(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】遮蔽判定装置、乗員監視装置及び遮蔽判定方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241213BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20241213BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W40/08
(21)【出願番号】P 2023544834
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2021031899
(87)【国際公開番号】W WO2023032029
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-08-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國廣 和樹
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-110173(JP,A)
【文献】特開2009-248777(JP,A)
【文献】特開2020-181381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 40/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部を撮像する撮像部から複数のフレームの撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像の中から、前記
各フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素を選定する画素選定部と、
前記参照画素の輝度値に基づいて前記撮像部による撮像を妨げる遮蔽物が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部と、
前記遮蔽物判定部により2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて前記遮蔽物が存在すると判定された場合は、前記撮像部が前記遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、前記遮蔽物判定部により前記予め設定された枚数のフレームにおいて前記遮蔽物が存在すると判定されない場合は、前記遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部と、
を備えた遮蔽判定装置。
【請求項2】
前記画素選定部は、前記撮像画像又は前記撮像画像中の乗員の特定部分が収まる特定領域の全ての画素から所定の画素を間引いた前記複数の参照画素を選定する
ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽判定装置。
【請求項3】
前記画素選定部は、前記予め設定された枚数のフレームにおいて、前記複数の参照画素が前記撮像画像又は前記特定領域の全体に点在するように、前記フレームにより画素位置が異なる前記複数の参照画素を選定する
ことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽判定装置。
【請求項4】
前記遮蔽物判定部は、前記複数の参照画素のうち、前記参照画素の前記輝度値が予め設定された閾値未満である前記参照画素が所定の個数以上である場合に、前記遮蔽物が存在すると判定し、前記閾値未満の前記参照画素が前記所定の個数未満である場合に前記遮蔽物が存在しないと判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮蔽判定装置。
【請求項5】
前記車両が走行中であるか否かを示す走行情報を取得し、前記走行情報に基づき前記車両が走行中であるか否かを判定する走行判定部をさらに備え、
前記遮蔽状態判定部は、前記走行判定部により前記車両が走行中であると判定された場合は、前記遮蔽状態であるか否かを判定し、前記走行判定部により前記車両が走行中ではないと判定された場合は、前記遮蔽状態であるか否かの判定を行わない
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遮蔽判定装置。
【請求項6】
前記撮像画像において乗員の顔領域の検出に成功したか否かを示す顔領域検出情報を取得し、前記顔領域検出情報に基づき前記乗員の前記顔領域の検出に成功したか否かを判定する顔領域判定部をさらに備え、
前記遮蔽状態判定部は、前記顔領域判定部により前記乗員の前記顔領域の検出に成功したと判定された場合は、前記遮蔽状態であるか否かの判定を行わず、前記顔領域判定部により前記乗員の前記顔領域の検出に失敗したと判定された場合は、前記遮蔽状態であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遮蔽判定装置。
【請求項7】
車両の内部を撮像する撮像部と、
前記撮像部から複数のフレームの撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像の中から、前記
各フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素を選定する画素選定部と、
前記参照画素の輝度値に基づいて前記撮像部による撮像を妨げる遮蔽物が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部と、
前記遮蔽物判定部により2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて前記遮蔽物が存在すると判定された場合は、前記撮像部が前記遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、前記遮蔽物判定部により前記予め設定された枚数のフレームにおいて前記遮蔽物が存在すると判定されない場合は、前記遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部と、
前記遮蔽状態判定部により前記遮蔽状態ではないと判定された場合は、前記車両の乗員に対する画像認識処理により前記乗員の状態判定及び前記乗員の個人認証の少なくともいずれか一方であるモニタリング処理をし、前記遮蔽状態判定部により前記遮蔽状態であると判定された場合は前記モニタリング処理をしないモニタリング処理部と、
を備えた乗員監視装置。
【請求項8】
画像取得部と、画素選定部と、遮蔽物判定部と、遮蔽状態判定部と、を備える遮蔽判定装置の遮蔽判定方法であって、
前記画像取得部が、車両の内部を撮像する撮像部から複数のフレームの撮像画像を取得するステップと、
前記画素選定部が、前記撮像画像の中から、前記
各フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素を選定するステップと、
前記遮蔽物判定部が、前記参照画素の輝度値に基づいて前記撮像部による撮像を妨げる遮蔽物が存在するか否かを判定するステップと、
前記遮蔽状態判定部が、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて前記遮蔽物が存在すると判定された場合は、前記撮像部が前記遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて前記遮蔽物が存在すると判定されない場合は、前記遮蔽状態ではないと判定するステップと、を含む、
遮蔽判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遮蔽判定装置、遮蔽判定装置を備えた乗員監視装置及び遮蔽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像部により車両内部の乗員を撮像し、例えば居眠り運転及び脇見運転の有無をモニタリングする技術がある。従来、乗員と撮像部との間に存在する遮蔽物により乗員を撮像することが妨げられた場合に、乗員に撮像部が遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であることを報知していた。そして、撮像部が遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であるか否かは、撮像画像中の乗員の顔等の特定部分が収まる特定領域の画素の輝度値に基づき判定していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、撮像部は撮像画像中の特定領域の平均輝度値が予め設定された範囲に近づくように、撮像画像全体の露光制御及びゲイン制御等の撮像制御を実施する。例えば、特定領域の一部に太陽等の局所的な高輝度物体が写った場合、撮像部は撮像画像全体の輝度値を低下させることにより白飛びを防ぐ。しかしながら、このような撮像制御が実施された場合、撮像画像中の特定領域の画素の輝度値は低下されているため、特定領域の画素の輝度値に基づき正しく遮蔽状態を判定することができないという課題があった。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遮蔽状態の判定精度を向上することができる遮蔽判定装置及び遮蔽判定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る遮蔽判定装置は、車両の内部を撮像する撮像部から複数のフレームの撮像画像を取得する画像取得部と、撮像画像の中から、各フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素を選定する画素選定部と、参照画素の輝度値に基づいて撮像部による撮像を妨げる遮蔽物が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部と、遮蔽物判定部により2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定された場合は、撮像部が遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、遮蔽物判定部により予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定されない場合は、遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部と、を備えたものである。
【0007】
本開示に係る乗員監視装置は、車両の内部を撮像する撮像部と、撮像部から複数のフレームの撮像画像を取得する画像取得部と、撮像画像の中から、各フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素を選定する画素選定部と、参照画素の輝度値に基づいて撮像部による撮像を妨げる遮蔽物が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部と、遮蔽物判定部により2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定された場合は、撮像部が遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、遮蔽物判定部により予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定されない場合は、遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部と、遮蔽状態判定部により遮蔽状態ではないと判定された場合は、車両の乗員に対する画像認識処理により乗員の状態判定及び乗員の個人認証の少なくともいずれか一方であるモニタリング処理をし、遮蔽状態判定部により遮蔽状態であると判定された場合はモニタリング処理をしないモニタリング処理部と、を備えたものである。
【0008】
本開示に係る遮蔽判定方法は、車両の内部を撮像する撮像部から複数のフレームの撮像画像を取得するステップと、撮像画像の中から、各フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素を選定するステップと、参照画素の輝度値に基づいて撮像部による撮像を妨げる遮蔽物が存在するか否かを判定するステップと、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定された場合は、撮像部が遮蔽物により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定されない場合は、遮蔽状態ではないと判定するステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素の輝度値に基づき遮蔽物が存在するか否かを判定する。そして、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物が存在すると判定されたか否かに基づき遮蔽状態であるか否かを判定する。これにより、遮蔽状態の判定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は実施の形態1の遮蔽判定装置を含むDMSの一部を示すブロック図である。
【
図2】
図2は実施の形態1のDMSの概略図である。
【
図3】
図3は実施の形態1の撮像画像の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は実施の形態1の遮蔽判定装置のハードウェア構成例を示す概略図である。
【
図5】
図5は実施の形態1の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は実施の形態1の撮像画像の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は実施の形態1のステップS20における処理動作を説明する概略図である。
【
図8】
図8は比較例に係る遮蔽判定装置の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は比較例に係る遮蔽判定装置の処理動作を説明する概略図である。
【
図10】
図10は実施の形態1の遮蔽判定装置の処理動作を説明する概略図である。
【
図11】
図11は実施の形態2の遮蔽判定装置を含むDMSの一部を示すブロック図である。
【
図12】
図12は実施の形態2の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は実施の形態3の遮蔽判定装置を含むDMSの一部を示すブロック図である。
【
図14】
図14は実施の形態3の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1における遮蔽判定装置100について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は実施の形態1の遮蔽判定装置100を含むドライバモニタリングシステム(DMS:Driver Monitoring System)の一部を示すブロック図である。DMSは乗員監視装置であり、車両内部の乗員8に対する画像認識処理により、乗員8を対象とした種々のモニタリング処理を行う。モニタリング処理は、例えば、居眠り運転及び脇見運転等の乗員8の状態判定、乗員8の個人認証である。
図1に示すDMSは、撮像部1、遮蔽判定装置100、モニタリング処理部2及び報知部3を備えている。
図2は、実施の形態1のDMSの概略図である。
図2Aは撮像部1による乗員8の撮像を妨げる遮蔽物9がある場合を示している。
図2Bは撮像部1による乗員8の撮像を妨げる遮蔽物9がなく、局所的な高輝度物体10である太陽が撮像部1の撮像範囲に存在する場合を示している。
【0012】
ここで、乗員8は車両の運転者及び同乗者の総称である。遮蔽物9は、例えば
図2Aではダッシュボート上に置かれたタオルであり、タオルはセンターディスプレイ上に垂れ下がり後述する撮像素子1bの撮像範囲を遮蔽している。局所的な高輝度物体10は、
図2Bでは太陽を示したが、ヘッドライト、街灯等であってもよい。
【0013】
図2Bに示すように撮像部1は、発光素子1a及び撮像素子1bを有するカメラである。撮像部1は例えば30~60fps(frames per second)の間隔で車両の内部の乗員8を撮像し、撮像画像Pを遮蔽判定装置100の画像取得部4に出力する。発光素子1a及び撮像素子1bは、車両のインストルメントパネル、ダッシュボード、センターディスプレイ又は、ルームミラー等に設置される。発光素子1a及び撮像素子1bは、近接して設けられてもよく、離れて設けられていてもよい。
図2では、センターディスプレイの両サイドに発光素子1a及び撮像素子1bが離れて配置された例を示している。
【0014】
発光素子1aは、例えば近赤外線光を発光する赤外線発光ダイオードである。発光素子1aは、乗員8に近赤外線光を照射する。発光素子1aは赤外線発光ダイオードに限らず、乗員8に対して可視光、又は遠赤外線光を照射するものであってもよい。
【0015】
撮像素子1bは例えばイメージセンサであり、発光素子1aにより近赤外線光等が照射された乗員8を撮像する。撮像素子1bは、撮像画像Pの特定領域11の平均輝度値が予め設定された範囲に近づくように、撮像画像P全体の露光制御及びゲイン制御等の撮像制御を行う。特定領域11は、乗員8に対する画像認識処理を実行する際に用いる撮像画像P中の乗員8の顔等の特定部分が収まるように設定される。
【0016】
図3を用いて、撮像素子1bによる撮像制御の一例を説明する。
図3は実施の形態1の撮像画像Pの一例を示す概略図である。
図3Aはフレームf_1における撮像画像P、
図3Bはフレームf_1よりも後の時刻に撮像されたフレームf_2における撮像画像Pを示している。フレームf_1及びフレームf_2の間隔は限定されない。以下、撮像画像Pにおける乗員8が写った領域を乗員の領域P_8、撮像画像Pにおける局所的な高輝度物体10が写った領域を高輝度物体の領域P_10とそれぞれ称する。
【0017】
撮像素子1bは、フレームf_1において
図3Aに示す撮像画像Pを撮像すると、撮像画像Pの特定領域11の平均輝度値を算出する。
図3における特定領域11は破線で囲まれた領域であり、乗員8のヘッドエリアと想定される領域である。そして、算出した特定領域11の平均輝度値が予め設定された範囲に近づくように、次フレーム以降の撮像画像P全体の露光及びゲインを決定する。予め設定された範囲は、高い精度で乗員8の特定部分が検出可能な輝度値の範囲に設定すればよい。
【0018】
例えば
図3Aに示すように局所的な高輝度物体10が特定領域11に写った場合、特定領域11の平均輝度値は予め設定された範囲より高くなりやすい。この場合、撮像素子1bは次フレーム以降の特定領域11の平均輝度値が予め設定された範囲に近づくように撮像画像P全体の露光制御及びゲイン制御等の撮像制御を行う。その結果、
図3Bに示すようにフレームf_2では、撮像画像P全体の輝度値が低下される。このように、撮像素子1bは、撮像画像Pの特定領域11が乗員8に対する画像認識処理を実施するために適した輝度値となるように撮像制御する。このような撮像制御により、
図3Aの撮像画像Pは局所的な高輝度物体10により乗員の領域P_8の右目付近が白飛びしているため乗員8の状態を判定することは難しいが、
図3Bの撮像画像Pでは輝度値が最適化され乗員8の状態を判定することができる。
【0019】
図1に戻り、遮蔽判定装置100は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であるか否かを判定する。遮蔽判定装置100は、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7を備える。以下に遮蔽判定装置100の各構成について説明する。
【0020】
画像取得部4は撮像部1から複数のフレームの撮像画像Pを取得する。そして、画像取得部4は画素選定部5に取得した複数のフレームの撮像画像Pを出力する。画像取得部4により取得される撮像画像Pは、上述のとおり特定領域11の輝度値が予め設定された範囲に近づくように撮像画像P全体が撮像制御されたものである。
【0021】
画素選定部5は、画像取得部4から取得した撮像画像Pの特定領域11の中から複数の参照画素12を選定する。また、画素選定部5はフレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する。そして、画素選定部5は複数の参照画素12の位置情報を遮蔽物判定部6に出力する。
【0022】
遮蔽物判定部6は、画素選定部5により選定された複数の参照画素12の輝度値に基づいて遮蔽物9が存在するか否かを判定する。そして、遮蔽物判定部6は判定結果を遮蔽状態判定部7に出力する。
【0023】
遮蔽状態判定部7は、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在すると判定された場合に、撮像部1は遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であると判定する。そして、遮蔽状態判定部7は遮蔽状態であることを示す信号を出力する。
一方、遮蔽状態判定部7は、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在すると判定されない場合、撮像部1は遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないと判定する。そして、遮蔽状態判定部7は遮蔽状態ではないことを示す信号を出力する。
遮蔽判定装置100の各構成の詳細な処理動作は、後述の遮蔽判定方法において説明する。
【0024】
次に、遮蔽判定装置100のハードウェア構成例を説明する。
図4は実施の形態1の遮蔽判定装置100のハードウェア構成例を示す概略図である。遮蔽判定装置100の、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7は、
図4Aに示すように専用のハードウェアである処理回路13であってもよいし、
図4Bに示すようにメモリ15に格納されているプログラムを実行するプロセッサ14であってもよい。
【0025】
図4Aに示すように、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7が専用のハードウェアである場合、処理回路13は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7の各部の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0026】
図4Bに示すように、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7がプロセッサ14である場合、各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ15に格納される。プロセッサ14は、メモリ15に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7の各機能を実現する。すなわち、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7は、プロセッサ14により実行されるときに、後述する
図5に示す各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ15を備える。また、これらのプログラムは、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0027】
ここで、プロセッサ14とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)等のことである。メモリ15は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク、フレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、ミニディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクであってもよい。
【0028】
なお、画像取得部4、画素選定部5、遮蔽物判定部6、及び遮蔽状態判定部7の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、遮蔽判定装置100における処理回路13は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0029】
図1に戻り、モニタリング処理部2は、遮蔽判定装置100の遮蔽状態判定部7から遮蔽状態ではないことを示す信号が入力された場合に、車両の乗員8に対する画像認識処理により、乗員8を対象とした種々のモニタリング処理を行う。具体的に、モニタリング処理部2は、居眠り運転及び脇見運転等の乗員8の状態判定、又は乗員8の個人認証の少なくともいずれか一方であるモニタリング処理をする。
【0030】
報知部3は、遮蔽判定装置100の遮蔽状態判定部7から遮蔽状態であることを示す信号が入力された場合に、乗員8に撮像部1が遮蔽状態であることを報知する。報知部3は、例えば車両に設けられたスピーカ及びディスプレイであり、乗員8に遮蔽物9の除去を促す音声及び画像の少なくともいずれか一方を出力する。
また、車両に設けられた図示しないECU(Electronic Control Unit)は、遮蔽判定装置100の遮蔽状態判定部7から遮蔽状態であることを示す信号が入力された場合に、例えば前車追従走行、レーンキープアシスト、後側方警報、被害軽減ブレーキ等の運転支援を実施してもよい。
【0031】
次に、遮蔽判定装置100による遮蔽状態判定方法について説明する。
図5は実施の形態1の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。遮蔽判定装置100は、例えば撮像部1が撮像を開始したタイミングで動作を開始し、車両が走行中は動作を繰り返す。
【0032】
まず、ステップS10では、画像取得部4は撮像部1から撮像制御された複数のフレームの撮像画像Pを取得する。
図6は実施の形態1の撮像画像Pの一例を示す概略図である。
図6は、
図2Aに示す撮像部1による乗員8の撮像を妨げる遮蔽物9がある場合に、画像取得部4が取得した撮像画像Pを示している。撮像画像Pにおける遮蔽物9が写った領域を、遮蔽物の領域P_9と称する。
図2Aに示すように撮像素子1bの前に遮蔽物9が存在する場合、
図6に示すように遮蔽物の領域P_9は他の領域よりも低輝度である。これは、遮蔽物9は発光素子1aによる照射を受けず、他の領域よりも暗く写るためである。
【0033】
ステップS10において、画像取得部4は撮像部1が撮像した全ての撮像画像Pを取得してもよく、例えば所定のフレーム数毎に取得することで処理負荷を軽減してもよい。以下では、撮像部1は60fpsの間隔で撮像し、画像取得部4は15フレーム毎に撮像画像Pを取得する例を説明する。すなわち、画像取得部4は1秒間に4フレーム(f_15、f_30、f_45、f_60)の撮像画像Pを取得する例を説明する。
【0034】
ステップS20では、画素選定部5は、画像取得部4から取得した撮像画像Pの特定領域11の中からフレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する。後述のステップS30及びステップS40にて参照画素12の輝度値に基づき遮蔽物9が存在するか否かを判定する際に、撮像画像P全体又は特定領域11の全ての画素の輝度値を算出すると処理負荷が大きくなる。そこで、画素選定部5は、撮像画像Pの特定領域11の全ての画素から所定の画素を間引いた複数の参照画素12を選定する。
【0035】
ここで、画素選定部5による参照画素12の選定方法の一例を説明する。
図7は実施の形態1のステップS20における処理動作を説明する概略図である。
図7A~Dはそれぞれフレームf_15、f_30、f_45、f_60における特定領域11であり、白い点は参照画素12を示している。
画素選定部5は特定領域11の幅w及び高さhをそれぞれ4分割する。参照画素12は予め設定された個数選定される。ここでは、参照画素12は縦3個×横3個の合計9個である例を説明する。隣接する参照画素12の間隔は幅がw/4、高さが4/hである。
そして、画素選定部5はフレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する。例えば、
図7Aに示すフレームf_15では、画素選定部5は特定領域11の左上の9個を参照画素12として選定する。
図7Bに示すフレームf_30では、
図7Aに示すフレームf_15において選定した9個の参照画素12の位置から、それぞれ右方向にw/2移動した位置の画素を参照画素12として選定する。
図7Cに示すフレームf_45では、
図7Bに示すフレームf_30において選定した9個の参照画素12の位置から、それぞれ下方向にh/2移動した位置の画素を参照画素12として選定する。
図7Dに示すフレームf_60では、
図7Cに示すフレームf_45において選定した9個の参照画素12の位置から、それぞれ左方向にw/2分移動した位置の画素を参照画素12として選定する。フレームf_60以降についても、上述のフレームf_15、f_30、f_45、f_60における動作を繰り返す。
【0036】
画素選定部5による参照画素12の選定方法は上述の方法に限られない。処理負荷を軽減するために、参照画素12は特定領域11の画素から選定される例を示したが、撮像画像P全体の画素から選定されてもよい。また、画素選定部5は、後述するステップS70における2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、複数の参照画素12が撮像画像P又は特定領域11の全体に点在するように、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定することが好ましい。
【0037】
図5に戻り、ステップS30では、遮蔽物判定部6は画素選定部5により選定した複数の参照画素12の輝度値をそれぞれ算出する。
【0038】
ステップS40では、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値に基づいて、撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する。
【0039】
ここで、ステップS40において、参照画素12の輝度値に基づいて撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する方法の一例を説明する。例えば、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値が、予め設定された閾値未満である参照画素12が所定の個数以上である場合は、撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在すると判定する(ステップS40のYES)。一方、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値が、予め設定された閾値未満である参照画素12が所定の個数未満である場合は、撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在しないと判定する(ステップS40のNO)。予め設定された閾値は撮像素子1bであるイメージセンサの画素レンジにより適宜設定し、所定の個数は参照画素12の個数及び特定領域11の面積により適宜設定するとよい。
【0040】
より具体的に、
図7を用いて説明する。遮蔽物の領域P_9の画素は閾値未満の低輝度画素であり、遮蔽物の領域P_9以外の特定領域11の画素は閾値以上の高輝度画素であり、所定の個数は4個であるとする。この場合、閾値未満の参照画素12の個数は、
図7Aに示すフレームf_15では9個、
図7Bに示すフレームf_30では9個、
図7Cに示すフレームf_45では7個、
図7Dに示すフレームf_60では9個である。フレームf_15、f_30、f_45、f_60のそれぞれにおいて、閾値未満である参照画素12が所定の個数以上である。そのため、遮蔽物判定部6はフレームf_15、f_30、f_45、f_60の全てのフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定する(ステップS40のYES)。
【0041】
図5に戻り、遮蔽物判定部6は撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在すると判定した場合(ステップS40のYES)、遮蔽物9が存在するフレーム数を示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS50)。一方、遮蔽物判定部6は撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在しないと判定した場合(ステップS40のNO)、遮蔽物9が存在しないフレーム数を示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS60)。遮蔽物判定部6は、ステップS50の遮蔽物9が存在するフレーム数とステップS60の遮蔽物9が存在しないフレーム数の総和が、後述するステップS70の2以上の予め設定された枚数のフレームになった場合に、信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS50、ステップS60)。
【0042】
ステップS70では、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であるか否かを判定する。具体的に、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在すると判定された場合は、遮蔽状態であると判定する。また、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在すると判定されない場合は、遮蔽状態ではないと判定する。
【0043】
2以上の予め設定された枚数のフレームは、例えばステップS10において画像取得部4が取得する撮像画像Pのフレーム数により適宜設定すればよい。
ここでは、2以上の予め設定された枚数を4とする。
図7では、遮蔽物判定部6は1秒間の4フレーム(フレームf_15、f_30、f_45、f_60)において遮蔽物9が存在すると判定するため、遮蔽物9が存在するフレーム数が4であることを示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS50)。したがって、遮蔽状態判定部7はステップS70においてYESと判定する。
【0044】
ステップS70においてYESと判定した場合は、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であることを示す信号を出力する(ステップS80)。一方、ステップS70においてNOと判定した場合は、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないことを示す信号を出力する(ステップS90)。
以上により、遮蔽判定装置100の処理動作を終了する。
【0045】
また、ステップS80において、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であることを示す信号を報知部3及びECUに出力してもよい。そして、報知部3は乗員8に撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であることを報知する。また、ECUは運転支援を実施する。
【0046】
また、ステップS90において、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないことを示す信号をモニタリング処理部2に出力してもよい。そして、モニタリング処理部2は車両の乗員8に対する画像認識処理により、乗員8を対象とした種々のモニタリング処理を行う。
【0047】
次に、本実施の形態における遮蔽判定装置100の効果を、
図8~
図10を用いて説明する。
図8は比較例に係る遮蔽判定装置の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
図9は比較例に係る遮蔽判定装置の処理動作を説明する概略図である。
図10は実施の形態1の遮蔽判定装置100の処理動作を説明する概略図である。比較例に係る遮蔽判定装置において、本実施の形態における遮蔽判定装置100と同様の構成については、同一符号が付されている。
図9及び
図10は、撮像画像Pの特定領域11であり、白い点は参照画素12を示している。
図9A~D及び
図10A~Dはそれぞれフレームf_15、f_30、f_45、f_60における特定領域11である。また、
図9及び
図10は、
図2Bに示す撮像部1による乗員8の撮像を妨げる遮蔽物9がなく、局所的な高輝度物体10が撮像部1の撮像範囲に存在する場合である。局所的な高輝度物体10が撮像部1の撮像範囲に存在する場合、
図3に示すように撮像画像Pは撮像部1による撮像制御により輝度値が低下される。そして、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在するか否かを、実際に遮蔽物9の存在を認識したか否かではなく、複数の参照画素12の輝度値に基づいて判定する。そのため、撮像部1による撮像制御により撮像画像P全体の輝度値が低下されると、遮蔽物判定部6は正しく遮蔽物9が存在するか否かを判定できない可能性がある。例えば、後述する比較例の遮蔽判定装置の処理動作では、実際には遮蔽物9は存在しないが、誤って遮蔽状態と判定される。
【0048】
図8及び
図9を用いて比較例の遮蔽判定装置の処理動作を説明する。
図5における本実施の形態の遮蔽判定装置100の処理動作と、
図8における比較例の遮蔽判定装置の処理動作とは、
図5のステップ20と
図8のステップ21が異なる。
図8のステップS21では、画素選定部5は全てのフレームにおいて同じ画素位置の複数の参照画素12を選定する。すなわち、複数の参照画素12の位置は固定であり、
図9では特定領域11の中央の9個の参照画素12が選定された例を示している。
【0049】
ステップS30では、遮蔽物判定部6は複数の参照画素12の輝度値をそれぞれ算出する。特定領域11の一部に局所的な高輝度物体10が写った場合に、撮像制御により撮像画像P全体の輝度が大きく低下するが、高輝度物体の領域P_10の画素は他の領域よりも高輝度である。
【0050】
そして、ステップS40では、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値に基づいて、撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する。上述の実施の形態1の遮蔽判定装置100と同様に、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値が、予め設定された閾値未満である参照画素12が所定の個数以上である場合は、遮蔽物9が存在すると判定する(ステップS40のYES)。一方、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値が、予め設定された閾値未満である参照画素12が所定の個数未満である場合は、遮蔽物9が存在しないと判定する(ステップS40のNO)。ここでは、高輝度物体の領域P_10の画素は閾値以上の高輝度画素であり、高輝度物体の領域P_10以外の特定領域11の画素は閾値未満の低輝度画素であり、所定の個数は4個とする。この場合、
図9A~Dにおいて閾値未満の参照画素12の個数は5個である。よって、遮蔽物判定部6はフレームf_15、f_30、f_45、f_60の全てにおいて遮蔽物9が存在すると誤って判定する(ステップS40のYES)。そして、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在するフレーム数が4であることを示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS50)。
【0051】
次に、ステップS70では、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であるか否かを判定する。具体的に、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在すると判定された場合は遮蔽状態であると判定する。また、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在すると判定されない場合は遮蔽状態ではないと判定する。上述の実施の形態1の遮蔽判定装置100と同様に、予め設定された枚数を4とする。
図9では、上述のとおり遮蔽物判定部6はフレームf_15、f_30、f_45、f_60の4フレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定し、遮蔽物9が存在するフレーム数が4であることを示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS50)。そのため、遮蔽状態判定部7はステップS70においてYESと判定し、撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であることを示す信号を出力する(ステップS80)。
【0052】
このように、比較例に係る遮蔽判定装置では、特定領域11の一部に局所的な高輝度物体10が写った場合に、撮像画像P全体が撮像制御される。そのため、特定領域11全体の輝度が大きく低下する。これにより、実際には撮像部1による乗員8の撮像を妨げる遮蔽物9がない場合でも、遮蔽判定装置は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽状態であると誤って判定する可能性がある。
【0053】
この課題を解決するための本実施の形態における遮蔽判定装置100の処理について
図5及び
図10を用いて説明する。まず、ステップS20では、画素選定部5は画像取得部4から取得した撮像画像Pの特定領域11の中から複数の参照画素12を選定する。画素選定部5による参照画素12の選定方法は上述の
図7と同様である。
図10に示すように、画素選定部5はフレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定することにより、高輝度物体の領域P_10の画素が参照画素12として多く選定されるフレームf_15と、少なく選定されるフレームf_30、f_45、f_60がある。
【0054】
ステップS30では、遮蔽物判定部6は複数の参照画素12の輝度値をそれぞれ算出する。
【0055】
そして、ステップS40では、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値に基づいて、撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する。判定方法は、上述の比較例に係る遮蔽判定装置と同様である。閾値未満の参照画素12の個数は、
図10Aに示すフレームf_15では1個、
図10Bに示すフレームf_30では7個、
図10Cに示す時刻フレームf_45では8個、
図10Dに示す時刻フレームf_60では6個である。f_30、f_45、f_60では、予め設定された閾値未満である参照画素12が所定の個数以上であるため、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在すると誤って判定する(ステップS40のYES)。そして、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在するフレーム数がf_30、f_45、f_60の3であることを示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS50)。一方、高輝度物体の領域P_10の画素が参照画素12として多く選定されるフレームf_15では、予め設定された閾値未満である参照画素12が所定の個数未満である。そのため、遮蔽物判定部6はフレームf_15では遮蔽物9が存在しないと正しく判定する(ステップS40のNO)。そして、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在しないフレーム数がf_15の1であることを示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する(ステップS60)。
【0056】
次に、ステップS70では、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であるか否かを判定する。具体的に、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在すると判定した場合は、撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であると判定する。また、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在すると判定しなかった場合は遮蔽状態ではないと判定する。上述の実施の形態1の遮蔽判定装置100及び比較例に係る遮蔽判定装置と同様に、2以上の予め設定された枚数のフレームを4とする。
図10に示す場合、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在するフレーム数が3であることを示す信号と、遮蔽物9が存在しないフレーム数が1であることを示す信号を遮蔽状態判定部7に出力する。そのため、遮蔽物判定部6は4フレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定しない。したがって、遮蔽状態判定部7はステップS70においてNOと判定し、撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないことを示す信号を出力する(ステップS90)。
【0057】
このように、本実施の形態における遮蔽判定装置100は、撮像画像Pの中から、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する画素選定部5と、選定した複数の参照画素12の輝度値に基づいて撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部6と、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定された場合は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定されない場合は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部7とを備えることを特徴とする。このように、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12の輝度値に基づき遮蔽物9が存在するか否かを判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定されたか否かに基づき遮蔽状態であるか否かを判定することにより、遮蔽状態の判定精度を向上することができる。
【0058】
また、画素選定部5は画像取得部4から取得した撮像画像P又は特定領域11の全ての画素から所定の画素を間引いた複数の参照画素12を選定する(例えば、
図5のステップS20)。これにより、参照画素12の輝度値に基づき遮蔽物9が存在するか否かを判定する際(例えば、
図5のステップS30及びステップS40)に、撮像画像P又は特定領域11の全ての画素の輝度値を算出する場合よりも処理負荷を低減できる。
【0059】
一方で、撮像画像P又は特定領域11の全ての画素を参照画素12とする場合に比較して、撮像画像P又は特定領域11の全ての画素から所定の画素を間引いた画素を複数の参照画素12とする場合は、遮蔽状態の判定精度が低くなる虞がある。そこで、画素選定部5はフレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する(例えば、
図5のステップS20)。また、画素選定部5は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、複数の参照画素12が撮像画像P又は特定領域11の全体に点在するように、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する。そして、
図5のステップS70では、遮蔽状態判定部7は2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、遮蔽物判定部6は遮蔽物9が存在すると判定したか否かに基づき、遮蔽状態であるか否かを判定する。これにより、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて、撮像画像P又は特定領域11の全体に点在する複数の参照画素12の輝度値に基づき、遮蔽状態であるか否かを判定することができる。そのため、処理負荷の低減と遮蔽状態の判定精度の向上を両立することができる。
【0060】
また、
図5のステップS40では、複数の参照画素12のうち、参照画素12の輝度値が閾値未満である参照画素12が所定の個数以上である場合に、遮蔽物9が存在すると判定し、閾値未満である参照画素12が所定の個数未満である場合に、遮蔽物9が存在しないと判定する例を示した。
ここで、複数の参照画素12の平均輝度値が予め設定された閾値未満である場合に、遮蔽物9が存在すると判定し、複数の参照画素12の平均輝度値が閾値以上である場合に、遮蔽物9が存在しないと判定する場合を考える。この場合、複数の参照画素12の平均輝度値を算出するために総和及び除算を行う。このように、複数の参照画素12の平均輝度値を算出するよりも、輝度値が閾値未満である参照画素12の個数をカウントする方が処理負荷を軽減することができる。
【0061】
また、
図5のステップS80において、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であることを示す信号を例えば車両に設けられた報知部3に出力する。そして、報知部3は乗員8に撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であることを報知する。これにより、乗員8は遮蔽物9を除去する措置を講じることができる。
【0062】
また、
図5のステップS90において、遮蔽状態判定部7は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないことを示す信号をモニタリング処理部2に出力する。すなわち、本実施の形態の遮蔽判定装置100を含む乗員監視装置であるDMSは、遮蔽状態判定部7により遮蔽状態ではないと判定された場合は、モニタリング処理部2により乗員8を対象としたモニタリング処理をし、遮蔽状態判定部7により遮蔽状態であると判定された場合はモニタリング処理部2によりモニタリング処理をしない。これにより、車両の乗員8に対する画像認識処理が実施可能な場合にはモニタリング処理をし、車両の乗員8に対する画像認識処理を実施不可能が場合にはモニタリング処理をしないので、処理負荷を軽減することができる。
【0063】
なお、処理負荷の増大が許容される場合は、
図5のステップS40において、遮蔽物判定部6は複数の参照画素12の平均輝度値が予め設定された閾値未満である場合は遮蔽物9が存在すると判定し、複数の参照画素12の平均輝度値が閾値以上である場合は遮蔽物9が存在しないと判定してもよい。
【0064】
また、
図2ではセンターディスプレイの両サイドに発光素子1a及び撮像素子1bが離れて配置された例を示した。このように発光素子1a及び撮像素子1bが離れて配置された場合には、撮像画像Pにおいて遮蔽物の領域P_9は低輝度領域となる可能性が高い。これは、撮像素子1bを覆うように置かれた遮蔽物9は発光素子1aによる照射を受けない、又は発光素子1aにより照射された遮蔽物9が撮像素子1bの撮像範囲にないためである。
【0065】
発光素子1a及び撮像素子1bは上述の配置位置に限らず、発光素子1a及び撮像素子1bは近接して配置されてもよい。例えば、センターディスプレイの運転者側に発光素子1a及び撮像素子1bを近接して配置してもよい。この場合、遮蔽物9は発光素子1aに照射されて撮像される場合が多く、撮像画像Pにおいて遮蔽物の領域P_9は高輝度領域となる可能性が高い。そのため、
図5のステップS40では、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値が、予め設定された閾値以上である参照画素12が所定の個数以上である場合は、遮蔽物9が存在すると判定する(ステップS40のYES)とよい。そして、遮蔽物判定部6はステップS30において算出した参照画素12の輝度値が、予め設定された閾値以上である参照画素12が所定の個数以上ではない場合は、遮蔽物9が存在しないと判定する(ステップS40のNO)とよい。このように、ステップS40における遮蔽物判定部6により遮蔽物9が存在するか否かを判定する条件は、撮像部1の設計に合わせて適宜設定すればよい。
【0066】
実施の形態2.
実施の形態2における遮蔽判定装置100について
図11を用いて説明する。
図11は実施の形態2の遮蔽判定装置100を含むDMSの一部を示すブロック図である。実施の形態2の遮蔽判定装置100は走行判定部17を備えることを特徴とする。その他の遮蔽判定装置100の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態1と同様の構成については、同一符号が付されている。
【0067】
走行判定部17は、例えば車両に設けられた車速及びシフトを制御する制御部18から、車両が走行中であるか否かを示す走行情報を取得する。そして、走行判定部17は走行情報に基づき、車両が走行中であるか否かを判定する。走行判定部17は車両が走行中であると判定した場合は画像取得部4に撮像部1から複数のフレームの撮像画像Pを取得させる信号を出力し、車両が走行中ではないと判定した場合は遮蔽判定装置100の処理動作を終了させる信号を出力する。
【0068】
次に、遮蔽判定装置100による遮蔽状態判定方法について説明する。
図12は実施の形態2の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS01では、走行判定部17は車両が走行中であるか否かを示す走行情報を取得し、車両が走行中であるか否かを判定する。走行判定部17は車両が走行中であると判定した場合(ステップS01のYES)、ステップS10に進む。ステップS10~S90は実施の形態1の遮蔽状態判定方法と同様である。走行判定部17は車両が走行中ではないと判定した場合(ステップS01のNO)、遮蔽判定装置100の処理動作を終了させる。
【0070】
図12に示すように、遮蔽状態判定部7は走行判定部17により車両が走行中であると判定された場合(ステップS01のYES)は、ステップS70において遮蔽状態であるか否かを判定する。また、遮蔽状態判定部7は走行判定部17により車両が走行中ではないと判定された場合(ステップS01のNO)は、ステップS70における遮蔽状態であるか否かの判定を行わない。
【0071】
実施の形態1と同様に本実施の形態における遮蔽判定装置100は、撮像画像Pの中から、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する画素選定部5と、選定した複数の参照画素12の輝度値に基づいて撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部6と、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定された場合は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定されない場合は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部7とを備えることを特徴とする。このように、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12の輝度値に基づき遮蔽物9が存在するか否かを判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定されたか否かに基づき遮蔽状態であるか否かを判定することにより、遮蔽状態の判定精度を向上することができる。
【0072】
また、本実施の形態における遮蔽判定装置100は、車両が走行中であるか否かを示す走行情報を取得し、走行情報に基づき車両が走行中であるか否かを判定する走行判定部17を備える。そして、遮蔽状態判定部7は、走行判定部17により車両が走行中であると判定された場合は、遮蔽状態であるか否かを判定し、走行判定部17により車両が走行中ではないと判定された場合は、遮蔽状態であるか否かの判定を行わない。
車両が走行中ではない場合は乗員8を対象としたモニタリング処理をする必要がないため、撮像部1による乗員8の撮像が遮蔽物9により妨げられていても問題がない。そのため、車両が走行中ではない場合は、
図12のステップS70における遮蔽状態であるか否かの判定を行う処理動作をしないことにより、遮蔽判定装置100の処理負荷を低減することができる。
【0073】
なお、
図12のステップS01における処理動作をステップS10の前に行う例を示したがこれに限られず、少なくともステップS70よりも前に行えばよい。
図12に示すフローチャートにおいて、上流段階でステップS01の処理動作を実施した方が遮蔽判定装置100の処理負荷を低減する効果は大きくなる。
【0074】
実施の形態3.
実施の形態3における遮蔽判定装置100について
図13を用いて説明する。
図13は実施の形態3の遮蔽判定装置100を含むDMSの一部を示すブロック図である。実施の形態3の遮蔽判定装置100は顔領域判定部19を備えることを特徴とする。その他の遮蔽判定装置100の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態1と同様の構成については、同一符号が付されている。
【0075】
顔領域判定部19は、撮像部1から出力される撮像画像Pから乗員8の顔領域を検出する顔領域検出部20から、乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを示す顔領域検出情報を取得する。そして、顔領域判定部19は顔領域検出情報に基づき、乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを判定する。顔領域判定部19は乗員8の顔領域の検出に成功したと判定した場合は遮蔽判定装置100の処理動作を終了させる信号を出力し、乗員8の顔領域の検出に失敗したと判定した場合は画像取得部4に撮像部1から複数のフレームの撮像画像Pを取得させる信号を出力する。
【0076】
次に、遮蔽判定装置100による遮蔽状態判定方法について説明する。
図14は実施の形態2の遮蔽状態判定方法を示すフローチャートである。
【0077】
ステップS02では、顔領域判定部19は乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを示す顔領域検出情報を取得し、乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを判定する。顔領域判定部19は乗員8の顔領域の検出に成功したと判定した場合(ステップS02のYES)は、遮蔽判定装置100の処理動作を終了させる。顔領域判定部19は乗員8の顔領域の検出に失敗したと判定した場合(ステップS02のNO)は、ステップS10に進む。ステップS10~S90は実施の形態1の遮蔽状態判定方法と同様である。
【0078】
図14に示すように、遮蔽状態判定部7は顔領域判定部19により乗員8の顔領域の検出に成功したと判定された場合(ステップS02のYES)は、ステップS70における遮蔽状態であるか否かの判定を行わない。また、遮蔽状態判定部7は顔領域判定部19により乗員8の顔領域の検出に失敗したと判定された場合(ステップS01のNO)は、ステップS70において遮蔽状態であるか否かを判定する。
【0079】
実施の形態1と同様に本実施の形態における遮蔽判定装置100は、撮像画像Pの中から、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12を選定する画素選定部5と、選定した複数の参照画素12の輝度値に基づいて撮像部1による撮像を妨げる遮蔽物9が存在するか否かを判定する遮蔽物判定部6と、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定された場合は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態であると判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定されない場合は撮像部1が遮蔽物9により遮蔽された遮蔽状態ではないと判定する遮蔽状態判定部7とを備えることを特徴とする。このように、フレームにより画素位置が異なる複数の参照画素12の輝度値に基づき遮蔽物9が存在するか否かを判定し、2以上の予め設定された枚数のフレームにおいて遮蔽物9が存在すると判定されたか否かに基づき遮蔽状態であるか否かを判定することにより、遮蔽状態の判定精度を向上することができる。
【0080】
また、本実施の形態における遮蔽判定装置100は、乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを示す顔領域検出情報を取得し、顔領域検出情報に基づき乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを判定する顔領域判定部19を備える。そして、遮蔽状態判定部7は、顔領域判定部19により乗員8の顔領域の検出に成功したと判定された場合は、遮蔽状態であるか否かの判定を行わず、顔領域判定部19により乗員8の検出に失敗したと判定された場合は、遮蔽状態であるか否かを判定する。
乗員8の顔領域の検出に成功した場合は撮像部1による乗員8の撮像が遮蔽物9により妨げられていない。そのため、乗員8の顔領域の検出に成功した場合は
図14のステップS70における遮蔽状態であるか否かの判定を行う処理動作をしないことにより、遮蔽判定装置100の処理負荷を低減することができる。
【0081】
なお、
図14のステップS02における処理動作をステップS10の前に行う例を示したがこれに限られず、少なくともステップS70よりも前に行えばよい。
図14に示すフローチャートにおいて、上流段階でステップS01の処理動作を実施した方が遮蔽判定装置100の処理負荷を低減する効果は大きくなる。
【0082】
また、顔領域判定部19は乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを示す顔領域検出情報を取得し、乗員8の顔領域の検出に成功したか否かを判定する例を示したが、これに限られない。顔領域判定部19は、モニタリング処理部2において乗員8に対する画像認識処理を実行するために撮像画像Pから検出する必要がある乗員8の身体の器官に関する特定部分を検出できたか否かを示す情報を取得し、その情報に基づき特定部分の検出に成功したか否かを判定してもよい。
【0083】
また、本明細書中に開示する各実施の形態は、その範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることが可能であり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 撮像部、1a 発光素子、1b 撮像素子、2 モニタリング処理部、3 報知部、4 画像取得部、5 画素選定部、6 遮蔽物判定部、7 遮蔽状態判定部、8 乗員、9 遮蔽物、10 高輝度物体、11 特定領域、12 参照画素、13 処理回路、14 プロセッサ、15 メモリ、17 走行判定部、18 制御部、19 顔領域判定部、20 顔領域検出部、100 遮蔽判定装置