(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241213BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241213BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241213BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20241213BHJP
H01L 21/762 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L29/78 301R
H01L29/06 301F
H01L21/94 A
H01L21/76 D
(21)【出願番号】P 2023538779
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2021108936
(87)【国際公開番号】W WO2022174556
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202110187733.0
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】李春旭
(72)【発明者】
【氏名】林峰
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼淑▲嫻▼
(72)【発明者】
【氏名】金宏峰
(72)【発明者】
【氏名】金▲華▼俊
(72)【発明者】
【氏名】黄▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】黄宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲ヒン▼
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0348533(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0054019(US,A1)
【文献】特開平09-289305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/336
H01L 21/762
H01L 29/06
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向拡散金属酸化物半導体デバイスであって、基板、ボディ領域、ドリフト領域、フィールドプレート構造及びドレイン領域を含み、
前記ボディ領域は、第一導電型を有し、前記基板内に形成され、
前記ドリフト領域は、第二導電型を有し、前記基板内に形成され、かつ、前記ボディ領域
と隣り合い、前記第二導電型は前記第一導電型と反対であり、
前記フィールドプレート構造は、前記ドリフト領域上に形成され、前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域に近接する一端の下面は前記基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端の下面は前記基板の上面よりも低く、前記フィールドプレート構造の厚さは、前記ボディ領域に近接する一端から、前記ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加し、
前記ドレイン領域は、前記第二導電型を有し、前記ドリフト領域の上部表面層に形成され、かつ、前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端に接触することを特徴とする横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項2】
前記傾斜面と前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域に近接する一端の下面との間の夾角は30度以上かつ60度以下であることを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項3】
前記フィールドプレート構造は、第一酸化構造及び第二酸化構造を含み、
前記第一酸化構造は、前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端であり、前記ドリフト領域上に形成され、かつ、前記第一酸化構造の上面は前記基板の上面より低くなく、前記第一酸化構造は前記ボディ領域から前記ドリフト領域に向かう方向に第一端部及び第二端部を順次含み、かつ、前記第一酸化構造の厚さは、前記第一端部から前記第二端部に向けて前記事前設定値まで徐々に増加し、
前記第二酸化構造は、前記ボディ領域に近接する側の前記ドリフト領域の上面に形成され、かつ、前記第一端部の上面に沿って前記第一端部と前記第二端部の境界部分まで延伸し、前記傾斜面は前記第二酸化構造の前記ボディ領域に近接する上面であることを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項4】
前記第二酸化構造の厚さは1500オングストローム以下であることを特徴とする請求項3に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項5】
前記第一酸化構造は
、局所的シリコンアイソレーション酸化構造を含むことを特徴とする請求項3に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項6】
ソース領域、多結晶シリコンゲート及びシャロートレンチアイソレーション構造を更に含み、
前記ソース領域は、前記第二導電型を有し、前記ボディ領域の上部表面層に形成され、
前記多結晶シリコンゲートは、前記フィールドプレート構造上に形成され、かつ、前記フィールドプレート構造に沿って延伸して前記ソース領域と前記フィールドプレート構造との間の基板を被覆し、
前記シャロートレンチアイソレーション構造は、前記基板内に形成され、前記シャロートレンチアイソレーション構造は前記ドレイン領域に接触し、かつ、前記シャロートレンチアイソレーション構造の下面の一部は前記ドリフト領域に接触することを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項7】
横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板内に、
互いに隣り合うボディ領域及びドリフト領域を形成するステップと、
前記ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成するステップと、
前記ドリフト領域の上部表面層に、前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端に接触する第二導電型のドレイン領域を形成するステップと、を含み、
前記ボディ領域は第一導電型を有し、前記ドリフト領域は第一導電型と反対の前記第二導電型を有し、
前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、前記フィールドプレート構造の厚さは、前記ボディ領域に近接する一端から、前記ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加することを特徴とする横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成するステップは、
前記ドリフト領域上に第一酸化構造を形成するステップと、
前記ボディ領域に近接する側の前記ドリフト領域の上面に第二酸化構造を形成するステップと、を含み、
前記第一酸化構造はボディ領域からドリフト領域に向かう方向に第一端部及び第二端部を順次含み、かつ、前記第一酸化構造の厚さは前記第一端部から前記第二端部に向けて前記事前設定値まで徐々に増加し、
前記第二酸化構造は前記第一端部の上面に沿って前記第一端部と前記第二端部の境界部分まで延伸し、
前記第一酸化構造は前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端であり、前記傾斜面は前記第二酸化構造の前記ボディ領域に近接する上面であり、前記傾斜面と前記フィールドプレート構造の前記ボディ領域に近接する一端の下面との間の夾角は30度以上かつ60度以下であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第一酸化構造は局所的シリコンアイソレーション酸化構造を含み、
前記ドリフト領域内に第一酸化構造を形成するステップは、
前記基板上に、第一酸化構造事前設定領域の基板を露出させる凹溝が設けられたハードマスク層を形成するステップと、
前記凹溝の側壁に、前記ハードマスク層に接触し、かつ、下面が前記凹溝の底部と面一である側壁構造を形成するステップと、
局所的熱酸化プロセスを行い、前記凹溝の底部に第一酸化構造を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ボディ領域に近接する側の前記ドリフト領域の上面に第二酸化構造を形成するステップは、
前記基板の上面に酸化薄膜を形成するステップと、
前記酸化薄膜上に、第二酸化構造事前設定領域の酸化薄膜を被覆するフォトレジストマスク層を形成するステップと、
ウェットエッチングプロセスを行って余分な酸化薄膜を除去し、第二酸化構造事前設定領域内に残った酸化薄膜により構成される第二酸化構造を取得するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記酸化薄膜の厚さは、300オングストローム以上、かつ、1500オングストローム以下であることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ドレイン領域に接触し、かつ、下面の一部が前記ドリフト領域に接触するシャロートレンチアイソレーション構造を前記基板内に形成するステップと、
前記ボディ領域の上部表面層に、第二導電型を有するソース領域を形成するステップと、
前記フィールドプレート構造上に、前記フィールドプレート構造に沿って延伸して前記ソース領域と前記フィールドプレート構造との間の基板を被覆する多結晶シリコンゲートを形成するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は半導体技術分野に関し、特に、横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NLDMOSはBCDにおいて中核的なデバイスであり、破壊電圧及びオン抵抗はLDMOSデバイスの性能を測る主要指標である。LDMOSデバイスが十分に大きい破壊電圧を有すると同時に十分に小さいオン抵抗を有することを保証するために、耐圧に用いるドリフト領域の不純物分布、フィールドプレート構造に対して変調を行う必要がある。典型的な製造プロセスにおいては、一般的にLOCOS構造又はSTI構造を用いて縦方向の耐圧フィールドプレートを製造し、フィールドプレート構造の厚さ、長さを変調することによって、LDMOSデバイスの性能を予想していたものにすることができる。
【0003】
LDMOSデバイスについては、電界分布を改善して、デバイスの信頼性を高めるために、厚さが徐々に変化するフィールドプレートを形成する必要があり、すなわち、デバイスのJFET領域に近接する位置にフィールドプレートが存在し、かつ、該位置のフィールドプレート厚さはドリフト領域のフィールドプレート厚さよりも小さくなければならない。LOCOS構造のフィールドプレートは大きなバーズビークを有することができ、LOCOS構造を用いてJFET領域の厚さがドリフト領域の厚さよりも小さいフィールドプレートとすることができるが、長すぎるバーズビークが存在するLOCOS構造では、LDMOSデバイス全体の間隔(pitch)が増大し、デバイスのオン抵抗が大きくなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づき、横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【0005】
横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは、基板、ボディ領域、ドリフト領域、フィールドプレート構造及びドレイン領域を含む。
【0006】
ボディ領域は、第一導電型を有し、基板内に形成される。
【0007】
ドリフト領域は、第二導電型を有し、基板内に形成され、かつ、ボディ領域に隣接し、第二導電型は第一導電型と反対である。
【0008】
フィールドプレート構造は、ドリフト領域上に形成される。フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さはボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。
【0009】
ドレイン領域は、第二導電型を有し、ドリフト領域の上部表面層に形成され、かつ、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端に接触する。
【0010】
1つの実施形態において、傾斜面とフィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面との間の夾角は30度以上かつ60度以下である。
【0011】
1つの実施形態において、フィールドプレート構造は、第一酸化構造及び第二酸化構造を含む。
【0012】
第一酸化構造は、フィールドプレート構造のドレイン領域に近接する一端であり、ドリフト領域上に形成され、かつ、第一酸化構造の上面は基板の上面より低くない。第一酸化構造はボディ領域からドリフト領域の方向に第一端部及び第二端部を順次含み、かつ、第一酸化構造の厚さは第一端部から第二端部に向けて事前設定値まで徐々に増加する。
【0013】
第二酸化構造は、ボディ領域に近接する側のドリフト領域の上面に形成され、かつ、第一端部の上面に沿って第一端部と第二端部の境界部分まで延伸する。傾斜面は第二酸化構造のボディ領域に近接する上面である。
【0014】
1つの実施形態において、第二酸化構造の厚さは1500オングストローム以下である。
【0015】
1つの実施形態において、第一酸化構造は局所的シリコンアイソレーション酸化構造を含み、前記局所的シリコンアイソレーション酸化構造はディッププロセスによって作られたものである。
【0016】
1つの実施形態において、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは、ソース領域、多結晶シリコンゲート及びシャロートレンチアイソレーション構造を更に含む。
【0017】
ソース領域は、第二導電型を有し、ボディ領域の上部表面層に形成される。
【0018】
多結晶シリコンゲートは、フィールドプレート構造上に形成され、かつ、フィールドプレート構造に沿って延伸してソース領域とフィールドプレート構造との間の基板を被覆する。
【0019】
シャロートレンチアイソレーション構造は、基板内に形成される。シャロートレンチアイソレーション構造はドレイン領域に接触し、かつ、シャロートレンチアイソレーション構造の下面の一部はドリフト領域に接触する。
【0020】
上述の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは、フィールドプレート構造がドリフト領域上に形成され、フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さはボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。ボディ領域に近接する一端の下面が基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有するフィールドプレート構造が設けられ、フィールドプレート構造の厚さがボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加することによって、下面が基板の上面よりも低いフィールドプレート構造において長さが増加しなくなる(LDMOSデバイスの間隔が増加しなくなる)と同時に、JFET領域の位置に厚さが徐々に増加するフィールドプレート構造が形成され、デバイス表面の電界分布が改善されると同時に、デバイスの信頼性が高まる。
【0021】
横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法は、以下の各ステップを含む。
【0022】
基板を提供する。
【0023】
基板内に隣接するボディ領域及びドリフト領域を形成する。ボディ領域は第一導電型を有し、ドリフト領域は第一導電型と反対の第二導電型を有する。
【0024】
ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成する。フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さはボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。
【0025】
ドリフト領域の上部表面層に第二導電型のドレイン領域を形成し、ドレイン領域はフィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端に接触する。
【0026】
1つの実施形態において、ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成するステップは、以下のことを含む。
【0027】
ドリフト領域上に第一酸化構造を形成する。第一酸化構造はボディ領域からドリフト領域の方向に第一端部及び第二端部を順次含み、かつ、第一酸化構造の厚さは第一端部から第二端部に向けて事前設定値まで徐々に増加する。
【0028】
ボディ領域に近接する側のドリフト領域の上面に第二酸化構造を形成する。第二酸化構造は第一端部の上面に沿って第一端部と第二端部の境界部分まで延伸する。
【0029】
第一酸化構造はフィールドプレート構造の前記ボディ領域から離れる一端であり、傾斜面は第二酸化構造のボディ領域に近接する上面であり、傾斜面とフィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面との間の夾角は30度以上かつ60度以下である。
【0030】
1つの実施形態において、第一酸化構造は局所的シリコンアイソレーション酸化構造を含み、ドリフト領域内に第一酸化構造を形成するステップは以下のことを含む。
【0031】
基板上にハードマスク層を形成する。ハードマスク層には凹溝が設けられ、凹溝は第一酸化構造事前設定領域の基板を露出させる。
【0032】
凹溝の側壁に、ハードマスク層に接触する側壁構造を形成する。側壁構造の下面は凹溝の底部と面一である。
【0033】
局所的熱酸化プロセスを行い、凹溝の底部に第一酸化構造を形成する。
【0034】
1つの実施形態において、ボディ領域に近接する側のドリフト領域の上面に第二酸化構造を形成するステップは以下のことを含む。
【0035】
基板の上面に酸化薄膜を形成する。
【0036】
酸化薄膜上にフォトレジストマスク層を形成する。フォトレジストマスク層は第二酸化構造事前設定領域の酸化薄膜を被覆する。
【0037】
ウェットエッチングプロセスを行って余分な酸化薄膜を除去し、第二酸化構造事前設定領域内に残った酸化薄膜により構成される第二酸化構造を取得する。
【0038】
1つの実施形態において、酸化薄膜の厚さは300オングストローム以上、かつ、1500オングストローム以下である。
【0039】
1つの実施形態において、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法は、以下のことを更に含む。
【0040】
基板内にシャロートレンチアイソレーション構造を形成する。シャロートレンチアイソレーション構造はドレイン領域に接触し、かつ、シャロートレンチアイソレーション構造の下面の一部はドリフト領域に接触する。
【0041】
ボディ領域の上部表面層に第二導電型を有するソース領域を形成する。
【0042】
フィールドプレート構造上に多結晶シリコンゲートを形成する。多結晶シリコンゲートはフィールドプレート構造に沿って延伸してソース領域とフィールドプレート構造との間の基板を被覆する。
【0043】
上述の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法では、ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成し、フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さはボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。ボディ領域に近接する一端の下面が基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有するフィールドプレート構造を形成し、なおかつ、フィールドプレート構造の厚さがボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加することによって、下面が基板の上面よりも低いフィールドプレート構造において長さが増加しなくなる(LDMOSデバイスの間隔が増加しなくなる)と同時に、JFET領域の位置に厚さが徐々に増加するフィールドプレート構造が形成され、デバイス表面の電界分布が改善されると同時に、デバイスの信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は一実施形態における横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は一実施形態においてドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成するフローチャートである。
【
図3】
図3は一実施形態においてドリフト領域内に第一酸化構造を形成するフローチャートである。
【
図4】
図4は一実施形態において基板上にハードマスク層が形成された後のデバイスの断面図である。
【
図5】
図5は一実施形態において側壁構造が形成された後のデバイスの断面図である。
【
図6】
図6は一実施形態において第一酸化構造が形成された後のデバイスの断面図である。
【
図7】
図7は一実施形態においてフォトレジストマスク層が形成された後のデバイスの断面図である。
【
図8】
図8は一実施形態において第二酸化構造が形成された後のデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本願の実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施形態又は従来技術の説明において必要な図面について簡単に紹介するが、以下に説明する図面は本願の一部の実施形態にすぎず、当業者であれば、創造的な労力を要さないことを前提に、これらの図面に基づいて他の図面も得ることができることは明らかである。
本願を理解しやすくするために、以下、関連する図面を参照して本願についてより全面的な説明を行う。図面には本願の実施形態が示されているが、本願は多くの異なる形式によって実現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではない。逆に、これらの実施形態を提供する目的は、本願における開示内容をより明瞭かつ全面的なものにすることである。
【0046】
特に定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語及び科学用語は、本願の技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において使用する用語は具体的な実施形態を説明するためのものにすぎず、本願を限定するためのものではない。
【0047】
明らかにすべき点として、部品若しくは層が「…上にある」、「…に隣接する」、他の部品若しくは層「に接続される」又は「に結合される」と称されるとき、他の部品若しくは層の上に直接存在しても、直接隣接しても、他の部品若しくは層に直接接続されるか直接結合されてもよく、又は仲介する部品若しくは層が存在していてもよい。逆に、部品が「…上に直接ある」、「…に直接隣接する」、他の部品若しくは層「に直接接続される」又は「に直接結合される」と称されるとき、仲介する部品又は層は存在しない。明らかにすべき点として、第一、第二、第三等の用語を使用して種々の部品、部材、領域、層、ドーピングの型及び/又は部分を説明することができるが、これらの部品、部材、領域、層、ドーピングの型及び/又は部分はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの部品、部材、領域、層、ドーピングの型又は部分と別の部品、部材、領域、層、ドーピングの型又は部分とを区別するためのものにすぎない。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に論じる第一の部品、部材、領域、層、ドーピングの型又は部分は第二の部品、部材、領域、層又は部分と示すことができる。例を挙げると、第一ドーピング型を第二ドーピング型とすることができ、同様に、第二ドーピング型を第一ドーピング型とすることができる。第一ドーピング型と第二ドーピング型とは異なるドーピング型であり、例えば、第一ドーピング型はP型にすることができ、かつ、第二ドーピング型はN型にすることができるか、又は、第一ドーピング型はN型にすることができ、かつ、第二ドーピング型はP型にすることができる。
【0048】
例えば、「…下にある」、「…下面にある」、「下面の」、「…の下にある」、「…の上にある」、「上面の」等の空間関係の用語は、ここでは図に示された1つの部品又は特徴と他の部品又は特徴との関係を説明するのに用いることができる。明らかにすべき点として、図に示される方向以外に、空間関係の用語は使用中又は操作中のデバイスにおける異なる方向を更に含む。例えば、図面のデバイスが回転する場合、「他の部材の下面にある」、「他の部材の下にある」又は「他の部材下にある」という説明については、部品又は特徴の方向が他の部品又は特徴「の上」になる。したがって、例示的用語である「…下面にある」及び「…下にある」は、上及び下の2つの方向を含むことができる。このほか、デバイスは別の方向も含むことができ(例えば、90度回転する又は他の方向)、なおかつ、ここで使用する空間説明語句は相応して解釈される。
【0049】
ここで使用されるとき、文脈において別の方法が明確に指し示されていない限り、単数形式である「一」、「一つの」及び「前記/該」は複数形式も含むことができる。更に理解すべき点として、「含む/含まれる」又は「有する」等の用語は陳述する特徴、全体、ステップ、操作、アセンブリ、部分又はそれらの組み合わせの存在を指すものであるが、1つ若しくはより多くの他の特徴、全体、ステップ、操作、アセンブリ、部分又はそれらの組み合わせが存在する可能性、又は追加される可能性を排除していない。同時に、本明細書において、「及び/又は」という用語は、列記された項目に関連するいずれかの組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0050】
ここでは、本発明の理想的な実施形態(及び中間構造)の模式図とする断面図を参考にして発明の実施形態を説明する。このようにすることで、例えば、製造技術及び/又は許容差によって生じる示された形状の変化を予想することができる。したがって、本発明の実施形態は、ここに示された領域における特定の形状を限定するものではなく、例えば、製造技術によって生じる形状偏差を含むものである。例えば、矩形として示される注入領域は、その縁において、一般に丸い若しくは湾曲する特徴を有し、及び/又は、注入領域から非注入領域への二値的変化ではなく、注入濃度勾配を有する。同様に、注入によって形成される埋め込み領域では、該埋め込み領域と注入を行う際に経る表面との間の領域において注入が一部生じる可能性がある。したがって、図に示される領域は本質上、概略的なものであり、それらの形状はデバイスの領域における実際の形状を示しているわけではなく、本発明の範囲を限定するものではない。
【0051】
LDMOSデバイスについては、理想的な状況において、JFET領域に近接する位置にある程度のフィールドプレート厚さが存在していることが望ましく、この部分の電界分布を改善するのに用いられ、LDMOSデバイスの信頼性を高める。また、該フィールドプレートの厚さはドリフト領域のフィールドプレートの厚さよりも小さく、同時に、ゲート酸化物の酸化物層の厚さよりも大きくなければならない。STI構造のフィールドプレートを用いる場合、一次プロセスによって厚さが緩やかに変化するフィールドプレートの製造を実現させることができない。LOCOS構造のフィールドプレートを用いる場合、一次プロセスによってバーズビークが大きいLOCOS構造を製造して、厚さが緩やかに変化するフィールドプレートを得ることができるが、長すぎるバーズビークがLDMOSデバイス全体のpitchに影響を及ぼすことで、デバイスのオン抵抗を増加させてしまう。
【0052】
図1を参照されたい。一実施形態における横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のフローチャートである。
【0053】
上述の課題を解決するために、1つの実施形態において、本願は横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法を提供する。
図1に示すように、該製造方法は、ステップS102、ステップS104、ステップS106及びステップS108を含む。
【0054】
ステップS102では、基板を提供する。
【0055】
該基板にはドープされていない単結晶シリコン、不純物をドープした単結晶シリコン、絶縁体上シリコン(SOI)、絶縁体上積層シリコン(SSOI)、絶縁体上積層シリコンゲルマニウム(S-SiGeOI)、絶縁体上シリコンゲルマニウム(SiGeOI)及び絶縁体上ゲルマニウム(GeOI)等を用いることができる。一例として、本実施形態においては、基板の構成材料には単結晶シリコンを選択して使用する。
【0056】
ステップS104では、基板内に、隣接するボディ領域及びドリフト領域を形成する。
【0057】
ボディ領域は第一導電型を有し、ドリフト領域は第一導電型と反対の第二導電型を有する。第一導電型がP型であるとき、第二導電型はN型であり、第一導電型がN型であるとき、第二導電型はP型である。本実施形態においては、第一導電型がP型であり、第二導電型がN型である。
【0058】
ステップS106では、ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成する。
【0059】
フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さはボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。
【0060】
ステップS108では、ドリフト領域の上部表面層に第二導電型のドレイン領域を形成する。ドレイン領域は、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端に接触する。
【0061】
上述の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法では、ドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成し、フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さは、ボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。ボディ領域に近接する一端の下面が基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有するフィールドプレート構造を形成し、なおかつ、フィールドプレート構造の厚さがボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加することによって、下面が基板の上面よりも低いフィールドプレート構造において長さが増加しなくなる(LDMOSデバイスの間隔が増加しなくなる)と同時に、JFET領域の位置に厚さが徐々に増加するフィールドプレート構造を形成し、デバイス表面の電界分布を改善すると同時に、デバイスの信頼性を高める。
【0062】
1つの実施形態においては、実際の要求に応じて、ステップS104とステップS106の前後の順序を調整する。例えば、ステップS104を先に行った後にステップS106を行うか、又は、ステップS106を先に行った後にステップS104を行う。例示的に、ステップS104を先に行い、その後ステップS106を行う。
【0063】
図2を参照されたい。一実施形態においてドリフト領域上にフィールドプレート構造を形成するフローチャートである。
【0064】
図2に示すように、1つの実施形態において、ステップS106は、ステップS202及びステップS204を含む。
【0065】
ステップS202では、ドリフト領域上に第一酸化構造を形成する。
【0066】
第一酸化構造はボディ領域からドリフト領域に向かう方向に第一端部及び第二端部を順次含み、かつ、第一酸化構造の厚さは第一端部から第二端部に向けて事前設定値まで徐々に増加する。第一酸化構造は、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端であり、かつ、下面は基板上面より高くない。
【0067】
1つの実施形態において、ステップS104の前に、基板内にシャロートレンチアイソレーション構造を形成するステップを更に含み、フィールドプレート構造は、隣接するシャロートレンチアイソレーション構造間の基板上に形成される。本願においては、当業者が一般的に用いる製造プロセスを選択してシャロートレンチアイソレーション構造を形成することができる。
【0068】
図3を参照されたい。一実施形態においてドリフト領域内に第一酸化構造を形成するフローチャートである。
【0069】
1つの実施形態において、第一酸化構造は局所的シリコンアイソレーション酸化構造を含む。
図3に示すように、ステップS202は、ステップS302、ステップS304及びステップS306を含む。
【0070】
ステップS302では、基板上にハードマスク層を形成する。ハードマスク層には凹溝が設けられ、凹溝は第一酸化構造事前設定領域の基板を露出させる。
【0071】
図4を参照されたい。一実施形態において基板上にハードマスク層が形成された後のデバイスの断面図である。
【0072】
図4に示すように、まず、基板10を取得し、基板10内にシャロートレンチアイソレーション構造102を形成し、次に、隣接するシャロートレンチアイソレーション構造102間の基板内に、隣接するボディ領域101及びドリフト領域103を形成する。更に、隣接するシャロートレンチアイソレーション構造102間の基板10上にハードマスク層20を形成する。ハードマスク層20内にはドリフト領域103上方に位置する凹溝202が設けられ、凹溝202は第一酸化構造事前設定領域の基板(ドリフト領域103)を露出させる。
【0073】
具体的には、基板表面にハードマスク薄膜を形成し、その後、フォトレジスト、エッチングプロセスによってドリフト領域103上方に位置する第一酸化構造事前設定領域のハードマスク薄膜を除去した後、残ったハードマスク薄膜により構成されるハードマスク層20を得て、第一酸化構造事前設定領域の位置に凹溝202を形成する。
【0074】
1つの実施形態において、ハードマスク層20は酸化物層、窒化物層又は両者の積層構造を含む。一例として、本実施形態においては、ハードマスク層20には窒化シリコンマスク層を選択して使用する。
【0075】
ステップS304では、凹溝の側壁に、ハードマスク層に接触する側壁構造を形成する。側壁構造の下面は凹溝の底部と面一である。
【0076】
図5を参照されたい。一実施形態において側壁構造が形成された後のデバイスの断面図である。
【0077】
図5に示すように、凹溝202の側壁に、ハードマスク層20に接触する側壁構造204を形成する。具体的には、まず、基板10上に側壁薄膜を形成する。側壁薄膜は第一酸化構造事前設定領域(凹溝202底部から露出されるドリフト領域103)の表面を被覆し、かつ、凹溝202の側壁に沿ってハードマスク層20の表面まで延伸する。その後、フォトレジストプロセス及びドライエッチングプロセスによって余分な側壁薄膜を除去し、凹溝202の側壁を被覆する側壁薄膜によって構成される側壁構造204を得る。側壁構造204の下面は凹溝202の底部(ドリフト領域103の上面)と面一である。側壁構造204を形成することによって、局所的熱酸化プロセスを後ほど行う際に、凹溝202の側壁に隣接するハードマスク層20の下方に入り込む酸素を減らすことができ、形成される局所的シリコンアイソレーション酸化構造(第一酸化構造)のバーズビーク長さを短くすることにより、バーズビーク長さのデバイス全体のpitchに対する影響を取り除くことができる。
【0078】
1つの実施形態において、側壁構造204は窒化シリコン構造である。実際の応用においては、要求に応じて異なる材料で作られた側壁構造204を選択することができる。
【0079】
ステップS306では、局所的熱酸化プロセスを行い、凹溝の底部に第一酸化構造を形成する。
【0080】
図6を参照されたい。一実施形態において第一酸化構造が形成された後の断面図である。
【0081】
図6に示すように、側壁構造204を形成した後、局所的熱酸化プロセスを行い、凹溝202の底部(第一酸化構造事前設定領域)にバーズビークが短いLOCOS構造(局所的シリコンアイソレーション構造)、すなわち、第一酸化構造206を形成する。第一酸化構造206はボディ領域101に近接する第一端部206A及びボディ領域101から離れる第二端部206Bを含み、第一端部206Aの厚さはボディ領域101に近接する部分から第二端部206Bの位置に向けて順次増加する。その後のプロセスにおいて、ソース領域を第一端部206A側のボディ領域101内に形成し、ドレイン領域を第二端部206B側のドリフト領域103内に形成する。第二端部206Bの第一端部206Aに近接する一側の厚さは事前設定値であり、すなわち、第一端部206Aはボディ領域101に近接し、なおかつ、第一端部206Aと第二端部206Bの境界部分(交差位置)は第一酸化構造206の厚さが事前設定値よりも小さいものから事前設定値に変わる位置である。その後、基板10上のハードマスク層20及び側壁構造204を除去する。
【0082】
ステップS204では、ボディ領域に近接する側のドリフト領域の上面に第二酸化構造を形成する。第二酸化構造は第一端部の上面に沿って第一端部と第二端部の境界部分まで延伸する。
【0083】
ボディ領域101に近接する側のドリフト領域103の上面に第二酸化構造108を形成し、第二酸化構造108は第一端部206Aの上面に沿って、第一酸化構造206の厚さが事前設定値よりも小さいものから事前設定値に変わる位置まで延伸する。傾斜面は第二酸化構造のボディ領域に近接する上面であり、傾斜面とフィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面との間の夾角は30度以上かつ60度以下である。
【0084】
1つの実施形態において、ステップS204は、第一段階、第二段階及び第三段階を含む。第一段階では、基板10の上面に酸化薄膜104を形成する。第二段階では、酸化薄膜104上にフォトレジストマスク層106を形成する。フォトレジストマスク層106は第二酸化構造事前設定領域の酸化薄膜104を被覆する。第三段階では、ウェットエッチングプロセスを行って余分な酸化薄膜104を除去し、第二酸化構造事前設定領域内に残った酸化薄膜104により構成される第二酸化構造108を取得する。
【0085】
図7を参照されたい。一実施形態におけるフォトレジストマスク層が形成された後のデバイスの断面図である。
図8を参照されたい。一実施形態における第二酸化構造が形成された後のデバイスの断面図である。
【0086】
図7、
図8に示すように、まず、基板10の上面に酸化薄膜104を形成する。次に、酸化薄膜104上にフォトレジストマスク層106を形成する。フォトレジストマスク層106はボディ領域101に近接する側の第二酸化構造事前設定領域の酸化薄膜104を被覆する。フォトレジストマスク層106の基板10上における投影は第一端部206Aを取り囲み、なおかつ、フォトレジストマスク層106の第一酸化構造206に近接する一側の基板10上における投影は第一端部206Aと第二端部206Bの境界部分と面一である。フォトレジストマスク層106の第一酸化構造206から離れる一側の基板10上における投影はボディ領域101と第一酸化構造206との間のドリフト領域103上に位置し、すなわち、第一端部206Aとの間に一定の距離を有する。更に、ウェットエッチングプロセスを行い、余分な酸化薄膜104を除去して、第二酸化構造事前設定領域内に残った酸化薄膜104により構成される第二酸化構造108を取得する。第二酸化構造108は基板10の上面を被覆し、かつ、第一端部206Aの上面に沿って第一端部206Aと第二端部206Bの境界部分まで延伸する。すなわち、第二酸化構造108はボディ領域101に近接する側のドリフト領域103の一部及び第一端部206Aの上面を被覆する。第一端部206A上を被覆する第二酸化構造108と第一端部206Aの厚さの和は、第二端部206Bの平坦領域(厚さが変わらない領域)の厚さ以下であり、すなわち、第一端部206Aを被覆する第二酸化構造108と第一端部206Aの厚さの和は、事前設定値以下になる。それによって、フィールドプレート構造の厚さが徐々に増加することになり、フィールドプレート構造上に形成される多結晶シリコンゲート構造116において電界分布が徐々に変化することになる。第二酸化構造108のボディ領域に近接する上面110はフィールドプレート構造の傾斜面であり、上面110と基板10の上面(フィールドプレート構造と基板10上面の境界面)の夾角φは30度よりも大きい又は30度と等しく、かつ、60度よりも小さい又は60度と等しい。第二酸化構造108は第一酸化構造206と共にフィールドプレート構造を構成し、フォトレジストマスク層106と酸化薄膜104の接着性、ウェットエッチングプロセスのエッチング速度及びエッチング液を調整することによって、夾角φの大きさを調整することができ、フィールドプレート構造の厚さがボディ領域からドリフト領域に向かって次第に変化する速度を調整することで、デバイスの性能を調整することができる。
【0087】
他の実施形態において、第一酸化構造206の形状に基づき、第二酸化構造108と第一酸化構造206が重複する部分を調整する。
【0088】
第一酸化構造206のみを使用したものと比べると、第一酸化構造206の第一端部206Aに第二酸化構造108を被覆させることによって、第一酸化構造206と第二酸化構造108とが構成するフィールドプレート構造の厚さが次第に変化する速度を調整することができ、厚さが緩やかに変化するフィールドプレート構造が形成される。
【0089】
1つの実施形態において、第一酸化構造206と第二酸化構造108とはいずれも二酸化ケイ素構造である。
【0090】
1つの実施形態において、化学気相堆積プロセスによって基板10の上面に酸化薄膜104を形成する。
【0091】
1つの実施形態において、酸化薄膜104の厚さは300オングストローム以上、かつ、1500オングストローム以下である。
【0092】
1つの実施形態において、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法は、第一段階及び第二段階を更に含む。
【0093】
第一段階では、第二導電型を有するソース領域をボディ領域101の上部表面層に形成する。第二段階では、フィールドプレート構造上に多結晶シリコンゲートを形成し、多結晶シリコンゲートはフィールドプレート構造に沿って延伸してソース領域とフィールドプレート構造との間の基板を被覆する。
【0094】
図8に示すように、ドーピングプロセスを行い、第二導電型を有するソース領域112をボディ領域101の上部表面層に形成し、第一酸化構造206とシャロートレンチアイソレーション構造102との間のドリフト領域103内に第二導電型を有するドレイン領域114を形成し、ドレイン領域114の一端は第一酸化構造206に接触し、他端はシャロートレンチアイソレーション構造102に接触する。その後、フィールドプレート構造上に多結晶シリコンゲート構造116を形成する。多結晶シリコンゲート構造116はフィールドプレート構造に沿って延伸してソース領域112とフィールドプレート構造との間の基板10を被覆し、すなわち、多結晶シリコンゲート構造116はフィールドプレート構造に沿って延伸してソース領域112と第二酸化構造108との間の基板10を被覆する。
【0095】
1つの実施形態において、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法は、ソース領域112とシャロートレンチアイソレーション構造102との間のボディ領域101内に第一導電型の高濃度ドーピング領域118を形成するステップを更に含む。
【0096】
1つの実施形態において、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法は、ゲート酸化物層、メタル相互接続層を形成するステップを更に含む。
【0097】
理解すべき点として、
図1のフローチャートの各ステップは矢印の指示に従って順次示されているが、これらのステップは矢印が指示する順序に従って順に実行しなければならないわけではない。本明細書において明確な説明がない限り、これらのステップの実行は順序が厳しく限定されるものではなく、これらのステップは他の順序で実行することができる。また、
図1の少なくとも一部のステップは複数のステップ又は複数の段階を含んでいてよく、これらのステップ又は段階は同一時刻において実行を完了させる必要はなく、異なる時刻において実行することができ、これらのステップ又は段階の実行順序も順に行う必要はなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ若しくは段階の少なくとも一部と交代して実行又は交互に実行することができる。
【0098】
図8に示すように、1つの実施形態において、本願は横方向拡散金属酸化物半導体デバイスを更に提供し、基板10、ボディ領域101、ドリフト領域103、フィールドプレート構造及びドレイン領域114を含む。
【0099】
基板10にはドープされていない単結晶シリコン、不純物をドープした単結晶シリコン、絶縁体上シリコン(SOI)、絶縁体上積層シリコン(SSOI)、絶縁体上積層シリコンゲルマニウム(S-SiGeOI)、絶縁体上シリコンゲルマニウム(SiGeOI)及び絶縁体上ゲルマニウム(GeOI)等を用いることができる。一例として、本実施形態においては、基板10の構成材料には単結晶シリコンを選択して使用する。
【0100】
ボディ領域101は、第一導電型を有し、基板10内に形成される。
【0101】
ドリフト領域103は、第二導電型を有し、基板10内に形成され、かつ、ボディ領域101に隣接し、第二導電型は第一導電型と反対である。第一導電型がP型であるとき、第二導電型はN型であり、第一導電型がN型であるとき、第二導電型はP型である。本実施形態においては、第一導電型がP型であり、第二導電型がN型である。
【0102】
フィールドプレート構造は、ドリフト領域103上に形成される。フィールドプレート構造のボディ領域101に近接する一端の下面は基板10の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面110を有し、フィールドプレート構造のボディ領域101から離れる一端の下面は基板10の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さはボディ領域101に近接する一端から、ボディ領域101から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。
【0103】
ドレイン領域114は、第二導電型を有し、ドリフト領域103の上部表面層に形成され、かつ、フィールドプレート構造のボディ領域101から離れる一端に接触する。
【0104】
1つの実施形態において、傾斜面110とフィールドプレート構造のボディ領域101に近接する一端の下面との間の夾角φは30度以上かつ60度以下である。夾角φの大きさを調整することによって、フィールドプレート構造の厚さがボディ領域101からドリフト領域103に向かって次第に変化する速度を調整し、デバイスの性能を調整することができる。
【0105】
1つの実施形態において、フィールドプレート構造は、第一酸化構造206及び第二酸化構造108を含む。
【0106】
第一酸化構造206は、フィールドプレート構造のドレイン領域114に近接する一端であり、ドリフト領域103上に形成され、かつ、第一酸化構造206の上面は基板10の上面より低くない。第一酸化構造206はボディ領域101からドリフト領域103の方向に第一端部及び第二端部を順次含み、かつ、第一酸化構造206の厚さは第一端部から第二端部に向けて事前設定値まで徐々に増加する。第一端部と第二端部の境界部分は第一酸化構造206の厚さが事前設定値よりも小さいものから事前設定値に変わる位置である。
【0107】
第二酸化構造108は、ボディ領域101に近接する側のドリフト領域103の上面に形成され、かつ、第一端部の上面に沿って第一端部と第二端部の境界部分まで延伸する。傾斜面110は第二酸化構造のボディ領域に近接する上面である。
【0108】
1つの実施形態において、第二酸化構造108の厚さは1500オングストローム以下である。
【0109】
1つの実施形態において、第一酸化構造206は局所的シリコンアイソレーション酸化構造を含み、局所的シリコンアイソレーション酸化構造はディッププロセスによって作られたものである。
【0110】
1つの実施形態において、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは、ソース領域112、多結晶シリコンゲート116及びシャロートレンチアイソレーション構造102を更に含む。
【0111】
ソース領域112は、第二導電型を有し、ボディ領域101の上部表面層に形成される。
【0112】
多結晶シリコンゲート116は、フィールドプレート構造上に形成され、かつ、フィールドプレート構造に沿って延伸してソース領域112とフィールドプレート構造との間の基板10を被覆する。
【0113】
シャロートレンチアイソレーション構造102は、基板10内に形成される。シャロートレンチアイソレーション構造102はドレイン領域114に接触し、かつ、シャロートレンチアイソレーション構造102の下面の一部はドリフト領域103に接触する。
【0114】
上述の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは、フィールドプレート構造がドリフト領域上に形成され、フィールドプレート構造のボディ領域に近接する一端の下面は基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有し、フィールドプレート構造のボディ領域から離れる一端の下面は基板の上面よりも低く、フィールドプレート構造の厚さは、ボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加する。ボディ領域に近接する一端の下面が基板の上面と面一であり、かつ、上向きに延伸する傾斜面を有するフィールドプレート構造が設けられ、フィールドプレート構造の厚さがボディ領域に近接する一端から、ボディ領域から離れる一端に向けて事前設定値まで徐々に増加することによって、下面が基板の上面よりも低いフィールドプレート構造において長さが増加しなくなる(LDMOSデバイスの間隔が増加しなくなる)と同時に、JFET領域の位置に厚さが徐々に増加するフィールドプレート構造が形成され、デバイス表面の電界分布が改善されると同時に、デバイスの信頼性が高まる。
【0115】
本明細書の説明において、参考用語「一部の実施形態」、「他の実施形態」、「理想的な実施形態」等の説明は、該実施形態又は例示を参照して説明される具体的特徴、構造、材料又は特徴が、本発明における少なくとも1つの実施形態又は例示に含まれていることを意味する。本明細書において、上述の用語における概略的説明は必ずしも同一の実施形態又は例示を指しているわけではない。
【0116】
以上に述べた実施形態の各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。説明を簡潔にするために、上述の実施形態の各技術的特徴における全ての可能な組み合わせについて説明を行っていないが、これらの技術的特徴の組み合わせにおいて矛盾が生じないものは、いずれも本明細書に記載される範囲であると見なされるべきである。
【0117】
以上に述べた実施形態は本願におけるいくつかの実施手段を表したものにすぎず、具体的かつ詳細に説明したが、これによって申請される特許の範囲が限定されると理解すべきではない。当業者であれば、本願の構想を逸脱しない前提において、若干の変形及び改良を行うこともでき、これらはいずれも本願の保護範囲であることを指摘すべきである。したがって、本願の特許における保護範囲は付帯の請求の範囲によって定義されるべきである。