(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241213BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B1/00 396B
F25B13/00 A
(21)【出願番号】P 2023527195
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2021021695
(87)【国際公開番号】W WO2022259354
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正紘
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-281575(JP,A)
【文献】特開平8-86477(JP,A)
【文献】国際公開第2012/070192(WO,A1)
【文献】特開2009-18602(JP,A)
【文献】特開2020-139641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
F25B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、四方弁、空気熱交換器、膨張弁、および水熱交換器を含み、非共沸混合冷媒が循環する冷媒循環回路と、
ポンプ、液流方向切替部、前記水熱交換器、および室内熱交換器を含み、液媒体が循環する液媒体循環回路とを備え、
前記水熱交換器は、前記非共沸混合冷媒が前記液媒体と熱交換するように設けられており、
前記四方弁は、前記非共沸混合冷媒が前記圧縮機、前記空気熱交換器、および前記水熱交換器を順次流れる第1状態と、前記非共沸混合冷媒が前記圧縮機、前記水熱交換器、および前記空気熱交換器を順次流れる第2状態とを切り替え、
前記液流方向切替部は、前記液媒体が前記液媒体循環回路を流れる方向を切り替え、
前記第1状態では、前記非共沸混合冷媒は前記水熱交換器内を下方から上方に流れ、前記液媒体は前記水熱交換器内を上方から下方に流れ、
前記第2状態では、前記非共沸混合冷媒は前記水熱交換器内を上方から下方に流れ、前記液媒体は前記水熱交換器を下方から上方に流れ、
前記液媒体が前記室内熱交換器を流れる方向は、前記第1状態および前記第2状態の各々の間で一定とな
り、
前記室内熱交換器は、前記液媒体が流入する流入口と、前記液媒体が流出する流出口とを含み、
前記液流方向切替部は、前記流出口から流出した前記液媒体が流入する流入部と、前記液媒体が前記流入口に向かって流出する流出部とを含み、
前記ポンプは、前記室内熱交換器の前記流出口から流出した前記液媒体を前記液流方向切替部の前記流入部に送り出す、または前記液流方向切替部の前記流出部から流出した前記液媒体を前記室内熱交換器の前記流入口に送り出すように、設けられており、
前記水熱交換器は、前記液媒体が流出入する第1流出入部および第2流出入部を含み、
前記第1流出入部は、前記第2流出入部よりも上方に配置されており、
前記液流方向切替部は、
前記流入部と前記第1流出入部との間に接続された第1流路と、
前記流入部と前記第2流出入部との間に接続された第2流路と、
前記流出部と前記第1流出入部との間に接続された第3流路と、
前記流出部と前記第2流出入部との間に接続された第4流路と、
前記第1流路を開閉する第1開閉弁と、
前記第2流路を開閉する第2開閉弁と、
前記第3流路を開閉する第3開閉弁と、
前記第4流路を開閉する第4開閉弁とを含み、
前記第1状態では、前記第1開閉弁および前記第4開閉弁が開かれ、前記第2開閉弁および前記第3開閉弁が閉じられ、
前記第2状態では、前記第2開閉弁および前記第3開閉弁が開かれ、前記第1開閉弁および前記第4開閉弁が閉じられ、
前記液流方向切替部は、互いに積層された複数のプレートを含む積層構造体を含み、
前記複数のプレートは、
前記第1開閉弁と接続されている第1貫通孔、前記第2開閉弁と接続されている第2貫通孔、前記第3開閉弁と接続されている第3貫通孔、および前記第4開閉弁と接続されている第4貫通孔が形成されている第1プレートと、
前記第1流出入部と接続されている第5貫通孔、および前記第2流出入部と接続されている第6貫通孔が形成されている第2プレートと、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に配置されている第3プレートを含み、
前記複数のプレートは、前記第1状態において、前記第1流路が前記第1貫通孔と前記第5貫通孔との間に形成され、前記第4流路が前記第4貫通孔と前記第6貫通孔との間に形成され、前記第2状態において、前記第2流路が前記第2貫通孔と前記第6貫通孔との間に形成され、前記第3流路が前記第3貫通孔と前記第5貫通孔との間に形成されるように設けられている、冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記第5貫通孔は前記第1貫通孔と前記複数のプレートの積層方向に重なるように配置されており、
前記第6貫通孔は前記第4貫通孔と前記積層方向に重なるように配置されており、
前記第3プレートには、前記積層方向において前記第1貫通孔および前記第5貫通孔と重なる第7貫通孔、前記積層方向において前記第3貫通孔と重なる第9貫通孔、前記積層方向において前記第4貫通孔および前記第6貫通孔と重なる第10貫通孔が形成されており、
前記積層構造体は、前記第1貫通孔と前記第7貫通孔との間を接続する第1シール部材と、前記第3貫通孔と前記第9貫通孔との間を接続する第2シール部材と、前記第6貫通孔と前記第10貫通孔との間を接続する第3シール部材とを含み、
前記第1プレートと前記第3プレートとの間において、前記第1シール部材および前記第2シール部材の外側には、前記第2貫通孔、前記第4貫通孔、および前記第10貫通孔の各々と連なる第1空間が形成されており、
前記第2プレートと前記第3プレートとの間において、前記第3シール部材の外側には、前記第5貫通孔、前記第7貫通孔、および前記第9貫通孔の各々と連なる第2空間が形成されており、
前記第1状態において、前記第1流路の一部が前記第1シール部材の内側に形成され、前記第4流路の一部が前記第3シール部材の内側に形成され、
前記第2状態において、前記第2流路の一部が前記第1空間に形成され、前記第3流路の一部が前記第2空間および前記第2シール部材の内側に形成される、請求項
1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記第1シール部材、前記第2シール部材、および前記第3シール部材の各々は、断熱性を有する材料により構成されている断熱材を含む、請求項
2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記第3プレートの断熱性は、前記第1プレートの断熱性よりも高い、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、および前記第4開閉弁の少なくともいずれかは、一方向への流れのみを開閉するように設けられた片方向流れ用の電磁弁である、請求項
1~
4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、および前記第4開閉弁の少なくともいずれかは、鉛直方向に沿った前記液媒体の流れを開放または閉止するように設けられている、請求項
1~
5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷凍サイクル装置に使用される冷媒に対する規制が強化されており、恒久対策として温度勾配が大きい非共沸混合冷媒の使用が検討されている。
【0003】
一方で、非共沸混合冷媒が熱交換器において蒸発または凝縮する際、非共沸混合冷媒の温度が変化し、その開始温度と終了温度との間に差(温度勾配)が発生する。熱交換器において非共沸混合冷媒の流通方向が熱媒体の流通方向と同じ方向(並行流)とされると、当該熱交換器での熱交換効率が低下する。
【0004】
そこで、非共沸混合冷媒が使用された冷凍サイクル装置では、蒸発器における非共沸混合冷媒の流通方向が、蒸発器において非共沸混合冷媒と熱交換される熱媒体の流通方向に対して逆方向(対向流)とされる技術が知られている。
【0005】
特開平10-281575号公報には、非共沸混合冷媒と液媒体とが熱交換する水熱交換器において、非共沸混合冷媒が液媒体と対向流となる冷凍装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、利用側熱交換器(室内熱交換器)を通過する風の向きは一定とされる。特開平10-281575号公報に記載の冷凍サイクル装置では、液媒体が利用側熱交換器(室内熱交換器)を流れる方向が冷房運転時と暖房運転時との間で逆転するため、室内熱交換器を通過する風の向きが一定とされると、冷房運転あるいは暖房運転のどちらかにおいて液媒体が空気と平行流となる。この場合、液媒体が空気と対向流となる場合と比べて、室内熱交換器での熱交換効率が低下し、冷凍サイクル装置の消費電力が増加する。
【0008】
本開示の主たる目的は、水熱交換器において非共沸混合冷媒が液媒体と対向流となりながらも、室内熱交換器での熱交換効率の低下を抑制できる冷凍サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機、四方弁、空気熱交換器、膨張弁、および水熱交換器を含み、非共沸混合冷媒が循環する冷媒循環回路と、ポンプ、液流方向切替部、水熱交換器、および室内熱交換器を含み、液媒体が樹幹する液媒体循環回路とを備える。水熱交換器は、非共沸混合冷媒が液媒体と熱交換するように設けられている。四方弁は、非共沸混合冷媒が圧縮機、空気熱交換器、および水熱交換器を順次流れる第1状態と、非共沸混合冷媒が圧縮機、水熱交換器、および空気熱交換器を順次流れる第2状態とを切り替える。液流方向切替部は、液媒体が液媒体循環回路を流れる方向を切り替える。第1状態では、非共沸混合冷媒は水熱交換器内を下方から上方に流れ、液媒体は水熱交換器内を上方から下方に流れる。第2状態では、非共沸混合冷媒は水熱交換器内を上方から下方に流れ、液媒体は水熱交換器を下方から上方に流れる。液媒体が室内熱交換器を流れる方向は、第1状態および第2状態の各々の間で一定となる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、水熱交換器において非共沸混合冷媒が液媒体と対向流となりながらも、室内熱交換器での熱交換効率の低下を抑制できる冷凍サイクル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の第1状態を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の第2状態を示す図である。
【
図3】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の第1状態を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の第2状態を示す図である。
【
図5】
図3に示される第1状態において、液流方向切替部の積層構造体の内部に形成される第1流路および第4流路を説明するための図である。
【
図6】
図4に示される第2状態において、液流方向切替部の積層構造体の内部に形成される第2流路および第3流路を説明するための図である。
【
図7】
図3および
図5に示される積層構造体の変形例を説明するための図である。
【
図8】
図4および
図6に示される積層構造体の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。また、以下では、比較対象となる位置に対する重力方向を「下方」とよび、比較対象となる位置に対する「下方」とは逆方向を「上方」とよぶ。
図1~
図8において、Z方向が重力方向を示している。
【0013】
実施の形態1.
図1および
図2に示されるように、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100は、非共沸混合冷媒が循環する冷媒循環回路10と、液媒体が循環する液媒体循環回路20とを備える。非共沸混合冷媒は、例えばHFC(ハイドロフルオロカーボン)系冷媒またはHC(ハイドロカーボン)系冷媒である。HFC系冷媒としては、例えばR407Cである。液媒体は、非共沸混合冷媒との熱交換に伴って温度が変化し得る任意の熱輸送媒体であればよいが、例えば水である。
【0014】
冷媒循環回路10は、圧縮機11、四方弁12、空気熱交換器13、膨張弁14、および水熱交換器30を含む。液媒体循環回路20は、ポンプ21、液流方向切替部22、室内熱交換器23、および水熱交換器30を含む。冷凍サイクル装置100では、四方弁12および液流方向切替部22により、
図1に示される第1状態と
図2に示される第2状態とが切り替えられる。
【0015】
図1および
図2に示されるように、四方弁12は、冷媒循環回路10を流れる非共沸混合冷媒の流通方向を切り替える。四方弁12は、非共沸混合冷媒が圧縮機11、空気熱交換器13、膨張弁14、および水熱交換器30を順次流れる第1状態と、非共沸混合冷媒が圧縮機11、水熱交換器30、膨張弁14、および空気熱交換器13を順次流れる第2状態とを切り替える。
【0016】
図1および
図2に示されるように、液流方向切替部22は、四方弁12による第1状態と第2状態との間の切り替えに応じて、液媒体循環回路20を流れる液媒体の流通方向を切り替える。液流方向切替部22は、液媒体が第1状態では水熱交換器30内を上方から下方に流れ、液媒体が第2状態では水熱交換器30を下方から上方に流れ、かつ、液媒体が室内熱交換器23を流れる方向が第1状態および第2状態の各々において一定となるように、液媒体が液媒体循環回路20を流れる方向を切り替える。
【0017】
室内熱交換器23は、例えば液媒体が室内の空気と熱交換する空気熱交換器である。この場合、冷凍サイクル装置100は、空気調和機である。なお、室内熱交換器23は、例えば液媒体が他の液媒体と熱交換する水熱交換器であってもよい。室内熱交換器23は、液媒体が流入する流入口23Bと、液媒体が流出する流出口23Aとを有している。室内熱交換器23を通過する室内の空気の流通方向は、第1状態および第2状態との間で一定とされる。室内熱交換器23に室内の空気を送るファンは、一定の方向のみに回転するように設けられていてもよい。室内熱交換器23に室内の空気を送るファンの回転方向は反転不能であってもよい。
【0018】
水熱交換器30は、冷媒循環回路10を流れる非共沸混合冷媒が液媒体循環回路20を流れる液媒体と熱交換するように設けられている。水熱交換器30は、例えばプレート式熱交換器である。非共沸混合冷媒の流路と液媒体の流路とがプレートにより区画されている。水熱交換器30は、非共沸混合冷媒が流出入する第3流出入部30Cおよび第4流出入部30Dを有している。第3流出入部30Cは、第4流出入部30Dよりも上方に配置されている。水熱交換器30は、液媒体が流出入する第1流出入部30Aおよび第2流出入部30Bをさらに有している。第1流出入部30Aは、第2流出入部30Bよりも上方に配置されている。
【0019】
室内熱交換器23の流出口23Aは、ポンプ21および液流方向切替部22を介して、水熱交換器30の第1流出入部30Aおよび第2流出入部30Bの各々と接続されている。
【0020】
ポンプ21は、室内熱交換器23の流出口23Aと液流方向切替部22の流入部22Aとの間に接続されている。ポンプ21は、液流方向切替部22の外部に配置されている。ポンプは、室内熱交換器23の流出口23Aから流出した液媒体を液流方向切替部22の流入部22Aに送り出すように設けられている。なお、ポンプ21は、液流方向切替部22の流出部22Bから流出した液媒体を室内熱交換器23の流入口23Bに送り出すように、設けられていてもよい。
【0021】
室内熱交換器23の流入口23Bは、液流方向切替部22を介して、水熱交換器30の第1流出入部30Aおよび第2流出入部30Bの各々と接続されている。流出口23Aは、例えば流入口23Bよりも上方に配置されている。
【0022】
液流方向切替部22は、液媒体が流入する流入部22A、液媒体が流出する流出部22B、ならびに液媒体が流出入する第5流出入部22Cおよび第6流出入部22Dを有している。流入部22Aは、ポンプ21の吐出口と接続されている。流入部22Aは、ポンプ21を介して室内熱交換器23の流出口23Aと接続されている。流出部22Bは、室内熱交換器23の流入口23Bと接続されている。第5流出入部22Cは、水熱交換器30の第1流出入部30Aと接続されている。第6流出入部22Dは、水熱交換器30の第2流出入部30Bと接続されている。
【0023】
液流方向切替部22は、第1状態において、流入部22Aから第5流出入部22Cに流れる液媒体の流路と、第6流出入部22Dから流出部22Bに流れる液媒体の流路とを形成する。液流方向切替部22は、第1状態において、流入部22Aから第6流出入部22Dに流れる液媒体の流路と、第5流出入部22Cから流出部22Bに流れる液媒体の流路とを形成しない。
【0024】
液流方向切替部22は、第2状態において、流入部22Aから第6流出入部22Dに流れる液媒体の流路と、第5流出入部22Cから流出部22Bに流れる液媒体の流路とを形成する。液流方向切替部22は、第2状態において、流入部22Aから第5流出入部22Cに流れる液媒体の流路と、第6流出入部22Dから流出部22Bに流れる液媒体の流路とを形成しない。
【0025】
具体的には、液流方向切替部22は、第1流路F1、第2流路F2、第3流路F3、および第4流路F4と、第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44とを含む。第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々は、一方向への流れのみを開閉するように設けられた片方向流れ用の電磁弁である。第1開閉弁41は、流入部22Aから第1貫通孔61への一方向への流れのみを開閉する片方向流れ用の電磁弁である。第2開閉弁42は、流入部22Aから第2貫通孔62への一方向への流れのみを開閉する片方向流れ用の電磁弁である。第3開閉弁43は、第3貫通孔63から流出部22Bへの一方向への流れのみを開閉する片方向流れ用の電磁弁である。第4開閉弁44は、第4貫通孔64から流出部22Bへの一方向への流れのみを開閉する片方向流れ用の電磁弁である。第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々は、鉛直方向に沿った水の流れを開放または閉止するように設けられている。
【0026】
第1流路F1は、流入部22Aと第5流出入部22Cとの間を接続している。第1流路F1は、室内熱交換器23の流出口23Aと、水熱交換器30の第1流出入部30Aとの間に接続されている。第1開閉弁41は、第1流路F1を開閉する。
【0027】
第2流路F2は、流入部22Aと第6流出入部22Dとの間を接続している。第2流路F2は、室内熱交換器23の流出口23Aと、水熱交換器30の第2流出入部30Bとの間に接続されている。第2開閉弁42は、第2流路F2を開閉する。
【0028】
第3流路F3は、第5流出入部22Cと流出部22Bとの間を接続している。第3流路F3は、水熱交換器30の第1流出入部30Aと、室内熱交換器23の流入口23Bとの間に接続されている。第3開閉弁43は、第3流路F3を開閉する。
【0029】
第4流路F4は、第6流出入部22Dと流出部22Bとの間を接続している。第4流路F4は、水熱交換器30の第2流出入部30Bと、室内熱交換器23の流入口23Bとの間に接続されている。第4開閉弁44は、第4流路F4を開閉する。
【0030】
第1流路F1および第2流路F2は、流入部22Aに対して互いに並列に接続されている。第3流路F3および第4流路F4は、流出部22Bに対して互いに並列に接続されている。
【0031】
第1状態では、第1開閉弁41および第4開閉弁44が開かれ、第2開閉弁42および第3開閉弁43が閉じられる。これにより、液流方向切替部22は、第1状態において、第1流路F1を流入部22Aから第5流出入部22Cに流れる液媒体の流れ、および第4流路F4を第6流出入部22Dから流出部22Bに流れる液媒体の流れ、を形成する。液流方向切替部22は、第1状態において、第2流路F2を流入部22Aから第6流出入部22Dに流れる液媒体の流れ、および第3流路F3を第5流出入部22Cから流出部22Bに流れる液媒体の流れ、を形成しない。
【0032】
第2状態では、第2開閉弁42および第3開閉弁43が開かれ、第1開閉弁41および第4開閉弁44が閉じられる。これにより、液流方向切替部22は、第2状態において、第2流路F2を流入部22Aから第6流出入部22Dに流れる液媒体の流れ、および第3流路F3を第5流出入部22Cから流出部22Bに流れる液媒体の流れ、を形成する。液流方向切替部22は、第2状態において、第1流路F1を流入部22Aから第5流出入部22Cに流れる液媒体の流れ、および第4流路F4を第6流出入部22Dから流出部22Bに流れる液媒体の流れ、を形成しない。
【0033】
より具体的には、液流方向切替部22は、複数の配管を含む。第1流路F1、第2流路F2、第3流路F3、および第4流路F4の各々は、複数の配管のうちの少なくとも1つの配管により構成されている。
【0034】
複数の配管は、第1流出入部30Aに接続されている第1配管31と、第2流出入部30Bに接続されている第2配管32と、第1配管31に対し互いに並列に接続されている第3配管51および第4配管53と、第2配管32に対し互いに並列に接続されている第5配管52および第6配管54とを含む。第3配管51および第5配管52は、流入部22Aに対して互いに並列に接続されている。第4配管53および第6配管54は、流出部22Bに対して互いに並列に接続されている。
【0035】
第1流路F1は、互いに直列に接続されている第1配管31および第3配管51により構成されている。第2流路F2は、互いに直列に接続されている第2配管32および第5配管52により構成されている。第3流路F3は、互いに直列に接続されている第1配管31および第4配管53により構成されている。第4流路F4は、互いに直列に接続されている第2配管32および第6配管54により構成されている。
【0036】
第1開閉弁41は、第3配管51に接続されている。第2開閉弁42は、第5配管52に接続されている。第3開閉弁43は、第4配管53に接続されている。第4開閉弁44は、第6配管54に接続されている。
【0037】
第1配管31は、第1流路F1のうち第5流出入部22C側に位置する一部を構成するとともに、第3流路F3のうち第5流出入部22C側に位置する一部を構成する。第2配管32は、第2流路F2のうち第6流出入部22D側に位置する一部を構成するとともに、第4流路F4のうち第6流出入部22D側に位置する一部を構成する。つまり、第1流路F1のうち第5流出入部22C側に位置する一部は、第3流路F3のうち第5流出入部22C側に位置する一部を兼ねている。第2流路F2のうち第6流出入部22D側に位置する一部は、第4流路F4のうち第6流出入部22D側に位置する一部を兼ねている。
【0038】
次に、冷凍サイクル装置100の動作を説明する。
図1に示されるように、第1状態では、圧縮機11から吐出された非共沸混合冷媒は、空気熱交換器13にて空気と熱交換することにより凝縮する。凝縮した非共沸混合冷媒は、膨張弁14にて減圧された後、水熱交換器30にて液媒体と熱交換することにより蒸発する。蒸発した非共沸混合冷媒は、圧縮機11に吸入される。
【0039】
第1状態では、ポンプ21から流出した液媒体は、流入部22Aから液流方向切替部22に流入する。液流方向切替部22に流入した液媒体は、第1流路F1を流れ、第5流出入部22Cから液流方向切替部22の外部に流出する。液流方向切替部22から流出した液媒体は、第1流出入部30Aから水熱交換器30に流入する。水熱交換器30に流入した液媒体は、非共沸混合冷媒と熱交換することにより冷却される。冷却された液媒体は、第2流出入部30Bから水熱交換器30の外部に流出し、第6流出入部22Dから液流方向切替部22に流入する。液流方向切替部22に流入した液媒体は、第4流路F4を流れ、流出部22Bから液流方向切替部22の外部に流出する。液流方向切替部22から流出した液媒体は、流入口23Bから室内熱交換器23に流入し、室内熱交換器23にて室内の空気と熱交換することにより、室内の空気を冷却する。熱交換により加熱された液媒体は、ポンプ21に流入する。
【0040】
第1状態において、非共沸混合冷媒は、第4流出入部30Dから水熱交換器30に流入し、第3流出入部30Cから水熱交換器30の外部に流出する。液媒体は、第1流出入部30Aから水熱交換器30に流入し、第2流出入部30Bから水熱交換器30の外部に流出する。第1状態では、水熱交換器30の内部を下方から上方に流れる非共沸混合冷媒が、水熱交換器30の内部を上方から下方に流れる液媒体と熱交換する。
【0041】
図2に示されるように、第2状態では、圧縮機11から吐出された非共沸混合冷媒は、水熱交換器30にて液媒体と熱交換することにより凝縮し、膨張弁14にて減圧された後、空気熱交換器13にて空気と熱交換することにより蒸発する。蒸発した非共沸混合冷媒は、圧縮機11に吸入される。
【0042】
第2状態では、ポンプ21から流出した液媒体は、流入部22Aから液流方向切替部22に流入する。液流方向切替部22に流入した液媒体は、第2流路F2を流れ、第6流出入部22Dから液流方向切替部22の外部に流出する。液流方向切替部22から流出した液媒体は、第2流出入部30Bから水熱交換器30に流入する。水熱交換器30に流入した液媒体は、非共沸混合冷媒と熱交換することにより加熱される。加熱された液媒体は、第1流出入部30Aから水熱交換器30の外部に流出し、第5流出入部22Cから液流方向切替部22に流入する。液流方向切替部22に流入した液媒体は、第3流路F3を流れ、流出部22Bから液流方向切替部22の外部に流出する。液流方向切替部22から流出した液媒体は、流入口23Bから室内熱交換器23に流入し、室内熱交換器23にて室内の空気と熱交換することにより、室内の空気を加熱する。熱交換により冷却された液媒体は、ポンプ21に流入する。
【0043】
第2状態において、非共沸混合冷媒は、第3流出入部30Cから水熱交換器30に流入し、第4流出入部30Dから水熱交換器30の外部に流出する。液媒体は、第2流出入部30Bから水熱交換器30に流入し、第1流出入部30Aから水熱交換器30の外部に流出する。第2状態では、水熱交換器30の内部を上方から下方に流れる非共沸混合冷媒が、水熱交換器30の内部を下方から上方に流れる液媒体と熱交換する。
【0044】
このように、第1状態および第2状態ともに、液媒体が水熱交換器30を流れる方向は、非共沸混合冷媒が水熱交換器30を流れる方向と逆方向となる。言い換えると、水熱交換器30において、液媒体の流れは、第1状態および第2状態のいずれにおいても非共沸混合冷媒の流れに対して対向流となる。
【0045】
さらに、液媒体が室内熱交換器23を流れる方向は、第1状態および第2状態との間で一定となる。つまり、室内熱交換器23において熱交換する液媒体および室内の空気の各々の流通方向は、第1状態および第2状態との間で一定となる。室内の空気が室内熱交換器23を流れる方向は、第1状態および第2状態の各々において液媒体が室内熱交換器23を流れる方向と逆方向となるように設定され得る。室内熱交換器23において、液媒体の流れは、第1状態および第2状態のいずれにおいても室内の空気の流れに対して対向流となり得る。
【0046】
そのため、冷凍サイクル装置100では、水熱交換器30において非共沸混合冷媒が液媒体と対向流となりながらも、室内熱交換器23において液媒体が室内の空気と対向流となり得るため、水熱交換器30および室内熱交換器23の各々での熱交換効率の低下が同時に抑制され得る。
【0047】
冷凍サイクル装置100では、第1状態および第2状態によらず、液流方向切替部22の流出部22Bから流入部22Aまで流れる液媒体の流通方向が一定であるため、ポンプ21は、液媒体循環回路20において液流方向切替部22の流出部22Bよりも下流であって流入部22Aよりも上流に位置する流路に配置される。そのため、液媒体循環回路20が液流方向切替部22を含まない点で冷凍サイクル装置100と異なり、かつ液流方向切替部22を含まないために水熱交換器30において液媒体が非共沸混合冷媒と並行流となる既設の冷凍サイクル装置に対し、ポンプ21と水熱交換器30との間の冷媒流路および室内熱交換器23と水熱交換器30との間の冷媒流路を液流方向切替部22に置き換えることにより、冷凍サイクル装置100が容易に実現され得る。
【0048】
第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々は、一方向への流れのみを開閉するように設けられた片方向流れ用の電磁弁である。このような第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々は、双方向の流れを開閉するように設けられた双方向流れ用の電磁弁と比べて、安価である。
【0049】
なお、第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の少なくともいずれかが、片方向流れ用の電磁弁であってもよい。
【0050】
第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々は、鉛直方向に沿った水の流れを開放または閉止するように設けられている。このようにすれば、第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々が、水平方向に沿った水の流れを開放または閉止するように設けられている場合と比べて、各開閉弁を鉛直方向に垂直な断面に投影した面積が小さくなり、設置スペースが狭小化され得る。
【0051】
なお、第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の少なくともいずれかが、鉛直方向に沿った水の流れを開放または閉止するように設けられていてもよい。
【0052】
実施の形態2.
図3~
図6に示されるように、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置101は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100と基本的に同様の構成を備えるが、液流方向切替部22が複数の第3配管51、第4配管53、第5配管52、および第6配管54に代えて積層構造体60を含む点で、冷凍サイクル装置100とは異なる。以下では、冷凍サイクル装置101が冷凍サイクル装置100と異なる点を主に説明する。
【0053】
図5および
図6に示されるように、積層構造体60は、互いに積層された複数のプレートを含む。複数のプレートは、第1プレートP1、第2プレートP2、第3プレートP3、および第4プレートP4を含む。
【0054】
第1プレートP1および第2プレートP2は、複数のプレートのうち、複数のプレートが積層している方向(以下、単に積層方向とよぶ)の両端部に配置されている。第3プレートP3および第4プレートP4は、積層方向において第1プレートP1と第2プレートP2との間に配置されている。第1プレートP1、第3プレートP3、第4プレートP4、および第2プレートP2は、この記載順に積層している。
【0055】
第1プレートP1には、第1貫通孔61、第2貫通孔62、第3貫通孔63、および第4貫通孔64が形成されている。第1貫通孔61は、第1開閉弁41と接続されている。第2貫通孔62は、第2開閉弁42と接続されている。第3貫通孔63は、第3開閉弁43と接続されている。第4貫通孔64は、第4開閉弁44と接続されている。
【0056】
第2プレートP2には、第5貫通孔65、および第6貫通孔66が形成されている。第5貫通孔65は、水熱交換器30の第1流出入部30Aと接続されている。水熱交換器30の第6貫通孔66は、第2流出入部30Bと接続されている。
【0057】
第3プレートP3には、第7貫通孔67、第8貫通孔68、第9貫通孔69、および第10貫通孔70が形成されている。第7貫通孔67は、積層方向において第1貫通孔61および第5貫通孔65の間に、これらと重なるように配置されている。第8貫通孔68は、積層方向において第2貫通孔62および第2プレートP2の間に、これらと重なるように配置されている。第9貫通孔69は、積層方向において第3貫通孔63および第2プレートP2の間に、これらと重なるように配置されている。第10貫通孔70は、積層方向において第4貫通孔64および第6貫通孔66との間に、これらと重なるように配置されている。
【0058】
第4プレートP4には、第11貫通孔71、第12貫通孔72、第13貫通孔73、および第14貫通孔74が形成されている。第11貫通孔71は、積層方向において第7貫通孔67および第5貫通孔65の間に、これらと重なるように配置されている。第12貫通孔72は、積層方向において第8貫通孔68および第2プレートP2の間に、これらと重なるように配置されている。第13貫通孔73は、積層方向において第9貫通孔69および第2プレートP2の間に、これらと重なるように配置されている。第14貫通孔74は、積層方向において第10貫通孔70および第6貫通孔66との間に、これらと重なるように配置されている。
【0059】
第4プレートP4の第12貫通孔72および第13貫通孔73の各々は、例えば第2プレートP2によって閉じられている。
【0060】
第3プレートおよび第4プレートP4の各々の断熱性は、第1プレートおよび第2プレートP2の各々の断熱性よりも高い。第3プレートおよび第4プレートP4の各々の熱伝導率は、第1プレートおよび第2プレートP2の各々の熱伝導率よりも低い。
【0061】
積層構造体60は、第1貫通孔61と第7貫通孔67との間を接続する第1シール部材75と、第3貫通孔63と第9貫通孔69との間を接続する第2シール部材76と、第6貫通孔66と第14貫通孔74との間を接続するシール部材77と、第14貫通孔74と第10貫通孔70との間を接続するシール部材78と、第8貫通孔68と第12貫通孔72との間を接続するシール部材79とを含む。シール部材77、第14貫通孔74、およびシール部材78は、積層方向にこの記載順に接続されている。シール部材77、第14貫通孔74、およびシール部材78は、第6貫通孔66と第10貫通孔70との間を接続する第3シール部材を構成している。
【0062】
第1シール部材75および第2シール部材76は、例えば第1プレートP1および第3プレートP3の各々とは別部材として構成されている。シール部材77は、例えば第2プレートP2および第4プレートP4の各々とは別部材として構成されている。シール部材78およびシール部材79は、例えば第3プレートP3および第4プレートP4の各々とは別部材として構成されている。
【0063】
第1シール部材75,第2シール部材76、シール部材77、シール部材78、およびシール部材79の各々は、断熱性を有する材料により構成されている断熱材を含む。断熱性を有する材料とは、第1プレートP1および第2プレートP2の各々を構成する材料と比べて熱伝導率が低い材料を意味する。第1プレートP1および第2プレートP2の各々を構成する材料は、例えばアルミニウム(Al)を含む。第1シール部材75,第2シール部材76、シール部材77、シール部材78、およびシール部材79の各々を構成する材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンのうちのいずれか1つの材料、または、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンのうちの少なくとも2つの混合材料を含む。
【0064】
第1プレートP1と第3プレートP3との間において、第1シール部材75および第2シール部材76の外側には、第1空間が形成されている。第1空間は、第2貫通孔62、第4貫通孔64、第8貫通孔68、および第10貫通孔70の各々と連なっている。
【0065】
第3プレートP3と第4プレートP4との間において、シール部材78およびシール部材79の外側には、第3空間が形成さらえている。第3空間は、第7貫通孔67、第9貫通孔69,第11貫通孔71の各々と連なっている。
【0066】
第2プレートP2と第4プレートP4との間において、シール部材77の外側には、第4空間が形成されている。第4空間は、第5貫通孔65、第11貫通孔71、および第12貫通孔72の各々と連なっている。
【0067】
図5に示されるように、第1状態において、第1流路F1は、第1貫通孔61、第1シール部材75、第7貫通孔67、第3空間、第11貫通孔71、第4空間、および第5貫通孔65の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第1流路F1の一部が、第1シール部材75の内側に形成される。
【0068】
図5に示されるように、第1状態において、第4流路F4は、第6貫通孔66、シール部材77、第14貫通孔74、シール部材78、第10貫通孔70、第1空間、および第4貫通孔64の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第4流路F4の一部が、シール部材77、第14貫通孔74、およびシール部材78の各々の内側に形成される。
【0069】
図5に示されるように、第1状態では、第1貫通孔61を通過した液媒体は、第1シール部材75により第1空間を流れず第7貫通孔67のみに流れる。第7貫通孔67から第3空間に流入した液媒体は、第11貫通孔71のみに流れる。第7貫通孔67から第3空間に流入した液媒体は、第3開閉弁43が閉じているため第9貫通孔69に流れず、シール部材78およびシール部材79により、第8貫通孔68および第10貫通孔70に流れない。第11貫通孔71から第4空間に流入した液媒体は、第5貫通孔65のみに流れる。第11貫通孔71から第4空間に流入した液媒体は、第2開閉弁42および第3開閉弁43が閉じているため、第12貫通孔72および第13貫通孔73に流れない。
【0070】
図5に示されるように、第1状態では、第6貫通孔66を通過した液媒体は、シール部材77により第4空間を流れず第14貫通孔74のみに流れる。第14貫通孔74を通過した液媒体は、シール部材78により第3空間を流れず第10貫通孔70のみに流れる。第10貫通孔70から第1空間に流入した液媒体は、第4貫通孔64のみに流れる。第10貫通孔70から第1空間に流入した液媒体は、第2開閉弁42および第3開閉弁43が閉じているため、第2貫通孔62および第3貫通孔63に流れない。
【0071】
図6に示されるように、第2状態において、第2流路F2は、第2貫通孔62、第1空間、第10貫通孔70、シール部材78、第14貫通孔74、シール部材77、および第6貫通孔66の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第2流路F2の一部が、シール部材77、第14貫通孔74、およびシール部材78の各々の内側に形成される。
【0072】
図6に示されるように、第2状態において、第3流路F3は、第5貫通孔65、第11貫通孔71、第3空間、第9貫通孔69、第2シール部材76、および第3貫通孔63の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第3流路F3の一部が、第2シール部材76の内側に形成される。
【0073】
図6に示されるように、第2状態では、第2貫通孔62を通過した液媒体は、第1空間を経て第10貫通孔70に流れる。第2貫通孔62を通過した液媒体は、第1シール部材75および第2シール部材76により第7貫通孔67および第9貫通孔69の各々に流れない。第10貫通孔70を通過した液媒体は、シール部材78により第3空間に流れず第14貫通孔74のみに流れる。第14貫通孔74を通過した液媒体は、シール部材77により第4空間を流れず第6貫通孔66のみに流れる。
【0074】
図6に示されるように、第2状態では、第5貫通孔65を通過した液媒体の一部は、第11貫通孔71および第3空間を経て、第9貫通孔69に流れる。第5貫通孔65を通過した液媒体の残部は、第4空間および第13貫通孔73を経て、第9貫通孔69に流れる。第5貫通孔65を通過した液媒体は、第1開閉弁41が閉じているため、第7貫通孔67に流れない。第9貫通孔69を通過した液媒体は、第2シール部材76により第3貫通孔63のみに流れる。
【0075】
冷凍サイクル装置101は、冷凍サイクル装置100と基本的に同様の構成を備えるため、冷凍サイクル装置100と同様の効果を実現できる。つまり、冷凍サイクル装置101においても、冷凍サイクル装置100と同様に、四方弁12による第1状態と第2状態との切り替えに応じて、第1開閉弁41、第2開閉弁42、第3開閉弁43、および第4開閉弁44の各々が開閉されることにより、水熱交換器30において非共沸混合冷媒が液媒体と対向流となりながらも、室内熱交換器23での熱交換効率の低下を抑制できる。積層構造体60は、プレート式熱交換器として準備されてもよい。
【0076】
さらに、積層構造体60の設置スペースは、
図1および
図2に示される第3配管51、第4配管53、第5配管52、および第6配管54の全体の設置スペースと比べて、削減され得る。第3配管51および第4配管53は互いに並列に接続され、かつ第5配管52および第6配管54は互いに並列に接続されているため、特に各配管の延在方向と直交する面内での設置スペースが比較的大きくなるためである。
【0077】
冷凍サイクル装置101では、液流方向切替部22が積層構造体60を含むため、複数の配管51~54を含む液流方向切替部22と比べて、設置スペースが削減され得る。
【0078】
冷凍サイクル装置101では、第1シール部材75、第2シール部材76、シール部材77、シール部材78、およびシール部材79の各々は、断熱性を有する材料により構成されている断熱材を含む。
【0079】
このようにすれば、各シール部材の内側を流れる液媒体が、各シール部材の外側を流れる熱媒体と熱交換することを抑制できる。第2状態において、第2シール部材76は、第1空間に形成される第2流路F2の一部が第2シール部材76の内側に形成される第3流路F3の一部と熱交換することを抑制する。第2状態において、シール部材78は、シール部材78の内側に形成される第2流路F2の他の一部が第4空間に形成される第3流路F3の他の一部と熱交換することを抑制する。これにより、第2状態において、水熱交換器30にて加熱された後の液媒体は、水熱交換器30にて加熱される前の液媒体と熱交換することにより冷却されることなく、室内熱交換器23に到達し得る。
【0080】
また、上述のように、第2状態において、第2流路F2の一部と第3流路F3の一部とは、第3プレートP3を挟んで配置される。そのため、第3プレートP3の断熱性が第1プレートP1の断熱性と同等あるいはそれ以下である場合、水熱交換器30にて加熱された後の液媒体が、水熱交換器30にて加熱される前の液媒体と熱交換することにより冷却される。
【0081】
これに対し、冷凍サイクル装置101では、第3プレートP3の断熱性が第1プレートP1の断熱性よりも高い。そのため、第2状態において、水熱交換器30にて加熱された後の液媒体は、水熱交換器30にて加熱される前の液媒体と熱交換することにより冷却されることなく、室内熱交換器23に到達し得る。
【0082】
図5および
図6に示される積層構造体60は4つのプレートを含んでいるが、プレートの枚数は3つであってもよいし、5以上であってもよい。
【0083】
図7および
図8に示されるように、積層構造体60は、第4プレートP4を含んでいなくてもよい。以下では、
図7および
図8に示される積層構造体60が
図5および
図6に示される積層構造体60と異なる点を主に説明する。
【0084】
第3プレートP3の第8貫通孔68および第9貫通孔69の各々は、例えば第2プレートP2によって閉じられている。
【0085】
シール部材77は、第6貫通孔66と第10貫通孔70との間を接続する。シール部材77は、第6貫通孔66と第10貫通孔70との間を接続する第3シール部材を構成している。
【0086】
第2プレートP2と第3プレートP3との間において、シール部材77の外側には、第2空間が形成されている。第2空間は、第5貫通孔65、および第7貫通孔67の各々と連なっている。
【0087】
図7に示されるように、第1状態において、第1流路F1は、第1貫通孔61、第1シール部材75、第7貫通孔67、第2空間、および第5貫通孔65の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第1流路F1の一部が、第1シール部材75の内側に形成される。
【0088】
図7に示されるように、第1状態において、第4流路F4は、第6貫通孔66、シール部材77、第10貫通孔70、第1空間、および第4貫通孔64の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第4流路F4の一部が、シール部材77の内側に形成される。
【0089】
図8に示されるように、第2状態において、第2流路F2は、第2貫通孔62、第1空間、第10貫通孔70、シール部材77、および第6貫通孔66の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第2流路F2の一部が、シール部材77の内側に形成される。
【0090】
図8に示されるように、第2状態において、第3流路F3は、第5貫通孔65、第2空間、第9貫通孔69、第2シール部材76、および第3貫通孔63の各々がこの記載順に接続されて成る流路として形成される。第3流路F3の一部が、第2シール部材76の内側に形成される。
【0091】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置101では、第3プレートP3に第8貫通孔68が形成されていなくてもよい。第4プレートP4に第12貫通孔72が形成されていなくてもよい。この場合、積層構造体60はシール部材79を含んでいなくてもよい。
【0092】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置101では、積層構造体60は、水熱交換器30と一体として設けられていてもよい。水熱交換器30が1つのプレート式熱交換器の一部として構成され、積層構造体60が当該1つのプレート式熱交換器の残部として構成されていてもよい。このようにすれば、水熱交換器30と積層構造体60との間を接続する配管が不要となるため、冷凍サイクル装置101の設置スペースはさらに削減され得る。
【0093】
以上のように本開示の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本開示の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0094】
10 冷媒循環回路、11 圧縮機、12 四方弁、13 空気熱交換器、14 膨張弁、20 液媒体循環回路、21 ポンプ、22 液流方向切替部、22A 流入部、22B 流出部、22C 第5流出入部、22D 第6流出入部、23 室内熱交換器、23A 流出口、23B 流入口、30 水熱交換器、30A 第1流出入部、30B 第2流出入部、30C 第3流出入部、30D 第4流出入部、31 第1配管、32 第2配管、41 第1開閉弁、42 第2開閉弁、43 第3開閉弁、44 第4開閉弁、51 第3配管、52 第5配管、53 第4配管、54 第6配管、60 積層構造体、61 第1貫通孔、62 第2貫通孔、63 第3貫通孔、64 第4貫通孔、65 第5貫通孔、66 第6貫通孔、67 第7貫通孔、68 第8貫通孔、69 第9貫通孔、70 第10貫通孔、71 第11貫通孔、72 第12貫通孔、73 第13貫通孔、74 第14貫通孔、75 第1シール部材、76 第2シール部材、77,78,79 シール部材、100,101 冷凍サイクル装置。