(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】冷却装置を有するパルスインバータ、及びパルスインバータを有する自動車
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241213BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091446
(22)【出願日】2023-06-02
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 114 113.6
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ヴェヒター
(72)【発明者】
【氏名】モーリス クラインディーンスト
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136354(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/207305(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/003936(WO,A1)
【文献】国際公開第98/028833(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の電気機械(1)を動作させるためのパルスインバータ(3)であって、前記パルスインバータ(3)が、自動車電池(
2)によって提供されるDC電流をAC電流に変換するための電源モジュール(4)を備え、前記パルスインバータ(3)が、冷却装置(6)を貫流する電気的に絶縁する冷却流体によって、前記パルスインバータ(3)の構成要素を冷却するための前記冷却装置(6)を備え、前記冷却装置(6)が、流体密封ハウジング(7)を備え、前記流体密封ハウジング(7)を貫流する冷却流体が、冷却される前記構成要素のうちの少なくとも1つと直接接触し、前記冷却装置(6)が、冷却チャネル(10)を備え、前記電源モジュール(4)が、前記冷却チャネル(10)の外表面に熱接続され、前記冷却チャネル(10)が、流出口(11)を備え、前記流出口(11)が、前記流体密封ハウジング(7)内に開き、その結果、前記冷却装置(6)を貫流する前記冷却流体が、まず前記冷却チャネル(10)、続いて前記流体密封ハウジング(7)を貫流する、パルスインバータ(3)。
【請求項2】
前記パルスインバータ(3)が、複数の電源モジュール(4)を備え、前記複数の電源モジュール(4)が、前記冷却チャネル(10)の前記外表面に熱接続される、請求項1に記載のパルスインバータ(3)。
【請求項3】
前記電源モジュール(4)が、前記流体密封ハウジング(7)を貫流する前記冷却流体と直接接触する、請求項1に記載のパルスインバータ(3)。
【請求項4】
前記流体密封ハウジング(7)を貫流する前記冷却流体が前記冷却チャネル(10)の周りを流れるように、前記冷却チャネル(10)が、前記
流体密封ハウジング(
7)内に配置される、請求項1に記載のパルスインバータ。
【請求項5】
複数の電源モジュール(4)、複数のDCリンクキャパシタ(8)、及び前記電源モジュール(4)に接続された複数のライブ接点バー(9)が、前記ハウジング(7)内に配置され、前記ハウジング(7)を貫流する前記冷却流体が、前記複数の電源モジュール(4)、前記複数のDCリンクキャパシタ(8)、及び前記複数のライブ接点バー(9)と直接接触する、請求項1に記載のパルスインバータ。
【請求項6】
前記冷却装置(6)が、更なる冷却チャネル(12)を備え、前記DCリンクキャパシタ(8)が、前記更なる冷却チャネル(12)の外表面に熱接続され、前記更なる冷却チャネル(12)が、流出口を備え、前記流出口が、前記1つの冷却チャネル(10)に開き、前記冷却装置(6)を貫流する前記冷却流体が、最初に前記更なる冷却チャネル(12)、続いて前記1つの冷却チャネル(10)、続いて前記流体密封ハウジング(7)、を貫流する、請求項
5に記載のパルスインバータ。
【請求項7】
前記電源モジュール(4)が、流体密封電源モジュールハウジング(14)を備え、前記電源モジュール(4)の半導体構造部品が、前記電源モジュールハウジング(14)内に配置されている、請求項1に記載のパルスインバータ。
【請求項8】
自動車であって、
自動車電池(2)と、
電気機械(1)と、
前記電気機械を動作させるためのパルスインバータ(3)と、を備え、
前記パルスインバータ(3)が、前記自動車電池(2)によって提供されるDC電流をAC電流に変換するための電源モジュール(4)を備え、前記パルスインバータ(3)が、冷却装置(6)を貫流する電気的に絶縁する冷却流体によって、前記パルスインバータ(3)の構成要素を冷却するための前記冷却装置(6)を備え、前記冷却装置(6)が、流体密封ハウジング(7)を備え、前記流体密封ハウジング(7)を貫流する冷却流体が、冷却される前記構成要素のうちの少なくとも1つと直接接触し、前記冷却装置(6)が、冷却チャネル(10)を備え、前記電源モジュール(4)が、前記冷却チャネル(10)の外表面に熱接続され、前記冷却チャネル(10)が、流出口(11)を備え、前記流出口(11)が、前記流体密封ハウジング(7)内に開き、その結果、前記冷却装置(6)を貫流する前記冷却流体が、まず前記冷却チャネル(10)、続いて前記流体密封ハウジング(7)を貫流する、自動車。
【請求項9】
前記自動車が、前記電気機械(1)を冷却するための機械冷却システムを備え、前記ハウジング(7)から流れ出る冷却流体が前記機械冷却システムに流れ込む、請求項8に記載の自動車。
【請求項10】
前記冷却装置(6)から前記機械冷却システムに流れる前記冷却流体が、前記パルスインバータ及び前記電気機械を電気的に接続する接点バー(9)に直接接触する、請求項
9に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置を有するパルスインバータ、及びパルスインバータを有する自動車に関する。パルスインバータは、DC電流をAC電流に変換して、AC電流で電気機械を動作させるために使用される。したがって、電気的又は半電気的に動作する自動車では、自動車電池、通常は高電圧電池から提供されるDC電流は、挿入されたパルスインバータによってAC電流に変換される。逆方向、すなわち、例えば、電気機械が発電機モードで動作しているとき、AC電流からDC電流への変換も提供され得る。
【背景技術】
【0002】
パルスインバータは、典型的には、各々が半導体構造部品を有する少なくとも1つの電源モジュールを備える複数の相システムを有する。半導体構造部品、特に半導体スイッチによって、例えば、それぞれの相システムの外部コンダクタを、DC電流からAC電流への変換のために定期的に切り替えて、AC電流が外部コンダクタに印加されるようにすることができる。例えば、半導体構造部品は、FET(電界効果トランジスタ)又はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり得る。しかしながら、JFET(接合ゲート電界効果トランジスタ)又はMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)も想定される。
【0003】
電源モジュールの半導体構造部品は、オーム抵抗を有し、これは、電流の場合、廃熱、ひいては温度の増加につながる。電源モジュールを過熱から保護するために、冷却装置が通常提供される。DCリンクキャパシタ又は接点バーなどのパルスインバータの更なる構成要素もまた、パルスインバータのこれらの構成要素もパルスインバータの動作中に加熱されるように、オーム抵抗を有する。
【0004】
例えば、放熱板が押出成形プロファイルとして構成されているこの放熱板上に電源モジュールを取り付けることは、独国特許出願公開第102016218451(A1)号明細書から既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102016218451(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によって対処される課題は、パルスインバータの特に効率的な冷却を確実にする、改善された冷却装置を有するパルスインバータを特定することである。こうしたパルスインバータを有する自動車を特定することは、本発明の更なる課題である。
【0007】
これらの問題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパルスインバータは、自動車の電気機械を動作させるために、特に電気モータを動作させるために使用される。パルスインバータは、少なくとも1つの電源モジュールを備え、この電源モジュールは、自動車電池によって供給されるDC電流をAC電流に変換する役割を果たす。パルスインバータは、冷却装置に貫流する電気的に絶縁する冷却流体によってパルスインバータの構成要素を冷却するための冷却装置を備える。冷却装置は、電気的に絶縁する冷却流体が貫流する流体密封ハウジングを備え、流体密封ハウジングを貫流する冷却流体は、冷却されるパルスインバータの構成要素のうちの1つと直接接触する。冷却装置は、冷却チャネルを更に備え、電源モジュールは、冷却チャネルの外表面に熱接続され、冷却チャネルは、流出口を備え、流出口は、冷却装置を貫流する冷却流体がまず冷却チャネル、続いて流体密封ハウジングを貫流するように、流体密封ハウジング内に開いている。
【0009】
電源モジュールが冷却チャネルと熱接触しており、それによって、冷却チャネルに流れる相対的に冷たい冷却流体を使用して電源モジュールを冷却するため、冷却装置の前述の設計の利点は、相対的に冷たい冷却流体がまず冷却チャネルを貫流し、それによって、電源モジュールを特に効率的に冷却することである。電源モジュールは、典型的には、冷却需要が最も大きいパルスインバータの構成要素である。一方、更なる構成要素、例えば、接点バー及び/又はDCリンクキャパシタの冷却需要は、通常、電源モジュールの冷却需要よりも小さい。冷却チャネルに続いて初めて、冷却流体は、その後電源モジュールの廃熱を通して流体密封ハウジングに流れ込み、そのため、冷却するために他の構成要素及び/又は電源モジュールと直接接触し、その後加熱し続ける。本発明による設計では、相対的に冷たい冷却流体は、意図的に、電源モジュールに方向付けられ、冷却流体は、続いて初めて流体密封ハウジングにいきわたり、したがって、続いて初めて冷却されるパルスインバータの更なる構成要素と直接接触するため、電源モジュールの特に効率的で十分な冷却を達成することができる。全ての構成要素、特に電源モジュールが、例えば、流体密封パルスインバータハウジングにいきわたることによって、すなわち、相対的に冷たい冷却流体の電源モジュールへの目標とする伝導を伴わずに、同じ様式でのみ冷却された場合、それぞれの電源モジュールの不十分な冷却が保証されない場合があり、又は、冷却流体は、十分な冷却のためにより低い温度を有する必要があり得、又は、流量を増加させる必要があり、これらは冷却システムの電力需要を増加させることになる。
【0010】
パルスインバータが複数の電源モジュールを備え、複数の電源モジュールが同じ冷却チャネルの外表面に熱接続されるとき、特に有利であると考えられる。これに関して、同じ冷却チャネルは、複数の電源モジュールを冷却する役割を果たす。
【0011】
これは、電源モジュールが流体密封ハウジング内に流れる冷却流体と直接接触するときに特に有利であると考えられる。これに関して、冷却流体の流れ方向において、まず、電源モジュールの間接冷却が冷却チャネルを介して行われ、続いて冷却流体との直接接触を介して、電源モジュールの直接冷却が行われる。
【0012】
電源モジュールがそのようなものとして、次に、流体密封電源モジュールハウジングを有し、半導体構造部品又は半導体装置が電源モジュールハウジング内に配置されるとき、特に有利であると考えられる。この流体密封電源モジュールハウジングは、半導体構造部品が冷却流体と直接接触しないことを確実にし、それによって、冷却流体の導電性汚染物質による電力電子機器又は半導体構造部品への損傷を回避する。
【0013】
好ましくは、電源モジュールは、パルスインバータの流体密封ハウジング内に配置される。
【0014】
好ましくは、流体密封ハウジングは、パルスインバータの全ての構成要素を囲むパルスインバータハウジングを形成する。
【0015】
流体密封ハウジングが冷却チャネルの1つ又は全ての外表面を貫流する冷却流体と接触するように、冷却チャネルが配置されるとき、特に有利であると考えられる。ハウジングを貫流する冷却流体が冷却チャネルの周りを流れるように、冷却チャネルが流体密封ハウジング内に配置されるとき、特に有利であると考えられる。これに関して、冷却チャネルは、その外側及び内側で冷却流体によって囲まれる。好ましくは、流体密封ハウジング内に流れる冷却流体は、冷却チャネルの周りを、冷却チャネル内の冷却流体の反対の流れ方向に流れる。流れ方向を逆転させることによって、可能な限り均質な冷却を達成することができる。
【0016】
電気的に絶縁する冷却流体は、特に誘電体冷却流体、好ましくは、冷却オイルである。
【0017】
好ましい実施形態では、複数の電源モジュール、複数のDCリンクキャパシタ、及び電源モジュールに接続された複数のライブ接点バーが流体密封ハウジング内に配置され、ハウジングを貫流する冷却流体は、複数の電源モジュール、複数のDCリンクキャパシタ、及び複数のライブ接点バーと直接接触することが提供される。
【0018】
冷却チャネルは、好ましくは、押出成形プロファイルとして構成される。冷却構造が冷却チャネル内に導入され、例えば、冷却チャネル内への冷却流体の目標とする誘導又は伝導を提供するために、冷却構造が縮小又は圧縮されたことは確かに想定される。
【0019】
好ましい実施形態では、それぞれの電源モジュールは、例えば、はんだ付け又は接着などの材料係止方式で冷却チャネルの外表面に接続される。電源モジュールが、例えば、銅で作製された外部冷却プレートを備え、この冷却プレートが冷却チャネルの外表面に接触するとき、特に有利であると考えられる。結果として、特に効率的な間接冷却を達成することができる。これに関して、電源モジュールの電源モジュールハウジングが、電源モジュールの内部空間を流体密封に囲み、ここで冷却プレートが露出され、冷却チャネルに接触するときに、特に有利であると考えられる。
【0020】
これは、冷却チャネルが電源モジュールとDCリンクキャパシタとの間に形成されるときに、特に有利であると考えられる。
【0021】
好ましい実施形態では、冷却装置が更なる冷却チャネルを備え、DCリンクキャパシタが、更なる冷却チャネルの外表面に熱接続され、更なる冷却チャネルが、流出口を備え、更なる冷却チャネルの流出口が、1つの冷却チャネル内に開き、その結果、冷却装置を貫流する冷却流体が、最初に更なる冷却チャネルを貫流し、続いて1つの冷却チャネル、続いて流体密封ハウジングを貫流することが、提供される。
【0022】
好ましい実施形態では、パルスインバータが、第1の列の電源モジュールと、第1の列の電源モジュールに関連付けられた冷却チャネルと、を備え、第1の列の電源モジュールが、関連付けられた冷却チャネルの外表面に熱接続され、パルスインバータが、第2の列の電源モジュールと、第2の列の電源モジュールに関連付けられた冷却チャネルと、を備え、第2の列の電源モジュールは、関連付けられた冷却チャネルの外表面に熱接続され、2つの冷却チャネルの流出口が、同じ流体密封ハウジング内に開き、その結果、冷却装置を貫流する冷却流体が、まずそれぞれの冷却チャネルを貫流し、続いてハウジングを貫流することが、提供される。
【0023】
本発明による自動車は、自動車電池、電気機械、及び電気機械を動作させるためのパルスインバータを備える。パルスインバータは、自動車電池によって供給されるDC電流をAC電流に変換するための電源モジュールを備える。パルスインバータは、冷却装置を貫流する電気的に絶縁する冷却流体によってパルスインバータの構成要素を冷却するための冷却装置を備える。冷却装置は、流体密封ハウジングを備え、流体密封ハウジングを貫流する冷却流体は、冷却される構成要素のうちの1つと直接接触する。冷却装置は、冷却チャネルを更に備え、電源モジュールは、冷却チャネルの外表面に熱接続され、冷却チャネルは流出口を備え、流出口は、冷却装置がまず冷却チャネル、続いて流体密封ハウジングを貫流するように、流体密封ハウジング内に開いている。
【0024】
自動車が、電気機械を冷却するための機械冷却システムを備え、流体密封ハウジングから流れ出る冷却流体が機械冷却システムに流れ込むとき、特に有利であると考えられる。
【0025】
この文脈では、冷却装置から機械冷却システムに流れる冷却流体が、パルスインバータと、電気機械と、を電気的に接続する接点バーに直接接触し、それによって冷却するときに特に有利であると考えられる。
【0026】
パルスインバータに関連して記載される有利な実施形態は、適宜自動車に適用され、その逆も同様である。
【0027】
以下の図において、本発明は、限定されることなく、例示的な実施形態を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】概略例解図における電気駆動又は半電気駆動の車両の推進システムである。
【
図2】概略例解図におけるパルスインバータの内部図である。
【
図3】斜視例解図におけるパルスインバータの内部図である。
【
図4】冷却流体の流れ方向を概略的に例解する、
図3によるパルスインバータの内部図である。
【
図5】斜視図における冷却装置の冷却チャネルの実施形態である。
【
図6】斜視例解図における
図5による冷却チャネルの構成要素である。
【
図7】斜視例解図における冷却チャネルの更なる実施形態である。
【
図8】概略例解図における冷却回路の第1の実施形態である。
【
図9】概例解における冷却回路の第2の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、概略例解図における電気駆動又は半電気駆動車両の推進システムの構成要素を示す。推進システムは、電気機械1と、自動車電池2と、自動車電池2によって供給されるDC電流を、電気機械1を動作させるためのAC電流に変換するためのパルスインバータ3と、を含む。パルスインバータ3は、複数の電源モジュール4を備え、これらの電源モジュール4は、半導体構造部品の形態の電力電子機器を備える。更に、推進システムは、制御ユニット5を含み、この制御ユニット5は、自動車電池2のDC電圧が電気機械1を駆動するための交流電圧に変換されるようにパルスインバータ3を駆動する。パルスインバータ3の動作中、非常に高い電流が電源モジュール4の半導体構造部品を貫流する。結果として生じるオーム損失は、電源モジュール4の加熱につながる。この熱は、放散されなければならない。この目的のために、電源モジュール4は、冷却流体が流れる冷却回路16の構成要素である冷却装置6によって冷却される。冷却流体の流れ方向は、
図1の矢印によって示される。
【0030】
パルスインバータ3の冷却装置6の構成は、
図2~4により詳細に示されており、
図2は、単に概略例解図である。
【0031】
冷却装置6は、流体密封ハウジング7を備え、流体密封ハウジング7を貫流する冷却流体は、冷却される構成要素と直接接触する。本事例では、冷却流体が周りを直接流れるパルスインバータ3の構成要素は、電源モジュール4、DCリンクキャパシタ8、及び接点バー9である。冷却流体は、誘電体冷却流体、例えば、冷却オイルである。したがって、冷却流体によるライブ構成要素の直接接触を、短絡又は冷却流体を介した電流の流れのリスクを伴わずに行うことができる。したがって、冷却効果に悪影響を与えるライブ構成要素の分離を、省略することができる。
【0032】
冷却装置6は、冷却チャネル10を備え、冷却チャネル10は押出成形プロファイルとして構成される。電源モジュール4は、冷却チャネル10の外表面に直接はんだ付けされる。冷却チャネル10の流出口11は、冷却装置6を貫流する冷却流体が、まず冷却チャネル10、続いて流体密封ハウジング7を貫流するように、流体密封ハウジング7内に開いている。言い換えれば、流出口11で冷却チャネル10を出た冷却オイルは、流体密封ハウジング7によって囲まれるパルスインバータ3の内部全体にいきわたる。
【0033】
図2~4に示すパルスインバータ3の実施形態では、冷却チャネル10は、DCリンクキャパシタ8と電源モジュール4との間に配置される。更に、冷却装置6は、更なる冷却チャネル12を備え、該冷却チャネル12は、DCリンクキャパシタ8の間接冷却に使用される。この目的のために、DCリンクキャパシタ8は、更なる冷却チャネル12の外表面に熱接続される。更なる冷却チャネル12は、冷却流体の流入口13を備え、1つの冷却チャネル10内に開き、これは電源モジュール4を冷却する役割を果たす。したがって、冷却装置6を貫流する冷却流体は、更なるチャネル12、続いて1つの冷却チャネル10、続いて流体密封ハウジング7を貫流する。
【0034】
図3及び4で特に分かるように、パルスインバータ3は、電源モジュール4の第1の列19a及び電源モジュール4の第2の列19bを備える。電源モジュール4のそれぞれの列19a、19bは、別個の冷却チャネル10、及び更なる冷却チャネル12を有する関連付けられたDCリンクキャパシタ8と関連付けられる。2つの前述の配置は、同じハウジング7に配置され、
図3及び4にあまり詳細には示されていない。
【0035】
図5では、電源モジュール4が配置された冷却チャネル10がより詳細に示されている。電源モジュール4は各々、ハウジング6に流れる冷却流体によって直接囲まれた、閉じられた流体密封電源モジュールハウジング14を備える。電源モジュールハウジング14は、冷却流体が半導体構造部品に直接接触することを防止する。電源モジュール14は、それぞれの電源モジュール4の底部の領域の冷却チャネル10にはんだ付けされる。より良好な熱伝導のために、それぞれの電源モジュール4は、その底部に銅で作製された熱伝導冷却プレートを備える。
【0036】
電源モジュール4から冷却チャネル10内に流れる冷却流体への熱伝達を改善するために、起伏のある冷却構造15が冷却チャネル10に導入される。こうした冷却構造15はまた、
図7に例示されるように、冷却チャネル10の外表面に取り付けられ得る。
【0037】
図8は、本発明によるパルスインバータ3を備える自動車の例示的な冷却回路16を示す。冷却回路16では、誘電体冷却オイルが循環し、冷却回路16は、熱交換器17及びポンプ18を備え、冷却流体の流れ方向では、パルスインバータ3は、電気機械1の上流に配置される。したがって、パルスインバータ3がまず貫流され、その後に電気機械1が貫流される。この文脈では、電気機械1又は電気機械1の機械冷却システムのハウジング7から流れ出る冷却流体が供給され、その結果、パルスインバータ3及び電気機械1を電気的に接続する接点バー9が冷却流体に直接接触し、この様式で冷却されるときに特に有利であると考えられる。
図9は、冷却回路16の更なる実施形態を示しており、この実施形態は、自動車電池2もまた、自動車電池2を冷却するために冷却流体によって貫流され、自動車電池2は、パルスインバータ3の前方で冷却流体の流れ方向に配置されるという点で、
図8による実施形態とは実質的に異なる。パルスインバータ3の方向で高ボルト電池2から流れる冷却流体は、それらを冷却するために、高ボルト電池2及びパルスインバータ3を電気的に接続する接点バー9に直接接触する。
【符号の説明】
【0038】
1電気機械
2自動車電池
3パルスインバータ
4電源モジュール
5コントローラ
6冷却装置
7ハウジング
8中間回路コンデンサ
9接点バー
10冷却チャネル
11流出口
12更なる冷却チャネル
13流入口
14電源モジュールハウジング
15冷却構造
16冷却回路
17熱交換器
18ポンプ
19列