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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/20 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
B23Q17/20 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024105578
(22)【出願日】2024-06-28
【審査請求日】2024-09-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】松藤 あかり
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-266166(JP,A)
【文献】特開平05-138505(JP,A)
【文献】特開2019-100803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00、17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のワークを加工するように構成された加工システムであって、
搬入された前記ワークが加工される工作機械と、
前記ワークを少なくとも前記工作機械内において固定する固定器と、
前記固定器と前記ワークとの間に介在し、前記ワークが取り付けられる治具部材と、
前記工作機械の内部又は外部において、前記治具部材に取り付けられたワークについて基準面からその法線方向の高さを測定する測定器と、
前記測定器の測定結果に基づいて前記ワークの種類を判定する判定部と、を備え、
前記治具部材は、当該治具部材に取り付けられた前記ワークの前記基準面からその法線方向の高さをその種類ごとに異ならせるように構成され、更に、
前記治具部材が、
前記固定器に挟持される被挟持部と、
前記被挟持部から突出するように設けられており、前記ワークが取り付けられる高さ設定部と、を具備し、
前記高さ設定部は、前記被挟持部から突出する長さが取り付けられる前記ワークの種類ごとに異なっていることを特徴とする加工システム。
【請求項2】
請求項記載の加工システムであって、
前記被挟持部は、前記ワークの種類によらず共通する形状を有していることを特徴とする加工システム。
【請求項3】
請求項記載の加工システムであって、
前記高さ設定部は、
前記ワークに取り付けられる取付面と、
前記取付面と前記ワークとの間に形成される前記ワークの種類に応じた取付機構と、を具備することを特徴とする加工システム。
【請求項4】
請求項記載の加工システムであって、
前記高さ設定部は、前記ワークに取り付けられる取付面を具備し、前記取付面は、取り付けられる前記ワークの種類に応じた形状を有することを特徴とする加工システム。
【請求項5】
請求項記載の加工システムであって、
前記ワークは、円柱形状を有し、
前記高さ設定部は、前記ワークの下面に取り付けられる取付面を具備し、前記ワークの側面を露出させ、
前記工作機械は、前記取付面に取り付けられたワークの側面を加工することを特徴とする加工システム。
【請求項6】
請求項1記載の加工システムであって、
前記判定部は、前記測定器の測定結果に基づいて判定した前記ワークの種類と、前記工作機械において加工する予定のワークの種類とが一致するかを判定することを特徴とする加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを自動で加工する装置として、NC工作機械(Numerically Controlled Machine Tools)が知られている。この種の工作機械によって複数種類のワークを加工する際、始めに、加工する予定のワークの種類及びそのワークに対する加工内容などが記述された加工プログラムが工作機械に入力される。次に、加工する予定のワークが工作機械に搬入され、工作機械が入力された加工プログラムに従いワークを加工する。
【0003】
工作機械へのワークの搬入は、ロボット装置によって行われることがある。ロボット装置は、加工予定のワークをワークストッカから取り出す。ワークストッカには、種類ごとにワークが所定の位置に収容されている。ロボット装置は、例えばワークの種類の情報及び当該ワークがワークストッカ内において収容されている位置情報に基づいて、ワークストッカから目的のワークを取り出す。
【0004】
工作機械へのワークの搬入がロボット装置で行われる一方、ワークストッカにワークを収容する作業は人によって行われることがある。そのため、ワークストッカの所定の位置に本来収容されるワークとは異なる種類のワークが収容されることがあり得る。ここで、ロボット装置が、ワークが収容されている位置を示す位置情報に基づいてワークを取り出す場合を考えるワークストッカの所定の位置に誤ったワークが収容されていると、ロボット装置は、加工が予定されているワークとは異なる種類のワークを工作機械へ搬入することになる。このような誤って搬入されたワークに対して予定されていない加工が実施されてしまい、ワークと加工時間を無駄にしてしまう恐れがあるという課題に対し、加工前にワークの寸法などを測定してワークの種類を判別し、判別されたワークの種類に応じて対応する加工プログラムが選択されるように構成することが考えられる。例えば特許文献1は機内測定においてワークの高さを測定することが可能なマシニングセンタを開示する。
【0005】
特許文献1のマシニングセンタでは、工作機械にワークを撮影するカメラが機内上方に固定されている。このマシニングセンタでは、機内においてカメラの下方にあるテーブルに固定されたワークをカメラで見下すように撮影させながら、テーブルを一定距離だけ水平面内を平行移動させる。テーブルに固定されたワークの高さが低い場合、カメラとワークとの距離が遠いため、カメラで撮影された映像上のワークの移動量(画素数の変化量)は小さい。テーブルに固定されたワークの高さが高い場合、カメラとワークとの距離が近いため、カメラで撮影された映像上のワークの移動量は大きい。この加工システムは、撮影された映像上の移動量に基づいて、ワークの高さを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6964291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のマシニングセンタのワーク高さ測定機構によれば、ワークの高さを把握できるため、加工予定のワークと異なる高さのワーク、すなわち加工予定のワークと異なるワークが工作機械に搬入されたことを判定することができる。しかしながら、この高さ測定機構では、例えば加工予定のワークと同じ高さを有するが、材質や高さ以外の寸法等が異なることで加工予定のワークとは異なる加工プログラムで加工するワークを判別することは難しい。すなわち、このような高さ測定機構を用いたとしても、加工予定のワークと高さ以外の要素が異なるワークを判別することは難しい。かといって、ワークについて高さ以外の要素も測定すればワークの種類は判別できるかもしれないが、測定に必要となる時間は長くなり、加工効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、簡素な測定でワークの種類を判別できるようにし、工作機械が加工予定のワークと異なるワークを加工することを防ぐとともに、生産効率を高く保つことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の加工システムは、複数種類のワークを加工するように構成された加工システムであって、搬入された前記ワークが加工される工作機械と、前記ワークを少なくとも前記工作機械内において固定する固定器と、前記固定器と前記ワークとの間に介在し、前記ワークが取り付けられる治具部材と、前記工作機械の内部又は外部において、前記治具部材に取り付けられたワークについて基準面からその法線方向の高さを測定する測定器と、前記測定器の測定結果に基づいて前記ワークの種類を判定する判定部と、を備え、前記治具部材は、当該治具部材に取り付けられた前記ワークの前記基準面からその法線方向の高さをその種類ごとに異ならせるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記加工システムでは、工作機械で加工する可能性のあるワークが複数種類存在する。そのため、工作機械に加工予定されていない誤ったワークが搬入され、そのワークに対して予定されていない加工が実施される可能性がある。しかしながら、上記加工システムでは、ワークが取り付けられる治具部材が、複数種類のワークそれぞれを異ならせるように構成されている。すなわち、複数種類のワークはそれぞれ、治具部材に取り付けられることで、種類ごとに固有の高さとなる。上記加工システムは、この種類ごとの高さの違いを利用することでワークの種類を判定できるようになる。加えて、ワークの種類判定は、測定器でワークの高さを測定するだけでよい。したがって、上記加工システムによれば、簡素な測定でワークの種類を判別できるようにし、工作機械が加工予定のワークと異なるワークを加工することを防ぐとともに、生産効率を高く保つことができる。
【0011】
(2)上記(1)の加工システムでは、前記治具部材が、前記固定器に挟持される被挟持部と、前記被挟持部から突出するように設けられており、前記ワークが取り付けられる高さ設定部と、を具備し、前記高さ設定部は、前記被挟持部から突出する長さが取り付けられる前記ワークの種類ごとに異なっていてもよい。
【0012】
上記(2)の加工システムでは、治具部材が、固定器に挟持される被挟持部と、ワークが取り付けられるとともにワークの高さを種類ごとに異ならせる高さ設定部とを有する。このように治具部材において機能分けを行うことで、例えば高さ設定部の長さを調整するだけで複数種類のワークを種類ごとに異なる高さに設定することができる。したがって、上記加工システムによれば、種類ごとに固有のワークの高さを容易に調節することができる。
【0013】
(3)上記(2)の加工システムにおいて、前記被挟持部は、前記ワークの種類によらず共通する形状を有していてもよい。
【0014】
上記(3)の加工システムでは、ワークの種類によらず被挟持部の形状が同じであるため、ワークの種類ごとに固定器を変更したり、別途取付部材を介して固定器に取り付けたりする必要がなく、全ての種類のワーク(治具部材)を同じ構成の固定器に取り付けることができる。したがって、上記加工システムによれば、生産効率を高く保つことができる。
【0015】
(4)上記(2)の加工システムにおいて、前記高さ設定部は、前記ワークに取り付けられる取付面と、前記取付面と前記ワークとの間に形成される前記ワークの種類に応じた取付機構と、を具備していてもよい。
【0016】
上記(4)の加工システムでは、取付面(治具部材)に、取り付け対象であるワーク以外の種類のワークが取り付けられることが抑制される。したがって、上記加工システムによれば、治具部材に誤った種類のワークが取り付けられることが抑制される。
【0017】
(5)上記(2)の加工システムにおいて、前記高さ設定部は、前記ワークに取り付けられる取付面を具備し、前記取付面は、取り付けられる前記ワークの種類に応じた形状を有していてもよい。
【0018】
上記(5)の加工システムでは、ワークが取り付けられる取付面自体が、ワークの種類に応じた形状を有する。そのため、取付面(治具部材)に、取り付け対象であるワーク以外の種類のワークが取り付けられることが抑制される。したがって、上記加工システムによれば、治具部材に誤った種類のワークが取り付けられることが抑制される。
【0019】
(6)上記(2)の加工システムにおいて、前記ワークは、円柱形状を有し、前記高さ設定部は、前記ワークの下面に取り付けられる取付面を具備し、前記ワークの側面を露出させ、前記工作機械は、前記取付面に取り付けられたワークの側面を加工してもよい。
【0020】
例えば、バイス等によって円柱形状のワークを挟持する場合、側面全体を露出させることは難しい。これに対し、上記(6)の加工システムでは、治具部材が、円柱形状のワークの下面に取り付けられることで、ワークの側面全体を露出させることができる。したがって、上記加工システムによれば、円柱形状のワークの側面を効率的に加工することができる。
【0021】
(7)上記(1)の加工システムにおいて、前記判定部は、前記測定器の測定結果に基づいて判定した前記ワークの種類と、前記工作機械において加工する予定のワークの種類とが一致するかを判定してもよい。
【0022】
上記(7)の加工システムでは、例えば工作機械で加工する前のワークの高さを測定し、そのワークの種類を判定することで、そのワークが工作機械において加工予定のワークであるか否かを判定することができる。したがって、上記加工システムによれば、工作機械において加工が予定されていないワークを加工することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の加工システムによれば、簡素な測定でワークの種類を判別できるようにし、工作機械が加工予定のワークと異なるワークを加工することを防ぐとともに、生産効率を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、加工システムの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、工作機械の構造を概略的に示す図である。
図3図3は、ワークストッカの斜視図である。
図4図4は、ワークストッカ、固定器、治具部材及びワークを概略的に示す分解図である。
図5図5は、種類の異なるワークごとの基準面からの高さを示す図である。
図6図6は、ロボット装置の側面図である。
図7図7は、ワークの正誤判定処理を示すフローチャートである。
図8図8は、制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、加工システムの全体構成を示す斜視図である。加工システム100は、工作機械1と、ワークストッカ2,3と、ロボット装置4と、を含む。加工システム100は、ワークストッカ2,3に収容された未加工のワークを、ロボット装置4が工作機械1に搬入し、工作機械1において加工された加工済みのワークを搬出し、ワークストッカ2,3に戻すように構成される。
【0027】
工作機械1は、工場等の施設の床に設置される。この状態で工作機械1は、前面に開閉可能なドア10を含む。ドア10は、工作機械1の外装の一部を構成する。ドア10は、工作機械1の前面においてワークを加工する加工室と工作機械の外部とを開通及び遮断する。ドア10は、工作機械1の前面から加工室にワークを搬入、加工室からワークを搬出できるように構成される。
【0028】
ここで、工作機械1の前面とは、工作機械1においてドア10が設けられた側の面を言う。工作機械1の後面とは、工作機械1において前面と反対側の面を言う。また、工作機械1において後面から前面に向かう方向を前方向と言い、前面から後面に向かう方向を後方向と言う。工作機械1において左方向は、前面視で工作機械1の左に向かう方向を言い、右方向は前面視で工作機械1の右に向かう方向を言う。工作機械1において上方向は工作機械1の上(天井)に向かう方向を言い、下方向は工作機械1の下(床)に向かう方向を言う。以下では、工作機械1における上下方向をZ方向、前後方向をY方向、左右方向をX方向とも言う。
【0029】
図2は、工作機械の構造を概略的に示す図である。工作機械1は、ワークWを加工する機械である。工作機械1は、立型マシニングセンタである。工作機械1は、ベッド11と、サドル12と、テーブル13と、コラム14と、主軸ヘッド15と、主軸16と、工具マガジン17と、工具交換装置18と、制御装置19と、を含む。
【0030】
ベッド11は、加工室の下面に設けられる。ベッド11は、案内レール111を介してサドル12を支持する。案内レール111は、Y方向に延びる。サドル12は、案内レール111に沿って移動可能、すなわちY方向に移動可能に構成される。サドル12は、案内レール121を介してテーブル13を支持する。案内レール121は、X方向に延びる。テーブル13は、案内レール121に沿って移動可能、すなわちX方向に移動可能に構成される。テーブル13は、加工対象であるワークWを支持する。サドル12及びテーブル13は、図示しない駆動装置によって駆動される。このような構成により、テーブル13は、Y方向及びX方向に移動可能に構成される。
【0031】
コラム14は、ベッド11に支持される。コラム14は、Z方向に延びる。コラム14は、案内レール141を介して主軸ヘッド15を支持する。主軸ヘッド15は、コラム14の前面側に設けられる。案内レール141は、Z方向に延びる。主軸ヘッド15は、案内レール141に沿って移動可能、すなわちZ方向に移動可能に構成される。主軸ヘッド15は、図示しない駆動装置によって駆動される。主軸ヘッド15は、主軸16を支持する。主軸16は、主軸ヘッド15の下面に取り付けられる。主軸16は、ツールホルダを介して工具を保持する。主軸16は、Z方向に平行な回転軸を有する。主軸16は、回転軸周りに工具を回転可能に構成される。主軸16は、図示しない駆動装置によって回転駆動される。このような構成により、主軸16は、Z方向に移動可能に構成されるとともに、回転軸周りに回転可能に構成される。
【0032】
工具マガジン17は、加工室に隣接して設けられる。工具マガジン17は、主軸16に装着する複数の工具を収容する。工具マガジン17には、工具に加えて、後述する測定器が収容される。測定器は、例えば接触式のプローブである。工具交換装置18は、工具マガジン17と主軸16との間に設けられる。工具交換装置18はマガジン式の自動工具交換装置である。工具交換装置18は、工具マガジン17と主軸16との間で工具の受け渡しを行う。工具交換装置18は、測定器を工具と同様に扱うことが可能である。すなわち、工具交換装置18は、工具マガジン17と主軸16との間で測定器の受け渡しを行うことが可能である。
【0033】
制御装置19は、工作機械1内に設けられる。制御装置19は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータから構成される。制御装置19は、記録媒体に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、工作機械1の各種制御を実現する。制御装置19の詳細については後述する。
【0034】
図3は、ワークストッカの斜視図である。ワークストッカ2とワークストッカ3とは同じ構成であるため、以下ではワークストッカ2のみについて説明する。ワークストッカ2は、棚状に構成される。ワークストッカ2は、Z方向に配列された複数の棚板を有する。本実施形態では、最上段に設けられた棚板を第1棚板21と称し、上から2番目の棚板を第2棚板22と称し、上から3番目の棚板を第3棚板23と称し、上から4番目の棚板を第4棚板24と称する。
【0035】
第1棚板21には、複数の第1固定器6AがX方向に沿って並べられる。後述するように複数の第1固定器6Aはそれぞれ、図示しない第1治具部材及び第1ワークを支持する。同様に、第2棚板22には、複数の第2固定器6Bが並べられる。複数の第2固定器6Bはそれぞれ、図示しない第2治具部材及び第2ワークを支持する。第3棚板23には、複数の第3固定器6Cが並べられる。複数の第3固定器6Cはそれぞれ、図示しない第3治具部材及び第3ワークを支持する。第4棚板24には、複数の第4固定器6Dが並べられる。複数の第4固定器6Dはそれぞれ、図示しない第4治具部材及び第4ワークを支持する。
【0036】
図4(A)は、ワークストッカの第1棚板、第1固定器、第1治具部材及び第1ワークを概略的に示す分解図である。第1棚板21には、第1固定器6Aを着脱可能に支持する着脱機構211が設けられる。着脱機構211は、第1棚板21に設けられた2つの凸部2111,2112と、第1固定器6Aに設けられた2つの凹部2113,2114と、を含む。2つの凸部2111,2112はそれぞれ、所定の間隔を空けて設けられ、第1棚板21から上方に向かって突出する。2つの凹部2113,2114はそれぞれ、2つの凸部2111,2112に対応するように設けられる。2つの凹部2113,2114はそれぞれ、対応する凸部2111,2112を差し込めるように構成される。
【0037】
第1固定器6Aは、バイス本体、及び、バイス本体上に設けられた一対のジョーを具備し、少なくとも一方のジョーはバイス本体上を摺動可能に構成されたバイスである。第1固定器6Aは、バイス本体である第1搬送用被保持部6A1と、一対のジョーである第1挟持部6A2,6A3と、を含む。第1搬送用被保持部6A1は、概略直方体形状を有し、第1挟持部6A2,6A3を支持するとともに内部に第1挟持部6A2,6A3を接近又は離間させるように駆動するための機構(図示しない)を備える。第1搬送用被保持部6A1は、接続機構61を介して後述するロボット装置によって保持され、搬送される。
【0038】
接続機構61は、第1固定器6Aに設けられた2つの孔611,612と、図示しないロボット装置のハンドに設けられた2つの爪部に設けられており、孔611,612に対応する形状を有する凸部と、を含む。2つの孔611,612はそれぞれ、第1固定器6Aの第1搬送用被保持部6A1の両側面それぞれに設けられる。2つの孔611,612は、所定の間隔を空けて設けられる。2つの孔611,612は、第1搬送用被保持部6A1の端部に設けられる。2つの孔611,612は、第1挟持部6A2及び第1挟持部6A3の相対移動方向において、第1搬送用被保持部6A1の中央よりも第1搬送用被保持部6A1の端に近い位置に設けられる。また、2つの孔611,612は、第1挟持部6A2及び第1挟持部6A3の相対移動方向において、ロボット装置に近い方の端部に設けられる。第1搬送用被保持部6A1の両側面それぞれの2つの孔611,612は、ロボット装置のハンドに設けれた凸部が差し込まれるように構成される。具体的には、離間させた状態のロボット装置の2つの爪部を第1搬送用被保持部6A1の両側面それぞれの外側に位置させ、2つの爪部を接近させることで、2つの爪部が第1搬送用被保持部6A1を挟み込む。この際、片方の爪部に設けられた2つの凸部それぞれが、第1搬送用被保持部6A1の一方の側面の2つの孔611,612に差し込まれ、もう片方の爪部に設けられた2つの凸部それぞれが、第1搬送用被保持部6A1のもう一方の側面の2つの孔611,612に差し込まれる。これにより、ロボット装置のハンドが第1搬送用被保持部6A1(第1固定器6A)を挟持でき、第1固定器6Aを運搬することができる。
【0039】
また、仮に第1固定器6Aが逆向きに第1棚板21に設けられた場合(凸部2111が凹部2114に差し込まれ、凸部2112が凹部2113に差し込まれた場合)、2つの孔611,612は、第1搬送用被保持部6A1において、ロボット装置から遠い方の端部に設けられることになる。ロボット装置は、2つの孔611,612が第1搬送用被保持部6A1においてロボット装置に近い方の端部に設けられている状態が、第1搬送用被保持部6A1の正しい向きとプログラムされているため、この場合ロボット装置の凸部が2つの孔611,612に差し込まれず、第1搬送用被保持部6A1の側面における2つの孔611,612とは逆側の端部に当たる。そのため、第1搬送用被保持部6A1を挟持する際のロボット装置の爪部のストロークが通常よりも短くなる。この爪部のストロークの変化を検知することで、第1固定器6Aが正しい向きで載置されていないことを検知できる。
【0040】
第1挟持部6A2と第1挟持部6A3とは、互いに対向するように設けられる。第1挟持部6A2と第1挟持部6A3とは、近接及び離間可能に構成される。第1挟持部6A2と第1挟持部6A3との近接及び離間は、第1挟持部6A2が移動することで実現されてもよいし、第1挟持部6A3が移動することで実現されてもよいし、第1挟持部6A2,6A3の両方が移動することで実現されてもよい。このような構成により、第1挟持部6A2,6A3は、第1治具部材7を挟持する。
【0041】
第1治具部材7は、第1被挟持部71と、第1高さ設定部72と、を含む。
【0042】
第1被挟持部71は、第1挟持部6A2,6A3に挟持される。第1被挟持部71は、板形状を有する。第1被挟持部71は、上面視で四角形状を有する。第1被挟持部71は、その側面が第1挟持部6A2,6A3に挟まれることで、第1固定器6Aに挟持される。
【0043】
第1高さ設定部72は、第1被挟持部71の上に設けられる。第1高さ設定部72は、円柱形状を有する。第1高さ設定部72は、第1被挟持部71から上方に突出するように設けられる。第1高さ設定部72の高さ(Z方向の長さ)は、H11に設定される。第1高さ設定部72には、取付機構73を介して第1ワークW1が取り付けられる。取付機構73は、高さ設定部72の上面に設けられた複数の孔731と、複数の孔731それぞれに対応するように第1ワークW1に設けられた複数の孔732と、高さ設定部72と第1ワークW1とを接続する接続部材733とを含む。高さ設定部72の複数の孔731と、第1ワークW1の複数の孔732とは、同じ形状、配置であり、高さ設定部72に第1ワークW1を載置した際に一致するように構成される。接続部材は、例えばボルトである。接続部材は、高さ設定部72の複数の孔731と第1ワークW1の複数の孔732とに挿入され、両者を固定する。
【0044】
第1ワークW1は、第1高さ設定部72の上面に取り付けられる。第1ワークW1は、円柱形状を有する。第1ワークW1の高さ(Z方向の長さ)は、H12である。
【0045】
図4(B)は、ワークストッカの第2棚板、第2固定器、第2治具部材及び第2ワークを概略的に示す分解図である。第2固定器6Bは、第1固定器6Aと同じ形状及び構成を有する。すなわち、第2固定器6Bは、第1固定器6Aと同様に着脱機構221を介して第2棚板に着脱可能に設けられる。着脱機構221は、着脱機構211と同じである。ただし、第2固定器6Bは、第1治具部材7とは異なる第2治具部材8を挟持する。
【0046】
第2治具部材8は、第2被挟持部81と、第2高さ設定部82と、を含む。第2被挟持部81は、第1被挟持部71と同じ形状である。ただし、第2高さ設定部82の高さ(Z方向の長さ)は、H21に設定される。第2高さ設定部82の高さH21は、第1高さ設定部72の高さH11と異なる。また、第2高さ設定部82は、取付機構73とは異なる取付機構83を介して第2ワークW2を保持する。取付機構83は、高さ設定部82の上面に設けられた複数の孔831と、複数の孔831それぞれに対応するように第2ワークW2に設けられた複数の孔832と、高さ設定部82と第2ワークW2とを接続する接続部材833とを含む。高さ設定部82の複数の孔831と、第2ワークW2の複数の孔832とは、同じ形状、配置であり、高さ設定部82に第2ワークW2を載置した際に一致するように構成される。複数の孔831,832は、取付機構73における複数の孔731,732とは異なる位置に設けられる。すなわち、第2高さ設定部82は、第2ワークW2を保持することはできるが、第2ワークW2以外のワークを保持することができないように構成される。
【0047】
第2ワークW2は、第1ワークW1とは異なる種類のワークである。本実施形態では、第2ワークW2は、第1ワークW1と材質のみが異なり、形状は同じである。すなわち、第2ワークの高さH22は、第1ワークW1の高さH12と同じである。第2ワークW2は、第1ワークW1とは異なる製品に加工される。すなわち、異なる種類のワークとは、工作機械1において異なる加工プログラムによって加工されるワークを言う。例えば、第2ワークW2は、第1ワークW1と形状のみが異なり、材質は同じであってもよい。第2ワークW2は、第1ワークW1と形状及び材質の両方が異なっていてもよい。
【0048】
図5は、種類の異なるワークごとの基準面からの高さを示す図である。第1ワークW1の基準面P1からの測定方向(Z方向)の高さは、H1に設定される。基準面P1は、測定方向における第1固定器6Aの下面の位置で画定される。後述するように、本実施形態では、固定器が工作機械のテーブルに載置された状態でワークの高さを測定するため、基準面P1は測定方向におけるテーブルの上面に相当する。また、第1ワークW1の基準面P1からの測定方向の高さH1は、基準面P1から第1ワークW1の測定面までの測定方向の高さで画定される。本実施形態では、第1ワークW1の測定面は、第1ワークW1の上面である。これらの測定基準については、他のワークについても同様である。
【0049】
一方、第2ワークW2の基準面P1からの測定方向の高さは、H2に設定される。この高さH2は、第1ワークW1の基準面P1からの測定方向の高さH1とは異なる。ここで、第2固定器6Bは第1固定器6Aと同じ高さを有し、第2ワークW2自体の高さH22は第1ワークW1自体の高さH12と同じである。しかしながら、第2高さ設定部82自体の高さH21は、第1高さ設定部72自体の高さH11とは異なる。これにより、第2ワークW2の基準面P1からの測定方向の高さH2が、第1ワークW1の基準面P1からの測定方向の高さH1と異なるようになる。すなわち、第1治具部材7及び第2治具部材8はそれぞれ、保持するワークの高さをそのワーク固有の高さにする。
【0050】
第3ワークW3及び第4ワークW4それぞれも同様に、基準面P1からの測定方向の高さが固有の高さに設定される。第3ワークW3は、第1ワークW1及び第2ワークW2とは異なる種類のワークである。第3ワークW3自体の高さH32は、第1ワークW1の高さH12とは異なる。第3ワークW3を保持する第3治具部材は、第3高さ設定部92自体の高さH31を適宜調整することで、第3ワークW3の基準面P1からの測定方向の高さH3を第1ワークW1の高さH1及び第2ワークW2の高さH2と異ならせる。同様に、第1-第3ワークとは異なる種類の第4ワークW4を保持する第4治具部材は、第4ワークW4の基準面P1からの測定方向の高さH4を第1-第3ワークの高さH1-H3と異ならせる。これにより、工作機械に搬入される可能性のある複数のワーク、すなわちワークストッカに収容された複数のワークは、ワークの種類ごとに基準面P1からの測定方向の高さが異なるようになる。これら各種ワークは、ロボット装置によって、各治具部材及び固定器と一体的に工作機械へ搬入される。
【0051】
図6は、ロボット装置の側面図である。ロボット装置4は、台車41と、ロボット42と、管理装置43とを含む。
【0052】
台車41は、本実施形態の加工システム100が採用される施設内を移動可能に構成される。台車41は、人によって運搬される手押し台車である。台車41は、ロボット42を支持する。
【0053】
ロボット42は、ワークストッカ2内のワークを工作機械1に搬入する。ロボット42は、マニュピレータである第1アーム421と、第1アーム421の先に設けられる第2アーム422と、第2アーム422の先に設けられる第3アーム423と、を含む。ロボット42は、第1アーム421と第2アーム422、第2アーム422と第3アーム423を関節で接続した多関節型のロボットである。第3アーム423の先端部には、各ワーク(各固定器)を保持するハンド424が設けられる。また、第3アーム423の先端部には、カメラ425が設けられる。カメラ425は、ロボット42と工作機械1との位置関係、取り出すワークの位置等を管理装置43が把握するために使用される。カメラ425及びハンド424は、管理装置43の指示に基づき、3次元空間内で移動可能に構成される。
【0054】
管理装置43は、ロボット装置4内に設けられる。管理装置43は、管理装置43は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータから構成される。管理装置43は、図示しない操作盤を介して入力された指示を受ける。管理装置43は、有線又は無線で接続されたネットワークを介して指示を受けてもよい。管理装置43は、指示を受けると、記録媒体に格納されたコンピュータプログラムを実行する。管理装置43は、当該コンピュータプログラムを実行することで、ロボット42の制御を実現する。また、管理装置43は、有線又は無線で工作機械とも接続される。
【0055】
図7は、ワークの正誤判定処理を示すフローチャートである。初めに、管理装置43は、工作機械1において第1ワークW1を加工する旨を示す作業指示を受ける(ステップS11)。管理装置43は、作業指示を受けると、ロボット42を制御する。ロボット42は、管理装置43からの指示に基づき、ワークストッカ2内における所定の位置からワークを取り出す。この所定の位置は、管理装置43からの指示に記述された位置情報に基づく位置であり、予め設定されている。すなわち、ロボット42は、ワークストッカ2内において第1ワークW1が収容されているはずである位置に収容されているワークを取り出す(ステップS12)。ロボット42は、取り出したワークを工作機械1に搬入する。ロボット42は、ワークを工作機械1のテーブル上に載置する(ステップS13)。
【0056】
次に、工作機械1は、ワークの基準面からの測定方向の高さを測定する準備をする(ステップS14)。具体的には、工作機械1は、工具マガジン17に収容されている測定器5を主軸16に取り付ける。
【0057】
次に、測定器5は、搬入されたワークの基準面からの測定方向の高さを測定する(ステップS15)。具体的には、工作機械1は、主軸16を制御する。工作機械1は、主軸16をY方向及びX方向に適宜移動させ、測定器5をワークの上に位置させる。その後、工作機械1は、主軸16をZ方向に移動させ、測定器5をワークの上面に接触させる。これにより、ワークの上面のZ方向の位置が把握される。また、工作機械1は、測定器5をテーブルの上面に接触させる。これにより、テーブルの上面のZ方向の位置が把握される。本実施形態では、ワークが載置されるテーブルの上面が基準面に設定される。なお、基準面は予め把握されていてもよい。測定器5は、測定結果を工作機械1の制御装置19に送信する。
【0058】
次に、工作機械(制御装置19)は、測定器5が測定したワーク、すなわち工作機械1に搬入されたワークが第1ワークであるか否かを判定する(ステップS16)。工作機械1は、搬入されたワークが第1ワークであると判定すると(ステップS16でYES)、第1ワークの加工を開始する(ステップS17)。工作機械1は、搬入されたワークが第1ワークではないと判定すると(ステップS16でNO)、搬入されたワークを搬出する(ステップS18)。例えば、工作機械1は、工作機械1内に設けられた搬出装置によって、ワークを搬出口に移動させる。
【0059】
図8は、制御装置の機能ブロック図である。制御装置19は、通信部191と、記憶部192と、測定処理部193と、取得部194と、判定部195と、加工処理部196と、を含む。
【0060】
通信部191は、ロボット装置4における管理装置43から第1ワークW1を加工する旨を示す作業指示情報を受信する。通信部191は、管理装置43へ情報を送信可能であってもよい。通信部191は、受信した作業指示情報を記憶部192に保存する。通信部191は、作業指示情報を記憶部192に保存した旨を示す保存情報を測定処理部193へ送信する。
【0061】
測定処理部193は、通信部191から保存情報を受けると、搬入されたワークの基準面からの測定方向の高さを測定する測定作業を工作機械1及び測定器5に実行させる。測定作業の終了後、測定処理部193は測定器5から測定結果を受信する。測定処理部193は、受信した測定結果を記憶部192に保存する。測定処理部193は、測定結果を記憶部192に保存した旨を示す保存情報を取得部194へ送信する。
【0062】
取得部194は、測定処理部193から保存情報を受けると、記憶部192から測定結果を取得する。また、取得部194は、記憶部192から第1ワークの基準面からの測定方向の高さを示す第1ワーク高さ情報を取得する。第1ワーク高さ情報は、予め記憶部192に保存される。取得部194は、取得した測定結果及び第1ワーク高さ情報を判定部195へ送信する。
【0063】
判定部195は、取得部194から受けた測定結果に基づいて、測定したワーク、すなわち工作機械に搬入されたワークが第1ワークであるか否かを判定する。より詳細には、判定部195は、取得部194から受けた測定結果が示す値と第1ワーク高さ情報が示す値との差分を算出する。判定部195は、算出した差分が許容範囲内であるか否かを判断する。許容範囲は予め記憶部192に保存される情報であり、その範囲は適宜設定される。判定部195は、算出した差分が許容範囲内である場合、搬入されたワークは第1ワークであると判定する。判定部195は、算出した差分が許容範囲外である場合、搬入されたワークは第1ワークではないと判定する。判定部195は、判定結果を記憶部192に保存する。判定部195は、判定結果を記憶部192に保存した旨を示す保存情報を加工処理部196へ送信する。
【0064】
加工処理部196は、判定部195から保存情報を受けると、記憶部192から判定結果を取得する。加工処理部196は、取得した判定結果が第1ワークである旨を示す場合、記憶部192から作業指示情報を取得し、工作機械1にワークを加工させる加工作業を実行させる。加工処理部196は、取得した判定結果が第1ワークではない旨を示す場合、記憶部192から搬出作業情報を取得し、工作機械1にワークを搬出させる搬出作業を実行させる。搬出作業情報は、予め記憶部192に保存される。
【0065】
以上説明したように、加工システム100では、工作機械1は第1ワークW1を加工するように設定される。工作機械1で使用する可能性のあるワークを収容するワークストッカ2には、第1ワークW1だけでなく、第2-第4ワークW2-W4も収容される。仮に、本来第1ワークW1が収容されるワークストッカ2の第1棚板21に、ワーク自体の高さが第1ワークW1と同じ第2ワークW2が誤って収容されていたとする。この場合、ロボット装置4によって誤った第2ワークW2が搬入される。しかしながら、工作機械1は、測定器5を用いて、ワークの加工前に搬入されたワークの基準面からの測定方向の高さを測定する。この場合、ワーク自体の高さが第1ワークW1と同じである第2ワークW2が工作機械1に搬入されたものの、測定結果は高さH2となり、加工予定の第1ワークW1固有の基準面からの測定方向の高さH1とは異なる。制御装置19は、この測定結果を用いて、工作機械1に搬入されたワークが加工予定の第1ワークW1ではないことを判定する。したがって、加工システム100によれば、工作機械1が加工予定の第1ワークW1と異なるワークを加工することを抑制できる。
【0066】
また、加工システム100では、第2治具部材8に第2ワークW2を取り付けるための取付機構83は、第1治具部材7に第1ワークW1を取り付けるための取付機構73と異なる構成を有する。第1治具部材7には第1ワークW1のみを取り付けることができ、第2治具部材8には第2ワークW2のみを取り付けすることができる。すなわち、各治具部材には、対応する種類のワークのみを取り付けることができ、それとは異なる種類のワークを取り付けることができないように構成される。これにより、各治具部材に誤った種類のワークが取り付けられることが抑制される。
【0067】
また、加工システム100では、各治具部材は、ワークの下面を、取付機構を介して支持する。これにより、ワークの上面及び側面が開放される。したがって、加工システム100は、上面及び/又は下面を加工するワークの加工システムとして適する。
【0068】
また、加工システム100では、工作機械1の主軸16に測定器5が取り付けられる。主軸16は、例えばマイクロメータ単位で位置を制御することができる。そのため、第1ワークW1の基準面からの測定方向の高さH1と、第2ワークW2の基準面からの測定方向の高さH2とが小さい場合であっても、制御装置がその高さの違いを把握することができる。
【0069】
上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【0070】
例えば、上述の実施形態では、ワークストッカ2には、第1-第4ワークW1-W4の4種類のワークが収容される場合について説明した。しかしながら、ワークストッカ2には、第3-第4ワークW3,W4は収容されなくてもよい。要するに、ワークストッカ2には少なくとも2種類のワークが収容されればよい。
【0071】
例えば、上述の実施形態では、第1-第2治具部材7,8の高さ設定部72,82自体の高さを調整することで、第1ワークの高さH1と第2ワークの高さH2とを異ならせる。しかしながら、第1ワークの高さH1と第2ワークの高さH2とを異ならせる手段は、これに限定されない。例えば、第1-第2治具部材7,8の被挟持部71,81自体の高さを調整してもよい。
【0072】
例えば、上述の実施形態では、第1-第2治具部材7,8はそれぞれ、被挟持部71,81と高さ設定部72,82とを含む場合について説明した。しかしながら、第1-第2治具部材7,8はそれぞれ、高さ設定部72,82のみを有していてもよい。この場合、高さ設定部72,82が各固定器に挟持される。
【0073】
例えば、上述の実施形態では、第1-第2治具部材7,8はそれぞれ、固定器6A,6Bを介してワークストッカ2に収容される場合について説明した。しかしながら、第1-第2治具部材7,8はそれぞれワークストッカ2に着脱可能に直接取り付けられてもよい。要するに固定器6A,6Bは必要に応じて設けられればよい。
【0074】
例えば、上述の実施形態では、ロボット装置4がワークストッカ2から工作機械1へワークを搬入する場合について説明した。しかしながら、ロボット装置4に代わり人がワークストッカ2から工作機械1へワークを搬入してもよい。
【0075】
例えば、上述の実施形態では、ワークの正誤判定を行う制御装置19が工作機械1に設けられる場合について説明した。しかしながら、制御装置19は、工作機械1外に設けられてもよい。制御装置19は、ロボット装置4に設けられてもよいし、ワークストッカ2に設けられてもよいし、その他の場所に設けられてもよい。例えば、制御装置19がロボット装置4に設けられる場合、ロボット装置4のアームを利用してワークの高さを測定してもよい。制御装置19は、測定結果に基づいてワークを工作機械1に搬入する前にワークの正誤判定を行ってもよい。すなわち、制御装置19は、工作機械1に搬入予定のワークが第1ワークW1であるか否かを判定してもよい。
【0076】
例えば、上述の実施形態では、ワークの測定方向の高さを測定する際の基準である基準面が工作機械のテーブル上面である場合について説明した。しかしながら、基準面はこれに限定されない。例えば、ワークを工作機械1に搬入する前にワークの正誤判定を行う場合、ワークストッカ2のある面を基準面に設定し、工作機械に搬入予定のワークがワークストッカ2に収容された状態でワークの正誤判定を行ってもよい。要するに、基準面は、適宜設定されてよい。
【0077】
例えば、上述の実施形態では、制御装置19は、工作機械1に搬入されたワークが加工予定の第1ワークW1であるか否かを判定する。すなわち、制御装置19は、工作機械1において加工対象として設定されたワークと、搬入されたワークとが一致するか否かを判定する。しかしながら、制御装置19は、搬入されたワークの種類を判別してもよい。この場合、制御装置19が搬入されたワークが加工予定の第1ワークではなく第2ワークであると判定すると、工作機械1は第2ワークを搬出するのではなく、第2ワークを加工するように設定を切り替えてもよい。
【0078】
例えば、上述の実施形態では、工作機械1は立型マシニングセンタである場合について説明した。しかしながら、工作機械1はこれに限定されない。工作機械1は、横型マシニングセンタであってもよいし、ターニングセンタであってもよいし、旋削機能及びミーリング機能を有する複合加工機であってもよい。工作機械1がターニングセンタ又は複合加工機である場合、固定器は例えばチャックである。要するに、工作機械1は、複数種類のワークを加工することが可能であればよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0079】
100 :加工システム
1 :工作機械
19 :制御装置
191 :通信部
192 :記憶部
193 :測定処理部
194 :取得部
195 :判定部
196 :加工処理部
2,3 :ワークストッカ
4 :ロボット装置
5 :測定器
6A-6D :固定器
7 :第1治具部材
71 :第1被挟持部
72 :第1高さ設定部
73 :取付機構
8 :第2治具部材
81 :第2被挟持部
82 :第2高さ設定部
83 :取付機構
P1 :基準面
W1-W4 :ワーク
【要約】      (修正有)
【課題】簡素な測定でワークの種類を判別できるようにし、工作機械が加工予定のワークと異なるワークを加工することを防ぐとともに、生産効率を高く保つこと。
【解決手段】加工システムは、搬入されたワークが加工される工作機械と、ワークを少なくとも工作機械内において固定する固定器6と、固定器とワークとの間に介在し、ワークが取り付けられる治具部材7,8と、工作機械の内部又は外部において、治具部材に取り付けられたワークについて基準面P1からその法線方向の高さを測定する測定器と、測定器の測定結果に基づいてワークの種類を判定する判定部と、を備え、治具部材7,8は、当該治具部材に取り付けられたワークW1,W2の基準面P1からその法線方向の高さH1,H2をその種類ごとに異ならせるように構成されている。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8