(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】機器設定装置、機器設定システム、機器設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20241213BHJP
B60R 16/037 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/037
(21)【出願番号】P 2023055856
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 義章
(72)【発明者】
【氏名】菊地 直規
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 順也
(72)【発明者】
【氏名】蔡 宇南
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162314(JP,A)
【文献】特開2016-173759(JP,A)
【文献】特開2022-152073(JP,A)
【文献】特開2009-260915(JP,A)
【文献】特開2009-164977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
B60R 16/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を特定する特定部と、
第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理部と、
前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更部と、
を備え、
前記設定変更部は、前記更新処理部の状態に依らず処理を行い、
前記更新処理部は、前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる、
機器設定装置。
【請求項2】
前記更新処理部は、通信装置を介して外部装置から提供される情報に基づいて、前記動作設定情報を更新する、
請求項1記載の機器設定装置。
【請求項3】
前記更新処理部は、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる際に、前記一時変更情報に基づく更新依頼を前記外部装置に送信するように前記通信装置に指示する、
請求項2記載の機器設定装置。
【請求項4】
前記更新処理部は、前記特定部が特定した利用者が切り替わった場合に、第3記憶部に記憶され、複数の利用者についての前記動作設定情報を集めた動作設定情報群から抽出した当該切り替わった後の利用者についての動作設定情報で、前記動作設定情報を更新する、
請求項1または2記載の機器設定装置。
【請求項5】
請求項2または3記載の機器設定装置と、
前記外部装置と、
を備える機器設定システム。
【請求項6】
機器設定装置が、
利用者を特定する処理と、
第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理と、
前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更処理と、
を実行し、
前記設定変更処理は、前記更新処理の状態に依らず行われ、
前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる、
機器設定方法。
【請求項7】
機器設定装置のプロセッサに、
利用者を特定する処理と、
第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理と、
前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更処理と、
を実行させ、
前記設定変更処理は、前記更新処理の状態に依らず行われ、
前記プロセッサに、更に、
前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる処理を行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器設定装置、機器設定システム、機器設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載機器などの機器は個人設定が可能であり、その動作設定情報は何らかの記憶装置に記憶され、機器の動作開始時に記憶装置から動作設定情報が読みだされて機器に反映される。特に複数の利用者が共有する機器については、個人ごとの動作設定情報が記憶装置に記憶され、特定された利用者の動作設定情報が用いられるようになっている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-072160号公報
【文献】特開2003-130649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、何らかの理由で動作設定情報の更新中に利用者が手動で設定変更操作を行おうとした場合、更新された情報と、手動による設定変更の情報のどちらを最新のものとすべきか正確に判断できないことを懸念し、手動による設定変更操作を受け付けないように制御されている場合があった。この場合、利用者に違和感を与える場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、利用者に違和感を与えることなく自然な使用感で機器を動作させることができる機器設定装置、機器設定システム、機器設定方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る機器設定装置、機器設定システム、機器設定方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る機器設定装置は、利用者を特定する特定部と、第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理部と、前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更部と、を備え、前記設定変更部は、前記更新処理部の状態に依らず処理を行い、前記更新処理部は、前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させるものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記更新処理部は、通信装置を介して外部装置から提供される情報に基づいて、前記動作設定情報を更新するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記更新処理部は、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる際に、前記一時変更情報に基づく更新依頼を前記外部装置に送信するように前記通信装置に指示するものである。
【0009】
(4):上記(1)または(2)の態様において、前記更新処理部は、前記特定部が特定した利用者が切り替わった場合に、第3記憶部に記憶され、複数の利用者についての前記動作設定情報を集めた動作設定情報群から抽出した当該切り替わった後の利用者についての動作設定情報で、前記動作設定情報を更新する、ものである。
【0010】
(5):本発明の他の態様に係る機器設定システムは、上記(2)または(3)記載の機器設定装置と、前記外部装置と、を備えるものである。
【0011】
(6):本発明の他の態様に係る機器設定方法は、機器設定装置が、利用者を特定する処理と、第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理と、前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更処理と、を実行し、前記設定変更処理は、前記更新処理の状態に依らず行われ、前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させるものである。
【0012】
(7):本発明の他の態様に係るプログラムは、機器設定装置のプロセッサに、利用者を特定する処理と、第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理と、前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更処理と、を実行させ、前記設定変更処理は、前記更新処理の状態に依らず行われ、前記プロセッサに、更に、前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる処理を行わせるものである。
【発明の効果】
【0013】
(1)~(7)の態様によれば、利用者に違和感を与えることなく自然な使用感で機器を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る機器設定装置100を含む機器設定システム1の構成および使用環境の一例を示す図である。
【
図2】動作設定情報172Aの概要を示す図である。
【
図3】更新処理部130と設定変更部140の処理が重なった場合における処理の流れの一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の機器設定装置、機器設定システム、機器設定方法、およびプログラムの実施形態について説明する。機器設定装置は、機器の動作設定を行う装置である。機器は、例えば、車両などの移動体に搭載された機器である。以下の説明において機器設定装置は車両に搭載されるものとする。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る機器設定装置100を含む機器設定システム1の構成および使用環境の一例を示す図である。機器設定装置100は、車両Mに搭載される。車両Mには、更に、複数の機器10#1~10#nと、HMI(Human machine Interface)20と、TCU(Telematics Control Unit)30と、キーシステム40とが搭載される。その他、車両Mにはエンジンやモータなどの駆動装置、ブレーキ装置、操舵装置などの一般的な構成が搭載されてよいが、それについての図示および説明は省略する。
【0017】
複数の機器10#1~10#nのそれぞれは、例えば、パワーウインドウや、サンルーフ、サンシェード、室内灯、マップライト、空調システム、メモリシート、シートヒータ/クーラー、ドアロック、運転モード設定装置、運転支援装置などである。複数の機器#1~10#nのそれぞれには、制御主体となるECU(Electronic Control Unit)が含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0018】
パワーウインドウは、例えば、車両Mの運転席側、助手席側、後部座席の左右に配置された窓ガラスを開閉する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、利用者が開閉スイッチを押下した押下量や押下時間に対する窓ガラスの開閉量などが設定および制御される。サンルーフは、例えば、車両Mの車室の天井部分に配置された開口部のガラスあるいは鉄板などを開閉する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、利用者の操作に対してガラスや鉄板を開閉する際の開閉量などが設定および制御される。サンシェードは、例えば、車両Mの後方の窓ガラス部や後部座席の左右の窓ガラス部から入射する日差しを遮る遮光部を開閉する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、利用者の操作に対して遮光部を開閉する際の開閉量などが設定および制御される。室内灯と、マップライトとのそれぞれは、車両Mの車室内や利用者の手元を照らすための機器(照明機器)であり、動作設定情報172Aに基づいて、点灯、消灯、点灯時の明るさなどが設定および制御される。空調システムは、例えば、エア・コンディショナー(air conditioner)などの機器(空調装置)であり、動作設定情報172Aに基づいて、車両Mの車室内に送り出す空気(風)の温度や風量などが設定および制御される。メモリシートは、例えば、座面の位置や高さ、背もたれの角度など、車両Mを運転する際に利用者が所望した位置(いわゆる、シートポジション)となるように、運転席側の座席の位置を変更する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、運転席側の座席の位置が設定および制御される。シートヒータ/クーラーは、例えば、運転席側(助手席側や後部座席を含んでもよい)の座席の温度を調整する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、座席の温度調整機能が設定および制御される。ドアロックは、例えば、利用者が車両Mから降車して離れる際に動作するセキュリティ機能を含む機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、セキュリティ機能の動作モードなどが設定および制御される。運転モード設定装置は、例えば、自動運転の走行モードや、ノーマル走行モード、スポーツ走行モード、コンフォート走行モードなどといわれるような、車両Mの走行(駆動)に関連する種々の設定項目を変更する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、運転モードや走行モードに対する設定項目が設定および制御される。運転支援装置213は、例えば、ABS(Anti-lock Braking System)機能、TCS(Traction Control System)、横滑り抑制機能などを組合せて車両Mの急激な挙動変化を抑制する予防安全機能や、ACC(Adaptive Cruise Control System)、LKAS(Lane Keeping Assistance System)などに代表される運転支援機能に関連する種々の設定項目を変更する機器であり、動作設定情報172Aに基づいて、それぞれの運転支援機能の設定項目が設定および制御される。
【0019】
HMI20は、利用者(乗員)に情報を提示すると共に、乗員による操作を受け付けるための装置ないし機器である。HMI20は、例えば、タッチパネル式表示装置、各種スイッチ(例えばステアリングホイールに設けられたステアリングスイッチ)などを含む。
【0020】
TCU30は、無線通信モジュールを備える通信装置である。TCU30は、例えば、4G-RF(Radio Frequency)回路、5G-RF回路、DSRC(Dedicated Short Range Communications)-RF回路、GPS回路、アンテナ、制御回路等を備える。TCU30は、ネットワークNWを介してサービスサーバ200と通信する。サービスサーバ200は外部装置の一例である。
【0021】
キーシステム40は、スマートキーやFOBキーからの信号を検知し、ドアロックの解除や駆動装置の始動を許可するシステムである。キーシステム40は、使用されたキーの識別情報に基づいて乗員を特定する機能を有してもよい。
【0022】
機器設定装置100は、例えば、特定部110と、制御部120と、更新処理部130と、設定変更部140と、記憶部170とを備える。記憶部170は、例えば、動作設定情報172Aを記憶する第1記憶部172と、一時変更情報174Aを記憶する第2記憶部174と、利用者ごと動作設定情報176Aを記憶する第3記憶部176とを備える。記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。記憶部170は、RAM(Random Access Memory)、HDD、フラッシュメモリなどにより実現される。
【0023】
特定部110は、利用者すなわち車両Mの乗員、より具体的には運転者を特定する。以下の説明において利用者は運転者であるものとする特定部110は、例えば、キーシステム40が特定した乗員を運転者として特定する。また、特定部110は、HMI20に対してなされた操作に基づいて運転者を特定してもよいし、図示しない認証装置が読み取った生体情報やセキュリティ情報に基づいて運転者を特定してもよいし、図示しないドライバモニタカメラが撮像した画像を解析することで運転者を特定してもよい。
【0024】
制御部120は、車両Mのシステム指導時などにおいて、動作設定情報172Aから特定部110が特定した運転者に対応する情報を読み出し、読みだした情報に基づいて複数の機器10#1~10#nの動作設定を行う。
図2は、動作設定情報172Aの概要を示す図である。動作設定情報172Aは、現在アクティブになっている利用者に対応する動作設定情報である。なお、利用者ごと動作設定情報176Aは、利用者ごとの動作設定情報が集められたものである。
【0025】
更新処理部130は、運転者の設定変更操作に依らずに動作設定情報172Aを更新する。更新処理部130が係る更新処理を行うのは、例えば、TCU30を介してサービスサーバ200から更新プログラムなどが取得された際に、更新プログラムに合わせての動作設定情報172Aの項目を変更する必要が生じた場合である。また、更新処理部130は、特定部110が特定した運転者が切り替わった場合に、利用者ごと動作設定情報176Aから抽出した、当該切り替わった後の利用者についての動作設定情報で、動作設定情報172Aを更新してもよい。また、利用者ごと動作設定情報176Aに相当する情報は機器設定装置100によって保持されず、専らサービスサーバ200によって保持されてもよい。サービスサーバ200は、記憶部210に設定情報DB210Aを記憶させている。設定情報DB210Aは、車両ごと、利用者ごとの動作設定情報を集めたものである。この場合、第3記憶部176は省略されてよい。
【0026】
設定変更部140は、HMI20により、複数の機器10#1~10#nのうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、更新処理部130の状態に依らず、当該少なくとも一部の機器の動作設定を設定変更操作に応じて変更すると共に、設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を一時変更情報174Aとして第2記憶部174に記憶させる。一時変更情報174Aは、運転者ごと(利用者ごとに)設定されている。
【0027】
図3は、更新処理部130と設定変更部140の処理が重なった場合における処理の流れの一例を示すタイムチャートである。本図の説明の前提として、更新処理部130は、特定部110が特定した運転者が切り替わったことで更新処理を行い、利用者ごと動作設定情報176Aに相当する情報は、専らサービスサーバ200によって保持されているものとする。
【0028】
まず、車両Mのシステムが始動し、特定部110によって特定された利用者が切り替わった場合、更新処理部130による更新処理(個人設定反映処理)が開始される。更新処理部130は、ネットワークNWを介してサービスサーバ200から現在の利用者についての動作設定情報の送信を要求する。更新処理部130は、設定項目ごとに順次更新処理を行う。更新処理が完了するまでの間に利用者による設定変更要求がなされた場合、設定変更部140は、更新処理部130と並行して、機器の実際の動作設定を変更するように対象の機器に指示すると共に、係る変更の内容を一時変更情報174Aとして第2記憶部174に記憶させる。
【0029】
個人設定反映処理が完了すると更新処理部130は、まず動作設定情報172Aと一時変更情報174Aを比較し、相違(更新された箇所)がある場合(一時変更情報174Aが動作設定情報172Aに反映されていない場合)は、動作設定情報172Aを一時変更情報174Aに合致するように変更し、更に、サービスサーバ200に対して、当該利用者の動作設定情報を変更するように依頼する。このとき、更新処理部130利用者ごと動作設定情報176Aが専ら第3記憶部176に保持されているのであれば、動作設定情報172Aおよび当該利用者についての利用者ごと動作設定情報176Aを変更する。また、更新処理部130は、利用者ごと動作設定情報176Aが第3記憶部176に保持されており、且つサービスサーバ200にも同様の情報が保持されているのであれば、動作設定情報172Aおよび当該利用者についての利用者ごと動作設定情報176Aを変更すると共に、サービスサーバ200に対して、当該利用者の動作設定情報を変更するように依頼する。
【0030】
係る処理を行うことで、利用者による設定変更要求がなされたにも関わらず、要求が反映されない期間が生じるのを防止することができ、利用者に違和感を与えることなく自然な使用感で機器を動作させることができる。
【0031】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
利用者を特定する処理と、
第1記憶部に記憶され、複数の機器に関する動作設定情報を、利用者の設定変更操作に依らず更新する更新処理と、
前記利用者の操作を受け付ける受付部により、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の設定変更操作が受け付けられた場合に、当該少なくとも一部の機器の動作設定を前記設定変更操作に応じて変更すると共に、前記設定変更操作の内容に基づく一時変更情報を第2記憶部に記憶させる設定変更処理と、
を実行し、
前記設定変更処理は、前記更新処理部の状態に依らず行われ、
前記プロセッサは、前記更新する処理が完了した後、前記動作設定情報と前記一時変更情報を比較し、前記一時変更情報が前記動作設定情報に反映されていない場合、前記一時変更情報を前記動作設定情報に反映させる、
機器設定装置。
【0032】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 機器設定システム
10 機器
20 HMI
30 TCU
40 キーシステム
100 機器設定装置
110 特定部
120 制御部
130 更新処理部
140 設定変更部
170 記憶部
172 第1記憶部
172A 動作設定情報
174 第2記憶部
174A 一時変更情報
176 第3記憶部
176A 利用者ごと動作設定情報
200 サービスサーバ
210 記憶部
210A 機器設定DB