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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】成形容器および包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/085 20060101AFI20241213BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241213BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20241213BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
B32B15/085 A
B65D65/40 D
B65D77/20 M
B65D77/30 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023058298
(22)【出願日】2023-03-31
(62)【分割の表示】P 2019085256の分割
【原出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2023089041
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2018100203
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・パッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅規
(72)【発明者】
【氏名】長岡 孝司
(72)【発明者】
【氏名】唐津 誠
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206175(JP,A)
【文献】特開2017-068955(JP,A)
【文献】特開2017-076509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-79/02,81/18-81/30,81/38,85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形容器用積層体をカップ状に成形してなり、開口周縁にフランジを有している、成形容器であって、
前記成形容器用積層体は、金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されている外側樹脂フィルム層とを備えており、
前記外側樹脂フィルム層が、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体またはプロピレン単体の重合体を50質量%以上含有する第1樹脂フィルム層と、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなる第2樹脂フィルム層とを少なくとも有している2層以上の複層構造であり、前記第1樹脂フィルム層は、前記金属箔層と前記第2樹脂フィルム層との間に介在されており、
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれ、エラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂および/またはエラストマー変性ランダム共重合体からなり、
前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体のエラストマー変性体であり、
前記第2樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上である、成形容器。
【請求項2】
内容物が充填された請求項1記載の成形容器のフランジに、成形容器の開口を覆うように蓋が接合されてなる、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品等を密封包装するための成形容器の材料として用いられる積層体成形してなる成形容器、および内容物が充填された同成形容器に蓋を施してなる包装体に関し、より詳細には、長期保存性に優れ、外観が良好な形容器および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水羊羹、ゼリー、離乳食、介護用食品等を長期保存可能に包装するための容器として、アルミニウム箔等よりなる金属箔層と、金属箔層の両面のうち容器の内側となる面に積層されているシーラント層と、金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されている外側樹脂フィルム層とを備えた積層体を、カップ状に成形してなる成形容器が知られている(下記の特許文献1等参照)。
外側樹脂フィルム層は、容器の表面に傷や型が付いたり金属箔層が腐食したりするのを防止し、また、積層体に成形性を付与するためのものであって、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂等よりなる単層または複数のフィルムで構成されている。
そして、食品等の内容物が充填された成形容器のフランジに、最内層に熱融着性樹脂層を有する蓋をヒートシールすることによって、包装体が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-345123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の成形容器において、その外観の意匠性を高めたり、樹脂組成に適度な柔軟性を付与して成形性を改善したり、あるいは冷凍状態での容器の外側の層の耐衝撃性を改善したりするために、成形容器用積層体の外側樹脂フィルム層として、ポリプロピレン樹脂等にエラストマーを配合してなるフィルムを使用することが考えられる。
しかしながら、このような積層体により成形容器を成形した場合、得られた成形容器の表面に白化が生じることがあり、それによって外観が損なわれるおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、金属箔層および外側樹脂フィルム層を備えた成形容器用積層体成形してなる成形容器、および同成形容器を使用して内容物を密封包装してなる包装体として、長期保存性に優れ、外観が良好なものを安価に提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1) 成形容器用積層体をカップ状に成形してなり、開口周縁にフランジを有している、成形容器であって、
前記成形容器用積層体は、金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されている外側樹脂フィルム層とを備えており
前記外側樹脂フィルム層が、1樹脂フィルム層と、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなる第2樹脂フィルム層とを少なくとも有している2層以上の複層構造であり、前記第1樹脂フィルム層は、前記金属箔層と前記第2樹脂フィルム層との間に介在されており、
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂および/またはエラストマー変性ランダム共重合体からなり、
前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体のエラストマー変性体であり、
前記第2樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上である、成形容器
【0008】
)内容物が充填された前記)の成形容器のフランジに、成形容器の開口を覆うように蓋が接合されてなる、包装体。
【0009】
なお、この明細書および特許請求の範囲において、「融点」は、JIS K7121-1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定された融解ピーク温度(Tmp)である。
同様に、「結晶融解エネルギー」は、JIS K7122-1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定された融解熱(結晶融解エネルギー、△H)である。なお、結晶融解ピーク曲線が2つ以上存在していて、結晶融解エネルギーが2つ(△H1、△H2)または3つ以上存在する場合には、最も高い結晶融解エネルギーの値を指すものとする。
【発明の効果】
【0010】
上記1)成形容器あっては、成形容器用積層体の複数層の外側樹脂フィルム層のうち第2樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂とを組み合わせた樹脂組成物からなるので、同積層体を成形してなる成形容器は、上記樹脂組成物の第1および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂におけるエラストマー成分とオレフィン系樹脂との相溶性が良く、エラストマー成分の分散性も良好なものとなり、オレフィン系樹脂相とエラストマー成分との界面の接合強度が高くなる。したがって、上記1)積層体の成形時に、応力によってオレフィン系樹脂相とエラストマー成分との界面が剥離してボイドと呼ばれる空隙が発生するのが防止され、樹脂とボイドの屈折率の違いによる透明性の悪化、すなわち、白化現象が防止される。
従って、上記1)成形容器よれば、外観が良好な外表面を有する成形容器が安価に得られる。
また、上記1)成形容器よれば、第2樹脂フィルム層を構成する樹脂組成物中の第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点が155℃以上であるので、例えば同積層体を成形してなる容器のフランジに蓋をヒートシールする際に、外側樹脂フィルム層が潰れ難くなり、十分な形状保持性が確保される。
【0011】
上記)の包装体によれば、生産性が良好であって、コストを抑えることができる上、成形時の白化が抑えられて外観が良好な容器によって、高級感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施形態に係る成形容器用積層体の2つの態様の層構造を示す部分拡大断面図である。
図2】この発明の実施形態に係る包装体の製造方法を工程順に示す垂直断面図である。
図3】同方法によって製造された包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施形態を、図1図3を参照して、以下に説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施形態に係る成形容器用積層体の層構造を示したものである。図示の積層体(10)は、金属箔層(11)と、金属箔層(11)の両面のうち容器(2)の外側となる面に積層されている外側樹脂フィルム層(12)とを備えている。また、この実施形態の積層体(10)は、金属箔層(11)の両面のうち容器(2)の内側となる面に積層されている内側樹脂層(13)を備えている。
【0015】
より詳しく言うと、図1(a)に示す積層体(10)では、外側樹脂フィルム層(12)が、積層体(10)の外表面を構成する第2樹脂フィルム層(12A)と、第2樹脂フィルム層(12A)と金属箔層(11)との間に介在された第1樹脂フィルム層(12B)とよりなる2層構造である。
また、図1(b)に示す積層体(10)では、外側樹脂フィルム層(12)が、第2樹脂フィルム層(12A)と、第2樹脂フィルム層(12A)と金属箔層(11)との間に介在された第1樹脂フィルム層(12B)と、第2樹脂フィルム層(12A)における金属箔層(11)と反対側の面に積層されて積層体(10)の外表面を構成する第3樹脂フィルム層(12C)とよりなる3層構造である。
【0016】
金属箔層(11)は、成形容器用積層体(10)に対して、酸素や水分の侵入を阻止するバリア性を付与する役割を担うものである。
金属箔層(11)を構成する金属箔としては、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス鋼箔、銅箔などを使用することができるが、好適にはアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、鉄の含有量が0.3~1.5質量%であるJIS H4160で分類されるA8000系(特に、A8079HやA8021H)の焼鈍処理済の軟質材(O材)であれば、成形性に優れているので、好適に用いることができる。
金属箔層(11)の片面または両面には、必要に応じて、化成処理などの下地処理を行う。具体的には、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)~3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施して、皮膜を形成する。
前記化成処理により金属箔層(11)の表面に形成される皮膜は、クロム付着量(片面当たり)として0.1mg/m~50mg/mが好ましく、特に2mg/m~20mg/mが好ましい。
金属箔層(11)の厚さは、30~200μmとするのが好ましく、50~150μmとするのがより好ましい。上記範囲とすることによって、十分なバリア性と成形加工性を得ることができる。
【0017】
外側樹脂フィルム層(12)は、成形容器(2)の外表面に意匠性を持たせると共に、成形容器(2)の表面に傷や型が付いたり金属箔層(11)が腐食したりするのを防止し、また、成形容器用積層体(10)に深絞り成形性や張出成形性を付与する役割を担うものである。
【0018】
外側樹脂フィルム層(12)の第2樹脂フィルム層(12A)は、融点(Tmp)が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点(Tmp)が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂とを含有する樹脂組成物からなる。
上記の第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれ、エラストマー変性ホモポリプロピレンおよび/またはエラストマー変性ランダム共重合体からなる。上記のエラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分としてプロピレンとプロピレン以外のモノマーを含有するランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)のエラストマー変性体である。プロピレン以外の共重合成分(モノマー)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4メチル-1-ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。エラストマー成分としては、特に限定されるものではないが、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマー(EPBR)のうち少なくともいずれか1つを用いるのが好ましい。
【0019】
第2樹脂フィルム層(12A)を、融点(Tmp)が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点(Tmp)が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂とを含んだ樹脂組成物によって構成するのは、以下の理由による。
すなわち、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点が155℃未満では、積層体(10)を成形した時に成形容器(2)の底のR部に広い面積に亘って白化が顕著に生じる(比較例4参照)。
また、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点が135℃未満では、積層体(10)の成形時に成形容器(2)の底のR部に周方向に沿って筋状の白化が生じる(比較例5参照)。
また、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギー(△H)が50J/g未満では、上記ヒートシール時に外側樹脂フィルム層(12)の潰れがある程度生じる(比較例6参照)。
また、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギー(△H)が30J/gを超えると、積層体(10)の成形時に成形容器(2)の底のR部に周方向に沿って筋状の白化が生じる(比較例7参照)。
また、融点(Tmp)が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂を非含有とすると、積層体(10)の成形時に成形容器(2)の底のR部に周方向に沿って筋状の白化が生じる上に、外側樹脂フィルム層(12)が潰れ易く、形状保持性が不十分になりやすい(比較例2参照)。
また、融点(Tmp)が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂を非含有とすると、積層体(10)の成形時に成形容器(2)の底のR部の広い面積に亘って白化が顕著に生じる(比較例1参照)。
【0020】
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点は、155℃以上かつ185℃以下であるのが好ましい。前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギーは、50J/g以上かつ75J/g以下であるのが好ましく、53J/g以上かつ70J/g以下であるのがより好ましい。
前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点は、135℃以上かつ175℃以下であるのが好ましい。前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギーは、5J/g以上かつ30J/g以下であるのが好ましく、中でも10J/g以上かつ25J/g以下であるのがより好ましく、10J/g以上かつ20J/g以下であるのが特に好ましい。
【0021】
第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂に関して、エラストマー変性態様としては、グラフト重合が挙げられるが、その他の変性態様であってもよい。
【0022】
第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、例えば、次のようなリアクターメイド法により製造することができる。
すなわち、まず、第1リアクターに、チーグラーナッタ触媒、助触媒、プロピレンおよび水素を供給して、ホモポリプロピレンを重合する。
次いで、得られたホモポリプロピレンを、未反応のプロピレンとチーグラーナッタ触媒とを含んだ状態で、第2リアクターに移動させる。第2リアクターにおいて、さらにプロピレンと水素を加えて、ホモポリプロピレンを重合する。
そして、得られたホモポリプロピレンを、未反応のプロピレンとチーグラーナッタ触媒とを含んだ状態で、第3リアクターに移動させる。第3リアクターにおいて、さらにエチレン、プロピレンおよび水素を加えて、エチレンとプロピレンとを共重合させたエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)を重合する。
こうして、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂または第2エラストマー変性オレフィン系樹脂が生成される。
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂は、例えば、溶媒を添加して液相で製造することができる。また、前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、例えば溶媒を使用せず気相で反応を行わせることで製造することができる。
但し、上記は製法の一例を示したものに過ぎず、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、このような製法で製造されたものには限定されない。
【0023】
積層体(10)の第2樹脂フィルム層(12A)において、前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率は1~50質量%であるのが好ましく、中でも5~30質量%であるのがより好ましく、10~25質量%であるのが特に好ましい。第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が1質量%未満であると、積層体(10)を成形した際に白化が生じるおそれがある。一方、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が50質量%を超えると、耐熱性が低下する。
前記第2樹脂フィルム層(12A)において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率は49~99質量%であるのが好ましく、中でも70~95質量%であるのがより好ましく、75~90質量%であるのが特に好ましい。第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が99質量%を超えると、積層体(10)を成形した際に白化が生じるおそれがある。一方、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が49質量%未満であると、耐熱性が低下する。
【0024】
前記第2樹脂フィルム層(12A)は、海島構造の形態になっているのが好ましい。このような海島構造になっていることで、第2樹脂フィルム層(12A)に耐熱性と柔軟性の相反する性質を発現させることが可能となる。前記海島構造において、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂及び、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂のエラストマー成分が微細な島を形成する形態が好ましい。
【0025】
前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、示唆走査熱量(DSC)測定グラフにおいて2つ以上の結晶化ピークを有するものであるのが好ましい。2つの結晶化ピークを有するものである場合には、高温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が90℃以上であり、低温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が80℃以下であるのが好ましい。また、3つ以上の結晶化ピークを有するものである場合には、最も高温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が90℃以上であり、最も低温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が80℃以下であるのが好ましい。
【0026】
図1(a)に示す積層体(10)において、積層体(10)の外表面を構成する第2樹脂フィルム層(12A)は、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂に加えて、無機系微粒子、有機系微粒子およびスリップ剤のうち少なくともいずれか1つを含有するのが好ましい。第2樹脂フィルム層(12A)へ無機系微粒子や有機系微粒子、スリップ剤を添加することで、積層体(10)の外表面に微細な凹凸が形成されて成形時に金型と接触する面積が小さくなるため、滑り性が向上し、成形深さがより深い成形を良好に行うことができ、さらに、成形時の白化も十分に抑制されるという効果が得られる。
前記無機系微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。前記有機系微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。前記スリップ剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エルカ酸アマイド、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド等の脂肪酸アマイド、クリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類等が挙げられる。また、スリップ剤の添加に代えて若しくはそれに加えて、成形時に積層体(10)の表面にシリコーンオイル、菜種油等の潤滑オイルを塗布してもよい。
【0027】
図1(a)(b)に示すように2層または3層構造の外側樹脂フィルム層(12)を有する積層体(10)において、金属箔層(11)側に配される第1樹脂フィルム層(12B)は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体またはプロピレン単体の重合体(ホモポリプロピレン)を50質量%以上含有する樹脂組成物からなる。前記ランダム共重合体において、プロピレン以外の共重合成分(モノマー)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4メチル-1-ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。前記ランダム共重合体またはホモポリプロピレンの含有率が50質量%以上であることで、積層体(10)を成形してなる容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールする際に(図2参照)第1樹脂フィルム層(12B)が潰れ難くなり、十分な容器(2)の形状保持性を確保することができると共に、十分な耐レトルト性を確保することができる。より好ましくは、第1樹脂フィルム層(12B)における前記ランダム共重合体またはホモポリプロピレンの含有率は、70質量%以上に設定される。また、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有する前記ランダム共重合体は、2つ以上の融点を有するランダム共重合体であるのが好ましい。この場合、低融点のランダム共重合体成分により、金属箔層(11)との接着強度をより一層増大させて、接着性能をさらに向上させることができると共に、高融点のランダム共重合体成分により、積層体(10)を成形してなる容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールする際(図2参照)に第1樹脂フィルム層(12B)が潰れ難くなり、より十分な容器(2)の形状保持性を確保することができる。
また、第1樹脂フィルム層(12B)は、海島構造の形態になっていない構成であるのが好ましい。このような構成とすれば、積層体(10)を深絞り成形して、成形容器(2)を形成する際に、第1樹脂フィルム層(12B)においてオレフィン樹脂相とエラストマー相との界面にボイド(空間)が生じるのを十分に抑制することができる利点がある。特に、第1樹脂フィルム層(12B)が、金属箔層(11)に隣接する位置に配置されている場合には、前記効果が顕著なものとなる。
【0028】
図1(b)に示すように3層構造の外側樹脂フィルム層(12)を有している積層体(10)において、積層体(10)の外表面を構成する第3樹脂フィルム層(12C)は、第1樹脂フィルム層(12B)と同一の構成、すなわち、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体またはプロピレン単体の重合体(ホモポリプロピレン)を50質量%以上含有する樹脂組成物からなる。第3樹脂フィルム層(12C)を積層体(10)の外表面に配置することにより、より光沢感の高い外観の容器を得ることが出来る。また、前記ランダム共重合体またはホモポリプロピレンの含有率が50質量%以上であることで、積層体(10)を成形してなる容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールする際(図2参照)に第3樹脂フィルム層(12C)が潰れ難くなり、十分な容器(2)の形状保持性を確保することができると共に、十分な耐レトルト性を確保することができる。より好ましくは、第3樹脂フィルム層(12C)における前記ランダム共重合体またはホモポリプロピレンの含有率は、70質量%以上に設定される。また、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有する前記ランダム共重合体は、2つ以上の融点を有するランダム共重合体であるのが好ましい。この場合、高融点のランダム共重合体成分により、積層体(10)を成形してなる容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールする際(図2参照)に第3樹脂フィルム層(12C)が潰れ難くなり、より十分な容器(2)の形状保持性を確保することができる。
第3樹脂フィルム層(12C)も、積層体(10)の外表面を構成することから、無機系微粒子、有機系微粒子およびスリップ剤のうち少なくともいずれか1つを添加するのが好ましく、それによって、積層体(10)の外表面に優れた滑り性が付与されて、成形深さがより深い成形を良好に行うことができ、さらに、成形時の白化も十分に抑制されるという効果が得られる。
【0029】
外側樹脂フィルム層(12)を構成するフィルムは、多層押出成形、インフレーション成形、Tダイキャストフィルム成形等の成形法により製造されるのが好ましい。
外側樹脂フィルム層(12)の全体厚さは、20~80μmに設定されるのが好ましい。上記厚さを20μm以上とすることで、ピンホールの発生を十分に防止することができ、また、上記厚さを80μm以下に設定することで、樹脂使用量が低減され、コスト低減を図ることができる。より好ましくは、外側樹脂フィルム層(12)の全体厚さは、30~50μmに設定される。
外側樹脂フィルム層が、第2樹脂フィルム層(12A)および第1樹脂フィルム層(12B)からなる2層構造である場合(図1(a)参照)において、第2樹脂フィルム層(12A)の厚さと第1樹脂フィルム層(12B)の厚さとの比は、9:1~4:6の範囲であるのが好ましい。第2樹脂フィルム層(12A)の厚さの比が9を超えると、両層(12A)(12B)間のラミネート強度が低下して剥離が生じるおそれがある。一方、第2樹脂フィルム層(12A)の厚さの比が4未満であると、ヒートシール時に外側樹脂フィルム層が潰れにくくなる。また、外側樹脂フィルム層が、第2樹脂フィルム層(12A)、第1樹脂フィルム層(12B)および第3樹脂フィルム層(12C)からなる3層構造である場合(図1(b)参照)において、第2樹脂フィルム層(12A)の厚さと第1樹脂フィルム層(12B)の厚さと第3樹脂フィルム層(12C)の厚さとの比は、0.5:9:0.5~3:4:3の範囲であるのが好ましい。
【0030】
図1(a)(b)の第1樹脂フィルム層(12B)を構成するフィルムを、金属箔層(11)を構成する金属箔に積層する手法としては、特に限定されるものではないが、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法(酸変性ポリプロピレン樹脂等よりなる接着フィルムを押し出し、これを金属箔と前記フィルムとの間にサンドラミネートした後、熱ロールでヒートラミネートする方法)等が挙げられる。ドライラミネート法の場合、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤等よりなる接着剤層(14)を介して行われる(図1参照)。接着剤層(14)の厚さは、1~5μmに設定されるのが好ましく、より好ましくは、成形容器用積層体(10)の薄膜化や軽量化の観点から1~3μmに設定される。
【0031】
外側樹脂フィルム層(12)の内表面には、グラビア印刷等によって、印刷層(15)が全面的または部分的に形成されている。この印刷層(15)により、成形容器(2)の外表面に、所定の表示または装飾が表れる。印刷層(15)は、特に限定されないが、高級感を持たせる意味では、地色を黄(金)等の淡色とするのが好ましい。そのことによって、金属光沢のある色調が得られる。
なお、印刷層(15)に代えて、外側樹脂フィルム層(12)に顔料等の着色成分を添加してもよい。
【0032】
内側樹脂層(13)は、成形容器(2)の内面(フランジ部(23)の上面を含む)を構成するものであって、例えば、熱融着性を有するポリプロピレン樹脂(PP)フィルムやポリエチレン樹脂(PE)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらを貼り合わせた複合シートによって構成される。中でも、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルムとポリエチレン樹脂(PE)フィルム等の汎用性フィルムを貼り合わせた複合シートで内側樹脂層(13)を構成にすることによって、包装体の蓋を開封する際には、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルムとポリエチレン樹脂(PE)フィルム等との間で容易に剥離して、比較的小さい力で開封することが可能となる。
内側樹脂層(13)を構成するフィルムまたは複合シートの厚さは、100~500μmとするのが好ましく、200~400μmがより好ましい。
【0033】
金属箔層(11)を構成する金属箔と、内側樹脂層(13)を構成するフィルムまたは複合シートとの積層は、例えば、接着剤層(16)を介してドライラミネート法により行われる。接着剤層(16)には、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤が用いられる。接着剤層(16)の厚さは、1~5μmに設定されるのが好ましく、より好ましくは、成形容器用積層体(10)の薄膜化や軽量化の観点から1~3μmに設定される。
また、内側樹脂層(13)は、上記フィルムまたは複合シートに代えて、エポキシ樹脂やシェラック樹脂等のコート層により形成されていてもよい。
【0034】
図2は、上記積層体(10)から成形された成形容器(2)と、蓋(3)とを用いて、食品等の内容物(C)を密封包装してなる包装体(4)の製造方法を工程順に示したものである。
【0035】
まず、上記の積層体(10)を所定の形状および寸法にカットして、これをカップ状に成形する。積層体(10)の成形は、深絞り成形や張出し成形等の冷間成形により行われる。こうして、図2(a)に示すような成形容器(2)が得られる。
成形容器(2)は、底壁(21)と、底壁(21)の周縁から立ち上がった周壁(22)と、周壁(22)の上端縁から径方向外方にのびた水平環状のフランジ(23)とを備えている。
成形容器(2)の形状としては、円形、楕円形、長円形、略正方形、略長方形等の横断面を有し、上方に向かうにつれて次第に径が大きくなるテーパ筒状のものや、垂直筒状のもの等が挙げられる。
また、成形容器(2)の深さは、通常15~50mmとなされる。
上記の積層体(10)から形成された成形容器(2)の外表面部、すなわち外側樹脂フィルム層(12)には、白化はほとんど見られない。これは、積層体(10)の第2樹脂フィルム層(12A)の樹脂組成を前述の通りとすることで、成形時の応力によってオレフィン系樹脂相とエラストマー成分との界面が剥離してボイド(空隙)が発生するのが効果的に抑制されるからである。
【0036】
次いで、図2(b)に示すように、成形容器(2)に食品等の内容物(C)を充填した後、成形容器(2)のフランジ(23)の上面に、蓋(3)の下面の周縁部をヒートシール(熱融着)する。
ここで、蓋(3)としては、例えば、アルミニウム箔等よりなる金属箔層と、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルムやポリエチレン樹脂(PE)フィルム等よりなりかつ金属箔層の下面に積層されている熱融着性樹脂フィルム層と、ポリエステル樹脂(PEs)フィルムやポリアミド樹脂(PA)フィルム等よりなりかつ金属箔層の上面に積層されている外側樹脂フィルム層とを備えたものが用いられる。また、蓋(3)には、その外周縁の一部に、成形容器(2)のフランジ(23)よりも外方に突出するように、開封用タブ(31)が一体に形成されている(図3参照)。
成形容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシール(熱融着)する手段は、特に限定されないが、例えばフランジ(23)の上面に蓋(3)の下面周縁部を重ね合わせ、これら重合部分を、所定温度(例えば180℃程度)に加熱された熱板によって、所定圧力を加えながら所定時間加熱することにより行われる。
【0037】
次いで、上記工程で得られた包装体(4)を、レトルト殺菌装置(5)内に導入し、レトルト殺菌処理を行う。
このレトルト殺菌処理工程は、成形容器(2)の外側樹脂フィルム層(12)の一部に生じた白化を消失させるための加熱処理工程を兼ねることができる。すなわち、この発明による積層体(10)をカップ状に成形してなる成形容器(2)では、前述した通り、積層体(10)の第2樹脂フィルム層(12A)の特有の樹脂組成によって、外側樹脂フィルム層(12)に白化が生じるのが抑制されているが、万が一、外側樹脂フィルム層(12)の一部、特に、成形による変形の度合いが大きい底壁(21)と周壁(22)との境界のコーナー部分等において、オレフィン系樹脂のマトリックスとオレフィン系エラストマーとの界面に生成したボイド(空隙)により、僅かな白化が生じた場合であっても、この加熱処理を行うことによって白化を完全に消失させることができる。
この工程における包装体(4)の加熱温度は、積層体(10)の第2樹脂フィルム層(12A)の樹脂の軟化点以上の温度とする。より好ましくは、加熱温度は、前記樹脂の軟化点以上かつ融解点未満の温度とする。加熱温度を前記樹脂の軟化点以上の温度とすることで、成形による積層体(10)のひずみが緩和されて、ボイドが埋まりやすくなる。また、加熱温度を前記樹脂の融解点未満の温度とすることで、加熱後も成形容器(2)の形状を保つことができる。具体的には、約80℃以上、好ましくは約100~180℃となされる。加熱時間は、5分~3時間程度となされる。
なお、加熱処理工程は、レトルト殺菌処理によるもの以外でも勿論よく、例えば、オーブンによる加熱処理や、温水への浸漬処理等によっても行うことができる。レトルト殺菌処理以外の加熱処理の場合、包装体(4)となされる前の工程において、成形容器(2)のみを加熱処理するようにしてもよい。
【0038】
図3は、レトルト殺菌処理後の包装体(4)を示すものである。
図示の包装体(4)は、成形による白化が見られず、全体の外観が良好な成形容器(2)を備えたものであって、需要者に対して高級感をもたらしうるものである。
【実施例
【0039】
次に、この発明の実施例について説明する。但し、この発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
<実施例1>
金属箔層として、JIS H4160で分類されたA8021H-Oよりなり、両面にポリアクリル酸、三価クロム化合物、水およびアルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、片面当たりクロム付着量が5mg/mの化成処理皮膜を形成した、厚さ120μmのアルミニウム箔を用意した。
外側樹脂フィルム層として、厚さ30μmの3層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を用意した。同フィルムは、エチレン-プロピレンランダム共重合体(R-PP、融点152℃、144℃、結晶融解エネルギー57J/g)からなる厚さ4μmの第1樹脂フィルム層と、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂99質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体1質量%の樹脂組成物からなる厚さ22μmの第2樹脂フィルム層と、エチレン-プロピレンランダム共重合体(R-PP、融点152℃、144℃、結晶融解エネルギー57J/g)からなる厚さ4μmの第3樹脂フィルム層とがこの順に形成されるように、Tダイ成形機を用いて共押出することにより形成したものである。また、第2樹脂フィルム層には、エルカ酸アミド2000ppm、第1樹脂フィルム層および第3樹脂フィルム層には、エルカ酸アミド1000ppmおよびシリカ5000ppmをそれぞれ添加した。
ここで、上記各樹脂の融点(Tmp)および結晶融解エネルギー(△H)は、下記の測定条件で測定されたものである。
・昇降温スピード:23℃から210℃までの間を10℃/分の昇降温速度
・サンプル料:5mgを調量
・容器:アルミニウムパンを使用
・装置:島津製作所製「DSC-60A」
次に、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面のうち金属箔層側の面の全体に、グラビア印刷機を用いて、黄色インキによる無地の印刷層を形成した。
また、内側樹脂層として、厚さ300μmの高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)とポリプロピレン樹脂フィルム(PP)の複合シート(層比:50μm/250μm)を用意した。
そして、アルミニウム箔の片面に、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を、印刷層が内側となるように、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、前記複合シートを、高密度ポリエチレン樹脂フィルム側が内側となるように、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートし、40℃の環境下で5日間養生することにより、実施例1の成形容器用積層体を作製した。
【0041】
<実施例2>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例2とした。
【0042】
<実施例3>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が155℃でありかつ結晶融解エネルギーが51J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例3とした。
【0043】
<実施例4>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が136℃でありかつ結晶融解エネルギーが18J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例4とした。
【0044】
<実施例5>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂80質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例5とした。
【0045】
<実施例6>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂70質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例6とした。
【0046】
<実施例7>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が166℃でありかつ結晶融解エネルギーが65J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂80質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例7とした。
【0047】
<実施例8>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が166℃でありかつ結晶融解エネルギーが65J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂70質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例8とした。
【0048】
<実施例9>
外側樹脂フィルム層として、厚さ26μmの2層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を使用した。同フィルムは、エチレン-プロピレンランダム共重合体(R-PP、融点152℃、144℃、結晶融解エネルギー57J/g)からなる厚さ4μmの第1樹脂フィルム層と、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%の樹脂組成物からなる厚さ22μmの第2樹脂フィルム層とがこの順に形成されるように、Tダイ成形機を用いて共押出することにより形成したものである。
そして、上記以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例9とした。
【0049】
<実施例10>
第1樹脂フィルム層および第3樹脂フィルム層を、それぞれホモポリプロピレン(H-PP、融点:165℃、結晶融解エネルギー63J/g)からなる厚さ4μmのものとした。また、第1樹脂フィルム層および第3樹脂フィルム層には、エルカ酸アミド1000ppmおよびシリカ5000ppmをそれぞれ添加した。
そして、上記以外は、実施例2と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例10とした。
【0050】
<比較例1>
第1樹脂フィルム層、第2樹脂フィルム層および第3樹脂フィルム層として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂(B-PP1)フィルムを積層してなる厚さ30μmの3層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を使用した以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例1とした。
【0051】
<比較例2>
第2樹脂フィルム層を、第1エラストマー変性オレフィン樹脂(B-PP1)を添加せず、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体100質量%からなるものとした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例2とした。
【0052】
<比較例3>
第2樹脂フィルム層を、第2エラストマー変性オレフィン樹脂(B-PP2)を添加せず、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂100質量%からなるものとした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例3とした。
【0053】
<比較例4>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が145℃でありかつ結晶融解エネルギーが50J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例4とした。
【0054】
<比較例5>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が130℃でありかつ結晶融解エネルギーが14J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例5とした。
【0055】
<比較例6>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が155℃でありかつ結晶融解エネルギーが49J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例6とした。
【0056】
<比較例7>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が158℃でありかつ結晶融解エネルギーが44J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例7とした。
【0057】
<比較例8>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂99質量%、オレフィン系エラストマーとして、融点が40~70℃でありかつ結晶融解エネルギーが15J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)1質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例8とした。
【0058】
<比較例9>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、オレフィン系エラストマーとして、融点が40~70℃でありかつ結晶融解エネルギーが15J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例9とした。
【0059】
<比較例10>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂80質量%、オレフィン系エラストマーとして、融点が40~70℃でありかつ結晶融解エネルギーが15J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例10とした。
【0060】
<比較例11>
第2樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂70質量%、オレフィン系エラストマーとして、融点が40~70℃でありかつ結晶融解エネルギーが15J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例11とした。
【0061】
[容器の作製]
次に、実施例1~10および比較例1~11の成形容器用積層体をそれぞれ所定の形状およびサイズにカットしてブランクを作製し、各ブランクの両面に微量のシロキサンを塗布しておいてから、雄型および雌型からなる金型(株式会社アマダ製)を用いて深絞り加工することにより、フランジを有する丸型カップ状の容器(底径52mmφ、開口径65mmφ、高さ30mm、フランジ幅8mm)を作製した。
【0062】
[蓋の作製]
一方、JIS H4160で分類されたA1N30H-Oよりなる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、外側樹脂層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムを、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、熱融着性樹脂層として厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)フィルムを二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートし、40℃の環境下で5日間養生することにより、蓋用積層体を作製した。
得られた積層体をフランジに合わせて所要の形状およびサイズにカットすることにより、開封用タブ付きの蓋を作製した。
【0063】
[包装体の作製]
上記の各容器に70mlの水を入れてから、容器のフランジ上面に、上記蓋を無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)面が接するように重ね、これらの重合面に、200℃に加熱したドーナツ状の熱板(外径90mmφ、内径74mmφ)を、150kgfの加圧力で3秒間押し当てることにより、ヒートシール(熱融着)を行った。
こうして、包装体を得た。
【0064】
[包装体の外観の検証]
得られた各包装体の容器を目視で観察することにより、その外側樹脂フィルム層に白化が生じているか否か、およびフランジの外側樹脂フィルム層に潰れが生じているか否かを検証した。検証結果を、各容器の成形材料である積層体の第2樹脂フィルム層の組成と共に、以下の表1,2に示す。
なお、表1,2の「成形時の白化」の欄において、容器の外側樹脂フィルム層に白化が認められないかまたは白化が殆どなかったものを「◎」、白化が少なかったものを「○」、白化が容器の底のR部に周方向に沿って筋状に生じていたものを「△」、白化が容器の底のR部に広い面積に亘って顕著に生じていたものを「×」とした。また、表1,2の「フランジの潰れ」の欄において、容器のフランジの外側樹脂フィルム層に、蓋のヒートシールに伴い潰れの発生が認められないものを「◎」、潰れが殆どなかったものを「〇」、潰れがある程度生じていたものを「△」、潰れが顕著に生じていたものを「×」とした。また、表1,2において、エチレン-プロピレンランダム共重合体を「R-PP」、ホモポリプロピレンを「H-PP」、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂を「B-PP1」、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂を「B-PP2」、エチレン-プロピレンエラストマーを「EPR」と表示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表1から明らかなように、実施例1~10の積層体は、成形時の白化現象が改善されていることが判る。また、実施例1~10の場合、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外側樹脂フィルム層に潰れが生じていなかった。
一方、表2に示すように、比較例1,3および8~11の積層体は、成形後の容器の底のR部に広い面積に亘って強い白化現象が認められた。
比較例2の積層体は、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外側樹脂フィルム層が潰れており、形状保持性が不十分であった。また、比較例2の積層体では、成形後の容器の底のR部に周方向に沿って筋状の白化が生じていた。
比較例4の積層体は、成形後の容器の底のR部に広い面積に亘って強い白化現象が認められ、また、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外側樹脂フィルム層がある程度潰れていた。
比較例5,7の積層体では、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外側樹脂フィルム層に潰れが生じていなかったが、成形後の容器の底のR部に周方向に沿って筋状の白化が生じていた。
比較例6の積層体の場合、成形による白化はほぼ抑えられていたが、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外側樹脂フィルム層がある程度潰れていた。
以上の検証結果から見て、容器のフランジの外側樹脂フィルム層の潰れについては、樹脂成分の融点および結晶融解エネルギーの双方の影響を受けると考えられ、融点(B-PP1およびB-PP2を含有する場合は高い方の融点)が155℃以上であり、かつ結晶融解エネルギー(B-PP1およびB-PP2を含有する場合は両者の結晶融解エネルギーを含有量比で加重平均した値)が40J/g以上(より好ましくは50J/g以上)である場合に、潰れが生じ難いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明は、食品等を密封包装するためのものであって、長期保存性に優れ、外観が良好な成形容器ついて、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0069】
(2):成形容器
(23):フランジ
(3):蓋
(4):包装体
(5):レトルト殺菌装置
(10):成形容器用積層体
(11):金属箔層
(12):外側樹脂フィルム層
(12A):第2樹脂フィルム層
(12B):第1樹脂フィルム層
(12C):第3樹脂フィルム層
(15):印刷層
(C):内容物
図1
図2
図3