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特許7603809光信号のパワー補償値を決定する方法及び関連する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】光信号のパワー補償値を決定する方法及び関連する装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/294 20130101AFI20241213BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H04B10/294
H04J14/02 121
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023526156
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2021121661
(87)【国際公開番号】W WO2022089142
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】202011200618.4
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲勝▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲満▼
(72)【発明者】
【氏名】王 元武
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186735(JP,A)
【文献】特開平11-218790(JP,A)
【文献】特開2014-229913(JP,A)
【文献】国際公開第2020/194860(WO,A1)
【文献】KAWAHARA, H. et al.,Cancellation of Static and Dynamic Power Transitions induced by inter-band Stimulated Raman Scattering in C+L-band WDM Transmission,2020 Opto-Electronics and Communications Conference (OECC),2020年10月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号のパワー補償値を決定する方法であって、
第1の光信号及び第2の光信号を取得するステップであって、前記第1の光信号は、前記第2の光信号に波長アドまたはドロップを行うことによって取得される光信号であり、前記第2の光信号は、少なくとも1つの波長信号を含み、前記第2の光信号の前記少なくとも1つの波長信号は、少なくとも1つの周波帯に分散され、前記第1の光信号は、少なくとも1つの波長信号を含み、前記第1の光信号の前記少なくとも1つの波長信号は、少なくとも1つの周波帯に分散され、前記第1の光信号の波長信号は、前記第1の光信号に対応する任意の周波帯に分散され、前記第2の光信号の波長信号は、前記第2の光信号に対応する任意の周波帯に分散される、ステップと、
前記第1の光信号における各周波帯の第1の光パワー及び前記第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出するステップと、
前記第1の光パワーに基づいて、前記第1の光信号に対応する各周波帯の第1の光パワー変動であり、前記第1の光信号が伝送端から受信端に伝送される過程で引き起こされ、前記第1の光信号が前記伝送端から前記受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動を決定し、前記第2の光パワーに基づいて、前記第2の光信号に対応する各周波帯の第2の光パワー変動であり、前記第2の光信号が前記受信端から前記伝送端に伝送される過程で引き起こされ、前記第2の光信号が前記受信端から前記伝送端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動を決定するステップと、
前記第1の光パワー変動及び前記第2の光パワー変動に基づいて第1の補償値を決定するステップであって、前記第1の補償値は、前記第1の光信号の総パワーを補償するために使用される、ステップと、
前記第1の光パワー変動及び前記第2の光パワー変動に基づいて第2の補償値を決定するステップであって、前記第2の補償値は、前記第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償するために使用される、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の係数及び第2の係数を取得するステップであって、前記第1の係数は、信号の伝送タイプに関連付けられ、前記第2の係数は、2つの周波帯毎の光パワー伝送に関連付けられる、ステップをさらに含み、
前記第1の光パワーに基づいて、前記第1の光信号の各周波帯の第1の光パワー変動であり、前記第1の光信号が伝送端から受信端に伝送される過程で引き起こされ、前記第1の光信号が前記伝送端から前記受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動を決定する前記ステップは、
前記第1の光パワー、前記第1の係数、及び前記第2の係数に基づいて前記第1の光パワー変動を計算するステップを含み、
前記第2の光パワーに基づいて、前記第2の光信号の各周波帯の第2の光パワー変動であり、前記第2の光信号が前記受信端から前記伝送端に伝送される過程で引き起こされ、前記第2の光信号が前記受信端から前記伝送端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動を決定する前記ステップは、
前記第2の光パワー、前記第1の係数、及び前記第2の係数に基づいて前記第2の光パワー変動を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーの、前記第1の光信号の前記総パワーに対する比率を取得するステップをさらに含み、
前記第1の光パワー変動及び前記第2の光パワー変動に基づいて第1の補償値を決定する前記ステップは、
前記第1の光パワー変動、前記第2の光パワー変動、及び前記比率を第1の式に代入して前記第1の補償値を計算するステップであって、
前記第1の式は、
【数1】
を含み、C1は前記第1の補償値を表し、iは周波帯のシーケンス番号を表し、Mは周波帯の数量を表し、Si1は前記第2の光信号における周波帯iの第2の光パワー変動を表し、Si2は前記第1の光信号における周波帯iの第1の光パワー変動を表し、Xiは前記比率を表す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の光パワー変動及び前記第2の光パワー変動に基づいて第2の補償値を決定する前記ステップは、
前記第1の光信号における第1セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、前記第1の光信号における最終セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、前記第2の光信号における第1セグメントの周波帯の第2の光パワー変動、及び前記第2の光信号における最終セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を第2の式に代入して前記第2の補償値を計算するステップであって、
前記第2の式は、C2=(S1max-S1min)-(S2max-S2min)を含み、C2は前記第2の補償値を表し、S1maxは前記第1の光信号における前記最終セグメントの周波帯の前記第1の光パワー変動を表し、S1minは前記第1の光信号における前記第1セグメントの周波帯の前記第1の光パワー変動を表し、S2maxは前記第2の光信号における前記最終セグメントの周波帯の前記第2の光パワー変動を表し、S2minは前記第2の光信号における前記第1セグメントの周波帯の前記第2の光パワー変動を表す、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記第1の補償値に基づいて、前記第1の光信号の前記総パワーを補償するステップと、
前記第2の補償値に基づいて、前記第1の光信号の前記パワースペクトル傾斜を補償するステップと
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の補償値に基づいて前記第1の光信号の前記総パワーを補償する前記ステップは、
前記第1の補償値に基づいて光増幅器におけるポンプ電流を調整し、前記第1の光信号が前記光増幅器を通過した後に前記第1の光信号の出力パワーを調整するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の補償値に基づいて前記第1の光信号の前記パワースペクトル傾斜を補償する前記ステップは、
前記第2の補償値に基づいて、光増幅器内にある可変光減衰器(VOA)の減衰を調整して、前記第1の光信号のパワースペクトル傾斜であり、前記第1の光信号が前記光増幅器を通過した後に使用されるパワースペクトル傾斜を調整するステップを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーを検出する前記ステップは、
前記第1の光信号を、フィルタを介して複数の周波帯の光信号に分割するステップと、
パワー検出器を介して、前記第1の光信号における各周波帯の前記第1の光パワーを検出するステップと
を含み、
前記第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出する前記ステップは、
前記第2の光信号を、フィルタを介して複数の周波帯の光信号に分割するステップと、
パワー検出器を介して、前記第2の光信号における各周波帯の前記第2の光パワーを検出するステップと
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーを検出する前記ステップは、
光スペクトルアナライザ(OSA)または光パフォーマンスモニタ(OPM)を介して、前記第1の光信号における各波長の前記第1の光パワーを検出するステップを含み、
前記第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出する前記ステップは、
前記光スペクトルアナライザ(OSA)または前記光パフォーマンスモニタ(OPM)を介して、前記第2の光信号における各波長の前記第2の光パワーを検出するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
プロセッサ、メモリ、及び光検出モジュールを備え、前記プロセッサ、前記メモリ、及び前記光検出モジュールは、回線を介して互いに接続される、パワー計算装置であって、
前記光検出モジュールは、
第1の光信号及び第2の光信号を取得し、前記第1の光信号は、前記第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことによって取得される光信号であり、前記第2の光信号は、少なくとも1つの波長信号を含み、前記第2の光信号の前記少なくとも1つの波長信号は、少なくとも1つの周波帯に分散され、前記第1の光信号は、少なくとも1つの波長信号を含み、前記第1の光信号の前記少なくとも1つの波長信号は、前記少なくとも1つの周波帯に分散され、前記第1の光信号の波長信号は、前記第1の光信号に対応する任意の周波帯に分散され、前記第2の光信号の波長信号は、前記第2の光信号に対応する任意の周波帯に分散され、
前記第1の光信号における各周波帯の第1の光パワー及び前記第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出する
ように構成され、
前記プロセッサは、
前記第1の光パワーに基づいて、前記第1の光信号に対応する各周波帯の第1の光パワー変動であり、前記第1の光信号が伝送端から受信端に伝送される過程で引き起こされ、前記第1の光信号が前記伝送端から前記受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動を決定し、前記第2の光パワーに基づいて、前記第2の光信号に対応する各周波帯の第2の光パワー変動であり、前記第2の光信号が前記受信端から前記伝送端に伝送される過程で引き起こされ、前記第2の光信号が前記受信端から前記伝送端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動を決定し、
前記第1の光パワー変動及び前記第2の光パワー変動に基づいて第1の補償値を決定し、前記第1の補償値は、前記第1の光信号の総パワーを補償するために使用され、
前記第1の光パワー変動及び前記第2の光パワー変動に基づいて第2の補償値を決定し、前記第2の補償値は、前記第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償するために使用される
ように構成される、パワー計算装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
第1の係数及び第2の係数を取得するようにさらに構成され、前記第1の係数は、信号の伝送タイプに関連付けられ、前記第2の係数は、2つの周波帯毎の光パワー転送に関連付けられ、
前記プロセッサは、
前記第1の光パワー、前記第1の係数、及び前記第2の係数に基づいて前記第1の光パワー変動を計算し、
前記第2の光パワー、前記第1の係数、及び前記第2の係数に基づいて前記第2の光パワー変動を計算するように構成される、請求項10に記載のパワー計算装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記第1の光信号における各周波帯の光パワーの、前記第1の光信号の前記総パワーに対する比率を取得するようにさらに構成され、
前記プロセッサは、
前記第1の光パワー変動、前記第2の光パワー変動、及び前記比率を第1の式に代入して前記第1の補償値を計算すように構成され、
前記第1の式は、
【数2】
を含み、C1は前記第1の補償値を表し、iは周波帯のシーケンス番号を表し、Mは周波帯の数量を表し、Si1は前記第2の光信号における周波帯iの第2の光パワー変動を表し、Si2は前記第1の光信号における周波帯iの第1の光パワー変動を表し、Xiは前記比率を表す、請求項10または11に記載のパワー計算装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記第1の光信号における第1セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、前記第1の光信号における最終セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、前記第2の光信号における第1セグメントの周波帯の第2の光パワー変動、及び前記第2の光信号における最終セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を第2の式に代入して前記第2の補償値を計算するように構成され、
前記第2の式は、C2=(S1max-S1min)-(S2max-S2min)を含み、
C2は前記第2の補償値を表し、S1maxは前記第1の光信号における前記最終セグメントの周波帯の前記第1の光パワー変動を表し、S1minは前記第1の光信号における前記第1セグメントの周波帯の前記第1の光パワー変動を表し、S2maxは前記第2の光信号における前記最終セグメントの周波帯の前記第2の光パワー変動を表し、S2minは前記第2の光信号における前記第1セグメントの周波帯の前記第2の光パワー変動を表す、請求項10から12のいずれか一項に記載のパワー計算装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記第1の補償値に基づいて、前記第1の光信号の前記総パワーを補償し、
前記第2の補償値に基づいて、前記第1の光信号の前記パワースペクトル傾斜を補償するようにさらに構成される、請求項10から13のいずれか一項に記載のパワー計算装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記第1の補償値に基づいて光増幅器におけるポンプ電流を調整し、前記第1の光信号が前記光増幅器を通過した後に前記第1の光信号の出力パワーを調整するように構成される、請求項14に記載のパワー計算装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記第2の補償値に基づいて、光増幅器内にある可変光減衰器(VOA)の減衰を調整して、前記第1の光信号のパワースペクトル傾斜であり、前記第1の光信号が前記光増幅器を通過した後に使用されるパワースペクトル傾斜を調整するように構成される、請求項14または15に記載のパワー計算装置。
【請求項17】
前記光検出モジュールは、フィルタ及びパワー検出器を含み、
前記フィルタは、
前記第1の光信号を複数の周波帯の光信号に分割し、
前記第2の光信号を複数の周波帯の光信号に分割するように構成され、
前記パワー検出器は、
前記第1の光信号における各周波帯の前記第1の光パワーを検出し、
前記第2の光信号における各周波帯の前記第2の光パワーを検出するように構成される、請求項10から16のいずれか一項に記載のパワー計算装置。
【請求項18】
前記光検出モジュールは、光スペクトルアナライザ(OSA)または光パフォーマンスモニタ(OPM)を含み、
前記OSAまたは前記OPMは、
前記第1の光信号における各波長の前記第1の光パワーを検出し、
前記第2の光信号における各波長の前記第2の光パワーを検出するように構成される、請求項10から16のいずれか一項に記載のパワー計算装置。
【請求項19】
第1のサイト及び第2のサイトを備える光伝送システムであって、前記第1のサイトは、請求項1から9のいずれか一項に記載の光信号のパワー補償値を決定する方法を実行するように構成され、前記第2のサイトは、前記第1のサイトによって出力される光信号を受信するように構成される、光伝送システム。
【請求項20】
前記第1のサイトは、光増幅器サイトまたは再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)サイトを含む、請求項19に記載の光伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、光通信の分野に関し、特に、光信号のパワー補償値を決定する方法及び関連する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2020年10月30日に中国国家知識産権局に提出された、「光信号のパワー補償値を決定する方法及び関連する装置」という名称の中国特許出願第202011200618.4号に対する優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
ネットワークにおけるデータトラフィックの急速な増加に伴い、ネットワークの伝送容量に対し、より高度な要件が課されている。一般に、ネットワーク伝送容量を増加させるために、チャネル動作スペクトル幅(チャネルの数量)が増加されることがあり、例えば、元のCバンドがCバンド及びLバンドに拡張される。
【0004】
しかし、チャネルのスペクトル幅が広がると、多波長伝送システムリンクに誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering、SRS)効果が生じ、ショートバンドの伝送パワーがロングバンドの伝送パワーに転送される。波長のアドやドロップがない安定した状態では、SRS効果によってもたらされる多波長信号間のパワー転送は安定している。波長のアドまたはドロップが発生すると、多波長信号の数量、分布、位置などがランダムに変化する。その結果、複雑な変化が、多波長信号間のパワー転送に生じ、システム耐性能力を超える場合があり、信号伝送の安定性が低下する。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施形態は、光信号のパワー補償値を決定する方法及び関連する装置を提供し、これにより、光ファイバにおいて光信号を伝送する過程で、SRS効果によって引き起こされるパワー変化がシステム耐性能力を超えないようにする。さらに、光信号に対して波長のアドまたはドロップが行われる前後に用いられるパワーペクトル傾斜が一致し、それにより信号伝送の安定性が向上する。
【0006】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、光信号のパワー補償値を決定する方法を提供する。方法は、以下のステップを含む。
【0007】
まず、第1の光信号及び第2の光信号を取得し、ここで、第1の光信号は、第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことにより取得される光信号である。第2の光信号は、少なくとも1つの波長信号を含み、第2の光信号の少なくとも1つの波長信号は、少なくとも1つの周波帯に分散される。第1の光信号は、少なくとも1つの波長信号を含み、第1の光信号の少なくとも1つの波長信号は、少なくとも1つの周波帯に分散される。第1の光信号の波長信号は、第1の光信号に対応する任意の周波帯に分散され、第2の光信号の波長信号は、第2の光信号に対応する任意の周波帯に分散される。次に、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーと、第2の光信号における各波長帯の第2の光パワーとが検出される。そして、第1の光信号の各周波帯における第1の光パワー変動であり、第1の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動が、第1の光パワーに基づいて計算され、第2の光信号の各周波帯の第2の光パワー変動であり、第2の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動が、第2の光パワーに基づいて計算される。さらに、第1の補償値及び第2の補償値は、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて決定され、ここで、第1の補償値は、第1の光信号の総パワーを補償するために使用され、第2の補償値は、第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償するために使用される。
【0008】
この実装では、第1の光信号が伝送される前に、第1の光信号の総パワーが第1の補償値に基づいて補償され得、その結果、光ファイバ内の第1の光信号の伝送プロセスにおけるSRS効果によって引き起こされるパワー変化がシステム耐性能力を超えず、それにより、信号伝送の安定性を向上させる。加えて、第1の光信号のパワースペクトル傾斜は、第2の補償値に基づいてさらに補償され得、その結果、信号受信端によって受信される第1の光信号及び第2の光信号のパワースペクトル傾斜が一致し、それにより、信号伝送の安定性をさらに向上させる。
【0009】
いくつかの可能な実装では、方法はさらに以下のことを含む。第1の係数及び第2の係数を取得し、第1の係数は信号の伝送タイプに関連し、第2の係数は2つの周波帯毎の光パワー転送に関連する。第1の光パワーに基づいて、第1の光信号の各周波帯の第1の光パワー変動であり、第1の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動を決定することは、第1の光パワー、第1の係数、及び第2の係数に基づいて、第1の光パワー変動を計算することを含む。第2の光パワーに基づいて、第2の光信号の各周波帯の第2の光パワー変動であり、第2の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動を決定することは、第2の光パワー、第1の係数、及び第2の係数に基づいて、第2の光パワー変動を計算することを含む。この実装では、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動を計算する特定の実装が提供され、それによって、この解決策の実装可能性を改善する。
【0010】
いくつかの可能な実装では、方法は、第1の光信号における各周波帯の光パワーの、第1の光信号の総パワーに対する比率を取得することをさらに含む。第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて第1の補償値を決定することは、第1の光パワー変動、第2の光パワー変動、及び比率を第1の式に代入して第1の補償値を計算することを含む。第1の式は、
【0011】
【数1】
【0012】
を含み、ここでC1は第1の補償値を表し、iは周波帯のシーケンス番号を表し、Mは周波帯の数量を表し、Si1は第2の光信号における周波帯iの第2の光パワー変動を表し、Si2は第1の光信号における周波帯iの第1の光パワー変動を表し、Xiは比率を表す。この実装では、第1の光信号のパワー補償値がより正確に計算され得るように、第1の補償値を計算する特定の実装が提供される。
【0013】
いくつかの可能な実装では、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて第2の補償値を決定することは、第1の光信号における第1セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、第1の光信号における最終セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、第2の光信号における第1セグメントの周波帯の第2の光パワー変動、及び第2の光信号における最終セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を第2の式に代入して、第2の補償値を計算することを含む。第2の式は、C2=(S1max-S1min)-(S2max-S2min)を含み、ここで、C2は第2の補償値を表し、S1maxは第1の光信号における最終セグメントの周波帯の第1の光パワー変動を表し、S1minは第1の光信号における第1セグメントの周波帯の第1の光パワー変動を表し、S2maxは第2の光信号における最終セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を表し、S2minは第2の光信号における第1セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を表す。この実装では、この解決策がより実用的であるように、第2の補償値を計算する特定の実装が提供される。
【0014】
いくつかの可能な実装では、方法は、第1の補償値に基づいて第1の光信号の総パワーを補償することと、第2の補償値に基づいて第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償することとをさらに含む。
【0015】
いくつかの可能な実装では、第1の補償値に基づいて第1の光信号の総パワーを補償することは、第1の補償値に基づいて光増幅器におけるポンプ電流を調整し、第1の光信号が光増幅器を通過した後に第1の光信号の出力パワーを調整することを含む。この実装では、光増幅器に基づくパワー補償を行う特定の実装が提供され、パワー補償は、第1の補償値に基づいて正確に完了されてよい。
【0016】
いくつかの可能な実装では、第2の補償値に基づいて第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償することは、
第2の補償値に基づいて、光増幅器内にある可変光減衰器VOAの減衰を調整して、第1の光信号のパワースペクトル傾斜であり、第1の光信号が光増幅器を通過した後に使用されるパワースペクトル傾斜を調整することを含む。この実装では、VOAに基づくパワースペクトル傾斜補償を行う特定の実装が提供され、第2の補償値に基づいてパワースペクトル傾斜補償を正確に完了してよい。
【0017】
いくつかの可能な実装では、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーを検出することは、第1の光信号を、フィルタを介して複数の周波帯の光信号に分割することと、パワー検出器を介して第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーを検出することと、を含む。第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出することは、第2の光信号を、フィルタを介して複数の周波帯の光信号に分割することと、パワー検出器を介して第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出することとを含む。この実装では、フィルタ及びパワー検出器は、各周波帯のパワーを検出するために一緒に使用されてよく、それによってこの解決策の実用性を向上させる。
【0018】
いくつかの可能な実装では、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーを検出することは、光スペクトルアナライザ(optical spectrum analyzer、OSA)または光パフォーマンスモニタ(optical performance monitor、OPM)を介して、第1の光信号における各波長の第1の光パワーを検出することを含む。第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出することは、OSAまたはOPMを介して第2の光信号における各波長の第2の光パワーを検出することを含む。この実装では、OSA及びOPMは、特定の波長範囲内の信号を検出する能力を有する。したがって、フィルタを構成する必要はなく、OSA及びOPMの出力量は依然として各周波帯のパワーであり、それによりこの解決策のスケーラビリティが向上する。
【0019】
第2の態様によれば、本出願の実施形態は、プロセッサ、メモリ、及び光検出モジュールを含むパワー計算装置を提供する。プロセッサ、メモリ、及び光検出モジュールは、回線を介して互いに接続されている。光検出モジュールは、第1の光信号及び第2の光信号を取得し、第1の光信号は、第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことによって取得される光信号であり、第2の光信号は少なくとも1つの波長信号を含み、第2の光信号の少なくとも1つの波長信号は少なくとも1つの周波帯に分散され、第1の光信号は少なくとも1つの波長信号を含み、第1の光信号の少なくとも1つの波長信号は、少なくとも1つの周波帯に分散され、第1の光信号の波長信号は、第1の光信号に対応する任意の周波帯に分散され、第2の光信号の波長信号は、第2の光信号に対応する任意の周波帯に分散され、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワー及び第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出するように構成され、プロセッサは、第1の光信号に基づいて、第1の光信号の各波長の第1の光パワー変動であり、第1の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動を決定し、第2の光パワーに基づいて、第2の光信号の各波長の第2の光パワー変動であり、第2の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動を決定し、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて第1の補償値を決定し、第1の光信号の総パワーを補償するために第1の補償値が使用され、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて第2の補償値を決定し、第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償するために第2の補償値が使用されるように構成される。
【0020】
いくつかの可能な実装では、プロセッサは、第1の係数及び第2の係数を取得するようにさらに構成され、第1の係数は、信号の伝送タイプに関連付けられ、第2の係数は、2つの周波帯毎の光パワー転送に関連付けられ、プロセッサは、第1の光パワー、第1の係数、及び第2の係数に基づいて第1の光パワー変動を計算し、第2の光パワー、第1の係数、及び第2の係数に基づいて第2の光パワー変動を計算するように特に構成される。
【0021】
いくつかの可能な実装では、プロセッサは、第1の光信号における各周波帯の光パワーの、第1の光信号の総パワーに対する比率を取得するようにさらに構成され、プロセッサは、第1の光パワー変動、第2の光パワー変動、及び比率を第1の式に代入して第1の補償値を計算するように特に構成され、ここで、第1の式は、
【0022】
【数2】
【0023】
を含み、C1は第1の補償値を表し、iは周波帯のシーケンス番号を表し、Mは周波帯の数量を表し、Si1は第2の光信号における周波帯iの第2の光パワー変動を表し、Si2は第1の光信号における周波帯iの第1の光パワー変動を表し、Xiは比率を表す。
【0024】
いくつかの可能な実装では、プロセッサは、第1の光信号における第1セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、第1の光信号における最終セグメントの周波帯の第1の光パワー変動、第2の光信号における第1セグメントの周波帯の第2の光パワー変動、及び第2の光信号における最終セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を第2の式に代入して第2の補償値を計算するように特に構成され、第2の式は、C2=(S1max-S1min)-(S2max-S2min)を含み、ここで、C2は第2の補償値を表し、S1maxは第1の光信号における最終セグメントの周波帯の第1の光パワー変動を表し、S1minは第1の光信号における第1セグメントの周波帯の第1の光パワー変動を表し、S2maxは第2の光信号における最終セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を表し、S2minは第2の光信号における第1セグメントの周波帯の第2の光パワー変動を表す。
【0025】
いくつかの可能な実装では、プロセッサは、第1の補償値に基づいて第1の光信号の総パワーを補償し、第2の補償値に基づいて第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償するようにさらに構成される。
【0026】
いくつかの可能な実装では、プロセッサは、第1の光信号が光増幅器を通過した後に第1の光信号の出力パワーを調整するために、第1の補償値に基づいて光増幅器内のポンプ電流を調整するように特に構成される。
【0027】
いくつかの可能な実装では、プロセッサは、第2の補償値に基づいて、光増幅器内にある可変光減衰器VOAの減衰を調整して、第1の光信号のパワースペクトル傾斜であり、第1の光信号が光増幅器を通過した後に使用されるパワースペクトル傾斜を調整するように特に構成される。
【0028】
いくつかの可能な実装では、光検出モジュールは、フィルタ及びパワー検出器を含む。フィルタは、第1の光信号を複数の周波帯の光信号に分割し、第2の光信号を複数の周波帯の光信号に分割するように構成される。パワー検出器は、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーを検出し、第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出するように構成される。
【0029】
いくつかの可能な実装では、光検出モジュールは、OSAまたはOPMを含む。OSAまたはOPMは、第1の光信号における各波長の第1の光パワーを検出し、第2の光信号における各波長の第2の光パワーを検出するように構成される。
【0030】
第3の態様によれば、本出願の実施形態は、第1のサイト及び第2のサイトを含む光伝送システムを提供する。第1のサイトは、第1の態様の任意の実装に従って、光信号のパワー補償値を決定する方法を実行するように構成される。第2のサイトは、第1のサイトによって出力される光信号を受信するように構成される。
【0031】
いくつかの可能な実装では、第1のサイトは、光増幅器サイトまたは再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer、ROADM)サイトを含む。
【0032】
上記の技術的解決策によれば、本出願の実施形態は、以下の利点を有することを理解することができる。
【0033】
本出願の実施形態では、第1の光信号は、第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことによって取得される光信号であり、信号伝送端は、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワー及び第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出する必要がある。次に、第1の光信号が伝送端から受信端に伝送された後、各周波帯におけるSRS効果によって生じる第1の光パワー変動を第1の光パワーに基づいて計算してよく、第2の光信号が伝送端から受信端に伝送された後、各周波帯におけるSRS効果によって生じる第2の光パワー変動を第2の光パワーに基づいて計算してよい。そして、第1の補償値及び第2の補償値は、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて決定されてよい。さらに、第1の光信号が伝送される前に、第1の光信号の総パワーは、第1の補償値に基づいて補償されてよく、その結果、光ファイバ内で第1の光信号を伝送する過程でSRS効果によって引き起こされるパワー変化がシステム耐性能力を超えないようにし、それによって信号伝送の安定性を改善する。さらに、第1の光信号のパワースペクトル傾斜は、第2の補償値に基づいてさらに補償されてよく、その結果、信号受信端によって受信される第1の光信号及び第2の光信号のパワースペクトル傾斜が一致し、それにより信号伝送の安定性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本出願で使用される光伝送システムの構造の概略図である。
図2】本出願による光信号のパワー補償値を決定する方法の実施形態の概略図である。
図3】多波長信号が複数の周波帯に分散される実施形態の概略図である。
図4】本出願による光パワー検出の実施形態の概略図である。
図5】本出願による光パワー検出の別の実施形態の概略図である。
図6】周波帯間のパワー転送の実施形態の概略図である。
図7】光信号のパワー変化の実施形態の概略図である。
図8】本出願の実施形態による光増幅器の構造の概略図である。
図9】パワー計算装置の構造の概略図である。
図10】本出願の実施形態による光伝送システムの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本出願の実施形態は、光信号のパワー補償値を決定する方法及び関連する装置を提供し、その結果、光ファイバで光信号を伝送する過程におけるSRS効果によって引き起こされるパワー変化がシステム耐性能力を超えないようにする。さらに、光信号に対して行われる波長のアドまたはドロップの前後に使用されるパワースペクトル傾斜が一致し、それにより信号伝送の安定性が向上する。
【0036】
本出願の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、類似するオブジェクトの間で区別するために使用されるが、特定の順序またはシーケンスを限定するものではないことに留意されたい。上記の用語は、適切な状況で交換可能であり、本出願に記載される実施形態は、本出願に記載される内容ではなく、他の順序で実装することができることを理解されたい。さらに、用語「include」、「have」、またはその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、一連のステップまたはユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、またはデバイスは、明確に列挙されているステップまたはユニットに限定されず、明確に列挙されていない、またはプロセス、方法、製品、またはデバイスに不可欠な、他のステップ及びユニットを含み得る。
【0037】
図1は、本出願で使用される光伝送システムの構造の概略図である。光伝送システムは、少なくとも第1のサイト10及び第2のサイト20を含む。第1のサイト10は、光増幅器101、カプラ102、及びパワー検出装置103を含む。第のサイト20は、光増幅器201、カプラ202、及びパワー検出装置203を含む。図1に示されるように、第1のサイト10は、光ファイバを介して第2のサイト20に多波長信号を伝送し得る。光ファイバにおける多波長信号の伝送は、誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering、SRS)効果による影響を受け、したがって、ショートバンドの伝送パワーは、ロングバンドの伝送パワーに転送される。
【0038】
現在の多波長信号に対して波長のアド(Add)またはドロップ(Drop)が行われない場合、SRS効果によって引き起こされる多波長信号間のパワー転送は安定していることを理解されたい。波長のアドまたはドロップが発生すると、多波長信号の数量、分布、位置などがランダムに変化する。したがって、多波長信号間のパワー転送に複雑な変化が発生し、そのようなパワーの変化は、システム耐性能力を超える場合がある。したがって、本出願では、パワー検出装置103が第1のサイト10に配置される。第1のサイト10によって出力される多波長信号が光ファイバに入る前に、パワー検出装置103は、SRS効果によって引き起こされるパワー変化を予め計算し得る。さらに、第1のサイト10は、計算結果に基づいて多波長信号の伝送パワーを補償し得る。これは、伝送プロセスにおける多波長信号間のパワー転送の複雑な変化を回避し、それにより信号伝送の安定性が向上する。
【0039】
具体的には、カプラ102は、光増幅器101によって出力される信号を異なるチャネルに分割してよい。1つのチャネル内の信号は、第2のサイト20に伝送するために光ファイバに結合される。別のチャネル内の信号は、SRS効果によって引き起こされるパワー変化を計算するためにパワー検出装置103に結合される。パワー検出装置103は、補償されることが必要なパワー値を計算し、補償値を光増幅器101に出力し、そして、光増幅器101は、その後の出力信号に対してパワー補償を行う。カプラ102は、パワー比に基づいて信号を分割し、各チャネルの信号に含まれる波長は同じであることを理解されたい。例えば、カプラ102は、99:1のパワー比に基づいて信号を分割し得、信号のほとんどは光ファイバに結合され、検出及び計算のために少数の信号のみを予約する必要がある。
【0040】
前述の光増幅器のタイプは、エルビウムドープファイバ適用増幅器(Erbium Doped Fiber Application Amplifier,EDFA)、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier,SOA)等であり得、一体化された増幅器または別々の増幅器であってよいことに留意されたい。これは本明細書において特に限定されない。第1のサイト10及び第2のサイト20はそれぞれ、図1に示される光増幅器サイト以外の別のタイプのサイトであってよく、例えば、再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer、ROADM)サイトであってよい。これは本明細書において特に限定されない。
【0041】
以下では、本出願で提供される光信号のパワー補償値を決定する方法について説明する。
【0042】
図2は、本出願による光信号のパワー補償値を決定する方法の実施形態の概略図である。この例では、光信号のパワー補償値を決定する方法は、以下のステップを含む。
【0043】
201:第1の光信号及び第2の光信号を取得する。
【0044】
本実施形態では、第1の光信号は、第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことにより取得される光信号である。第2の光信号は、単一波長信号であってよく、または多波長信号であってよい。第2の光信号は、少なくとも1つの周波帯に分散され、異なる周波帯は、異なる波長信号に対応する。加えて、各波長信号は、対応する波長値を有し、各周波帯は、少なくとも1つの波長信号の波長値を含む。第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことによって、第1の光信号は、単一の波長信号になり得、または多波長信号になり得る。第2の光信号が単一波長信号である場合、第1の光信号は、第2の光信号に波長のアドを行うことによって取得される多波長信号であることを理解されたい。第1の光信号が単一波長信号である場合、第2の光信号は多波長信号であり、第1の光信号は、第2の光信号に波長のドロップを行うことによって取得される。すなわち、第1の光信号及び第2の光信号は、同一の周波帯を有し、また異なる周波帯も有する。説明を容易にするために、本出願では、波長信号のチャネル番号を用いて波長信号(Ch1、Ch2等)を区別する。各波長信号の波長値は、波長信号のチャネル番号に基づいて決定され得る。これらの波長信号は、CバンドまたはLバンドのいずれかに属し得る。これは本明細書において特に限定されない。第1の光信号は、(第2の光信号に波長のアドを行うことによって取得される)全波長信号であってよく、または全波長信号でなくてもよいことに留意されたい。第2の光信号は、全波長信号(第1の光信号は、第2の光信号に波長のドロップを実行することによって取得される)であってよく、または全波長信号でなくてよい。
【0045】
図3は、多波長信号が複数の周波帯に分散される実施形態の概略図である。例えば、本出願では、第2の光信号は全波長信号であり、Ch1からCh100までの100個の波長信号を含み、100個の波長信号は10個の異なる周波帯に分散される。10個の連続した波長信号毎に、同じ周波帯に分散される。例えば、波長信号Ch1からCh10は周波帯1に分散され、波長信号Ch11からCh20は周波帯2に分散され、・・・、波長信号Ch91~Ch100は周波帯10に分散される。本出願では、第1の光信号は、6つの波長信号、すなわちCh1、Ch3、Ch5、Ch96、Ch98、及びCh100を含む。波長信号Ch1、Ch3、及びCh5は周波帯1に分散され、波長信号Ch96、Ch98、及びCh100は周波帯10に分散される。
【0046】
本出願において、周波帯の数量は限定されず、上記の10、20、30等であってよいことに留意されたい。実際の適用では、周波帯は複数の方式で分割され得、方式は、図3に示される等分割方式、及び異なる周波帯が異なる数量の波長信号に対応する非等分割方式を含み得る。加えて、周波帯はまた、異なる分割粒度を有し得る。例えば、各周波帯は、図3に示されるように、複数の波長信号に対応し得る。あるいは、各周波帯は、1つの波長信号に一意に対応し得る。これは本明細書において特に限定されない。利用可能な波長の総数もまた、本出願において限定されず、図3に示される100個の利用可能な波長であってよく、または120個の利用可能な波長、200個の利用可能な波長などであってよい。
【0047】
202:第1の光信号における各周波帯の第1の光パワー、及び第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出する。
【0048】
この実施形態では、光パワー検出は、複数の方式で具体的に実装され得る。説明は以下に別途記載される。
【0049】
タイプ1:フィルタ及びパワー検出器(Power Detector、PD)を一緒に使用する実装
【0050】
図4は、本出願による光パワー検出の実施形態の概略図である。図4に示すように、複数のフィルタ401及び複数のPD(402)が含まれ、1対1で対応している。各周波帯の光信号は、フィルタとPDの対応するグループを有する。各フィルタは、フィルタに対応する周波帯内にある光信号をフィルタリングし得、次いで、各PDは、対応する周波帯の光パワーを検出する。図3を一例として使用する。第2の光信号が周波帯1から周波帯10に分散される場合、少なくとも10個のグループのフィルタ及びPDを配置する必要がある。第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーが検出されると、10個のPDすべてが動作する必要がある。第1の光信号における各周波帯の第1の光パワーが検出されると、第1のPD及び第10のPDのそれぞれを介して、周波帯1の光パワー及び周波帯10の光パワーのみを検出する必要がある。
【0051】
フィルタは、具体的には図4に示される個別の設計であってよく、または別の形態、例えば、統合された設計またはカスケードフィルタの形態であってよいことに留意されたい。これは本明細書において特に限定されない。
【0052】
いくつかの可能な実装では、PDによって検出された光パワーは、代替的に、データ収集部403を設定することによって収集され得る。データ収集部は、アナログ-デジタル変換器(Analog-to-Digital Converter,ADC)などのデータ収集機能を有するコンポーネントによって具体的に実装され得る。
【0053】
タイプ2:スペクトル検出部を用いることによるパワー検出を実行する実装
【0054】
図5は、本出願による光パワー検出の別の実施形態の概略図である。図5に示すように、スペクトル検出部501は、光信号のスペクトル情報を検出してよく、例えば、各波長信号の光パワーを検出してよい。さらに、データ収集部502は、スペクトル検出部501によって検出されたパワーを収集する。スペクトル検出部501は、特定の波長範囲の信号を検出できることを理解されたい。したがって、フィルタを設定する必要はない。スペクトル検出部501の出力量は、依然として各周波帯のパワーである。スペクトル検出部は、具体的には、光スペクトルアナライザ(optical spectrum analyzer、OSA)または光パフォーマンスモニタ(optical performance monitor、OPM)などのコンポーネントであり得る。これは本明細書において限定されない。
【0055】
203:第1の光パワーに基づいて、第1の光信号の各周波帯の第1の光パワー変動であり、第1の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第1の光パワー変動を決定し、第2の光パワーに基づいて、第2の光信号の各周波帯の第2の光パワー変動であり、第2の光信号が伝送端から受信端に伝送された後に使用される第2の光パワー変動を決定する。
【0056】
光ファイバ内の光信号の伝送は、SRS効果によって影響を受けることがあり、パワー変化が生じ得る。したがって、光信号が光ファイバに結合される前に、光信号の各周波帯(第1の光信号及び第2の光信号を含む)におけるSRS効果によって引き起こされるパワー変動を予め計算する必要がある。各周波帯のパワー変動は、パワー転送量、正味のパワーゲインなどとも称され得ることを理解されたい。パワー変動の具体的な名称は、本出願において限定されない。
【0057】
図6は、周波帯間のパワー転送の実施形態の概略図である。図6に示すように、光信号を合計7つの周波帯に分割し、周波帯4のパワー転送を説明のための例として使用する。SRS効果による影響を受けて、周波帯1の周波帯3のパワーが周波帯4に転送され、周波帯4のパワーも周波帯5から周波帯7に転送される。すなわち、周波帯1から周波帯3は周波帯4にパワーゲインをもたらし、周波帯5から周波帯7は周波帯4にパワー損失をもたらす。したがって、他の6つの周波帯に対する周波帯4のパワー変動を別々に計算する必要があり、その後、SRS効果によって影響を受ける周波帯4の総パワー変動が、変動を合計することによって取得され得る。
【0058】
本実施形態は、周波帯のパワー変動を計算するための具体的な計算方式を提供し、詳細な説明は以下に提供される。
【0059】
まず、第1の係数及び第2の係数を取得する必要がある。第1の係数は、信号の伝送タイプに関連する一定の係数である。具体的には、信号の伝送タイプは、ファイバの長さ、ファイバタイプ、光増幅器タイプなどを含み得る。一般に、ネットワークが構築された後、ファイバの長さ、ファイバタイプ、及び光増幅器タイプなどのパラメータが決定され得、これらのパラメータは予め格納され、定期的に更新され得ることを理解されたい。この場合、対応する第1の係数は、ローカルメモリに予め格納されたデータテーブルに基づいてクエリされ得る。データテーブルは表1に示され得る。
【0060】
【表1】
【0061】
第2の係数は、2つの周波帯毎の光パワー転送に関連する。具体的には、第2の係数は、周波帯iの周波帯jに対するパワー伝達係数を意味するTi,jとして表されてよい。図6を一例として使用する。T4,1は、周波帯1に対する周波帯4のパワー伝達係数を表す。周波帯1は周波帯4にパワーゲインをもたらすので、T4,1は正の値である。T4,7は、周波帯7に対する周波帯4のパワー伝達係数を表す。周波帯7は周波帯4にパワー損失をもたらすので、T4,7は負の値である。第2の係数はまた、計算中のクエリを容易にするために、データテーブルの形式でローカルメモリに予め格納され得ることを理解されたい。データテーブルは表2に示され得る。
【0062】
【表2】
【0063】
さらに、各周波帯のパワー変動は、光信号(第1の光信号及び第2の光信号を含む)における各周波帯の光パワーであり、ステップ202で計算される光パワーと、第1の係数と、第2の係数とに基づいて計算される。具体的には、以下の式に従ってパワー変動を計算してよい。式は、
【0064】
【数3】
【0065】
であり、ここでSiは周波帯iの総パワー変動を表し、Aは第1の係数を表し、Mは周波帯の数量を表し、Ti、jは第2の係数を表し、Piは周波帯iの光パワーを表す。
【0066】
204:第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて第1の補償値を決定し、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて第2の補償値を決定する。
【0067】
本実施形態では、第1の補償値は、第1の光信号の総パワーを補償するために使用され、第2の補償値は、第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償するために使用される。以下では、例を使用して説明を提供する。図7は、光信号のパワー変化の実施形態の概略図である。図7に示すように、L0は、第2の光信号のパワースペクトルを表す。L1は、第1の光信号のパワースペクトルを表す。L2は、第1の補償値に基づいて第1の光信号に対してパワー補償を行うことによって取得されるパワースペクトルを表す。第1の補償値に基づいて補償を行った後、第1の光信号の総パワーは第2の光信号の総パワーと一致するが、第1の光信号と第2の光信号とのパワースペクトル傾斜は一致しないこと、具体的には、中域の周波帯のパワー変動が小さく、両側の周波帯のパワー変動が依然として大きいことを理解することができる。したがって、補償された第1の光信号及び第2の光信号のパワースペクトル傾斜も一致し、第1の光信号のパワースペクトルがより正確に補償され得るように、L3によって示されるパワースペクトルを取得するために、第2の補償値に基づいてL2に対してさらに補償が行われる必要がある。第1の光信号が単一波長信号である場合、第2の補償値が0でもあり得ることを理解されたい。
【0068】
以下では、第1の補償値及び第2の補償値の計算方式について別途説明する。
【0069】
第1の補償値は、以下の第1の式に従って計算されてよく、詳細な説明は以下に提供される。
【0070】
第1の式は
【0071】
【数4】
【0072】
である。C1は第1の補償値を表し、iは周波帯のシーケンス番号を表し、Mは周波帯の数量を表し、Si1は第2の光信号における周波帯iのパワー変動を表し、Si2は第1の光信号における周波帯iのパワー変動を表し、Xiは第1の光信号における周波帯iの光パワーの、第1の光信号の総パワーに対するパーセンテージを表す。Si1及びSi2は、ステップ203の計算によって取得され得ることを理解されたい。さらに、波長のアドまたはドロップ前の各帯域のパワー変動と、波長のアドまたはドロップ後の各周波帯のパワー変動との差分を計算し、次いで、その差分及び各帯域のパワー加重値に対して乗算を行って結果を取得し、全帯域の結果を合計して第1の補償値を取得する。
【0073】
第2の補償値は、以下の第2の式に従って計算されてよく、詳細な説明は以下に提供される。
【0074】
第2の式は、C2=(S1max-S1min)-(S2max-S2min)である。C2は第2の補償値を表し、S1maxは第1の光信号における最終セグメントの周波帯の光パワー変動を表し、S1minは第1の光信号における第1セグメントの周波帯の光パワー変動を表し、S2maxは第2の光信号における最終セグメントの周波帯の光パワー変動を表し、S2minは第2の光信号における第1セグメントの周波帯の光パワー変動を表す。(S1max-S1min)は、SRS効果によって影響を受ける第1の光信号のパワーチルト量を表し、(S2max-S2min)は、SRS効果によって影響を受ける第2の光信号のパワーチルト量を表すことを理解されたい。両者の違いは、波長のアド/ドロップに起因するパワーチルト変動である。
【0075】
第1の光信号における第1セグメントの周波帯は、第1の光信号において最小波長を有する周波帯を指し、第1の光信号における最終セグメントの周波帯は、第1の光信号において最大波長を有する周波帯を指すことに留意されたい。第2の光信号における第1セグメントの周波帯は、第2の光信号において最小波長を有する周波帯を指し、第2の光信号の最終セグメントの周波帯は、第2の光信号において最大波長を有する周波帯を指す。例えば、第2の光信号は、周波帯1から周波帯10に分散され、第2の光信号の第1セグメントの周波帯及び最終セグメントの周波帯は、それぞれ周波帯1及び周波帯10である。第2の光信号に対して波長のドロップを行った後、第1の光信号は、周波帯2、周波帯5、及び周波帯7に分散され、第1の光信号の第1セグメントの周波帯及び最終セグメントの周波帯は、それぞれ周波帯2及び周波帯7である。
【0076】
205:第1の補償値に基づいて第1の光信号の総パワーを補償し、第2の補償値に基づいて第1の光信号のパワースペクトル傾斜を補償する。
【0077】
図8は、本出願の実施形態による光増幅器の構造の概略図である。具体的には、光増幅器を調整することにより、総パワー及びパワースペクトル傾斜の補償を行い得る。以下では、図8を参照してさらなる説明を提供する。
【0078】
第1のケースにおいて、第1の補償値が正の値である場合、第1の光信号のゲインであり、第1の光信号が光増幅器を通過した後に使用される第1の光信号のゲインが第1の補償値に対応する値だけ増加するように、光増幅器内部のポンプ1及びポンプ2の電流を増加させる必要がある。第1の補償値が負の値である場合、第1の光信号のゲインであり、第1の光信号が光増幅器を通過した後に使用されるゲインが、第1の補償値に対応する値だけ減少するように、光増幅器内部のポンプ1及びポンプ2の電流を減少させる必要がある。例えば、パワー補償前の第1の光信号の総パワーが18dBmであり、第1の補償値が1dBである場合、パワー補償後の第1の光信号の総パワーは19dBmである。
【0079】
第2のケースでは、第2の補償値が正の値である場合、第1の光信号のゲインスロープであり、第1の光信号が光増幅器を通過した後に使用されるゲインスロープは、第2の補償値に対応する値だけ増加するように、ポンプ1及びポンプ2の間の可変光減衰器(variable optical attenuator、VOA)の減衰を増加させる必要がある。第2の補償値が負の値である場合、第1の光信号のゲインスロープであり、第1の光信号が光増幅器を通過した後に使用されるゲインスロープが第2の補償値に対応する値だけ減少するように、ポンプ1及びポンプ2の間のVOAの減衰を減少させる必要がある。
【0080】
本出願の実施形態では、第1の光信号は、第2の光信号に波長のアドまたはドロップを行うことによって取得される光信号であり、信号伝送端は、第1の光信号における各周波帯の第1の光パワー及び第2の光信号における各周波帯の第2の光パワーを検出する必要がある。次に、第1の光信号が伝送端から受信端に伝送された後、各周波帯におけるSRS効果によって生じる第1の光パワー変動を第1の光パワーに基づいて計算してよく、第2の光信号が伝送端から受信端に伝送された後、各周波帯におけるSRS効果によって生じる第2の光パワー変動を第2の光パワーに基づいて計算してよい。次いで、第1の補償値及び第2の補償値は、第1の光パワー変動及び第2の光パワー変動に基づいて決定されてよい。さらに、第1の光信号が伝送される前に、第1の光信号の総パワーは、第1の補償値に基づいて補償されてよく、その結果、光ファイバ内で第1の光信号を伝送する過程でSRS効果によって引き起こされるパワー変化がシステム耐性能力を超えないようにし、それによって信号伝送の安定性を改善する。さらに、第1の光信号のパワースペクトル傾斜は、第2の補償値に基づいてさらに補償されてよく、その結果、信号受信端によって受信される第1の光信号及び第2の光信号のパワースペクトル傾斜が一致し、それにより信号伝送の安定性がさらに向上する。
【0081】
上記では、本出願の実施形態における光信号のパワー補償値を決定する方法を説明し、以下では、本出願の実施形態におけるパワー計算装置を説明する。
【0082】
図9は、パワー計算装置の構造の概略図である。パワー計算装置は、プロセッサ901、メモリ902、及び光検出モジュール903を含む。プロセッサ901、メモリ902、及び光検出モジュール903は、回線を介して互いに接続されている。メモリ902は、プログラム命令及びデータを格納するように構成される。パワー計算装置は、図2に示す前述の実施形態における光信号のパワー補償値を決定する方法を実装するパワー計算装置であってよいことに留意されたい。
【0083】
可能な実装では、メモリ902は、図2に示されるステップをサポートするプログラム命令及びデータ(例えば、上記のステップ203で説明された第1の係数及び第2の係数)を格納する。プロセッサ901及び光検出モジュール903は、図2に示す方法のステップを実行するように構成される。具体的には、光検出モジュール903は、図2に示すステップ201及びステップ202を実行するように構成される。プロセッサ901は、図2に示すステップ203からステップ205を実行するように構成される。
【0084】
光検出モジュール903は、図4に示すように、フィルタ401、PD(402)、及びデータ収集部403に分割されてよいことを理解されたい。あるいは、光検出モジュール903は、図5に示すように、スペクトル検出部501とデータ収集部502とに分割されてよい。
【0085】
図10は、本出願の実施形態による光伝送システムの構造の概略図である。光伝送システムは、第1のサイト1001及び第2のサイト1002を含む。第1のサイト1001によって出力される光信号は、光ファイバを介して第2のサイト1002に伝送される。具体的には、第1のサイト1001は、図2に示される実施形態における任意の方法のステップを実行するように構成される。第1のサイト1001によって出力される光信号が光ファイバに結合される前に、第1の補償値及び第2の補償値が予め計算されてよく、それぞれ、光信号の総パワー変動及びパワースペクトル傾斜の変化量を補償するために使用されてよい。第1のサイトは、光増幅器サイト、ROADMサイトなどであってよいことを理解されたい。これは本明細書において特に限定されない。
【0086】
当業者であれば、前述の実施形態におけるステップのすべてまたは一部が、ハードウェアまたは関連するハードウェアに指示するプログラムによって実装され得ることを理解し得る。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。記憶媒体は、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリなどであってよい。具体的には、例えば、前述の処理ユニットまたはプロセッサは、中央処理ユニット、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または別のプログラマブルロジックデバイス、トランジスタロジックデバイス、ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。それらの機能がハードウェアによって実行されるかまたはソフトウェアによって実行されるかは、特定の適用及び技術解決策の設計上の制約条件に依存する。当業者は、特定の適用毎に説明された機能を実装するために異なる方法を使用し得るが、実装が本出願の実施形態の範囲を超えるとみなされるべきではない。
【0087】
ソフトウェアを使用して実施形態を実装するとき、実施形態における方法のステップのすべてまたはいくつかは、コンピュータプログラム製品の形態で実装され得る。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされて実行されるとき、本出願の実施形態による手順または機能が、すべてまたは部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または別のプログラム可能な装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得るか、またはコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に伝送され得る。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、またはデジタル加入者線(DSL))方式または無線(例えば、赤外線、無線、またはマイクロ波)方式で別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに伝送され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、またはデータ記憶装置、例えば、1つまたは複数の使用可能な媒体を統合するサーバまたはデータセンタであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(Solid-State Drive、(SSD))などであり得る。
【0088】
最後に、前述の説明は、本出願の特定の実装にすぎないが、本出願の保護範囲を制限することを意図したものではないことに留意されたい。本出願に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に理解されるいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内に含まれるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10