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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】ガス検出器及びガス検出器アレイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20241213BHJP
【FI】
G01N21/3504
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024542039
(86)(22)【出願日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2023041680
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 昌一郎
(72)【発明者】
【氏名】嶋谷 政彰
(72)【発明者】
【氏名】岩川 学
(72)【発明者】
【氏名】小川 新平
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第7321403(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/131574(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/256016(WO,A1)
【文献】特開2015-031666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
G01J 1/02
H01L 31/00-31/02
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象のガスを検出するためのガス検出器であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に配置されている少なくとも1つの第1電極と、
前記少なくとも1つの第1電極と電気的に接続されている少なくとも1つの二次元材料層と、
前記少なくとも1つの二次元材料層を介して前記少なくとも1つの第1電極と電気的に接続されている少なくとも1つの第2電極とを備え、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、外部に露出している露出面を有しており、
記検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が前記少なくとも1つの二次元材料層に入射されたときに、前記少なくとも1つの二次元材料層で光電変換が行わ
前記少なくとも1つの第1電極及び前記少なくとも1つの第2電極は、第1組の第1電極及び第2電極と、前記第1組の第1電極及び第2電極と間隔を空けて配置されている第2組の第1電極及び第2電極とを有し、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、前記第1組の第1電極及び第2電極の間を電気的に接続する第1二次元材料層と、前記第1二次元材料層と間隔を空けて配置されておりかつ前記第2組の第1電極及び第2電極の間を電気的に接続している第2二次元材料層とを有し、
前記第1二次元材料層は、前記露出面を有し、
前記第2二次元材料層を覆う第1被覆膜をさらに備え、
前記第1被覆膜は、前記検出対象のガスの透過を阻害するように設けられている、ガス検出器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1電極及び前記少なくとも1つの第2電極は、前記第1組の第1電極及び第2電極、並びに、前記第2組の第1電極及び第2電極の各々と間隔を空けて配置されている第3組の第1電極及び第2電極をさらに有し、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、前記第1二次元材料層及び前記第2二次元材料層の各々と間隔を空けて配置されておりかつ前記第3組の第1電極及び第2電極の間を電気的に接続している第3二次元材料層をさらに有し、
前記第3二次元材料層を覆う第2被覆膜をさらに備え、
前記第2被覆膜は、前記検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波の透過を阻害するように設けられている、請求項に記載のガス検出器。
【請求項3】
前記第1二次元材料層と接している、または前記絶縁層を介して前記第1二次元材料層と接続されている第1強誘電体層と、
前記第2二次元材料層と接している、または前記絶縁層を介して前記第2二次元材料層と接続されている第2強誘電体層とをさらに備え、
前記第1強誘電体層及び前記第2強誘電体層を構成する材料は、前記検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときに分極が生じる材料である、請求項又はに記載のガス検出器。
【請求項4】
前記第1二次元材料層と接している第1接触層と、
前記第2二次元材料層と接している第2接触層とをさらに備え、
前記第1接触層及び前記第2接触層を構成する材料は、前記第1二次元材料層又は前記第2二次元材料層に電子又は正孔を供給可能な材料である、請求項又はに記載のガス検出器。
【請求項5】
前記第1二次元材料層と接している第1導電体と、
前記第2二次元材料層と接している第2導電体とをさらに備える、請求項又はに記載のガス検出器。
【請求項6】
前記第1二次元材料層及び前記第2二次元材料層の各々は、前記絶縁層上に互いに間隔を空けて配置されている第1部分及び第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に架橋されている第3部分とを有している、請求項又はに記載のガス検出器。
【請求項7】
検出対象のガスを検出するためのガス検出器であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に配置されている少なくとも1つの第1電極と、
前記少なくとも1つの第1電極と電気的に接続されている少なくとも1つの二次元材料層と、
前記少なくとも1つの二次元材料層を介して前記少なくとも1つの第1電極と電気的に接続されている少なくとも1つの第2電極とを備え、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、外部に露出している露出面を有しており、
前記検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が前記少なくとも1つの二次元材料層に入射されたときに、前記少なくとも1つの二次元材料層で光電変換が行われ、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有する半導体層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記第1面上に配置されており、
前記絶縁層には、前記第1面の一部を露出する少なくとも1つの開口部が形成されており、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、前記少なくとも1つの第1電極と前記半導体層との間を電気的に接続しており、前記少なくとも1つの開口部内から前記絶縁層上にまで延在しており、
前記少なくとも1つの第2電極は、前記第2面上に配置されており、前記半導体層を介して前記少なくとも1つの二次元材料層と電気的に接続されており
前記少なくとも1つの開口部は、互いに間隔を空けて配置されている第1開口部及び第2開口部を有し、
前記少なくとも1つの第1電極は、互いに間隔を空けて配置されている第1の第1電極及び第2の第1電極を有し、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、前記第1開口部内から前記絶縁層上にまで延在しておりかつ前記第1の第1電極と前記半導体層との間を電気的に接続している第4二次元材料層と、前記第2開口部内から前記絶縁層上にまで延在しておりかつ前記第2の第1電極と前記半導体層との間を電気的に接続している第5二次元材料層とを有し、
前記第5二次元材料層を覆う第3被覆膜をさらに備え、
前記第3被覆膜は、前記検出対象のガスの透過を阻害するように設けられているガス検出器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開口部は、前記第1開口部及び前記第2開口部の各々と間隔を空けて配置されている第3開口部をさらに有し、
前記少なくとも1つの第1電極は、前記第1の第1電極及び前記第2の第1電極の各々と間隔を空けて配置されている第3の第1電極をさらに有し、
前記少なくとも1つの二次元材料層は、前記第3開口部内から前記絶縁層上にまで延在し、前記第3の第1電極と前記半導体層との間を電気的に接続する第6二次元材料層とを備え、
前記第6二次元材料層を覆う第4被覆膜をさらに備え、
前記第4被覆膜は、前記検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波の透過を阻害するように設けられている、請求項に記載のガス検出器。
【請求項9】
前記第4二次元材料層の前記絶縁層上に配置されている部分は、前記第1面と交差する方向に延びる第1端面を有し、
前記第4二次元材料層の前記第1開口部内に配置されている部分は、前記交差する方向に延びる第2端面を有し、
前記第5二次元材料層の前記絶縁層上に配置されている部分は、前記交差する方向に延びる第3端面を有し、
前記第5二次元材料層の前記第2開口部内に配置されている部分は、前記交差する方向に延びる第4端面を有し、
前記第2端面の面積の総和は、前記第1端面の面積の総和よりも大きく、
前記第4端面の面積の総和は、前記第3端面の面積の総和よりも大きい、請求項又はに記載のガス検出器。
【請求項10】
請求項1又はに記載のガス検出器を複数備え、
前記複数のガス検出器の各々は、アレイ状に配置されている、ガス検出器アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス検出器及びガス検出器アレイに関し、特に二次元材料層を備えるガス検出器及びガス検出器アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-102567号公報(特許文献1)には、グラフェンからなるゲートとゲート絶縁膜とを備える電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET)が開示されている。特許文献1に記載のFETは、グラフェンにアンモニア等の検出対象のガスが吸着した時の仕事関数変化に起因した閾値電圧変化によって生じるドレイン電流変化に基づき、FETがガスを検出するガスセンサとして作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-102567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グラフェンには、種々のガスが吸着する。そのため、上記FETでは、検出対象以外のガスがグラフェンに吸着されたときにもドレイン電流が変化する。つまり、上記FETでは、混合ガス中において特定のガス種を検出すること、又はガス種を識別することは困難である。
【0005】
本開示では、特定のガス種を検出又はガス種を識別するための技術が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態のガス検出器は、絶縁層と、絶縁層上に配置されている少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第1電極と電気的に接続されている少なくとも1つの二次元材料層と、少なくとも1つの二次元材料層を介して少なくとも1つの第1電極と電気的に接続されている少なくとも1つの第2電極とを備える。少なくとも1つの二次元材料層は、外部に露出している露出面を有している。少なくとも1つの二次元材料層は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときに、光電変換が行われるように設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に従うと、特定のガス種を検出又はガス種を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るガス検出器の平面模式図である。
図2図1中の矢印IIーIIから視た断面模式図である。
図3】実施の形態1に係るガス検出器の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図4】実施の形態1に係るガス検出器における、電磁波検出方式によるガス検出の動作原理を具体的に説明するための図である。
図5】実施の形態1に係るガス検出器における、吸着方式によるガス検出の動作原理を具体的に説明するための図である。
図6】実施の形態2に係るガス検出器の断面模式図である。
図7】実施の形態3に係るガス検出器の断面模式図である。
図8】実施の形態4に係るガス検出器の断面模式図である。
図9】実施の形態5に係るガス検出器の断面模式図である。
図10】実施の形態6に係るガス検出器の断面模式図である。
図11図10中の矢印XIーXIから視た断面模式図である。
図12】実施の形態6に係るガス検出器の第1変形例を示す平面模式図である。
図13】実施の形態6に係るガス検出器の第2変形例を示す平面模式図である。
図14】実施の形態7に係るガス検出器アレイの上面図である。
図15】実施の形態7に係るガス検出器アレイから得られた電気信号を読み出す読出し回路の一例を示す模式図である。
図16】実施の形態7に係るガス検出器アレイの第1変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0010】
以下に説明される実施の形態において、図は模式的なものであり、機能または構造を概念的に説明するものである。また、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。特記される場合を除いて、ガス検出器の基本構成は全ての実施の形態において共通である。また、同一の符号が付されたものは、上述のように同一またはこれに相当するものである。これは明細書の全文において共通する。
【0011】
本開示に係るガス検出器は、検出対象のガスを検出するためのガス検出器である。本開示に係るガス検出器が検出対象とするガスには、任意の気体、または任意の気体中に浮遊している任意の微粒子が含まれる。任意の微粒子として、エアロゾルの形態で任意の気体中に浮遊している、任意の液体の微粒子又は任意の固体の微粒子が挙げられる。
【0012】
本開示に係るガス検出器は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときに少なくとも二次元材料層にて生じる光電変換に伴う二次元材料層の電気特性の変化と、検出対象のガスが二次元材料層に吸着することに伴う二次元材料層の電気特性の変化とを、ガス検出信号として検出し、さらに各変化量を測定する。本明細書では、前者の電気特性の変化に基づくガス検出を電磁波検出方式によるガス検出とも記載し、後者の電気特性の変化に基づくガス検出を吸着方式によるガス検出とも記載する。
【0013】
以下に説明される実施の形態では、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波として、可視光または赤外光を検出する方式のガス検出器の構成が説明されるが、本開示のガス検出器が検出する電磁波は可視光および赤外光に限定されない。以下に説明される実施の形態は、可視光および赤外光に加えて、例えば、X線、紫外光、近赤外光、テラヘルツ(THz)波、マイクロ波などの電波を検出する検出器としても有効である。なお、以下に説明される実施の形態では、これらの光および電波を総称して電磁波と記載する。
【0014】
以下では、二次元材料層の材料として、グラフェンを例に説明を行っているが、二次元材料層を構成する材料はグラフェンに限られない。たとえば、二次元材料層の材料としては、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD:Transition Metal Dichalcogenide)、黒リン(Black Phosphorus)、シリセン(シリコン原子による二次元ハニカム構造)、ゲルマネン(ゲルマニウム原子による二次元ハニカム構造)等の材料を適用することができる。遷移金属ダイカルコゲナイドとしては、たとえば、MoS2、WS2、WSe2等の遷移金属ダイカルコゲナイドが挙げられる。
【0015】
これらの材料は、グラフェンと類似の構造を有しており、原子を二次元面内に単層で配列することが可能な材料である。したがって、これらの材料を二次元材料層に適用した場合においても、二次元材料層にグラフェンを適用した場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
二次元材料層は、単層に配列された二次元材料(例えば単層グラフェン)により構成されていてもよい。二次元材料層は、多層に配列された二次元材料(例えば多層グラフェン)により構成されていてもよい。後者の二次元材料層では、光電変換効率が増加し、ガス検出器の感度は高くなる。また、後者の二次元材料層にはバンドギャップが形成される。その結果、後者の二次元材料層は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が二次元材料層1に入射したときにのみ二次元材料層1において光電変換が行われるように、設けられ得る。また、二次元材料層中に含まれる二次原材料の層数が増加すると、チャネル領域でのキャリアの移動度は低下するが、当該二次元材料層は基板などの下地構造からのキャリア散乱の影響を受けにくくなり、結果的にノイズレベルが低下する。そのため、多層に配列された二次元材料を含む二次元材料層を備えるガス検出器では、電磁波の検出感度を高められる。なお、二次元材料層中において互いに積層されている複数のグラフェンのうち、任意の2層のグラフェン間の六方格子の格子ベクトルの向きは、互いに一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0017】
二次元材料層が多層グラフェンにより構成されている場合、積層方位角度が自然状態のグラファイトに見られるAB積層のみではなく、乱層積層でもよい。乱層積層はランダム積層、turbostratic grapheneとも呼ばれる。乱層構造部分の作製方法は、適宜に決められてもよい。例えば、CVD法で作製された単層のグラフェンが複数回転写され、多層グラフェンが積層されることで乱層構造部分が形成されてもよい。また、グラフェン上にエタノールまたはメタンなどが炭素源として配置され、グラフェンがCVD法によって成長することで乱層構造部分が形成されてもよい。
【0018】
また、以下では、二次元材料層について、p型又はn型との用語が用いられる場合がある。以下の実施の形態では、真性状態の二次元材料層よりも正孔が多いものをp型、真性状態の二次元材料層よりも電子が多いものをn型と呼ぶ。二次元材料層は、不純物がドープされていない真性であってもよいし、p型又はn型の導電型を有していてもよい。
【0019】
また、以下では、二次元材料層に接する部材の材料について、n型又はp型の用語が用いられる場合がある。ここでは、例えば、n型材料とは電子供与性を有する材料、p型材料とは電子求引性を有する材料を示す。また、分子全体において電荷に偏りが見られ、電子が支配的となるものをn型、正孔が支配的となるものをp型と呼ぶ場合もある。これらの材料としては、有機物及び無機物のいずれか一方又はそれらの混合物を用いることができる。
【0020】
また、二次元材料層が電極と接触している場合、電極から二次元材料層へキャリアがドープされる。例えば、電極の材料として金(Au)を用いた場合、二次元材料層とAuとの仕事関数の差から、電極近傍の二次元材料層に正孔がドープされる。この状態でガス検出器を電子伝導状態で駆動させると、電極から二次元材料層にドープされた正孔の影響により、二次元材料層のチャネル領域内に流れる電子の移動度が低下し、二次元材料層と電極とのコンタクト抵抗が増加する。このコンタクト抵抗の増加により、ガス検出器における電界効果による電子(キャリア)の移動度が低下し、ガス検出器の性能低下が生じるおそれがある。特に、二次元材料層が単層グラフェンにより構成されている場合、二次元材料層が多層グラフェンにより構成されている場合と比べて、電極から注入されるキャリアのドープ量が大きい。そのため、ガス検出器における上記電子の移動度の低下は、二次元材料層として単層グラフェンを用いた場合に特に顕著である。したがって、二次元材料層の全体が単層グラフェンにより構成されている場合、ガス検出器の性能が低下するおそれがある。そこで、二次原材料層のうち少なくとも電極との接触領域は、多層グラフェンにより構成されていてもよい。多層グラフェンでは、単層グラフェンに比べて、電極からのキャリアドーピングが小さくなる。そのため、二次元材料層と電極との間のコンタクト抵抗の増加を抑制できる。この結果、ガス検出器における上述した電子の移動度の低下を抑制することができ、ガス検出器の性能を向上できる。
【0021】
また、二次元材料層は、ナノリボン状のグラフェン(以下、グラフェンナノリボンとも呼ぶ)を含んでいてもよい。二次元材料層は、例えば、グラフェンナノリボン単体、複数のグラフェンナノリボンを積層した複合体、又は、グラフェンナノリボンが平面上に周期的に配列された構造体(例えば、グラフェンメタマテリアル)のいずれかであってもよい。グラフェンナノリボンが平面上に周期的に配列された構造体として構成されている二次元材料層では、プラズモン共鳴が発生し得る。この結果、ガス検出器の感度を向上できる。
【0022】
なお、本明細書では、金属表面と光との相互作用である表面プラズモン共鳴現象等のプラズモン共鳴現象、可視光域・近赤外光域以外での金属表面にかかる共鳴という意味での擬似表面プラズモン共鳴と呼ばれる現象、又は、波長以下の寸法の構造により特定の波長を操作するという意味でのメタマテリアル又はプラズモニックメタマテリアルと呼ばれる現象については、特にこれらを名称により区別せず、現象が及ぼす効果の面からは同等の扱いとする。本明細書では、これらの共鳴を、表面プラズモン共鳴、プラズモン共鳴、又は、単に共鳴と呼ぶ。
【0023】
本明細書において、絶縁層と表記されるものは、トンネル電流が生じない厚さを有する絶縁膜の層である。
【0024】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るガス検出器100の平面模式図である。図2は、図1の線分II-IIにおける断面模式図である。図2には、ガス検出器100の典型的な電気的接続も示されている。
【0025】
図1および図2に示されるガス検出器100は、複数の検出部を備えている。複数の検出部は、第1検出部100Aと、第2検出部100Bとを有する。第1検出部100A及び第2検出部100Bは、基本的に、互いに同等の構成を有している。
【0026】
第1検出部100A及び第2検出部100Bの各々は、二次元材料層1と、第1電極2aと、第2電極2bと、第3電極2cと、絶縁層3と、半導体層4とを主に備える。第1検出部100A及び第2検出部100Bは、例えば第3電極2c、絶縁層3、及び半導体層4を共有する。第2検出部100Bは、第1被覆膜5をさらに備えている点で、第1検出部100Aとは異なる。異なる観点から言えば、ガス検出器100は、複数の二次元材料層1と、複数の第1電極2aと、複数の第2電極2bと、1つの絶縁層3と、1つの半導体層4と、1つの第1被覆膜5とを備える。
【0027】
半導体層4は、第1面41と、第1面41とは反対側に位置する第2面42とを有している。二次元材料層1、第1電極2a、第2電極2b、及び絶縁層3は、半導体層4の第1面41上に配置されている。第3電極2cは、半導体層4の第2面42上に配置されている。以下では二次元材料層1、第1電極2a、第2電極2b、及び絶縁層3の各々について、それぞれに対して半導体層4とは反対側に位置する部分を、各々の上部と呼び、それぞれに対して半導体層4側に位置する部分を、各々の下部と呼ぶ。
【0028】
半導体層4は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波に感度を有している。言い換えると、半導体層4は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときに、光電変換が行われるように設けられている。
【0029】
半導体層4は、例えば、シリコン(Si)等の半導体材料からなる。具体的には、半導体層4としては、不純物がドープされたシリコン基板などが用いられる。
【0030】
ここで、半導体層4は、多層構造であってもよく、pn接合フォトダイオードや、pinフォトダイオード、ショットキーフォトダイオード、アバランシェフォトダイオードを用いてもよい。また、半導体層4としてフォトトランジスタを用いてもよい。
【0031】
半導体層4を構成する半導体材料として、上述のようにシリコン基板を例として説明したが、当該半導体層4を構成する材料として他の材料を用いてもよい。たとえば、半導体層4を構成する材料として、ゲルマニウム(Ge)、III-V族又はII-V族半導体などの化合物半導体、水銀カドミウムテルル(HgCdTe)、インジウムアンチモン(InSb)、鉛セレン(PbSe)、鉛硫黄(PbS)、カドミウム硫黄(CdS)、窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、又は、量子井戸又は量子ドットを含む基板、TypeII超格子などの材料の単体又はそれらを組み合わせた材料を用いてもよい。
【0032】
半導体層4の電気抵抗率が100Ω・cm以下になるように、半導体層4に不純物がドーピングされていることが好ましい。半導体層4が高濃度にドーピングされることで、キャリアの半導体層4中での移動速度(読み出し速度)が速くなる。この結果、ガス検出器100の応答速度が向上する。
【0033】
絶縁層3は、半導体層4の第1面41上に配置されている。絶縁層3の下部表面は、半導体層4の第1面41に接触している。絶縁層3の上部表面は、例えば、後述する二次元材料層1の第3部分1c、第1電極2a、及び第2電極2bの各々の下部表面と接触している。なお、絶縁層3の上部表面には、第1電極2a及び第2電極2bの各々の下部表面と接触している部分に対して凹んでいる凹部が形成されていてもよい。当該凹部は、半導体層4の第1面41を露出させる開口部として形成されていてもよい。この場合、後述する二次元材料層1の第3部分1cは、絶縁層3の上記凹部上に架橋されていてもよい。
【0034】
絶縁層3を構成する材料は、電気絶縁性を有する任意の材料であればよいが、例えば酸化ケイ素(SiO2)を含む。絶縁層3を構成する材料は、例えば、SiO2、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC254)、窒化ケイ素(Si34)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニッケル(NiO)、窒化ボロン(BN)(ボロンナイトライド)、及びシロキサン系のポリマー材料からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。例えば、窒化ボロンの原子配列はグラフェンのそれと似ているため、窒化ボロンがグラフェンからなる二次元材料層1と接しても電荷の移動度に悪影響を与えない。そのため、絶縁層3が電子移動度などの二次元材料層1の性能を阻害することを抑制する観点から、窒化ボロンは絶縁層3を構成する材料に好適である。
【0035】
複数の第1電極2a及び複数の第2電極2bは、絶縁層3の上部表面上に互いに間隔を空けて配置されている。複数の第1電極2a及び複数の第2電極2bは、第1検出部100Aに含まれる第1組の第1電極2a及び第2電極2bと、第2検出部100Bに含まれる第2組の第1電極2a及び第2電極2bとを有する。第1組の第1電極2a及び第2電極2bは、互いに間隔を空けて配置されている。第2組の第1電極2a及び第2電極2bは、互いに間隔を空けて配置されている。第2組の第1電極2a及び第2電極2bは、第1組の第1電極2a及び第2電極2bと間隔を空けて配置されている。
【0036】
第1電極2aおよび第2電極2bを構成する材料は、導電性を有する任意の材料であればよいが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、及びパラジウム(Pd)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。また、第1電極2a及び第2電極2bの少なくともいずれかと絶縁層3との間には、これらの間の密着性を高めるための図示しない密着層が形成されていてもよい。密着層を構成する材料は、特に制限されないが、例えばクロム(Cr)及びチタン(Ti)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0037】
図2に示されるように、第1電極2a及び第2電極2bは、例えば二次元材料層1の下部に形成されている。なお、第1電極2a及び第2電極2bは、二次元材料層1の上部に形成されていてもよい。
【0038】
図2に示されるように、第1組の第1電極2a及び第2電極2b間には、第1検出部100Aの二次元材料層1にバイアス電圧Vsd1を印加するための電源回路が電気的に接続される。第2組の第1電極2a及び第2電極2b間には、第2検出部100Bの二次元材料層1にバイアス電圧Vsd2を印加するための電源回路が電気的に接続される。各電源回路は、電圧源と、図示しない電流計とを含んでいる。各電圧源は、第1組の第1電極2a及び第2電極2b間に上記バイアス電圧Vsd1を印加する、または第2組の第1電極2a及び第2電極2b間にバイアス電圧Vsd2が印加する。各電流計は、第1組の第1電極2a及び第2電極2b間に上記バイアス電圧Vsd1が印加されたときに流れる電流Isd1、または第2組の第1電極2a及び第2電極2b間にバイアス電圧Vsd2が印加されたときに流れる電流Isd2を検出する。
【0039】
第3電極2cは、例えば半導体層4の第2面42の全面上に設けられている。なお、第3電極2cは、少なくとも半導体層4の一部と接していればよい。例えば、第3電極2cは、第1面41と交差する方向に延びる半導体層4の側面のうちの一部と接するように設けられていてもよい。このようなガス検出器100は、第2面42側から入射した電磁波を検出可能となる。なお、図2に示されるように、第3電極部2cが半導体層4の第2面42の全面上に設けられているガス検出器100は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が第1面41側からのみ入射する場合に、好適である。図2に示されるガス検出器100では、第1面41側から入射して半導体層4を透過した電磁波が第2電極2bにより反射して再び二次元材料層1に到達するため、二次元材料層1における電磁波の吸収率が高められる。
【0040】
図2に示されるように、第3電極2cには、半導体層4に電圧Vgを印可する電源回路が電気的に接続される。
【0041】
複数の二次元材料層1は、第1二次元材料層11と第2二次元材料層12とを有する。第1二次元材料層11は、第1組の第1電極2a及び第2電極2b間を電気的に接続している。第2二次元材料層12は、第2組の第1電極2a及び第2電極2b間を電気的に接続している。第2二次元材料層12は、第1二次元材料層11と間隔を空けて配置されている。第1二次元材料層11及び第2二次元材料層12は、互いに同等の構成を有している。
【0042】
各二次元材料層1は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波に感度を有している。言い換えると、各二次元材料層1は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときに、光電変換が行われるように設けられている。好ましくは、各二次元材料層1は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が二次元材料層1に入射したときにのみ二次元材料層1において光電変換が行われるように、設けられている。
【0043】
各二次元材料層1は、その二次元面に沿って延びる上部表面を有している。第1二次元材料層11の上部表面は、外部に露出しておりかつ検出対象のガスを吸着可能な吸着領域を有している。第2二次元材料層12の上部表面は、後述する第1被覆膜5に覆われている。そのため、第2二次元材料層12の上部表面は、検出対象のガスを吸着可能な吸着領域を有していない。
【0044】
各二次元材料層1は、第1部分1a、第2部分1b、第3部分1cを有している。第1部分1aは、第1電極2aに接続されている。第2部分1bは、第2電極2bに接続されている。第3部分1cは、第1部分1aと第2部分1bとの間を電気的に接続している。第1部分1a、第2部分1b、及び第3部分1cの各々の下部表面は、例えば絶縁層3の上部表面に接触している。上述のように、絶縁層3の上部表面に凹部が形成されている場合、第3部分1cは当該凹部上に架橋されていてもよい。第3部分1cの下部表面は、絶縁層3の上部表面と接触していなくてもよい。二次元材料層1の上部表面には、例えば第1電極2a及び第2電極2bに起因した凹凸が形成されている。
【0045】
図2に示される第1二次元材料層11では、その上部表面の全体が、外部に露出しており、検出対象のガスを吸着可能である。第2二次元材料層12の上部表面の全体が、第1被覆膜5に覆われている。なお、第1二次元材料層11のうち、少なくとも第3部分1cの上部表面が、外部に露出しており、検出対象のガスを吸着可能であればよい。
【0046】
各二次元材料層1の第1部分1a、第2部分1b、及び第3部分1cの各々の厚みは、例えば互いに等しい。各二次元材料層1の第1部分1a、第2部分1b、及び第3部分1cの各々の厚みは、互いに異なっていてもよい。
【0047】
第1被覆膜5は、第2二次元材料層12を覆っている。第1被覆膜5は、検出対象のガスの透過を阻害するように設けられている。具体的には、第1被覆膜5は、検出対象のガスが第2二次元材料層12に吸着することを阻害するように設けられている。第1被覆膜5は、例えば検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波の透過を阻害しないように設けられている。
【0048】
第1被覆膜5は、例えば、第2二次元材料層12のみならず、第2検出部100Bの第2組の第1電極2a及び第2電極2bをさらに覆っている。第1被覆膜5は、第1二次元材料層11を覆っていない。
【0049】
第1被覆膜5を構成する材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC254)、窒化ケイ素(Si34)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニッケル(NiO)、窒化ボロン(BN)、シロキサン系のポリマー材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、及び二軸伸性ポリプロピレン(OPP)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。第1被覆膜5を構成する材料は、絶縁層3を構成する材料と同じであってもよい。第1被覆膜5の内部には細孔が形成されていてもよい。この場合、第1被覆膜5は、緻密で厚い膜であることが好ましい。第1被覆膜5が緻密であるとは、その平均細孔径が検出対象のガスの分子あるいは粒子の外径よりも小さいことを意味する。第1被覆膜5は、互いに異なる材料により構成されている複数の層の積層体として構成されていてもよい。このような第1被覆膜5によれば、単一の材料により構成されておりかつ第1被覆膜5の全体の厚みが同等である第1被覆膜5と比べて、ガスバリア性が向上し得る。異なる観点から言えば、上記第1被覆膜5によれば、単一の材料により構成されておりかつガスバリア性が同等である第1被覆膜5と比べて、薄膜化できる。
【0050】
<ガス検出器100の製造方法>
図3は、実施の形態1に係るガス検出器100の製造方法を説明するためのフローチャートである。図3を参照しながら、図1および図2に示したガス検出器100の製造方法を説明する。
【0051】
第1に、半導体層4を準備する工程(S1)が実施される。この工程(S1)では、たとえば半導体層4がSi等からなる平坦な基板として準備される。
【0052】
第2に、第3電極2cを形成する工程(S2)が実施される。この工程(S2)では、半導体層4の第2面42(図2参照)に第3電極2cが形成される。具体的には、まず半導体層4の第1面41を覆う保護膜が形成される。保護膜は、たとえばレジストである。次に、半導体層4の第2面42上に第3電極2cが形成される。第3電極2cを構成する材料は、たとえば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、及びクロム(Cr)からなる群から選択される少なくともいずれかを含む。
【0053】
なお、本工程(S2)では、第3電極2cを形成する前に、半導体層4と第3電極2cとの密着性を向上させるための密着層が半導体層4の第2面42上に形成されてもよい。密着層を構成する材料は、たとえば銅(Cr)及びチタン(Ti)の少なくともいずれかを含む。なお、本工程(S2)は、半導体層4の第1面41が保護されている限りにおいて、後述する工程(S3~S7)よりも後に実施されてもよい。
【0054】
第3に、絶縁層3を形成する工程(S3)が実施される。この工程(S3)では、絶縁層3が半導体層4の第1面41上に形成される。絶縁層3を形成する方法は、特に制限されず、例えば熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、及びスパッタ法から任意に選択され得る。半導体層4を構成する材料Siを含む場合、絶縁層3は、例えば半導体層4の第1面41を部分的に熱酸化して形成されるSiO2であってもよい。
【0055】
第4に、第1電極2a及び第2電極2bを形成する工程(S4)が実施される。この工程(S4)では、第1電極2a及び第2電極2bが絶縁層3上に形成される。
【0056】
第1電極2a及び第2電極2bの形成方法は特に制限されないが、例えば以下のようなリフトオフ法が採用され得る。第1に、写真製版またはEB描画などを用いて、絶縁層3の上面上に、レジストマスクが形成される。レジストマスクには、第1電極2a及び第2電極2bが形成されるべき領域に開口部が形成されている。第2に、蒸着法やスパッタリング法などを用いて、レジストマスクの上面上に、第1電極2a及び第2電極2bとなるべき導電性膜が形成される。導電性膜は、レジストマスクの開口部の内部から当該レジストマスクの上面にまで延在するように形成される。第3に、レジストマスクが、当該レジストマスクの上面上に配置されていた導電性膜の一部と共に除去される。これにより、レジストマスクの開口部内に配置されていた導電性膜の他の一部が絶縁層3の表面上に残存し、第1電極2a又は第2電極2bとなる。なお、第1電極2a及び第2電極2bを形成する前に、半導体層4と第1電極2a又は第2電極2bとの密着性を向上させるための密着層が半導体層4の第1面41上に形成されてもよい。また、第1電極2a及び第2電極2bは、第1電極2a及び第2電極2bとなるべき導電性膜上に形成されたマスクを用いるエッチング法により形成されてもよい。
【0057】
第5に、二次元材料層1を形成する工程(S5)が実施される。本工程(S5)では、例えば、二次元材料層が第1電極2a、第2電極2b、及び絶縁層3を覆うように成膜された後、当該二次元材料層がパターニングされる。これにより、図1および図2に示される二次元材料層1が形成される。
【0058】
二次元材料層1を形成する方法は、特に制限されない。二次元材料層1は、例えば、エピタキシャル成長法又はスクリーン印刷法により、第1電極2a、絶縁層3および半導体層4の一部上に形成されてもよい。また、二次元材料層1は、半導体層4とは異なる基板上にCVD法等により形成されたフィルム状の二次元材料層又は機械剥離等により黒鉛等から剥離されたフィルム状の二次元材料層を、第1電極2a、絶縁層3及び半導体層4の一部上に転写して貼り付けることにより、形成されてもよい。二次元材料層1をパターニングする方法は特に制限されないが、写真製版またはEB描画などが採用され得る。マスクを用いてパターニングされる場合、当該マスクは二次元材料層1を形成後に除去される。
【0059】
次に、第1被覆膜5を形成する工程(S6)が実施される。本工程(S6)では、第1被覆膜5が第2二次元材料層12の上部表面上に形成される。第1被覆膜5を形成する方法は、特に制限されない。第1被覆膜5は、例えば以下のようなエッチング法により形成される。第1に、スパッタ、蒸着、及びMODコート法(MOD:Metal Organic Composition)の少なくともいずれかにより、被覆膜が形成される。第2に、写真製版により、被覆膜の上面上に、第1被覆膜5が形成されるべき領域を覆うマスクが形成される。第3に、被覆膜のうちマスクから露出している部分が、例えばドライエッチング法により除去される。ドライエッチングの一例として、酸素プラズマもしくは四フッ化メタン(CF)プラズマを用いた反応性イオンエッチングが挙げられる。第4に、マスクが除去される。これにより、図1及び図2に示される被覆膜5が形成される。
【0060】
図1および図2に示されるガス検出器100は、以上の工程(S1~S6)により製造され得る。なお、上述した製造方法では二次元材料層1が第1電極2a及び第2電極2b上に形成されるが、第1電極2a及び第2電極2bが二次元材料層1上に形成されてもよい。ただし、第1電極2a及び第2電極2bが二次元材料層1上に形成される場合は、第1電極2a及び第2電極2bを形成するときに、二次元材料層1にプロセスダメージを与えないように注意が必要である。たとえば、二次元材料層1において第1電極2a又は第2電極2bが重ねて形成される領域以外を保護するための保護膜を形成した後、第1電極2a及び第2電極2bを形成する、といった対応が考えられる。
【0061】
<動作原理>
次に、ガス検出器100の動作原理について説明する。ガス検出器100は、各二次元材料層1の第3部分1cをトランジスタチャネル、各第1電極2a及び各二次元材料層1の第1部分1aをソース、各第2電極2b及び各二次元材料層1の第2部分1bをドレイン、第3電極2cをゲート、とした2対1式の電界効果トランジスタとして機能する。以下では、各二次元材料層1を流れる電流Isd1,Isd2をソース-ドレイン電流、第3電極2cに印加される電圧Vgをゲート電圧、とも記載する。
【0062】
ガス検出器100は、電圧Vg、電圧Vds1、及び電圧Vds2の各々が印加されている状態において、各二次元材料層1を流れるソース-ドレイン電流Isd1,Isd2の変化を検出可能である。
【0063】
なお、ガス検出器100は、電圧Vgを印加しており、かつ一定のソース-ドレイン電流Isd1,Isd2を流している状態において、電圧Vds1及び電圧Vds2の各々の変化を検出することも可能である。
【0064】
また、ガス検出器100は、電圧Vg、電圧Vds1、及び電圧Vds2の各々が印加されている状態において、二次元材料層1の第3部分1cにおけるソース・ドレイン電流値の周波数変化を検出することも可能である。二次元材料層1の第3部分1cの電気的な共振周波数は、二次元材料層1の第3部分1cの総質量に依存する。二次元材料層1の第3部分1cの質量は、検出対象のガスが二次元材料層1の第3部分1cに吸着すると、増加する。したがって、ガス検出器100では、直流電圧印加時の第3部分1cの共振周波数の変化量を二次元材料層1に照射された電磁波の照射量に換算することによっても、検出対象のガスの濃度を検出できる。
【0065】
上述のように、ガス検出器100は、電磁波検出方式によるガス検出と、ガス吸着方式によるガス検出とを、同時に行うことができる。
【0066】
まず、ガス検出器100における、電磁波検出方式によるガス検出の動作原理について、図4を参照して説明する。
【0067】
図4は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波がガス検出器100の各二次元材料層1に入射したときに各二次元材料層1にて生じる電気特性変化の模式図を示す。図4において、実線のグラフは、検出対象のガスがガス検出器100の周囲に存在する場合に検出される、ゲート電圧Vgと各二次元材料層1を流れるソース-ドレイン電流Isd1,Isd2との関係を示している。破線のグラフは、検出対象のガスがガス検出器100の周囲に存在しない場合に検出される、ゲート電圧Vgと各二次元材料層1を流れるソース-ドレイン電流Isd1,Isd2との関係を示している。さらに図4には、検出対象のガスの有無による、ゲート電圧Vgの変化量Vphと各ソース・ドレイン電流の変化量Iphとが表されている。
【0068】
第3電極2cを介して半導体層4に電圧Vgが印加されると、半導体層4と絶縁層3との界面に空乏層が形成される。電圧Vgの正負は半導体層4のドーピング型に応じて選択すればよく、p型であれば正電圧、n型であれば負電圧を印加する。
【0069】
各二次元材料層1及び半導体層4は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波に感度を有している。そのため、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が各二次元材料層1及び半導体層4に入射すると、各二次元材料層1及び半導体層4内において光電変換が行われて、各二次元材料層1及び空乏層に光キャリアが生じる。各二次元材料層1において生じた光キャリアにより、ソース-ドレイン電流Isd1,Isd2が変化する。
【0070】
さらに空乏層において生じた光キャリアは、絶縁層3を介して各二次元材料層1の第3部分1cに電界効果の変化を与える。この結果、各二次元材料層1の第3部分1cに対して印加されるゲート電圧Vgが変化する。このゲート電圧Vgの変化量Vphに応じて、各二次元材料層1の第3部分1cを流れる電流が変化し、ソース-ドレイン電流Isd1,Isd2が変化する。さらに、ガス検出器100によれば、検出対象のガスが上記光路上に存在していない状態において上記電磁波が各二次元材料層1及び半導体層4に入射したときに検出されるソース-ドレイン電流Isd1,Isd2に対する変化量Iphも、検出され得る。この電流変化Iphを検出することによって、ガス検出器100に入射する電磁波が検出対象のガスに吸収されることに起因した当該電磁波の光量変化を検出できる。この光量変化を検出することにより、電磁波の光路上での検出対象のガスの存否の検出及び検出対象のガスの濃度の測定、並びに電磁波の光路上に存在するガス種の識別等が可能である。以下では、二次元材料層1に接する材料の電気特性変化によって二次元材料層1に電界効果が与えられ、二次元材料層1の電気特性が変化することを光ゲート効果と呼ぶ。
【0071】
次に、ガス検出器100における、ガス吸着方式によるガス検出の動作原理について、図5を参照して説明する。
【0072】
図5は、検出対象のガスが二次元材料層1に吸着することによって二次元材料層1に生じる電気特性変化の模式図を示す。図5において、実線のグラフは、検出対象のガスがガス検出器100の周囲に存在する場合に検出される、ゲート電圧Vgと第1二次元材料層11を流れるソース-ドレイン電流Isd1との関係を示している。破線のグラフは、検出対象のガスがガス検出器100の周囲に存在しない場合に検出される、ゲート電圧Vgと第1二次元材料層11を流れるソース-ドレイン電流Isd1との関係を示している。なお、破線のグラフは、検出対象のガスがガス検出器100の周囲に存在する場合に検出される、ゲート電圧Vgと第2二次元材料層12を流れるソース-ドレイン電流Isd2との関係と等しい。さらに図5には、検出対象のガスの有無による、ゲート電圧Vgの変化量Vphとソース・ドレイン電流Isd1の変化量Iphとが表されている。
【0073】
検出対象のガスが第1二次元材料層11の第3部分1cに物理吸着すると、ガスと第1二次元材料層11との間で電荷移動が生じる。この結果、第1二次元材料層11の第3部分1cに対してゲート電圧Vadが印可された状態となり、第1二次元材料層11を流れるソース-ドレイン電流Isd1が変化する。この電流の変化量Iadは、第1二次元材料層11へのガスの吸着量と相関する。第1二次元材料層11へのガスの吸着量は、第1二次元材料層11の周囲のガス濃度と相関する。そのため、ガス検出器100によれば、二次元材料層1の周囲に存在するガスの定量分析が可能である。以下では、二次元材料層1に吸着したガスによって二次元材料層1に電界効果が与えられ、二次元材料層1の電気特性が変化することをガス吸着ゲート効果と呼ぶ。
【0074】
<ガス検出器100の効果>
ガス検出器100は、電磁波検出方式によるガス検出と、ガス吸着方式によるガス検出とを同時に行うことができる。そのため、ガス検出器100によれば、上述したガス吸着方式によるガス検出のみを行うための従来のFETでは困難であった、混合ガス中において特定のガス種を検出すること、あるいはガス種を識別することができる。さらに、ガス検出器100による電磁波検出方式によるガス検出は、上述のように、光ゲート効果を利用して行われ得る。そのため、ガス検出器100のガス検出感度は、電磁波検出方式によるガス検出のみを行う一般的なガス検出器のそれと比べて、極めて高い。
【0075】
さらに、上述したガス吸着方式によるガス検出のみを行うための従来のFETでは、グラフェンの表面から離れた位置のガスを検出することは困難である。これに対し、ガス検出器100によれば、電磁波検出方式によるガス検出が可能であるから、上述のように電磁波の光路上であれば、二次元材料層1の上部表面から離れた位置での検出対象のガスの存否等を検出可能である。
【0076】
また、電磁波検出方式によるガス検出のみを行う一般的なガス検出器は、特定の波長域の電磁波を密閉空間(ガスセル等)に通し、当該電磁波の減衰を単素子で測定する。そのため、当該ガス検出器では、ガス濃度の空間分布を測定(マッピング)することは困難であり、特に単素子から離れた位置のガス濃度分布を測定することは不可能である。これに対し、ガス検出器100は、被覆膜5によって覆われておらず外部に露出する露出面を有する第1二次元材料層11を有する第1検出部100Aと、被覆膜5によって覆われており外部に露出する露出面を有さない第2二次元材料層12を有する第2検出部100Bとを備える。第1検出部100Aは、電磁波検出方式によるガス検出とガス吸着方式によるガス検出とを同時に行うことができる。第2検出部100Bは、ガス吸着方式によるガス検出のみを行うことができる。そのため、両検出部による検出結果の差分に基づいて、検出対象のガスとの空間分布の検出すること、より具体的には、検出対象のガスが二次元材料層1に吸着され得る領域内に存在するのか否かを判定することができる。
【0077】
また、二次元材料層1では、二次元材料層以外の他の材料と比較して、表面対体積比率が極めて高く、上部表面に露出している全ての構成がガスの吸着に寄与できる。そのため、ガス検出器100において上記ガス吸着ゲート効果を利用して行われるガス検出の感度は、二次元材料層以外の他の材料を吸着材として行われるガス検出と比べて、極めて高い。
【0078】
<変形例>
本開示に係るガス検出器は、半導体層4を備えていなくてもよい。この場合にも、上記ガス吸着ゲート効果は生じ得る。さらに、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときには、二次元材料層1において光キャリアが生じ、ソース-ドレイン電流Isd1,Isd2が変化する。そのため、半導体層4を備えないガス検出器100も、電磁波検出方式によるガス検出と、ガス吸着方式によるガス検出とを同時に行うことができる。
【0079】
本開示に係るガス検出器は、第2検出部100Bを備えていなくてもよい。このようなガス検出器も、電磁波検出方式によるガス検出とガス吸着方式によるガス検出とを同時に行うことができるため、ガス検出器100と同様に、混合ガス中において特定のガス種を検出すること、ガス種を識別すること、及び二次元材料層1の上部表面から離れた位置での検出対象のガスの存否等を検出することができる。
この場合、好ましくは、ガス検出器100は、複数の第1検出部100Aを備えている。複数の第1検出部100Aの一部は、検出対象のガスとは異なる特定の比較ガスで充填された比較容器を透過した、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射する
二次元材料層の表面は、特定のガスとの結合・捕捉を可能とするよう修飾処理されていてもよい。たとえば、二次元材料層の表面に、検出対象のガスを抗原とする抗体が結合されていてもよい。このようにすれば、特異的に検出可能なガス検出器を実現できる。二次元材料層の表面に結合されている抗体は、検出対象のガスと結合する一次抗体と、蛍光物質又は酵素により標識されており一次抗体と結合する二次抗体とを含んでいてもよい。この場合、ガス検出器は、検出対象を抗原とする一次抗体を検出し、かつ、二次元材料層表面の蛍光物資及び酵素の分布を調べることで、本発明の動作原理で述べるガス分子検出にくわえて染色による検出を並行実施可能となり、ガス分子種の検出精度や空間濃度分布を測定できる。
【0080】
二次元材料層の表面に結合されている抗体は、二次元材料層表面上に検出対象のガス分子種と共有結合可能なシリル基、カルボキシル基、アミン基などの反応性官能基を有していてもよい。このようにすれば、特定種のガス分子をターゲット分子として特異性高いガス検出が可能となる。
【0081】
二次元材料層の表面には、検出対象のガス分子に特異的なペプチドがコーティングされていてもよい。このようにすれば、二次元材料層1の表面と検出対象のガスとの結合が促進され、検出対象のガスの検出精度を高めつつ、検出対象外のガスによる検出精度の悪化を抑制できる。
【0082】
二次元材料層の表面には、ヒドロゲルが修飾されていてもよい。このようにすれば、二次元材料層と検出対象のガス分子間の相互作用を促進し、検出精度を高められる。
【0083】
ガス検出器100は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波を複数の二次元材料層1の各々に照射する光源をさらに備えていてもよい。
【0084】
ガス検出器100は、図1及び図2に示される複数の検出部に入射する電磁波の光路上に配置されており、かつ検出対象のガスを封入することができる容器をさらに備えていてもよい。このようにすれば、検出対象外のガスの誤検出に伴う信号品質の悪化を抑制することができる。
【0085】
ガス検出器100は、ガス成分を分離可能なカラムをさらに備え、カラムにより分離されたガス成分が複数の検出部の各々の周囲に供給されるように設けられていてもよい。カラムは、検出対象のガスに含まれる複数種のガス成分を分離可能であってもよい。このようなガス検出器100は、カラムにより分離された複数種のガス成分を逐次検出できる。
【0086】
ガス検出器100は、検出対象のガスを発生させて、これを複数の検出部の各々の周囲に供給するためのガス発生装置をさらに備えていてもよい。上述のように、ガス発生装置は、エアロゾルを発生させるための加熱装置であってもよい。このようなガス検出器100は、エアロゾルの形態で気体中に浮遊している微粒子を検出することができる。
【0087】
ガス検出器100は、複数の検出部の各々に入射する電磁波の波長域を制御する光学フィルタをさらに備えていてもよい。光学フィルタは、例えば上記容器に取り付けられていてもよい。このようなガス検出器100では、上記動作原理において照射検出する電磁波の波長を制御すれば、複数種類の電磁波ひいては複数種類のガス分子を検出可能となる。
【0088】
ガス検出器100は、第3検出部をさらに備えていてもよい。ガス検出器100は、第3組の第1電極2a及び第2電極2bと、第3二次元材料層と、第3二次元材料層を覆う第2被覆膜とをさらに有していてもよい。第3組の第1電極2a及び第2電極2bは、第1組の第1電極2a及び第2電極2b、並びに第2組の第1電極2a及び第2電極2bの各々と間隔を空けて配置されている。第3二次元材料層は、第1二次元材料層11及び第2二次元材料層12の各々と間隔を空けて配置されておりかつ第3組の第1電極2a及び第2電極2bの間を電気的に接続している。第2被覆膜は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波の透過を阻害するように設けられている。
【0089】
実施の形態2.
実施の形態2に係るガス検出器は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0090】
<ガス検出器101の構成>
図6に示されるように、実施の形態2に係るガス検出器101は、二次元材料層1の少なくとも一部と接触している強誘電体層6を備える。
【0091】
強誘電体層6は、例えば二次元材料層1の第3部分1cと絶縁層3との間に配置されている。なお、強誘電体層6は、例えば二次元材料層1の第3部分1cの上部表面上に配置されていてもよい。また、強誘電体層6は、二次元材料層1と接触しておらず、絶縁層3を介して二次元材料層1と接続されていてもよい。
【0092】
強誘電体層6を構成する材料は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が強誘電体層に入射した際に分極が生じる任意の材料であればよい。強誘電体層6を構成する材料は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT)、ビスマスフェライト(BFO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ハフニウム(HfO)および有機ポリマーであるポリフッ化ビニリデン系強誘電体(PVDF、P(VDF-TrFE)、P(VDF-TrFE-CTFE)等)の少なくともいずれかを含む。また、強誘電体層は、異なる複数の強誘電体材料が積層または混合されることで構成されていてもよい。
【0093】
強誘電体層6を構成する材料は、例えば、半導体層4が感度を有する波長域とは異なる波長域の電磁波が強誘電体層6に入射した際に分極が生じる材料であってもよい。このような構成を備えるガス検出器101は、複数種のガスを検出対象とする場合に好適である。
【0094】
強誘電体層6の材料は、焦電効果を奏する焦電体であれば、上記の材料に限られない。具体的には、強誘電体層の材料は、強誘電体層の内部の熱エネルギの変化に対して分極変化が生じる強誘電体であればよい。なお、焦電効果において電磁波は単に熱源として作用する。このため、焦電効果には、基本的に波長依存性はない。よって、強誘電体層には、基本的に波長依存性はない。したがって、強誘電体層は、広帯域の電磁波に感度を有する。
【0095】
ガス検出器101は、例えば、第1二次元材料層11に接触している第1強誘電体層61と、第2二次元材料層12に接触している第2強誘電体層62とを備える。第2強誘電体層62は、例えば第1強誘電体層61と同等の構成を有している。
【0096】
<動作原理>
ガス検出器101では、強誘電体層6に電磁波が照射されると、強誘電体層6の焦電効果により強誘電体層6の内部に誘電分極の変化が生じる。焦電効果により強誘電体層6において生じる分極の変化は、二次元材料層1の第3部分1cに電界変化を与える。この結果、二次元材料層1の第3部分1cに対して印加されているゲート電圧が変化し、ソース・ドレイン電流値が変化する。つまり、ガス検出器101では、強誘電体層6の焦電効果に起因して二次元材料層1に電界効果が与えられ、二次元材料層1の電気特性が変化する。したがって、ガス検出器101では、電磁波検出方式によるガス検出に関し、半導体層4による上記光ゲート効果と、強誘電体層6による光ゲート効果とを利用できる。
【0097】
<効果>
ガス検出器101によれば、半導体層4による上記光ゲート効果と、強誘電体層6による光ゲート効果とを利用できるため、ガス検出器100との対比においてさらなる高感度化が実現され得る。
【0098】
上述のように、強誘電体層6を構成する材料が、半導体層4が感度を有する波長域とは異なる波長域の電磁波が強誘電体層6に入射した際に分極が生じる材料であってもよい。この場合、複数の電磁波波長域において上記光ゲート効果を利用した高感度なガス検出が可能となる。
【0099】
<変形例>
ガス検出器101も、ガス検出器100と同様に変形され得る。
【0100】
実施の形態3.
実施の形態3に係るガス検出器は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0101】
<ガス検出器102の構成>
図7に示されるように、実施の形態2に係るガス検出器101は、二次元材料層1の少なくとも一部と接触している接触層7を備える。
【0102】
図7に示されるガス検出器では、二次元材料層1下に接触層7が設けられている。接触層7は、二次元材料層1と接触することで、二次元材料層1に正孔又は電子を供給することが可能な材料により構成されている。接触層7により二次元材料層1に任意に正孔又は電子をドーピングすることができる。
【0103】
接触層7としては、例えば、ポジ型フォトレジストと呼ばれる、キノンジアジト基を有する感光剤とノボラック樹脂とを含有する組成物を用いることができる。また、接触層7を構成する材料としては、例えば、極性基を有する材料を用いることができる。例えば、当該材料の一例である電子求引基を有する材料は、二次元材料層1の電子密度を減少させる効果を持つ。また、当該材料の一例である電子供与基を有する材料は、二次元材料層1の電子密度を増加させる効果を持つ。電子求引基を有する材料としては、例えば、ハロゲン、ニトリル、カルボキシル基、又は、カルボニル基等を有する材料が挙げられる。また、電子供与基を有する材料としては、例えば、アルキル基、アルコール、アミノ基、又は、ヒドロキシル基等を有する材料が挙げられる。また、上記以外にも極性基によって分子全体において電荷の偏りが生じる材料も、接触層7の材料として用いることができる。
【0104】
また、有機物、金属、半導体、絶縁体、2次元材料、又は、これら材料のいずれかの混合物においても、分子内で電荷の偏りが生じて極性を生じる材料であれば、接触層7の材料として用いることができる。ここで、無機物からなる接触層7と二次元材料層1とを接触させた場合、二次元材料層1がドーピングされる導電型は、二次元材料層1の仕事関数よりも接触層7の仕事関数が大きい場合はp型、小さい場合はn型である。それに対して、接触層7が有機物の場合、当該接触層7を構成する材料である有機物が明確な仕事関数を有していない。そのため、二次元材料層1に対してn型ドープになるのか、p型ドープになるのかは、接触層7に用いる有機物の分子の極性によって、接触層7の材料の極性基を判断することが好ましい。
【0105】
例えば、接触層7として、ポジ型フォトレジストと呼ばれる、キノンジアジト基を有する感光剤とノボラック樹脂とを含有する組成物を用いる場合、二次元材料層1においてフォトリソグラフィ工程によりレジストを形成した領域がp型二次元材料層領域となる。これにより、二次元材料層1の表面上に接触するマスク形成処理が不要となる。この結果、二次元材料層1に対するプロセスダメージの低減及びプロセスの簡素化が可能となる。
【0106】
ガス検出器102は、例えば、第1二次元材料層11に接触している第1接触層71と、第2二次元材料層12に接触している第2接触層72とを備える。第2接触層72は、例えば第1接触層71と同等の構成を有している。
【0107】
ガス検出器102の製造方法は、例えば、二次元材料層1を形成する工程の前に、接触層7を形成する工程をさらに備えていればよい。
【0108】
<効果>
ガス検出器102は、二次元材料層1に正孔又は電子を供給可能な接触層7を備える。そのため、ガス検出器102では、二次元材料層1の導電型を、意図的にn型又はp型とすることができる。そのため、二次元材料層1と電極2および絶縁層3との接触に伴うキャリアドーピングの影響を考慮せず、二次元材料層1のキャリアドーピングを制御できる。この結果、ガス検出器102の性能を向上できる。
【0109】
また、接触層7を、二次元材料層1の上部表面における第1電極2a側または半導体層4側のどちらか一方にのみ形成することで、二次元材料層1中に電荷密度の勾配が形成される。この結果、二次元材料層1中のキャリアの移動度が向上し、ガス検出器102を高感度化できる。
【0110】
また、二次元材料層1上に複数の接触層7を形成してもよい。接触層7の数は3以上であってもよく、任意の数とすることができる。複数の接触層7を第1電極2aと半導体層4との間に位置する二次元材料層1上に形成してもよい。その場合、複数の接触層7の材料は、同じ材料でも異なる材料でもよい。
【0111】
また、本実施の形態に係るガス検出器において、接触層7の膜厚は、電磁波が二次元材料層1に照射された場合に、光電変換を行うことができるよう十分薄い方が好ましい。一方、接触層7から二次元材料層1にキャリアがドーピングされる程度の厚さを有するように接触層7を形成することが好ましい。接触層7は、分子又は電子などのキャリアが二次元材料層1に導入されれば任意の構成としても良い。たとえば、二次元材料層1を溶液に浸漬させて、分子レベルで二次元材料層1にキャリアを供給することで、固体の接触層7を二次元材料層1上に形成しないで、二次元材料層1にキャリアをドーピングしてもよい。
【0112】
また、接触層7の材料として、上述した材料以外にも、極性変換を生じる材料を用いてもよい。その場合、接触層7が極性変換すると、変換の際に生じた電子又は正孔が、二次元材料層1に供給される。そのため、接触層7が接触している二次元材料層1の部分に電子又は正孔のドーピングが生じる。そのため、接触層7を取り除いても、接触層7と接触していた二次元材料層1の当該部分は、電子又は正孔がドーピングされたままの状態となる。したがって、接触層7として、極性変換を生じる材料を用いた場合、一定の時間が経過した後に接触層7を二次元材料層1上から取り除いてもよい。この場合、接触層7が存在している場合より二次元材料層1の開口部面積が増加する。このため、ガス検出器の検出感度を向上できる。ここで、極性変換とは、極性基が化学的に変換する現象であり、例えば、電子求引基が電子供与基に変化する、または電子供与基が電子求引基に変化する、または極性基が非極性基に変化する、または非極性基が極性基に変化する、といった現象を意味する。
【0113】
また、接触層7が電磁波照射によって極性変換を生じる材料により形成されてもよい。この場合、特定の電磁波の波長において極性変換を生じる材料を接触層7の材料として選択することで、特定の電磁波の波長の電磁波照射時のみ接触層7で極性変換を生じさせ、二次元材料層1へのドーピングを行うことができる。この結果、二次元材料層1に流入する光電流を増大できる。
【0114】
また、電磁波照射によって酸化還元反応を生じる材料を接触層7の材料として用いてもよい。この場合、酸化還元反応時に生じる電子又は正孔を二次元材料層1にドーピングできる。
【0115】
<変形例>
ガス検出器102も、ガス検出器100と同様に変形され得る。また、本実施の形態であるガス検出器の構成は、他の実施の形態にも適用できる。
【0116】
実施の形態4.
実施の形態4に係るガス検出器は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0117】
<ガス検出器104の構成>
図8に示されるように、実施の形態4に係るガス検出器103は、二次元材料層1の少なくとも一部と接触している少なくとも1つの導電体8を備える。図8に示されるガス検出器103では、二次元材料層1の第3部分1cの上部表面上に、複数の導電体8が配置されている。複数の導電体8は互いに間隔を隔てて配置されている。各導電体8はフローティング電極である。
【0118】
導電体8を構成する材料は導電体であれば任意の材料を用いることができる。たとえば、導電体8の材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、又は、パラジウム(Pd)等の金属材料を用いることができる。ここで、導電体8は、電源回路等に接続されておらず、フローティングとなっている。
【0119】
複数の導電体8は、一次元、又は、二次元の周期構造を有する。たとえば、一次元の周期構造の例として、図8の紙面上の水平方向又は紙面の奥行き方向に複数の導電体8が互いに間隔を隔てて(周期的に)配列された構造を採用し得る。また、二次元の周期構造の例として、ガス検出器の平面視において、正方格子又は三角格子等の格子点に対応する位置に導電体8が配列された構造を採用し得る。また、ガス検出器の平面視において、各導電体8の平面形状は、円形状、三角形状、四角形状、多角形状、又は、楕円形状等の任意の形状であってもよい。また、導電体8の平面視における配置は、上述した周期的な対称性を有する配列だけに限られず、平面視において非対称性を有する配列であってもよい。ここで、導電体8を形成する具体的な方法は、任意の方法を採用し得るが、例えば、実施の形態1で説明した第1電極2a及び第2電極2bの製造方法と同様の方法を用いてもよい。
【0120】
ガス検出器103の製造方法は、例えば、二次元材料層1を形成する工程の後であって被覆膜5を形成する工程の前に、導電体8を形成する工程をさらに備えていればよい。
【0121】
<ガス検出器103の効果>
ガス検出器103は、二次元材料層1の上にフローティング電極である導電体8を備える。そのため、電磁波の照射により二次元材料層1において発生した表面キャリアが、複数の導電体8の間を行き来できるようになり、その結果光キャリアの寿命が長くなる。これにより、ガス検出器103の検出感度が向上する。
【0122】
また、複数の導電体8を一次元の周期的な構造を構成する配置し、導電体8の材料を表面プラズモン共鳴が生じる材料とすることにより、照射される電磁波によって導電体8に偏光依存性が生じる。この結果、特定の偏光の電磁波だけをガス検出器103の半導体層4に照射させることができる。この場合、本実施の形態に係るガス検出器103は、特定の偏光のみを検出することができる。
【0123】
また、複数の導電体8を二次元の周期的な構造を構成するように配置し、導電体8の材料を表面プラズモン共鳴が生じる材料とすることにより、複数の導電体8によって特定の波長の電磁波を共鳴させることができる。この場合、特定の波長を有する電磁波だけをガス検出器103で検出することができる。この場合、本実施の形態に係るガス検出器103は、特定の波長の電磁波のみを高感度に検出することができる。
【0124】
また、複数の導電体8を平面視において非対称な配置となるように形成した場合、複数の導電体8を一次元の周期的な構造する場合と同様、照射される電磁波に対して導電体8に偏光依存性が生じる。この結果、特定の偏光の電磁波だけを半導体層4に照射させることができる。この場合、本実施の形態に係るガス検出器103は、特定の偏光のみを検出することで検出信号のSN比を改善でき、またコントラストを改善できる。
【0125】
また、ガス検出器103では、二次元材料層1の下に導電体8が配置されていてもよい。このような構成によっても、図8に示したガス検出器103と同様の効果を得ることができる。さらに、この場合、導電体8の形成時に二次元材料層1にダメージを与えないため、二次元材料層1でのキャリアの移動度の低下を抑制できる。
【0126】
また、二次元材料層1に凹凸部を形成してもよい。この場合、二次元材料層1の凹凸部は、上述した複数の導電体8と同様、周期的な構造又は非対称な構造としてもよい。この場合、複数の導電体8を形成した場合と同様の効果を得ることができる。
【0127】
<変形例>
ガス検出器103も、ガス検出器100と同様に変形され得る。また、本実施の形態であるガス検出器の構成は、他の実施の形態にも適用できる。
【0128】
実施の形態5.
実施の形態5に係るガス検出器は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0129】
<ガス検出器104の構成>
図9に示されるように、実施の形態4に係るガス検出器104では、第1二次元材料層11及び第2二次元材料層12の各々の第3部分1cが、第1部分1aと第2部分1bとの間に架橋されている。絶縁層3には、絶縁層3の上部表面に対して凹んでいる複数の凹部30が形成されている。各凹部30は、例えば半導体層4の第1面41を露出する開口部(貫通孔)として形成されている。この場合、第3部分1cの下部表面は、半導体層4の第1面41と間隔を空けて対向配置されている。
【0130】
各二次元材料層1の第3部分1cは、例えば、絶縁層3の上部表面と接触している1対の接触部分1dと、1対の接触部分1d間に架橋されている架橋部分1eとを有している。架橋部分1eは、絶縁層3及び半導体層4と接触していない。
【0131】
なお、絶縁層3の凹部30は、第3部分1cが自重により撓んだ場合にも、第3部分1cの下部表面が絶縁層3又は半導体層4と接触しないように設けられていればよい。絶縁層3の凹部30が開口部として形成されている場合、半導体層4に、第1面41に対して凹んでおり、絶縁層3の凹部30と上下方向に連なっている図示しない第2凹部が形成されていてもよい。
【0132】
ガス検出器104の製造方法は、二次元材料層1を形成する工程の前に、絶縁層3に凹部30を形成する工程をさらに備えていればよい。
【0133】
<ガス検出器104の効果>
ガス検出器104では、トランジスタチャネルとして作用する二次元材料層1の第3部分1cが他の材料と接触していない部分を有しているため、ガス検出器100等と比べて電子・正孔の移動度が高まる。その結果、ガス検出器104の検出感度が向上する。
【0134】
<変形例>
ガス検出器104も、ガス検出器100と同様に変形され得る。また、本実施の形態であるガス検出器の構成は、他の実施の形態にも適用できる。
【0135】
実施の形態6.
実施の形態6に係るガス検出器は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0136】
<ガス検出器105の構成>
図10及び図11に示されるように、実施の形態6に係るガス検出器105では、絶縁層3に半導体層4の第1面の一部を露出する少なくとも1つの開口部31が形成されている。図10に示されるガス検出器105では、第1開口部31Aと第2開口部31Bとが互いに間隔を空けて形成されている。ガス検出器105は、例えば互いに間隔を空けて配置されている第1の第1電極2a1及び第2の第1電極2a2を有している。
【0137】
ガス検出器105は、第1二次元材料層11及び第2二次元材料層12に代えて、第4二次元材料層13及び第5二次元材料層14を備えている。第4二次元材料層13は、第1開口部31A内から絶縁層3上にまで延在しておりかつ第1の第1電極2a1と半導体層4との間を電気的に接続している。第4二次元材料層13は、外部に露出している露出面を有している。第5二次元材料層14は、第2開口部31B内から絶縁層3上にまで延在しておりかつ第2の第1電極2a2と半導体層4との間を電気的に接続している。第5二次元材料層14は、被覆膜5(第3被覆膜)によって覆われている。
【0138】
第4二次元材料層13及び第5二次元材料層14の各々は、第1部分1aと、第2部分1bと、第3部分1cとを有している。
【0139】
第4二次元材料層13及び第5二次元材料層14の各々の第2部分1bは、半導体層4において開口部31内に露出している第1面41の上記一部と接触している。好ましくは、二次元材料層1の第2部分1bは、半導体層4とショットキー接合している。例えば、半導体層4がp型材料シリコンで構成されており、二次元材料層1がn型材料グラフェンで構成されている。
【0140】
第2電極2bは、半導体層4の第2面42上に配置されており、半導体層4を介して二次元材料層1と電気的に接続されている。
【0141】
ガス検出器105では、ガス検出器100と同様に、各二次元材料層1の第3部分1cがトランジスタチャネル、各第1電極2a及び各二次元材料層1の第1部分1aがソース、各第2電極2b及び各二次元材料層1の第2部分1bがドレインとして作用する。さらにガス検出器105では、二次元材料層1の第2部分1bと半導体層4との接触領域がショットキーバリアダイオードとして機能する。
【0142】
図11に示されるように、第1の第1電極2a1と第2電極2bとの間、及び第2の第1電極2a2と第2電極2bとの間には、電圧Vdを印加するための電源回路が電気的に接続される。好ましくは、電圧Vdは、二次元材料層1と半導体層4とのショットキー接合に対して逆バイアスとなるように設定される。電圧Vdが印加されることにより、各二次元材料層1には電流Id1,Id2が流れる。電流Id1,Id2は、電源回路に含まれる図示しない電流計により測定される。
【0143】
ガス検出器105においても、上述した光ゲート効果及びガス吸着ゲート効果が生じ得る。
【0144】
さらにガス検出器105において、二次元材料層1と半導体層4とがショットキー接合している場合、電圧Vを調整し、上記ショットキー接合に対して逆バイアスを印加することで、電磁波が入射していない状態での電流Id1,Id2をゼロにすることができる。また、電磁波が半導体層4に入射したときに生じる光起電力によって、二次元材料層1のフェルミレベルが変調されて、二次元材料層1と半導体層4のエネルギ障壁が低下する。その結果、電磁波が照射された時にのみ、電流が半導体層4を流れ、電流Id1,Id2が検出される。すなわち、本実施の形態に係るガス検出器ではOFF動作が可能になる。
【0145】
本実施の形態に係るガス検出器105も、二次元材料層1での電流の変化を検出する構成に限定されるわけではない。ガス検出器105は、例えば、各第1電極2aと第2電極2bとの間に一定電流を流している状態において、電圧Vd1,Vd2の各々の変化を検出することも可能である。
【0146】
また、ガス検出器105においても、二次元材料層1の第3部分1cにおけるソース・ドレイン電流値の周波数変化を検出することも可能である。
【0147】
<ガス検出器105の効果>
ガス検出器105によれば、OFF動作が可能であるため、消費電力の低減及び信号SN比の改善が期待される。
【0148】
<ガス検出器105の変形例>
図12及び図13は、ガス検出器105の変形例を示す。図12に示されるガス検出器106及び図13に示されるガス検出器107では、二次元材料層1の第2部分1bの平面形状が図10に示されるガス検出器105とは異なっている。
【0149】
ガス検出器106,107の各々の二次元材料層1の第2部分1bと半導体層4との接触領域の面積は、ガス検出器105の第2部分1bと半導体層4との接触領域の面積よりも小さい。ガス検出器106,107では、第2部分1bと半導体層4との接触領域の面積は、平面視における第1部分1a及び第3部分1cの占有面積の和よりも小さい。
【0150】
ガス検出器106,107の各々の第2部分1bは、ガス検出器105の第2部分1bから、少なくとも二次元材料層1の延在方向(第1部分1a、第3部分1c、及び第2部分1bが並んで配列している方向)と交差する方向において互いに間隔を隔てた複数の領域が除去されたものに対応する。ガス検出器106では、当該複数の領域の各平面形状が長方形状である。ガス検出器107では、当該複数の領域の各平面形状が正形状である。
【0151】
ガス検出器106,107の各々において、第1部分1a、第2部分1b、及び第3部分1cの各平面形状は、二次元材料層1の延在方向と交差する方向の中心を通って上記延在方向に沿って延びる直線に対して対称である。なお、二次元材料層1の延在方向と交差する方向の中心を通る断面において、ガス検出器106,107は、例えばガス検出器105と同等の構造を有している。
【0152】
図12に示されるガス検出器106の第2部分1bの平面形状は、櫛型形状(梯子型形状)である。ガス検出器106では、二次元材料層1の延在方向と交差する方向における第2部分1bの幅の総和が、当該交差する方向における第1部分1a及び第3部分1cの幅よりも狭い。ガス検出器106では、半導体層4を露出させる複数の開口部が形成されており、複数の開口部は上記交差する方向に並んで配置されている。
【0153】
図13に示されるガス検出器107の第2部分1bの平面形状は、格子形状である。ガス検出器107では、二次元材料層1では、半導体層4を露出させる複数の開口部が形成されており、複数の開口部は二次元材料層1の延在方向及びこれと交差する方向の各々に並んで配置されている。ガス検出器107では、二次元材料層1の延在方向と交差する方向における第2部分1bの幅の総和の最小値が、当該交差する方向における第1部分1a及び第3部分1cの最小幅よりも狭い。
【0154】
ガス検出器106,107では、二次元材料層1の延在方向における第2部分1bの幅に応じて、二次元材料層1と半導体層4との接触領域の面積が調整される。そのため、ガス検出器106,107では、二次元材料層1と半導体層4との接触抵抗、ひいてはガス検出器の抵抗、が調整され得る。ガス検出器106,107では、図10に示されるガス検出器105と比べて、ガス検出器の特性のばらつきが低減され、また暗電流が低減され得る。
【0155】
また、ガス検出器106,107では、第2部分1bの端面の面積の総和が、図10に示されるガス検出器105の第2部分1bの端面の面積の総和と比べて、大きい。第2部分1bの端面は、二次元材料層1の厚さ方向、言い換えると二次元材料層1において原子が二次元的に配列されてなるシートと直交する方向、に沿って延びる面である。言い換えると、図12及び図13に示される各第2部分1bにおける二次元結晶構造の端面領域は、図10に示される第2部分1bにおける二次元結晶構造の端面領域よりも増えている。そのため、図12及び図13に示される各二次元材料層1では、図10に示される二次元材料層1と比べて、二次元結晶構造の未接合手(ダングリングボンド)の割合が増加する。その結果、電磁波照射によって半導体層4に生じたキャリアが二次元材料層1を経て各第1電極2aに輸送される際に、図12及び図13に示される各二次元材料層1では、図10に示される二次元材料層1と比べて、キャリア密度の変化の割合が大きくなり、キャリアの移動度が増加し、電流Iの変化量が多くなる。その結果、図12及び図13に示されるガス検出器106,107の検出感度は、図10に示されるガス検出器105の感度と比べて、高い。
【0156】
また、ガス検出器106,107において、二次元材料層1の第2部分1bはグラフェンナノリボンであってもよい。グラフェンナノリボンは、その幅に応じて変化するバンドギャップを有する。そのため、グラフェンナノリボンで構成された第2部分1bの上記交差する方向の幅に応じて、第2部分1bにおいて光電変換され得る電磁波の波長域を調整でき、例えば他の領域において光電変換され得る電磁波の波長域よりも狭くすることができる。この場合、第2部分1bでの光電変換により生じた光キャリアは、他の領域での光電変換により生じた光キャリアとは切り分けて検出され得る。また、第2部分1bでの光電変換により生じた光キャリアを検出することで、ガス検出器の感度が向上する。また、このようなガス検出器では、グラフェンナノリボンで構成された第2部分1bと半導体層4とがショットキー接合するため、暗電流が低減され、かつショットキー接合部において吸収された電磁波により生成された光キャリアを検出することで感度が向上する。
【0157】
ガス検出器105~107は、第3検出部をさらに備えていてもよい。ガス検出器105~107は、第3の第1電極2aと、第6二次元材料層と、第6二次元材料層を覆う第4被覆膜とをさらに有していてもよい。ガス検出器105~107では、絶縁層3に、第1開口部及び第2開口部の各々と間隔を空けて配置されている第3開口部がさらに形成されていてもよい。第3組の第1電極2a及び第2電極2bは、第1組の第1電極2a及び第2電極2b、並びに第2組の第1電極2a及び第2電極2bの各々と間隔を空けて配置されている。第6二次元材料層は、第3開口部内から絶縁層3上にまで延在し、第3の第1電極と半導体層4との間を電気的に接続する。第4被覆膜は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波の透過を阻害するように設けられている。
【0158】
ここで、本実施の形態であるガス検出器の構成は、他の実施の形態にも適用できる。
<ガス検出器100~107の変形例>
ガス検出器100~107の各々において、絶縁層3、半導体層4、強誘電体層6、接触層7、及び導電体8を構成する材料の少なくともいずれかが、電磁波の照射により特性が変化し、二次元材料層1に電位の変化を与える材料であることが好ましい。
【0159】
ここで、電磁波の照射により特性が変化し、二次元材料層1に電位の変化を与える材料としては、例えば、量子ドット、強誘電体材料、液晶材料、フラーレン、希土類酸化物、半導体材料、pn接合材料、金属-半導体接合材料、又は、金属-絶縁物-半導体接合材料等を用いることができる。例えば、強誘電体材料として、電磁波による分極効果(焦電効果)を有する強誘電体材料を用いる場合、電磁波の照射により、強誘電体材料に分極の変化が生じる。この結果、二次元材料層1に電位の変化を与えることができる。
【0160】
上述のように絶縁層3、半導体層4、強誘電体層6、接触層7、及び導電体8を構成する材料の少なくともいずれかが電磁波の照射により特性が変化する材料である場合、当該材料により構成された、絶縁層3、半導体層4、強誘電体層6、接触層7、及び導電体8の少なくともいずれかの特性が電磁波の照射により変化して、二次元材料層1に電位の変化を与えることができる。
【0161】
より好ましくは、絶縁層3、半導体層4、強誘電体層6、接触層7、及び導電体8を構成する材料の各々が、電磁波の照射により特性が変化し、二次元材料層1に電位の変化を与える材料である。
【0162】
なお、接触層7に電磁波の照射により特性が変化し、二次元材料層1に電位の変化を与える材料を適用する場合、接触層7は、必ずしも二次元材料層1に直接接触している必要はない。たとえば、電位の変化を二次元材料層1に与えることができれば、絶縁膜等を介して、二次元材料層1の上面又は下面上に接触層7を設けてもよい。
【0163】
実施の形態7.
図14は、実施の形態7に係るガス検出器アレイの上面図である。図15は、実施の形態7に係るガス検出器アレイから得られた電気信号を読み出す読出し回路の一例を示す模式図である。図16は、実施の形態7に係るガス検出器アレイの第1変形例を示す上面図である。
【0164】
図14に示されるように、実施の形態7に係るガス検出器アレイ1000は、複数のガス検出器100の集合体である。ガス検出器アレイ1000は、検出素子として、実施の形態1~6のいずれかに係るガス検出器100~107を複数有している。ガス検出器アレイ1000は、たとえば、ガス検出器として実施の形態1に係るガス検出器100を複数備えている。
【0165】
ガス検出器アレイ1000では、複数のガス検出器100の各々の検出波長は等しい。図14に示されるように、ガス検出器アレイ1000では、複数のガス検出器100が二次元方向にアレイ状に配置されている。言い換えると、複数のガス検出器100は、第1方向および第1方向と交差する第2方向に並んで配置されている。図14に示されるガス検出器アレイ1000では、4つのガス検出器100が、2×2のアレイ状に配置されている。ただし、配置されるガス検出器100の数はこれに限定されない。たとえば、複数のガス検出器100を3以上×3以上のアレイ状に配置してもよい。また、2つのガス検出器100に含まれる複数の検出部の各々が、アレイ状に配置されていてもよい。例えば、上述した、2つの第1検出部100A、第2検出部100B、及び第3検出部が、2×2のアレイ状に配置されていてもよい。
【0166】
なお、図14に示されるガス検出器アレイ1000では、複数のガス検出器100が二次元に周期的に配列されているが、複数のガス検出器100は1つの方向に沿って周期的に配列されていてもよい。また、複数のガス検出器100の各々の間隔は等間隔であってもよいし、異なる間隔であってもよい。
【0167】
また、複数のガス検出器100をアレイ状に配置する際は、それぞれのガス検出器100が分離できている限りにおいて、第1電極2a、第3電極2cは共通電極としてもよい。第1電極2a、第3電極2cを共通電極とすることで、各ガス検出器100において第1電極2a、第3電極2cが独立している構成よりも、画素の配線を少なくすることが出来る。この結果、ガス検出器アレイを高解像度化することが可能となる。複数のガス検出器100の各々を分離する方法としては、例えば各ガス検出器100の外周を囲むように配置された絶縁層を設けてもよい。
【0168】
このように複数のガス検出器100を用いたガス検出器アレイ1000は、アレイ状に複数のガス検出器100を配列することで画像センサとしても使用できる。
【0169】
ガス検出器アレイ1000は、ガス検出器100として実施の形態1~6に係るガス検出器のいずれかを備えていてもよい。ガス検出器アレイ1000は、ガス検出器100として実施の形態1~6に係るガス検出器のいずれかを備えていてもよい。
【0170】
ガス検出器アレイ1000は、実施の形態1~6のうちのいずれか一つの実施形態に係るガス検出器を複数備えていてもよいし、実施の形態1~6のうちの2以上の実施形態に係るガス検出器を複数備えていてもよい。
【0171】
<ガス検出器アレイ1000の変形例>
ガス検出器アレイ1000は、複数のガス検出器100の各々から得られた電気信号を読み出す読出回路または行列選択回路などの検出回路をさらに備えていることが好ましい。上記検出回路は、例えばアレイ状に配置された複数のガス検出器100よりも外側に配置されていることが好ましい。上記検出回路は、複数のガス検出器100とは別体である半導体チップ上に設けられており、複数のガス検出器100の各々とバンプ等で電気的に接続されていてもよい。
【0172】
図15は、上記検出回路を備えるガス検出器アレイ1000の一例を示す模式図である。以下、ガス検出器アレイ1000を構成する各ガス検出器100(又は各検出部)を画素とも呼ぶ。ガス検出器アレイ1000は、画素100を垂直方向に走査する垂直走査回路301と、画素100を水平方向に走査する水平走査回路302と、各回路にバイアス電圧を供給する電源回路303と、水平走査回路302からの信号をガス検出器アレイ1000の外部へ出力する出力回路304とを備える。
【0173】
図15に示されるガス検出器アレイ1000は、1画素毎にガス検出器100の応答を検出可能である。具体的には、垂直走査回路301に電圧を印加して1つの行を選択し、水平走査回路302に電圧を印加して1つの列を選択することで1画素の応答を読み出す。垂直走査回路301により選択した行を固定し、水平走査回路302に順次電圧を印加することによって、当該行の画素応答を全て読み出す。その後、同様に、垂直走査回路301に電圧を印加して他の行を選択し、水平走査回路302に順次電圧を印加することによって、当該他の行の画素応答を全て読み出す。これを繰り返すことで全画素の応答を読み出すことができる。
【0174】
本実施の形態では、垂直走査回路301と水平走査回路302を用いて1画素毎に応答を読み取る方法について説明したが、これに限定されず、行毎、列毎に応答を読みだしてもよいし、他の手法を用いてもよい。
【0175】
<効果>
図15に示されるガス検出器アレイ1000によれば、1画素毎の応答を検出可能であり、各画素間の差分検出を容易に行うことができるため、例えば複数種のガスの検出、又は空間分布の測定に特に有効である。
【0176】
図16に示されるガス検出器アレイ2000は、図14に示されるガス検出器アレイ1000と基本的に同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、複数のガス検出器として種類の異なるガス検出器200、201,202,203を備えている点で、図14に示されるガス検出器アレイと異なる。すなわち、図16に示されるガス検出器アレイ2000では、互いに異なる種類のガス検出器200,201,202,203がアレイ状(マトリックス状)に配置されている。
【0177】
図16に示されるガス検出器アレイ2000では、ガス検出器200,201,202,203が2×2のマトリックス状に配置されているが、配置されるガス検出器の数はこれに限定されない。また、図16に示されるガス検出器アレイ2000では、複数のガス検出器200,201,202,203が二次元に周期的に配列されているが、複数のガス検出器200,201,202,203は1つの方向に沿って周期的に配列されていてもよい。また、複数のガス検出器200,201,202,203の各々の間隔は等間隔であってもよいし、異なる間隔であってもよい。
【0178】
図16に示されるガス検出器アレイ2000では、上述の実施の形態1~6のいずれかに係る、種類の異なるガス検出器200,201,202,203を、一次元又は二次元のアレイ状に配置することで、ガス画像センサとしての機能を持たせることができる。
【0179】
ガス検出器200,201,202,203は、例えば互いに検出波長が異なるガス検出器である。具体的には、ガス検出器200,201,202,203は実施の形態1~6のいずれかに係るガス検出器であって、互いに異なる検出波長選択性を有するガス検出器として準備されていてもよい。この場合、ガス検出器アレイは、少なくとも2つ以上の異なる波長の電磁波を検出することができる。
【0180】
このように異なる検出波長を有するガス検出器200,201,202,203をアレイ状に配置することにより、可視光域で用いるイメージセンサと同様に、たとえば紫外光、赤外光、テラヘルツ波、電波の波長域などの任意の波長域において、電磁波の波長を識別できる。この結果、たとえば波長の相違を色の相違として示した、カラー化した画像を得ることができる。
【0181】
また、ガス検出器200,201,202,203の各々に含まれる半導体層4の構成材料が、互いに異なる波長域に感度を有する半導体材料であってもよい。たとえば、検出波長が可視光の波長である半導体材料と、検出波長が赤外線の波長である半導体材料とを上記構成材料として用いてもよい。この場合、例えば、当該ガス検出器を車載センサに適用した時に、昼間は可視光画像用カメラとしてガス検出器を使用できる。さらに、夜間は赤外線カメラとしてもガス検出器を使用できる。このようにすれば、電磁波の検出波長によって、画像センサを有するカメラを使い分ける必要が無い。
【0182】
また、イメージセンサ以外のガス検出器の用途としては、たとえば少ない画素数でも、ガスの濃度分布検出を行うことが可能なガスマッピングセンサとして当該ガス検出器を用いることができる。たとえば、ガス検出器アレイの構造により、上記のように検出波長の異なるガス検出器200,201,202,203を用いれば、複数波長の電磁波の強度を検出する画像センサが得られる。これにより、従来、CMOSイメージセンサなどで必要であったカラーフィルタを用いることなく、複数の波長の電磁波を検出し、カラー画像を得ることができる。
【0183】
さらに、検出する偏光が異なるガス検出器200,201,202,203をアレイ化することにより、偏光識別イメージセンサを形成することもできる。例えば、検知する偏光角度が0°、90°、45°、135°である4つの画素を一単位として、当該一単位のガス検出器を複数配置することで偏光イメージングが可能になる。偏光識別イメージセンサによって、例えば、人工物と自然物の識別、材料識別、赤外波長域における同一温度物体の識別、物体間の境界の識別、又は、等価的な分解能の向上などが可能になる。
【0184】
以上のように、ガス検出器アレイ2000は、広い波長域の電磁波を検出することができる。また、ガス検出器アレイ2000は、異なる波長の電磁波を検出することができる。
【0185】
上述した各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。さらに、上記実施の形態は実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の開示が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の開示が抽出され得る。
【0186】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0187】
1 二次元材料層、1a 第1部分、1b 第2部分、1c 第3部分、1d 接触部分、1e 架橋部分、2a,2a1,2a2 第1電極、2b 第2電極
2c 第3電極、3 絶縁層、4 半導体層、5 被覆膜、6 強誘電体層、7 接触層、8 導電体、11 第1二次元材料層、12 第2二次元材料層、13 第4二次元材料層、14 第5二次元材料層、30 凹部、31 開口部、31A 第1開口部、31B 第2開口部、41 第1面、42 第2面、61 第1強誘電体層、62 第2強誘電体層、71 第1接触層、72 第2接触層、100,101,102,103,104,105,106,107,200,201,202,203 ガス検出器、100A 第1検出部、100B 第2検出部、301 垂直走査回路、302 水平走査回路、303 電源回路、304 出力回路、1000,2000 ガス検出器アレイ。
【要約】
ガス検出器(100)は、絶縁層(3)と、絶縁層上に配置されている第1電極(2a)と、第1電極と電気的に接続されている二次元材料層(1)と、二次元材料層を介して第1電極と電気的に接続されている第2電極(2b)とを備える。二次元材料層は、外部に露出している露出面を有している。二次元材料層は、検出対象のガスに吸収される波長域の電磁波が入射されたときに、光電変換が行われるように設けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16