM7及びディスペンサ9の代わりに、異なるタイプの下流ユニットに送られても良い。
【0099】
かかる実施形態においては、貯蔵タンク3についての予め選択された温度及び圧力は、異なる極低温流体を考慮して、異なるものであっても良い(例えば流体が液体として維持可能となるように、温度は流体の沸点よりも低くても良い)。例えば、液体ヘリウムの貯蔵及びポンピングについては、貯蔵のための予め選択された温度は、-269℃以下である温度であっても良い。極低温流体が極低温窒素である実施形態の場合、貯蔵のための予め選択された温度は、-196℃以下であっても良い。極低温流体がアルゴンである実施形態の場合、貯蔵のための予め選択された温度は、-186℃以下であっても良い。低温流体が酸素である実施形態の場合、貯蔵のための予め選択された温度は、-182℃以下であっても良い。
【0100】
また、特定の設計目的のセット又は特定の設計基準のセットを満たすために、本明細書に明示的に示され議論された実施形態に対する他の変更がなされ得ることは、理解されるべきである。例えば、異なるユニット間の流体の流れの流体通信のために装置の異なるユニットを相互接続するための弁、配管、及びその他の導管要素(例えば導管接続機構、チューブ、シールなど)の構成は、水素燃料の吐出及び/又は貯蔵システムの利用可能な領域、システムのサイズ設定された機器、及びその他の設計上の考察事項を考慮した特定のレイアウト設計を満たすように、構成されても良い。別の例として、装置の種々の要素を通過させられるとともに他の装置要素を通過させられる流体の、流量、圧力及び温度は、異なる極低温流体の貯蔵並びに使用システムの設計構成及びその他の設計基準を考慮するように変更され得る。更に別の例として、装置の種々の構造的な構成要素のための材料組成は、特定の設計基準のセットを満たすために必要とされ得るような、いずれのタイプの適切な材料であっても良い。
【0101】
別の例として、個別に又は実施形態の一部として説明された特定の特徴は、他の個別に説明された特徴、又はその他の実施形態の一部と組み合わせられ得ることが企図される。それ故、本明細書に説明された様々な実施形態の要素及び動作は、更なる実施形態を提供するために組み合わせられ得る。かくして、本発明者らによる水素の貯蔵及び分配のための装置、水素燃料の分配を容易化するように配置及び構成され得るポンプを冷却するための装置、ポンプの極低温動作のためのポンプ冷却のための装置、極低温ポンプ、並びにこれらを製造及び使用する方法の特定の例示的な実施形態が、以上に示され説明されてきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、以下の請求項の範囲内で他に様々に実施及び実装され得ることは、明確に理解されるべきである。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)水素の貯蔵及び分配のための装置であって、
少なくとも1つの貯蔵タンクから水素を受け取るように配置されたポンプを含み、
前記ポンプは、前記ポンプから液体が通過可能なポンプ吐出導管のためのポンプ吐出口を有し、
前記ポンプはまた、圧縮キャビティと、前記圧縮キャビティ内で移動可能な可動ピストンとを有し、前記ポンプはまた、前記圧縮キャビティ及び前記可動ピストンに隣接して配置されたピストンリングを有し、
前記ピストンリング及び前記圧縮キャビティは、水素ガスが、前記ピストンが静止している間に圧縮キャビティ内へと通過可能であり、前記圧縮キャビティから、前記ピストンリングを通して、前記水素ガスを大気にベントするためのクールダウン吐出導管と流体連通するように構成された冷却流出口に通過可能であるように、配置及び構成されている、装置。
(2)貯蔵タンクと、
液体供給導管であって、前記貯蔵タンクと前記ポンプの供給入口との間に接続されて、前記貯蔵タンクから前記ポンプに液体水素を提供する、液体供給導管、及び、前記貯蔵タンクと前記ポンプの供給入口との間に接続されて、前記貯蔵タンクから前記ポンプに水素ガスを提供する、水素ガス提供導管のうちの、少なくとも一方を含む、水素供給導管構成と、を含み、
前記クールダウン吐出導管は、前記ポンプに接続され、それにより、前記冷却流出口を通過させられた水素ガスが、前記ポンプのクールダウン動作の間にベントされるように、前記ポンプから前記クールダウン吐出導管を通って通過可能である、(1)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(3)前記クールダウン吐出導管は、前記ポンプが非アクティブである間、前記ポンプのクールダウン動作の間に前記水素をベントするための開位置に調節可能な調節可能弁を有する、(2)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(4)前記ポンプに接続されて、前記貯蔵タンクから前記ポンプに供給される水素の温度を測定する、第1の温度センサと、
前記クールダウン吐出導管に接続されて、前記クールダウン吐出導管を通過するための前記ポンプから出力される水素の温度を監視する、第2の温度センサと、のうちの少なくとも一方を含む、(3)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(5)前記第1の温度センサ及び/又は前記第2の温度センサに通信可能に接続されて、前記貯蔵タンクから前記ポンプに送られる前記水素の温度と、前記ポンプから出力され前記クールダウン吐出導管を通過する前記水素の温度との差を決定する、コントローラを有し、
前記コントローラは、前記差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内であることの決定に応答して、前記ポンプが予め選択された動作温度範囲内の温度にあることを決定し、前記ポンプがディスペンサに向けて水素を供給するようアクティブ化可能であると決定するように構成された、(4)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(6)前記コントローラは、前記ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値内の温度にあり、その差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内であることの決定に応答して、水素供給導管構成の弁を調節し、前記ポンプをオンにするようポンプ駆動モータと通信するように構成されている、(5)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(7)前記ポンプは、前記水素ガスが冷却流出口に向かって冷却流路に沿って移動しながら前記ピストンを通過した後に、前記水素ガスの一部を内部のポンプの構成要素に送るように配置された、内部冷却チャネルを含む、(4)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(8)前記ポンプは、前記水素ガスが冷却流出口に向かって冷却流路に沿って移動しながら前記ピストンを通過した後に、前記水素ガスの一部を内部のポンプの構成要素に送るように配置された、内部冷却チャネルを含む、(1)に記載の水素の貯蔵及び分配のための装置。
(9)前記冷却チャネルは、前記ポンプのシリンダ内に画定されている、(8)に記載の水素の貯蔵及び分配。
(10)ポンプのクールダウン動作を実行する方法であって、
前記ポンプが非アクティブである間に、貯蔵タンクと流体連通しているポンプに接続されたクールダウン吐出導管の弁を開いて、前記貯蔵タンク内の水素が前記ポンプの圧縮キャビティ内へと通過可能となるようにすることと、
前記ポンプのピストンが静止している間に、前記貯蔵タンクから前記ポンプ内へと前記水素を送り、前記圧縮キャビティに通過させられた水素ガスが、前記圧縮キャビティから、前記圧縮キャビティ及び前記ピストンに隣接して配置されたピストンリングを通って送られるようにすることと、
前記ピストンリングから前記クールダウン吐出導管に前記水素ガスを送ってベントさせることと、を含む、方法。
(11)前記ポンプが予め選択された動作ポンプ温度範囲内である温度にまで冷却されることを決定することと、
前記ポンプが前記予め選択された動作ポンプ温度範囲内である温度にあること、及び前記ポンプに流体接続されたディスペンサにおいて液体水素の需要があることの決定に応答して、前記クールダウン吐出導管の弁を閉じて前記水素ガスのベントを停止し、前記貯蔵タンクから少なくとも1つのディスペンサに向けて液体水素を供給するために前記ポンプの前記ピストンを前記圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして前記ポンプをオンにすることと、を含む、(10)に記載の方法。
(12)前記貯蔵タンクから前記ポンプに供給される水素の温度を測定するために、前記ポンプの一部を通過する前記水素の温度を監視することと、
前記クールダウン吐出導管を通過するために前記ポンプから出力される前記水素の温度を監視することと、のうちの少なくとも一方を含む、(10)に記載の方法。
(13)前記ポンプに接続された第1の温度センサが、前記ポンプの前記一部を通過する前記水素の温度を測定し、前記クールダウン吐出導管に接続された第2の温度センサが、前記クールダウン吐出導管を通過するために前記ポンプから出力される前記水素の温度を測定する、(12)に記載の方法。
(14)前記第1の温度センサ及び/又は前記第2の温度センサに通信可能に接続され、前記ポンプが予め選択されたポンプ動作温度閾値以下であるか否かを決定する、コントローラを有し、
前記ポンプが前記予め選択されたポンプ動作温度閾値以下であることの決定に応答して、前記コントローラは、前記クールダウン吐出導管の前記弁を閉じて水素ガスのベントを停止させるための通信を送信する、(13)に記載の方法。
(15)前記ポンプを通過する前記水素の温度と、前記ポンプから出力され前記クールダウン吐出導管を通過させられた前記水素の温度との差を決定することと、
(i)前記差が予め選択されたポンプ動作温度閾値内にあること、(ii)前記ポンプを通過する前記水素の温度が予め選択されたポンプ動作温度範囲内にあること、及び(iii)前記ポンプに流体接続されたディスペンサにおいて液体水素の需要があること、の決定に応答して、前記クールダウン吐出導管の弁を閉じて水素のベントを停止し、前記貯蔵タンクから前記ディスペンサに向けて液体水素を供給するために前記ポンプの前記ピストンを前記圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして前記ポンプをオンにすることと、を含む、(12)に記載の方法。
(16)前記ポンプに接続された温度センサであって、前記温度センサの遠位測定点が、前記ポンプの底部及び/又は前記ポンプ内の堰板に隣接する前記ポンプ内の予め選択された検出位置において前記ポンプ内に配置されるように配置された、温度センサを介して、前記ポンプ内の温度が前記ポンプについて予め選択された動作温度範囲内にあることを決定することと、
前記ポンプ内の温度が前記予め選択された動作温度範囲内にあること、及び前記ポンプに流体接続されたディスペンサにおいて液体水素の需要があることの決定に応答して、前記クールダウン吐出導管の弁を閉じて前記水素ガスのベントを停止し、前記貯蔵タンクから前記ディスペンサに向けて液体水素を供給するために前記ポンプの前記ピストンを前記圧縮キャビティ内で動かすために、ポンプ駆動モータをオンにして前記ポンプをオンにすることと、を含む、(10)に記載の方法。
(17)極低温流体の貯蔵及び分配装置のためのポンプであって、
圧縮キャビティ内での運動のために可動ピストンロッドに接続された、ピストンと、
前記圧縮キャビティ及び前記ピストンに隣接して配置された、ピストンリングと、を含み、
前記ポンプは、前記ポンプから極低温液体が通過可能である、ポンプ吐出導管のためのポンプ吐出口を有し、
前記ピストンリング及び前記圧縮キャビティは、前記ピストンが静止している間に、極低温ガスが前記圧縮キャビティへと通過可能であるように構成され、それにより、前記極低温ガスが、前記圧縮キャビティから、前記ピストンリングを通って、前記極低温ガスをベントするためのクールダウン吐出導管と流体連通するように構成された冷却流出口に向かって通過可能とされている、ポンプ。
(18)前記クールダウン吐出導管を含み、前記冷却流出口は、前記クールダウン吐出導管と流体連通している、(17)に記載のポンプ。
(19)前記冷却流出口は、前記ピストンの非圧縮側に配置されている、(18)に記載のポンプ。
(20)前記極低温ガスは、
水素ガスであって、前記水素ガスは、液体水素がポンプを冷却するときに水素ガスに気化された、前記ポンプに供給された液体水素から形成された水素ガス及び/又は水素ガスである、水素ガス、
窒素ガスであって、前記窒素ガスは、液体窒素がポンプを冷却するときに窒素ガスに気化された、前記ポンプに供給された液体窒素から形成された窒素ガス及び/又は窒素ガスである、窒素ガス、
酸素ガスであって、前記酸素ガスは、液体酸素がポンプを冷却するときに酸素ガスに気化された、前記供給された液体酸素から形成された酸素ガス及び/又は酸素ガスである、酸素ガス、及び
ヘリウムガスであって、前記ヘリウムガスは、液体ヘリウムがポンプを冷却するときにヘリウムガスに気化された、前記ポンプに供給された液体ヘリウムから形成されたヘリウムガス及び/又はヘリウムガスである、ヘリウムガス、
のうちの1つであり、ディスペンサは、第1の圧縮器に供給される水素の速度よりも大きい、(17)に記載のポンプ。