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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】カテーテル組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023197784
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2020548542の分割
【原出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2024020496
(43)【公開日】2024-02-14
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2018179355
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌弘
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0120014(US,A1)
【文献】国際公開第2018/038029(WO,A1)
【文献】特開2017-195937(JP,A)
【文献】特表2018-519109(JP,A)
【文献】特表2013-529116(JP,A)
【文献】国際公開第2006/027923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内針と、
前記内針の基端に固定される針ハブと、
前記内針が挿通される第1ルーメンと、前記第1ルーメンと平行に延在する第2ルーメンとを有するカテーテルと、
前記内針が挿通され、且つ前記カテーテルの基端に固定されるカテーテルハブと、
前記内針に対する前記カテーテル及び前記カテーテルハブの相対移動を操作可能とするカテーテル操作部と、
前記カテーテルの移動時に前記カテーテルを支持する支持部と、
前記カテーテルハブに接続され、且つ他の医療機器を接続可能なコネクタと、を備え、
中継チューブを介して前記カテーテルハブに対する前記コネクタの自由変位を制限する制限部を有し、
前記制限部は、前記コネクタに前記内針が挿通されていることで機能し、
前記中継チューブは、前記カテーテルハブの外周部に接続され、前記第2ルーメンと連通する
カテーテル組立体。
【請求項2】
請求項1記載のカテーテル組立体において、
前記コネクタは、前記カテーテルハブの軸方向に並んだ状態で前記針ハブ内に配置されている
カテーテル組立体。
【請求項3】
内針と、
前記内針の基端に固定される針ハブと、
前記内針が挿通されるカテーテルと、
前記内針が挿通され、且つ前記カテーテルの基端に固定されるカテーテルハブと、
前記内針に対する前記カテーテル及び前記カテーテルハブの相対移動を操作可能とするカテーテル操作部と、
前記カテーテルの移動時に前記カテーテルを支持する支持部と、
中継チューブを介して前記カテーテルハブに接続され、且つ他の医療機器を接続可能なコネクタと、を備え、
前記コネクタは、空間を有する筒体であり、当該コネクタ内の前記空間の先端側に弁体を備え、
前記弁体は、前記内針を挿通可能であると共に、前記内針の離脱に伴い閉塞し、
前記中継チューブは、前記弁体よりも基端側で前記コネクタの外周部に接続され、前記空間と連通する
カテーテル組立体。
【請求項4】
請求項1又は2記載のカテーテル組立体において、
前記コネクタは、前記カテーテルハブの移動に追従可能に接続する接続機構を有する
カテーテル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、輸液や輸血等を行う場合に使用されるカテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液や輸血の導入部を患者に構築する際には、例えば、特許文献1に開示されているように、カテーテル内に内針(針カニューレ)を挿通した多重構造針を有するカテーテル組立体(カテーテル挿入器具)が使用される。このカテーテル組立体の使用において、ユーザは、多重構造針を患者に穿刺し、カテーテルを内針に対し相対的に進出させて血管内に挿入し、さらにカテーテルから内針を離脱させることで、カテーテルを留置する。
【0003】
また、特許文献1に開示のカテーテル組立体は、カテーテルの基端を固定するカテーテルハブ(剛性ハブ)に、延長ラインの一端が接続されている。この延長ラインの端部には、医療機器を接続可能なコネクタ(延長ラインハブ)が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-530934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示のカテーテル組立体のように、中継チューブ(延長ライン)を介してカテーテルハブにコネクタが接続される構成では、コネクタが自由に変位可能な状態のまま、ユーザの穿刺操作がなされる。このようにコネクタが自由状態であると、コネクタが邪魔となって患者への穿刺がし難くなる。穿刺時に、内針を固定している針ハブ(ハンドル)と共にチューブやコネクタをユーザが合わせて把持することも考えられるが、この場合、カテーテルを挿入する(内針に対しカテーテルを進出させる)際の操作性が低下することになる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、カテーテルハブにコネクタが接続された構成でも、その使用性を大幅に向上することができるカテーテル組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の一態様に係るカテーテル組立体は、内針と、前記内針の基端に固定される針ハブと、前記内針が挿通される第1ルーメンと、前記第1ルーメンと平行に延在する第2ルーメンとを有するカテーテルと、前記内針が挿通され、且つ前記カテーテルの基端に固定されるカテーテルハブと、前記内針に対する前記カテーテル及び前記カテーテルハブの相対移動を操作可能とするカテーテル操作部と、前記カテーテルの移動時に前記カテーテルを支持する支持部と、前記カテーテルハブに接続され、且つ他の医療機器を接続可能なコネクタと、を備え、中継チューブを介して前記カテーテルハブに対する前記コネクタの自由変位を制限する制限部を有し、前記制限部は、前記コネクタに前記内針が挿通されていることで機能し、前記中継チューブは、前記カテーテルハブの外周部に接続され、前記第2ルーメンと連通する。
【発明の効果】
【0008】
上記のカテーテル組立体は、カテーテルハブに対するコネクタの自由変位を制限する制限部を有することで、内針及びカテーテルが穿刺される穿刺時やカテーテルが体内に挿入される挿入時等に、コネクタがユーザの操作の邪魔となることが抑制される。すなわち、カテーテル組立体は、カテーテルハブにコネクタが接続された構成でも、その使用性を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】参考例に係るカテーテル組立体の斜視図である。
図2図1のカテーテル組立体の分解斜視図である。
図3図3Aは、初期状態の多重構造針の先端側を示す側面断面図である。図3Bは、初期状態のカテーテルハブ及びコネクタを示す平面断面図である。
図4図4Aは、カテーテル組立体の使用時の動作を示す第1説明図である。図4Bは、カテーテル組立体の使用時の動作を示す第2説明図である。
図5図5Aは、カテーテル組立体の使用時の動作を示す第3説明図である。図5Bは、カテーテル組立体の使用時の動作を示す第4説明図である。
図6図6Aは、制限部の第1構成例を概略的に示す断面図である。図6Bは、制限部の第2構成例を概略的に示す断面図である。図6Cは、制限部の第3構成例を概略的に示す断面図である。
図7図7Aは、第1変形例に係るカテーテル組立体の部分平面図である。図7Bは、図7Aのクランプを示す説明図である。
図8】第2変形例に係るカテーテル組立体の部分平面図である。
図9図9Aは、本発明の第1実施形態に係るカテーテル組立体の部分平面図である。図9Bは、図9Aのカテーテルハブ及びコネクタの平面断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るカテーテル組立体の部分平面図である。
図11図11Aは、本発明の第3実施形態に係るカテーテル組立体の部分平面図である。図11Bは、本発明の第4実施形態に係るカテーテル組立体の部分平面図である。図11Cは、本発明の第5実施形態に係るカテーテル組立体の部分平面断面図である。
図12】第3変形例に係るカテーテル組立体の斜視図である。
図13図12のカテーテル組立体の部分平面図である。
図14図14Aは、図12のカテーテル組立体のカテーテル操作部の動作を示す第1側面図である。図14Bは、図12のカテーテル組立体のカテーテル操作部の動作を示す第2側面図である。
図15図15Aは、第4変形例に係るカテーテル組立体の部分平面図である。図15Bは、第5変形例に係るカテーテル組立体の部分平面図である。
図16図16Aは、第6変形例に係るカテーテル組立体の部分側面図である。図16Bは、図16Aのカテーテル組立体の部分平面図である。
図17図17Aは、図16Aのカテーテル操作部の動作を示す部分側面図である。図17Bは、図16Bのカテーテル操作部の動作を示す部分平面図である。
図18】第7変形例に係るカテーテル組立体の概略断面図である。
図19図19Aは、第8変形例に係るカテーテル組立体の第1部分平面図である。図19Bは、図19Aのカテーテル組立体の動作を示す第2部分平面図である。
図20図20Aは、第9変形例に係るカテーテル組立体の部分平面図である。図20Bは、図20Aのクランプの平面図である。
図21図21Aは、第10変形例に係るカテーテル組立体の第1部分平面図である。図21Bは、図21Aのカテーテル組立体の動作を示す第2部分平面図である。図21Cは、図21Aのカテーテル組立体の動作を示す第3部分平面図である。
図22図22Aは、第11変形例に係るカテーテル組立体を概略的に示す部分平面図である。図22Bは、第12変形例に係るカテーテル組立体を概略的に示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
〔参考例〕
参考例に係るカテーテル組立体10Aは、図1に示すように、患者(生体)の体内に挿入及び留置されるカテーテル40を有し、輸液や輸血等において液体(薬液や血液)の入出部を構築するために用いられる。本参考例に係るカテーテル40は、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテル(例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等)に構成されている。なお、カテーテル40は、中心静脈カテーテルよりも短い末梢静脈カテーテルでもよい。また、カテーテル40は、静脈用カテーテルに限らず、末梢動脈カテーテル等の動脈用カテーテルでもよい。
【0012】
図1及び図2に示すように、カテーテル組立体10Aは、内針12と、内針12の基端に固定される針ハブ20と、上記のカテーテル40と、カテーテル40の基端に固定されるカテーテルハブ50とを備える。さらに、カテーテル組立体10Aは、内針12に対するカテーテル40及びカテーテルハブ50の進退移動を操作可能なカテーテル操作部70と、カテーテルハブ50から内針12を抜いた際に内針12の針先13を覆うセーフティ機構90とを備える。
【0013】
このカテーテル組立体10Aは、使用前の組立状態(初期状態)で、カテーテル40に内針12を挿通することで多重構造針11を形成している。多重構造針11は、内針12の針先13を突出させており、内針12及びカテーテル40を患者に一体的に穿刺することが可能である。また、針ハブ20は、多重構造針11の基端側を内部に収容すると共に、カテーテルハブ50、カテーテル操作部70、セーフティ機構90を併せて収容するハウジング21に構成されている。
【0014】
医師や看護師等のユーザは、カテーテル組立体10Aの使用において、初期状態のハウジング21を把持操作して、患者の体内に多重構造針11を穿刺し、針先13を血管に到達させた穿刺状態とする。さらにユーザは、穿刺状態を維持しつつ、カテーテル40を内針12に対して相対的に進出することで血管内に挿入していく。その後、カテーテル40に対し内針12を後退及び抜去することで、カテーテル40が血管内に留置される。カテーテル40は、留置状態においてカテーテルハブ50及び後述のコネクタ60に接続した医療機器(不図示)を介して、薬液や血液を投与する、採血する等の処置を実施可能とする。以下、このカテーテル組立体10Aの各構成について詳述していく。
【0015】
カテーテル組立体10Aの内針12は、生体の皮膚を穿刺可能な剛性を有する中空管に構成され、その先端に鋭利な針先13を備える。針先13は、内針12の胴体部分よりも多少扁平に形成されている。これにより針先13は、後述するセーフティ機構90からの抜けが防止される。内針12の内部には、軸方向に沿って中空部14が設けられ、中空部14は針先13に設けられた先端開口14aに連通している。また図3Aに示すように、内針12には、中空部14と外面を貫通する孔部14bが設けられている。なお、内針12は、中空部14を備えない中実状の構造でもよく、孔部14bの変わりに外周面に溝(不図示)を備えた構成でもよい。
【0016】
内針12の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料、或いは硬質樹脂、セラミックス等があげられる。内針12は、融着、接着、インサート成形等の適宜の固着手段により、ハウジング21に強固に固定される。
【0017】
カテーテル組立体10Aのハウジング21は、内針12と一体的に取扱可能であり、多重構造針11の穿刺時にユーザが把持するための把持部材として構成されている。ハウジング21は、下壁22、及び下壁22の両側辺から突出する一対の側壁23を有する全体的に細長い箱状(椀状)に形成されている。このハウジング21は、ユーザが把持し易くなるように適度なサイズ(太さ及び長さ)に設計されている。
【0018】
ハウジング21は、下壁22及び一対の側壁23により、ハウジング21の長手方向に沿って延在する収容空間24を備える。収容空間24の基端には、内針12の基端を連結して保持するブロック状の針保持部25が設けられている。針保持部25は、ハウジング21(収容空間24)の幅方向中央部において内針12を所定高さに保持している。
【0019】
収容空間24を挟むハウジング21の一対の側壁23は、長手方向に沿って相互に平行に延びている。一対の側壁23は、基端側よりも高く形成された先端側を有し、先端側の内面に溝状のレール部23aを備えている。一対のレール部23aは、カテーテル操作部70の側縁71aを摺動自在に収容する。一対の側壁23のうちの一方(図1中の左方向の側壁23)の先端側は、幅方向外側に膨出する膨出部26を有する。この膨出部26の切り欠かれた空間(配置用凹部26a)には、カテーテル40の移動時にカテーテル40を支持する支持部材27(支持部)が取り付けられる。
【0020】
支持部材27は、回転自在に側壁23に軸支され、ハウジング21の収容空間24を右方向に突出する摺接支え部27aを有する。この摺接支え部27aは、カテーテル操作部70に保持されたカテーテル40(多重構造針11)が前進する際にカテーテル40と擦れ合う。なお、摺接支え部27aは、初期状態やハウジング21に対するカテーテル40の相対移動時に、カテーテル40に接触していなくてもよい。
【0021】
また、支持部材27は、膨出部26に軸支される軸支部27bを有し、軸支部27bは、初期状態で、カテーテル操作部70の側縁71aを収容する図示しない溝部を上端部に有する。そしてこの溝部に側縁71aが存在することで、回転が規制されてカテーテル40を支持可能に待機する。一方、カテーテル操作部70が進出する際に、支持部材27は、側縁71aが溝部から抜けることで軸支部27bを基点に回転可能となり、さらにカテーテル操作部70が接触することで摺接支え部27aが側壁23の外側に向かう。これにより、支持部材27がハウジング21に保持されたまま、カテーテルハブ50、カテーテル操作部70等がハウジング21からスムーズに送出される。
【0022】
ハウジング21の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、メタクリレート-ブチレン-スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を適用するとよい。なお、図示例においてハウジング21は、収容空間24の上面を開放した構成としているが、ハウジング21は、収容空間24を上壁で覆う等した角筒状に形成されてもよい。
【0023】
一方、カテーテル組立体10Aのカテーテル40は、軸方向に直交する断面視で、その外形が正円形状に形成されている。カテーテル40の長さは、特に限定されず用途や諸条件等に応じて適宜設計可能であり、例えば、14~500mm程度に設定される。
【0024】
また図3Aに示すように、本参考例に係るカテーテル40は、複数(本参考例では2つ)のルーメン41を内部に有するマルチルーメンタイプに構成されている。具体的には、初期状態で内針12が挿通及び配置されるメインルーメン42、及びこのメインルーメン42と平行に延在するサブルーメン43を含む。メインルーメン42とサブルーメン43は、軸方向に直交する断面視で、それぞれ正円形状に形成されている。
【0025】
メインルーメン42は、カテーテル40の軸方向の全長にわたって形成され、カテーテル40の先端に形成された先端開口42aと、カテーテル40の基端に形成された第1基端開口42b(図3参照)とに連通している。先端開口42aは内針12の針先13を露出する。メインルーメン42を構成するカテーテル40の内周面は、内針12の外周面との隙間が狭い先端内周面44aと、先端内周面44aよりも広い隙間を形成する基本内周面44bと、先端内周面44aと基本内周面44bの間を延在するテーパ内周面44cとを含む。
【0026】
先端内周面44aは、その直径が内針12の外周面の外径と一致している又は若干小さいことで、内針12の外周面に密着する。テーパ内周面44cは、軸方向の短い範囲において先端内周面44aに向かって直径が漸減している。基本内周面44bは、メインルーメン42の軸方向の大部分の内周面を構成している。基本内周面44bの直径は、内針12の外周面の外径よりも大きいことで、カテーテル40に対して内針12を良好に摺動させる。上述した内針12の孔部14bは、初期状態で、基本内周面44bに対向してメインルーメン42に連通している。
【0027】
サブルーメン43は、カテーテル40内に軸方向に沿って形成された隔壁45により、メインルーメン42と軸方向に沿って隔てられている。本参考例において、サブルーメン43の内周面は、メインルーメン42の内周面(先端内周面44a)の直径よりも小さい直径に設定されて、カテーテル40の軸方向に沿って一定径で延在している。
【0028】
サブルーメン43は、カテーテル40の先端側の途中位置で、径方向外側に屈曲しカテーテル40の外周面(側方)に形成された横開口43aに連通している。横開口43aは、先端開口42aよりも基端側で、先端開口42aとの間隔が所定以上離間する位置に設けられる。また、サブルーメン43の基端側は、第2基端開口43b(図3参照)に連通し、この第2基端開口43bは第1基端開口42bに隣接している。
【0029】
そして、カテーテル40は、その軸方向の大部分を構成する本体部46と、本体部46の先端に設けられ、本体部46よりも軟質なソフトチップ47とで構成されている。本体部46とソフトチップ47の連結境界部は、相互にテーパ状に重なり合うことで、カテーテル40の物性を徐々に変化させている。ソフトチップ47の内側は、メインルーメン42の先端内周面44aを形成しており、この先端内周面44aの最先端が先端開口42aを形成している。
【0030】
本体部46の構成材料は、特に限定されるものではないが、透明性を有する軟質樹脂材料を適用するとよい。例えば、本体部46の構成材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等があげられる。ソフトチップ47の構成材料も、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン等の樹脂材料を適用するとよい。
【0031】
図1図3Bに示すように、カテーテル40の基端は、かしめ、融着、接着等の適宜の固着手段によってカテーテルハブ50内の先端部に固着される。カテーテルハブ50は、カテーテル40が患者の血管内に挿入された状態で患者の皮膚上に露出され、テープ等により貼り付けられてカテーテル40と共に留置される。カテーテルハブ50を構成する材料は、特に限定されず、例えば、ハウジング21であげた材料を適宜採用するとよい。
【0032】
カテーテルハブ50は、先端方向に先細りの筒状に形成されている。このカテーテルハブ50には、マルチルーメンに構成される上記のカテーテル40に対応して、コネクタ60が接続されている。すなわち、カテーテルハブ50には、図示しない第1の医療機器(医療チューブのコネクタ、シリンジ等)が接続されて薬液が供給され、コネクタ60には、図示しない第2の医療機器(他の医療チューブのコネクタ、シリンジ等)が接続される。以下、カテーテルハブ50をメインハブ51といい、コネクタ60をサブハブ61ともいう。メインハブ51は、輸液において2種類の薬液の一方を流入させる第1ポートとなり、サブハブ61は、2種類の薬剤の他方を流入させる第2ポートとなる。
【0033】
メインハブ51は、その先端部においてカテーテル40を固定し、固定部分の基端側にメイン空間部52を備える。メイン空間部52は、メインルーメン42(第1基端開口42b)に連通すると共に、メインハブ51の基端において基端開口52aに連通しており、初期状態で内針12が挿通される。またメインハブ51の内部には、カテーテル40のサブルーメン43(第2基端開口43b)に連通すると共に、サブハブ61内のサブ空間部62に連通するサブ流路53が設けられている。サブ流路53は、メインハブ51内のカテーテル40の基端から湾曲してメインハブ51の側周面に向かって延在している。
【0034】
サブハブ61は、サブ空間部62を内部に有する筒状に形成され、中継チューブ58を介してメインハブ51に連結されている。サブ空間部62は、その先端側に中継チューブ58が挿入され、サブハブ61の基端において基端開口62aに連通している。
【0035】
中継チューブ58は、カテーテルハブ50に対してサブハブ61を自由変位させることが可能な可撓性を有する。中継チューブ58の内部には、チューブルーメン59が設けられ、チューブルーメン59はサブ流路53とサブ空間部62とを連通している。中継チューブ58は、メインハブ51に設けられたチューブ用凸部54に(またサブ流路53内に挿入されて)固着されている。
【0036】
メインハブ51とサブハブ61は、相互に同形状に形成されている。具体的には、メインハブ51及びサブハブ61は、軸方向に沿って外径が概ね一定の胴部55a、63aと、胴部55a、63aの先端に連なり先端方向に向かって徐々に小径となるテーパ部55b、63bとを有するように構成される。中継チューブ58の一端は、メインハブ51のテーパ部55bに接続されている。中継チューブ58の他端は、サブハブ61のテーパ部63bの先端から挿入されて、サブハブ61内の先端側に固着されている。
【0037】
また、メインハブ51及びサブハブ61の基端には、径方向外側に突出して側周面を周回するフランジ部55c、63cが形成されている。フランジ部55c、63cは、所定の規格の医療機器のコネクタを引っ掛かり可能とする。さらに、メイン空間部52の内周面及びサブ空間部62の内周面は、オスコネクタを有する医療機器と嵌合可能となるようにルアーテーパ51a、61aに形成されてもよい。またさらに、メインハブ51のメイン空間部52及びサブハブ61のサブ空間部62には、血液の逆流を防ぐ図示しない止血弁、及び輸液チューブのコネクタ60の挿入に伴い止血弁を貫通して輸液を可能とする図示しないプラグ等が収容されてもよい。
【0038】
以上のカテーテル40及びカテーテルハブ50は、初期状態でハウジング21の収容空間24に収容されて、さらに収容空間24の上面を覆うように収容されたカテーテル操作部70により移動が操作される。特に、本参考例に係るカテーテル組立体10Aは、メインハブ51とサブハブ61を共にハウジング21及びカテーテル操作部70に収容することで、一体的に操作可能となっている。
【0039】
具体的には、カテーテル操作部70は、ハウジング21の長手方向に延びる操作板部71と、操作板部71の基端に連なりカテーテルハブ50を収納するハブ収納部72とを有する。
【0040】
操作板部71は、ユーザの指が当てられて進退操作がなされる部位である。操作板部71の一対の側縁71aは、初期状態で、ハウジング21の一対のレール部23aと、一対の側壁23の上面とに配置される。また、操作板部71の下面には、一対の突片からなるカテーテル保持部73が長手方向に沿って1以上設けられ、各箇所でカテーテル40を咥え込んでいる(図4Aも参照)。つまり、多重構造針11(カテーテル40)は、上述した支持部材27と操作板部71とにより、軸方向途中位置が支えられる。また、操作板部71の上面には、複数のリブ74、及び複数の操作タブ75が設けられている。
【0041】
ハブ収納部72は、上部76と、上部76の幅方向両辺に連結され下方向に延在する一対の側部77とを有し、カテーテル操作部70の長手方向に沿って長尺な箱状に形成されている。上部76と一対の側部77の内側には、メインハブ51及びサブハブ61を収容する内部空間78が形成されている。内部空間78は、ハブ収納部72の下面及び基端に開放されている。
【0042】
ハブ収納部72の上部76は、図示例において平坦状に形成されているが、メインハブ51、サブハブ61を収容し得る種々の形状に構成されてよい。例えば、上部76はドーム状に形成されてもよい。また、一対の側部77の先端側は、先端方向に向かって徐々に幅狭となる傾斜部77aに形成されている。一対の傾斜部77aの間により構成されるハブ収納部72の先端は、多重構造針11(カテーテル40)を内部空間78から延出させる開口(不図示)が形成されている。
【0043】
ここで、本参考例に係るハブ収納部72は、メインハブ51及びサブハブ61を長手方向(内針12の延在方向)にずらして配置しており、さらにメインハブ51の軸心に対しサブハブ61の軸心を径方向外側(幅方向)にずらして配置している。具体的には、メインハブ51は、ハブ収納部72の幅方向中央部に配置される。これにより、メインハブ51は、ハウジング21に対しても幅方向中央部に位置することになり、メイン空間部52及びメインルーメン42を通して内針12が直線状に延在するように挿通させる。
【0044】
一方、サブハブ61は、メインハブ51よりも基端側に位置して、内針12の横に配置されていている。すなわち、サブハブ61は、ハウジング21の側壁23と内針12の間に配置され、移動時に内針12に摺接して移動する。なお、図1中のハブ収納部72は、メインハブ51全体よりも基端側にサブハブ61を配置しているが、メインハブ51の基端側と、サブハブ61の先端側(テーパ部63b)とが幅方向に重なるように配置されてもよい。
【0045】
また、中継チューブ58は、ハブ収納部72の内部空間78においてメインハブ51の横方向且つサブハブ61よりも先端側の間隙に、適切な形態で収容される。例えば、中継チューブ58は、チューブルーメン59が潰れない、又はキンクが生じないように複数回折り返されてまとめられている。ハブ収納部72の内面には、中継チューブ58を弱い力で係止するチューブ用係止部(不図示)が設けられていてもよい。
【0046】
すなわち、カテーテル組立体10Aは、初期状態で、カテーテル操作部70のハブ収納部72によりサブハブ61の自由変位を制限する制限部100Aを構成している。なお本参考例において、ハウジング21も、初期状態でサブハブ61の下側を覆っていることから、制限部100Aの一部を構成している。
【0047】
カテーテル操作部70は、ハウジング21に対する先端方向又は基端方向の移動に連れて、メインハブ51及びサブハブ61を一体的に移動させる。このため、ハブ収納部72の内側には、係止部79が設けられている。本参考例において、係止部79は、メインハブ51を係止する第1係止部79aと、サブハブ61を係止する第2係止部79bとを含む。
【0048】
第1係止部79aの構成は、特に限定されず、メインハブ51の外形に応じて適切な箇所を係止すればよい。例えば、第1係止部79aは、メインハブ51のテーパ部55bを適度に係止する対片と、メインハブ51の基端を押圧する片等で構成され得る。同様に、第2係止部79bの構成も特に限定されず、サブハブ61の外形に応じて適切な箇所を係止すればよい。また、ハブ収納部72は、内部空間78の基端側を開放しており、セーフティ機構90が着脱可能に連結される。
【0049】
本参考例に係るセーフティ機構90は、空洞90aを内部に有する円筒状に形成され、初期状態で内針12を貫通させている。そして、セーフティ機構90は、カテーテル40からの内針12の離脱に伴い、移動してきた針先13を内部に収容して針先13の再露出を防止する。図2に示すように、セーフティ機構90は、シャッタ部材91、及び抜け止め部材92が空洞90aの所定位置に収容される。シャッタ部材91は、内針12の貫通配置状態で内針12の外周面に接触して弾性変形しており、針先13が抜けることにより弾性復元して内針12の貫通経路を遮断する。抜け止め部材92は、内針12の針先13よりも小径な孔を有することで、針先13の基端方向への抜けを規制する。
【0050】
また、セーフティ機構90は、先端方向に突出する一対の爪部93を有する。初期状態で、一対の爪部93は、カテーテル操作部70に係合される。例えば、ハブ収納部72は、内部空間78を構成する一対の側部77の内面に内側凸部(不図示)を有し、一対の爪部93はこの内側凸部に引っ掛かる。これによりセーフティ機構90は、カテーテル操作部70と一体的に移動することができる。
【0051】
なお、ハブ収納部72を構成する一対の側部77の基端側は、ハウジング21から露出された状態で自由状態となる片部(不図示)に構成されていてもよい。一対の片部は、ハウジング21の収容状態で相互に平行に配置されてセーフティ機構90を係合し、露出状態でセーフティ機構90の係合解除を容易化する。
【0052】
本参考例に係るカテーテル組立体10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その動作について説明する。
【0053】
カテーテル組立体10Aは、上述したように、患者への輸液や輸血、採血等の入出部を構築する際に使用される。ユーザは、初期状態のカテーテル組立体10Aのハウジング21を把持操作して、多重構造針11を患者に穿刺する。この際、カテーテル組立体10Aは、メインハブ51に接続されている中継チューブ58及びサブハブ61を、ハウジング21及びカテーテル操作部70の内側に収容している。すなわち、初期状態で、メインハブ51に対するサブハブ61の自由変位が制限されているので、ユーザは、サブハブ61の影響を受けることなく、ハウジング21を良好に把持し、また以降の操作を容易に行うことができる。
【0054】
多重構造針11の穿刺時に、ハウジング21の支持部材27は、カテーテル40を支持して、カテーテル40の直線性を良好に確保している。カテーテル40の挿入時に、ソフトチップ47を含む先端内周面44aは、内針12に密着しているので径方向内側に撓むことがなく、これによりカテーテル40が体内に容易に挿入される。
【0055】
内針12の針先13が血管に到達すると、内針12の先端開口14aから中空部14に流入した血液が孔部14bを通してカテーテル40のメインルーメン42に流動する。これによりユーザは、血液のフラッシュバックを視認して、メインルーメン42が血管を確保したことを確認することができる。
【0056】
この穿刺状態で、ユーザは、カテーテル操作部70を進出操作して、図4Aに示すように、カテーテル40を内針12と相対的に進出させる。この際、カテーテル操作部70は、ハブ収納部72に収納されたメインハブ51及びサブハブ61を追従して進出させ、またセーフティ機構90も移動させる。カテーテル組立体10Aは、カテーテル40の進出時に支持部材27によりカテーテル40の下側が支持されることで、カテーテル40の撓みを抑制することができる。
【0057】
なお、図4A中では、カテーテル操作部70の操作板部71が平坦状に延在した状態で図示しているが、操作板部71は進出時に、ユーザの把持状態や患者の皮膚に接触する等して湾曲する。この際、操作板部71の下面側に並ぶカテーテル保持部73は、カテーテル40の保持を解除していく。そして、血管にある程度挿入した段階では、横開口43aからサブルーメン43に血液が流入するようになる。これによりユーザは、サブルーメン43が血管を確保したことも良好に認識することができる。
【0058】
カテーテル操作部70をハウジング21と相対的にある程度進出させると、ハブ収納部72の先端が支持部材27に接触して支持部材27を外側に回転させる。これにより、ハブ収納部72がハウジング21の先端側に送出可能となる。さらにカテーテル操作部70を進出させると、図4Bに示すように、メインハブ51及びサブハブ61を収納したハブ収納部72及びセーフティ機構90がハウジング21の外部に露出される。
【0059】
セーフティ機構90は、内針12の針先13まで移動すると、上述したシャッタ部材91及び抜け止め部材92の作用により、針先13の露出を遮断すると共に内針12からの離脱が防止される。つまりセーフティ機構90は、内針12及びハウジング21に係合し、図5Aに示すように、爪部93の引っ掛かりが解除されることで、カテーテル操作部70がセーフティ機構90から分離される。
【0060】
また図5Bに示すように、メインハブ51から内針12が離脱した状態では、カテーテル操作部70のハブ収納部72の下方(内部空間78の開放部分)からメインハブ51及びサブハブ61が取り出し可能となる。上述したように、ハブ収納部72の第1及び第2係止部79a、79bは、メインハブ51及びサブハブ61を弱く係止しているので、例えば、カテーテル40と相対的にカテーテル操作部70を上方向に引き上げることで、カテーテル40、メインハブ51、サブハブ61を容易に離間させる。
【0061】
カテーテル40の留置時には、メインハブ51とサブハブ61のそれぞれに接続予定の医療機器を接続する。これにより、カテーテル40は、メイン空間部52及びメインルーメン42を介して第1薬液を患者に投与し、サブ空間部62、チューブルーメン59、サブ流路53及びサブルーメン43を介して第2薬液を患者に投与する。
【0062】
カテーテル組立体10Aは、セーフティ機構90を備えていない構成でもよく、或いは上述した構成の他にカテーテル40の挿入操作を補助する他の構造を適用することができる。他の機構としては、カテーテル40の挿入を補助するガイドワイヤ、及びガイドワイヤの進退を操作するガイドワイヤ操作部材があげられる。
【0063】
或いは、セーフティ機構90は、上述の構成に限定されず、内針12の誤刺を防止し得る種々の機構を採用し得る。例えば、カテーテル組立体10Aは、鈍針(棒部材)を内針12の中空部14に収容しておき、カテーテル40の進出に伴い鈍針を露出させる構成でもよい。また、カテーテル組立体10Aは、テレスコープタイプの複数の筒をカテーテル40の進出に伴い伸長させて、内針12全体を収容する構成でもよい。
【0064】
また、上述の参考例では、カテーテル40が2つのルーメン41を有する構成であったが、本発明は、カテーテル40がルーメン41を1つ、又は3つ以上有する構成でもよい。カテーテル40のルーメン41が1つの構成でも、カテーテルハブ50にコネクタ60を接続して、コネクタ60からカテーテル40のルーメン41に薬液を流動させる構成を採ることが可能だからである。この構成でも、制限部100Aを適用することで、カテーテル40に対するコネクタ60の自由変位を制限して、使用性を大幅に高めることができる。
【0065】
そして、カテーテル組立体10Aは、ハウジング21及びカテーテル操作部70の内部に収容するメインハブ51及びサブハブ61の配置についても、自由に設定してよい。例えば、図6Aに示す第1構成例のように、メインハブ51とサブハブ61は、ハウジング21及びカテーテル操作部70の内側において、幅方向に並ぶように配置されてもよい。このようにメインハブ51とサブハブ61が幅方向に並んでいても、ハウジング21及びカテーテル操作部70は上下方向に短い寸法とすることができる。よって、ユーザは、ハウジング21の下壁22とカテーテル操作部70の上部76とを指で挟むように持つことで、多重構造針11の穿刺及びカテーテル40の挿入操作を円滑に行うことが可能となる。
【0066】
また、図6Bに示す第2構成例のように、メインハブ51とサブハブ61は、ハウジング21及びカテーテル操作部70の内側において、縦方向(上下)に並ぶように配置されてもよい。図6B中では、メインハブ51が上側、サブハブ61が下側に配置される。このようにメインハブ51とサブハブ61が縦方向に並んでいる場合は、ハウジング21を縦方向に短い寸法とすることができる。よって、ユーザは、ハウジング21の一対の側壁23を指で挟むように持つことで、多重構造針11の穿刺及びカテーテル40の挿入を円滑に行うことが可能となる。
【0067】
さらに、図6Cに示す第3構成例のように、メインハブ51を下側、サブハブ61を上側に配置してもよい。これにより、内針12がハウジング21の下壁22に寄るように延在することになるので、多重構造針11を患者に穿刺する際に、より浅い角度での穿刺が容易になる。
【0068】
〔第1変形例〕
第1変形例に係るカテーテル組立体10Bは、図7Aに示すように、カテーテルハブ50(メインハブ51)に2つのコネクタ60(第1サブハブ64、第2サブハブ65)を接続した点で、上述のカテーテル組立体10Aと異なる。なお、以降の説明において、先に説明した参考例と同じ構成又は同じ機能を有する要素には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0069】
この場合、カテーテル40は、カテーテルハブ50と、第1サブハブ64と、第2サブハブ65とにそれぞれ連通する3つのルーメン41を有する構造に構成されることが可能である。或いは、カテーテル40は、2つのルーメン41を有し、一方のルーメン41が第1サブハブ64に連通し、他方のルーメン41が第2サブハブ65に連通する構成とすることもできる。第1サブハブ64は、第1中継チューブ58aを介してメインハブ51に接続され、第2サブハブ65は、第2中継チューブ58bを介してメインハブ51に接続されている。
【0070】
ハウジング21及びカテーテル操作部70は、上述のカテーテル組立体10Aと同様に構成され、メインハブ51、第1及び第2サブハブ64、65をカテーテル操作部70のハブ収納部72に収納した構成としている。すなわち、カテーテル操作部70のハブ収納部72(及びハウジング21)は、第1及び第2サブハブ64、65の自由変位を制限する制限部100Bとして機能する。
【0071】
例えば、メインハブ51は、ハブ収納部72の幅方向中央位置に配置され、カテーテル40の基端を保持し、内針12が内部を貫通している。このメインハブ51に対し第1及び第2サブハブ64、65は、メインハブ51よりも先端側で、テーパ部63bの先細り方向が基端方向に向かうように配置される。このような配置により、ハウジング21及びカテーテル操作部70の幅方向の寸法を可及的に小さくすることができる。なお図示は省略するものの、ハブ収納部72は、メインハブ51、第1及び第2サブハブ64、65をそれぞれ(又は一体的に)係止する係止部79を有する。
【0072】
また、第1及び第2中継チューブ58a、58bの各々には、クランプ110が予め取り付けられている。クランプ110は、図7Bに示すように、基部111と、基部111から延在する一対のアーム112とを有し、一対のアーム112は基部111側が太く、延出端側が細く形成され、また内側に突出する抜け止め凸部112aを延出端に有する。つまり、クランプ110は、延出端側において第1及び第2中継チューブ58a、58bに対し非閉塞に係合する非閉塞状態と、基部111側においてチューブルーメン59を閉塞して係合する閉塞状態とに移行可能に構成される。
【0073】
ハブ収納部72は、図7A中の第1中継チューブ58aの接続状態で例示しているように、クランプ110を内部に収納する構成とすることができる。或いは、図7A中の第2中継チューブ58bの接続状態で例示しているように上部76に設けた窓76aからクランプ110の一部を突出させる構成でもよい。
【0074】
以上のように、第1変形例に係るカテーテル組立体10Bでも、カテーテル操作部70の内部にメインハブ51、第1及び第2サブハブ64、65を配置する制限部100Bを構成している。これにより第1及び第2サブハブ64、65の自由変位が制限され、カテーテル組立体10Bの取扱性を高めることができる。
【0075】
〔第2変形例〕
第2変形例に係るカテーテル組立体10Cは、図8に示すように、メインハブ51に接続されたサブハブ61をカテーテル操作部70から露出している点で、上述のカテーテル組立体10A、10Bと異なる。すなわち、カテーテル操作部70は、上部76と側部77に一連に連なる切り欠き80を有し、メインハブ51とサブハブ61とを繋ぐ中継チューブ58を切り欠き80に通した構成としている。中継チューブ58の大部分は、ハブ収納部72に収納されており、ハブ収納部72から露出されている部分は短い範囲(例えば、中継チューブ58の全長の20%以下)である。
【0076】
メインハブ51は、ハブ収納部72の幅方向中央部において内針12が挿通されている。サブハブ61は、カテーテル操作部70の上部76に露出され、メインハブ51に対して幅方向に若干ずれた位置にある。またサブハブ61は、切り欠き80の近傍位置において、テーパ部63bの先細り方向が基端方向に向かっている。
【0077】
カテーテル組立体10Cは、このように切り欠き80を介して中継チューブ58の一部、サブハブ61を露出する構成でも、切り欠き80の周辺のカテーテル操作部70に中継チューブ58が引っ掛かることで、メインハブ51に対するサブハブ61の自由変位が制限される。すなわちカテーテル操作部70は、本発明の制限部100Cとして機能する。
【0078】
なお、カテーテル組立体10Cは、カテーテル操作部70の上部76に露出されたサブハブ61を適度に係止する係止部81(図8中の2点鎖線参照)を備えていてもよい。これにより、サブハブ61の揺動をより確実に抑制することができる。また、第2変形例に係るカテーテル組立体10Cでも、第1変形例と同様に、複数のサブハブ61及び各サブハブ61につながる中継チューブ58を有していてもよい。この場合でも、複数の切り欠き80を設けることで、各中継チューブ58の一部及び各サブハブ61を露出する構成とすることができる。
【0079】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るカテーテル組立体10Dは、図9A及び図9Bに示すように、メインハブ51とサブハブ61の両方に内針12を挿通している点で、上述のカテーテル組立体10A~10Cと異なる。すなわち、メインハブ51とサブハブ61は、初期状態で、内針12の軸方向に沿って並んだ状態でカテーテル操作部70のハブ収納部72に収容されている。
【0080】
この場合、メインハブ51は、上述のカテーテル組立体10Aと同様の(テーパ部55bの側面に中継チューブ58が接続され、サブ流路53とチューブルーメン59が連通する)構成を採ることができる。一方、サブハブ61は、中継チューブ58がテーパ部63bの側面に連結されて、この側面にチューブルーメン59とサブ空間部62を連通する孔が形成されている。また、サブハブ61は、サブ空間部62の先端側に内針12を挿通可能とすると共に、内針12の抜去に伴い閉塞する弁体66を有する。弁体66は、サブハブ61への医療機器の接続状態(内針12の抜去状態)でサブ空間部62を閉塞していることで、チューブルーメン59に薬液を良好に流動させる。
【0081】
カテーテル操作部70のハブ収納部72は、メインハブ51の側周面を係止する第1係止部79aと、サブハブ61の側周面を係止する第2係止部79bとを備える。これにより、ユーザによるカテーテル操作部70の操作に基づきメインハブ51及びサブハブ61を移動させることができる。
【0082】
以上のカテーテル組立体10Dは、サブハブ61の内部を挿通している内針12がサブハブ61の自由変位を制限する制限部100Dとして機能する。また、カテーテル操作部70も中継チューブ58を収納していることで制限部100Dの一部を構成しており、多重構造針11の穿刺操作やカテーテル40の挿入操作時に中継チューブ58が邪魔となることを防止することができる。
【0083】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るカテーテル組立体10Eは、図10に示すように、第1実施形態と同様に、メインハブ51及びサブハブ61に内針12を挿通しているが、メインハブ51に接続する接続機構67を設けた点で、上述のカテーテル組立体10A~10Dと異なる。また、カテーテル操作部70(ハブ収納部72)の上部76には、メインハブ51及びサブハブ61を露出する上部開放部76bが設けられている。
【0084】
この場合、接続機構67は、サブハブ61に固定された複数の接続アーム67aにより構成されている。接続アーム67aは、中継チューブ58の接続箇所よりも先端側に複数設けられている。各接続アーム67aは、サブハブ61の径方向外側に突出して、途中位置で屈曲し先端方向に延在している。各接続アーム67aの先端方向の延在端部には、メインハブ51のフランジ部55cに引っ掛かる内側爪部が設けられている。これによりサブハブ61は、メインハブ51の進出移動に連れて良好に移動することが可能となる。
【0085】
カテーテル操作部70は、メインハブ51の側周面を適度な係止力で係止する係止部79を有する。これにより上部開放部76bから露出されているメインハブ51は、ユーザの操作下に、内針12に対して相対回転可能となっている。ここで、カテーテル組立体10Eは、長期間の保存等により内針12とカテーテル40が貼りついていることがあるが、ユーザは、穿刺前にメインハブ51を回転させることで、貼りつきを解消することができる。
【0086】
以上のように第2実施形態に係るカテーテル組立体10Eでも、内針12が制限部100Eとして機能する。カテーテル操作部70は、ユーザの操作下に、メインハブ51を移動させることで、接続アーム67aを介してサブハブ61を追従して移動させることができる。
【0087】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るカテーテル組立体10Fは、図11Aに示すように、メインハブ51の基端側に第1サブハブ64と第2サブハブ65を並んで配置し、各ハブ内部を内針12が挿通している点で、上記のカテーテル組立体10A~10Eと異なる。この場合、第1サブハブ64は接続アーム67aによりメインハブ51に接続され、第2サブハブ65は接続アーム67aにより第1サブハブ64に接続される。また、カテーテル組立体10Fのセーフティ機構90も、爪部93に代えて接続アーム67aと同様の接続アーム94を有し、第2サブハブ65に接続されている。
【0088】
このように、メインハブ51、第1サブハブ64、第2サブハブ65を軸方向に並べて内針12を挿通することでも、内針12が制限部100Fとして機能する。また、カテーテル操作部70は、いずれかのハブ(例えばメインハブ51)を進出させることで他のハブを追従させて移動させることができる。
【0089】
〔第4実施形態〕
第4実施形態に係るカテーテル組立体10Gは、図11Bに示すように、サブハブ61の基端側にセーフティ機構90を配置し、セーフティ機構90の接続アーム94がメインハブ51に引っ掛かる点で、上述のカテーテル組立体10A~10Fと異なる。なお内針12は、メインハブ51、サブハブ61、セーフティ機構90を貫通していることで、本発明の制限部100Gとして機能する。このようにセーフティ機構90がメインハブ51に接続されていても、カテーテル操作部70の操作に伴いメインハブ51がセーフティ機構90を追従させることで、セーフティ機構90がサブハブ61を押してサブハブ61を移動させることができる。
【0090】
〔第5実施形態〕
第5実施形態に係るカテーテル組立体10Hは、図11Cに示すように、メインハブ51の内部にサブハブ61の先端を挿入して、両者を嵌合させている点で、上述のカテーテル組立体10A~10Gと異なる。すなわち、メイン空間部52を構成するメインハブ51の内周面は、ルアーテーパ51aに形成されており、サブハブ61のテーパ部63bが嵌合可能となっている。このカテーテル組立体10Hは、内針12と共にメインハブ51が制限部100Hとして機能する。そして、カテーテル操作部70の操作に伴い、メインハブ51とサブハブ61を一体的に移動させることができる。
【0091】
〔第3変形例〕
第3変形例に係るカテーテル組立体10Iは、図12に示すように、ハウジング30(針ハブ20)が上下に分離可能であり、またカテーテル操作部70よりも基端側にメインハブ51を延出させている点で、上述のカテーテル組立体10A~10Hと異なる。なお、カテーテル40は、上記のカテーテル組立体10Aと同様に、1つ又は2つのルーメン41(メインルーメン42、サブルーメン43)を有し、初期状態で内針12と多重構造針11を形成している。
【0092】
具体的には、ハウジング30は、上ハウジング31と下ハウジング32とを有し、初期状態で相互の先端部を閉じている。上ハウジング31と下ハウジング32の間には、ハウジング30の長手方向に沿ってスリット30aが形成されている。また、下ハウジング32の先端部は、右側先端部32Rと左側先端部32Lとに分割可能であり、左右方向に拡開するように構成されている。
【0093】
上ハウジング31の先端部は、初期状態で、右側先端部32R及び左側先端部32Lが左右方向に開くことを規制する規制部33を有する。規制部33は、右側先端部32R及び左側先端部32Lの左右両側を一対の板部33aによりホールドすると共に、一対の板部33aの上側を架橋部33bにより連結した構成となっている。
【0094】
右側先端部32R及び左側先端部32Lにはそれぞれ保持溝(不図示)が形成されている。2つの保持溝を構成する右側先端部32R及び左側先端部32Lにより、カテーテル40が内針12に対して前進する際にカテーテル40と擦れ合う孔状の支持部が構成されている。カテーテル組立体10Iの初期状態で、カテーテル40の外面と支持部の内面との間には若干の隙間が形成されている。
【0095】
カテーテル操作部70は、メインハブ51の基端部に離脱可能に接続される中央基部82と、中央基部82から幅向両側に延出する一対の指掛け部83とを有する。中央基部82は、図13及び図14Aに示すように、ハウジング30の長手方向に延在し、先端側においてメインハブ51を係止し、メインハブ51よりも基端側においてセーフティ機構90に接続されている。中央基部82のメインハブ51とセーフティ機構90の境界には、カテーテル操作部70を折り曲げ可能なヒンジ82aが形成されている。また、一対の指掛け部83は、幅方向外側に向かって上方に傾斜し、その下面には滑り止め用の複数の突起(不図示)が設けられている。
【0096】
さらに、カテーテル組立体10Iは、ガイドワイヤ120、ガイドワイヤ操作部材122を有している。ガイドワイヤ120は、内針12の中空部14内に配置され、初期状態でその先端が針先13付近に待機している。ガイドワイヤ操作部材122は、ハウジング30内に配置された図示しない中間連結部を介して、ガイドワイヤ120の基端部に連結されている。ガイドワイヤ操作部材122が上ハウジング31に対して先端方向に変位すると、その操作力がガイドワイヤ120に伝達され、ガイドワイヤ120が針先13の先端開口14aから送出される。
【0097】
そして、カテーテル組立体10Iは、内針12が挿通され且つカテーテル操作部70が形成されるメインハブ51に対し、中継チューブ58を介してサブハブ61が接続されている。このサブハブ61は、初期状態で、上ハウジング31と下ハウジング32のスリット30aから大部分が露出している。またサブハブ61は、カテーテル操作部70の操作下にメインハブ51が移動した際に追従して移動するように構成されている。
【0098】
具体的には、サブハブ61の先端部には、スリット30aを構成するハウジング30の縁に引っ掛かり可能な構造部68が設けられている。構造部68は、第1円板部68aを先端に有すると共に、第1円板部68aから基端側に多少離れた位置に第2円板部68bを有する。そして初期状態では、第1円板部68aと第2円板部68bの間隙に、スリット30aを構成する上ハウジング31及び下ハウジング32の縁が入り込むようになっている。これにより上ハウジング31と下ハウジング32が近接している状態では、サブハブ61がスリット30aに沿って移動する。
【0099】
また、第1円板部68aは、メインハブ51のフランジ部55c又はカテーテル操作部70から移動力を受けることが可能に構成されている。例えば、カテーテル操作部70は、一対の指掛け部83よりも基端側の中央基部82からメインハブ51の側周面に沿って延在部82bを有する。この延在部82bはメインハブ51を適度に係止すると共に、第1円板部68aの周縁を係止するように構成される。
【0100】
以上のように構成されたカテーテル組立体10Iは、使用において、ユーザにより多重構造針11(内針12、カテーテル40)を患者に穿刺する。この際、中継チューブ58に接続されているサブハブ61は、上ハウジング31と下ハウジング32に挟まれて、自由変位が制限されている。つまりこのカテーテル組立体10Iは、ハウジング30(針ハブ20)が制限部100Iとして機能する。
【0101】
多重構造針11の穿刺状態で、ユーザは、ガイドワイヤ操作部材122を先端方向に操作して、ガイドワイヤ120を内針12の先端から突出させ、血管内に挿入していく。そして、ユーザは、カテーテル操作部70を先端方向に操作してカテーテル40、メインハブ51、サブハブ61を前進させる。この移動時に、上ハウジング31は、カテーテル操作部70により上方に押されることで、下ハウジング32に対して開く。上ハウジング31の離脱により、下ハウジング32の右側先端部32R、左側先端部32Lがさらに相互に左右方向に離間可能となる。その結果、ハウジング30に対するカテーテル操作部70の先端方向への離脱が許容される。
【0102】
そして、ユーザは、カテーテル40、メインハブ51等に対しハウジング30を基端方向に引っ張ることでメインハブ51から内針12を抜去する。サブハブ61もハウジング30から露出されることで自由状態に移行する。内針12の抜去後に、ユーザは、図14Bに示すように、ヒンジ82aを基点にカテーテル操作部70(中央基部82)の先端側を上方向に回動することにより、カテーテル操作部70とメインハブ51及びサブハブ61との係止状態を解除する。これにより、カテーテル40、メインハブ51、サブハブ61が患者側に留置される。
【0103】
以上のように、このカテーテル組立体10Iでも、上述したカテーテル組立体10A~10Hと同様の効果を得ることができる。すなわちハウジング30が制限部100Iとして機能することでも、サブハブ61の自由変位が制限されるので、使用性を向上させることができる。またカテーテル組立体10Iは、ハウジング30の横方向外側にサブハブ61が突出していることで、ハウジング30内には、実質的にメインハブ51がメインで収納されることになる。これによりハウジング30のサイズを小さくすることができ、ユーザによる把持及び操作をより容易化させることができる。
【0104】
〔第4変形例〕
第4変形例に係るカテーテル組立体10Jは、図15Aに示すように、メインハブ51に第1サブハブ64、第2サブハブ65を接続し、第1及び第2サブハブ64、65をハウジング30のスリット30aを介して幅方向外側に突出させた点で、上述のカテーテル組立体10A~10Iと異なる。またカテーテル組立体10Jは、第1サブハブ64が第3変形例のサブハブ61と同様に構成される一方で、第2サブハブ65は、メインハブ51の胴部55aの側周面に直接連結されている。
【0105】
このようにカテーテル組立体10Jは、ハウジング30により第1サブハブ64の自由変位が制限され、メインハブ51により第2サブハブ65の自由変位が制限される制限部100Jを構成することができる。またカテーテル操作部70は、ユーザの操作下に、メインハブ51、第1及び第2サブハブ64、65を一体的に移動させることができる。
【0106】
〔第5変形例〕
第5変形例に係るカテーテル組立体10Kは、図15Bに示すように、ハウジング30の幅方向外側にサブハブ61を露出した状態とし、カテーテル操作部70の一方の指掛け部83とサブハブ61を係止させた構成となっている。この場合、指掛け部83には、サブハブ61を係止する係止アーム84が設けられている。例えば、係止アーム84は、指掛け部83から基端方向に延在し、延在端部が側面視でC字状に形成されている。そしてC字状の内側においてサブハブ61の所定部分を係止する。このようにカテーテル組立体10Kを構成しても、カテーテル操作部70が制限部100Kとして機能し、サブハブ61の自由変位を制限することができる。
【0107】
〔第6変形例〕
第6変形例に係るカテーテル組立体10Lは、図16A図17Bに示すように、第3変形例と同様にハウジング30のスリット30aからサブハブ61を露出させた構成であるが、カテーテル操作部70により制限部100Lを構成している点で、上述のカテーテル組立体10A~10Kと異なる。
【0108】
カテーテル操作部70は、メインハブ51を係止する係止部79を中央基部82の先端部に有し、中央基部82の長手方向中央部において一対の指掛け部83を幅方向外側に突出させている。また中央基部82は、メインハブ51よりも基端側でセーフティ機構90との間の境界にヒンジ82aを有すると共に、ヒンジ82aの基端側に下方向(メインハブ51とセーフティ機構90の間隙)に突出する突出壁85を備える。そして、突出壁85は、サブハブ61を配置する幅方向一方側の側辺に、先端方向に延出する支持板86を有する。
【0109】
支持板86は、指掛け部83から所定間隔離れた下側を中央基部82と平行になるように延在し、指掛け部83の先端に達している。カテーテル操作部70は、指掛け部83と支持板86の間にサブハブ61を挟み込むことでサブハブ61を係止する。サブハブ61は、テーパ部63bの先端に被係止ブロック63dを備え、中継チューブ58はテーパ部63bの側周面に接続されている。被係止ブロック63dは、指掛け部83の下面と支持板86の上面に設けられた係止溝83a、86aに嵌るように構成され、これによりカテーテル操作部70は、サブハブ61の自由変位を制限する制限部100Lとして機能する。
【0110】
以上のように構成されたカテーテル組立体10Lは、図16A及び図16Bに示すように、ハウジング30内ではカテーテル操作部70の回動が規制されることで、指掛け部83と支持板86によりサブハブ61(被係止ブロック63d)を良好に挟み込む。そして、カテーテル操作部70の進出操作に伴いハウジング30から露出されることで、図17A及び図17Bに示すように、ヒンジ82aを基点に中央基部82の先端側を回動させることが可能となる。これにより、指掛け部83が支持板86に対して離間し、挟み込んでいたサブハブ61(被係止ブロック63d)を自由状態とすることができる。
【0111】
〔第7変形例〕
第7変形例に係るカテーテル組立体10Mは、図18に示すように、ハウジング30に支持板34を設けて、カテーテル操作部70の指掛け部83と支持板34とでサブハブ61を挟み込む構成としている点で、上述のカテーテル組立体10A~10Lと異なる。この場合、指掛け部83の下面には、サブハブ61の外形に一致した係止溝83aが設けられている。一方、ハウジング30の支持板34は、下ハウジング32の一方の側壁において先端方向まで延在している。そして支持板34の上面には、サブハブ61の外形に合う形状で、先端方向まで延在するガイド溝34aが形成されている。つまりガイド溝34aは、指掛け部83の移動に伴ってサブハブ61が移動する際に、サブハブ61をガイドする機能を有する。このようにカテーテル組立体10Mは、ハウジング30とカテーテル操作部70を協働させて、サブハブ61の自由変位を制限する制限部100Mを構成することもできる。
【0112】
〔第8変形例〕
第8変形例に係るカテーテル組立体10Nは、図19A及び図19Bに示すように、内針12が挿通する被挿通体69をサブハブ61が備える点で、上述のカテーテル組立体10A~10Mとは異なる。なお具体的な図示は省くが、カテーテル組立体10Nは、第3変形例と同様のハウジング30を適用しており、スリット30aから幅方向外側にサブハブ61を露出している。
【0113】
被挿通体69は、サブハブ61の軸方向に直交する方向に挿通孔69aを備え、初期状態においてこの挿通孔69aに内針12が挿通される。挿通孔69aは、中継チューブ58のチューブルーメン59に連通するサブハブ61内のサブ空間部62に対し、非連通となっている。すなわち、カテーテル組立体10Nは、スリット30aを有するハウジング30でも、内針12を、サブハブ61の自由変位を制限する制限部100Nとして機能させることができる。
【0114】
〔第9変形例〕
第9変形例に係るカテーテル組立体10Oは、図20A及び図20Bに示すように、ハウジング21及びカテーテル操作部70から中継チューブ58及びサブハブ61を露出させて、中継チューブ58を束ねた状態とするクランプ130を備える点で、上述のカテーテル組立体10A~10Nと異なる。つまりこのカテーテル組立体10Oにおいて、サブハブ61の自由変位を制限する制限部100Oは、クランプ130により構成されている。
【0115】
詳細には、クランプ130は、中継チューブ58を複数箇所(図20B中では2箇所)で係合するように構成され、中継チューブ58を折り返した状態で束ねた状態とする。クランプ130は、平面視で長方形状に形成され、一端側に第1係合空間131を備えると共に、他端側に第2係合空間132を備える。
【0116】
第1係合空間131は、第1係合空間131と第2係合空間132の間の基部133から延在する一組の長尺アーム134によって構成されている。各長尺アーム134は、基部133側が太く形成される一方で、延在端部側が細く形成されることで、チューブルーメン59を非閉塞状態で係合する第1部位131aと、チューブルーメン59を閉塞状態で係合する第2部位131bとを構成する。また一組の長尺アーム134は、一方が短く、他方が第1部位131aを周回して一方側に回り込むように形成され、一方と他方の間に中継チューブ58を挿入させる挿入用隙間131cを有する。
【0117】
一方、第2係合空間132は、基部133から長尺アーム134と反対方向に延在する一組の短尺アーム135によって構成され、中継チューブ58のチューブルーメン59を非閉塞状態で係合する。一組の短尺アーム135は、対称形状に形成され、突出端部側において内側に向かって突出する部分において挿入用隙間132aを形成している。また一組の短尺アーム135は、基部133との境界に、短尺アーム135を外側に開くことを容易にする薄肉部135aを有する。
【0118】
このように構成されたクランプ130は、中継チューブ58を折り返した状態で、適宜の2箇所を係合することで、カテーテル操作部70の切り欠き80からのサブハブ61までの距離を短くし、メインハブ51に対するサブハブ61の自由変位を制限(抑制)する。また、クランプ130は、ユーザの操作下に、適宜のタイミングで短尺アーム135を円滑に拡開させる。これにより、第2係合空間132から中継チューブ58を容易に取り出させて、中継チューブ58を長く延在させた状態で使用させることができる。
【0119】
〔第10変形例〕
第10変形例に係るカテーテル組立体10Pは、図21A図21Cに示すように、ハウジング30の幅方向外側に初期状態のサブハブ61を支持する支持体35を備える点で、上述のカテーテル組立体10A~10Oと異なる。例えば、支持体35は、ハウジング30の基端側の側壁23から幅方向外側に突出し、途中の屈曲部を介して先端方向に突出している。そして先端方向の突出端部には、サブ空間部62を構成するサブハブ61の内周面(ルアーテーパ)に適度な嵌合力で嵌合可能なテーパ突部35aが設けられている。
【0120】
すなわち図21Aに示すように、カテーテル組立体10Pの初期状態では、サブハブ61と支持体35(テーパ突部35a)とが嵌合している。サブハブ61に接続される中継チューブ58は、ハウジング30のスリット30aを通ってメインハブ51に接続されている。そして図21Bに示すように、カテーテル40の挿入時にカテーテル操作部70を前進させると、メインハブ51のみが前進してハウジング30の先端から露出される。この際、サブハブ61は、支持体35による支持が継続されている。メインハブ51が露出された状態でさらにメインハブ51をハウジング30の先端方向に引き離すと、図21Cに示すように、中継チューブ58に引っ張られる。この引張力が嵌合力を上回ることで、サブハブ61が支持体35から抜けて自由状態となり患者に良好に留置される。
【0121】
以上のように、カテーテル組立体10Pは、ハウジング30の側方に設けた支持体35を制限部100Pとして機能させることで、ハウジング30から露出されたサブハブ61の自由変位を制限することができる。
【0122】
〔第11変形例〕
第11変形例に係るカテーテル組立体10Qは、図22Aに示すように、メインハブ51に対してサブハブ61が直接連結されている点で、上述のカテーテル組立体10A~10Pと異なる。例えば、サブハブ61は、メインハブ51の軸方向に直交する方向(ハウジング30の幅方向)に連結され、ハウジング30の収容空間24からスリット30aを介してハウジング30の幅方向外側に突出している。
【0123】
このカテーテル組立体10Qは、中継チューブ58を介さずにメインハブ51とサブハブ61が連結していることで、メインハブ51がサブハブ61の自由変位を制限する制限部100Qとなる。つまりメインハブ51とサブハブ61が連結した構成では、中継チューブ58がなくなることで、サブハブ61をより強固に保持することができる。
【0124】
〔第12変形例〕
第12変形例に係るカテーテル組立体10Rは、図22Bに示すように、中継チューブ58を介さずにメインハブ51とサブハブ61を連結しているが、メインハブ51と共にサブハブ61をハウジング30(又はカテーテル操作部70)内に収容した点で、上述のカテーテル組立体10A~10Qと異なる。この場合、サブハブ61の自由変位を制限する制限部100Rは、メインハブ51となる。サブハブ61は、メインハブ51の軸方向に傾斜して設けられることで、ハウジング30やカテーテル操作部70の幅を小さくすることができる。カテーテル組立体10Rは、ハウジング30にサブハブ61を収容していることで、ユーザの操作時に、サブハブ61への接触を抑制することができる。
【0125】
上述の構成から把握し得る技術的思想及び効果について、以下に記載する。
【0126】
カテーテル組立体10A~10Rは、医療機器を接続可能に構成したコネクタ60を備えると共に、カテーテルハブ50に対するコネクタ60の自由変位を制限する制限部100A~100Rを有する。これにより、内針12及びカテーテル40が穿刺される穿刺時やカテーテル40が体内に挿入される挿入時等に、コネクタ60がユーザの操作の邪魔となることが抑制される。すなわち、カテーテル組立体10A~10Rは、カテーテルハブ50にコネクタ60が接続された構成でも、その使用性を大幅に向上することができる。
【0127】
また、制限部100A~100C、100I~100Mは、カテーテル操作部70に設けられている。これにより、カテーテル組立体10A~10C、10I~10Mは、カテーテル操作部70の移動に連れてコネクタ60も移動させることが可能となる。従って、カテーテル組立体10A~10C、10I~10Mの使用性がより高められる。
【0128】
また、針ハブ20は、初期状態でカテーテルハブ50を内側に収容するハウジング21に構成され、カテーテル操作部70は、ハウジング21の内側にコネクタ60を移動可能に収容している。このようにハウジング21及びカテーテル操作部70によりコネクタ60を収容していることで、カテーテル組立体10A~10Cは、コネクタ60の自由変位をより確実に制限することができる。
【0129】
また、コネクタ60の軸心は、カテーテルハブ50の軸心に対して径方向外側にずれた状態でハウジング21内に収容されている。これにより、カテーテル組立体10A、10Bは、コネクタ60に内針12が挿通しない構成としつつ、コネクタ60の自由変位を抑制することができる。
【0130】
また、コネクタ60は、カテーテルハブ50に対し先端側又は基端側にずれた状態でハウジング21内に収容されている。これにより、カテーテル組立体10A、10Bは、カテーテルハブ50の軸心にコネクタ60を可及的に寄せることが可能となり、コネクタ60をハウジング21内に収容した構成でもハウジング21のサイズを小さくすることができる。
【0131】
また、コネクタ60は、中継チューブ58を介してカテーテルハブ50に接続され、且つカテーテル操作部70の外部に露出され、カテーテル操作部70は、中継チューブ58を通すと共に中継チューブ58が引っ掛かり可能な切り欠き80を有する構成でもよい。このように、カテーテル組立体10Cは、カテーテル操作部70の切り欠き80に中継チューブ58が引っ掛かることでも、外部に露出されたコネクタ60の自由変位を制限することができる。
【0132】
また、針ハブ20は、初期状態でカテーテルハブ50及びカテーテル操作部70の一部を内側に収容し、且つ側方にカテーテル操作部70の一部を露出させるスリット30aを備えたハウジング30に構成され、コネクタ60は、スリット30aからハウジング30の外部に露出され、且つカテーテル操作部70に離脱可能に係合されている構成でもよい。このように、カテーテル組立体10I~10Mは、コネクタ60がハウジング30のスリット30aから外部に露出される構成でも、カテーテル操作部70によりコネクタ60の自由変位を制限することができる。
【0133】
また、コネクタ60は、スリット30aを構成するハウジング30の縁に引っ掛かり可能な構造部68を有していてもよい。このように、カテーテル組立体10Iは、カテーテル操作部70による制限部100Iの構成に加えて、コネクタ60の構造部68がハウジング30の縁に引っ掛かることで、コネクタ60の自由変位をより確実に制限することができる。
【0134】
また、カテーテル操作部70は、ハウジング30内に収容されたコネクタ60を挟み込み、カテーテル操作部70がハウジング30から露出される状態に移行することに伴いコネクタ60の挟み込みが解除可能となる構成であってもよい。これにより、カテーテル操作部70がコネクタ60をより確実に保持することができ、コネクタ60の自由変位を良好に制限することが可能となる。
【0135】
また、カテーテル操作部70は、ハウジング30との間でコネクタ60を挟み込み、カテーテル操作部70がハウジング30から露出される状態に移行することに伴いコネクタ60の挟み込みが解除するとよい。このように、カテーテル組立体10Mは、カテーテル操作部70とハウジング30の間にコネクタ60を挟み込むことでも、コネクタ60の自由変位を制限することができる。
【0136】
また、制限部100D~100H、100Nは、コネクタ60が内針12に挿通されていることで機能する構成とすることができる。カテーテル組立体10D~10H、10Nは、内針12が制限部100D~100H、100Nとして機能することによって、コネクタ60の自由変位を確実に制限することができる。
【0137】
また、コネクタ60は、カテーテルハブ50の軸方向に並んだ状態で針ハブ20内に配置されていてもよい。カテーテル組立体10D~10Hは、カテーテルハブ50とコネクタ60を軸方向に並んで配置していることで、針ハブ20のサイズを大幅に小さくすることができ、ユーザの把持及び操作をより容易化することができる。
【0138】
また、コネクタ60は、当該コネクタ60内の空間(サブ空間部62)の先端側に弁体66を備え、弁体66は、内針12を挿通可能であると共に、内針12の離脱に伴い閉塞する。コネクタ60は、弁体66を備えていることで、内針12の離脱時にコネクタ60内の空間を閉塞して、薬液等の流体の漏れを確実になくすことができる。これによりカテーテル組立体10D~10Hは、コネクタ60を通してカテーテル40内に流体をスムーズに導くことが可能となる。
【0139】
また、コネクタ60は、カテーテルハブ50の移動に追従可能に接続する接続機構67を有することが好ましい。カテーテル組立体10E~10Hは、接続機構67によりカテーテル40とコネクタ60を一体的に移動させることができる。
【0140】
また、制限部100I、100J、100M、100Pは、針ハブ20に設けられていてもよい。カテーテル組立体10I、10J、10M、10Pは、針ハブ20に制限部100I、100J、100M、100Pが設けられていることでも、コネクタ60の自由変位を良好に制限することができる。
【0141】
また、コネクタ60は、中継チューブ58を介してカテーテルハブ50に接続されると共に、針ハブ20の外部に露出され、針ハブ20は、コネクタ60内に嵌合して当該コネクタ60を支持する支持体35を有する。カテーテル組立体10Pは、針ハブ20の支持体35によりコネクタ60が支持される構成でも、コネクタ60の自由変位を抑制することができる。
【0142】
また、コネクタ60は、中継チューブ58を介してカテーテルハブ50に接続され、制限部100Oは、中継チューブ58を束ねた状態で保持可能なクランプ130であってもよい。カテーテル組立体10Oは、クランプ130により中継チューブ58を束ねた状態で保持することでも、コネクタ60の自由変位を抑制することができる。
【0143】
また、制限部100J、100Q、100Rは、カテーテルハブ50にコネクタ60が直接連結されることで構成されることもできる。これにより、カテーテル組立体10J、10Q、10Rは、カテーテルハブ50に対するコネクタ60の自由変位を一層確実に抑制することができる。
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