(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】固定支持治具および内外管の固定支持方法
(51)【国際特許分類】
F16B 7/14 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
F16B7/14 E
(21)【出願番号】P 2024556776
(86)(22)【出願日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2024018024
【審査請求日】2024-09-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】705000640
【氏名又は名称】後藤 将彦
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 将彦
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0001416(US,A1)
【文献】実開昭51-020444(JP,U)
【文献】実開昭58-193908(JP,U)
【文献】実開昭58-089605(JP,U)
【文献】実開昭54-069633(JP,U)
【文献】特許第7369944(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が円形断面状で、いずれも上下方向に延在し互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、重量物を所定高さに固定支持する固定支持治具であって、
雌ネジ部と、該雌ネジ部を挟んで一対の貫通穴とを外周面に備え、該外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部と、
該管状ベース部は、前記一端部から前記外管側に延び、内周面が外管の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する外管に外嵌する第1外嵌部と、前記一端部から前記内管側に延び、内周面が内管の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する内管に外嵌する第2外嵌部とから構成され、該一対の貫通穴の一方は、前記第1外嵌部に、該一対の貫通穴の他方は、前記第2外嵌部に設けられ、
さらに、縦断面略コの字状をなし、バカ穴が設けられた押付荷重受け面を有する押付荷重受け部と、該押付荷重受け部の延び方向に互いに間隔を隔てた一対の脚部とを有する押付体と、
前記押付荷重受け部に対して、押付け固定可能であり、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有する締結ネジ部と、を有し、
前記一対の脚部は、一方は、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、他方は、前記外管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、
前記内外管のいずれかにより重量物を支持する際、重量物の所定高さに応じて、前記外管に対する前記内管の嵌合位置を調整したうえで、前記
締結ネジ部により、前記バカ穴を貫通させ、前記雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させつつ、前記一対の脚部の一方をして前記第1外嵌部の前記貫通孔を貫通させて、対応する前記押付端面を前記内管の外周面に面接触させつつ、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を、前記外管または前記管状ベース部の内周面に対して押付固定するとともに、前記一対の脚部の他方をして前記第2外嵌部の前記貫通孔を貫通させて、対応する前記押付端面を前記外管の外周面に面接触させて、押付固定する、ことを特徴とする固定支持治具。
【請求項2】
前記外管の前記一端部には、雄ねじが設けられ、前記管状ベース部の内周面には、該雄ねじに螺合可能な雌ネジが設けられる、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項3】
前記他方の押付端面は、前記外管のネジ部に密着するような相補形状である、請求項2に記載の固定支持治具。
【請求項4】
前記押付荷重受け部の各端には、前記押付荷重受け面からと反対方向に延びる脚部が設けられ、
前記脚部の先端に、前記押付端面を有し、
前記各脚部の前記押付荷重受け面から前記押付端面までの長さが、第1所定クリアランスおよび第2所定クリアランスに応じて、設定される、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項5】
前記一対の脚部の他方をして前記第2外嵌部の前記貫通孔を貫通させて、対応する前記押付端面を前記外管の外周面に面接触させつつ、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を、前記外管または前記管状ベース部の内周面に対して押付固定する、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項6】
前記締結ネジ部の締付により、押付端面が同時に各外周面に当たるように、各脚部の長さが設定される、請求項4に記載の固定支持治具。
【請求項7】
前記第2外嵌部の内径は、前記第1外嵌部の内径より小さく設定され、前記第1外嵌部と前記第2外嵌部との連結部には、環状肩部が形成され、該環状肩部を前記外管の一周端に載置する、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項8】
前記押付端面は、前記内管の外周面に対する押付けにより変形しない程度の硬さを有し、
前記押付端面は、前記内管の外周面に沿うように形成されている、
請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項9】
前記内管および前記外管それぞれは、円筒状であり、前記内管の外周面の前記外管の内周面に対する押付固定は、前記押付端面による押付固定部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して、上下方向に線接触の仕方で押付固定し、前記外管を前記内管に対して三か所の支持により、固定支持する、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項10】
前記
締結ネジ部は、シャンク部と、該シャンク部の下面から下方に延びる前記雄ネジ部とを有し、
前記下面には、前記雄ネジ部のまわりを囲む環状面が形成され、
前記雄ネジ部を前記バカ穴を介して前記雌ネジ部に螺合させることにより、前記シャンク部の下面と前記押付体の前記押付荷重受け面とが当接することにより、前記締結ネジ部と前記押付体とが一体で、前記内管に対して押付固定するとともに、前記外管に対してねじ込み固定する、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項11】
前記
締結ネジ部は、前記シャンク部の前記雄ネジ部側端部と逆側の端部には、指で摘まんで回転可能なヘッド部を有する、請求項10に記載の固定支持治具。
【請求項12】
前記固定支持治具は、金属製であり、前記一対の貫通穴は、互いに内外管の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管の周方向に延在するように設けられ、前記内外管のいずれかにより、重量物を所定高さで支持する、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項13】
一方の前記脚部の長さと他方の前記脚部の長さとの差は、前記外管の厚みおよび前記第1所定クリアランスと前記第2所定クリアランスとの差に応じて、設定される、請求項4に記載の固定支持治具。
【請求項14】
前記締結ネジ
部の締結により、管状ベースの回転阻止しつつ、内外管を所定嵌合位置で固定保持する、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項15】
前記外管の前記外管と前記内管との嵌合部側の端部に近い側の
前記脚部において、
前記脚部を構成する対向する一対の側面のうち外管の端部に近い側の側面から前記押付体の厚み方向に差し込み用穴が設けられ、 前記外管の嵌合部側の端面には、該端面に円形開口を有し前記外管の端部に近い側の前記側面まで貫通して延びる円形断面の細長穴が設けられ、前記円形開口から前記細長穴に挿入可能な差し込みロッドをさらに有し、前記一対の
脚部を前記一対の貫通穴内に挿入することにより、前記細長穴が前記差し込み用穴に連通し、前記差し込みロッドの先端部が前記差し込み用穴に差し込まれることにより、前記一対の
脚部は、前記一対の貫通穴内に保持され、該細長穴は、雌ネジ部を有し、 前記差し込みロッドは、前記細長穴の前記雌ネジ部に螺合可能なイモネジであり、 前記イモネジが前記細長穴に螺合しながら、先端部が前記差し込み用穴に差し込まれることにより、前記一対の
脚部は、前記一対の貫通穴内に着脱自在に保持される、請求項1に記載の固定支持治具。
【請求項16】
請求項1に記載の固定支持治具を有し、前記内管または前記外管の前記内外管の嵌合部と反対側の端部により譜面台、楽器、マイクまたはアンプを支持する音楽向けスタンド。
【請求項17】
外管の上端部に、内周面が円形断面の管状ベースを外嵌する段階と、
内管を管状ベースまたは外管に内嵌する段階と、
管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置で回転する段階と、
管状ベースの外方から管状ベースの厚み方向に内管の外周面に向かって押付けることにより、管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置に固定しつつ、内管の反対側の外周面を管状ベースまたは外管の内周面に対して押付けて、内外管同士を長手方向に固定保持する段階と、
を有することを特徴する、内外管の固定支持方法。
【請求項18】
さらに、管状ベースの外方から管状ベースの厚み方向に外管の外周面に向かって押付けることにより、管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置に固定しつつ、外管の反対側の外周面を管状ベースの内周面に対して押付けて、内外管同士を長手方向に固定保持する段階と、
を有する、請求項17に記載の内外管の固定支持方法。
【請求項19】
管状ベースの内周面は、内管の径より大きく設定される縮径部と、外管の径より大きく設定される拡径部とが設けられ、前記縮径部と前記拡径部との連結部には、環状肩部が形成され、
環状肩部を外管の環状の上端面に載置して、管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置で回転する、請求項18に記載の内外管の固定支持方法。
【請求項20】
管状ベースの外方から管状ベースの厚み方向に内管および外管の外周面に向かって押付けるコの字状押付体であって、先端に内管および外管の外周面に向かって押付される押付端面を有する、一対の脚部が設けられるコの字状押付体に応じて、管状ベースの外周面には、押付端面が貫通可能な一対の貫通スリットが設けられ、
内外管の径、および環状肩部の幅に応じて、前記各脚部の長さを選択する、請求項19に記載の内外管の固定支持方法。
【請求項21】
請求項1に記載の固定支持治具を有し、前記内管または前記外管の前記内外管の嵌合部と反対側の端部にキャスターが設けられ、移動可能であり、前記外管または前記内管の前記内外管の嵌合部と反対側の端部により点滴、モニター、照明を支持する医療用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定支持治具および内外管の固定支持方法に関し、より詳細には、音楽用スタンドに適用するのに、スタンド高さ調整の際、簡便な構造により使い勝手を改善した固定支持治具および内外管の固定支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者は、特許文献1において、シンプルな構造で簡便な操作により、内管と外管との全体長さを調整可能である長さ調整治具を提案している。
【0003】
本発明の長さ調整治具は、互いに嵌合する内管と外管との間に介在する長さ調整治具であって、該外管の外周面には、互いに間隔を隔てた、一対の貫通スリットが設けられ、該一対の貫通スリットの間には、雌ネジ部が設けられ、前記外管の外周面に位置決めされ、該一対の貫通スリットを貫通して、前記内管の外周面に当たる押付部と、前記押付部を前記内管の外周面に向かって押付け固定可能な締付ネジ部とを有し、該締付ネジ部は、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有し、前記外管に対する前記内管の嵌合位置を調整したうえで、前記外管の内周面に臨む開口を 有し、前記外管の外側に突出する、押付部収納ス
ペースを設けることなしに、前記締付ネジ部により、前記雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させつつ、前記押付部を該一対の貫通スリットを貫通させて、前記内管の外周面に押付固定する、構成としている。
【0004】
以上の構成を有する長さ調整治具によれば、それぞれ外管の外表面に設けられた、雌ネジ部と、雌ネジ部から所定範囲内に少なくとも一つの貫通穴と、外管の外周面から貫通穴を貫通して、内管の外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、押付部を内管の外周面に向かって押付け固定可能な締付ネジ部とにより、互いに嵌合する内外管の嵌合部の長さを
調整する際、押付け部の先端面が、内管の外周面に対して面接触可能なように、内管の
外 周面に沿う形状としておくことにより、外管に対する内管の嵌合位置を調整したうえ
で、 前記外管の内周面に臨む開口を有し、前記外管の外側に突出する、押付部収納スペ
ースを設けることなしに、締付ネジ部の回転により、雄ネジ部を外管の外周面に設けられた雌ネジ部に螺合させつつ、締付ネジ部のねじ込みにより、雌ネジ部から所定範囲内の押付部を して貫通穴を貫通させて、先端面を内管の外周面に面接触の仕方で押付固定する
ことが可能であり、シンプルな構造で過度な締付力を要することなく簡便な操作により、内管と外管との全体長さを固定保持可能に調整可能である。
【0005】
しかしながら、このような長さ調整治具を譜面台、マイク、アンプ等音楽用スタンドに適用する場合には、以下のような技術的問題点が存する。
すなわち、締結ネジが左側にある場合には、左手の指で逆向きに締結ネジを回す必要があり、右利きの利用者にとって、使い勝手が悪く、だからといって、重い譜面台スタンド、マイクスタンド、アンプスタンドを持ち上げて、管体を長手方向を中心に回転し、左側にある締結ネジを右側とするのも労力を要し、不便である。
演奏者が演奏中に楽器の持ち替えにより、譜面台の高さを調整をする場合もあり、簡便に締結ネジにより高さ調整可能であるのが望まれる。
また、オーケストラ演奏、ビッグバンド演奏のように複数の演奏者が演奏する場合において、各演奏者の締結ネジの向きが揃っているほうが聴衆に対して見栄えがよいが、重い譜面台スタンド、マイクスタンド、アンプスタンドを持ち上げて、締結ネジのスタンドの長手方向を中心とする向きを調整するのは不便である。
以上の問題点は、内管または外管の内外管の嵌合部と反対側の端部にキャスターが設けられ、移動可能であり、外管または内管の内外管の嵌合部と反対側の端部により点滴、モニター、照明を支持する医療用スタンドにおいても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の課題は、音楽用、医療用スタンドに適用するのに、スタンド高さ調整の際、簡便な構造により使い勝手を改善した固定支持治具および内外管の固定支持方法を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の課題は、既存の内外管の嵌合構造を有する音楽用スタンド、医療用スタンドに適用するのに、スタンド高さ調整の際、簡便な構造により使い勝手を改善しつつ、内外管の強固な固定保持が可能な固定支持治具および内外管の固定支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の固定支持治具は、
少なくとも一方が円形断面状で、いずれも上下方向に延在し互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、重量物を所定高さに固定支持する固定支持治具であって、
貫通穴を外周面に備え、該外管の一端部の外周面に外嵌可能な管状ベース部を有し、
該管状ベース部は、前記一端部から前記外管側に延び、内周面が外管の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する外管に外嵌する第1外嵌部と、前記一端部から前記内管側に延び、内周面が内管の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する内管に外嵌する第2外嵌部とから構成され、
さらに、押付荷重受け面を有する押付荷重受け部と、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備える押付体と、
前記押付荷重受け部に対して、押付荷重を付与する押付荷重付与部と、を有し、
前記内外管のいずれかにより重量物を支持する際、重量物の所定高さに応じて、前記外管に対する前記内管の嵌合位置を調整したうえで、前記内外管の長手方向を中心とする所望回転位置に設定された前記管状ベース部の前記貫通穴を介して、前記押付荷重付与部により、前記押付荷重受け面を介して前記押付体を前記内管に向かって押付けることにより、前記押付端面を前記内管の外周面に面接触させつつ、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を、前記外管の内周面または前記管状ベースの内周面に対して押付固定する、構成としている。
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の固定支持治具は、
少なくとも一方が円形断面状で、いずれも上下方向に延在し互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、重量物を所定高さに固定支持する固定支持治具であって、
雌ネジ部と、該雌ネジ部を挟んで一対の貫通穴とを外周面に備え、該外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部と、
該管状ベース部は、前記一端部から前記外管側に延び、内周面が外管の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する外管に外嵌する第1外嵌部と、前記一端部から前記内管側に延び、内周面が内管の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する内管に外嵌する第2外嵌部とから構成され、該一対の貫通穴の一方は、前記第1外嵌部に、該一対の貫通穴の他方は、前記第2外嵌部に設けられ、
さらに、縦断面略コの字状をなし、バカ穴が設けられた押付荷重受け面を有する押付荷重受け部と、該押付荷重受け部の延び方向に互いに間隔を隔てた一対の脚部とを有する押付体と、
前記押付荷重受け部に対して、押付け固定可能であり、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有する締結ネジ部と、を有し、
前記一対の脚部は、一方は、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、他方は、前記外管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、
前記内外管のいずれかにより重量物を支持する際、重量物の所定高さに応じて、前記外管に対する前記内管の嵌合位置を調整したうえで、前記締付ネジ部により、前記バカ穴を貫通させ、前記雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させつつ、前記一対の脚部の一方をして前記第1外嵌部の前記貫通孔を貫通させて、対応する前記押付端面を前記内管の外周面に面接触させつつ、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を、前記外管または前記管状ベース部の内周面に対して押付固定するとともに、前記一対の脚部の他方をして前記第2外嵌部の前記貫通孔を貫通させて、対応する前記押付端面を前記外管の外周面に面接触させて、押付固定する、構成としている。
【0010】
以上の構成を有する固定支持治具によれば、いずれも上下方向に延在し互いに嵌合する内管と外管において、雌ネジ部を挟んで一対の貫通孔を外周面に有する管状ベース部を外管の一端部の外周面に装着し、縦断面略コの字状の一対の押付体において、一方の脚部を、外管の一端部から外管側に延び、内周面が内管の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する内管に外嵌する第1外嵌部に設けられる一方の貫通孔を貫通させるとともに、他方の脚部を、外管の一端部から内管側に延び、内周面が外管の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する外管に外嵌する第2外嵌部に設けられる他方の貫通孔を貫通させ、締結ネジ部の雄ネジ部を雌ネジ部にネジ込むことにより、一対の押付体の押付荷重受け部に対して押付け可能であり、内外管のいずれかにより重量物を支持する際、重量物の所定高さに応じて、外管に対する内管の嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部により、荷重受け部のバカ穴を貫通させ、雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させつつ、一対の脚部の一方をして第1外嵌部の貫通孔を貫通させて、対応する押付端面を内管の外周面に面接触させつつ、押付端面の内管に対する面接触部の反対側の内管の外周面を、外管または管状ベース部の内周面に対して押付固定するとともに、一対の脚部の他方をして第2外嵌部の貫通孔を貫通させて、対応する押付端面を外管の外周面に面接触させて、押付固定することが可能であり、締結ネジ部によるねじ込みまで、外管の一端部の外周面に装着された管状ベース部は、内外管の長手方向を中心に回転フリーであり、締結ネジ部によるねじ込みにより、管状ベース部のかかる回転を固定するとともに、内外管同士の内外管の長手方向に対する固定保持が可能であり、このような固定支持治具を音楽用スタンド、医療用スタンドに適用するのに、スタンド高さ調整の際、簡便な構造により使い勝手を改善することが可能である。
【0011】
また、前記外管の前記一端部には、雄ねじが設けられる場合、前記管状ベース部の内周面には、該雄ねじに螺合可能な雌ネジが設けられるのでもよい。
さらに、前記他方の押付端面は、前記外管のネジ部に密着するような相補形状であるのがよい。
さらにまた、前記押付荷重受け部の各端には、前記押付荷重受け面からと反対方向に延びる脚部が設けられ、
前記脚部の先端に、前記押付端面を有し、
前記各脚部の前記押付荷重受け面から前記押付端面までの長さが、第1所定クリアランスおよび第2所定クリアランスに応じて、設定されるのがよい。
【0012】
加えて、前記一対の押付体の他方をして前記第2外嵌部の前記貫通孔を貫通させて、対応する前記押付端面を前記外管の外周面に面接触させつつ、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を、前記外管または前記管状ベース部の内周面に対して押付固定するのがよい。
また、締結ネジの締付により、押付端面が同時に各外周面に当たるように、各脚部の長さが設定されるのがよい。
さらにまた、前記第2外嵌部の径は、前記第1外嵌部の径より小さく設定され、前記第1外嵌部と前記第2外嵌部との連結部には、環状肩部が形成され、該環状肩部を前記外管の一周端に載置するのがよい。
加えて、前記押付端面は、前記内管の外周面に対する押付けにより変形しない程度の硬さを有し、
前記押付端面は、前記内管の外周面に沿うように形成されている、のがよい。
【0013】
また、前記内管および前記外管それぞれは、円筒状であり、前記内管の外周面の前記外管の内周面に対する押付固定は、前記押付端面による押付固定部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して、上下方向に線接触の仕方で押付固定し、前記外管を前記内管に対して三か所の支持により、固定支持するのがよい。
さらに、前記締付ネジ部は、シャンク部と、該シャンク部の下面から下方に延びる前記雄ネジ部とを有し、
前記下面には、前記雄ネジ部のまわりを囲む環状面が形成され、
前記雄ネジ部を前記バカ穴を介して前記雌ネジ部に螺合させることにより、前記シャンク部の下面と前記押付体の前記押付荷重受け面とが当接することにより、前記締結ネジ部と前記押付体とが一体で、前記内管に対して押付固定するとともに、前記外管に対してねじ込み固定するのがよい。
【0014】
さらにまた、前記締付ネジ部は、前記シャンク部の前記雄ネジ部側端部と逆側の端部には、指で摘まんで回転可能なヘッド部を有するのがよい。
加えて、前記固定支持治具は、金属製であり、前記一対の貫通穴は、互いに内外管の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管の周方向に延在するように設けられ、前記内外管のいずれかにより、重量物を所定高さで支持するのがよい。
また、一方の前記脚部の長さと他方の前記脚部の長さとの差は、前記外管の厚みおよび前記第1所定クリアランスと前記第2所定クリアランスとの差に応じて、設定されるのがよい。
さらに、前記締結ネジの締結により、管状ベースの回転阻止しつつ、内外管を所定嵌合位置で固定保持するのがよい。
【0015】
さらにまた、前記外管の前記外管と前記内管との嵌合部側の端部に近い側の押付体において、該押付体を構成する対向する一対の側面のうち外管の端部に近い側の側面から押付体の厚み方向に差し込み用穴が設けられ、 前記外管の嵌合部側の端面には、該端面に円形
開口を有し前記外管の端部に近い側の前記側面まで貫通して延びる円形断面の細長穴が設けられ、前記円形開口から前記細長穴に挿入可能な差し込みロッドをさらに有し、前記一対の押付体を前記一対の貫通穴内に挿入することにより、前記細長穴が前記差し込み用穴に連通し、前記差し込みロッドの 先端部が前記差し込み用穴に差し込まれることにより
、前記一対の押付体は、前記一対の貫通穴内に保持され、該細長穴は、雌ネジ部を有し、
前記差し込みロッドは、前記細長穴の前記雌ネジ部に螺合可能なイモネジであり、 前記イモネジが前記細長穴に螺合しながら、先端部が前記差し込み 用穴に差し込まれること
により、前記一対の押付体は、前記一対の貫通穴内に着脱自在に保持されるのがよい。
【0016】
上記課題を達成するために、本発明の音楽向けスタンドは、
加えて、請求項1または請求項2に記載の固定支持治具を有し、前記内管または前記外管の前記内外管の嵌合部と反対側の端部により譜面台、楽器、マイクまたはアンプを支持する構成としている。
【0017】
上記課題を達成するために、本発明の医療用スタンドは、
請求項1または請求項2に記載の固定支持治具を有し、前記内管または前記外管の前記内外管の嵌合部と反対側の端部にキャスターが設けられ、移動可能であり、前記外管または前記内管の前記内外管の嵌合部と反対側の端部により点滴、モニター、照明を支持する構成としている。
【0018】
上記課題を達成するために、本発明の内外管の固定支持方法は、
外管の上端部に、内周面が円形断面の管状ベースを外嵌する段階と、
内管を管状ベースまたは外管に内嵌する段階と、
管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置で回転する段階と、
管状ベースの外方から管状ベースの厚み方向に内管の外周面に向かって押付けることにより、管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置に固定しつつ、内管の反対側の外周面を管状ベースまたは外管の内周面に対して押付けて、内外管同士を長手方向に固定保持する段階と、
を有する、構成としている。
【0019】
さらに、管状ベースの外方から管状ベースの厚み方向に外管の外周面に向かって押付けることにより、管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置に固定しつつ、外管の反対側の外周面を管状ベースの内周面に対して押付けて、内外管同士を長手方向に固定保持する段階と、を有する、のがよい。
また、管状ベースの内周面は、内管の径より大きく設定される縮径部と、外管の径より大きく設定される拡径部とが設けられ、前記縮径部と前記拡径部との連結部には、環状肩部が形成され、
環状肩部を外管の環状の上端面に載置して、管状ベースを外管の長手方向を中心に所望回転位置で回転するのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の固定支持治具10の第1実施形態について、図面を参照しながら、以下
に詳細に説明する。
図1ないし
図8に示すように、固定支持治具10は、互いに嵌合する内管X1と外管X2とを管の長手方向に固定支持するものであり、外管X2の一端部の外周面に装着固定される
管状ベース部12と、内管X1と外管X2との間に介在し、内管X1の外周面13に押付可
能な押付端面20を有する押付体14と、押付体14を内管X1の外周面13に向かって
押付け固定可能な締付ネジ部16とから、概略構成される。
内管X1および外管X2それぞれの長さ、厚みおよび断面形状は、用途に応じて、選択されるのがよく、後に説明するように、内管X1と外管X2との嵌合長さが調整され、内管X1
および外管X2の全体長さが調整されるようにしている。
【0021】
たとえば、内管X1および外管X2それぞれは、中空円筒状であり、外管X2の内周面17
を一端開口から内管X1の外周面13の一端開口に挿入することにより、外管X2が内管X
1に対して外嵌するようにしている。なお、外管X2が内管X1に対して外嵌する観点から、外管X2は、中空である必要があるが、必ずしも円形断面である必要はなく、一方、内
管X1は、中空である必要もなく、たとえば、強度確保の観点から中実状でもよい。
外管X2を内管X1に内嵌する際の外管X2の内周面19と内管X1の外周面13とは、後に説明するように、締付ネジ部16により押付体14を介して、外管X2を内管X1に対して、長手方向に固定保持される限りにおいて、若干のクリアランスが設けられてもよい。若干のクリアランスは、たとえば、0.05ミリないし0.1ミリである。
管状ベース部12の外周面21には、互いに間隔Dを隔てた、一対の貫通スリット32が
設けられ、一対の貫通スリット32の間には、雌ネジ部34が設けられ、一対の貫通スリット32間の間隔Dは、後に説明するように、固定支持治具10の用途に応じて選択すればよい。
外管X2の一端部に装着固定される管状ベース部12について、管状ベース部12の外周
面21に互いに間隔を隔てた、一対の貫通スリット32と、一対の貫通スリット32の間に設けられる雌ネジ部34とを設けている。
【0022】
より詳細には、管状ベース部12は、外管X2の一端部28に、一端が外嵌可能な中空円
筒状であり、他端には、内管X1が管状ベース部12の外周面21と所定クリアランスを
以て挿入される。
管状ベース部12は、金属製が好ましく、中空円筒状であり、内周面の径は、内管X1お
よび外管X2の内径より少なくとも大きく設定されるが、外形は、必ずしも円柱状でなく
、たとえば、中央部が拡径するようなまゆ形でもよい。
厚み、および管の長手方向の長さは、互いに嵌合する内管X1と外管X2とを管の長手方向に固定支持することが可能である限り、適宜設定すればよいが、たとえば、数ミリ、数センチである。
【0023】
管状ベース部12は、一端部から外管X2側に延び、内周面が外管X2の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する外管X2に外嵌する第1外嵌部と、一端部から内管X1側に延び、内周面が内管X1の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する内管X1に外嵌する第2外嵌部とから構成され、一対の貫通穴スリット32の一方は、第1外嵌部に、一対の貫通穴スリット32の他方は、第2外嵌部に設けられ、第2外嵌部の径は、第1外嵌部の径より小さく設定され、第2外嵌部は、縮径部を、第1外嵌部は、拡径部をそれぞれ構成し、第1外嵌部と第2外嵌部との連結部には、環状肩部17が形成され、環状肩部17が外管X2の環状端面ENに載置可能としている。
管状ベース部12の内周面と内管X1の外周面13とのクリアランス、管状ベース部12
の内周面と外管X2の外周面15とのクリアランス、および内管X1と外管X2とのクリア
ランスは、たとえば、音楽用スタンドとしての用途に適切な観点から定めればよく、たとえば、いずれも0.5ミリないし1ミリである。
【0024】
一対の貫通スリット32は、互いに内外管X1、X2の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管X1、X2の長手方向に延在するように設けられる。
より具体的には、一対の貫通スリット32それぞれは、細長開口であり、開口の幅は、押付体14が厚み方向に貫通可能であればよく、後に説明するように、締結ネジ部16を介して押付体は外管X2に締付固定されることから、外管X2の外周面16に設けられる一対の貫通スリット32に対して、押付体14が締まり嵌め状に貫通する必要はなく、貫通スリット32の周縁と、押付体14、特に脚部18(後に説明)の外周縁とのにクリアランスが許容される。
【0025】
押付体14は、管状スリーブ部12の外周面21に位置決めされ、一対の貫通スリット32を貫通して、内管X1の外周面13および外管X2の外周面15に当たるようにしてある。
より詳細には、締付ネジ部16の雄ネジ部26が、厚み方向に貫通するバカ穴部24と、互いにバカ穴部24から逆方向に延在する、2つの脚部18とを備えた、縦断面略コの字状の押付体14を構成する。
押付体14は、上面22に突起部25を有し、突起部25には、バカ穴部24が設けられ、雄ネジ部26を雌ネジ部34に螺合させることにより、シャンク部の下面38と押付体14の突起部42の上面とが当接することにより、締結ネジ部16と押付体14とが一体で、内管X1および外管X2に対して、ねじ込み式に押付固定する。突起部42の上面が押付荷重受け面を有する押付荷重受け部として機能する。
押付荷重受け部の延び方向に互いに間隔を隔てた一対の脚部18それぞれの先端面である押付端面20は、内管X1の外周面13、外管X2の外周面15に対して面接触可能なように、内管X1の外周面13、外管X2の外周面15に沿う形状とされ、たとえば、内管X1
の外周面13が円筒の外表面であれば、押付端面20は、断面がその径の円弧状とする。この場合、締付ネジ部16とは異なり、押付体14自体は、内管X1の外周面13、外管X2の外周面15に向かって回転させる必要がないので、円弧状断面を内管X1の外周面1
3、外管X2の外周面15に合う向きで、押付端面20を内管X1の外周面13、外管X2
の外周面15に押付けることが可能である。なお、各押付端面20は、内管X1の外周面
13、外管X2の外周面15に対して密着する必要はない。
【0026】
締付ネジ部16は、押付体14を内管X1の外周面13に向かって押付け固定可能な構成
であり、締付ネジ部16は、シャンク部36と、シャンク部36の下面38から下方に延びる雄ネジ部26とを有し、雄ネジ部26は雌ネジ部34に螺合可能であり、下面38には、雄ネジ部26のまわりを囲む環状面40が形成される。
外管X2に対する内管X1の嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部16により、雄ネジ部26を雌ネジ部34に螺合させつつ、押付体14を一対の貫通スリット32を貫通させて、内管X1の外周面13に押付固定する。
締付ネジ部16は、シャンク部36の雄ネジ部側端部と逆側の端部には、指で摘まんで回転可能なヘッド部28を有する。ヘッド部28の径は、指で小さい力で摘まんでヘッド部28を回転させるのに、なるべく、拡径が好ましく、滑り防止の観点から、周方向に間隔を隔てた複数の浅溝を設けるのでもよい。
【0027】
固定支持治具10の用途に関し、一対の貫通スリット32は、互いに内外管X1、X2の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管X1、X2の周方向に延在するように設けられ、内外管X1、X2は、鉛直方向に向けられ、内外管X1、X2のいずれかにより、重量物を所定高さで支持する。
特に、固定支持治具10を用いて、上下方向に延在する内外管X1、X2の嵌合長さを調整することにより、重量物を所定高さに固定保持する場合には、重量物の重量を押付体14の押し付け面と内管X1の外周面13との摩擦力による支持する観点から、押付体14の
押し付け面の内管X1の外周面13に対する抗力、すなわち、締結ネジ部16による締付
力が大きいほど好ましく、このため、大きな締付力に耐える強度が必要であることから、固定支持治具10を構成する押付体14、および締結ネジ部16、並びに内外管X1、X2は、金属製が好ましい。
【0028】
変形例として、固定支持治具10は、軽量性の観点から樹脂製でもよく、特に、一対のスリット部、雌ネジ部34の開口を設けても、そのまわりの強度を確保する観点から、厚みを確保するのがよい。
この場合、一対の貫通スリット32は、互いに内外管X1、X2の周方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管X1、X2の周方向に延在するように設けるのがよい。
【0029】
以下に、特に互いに嵌合する既存の内外管X1、X2において、内外管X1、X2の長さを調整する方法について、説明すれば、
外管X2の上端部に、内周面が円形断面の管状ベース部12を外嵌する段階と、
内管X1を管状ベース部12または外管X2に内嵌する段階と、
管状ベース部12を外管X2の長手方向を中心に所望回転位置で回転する段階と、
管状ベース部12の外方から管状ベース部12の厚み方向に内管X1の外周面に向かって
押付けることにより、管状ベース部12を外管X2の長手方向を中心に所望回転位置に固
定しつつ、内管X1の反対側の外周面を管状ベース部12または外管X2の内周面に対して押付けて、内外管X1、X2同士を長手方向に固定保持する段階と、を有する。
【0030】
さらに、管状ベース部12の外方から管状ベース部12の厚み方向に外管X2の外周面に
向かって押付けることにより、管状ベース部12を外管X2の長手方向を中心に所望回転
位置に固定しつつ、外管X2の反対側の外周面を管状ベース部12の内周面に対して押付
けて、内外管X1、X2同士を長手方向に固定保持する段階と、を有する、のがよい。
また、管状ベース部12の内周面は、内管X1の径より大きく設定される縮径部と、外管X2の径より大きく設定される拡径部とが設けられ、縮径部と拡径部との連結部には、環状肩部17が形成され、環状肩部17を外管X2の環状の上端面ENに載置して、管状ベース
部12を外管X2の長手方向を中心に所望回転位置で回転するのがよい。
【0031】
以下、音楽用スタンドのうち、譜面台を例として、既存の譜面台スタンド100に対して、固定支持治具10を適用する場合を説明する。
図11に示すように、既存の譜面台スタンドは、内外管同士が嵌合し、内管X1の上端
に譜面台が連結される一方、外管X2の下端には、三脚部106が連結され、譜面台スタンドを直立保持し、内管X1の下端と外管X2の上端との間の嵌合が、たとえば、高さ調整可
能にネジ止めされ、ネジが横向きに外管X2の貫通穴を貫通し、ネジの先端が内管X1の外
周面に当たり、固定保持するようにしている。
【0032】
まず、ネジ止めを解除し、ネジを外してから、譜面台Fの所望高さに応じて、内管X1の下端と外管X2の上端との間の嵌合位置を調整し、その位置で、片手で内管X1を支持しつつ
、もう一方の手で固定支持治具10の管状ベース部12を一方の開口から外管X2の上端に嵌め、管状ベース部12の環状肩部17を外管X2の上周端に載置する。管状ベース部12は、外管X2の上端部のまわりにかぶさる状態で、管状ベース部12の内周面と外管X2の外周面および内管X1の外周面との間には、所定クリアランスが確保されており、管状ベー
ス部12は、外管X2の上端で支持されつつ、内外管の長手方向を中心に回転フリーである。
次いで、もう一方の手で管状ベース部12を内外管の長手方向を中心に回転させ、所望の回転位置、たとえば、右利きの場合、右手で締結ネジ16の締結操作ができる位置に位置決めする。
【0033】
次いで、片手で内管X1を支持しつつ、もう一方の手で締結ネジ16の締結をし、管状
ベース部12の内外管X2の長手方向を中心とする回転を係止するとともに、内外管X2同士を固定支持し、譜面台Fの所望高さにセットする。
より詳細には、締付ネジ部により、荷重受け部のバカ穴を貫通させ、雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させつつ、一対の押付体の一方をして第1外嵌部の貫通孔を貫通させて、対応する押付端面を内管X1の外周面に面接触させつつ、押付端面の内管X1に対する面接触部の反対側の内管X1の外周面を、内外管X2の嵌合部において外管X2の内周面に対して押付固
定するとともに、一対の押付体の他方をして第2外嵌部の貫通孔を貫通させて、対応する押付端面を外管X2の外周面に面接触させて、押付固定することが可能であり、締結ネジ部16によるねじ込みまで、外管X2の一端部の外周面に装着された管状ベース部12は、内外管X1、X2の長手方向を中心に回転フリーであり、締結ネジ部16によるねじ込みにより、管状ベース部12のかかる回転を固定するとともに、内外管X1、X2同士の内外管X
1、X2の長手方向に対する固定保持が可能であり、このような固定支持治具を音楽用ス
タンドに適用するのに、スタンド高さ調整の際、簡便な構造により使い勝手を改善することが可能である。
たとえば、ビッグバンドのように、聴衆の前で複数の楽器演奏を行う場合、各楽器の演奏者の前に配置される譜面台Fスタンドは、折り畳み式の軽量の譜面台Fスタンドとは異なり、管径が太い重量の大きな譜面台Fスタンドであり、このような重厚感のある多数の譜
面台Fスタンドが整列した回転位置にセットされることにより、一体感のある見栄えを呈
することが簡便に可能となる。
譜面台Fの高さを変更する場合には、締結ネジ16を緩めて、内管X1の外管X2に対する嵌合位置を調整し、再度締結すればよく、特に譜面台Fの高さを低くする場合には、一方
の手で締結ネジ16を緩めて迅速に締結するだけで、内管X1は自重で落下することから
、もう一方の手で内管X1を支持する必要はない。
なお、既存のネジが固定支持治具にも使用可能である場合には、新たなネジを準備することなく、そのまま採用してもよい。
【0034】
以上、所望の高さに応じて、内管X2の外管X1に対する内嵌長さを調整したうえで、管状
ベース部12の内縮径側部と内拡径側部との境界部に形成される環状肩部17を外管X1
の一端環状周面21に載置することにより、管状ベース部12は内外管X1の長手方向を
中心とする回転がフリーであることから、一方の手で内管X2を保持しつつ、他方の手で、管状ベース部12を所望の回転位置まで簡便に回転させることが可能である。
【0035】
次いで、締結ネジ16を管状ベース部12に螺合させることにより、コの字の押付体14の一方の押付端面20が、内管X2の外周面13に当たり、直径方向反対側の内管X2の外周面13が管状ベース部12の内縮径側部17の内周面に押し付けられるとともに、コの字の押付体14の他方の押付端面20が、内管X2の外周面13に当たり、直径方向反対側の内管X2の外周面13が管状ベース部12の内拡径側部19の内周面に押し付けられることにより、内管X2および外管X1はそれぞれ、管状ベース部12に対して固定保持されるこ
とから、内管X2および外管X1は、内外管X1の嵌合部においてクリアランスがあっても、管の長手方向に互いに固定保持されるとともに、管状ベース部12の内外管X1の長手方
向を中心とする回転が固定される。
このために、内管X2に対応する、一方の押付端面20の押付荷重受け面22からの長さL1と、外管X1に対応する、他方の押付端面20の押付荷重受け面22からの長さL2との差は、外管X1の厚みt1と内管X2の外周面13と外管X1の内周面23とのクリアランスにより構成され、少なくとも外管X1の厚みt1より大きく設定されるとともに、環状肩部17
の幅wは、少なくとも外管X1の厚みt1より大きく設定される。
【0036】
管状ベース部12の内縮径側部と内拡径側部との境界部に形成される環状肩部17の幅を大き目に設定しておくことにより、L1とL2の長さの種類が異なるコの字の押付体14を複数種類準備しておくことにより、既存の内外管X1を有する音楽スタンドに対して、汎
用性の管状ベース部12を適用しつつ、コの字の押付体14の種類を選択することにより、音楽スタンドごと交換するのではなく、管状ベース部12、コの字の押付体14および締結ネジ16を有する固定保持治具のみを追加装着することが可能である。
なお、コの字の押付体14の種類を選択することにより、一方の押付端面20と他方の押付端面20が同時に内管X2および外管X1の外周面に当たるのが好ましいが、同時に当た
らなくても、コの字の押付体14の押付荷重受け面22が若干傾斜することにより、内外管X1同士の固定保持および管状ベース部12の回転固定は可能である。
【0037】
一方、既存の内外管X1、X2に対して、管状ベース部12の環状肩部17の幅を厳密に設
定して、内外管X1、X2の嵌合部においてクリアランスのない特注の管状ベース部12と
することにより、締結ネジ部16により、コの字の押付体14が内外管X1、X2を管状ベ
ース部12の内周面に押し付けるだけでなく、内外管X1、X2の嵌合部において、コの字の押付体14による押付端面20の直径方向反対側において、内管X2の外周面13を外管X
1の内周面に対して線接触状に押付け、内管X2および外管X1は、管の長手方向により強
固に互いに固定保持されることが可能であり、たとえば、音楽アンプ、大型楽器等重量物を支持するスタンドに有効である。
締結ネジのネジ込みにより、管状ベース部12を介して、内外管同士を固定保持しつつ、管状ベース部12の内外管の長手方向を中心とする回転を固定後、管状ベース部12の一端からコの字押付体14の一方の脚部18の開口に及ぶまでイモネジ38をねじ込むことにより、締結ネジの雄ネジ部を管所スリーブの雌ネジ部から完全に脱着させ、コの字押付体14がフリーとなっても、イモネジ38により、コの字押付体14が管状ベース部12
から脱落することを未然に防止することが可能である。
点滴、モニター、照明等用の医療用スタンドの場合は、通常、内外管の下部にキャス
ターが設けられ、多数の治療現場まで移動され、その際、床面の凹凸によりスタンドが上下に振動することから、内外管の嵌合固定部を強固に固定する必要性が高いこと、治療中に点滴、モニター、照明の向きを調整する必要性が高いこと、以上より、通常演奏現場まで搬送し、演奏中には譜面台、マイク、アンプ等の高さ、向きを調整する必要性が低い音楽用スタンドに比べ、本発明の固定支持治具の有効性が高い。
【0038】
変形例として、
図18に示すように、内管X1が外管X2から抜けた状態でも内外管X1、X2を固定保持可能である。
より具体的には、押付体14の一方の脚部18の押付端面20が内管X1の外周面13に
押し付けられ、他方の脚部18の押付端面20が外管X2の外周面に押し付けられ、内外
管X2の嵌合部を通じて、内外管X2を直接的に固定保持する必要がなく、管状ベース部12を介して、内外管X1、X2を間接的に固定保持すれば足りることから、内外管X2の嵌
合部がない状態で、換言すれば、内外管X1、X2全体長さが長い状態で、内外管X1、X2を固定保持することが可能である。
【0039】
以上の構成を有する固定支持治具10によれば、いずれも上下方向に延在し互いに嵌合する内管と外管において、雌ネジ部を挟んで一対の貫通孔を外周面に有する管状ベース部を外管の一端部の外周面に装着し、縦断面略コの字状の押付体14において、一方の脚部を、外管の一端部から外管側に延び、内周面が内管の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する内管に外嵌する第1外嵌部に設けられる一方の貫通孔を貫通させるとともに、他方の脚部を、外管の一端部から内管側に延び、内周面が外管の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する外管に外嵌する第2外嵌部に設けられる他方の貫通孔を貫通させ、締結ネジ部の雄ネジ部を雌ネジ部にネジ込むことにより、一対の押付体の押付荷重受け部に対して押付け可能であり、内外管のいずれかにより重量物を支持する際、重量物の所定高さに応じて、外管に対する内管の嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部により、荷重受け部のバカ穴を貫通させ、雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させつつ、一対の脚部の一方をして第1外嵌部の貫通孔を貫通させて、対応する押付端面を内管の外周面に面接触させつつ、押付端面の内管に対する面接触部の反対側の内管の外周面を、外管または管状ベース部の内周面に対して押付固定するとともに、一対の脚部の他方をして第2外嵌部の貫通孔を貫通させて、対応する押付端面を外管の外周面に面接触させて、押付固定することが可能であり、締結ネジ部によるねじ込みまで、外管の一端部の外周面に装着された管状ベース部は、内外管の長手方向を中心に回転フリーであり、締結ネジ部によるねじ込みにより、管状ベース部のかかる回転を固定するとともに、内外管同士の内外管の長手方向に対する固定保持が可能であり、このような固定支持治具を音楽用スタンド、医療用スタンドに適用するのに、スタンド高さ調整の際、簡便な構造により使い勝手を改善することが可能である。
【0040】
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、
図9および
図10を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第2実施形態の特徴は、外管X2の上端近傍に雄ねじ部が設けられる場合におい
て、コの字状押付体の一方の押付端面を雄ねじ部に密着する表面形状にした点にある。
より詳細には、外管X2の上端近傍に雄ねじ部が螺旋状に所定ピッチで設けられる場合
において、この螺旋状所定ピッチと相補形状の雌ネジ部をコの字状押付体の一方の押付端面に設けている。これにより、コの字状押付体の一方の押付端面を介して、管状スリーブ部12の外管X2からの上方への抜けを確実に防止することが可能である。
特に、既存の譜面スタンドの外管X2に雄ねじが切られている場合、より詳細には、内外管X1、X2同士の固定保持のために、上述のように、横方向からのネジ止めではなく、外管X2の外周面に設けた雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を有するスリーブを内外管X1、X2の長手方向にねじ込むことにより、外管X2の内周面全体から内管X1の外周面全体に締め
付け固定する場合には、雄ねじと螺合可能な雌ネジ部を内周面の所定範囲に設けた管状ベース部12を準備するのでもよく、この場合、前述のように、固定支持治具の管状ベース部12の環状肩部17を外管X2の上周端に載置するのではなく、管状ベース部12の雌ネジ部を外管X2の雄ネジ部に螺合させた状態で、管状ベース部12を内外管X1、X2の長手方向を中心に回転フリーとしてもよい。
【0041】
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、
図16および
図17を参照しながら詳細に説明する。
管状ベース部12が回転可能に外管X2の環状端面ENに保持され、管状ベース部12の
貫通スリットを介して、締結ネジにより押付端面20を内管X1の外周面13に押し付け
ることにより、内外管X1、X2同士を固定保持する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、単一のコの字状押付体14の両脚部18それぞれの押付端面20を用いるのに対して、本実施形態においては、Lの字状押付体14を採用している点を特徴とする。
【0042】
より詳細には、
図17に示すように、Lの字状押付体14は、管状ベース部12の貫通スリットを貫通可能な一方の脚部18のみを有し、第1実施形態における他方の脚部18は、管状ベース部12の貫通スリットが設けられず、管状ベース部12の外周面21に当接する当接面62が端部に設けられる当接部60としている。当接部60の長さは、一方の脚部18の押付端面20が内管X1の外周面13に押し付け可能に設定される。
環状肩部17の幅wは、外管X2の厚みに設定され、管状ベース部12は、環状肩部17
を外管X2の環状端面ENに載置した状態で、内外管X1、X2の長手方向を中心に回転可
能であるとともに、締結ネジ16を締め付けることにより、一方の脚部18の押付端面20が内管X1の外周面13に押し付けられ一方の脚部18の押付端面20の反対側におい
て、内管X1の外周面13が管状ベース部12部の内周面に押し付けられるとともに、内
外管X1、X2の嵌合部において、反対側の内管X1の外周面13が外管X2の内周面に押し付けられることにより、内外管X1、X2同士を固定保持することが可能である。
たとえば、譜面台、マイクスタンド等音楽スタンドとして用い、譜面台、マイクの高さ調整する際、内外管X1、X2同士が嵌合している範囲で、内外管X1、X2の嵌合部の長さ調整する場合には、本実施形態が有効に適用可能である。
なお、締結ネジ部16により、Lの字状押付体14の上面22が管状ベース部12の外周面21に対して平行に内管X1の外周面13に向かって押付けられる場合には、当接部60を省略し、他方の脚部18のない完全なLの字状押付体14の態様でもよい。
【0043】
変形例として、
図16に示すように、単一のコの字状押付体14の代替として、2つのLの字状押付体14を積み重ねて用いてもよい。より詳細には、各Lの字状押付体14は、内外管X1、X2の長手方向に平行な水平部と、直交する直交部とを有し、水平部には、バカ穴が設けられ、直交部が脚部18を構成し、先端には押付端面20が設けられる。
2つのLの字状押付体14は、一方の水平部が他方の直交部に向かって延びるように、水平部同士を積み重ね配置され、そのため、水平部の長さlは、他方の直交部の内面に当た
るように設定される。
なお、第1実施形態と異なり、2つのLの字状押付体14は、対応する貫通スリット内で、互いに独立に移動調整である反面、締結ネジを脱着することにより、バラバラになることから、各Lの字状押付体14には、イモネジおよび対応する貫通穴が設けられる。
【0044】
これにより、締結ネジの雄ネジ部を上側のLの字状押付体14のバカ穴および下側のLの字状押付体14のバカ穴を貫通して、管状ベース部12部の雌ネジ部に締め付けることにより、上側のLの字状押付体14の押付端面20が外管X2の外周面に押し付けられると
ともに、下側のLの字状押付体14の押付端面20が内管X1の外周面13に押し付けら
れ、第1実施形態と同様な態様で、内外管X1、X2同士が固定保持可能となる。
【0045】
たとえば、第1実施形態において、内外管X1、X2がいずれも円形の一定断面であり、管状ベース部12を外管X2の環状端面ENに載置した状態で、管状ベース部12を管の長
手方向を中心に所望角度位置まで回転し、締結ネジ部16または押付レバー301により、コの字状、またはLの字状押付体14を介して、管状ベース部12の回転を固定しつつ、内外管X1、X2同士を固定保持するものとして説明したが、それに限定されることなく、たとえば、内管X1は円形の一定断面であるが、外管X2は内管X1が内嵌可能な矩形、
たとえば正方形一定断面の場合には、管状ベース部12を一方の手で持って、外管X2の
環状端面ENに載置することなく、上方の断面円形の内管X1側に浮かした状態で内管X1と同心の管状ベース部12を管の長手方向を中心に所望角度位置まで回転し、締結ネジ部16または押付レバー301により、その高さで、または外管X2の環状端面ENに載置して
、管状ベース部12の回転を固定しつつ、内外管X1、X2同士を固定保持するのでもよい。
【0046】
以下に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、
図12ないし
図15を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第4実施形態は、コの字状押付体を利用して、内外管同士を固定保持する点では、第1実施形態と同様であるが、第1実施形態と異なり、締結ネジ部の代替として、押付レバー機構300を採用する点を特徴とする。
具体的には、回動部位の環状周面308は、軸線からの半径が第1半径から拡径して第2半径まで変化する湾曲状で、押付レバー301の回転により、一対の押付体34が対応する貫通スリット62内でスリットの厚み方向に移動可能であり、環状スリーブ12の外周面14から所定高さに設けられた軸線を中心に押付レバー301のレバーを回転させることにより、第1半径と第2半径との中間半径に相当する回転位置で、押付体34が内外管X1、X2の外周面14に向かって押付け開始するとともに、第2半径に相当する回転位置で、押付体34が内外管X1、X2の外周面14に向かって押付終了し、押付端面を内外管X1、X2の外周面14に面接触させるとともに、押付端面の内外管X1、X2に対する面接触部の反対側の内外管X1、X2の外周面14を管状ベース部12の内周面に対して押付固定する。
【0047】
押付レバー機構300について説明すれば、押付体14を内外管X1、X2の外周面14に対して押付ける押付レバー301と、押付レバー301を非押付周方向位置と押付周方向位置との間で回動可能とする、管状ベース部12と平行に延びる枢軸302と、枢軸302を管状ベース部12(管状ベース部)の外周面から所定高さに保持するピン304と、を有する。
押付レバー301は、略おたまじゃくし断面の一体構造品であり、指で把持するグリップレバー部303と、グリップレバー部303と一体で枢軸302を中心に回動する回動部308とを有し、回動部308の中心部に枢軸302が設けられる。より詳細には、回動部308には、切り欠き310が設けられ、互いに対向する回動部位に分離され、切り欠き310内にピン304が位置決めされ、ピン304を貫通する枢軸302が、各回動部位に設けた円形断面の貫通孔を貫通し、各回動部位、すなわち、押付レバー301が枢軸302を中心に非押付周方向位置と押付周方向位置との間で回動可能としている。押付レバー301は、軽量性の観点から樹脂製でもよい。グリップレバー部303の枢軸302の中心Oからの腕の長さは、てこの原理により、手力で十分に押付レバー301を押し
下げられるように定めるのがよい。
各回動部位は、湾曲周面312を有し、押付レバー301を枢軸302を中心に非押付周方向位置と押付周方向位置との間で回動する間、湾曲周面312のいずれかの部位が、押付体14の上面33に当接保持され、それにより、押付レバー301の回動により、押付体14が貫通スリット62内で管状ベース部12の厚み方向に移動するようにしている。
【0048】
ピン304は、下端が管状ベース部12の外周面21にネジ固定されて直立し、途中に枢軸302が貫通可能な貫通孔(図示せず)が設けられる。
以上の構成によれば、ピン304の管状ベース部12に対するねじ込み量を調整することにより、枢軸302の管状ベース部12の外周面21に対する高さを調整したうえで、押付レバー301を枢軸302を中心として非押付周方向位置から押付周方向位置まで回動させることにより、押付体14は回動部308の湾曲周面312を介して内外管X1、X2の外周面14に対して押付けられ、締結ネジ部16によるネジ込み式の回転による第1実施形態ないし第11実施形態に比べて、押付レバー301の非押付周方向位置から押付周方向位置までのワンタッチの押し下げにより、押付レバー301の押付周方向位置を保持した状態で、両内外管X1、X2を固定保持することが可能であり、逆に、押付レバー301の押付周方向位置から非押付周方向位置までのワンタッチの押し上げにより、両内外管X1、X2の管の長手方向の相対移動が可能である。
【0049】
変形例として、ピン304と枢軸302とを一体構造としてもよい。すなわち、ピン304に枢軸302の貫通孔を設けることなしに、ピン304の外周面において、直径方向反対同士の位置から、互いに逆方向に延びる枢軸302を別々に設けてよい。
なお、枢軸302の管状ベース部12の外周面21からの高さが調整不要の場合には、ピン304の下端に回転可能にネジ部を設けずに、固定するのでもよい。
【0050】
本実施形態においては、コの字押付体14の上面に所定高さに亘って上方に延びる雄ネジ部335を設け、中心部に開口を有するリングプレート314において、開口の内周面には、雄ネジ部335に螺合う可能な雌ネジ部337が設けられている。
より詳細には、リングプレート314は、環状上面315と環状下面316とを有し、環状上面315と環状下面316との間隔、すなわち、リングプレート314の厚み全体に亘って雌ネジ部337が設けられており、リングプレート314の厚みは、雄ネジ部335の長さより短く設定され、リングプレート314の径は、両方の回動部位の湾曲周面312がリングプレート314の環状上面315に接触保持されるように設定する必要がある。
これより、リングプレート314の雌ネジ部337のコの字状押付体14の雄ネジ部335へのねじ込み量を調整することにより、湾曲周面312が接触保持されるリングプレート314の環状上面315の管状ベース部12の外周面21からの高さが調整され、押付レバーを枢軸302を中心に回転することにより、コの字状押付体14の一対の押付端面の管状スリーブ12の内周面から内管X1の外周面に向かう内方への突出量を調整し、以
て、内管X1の外周面に対する押付力を調整することが可能である。
中空スリーブ333が管状ベース部12の外周面21に嵌め込み固定され、中空部をピン304が貫通する一方、中空スリーブ333の外周に対して、コの字状押付体のバカ穴、およびリングプレートの開口が貫通するようにしてある。中空スリーブ333の断面形状は非円形であり、管状ベース部12の外周面21からの高さは、310に及ぶ程度に設定され、これにより、押付レバー301をピン304を中心として回転しようとしても、中空スリーブ333の非円形の上端に当たり、回転できないようにしている。
なお、管状ベース部12は、機械加工、または3Dプリンター造形またはロストワックス加工により製造可能であるが、3Dプリンター造形またはロストワックス加工の場合には、中空スリーブ333を管状ベース部12の外周面21に嵌め込み固定することなく、中空スリーブ333と管状ベース部12とを一体に加工可能である。
【0051】
たとえば、スリーブの内周面と内管の外周面とのクリアランスに応じて、ネジ込み量を調整してもよいし、同じクリアランスにおいて、押付力を増大するために、ネジ込み量を調整してもよい。
このような観点から、ネジ込み範囲、すなわち、コの字状押付体の雄ネジ部の長さを設定するのがよい。
以上により、押付レバーを枢軸302を中心に押付終了周方向位置(
図15)まで回転する際、手力で押付レバーを回転可能なように、予めリングプレート314の雌ネジ部のコの字状押付体の雄ネジ部へのねじ込み量を調整することが可能であるとともに、押付レバーを枢軸302を中心に押付終了周方向位置まで回転する際、手力で押付レバーを回転可能な範囲で、押付力自体を調整するのも可能である。
【0052】
図15に示すように、湾曲周面312は、非押付周方向位置においては、枢軸302の中心Oと湾曲周面312の下端との距離はR1、押付開始周方向位置においては、枢軸302の中心Oと湾曲周面312の下端との距離はR2で、押付終了周方向位置においては、枢軸302の中心Oと湾曲周面312の下端との距離はR3で、R1>R2>R3と設定され、それにより、R2とR3との差分により、押付体14が内外管X1、X2の外周面14に対して押付けられるようにしている。
R2とR3との差分量は、押付体14による押付力が両内外管X1、X2の固定保持に十分なように設定すればよく、たとえば、管状ベース部12の厚みが数ミリである場合、R2とR3との差分量は、その二十分の一ないし十分の一程度である。
湾曲周面312は、 R1から滑らかにR3になるように設定され、押付レバー30
1が押付周方向位置に固定保持されるように、押付レバー301の押付開始周方向位置に相当する湾曲周面部位から、枢軸302の中心Oに対する中心角度範囲として、たとえば、90度、R3一定となる円弧部位を形成し、そこから徐々に小さくなるように設定するのがよい。湾曲周面312の全体は、互いに滑らかに接続する複数の円弧部の組み合わせから構成してもよく、または長径がR3に相当する楕円状でもよい。
押付レバー301を押付開始周方向位置に位置決めした際、手力により押し下げがしやすいように、グリップレバー部303は略直立向きとなり、押付レバー301を押付終了周方向位置に位置決めした際、グリップレバー部303が管状ベース部12の外周面21から出っ張って邪魔とならないように、管状ベース部12の外周面21に近接する向きとなるように、かつ、グリップレバー部303の内面と管状ベース部12の外周面21との間に指を入れるスペースが形成されるように、グリップレバー部303の湾曲形状を定めるのがよい。
【0053】
ねじ込み調整量が大きい場合であっても、押付レバー301の設置向きを変動させることなく、押付レバー301を押し下げの際には、雄ネジ部310に対して強固に上下方向に固定可能である。
【0054】
以下に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、
図19および
図21を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分について、管状ベース部12が回転可能に外管X2の環状端面EN
に保持され、締結ネジ16により押付端面20を内管X1の外周面13に押し付けること
により、内外管X1、X2同士を固定保持する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、単一のコの字状押付体14の両脚部18それぞれの押付端面20を用いるのに対して、本実施形態においては、一対のLの字状押付体14を採用している点を特徴とする。
【0055】
より詳細には、
図20に示すように、管状ベース部12の各端面40、41近傍に、Lの字状押付体14および締結ネジ部16を設けている点にある。
Lの字状押付体14は、上面に押付荷重受け面22を構成する水平部330と、水平部330の一端から押付荷重受け面22と反対向きに直交して延びる鉛直部332とを有し、鉛直部332が脚部を構成し、鉛直部332の先端に、押付端面20が形成されている。
Lの字状押付体14は、管状ベース部12の貫通スリット32を貫通可能な一方の脚部
18のみを有し、水平部330の他端には、管状ベース部12の外周面に当接する当接面62が端部に設けられる当接部60が設けられる。当接部60の長さは、一方の脚部18の押付端面20が内管X1の外周面13に押し付け可能に設定される。
各Lの字状押付体14の水平部330は、対応する管状ベース部12の端面40、41
から突出し、鉛直部332は、管状ベース部12の対応する端面40、41の内管X1ま
たは外管X2側で内管X1または外管X2の外周面に向かっており、これにより、第1実施
形態とは異なり、管状ベース部12には、脚部が貫通する貫通スリット32を省略することが可能である。
各Lの字状押付体14の水平部330の長さは、対応する鉛直部332が、管状ベース部12の対応する端面から突出するように設定される。
なお、管状ベース部12を外管X1、X2の長手方向を中心して所望回転位置まで回転さ
せる際に利便性の観点から、一対のLの字状押付体14および一対の締結ネジ部16は、管状ベース部12において、同じ側に設定されている。
【0056】
以上、たとえば、内管X1の上端で譜面台が支持される譜面台スタンドにおいて、内管X1の全長が短く、譜面台の高さを所望レベルまで上げられない場合において、管状ベース部12の長さを長く設定し、貫通スリット32を省略した管状ベース部12の各端近傍に、Lの字状押付体14および締結ネジ部16を設けることにより、第1実施形態と同様に、各締結ネジ部16を締結するまで、管状ベース部12を外管X1、X2の長手方向を中心して所望回転位置まで回転させ、各締結ネジ部16を締結することにより、管状ベース部12の内外管X1、X2の長手方向を中心とする回転を固定するとともに、一対のLの字状押付体14により、内外管X1、X2同士を固定保持することが可能である。
【0057】
一方、管状ベース部12の長さが短い場合には、
図21に示すように、管状ベース部12の一方の端にのみ、同様な態様で、Lの字状押付体14および締結ネジ部16を設けるのでもよく、
図19に示すように、管状ベース部12を跨るようにコの字状押付体14を設けるのでもよい。
【0058】
なお、管状ベース部12の各Lの字状押付体14について、締結ネジ部16または押付レバー301を互いに独立に設定し、一方を締結ネジ部16、他方を押付レバー301とするのでもよい。
【0059】
以下に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、
図22ないし
図24を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分について、管状ベース部12が回転可能に外管X2の環状端面EN
に保持され、締結ネジ16により押付端面20を内管X1の外周面13に押し付けること
により、内外管X1、X2同士を固定保持する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、単一のコの字状押付体14の両脚部18それぞれの押付端面20を用いるのに対して、本実施形態においては、内外管X1、X2同士のクリアランスCが大き
い場合において、管状ベース部12の下部を内外管X1、X2同士の環状クリアランスに挿入して、第5実施形態と同様に、一対のLの字状押付体14を採用している点を特徴とする。
【0060】
より詳細には、
図22ないし
図24に示すように、締結ネジ部16を締め付けることにより、Lの字状押付体14の上側の押付端面20は、内管X1の外周面に押付けられるとともに、Lの字状押付体14の下側の当接面62は、外管X2の環状端面ENに対して近
傍下方に設けられる環状溝64の底面に押付けられる。これにより、Lの字状押付体14が当たる反対側の内管X1の外周面は、管状ベース部12の全長に亘って内周面に対して、線接触の態様で押付けられるともに、外管X2は、Lの字状押付体14の下側の当接面
62と管状ベース部12の外周面との間で挟み込まれる態様で押付けられ、これにより、内外管X1、X2同士は固定保持される。なお、Lの字状押付体14の下側の当接面62が、環状溝64の底面に嵌ることから、管状ベース部12の外管X2からの上方への抜けを
Lの字状押付体14を介して確実に防止可能であるが、管状ベース部12の環状肩部17を外管X2の環状端面ENに載置した状態で所望回転位置まで内外管X1、X2の長手方向
を中心に回転して、締結ネジ部16を締め付けることにより、管状ベース部12の外管X
2からの上方への抜けは防止可能であり、環状溝64は省略してもよい。
【0061】
以上より、第1実施形態とは異なり、管状ベース部12の内周面に段差を設けて、環状肩部17を設けることなく、管状ベース部12の外周面に環状肩部17を設ければ足り、第1実施形態とは異なり、Lの字状押付体14が当たる内管X1の外周面の反対側が外管X2の内周面に対して押付けられることなく、外管X2は、Lの字状押付体14の下側の
当接面62と管状ベース部12の外周面との間で挟み込まれる態様で押付けられることから、外管X2は、たとえば、肉厚の薄い金属製、樹脂製等、必ずしも押付荷重に対する強
度を確保可能な金属製である必要がない。
内外管X1、X2同士のクリアランスCは、管状ベース部12の環状肩部17下方の環状
縮径部が挿入可能である限り、適宜であり、例えば、音楽用スタンドの場合、外管X2の肉厚と同程度が好ましく、数ミリである。
なお、内外管X1、X2同士の上下位置関係は、図示のように、内外管X1、X2同士が重なり合う必要はなく、Lの字状押付体14の上側の押付端面20が、内管X1の外周面に押付け可能に内管X1が位置決めされればよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、第1実施形態において、内管X1の外表面の保護の観点から、締結ネジ部16
の雄ネジ部26の先端が外管X2または管状ベース部12部の雌ネジ部34を貫通して、内管X1の外表面に当たらないようにするものと説明したが、それに限定されることなく、
内外管X1、X2が金属製の場合には、押付体14の押付端面20に加えて、締結ネジ部16の雄ネジ部26の先端が内管X1の外表面に当たることにより、外管X2の内管X1に対
する位置固定をより強固にすることが可能であり、内外管X1、X2を鉛直向きとして、内外管X1、X2いずれかにより、重量物を所定高さで支持するのに有効である。
【0063】
たとえば、第1実施形態において、締付ネジ部16が雄ネジ部26と、指で摘まんで回転させるヘッド部28と有するのに対して、外管X2の外周面15に雌ネジ部34を設ける
ものと説明したが、それに限定されることなく、外管X2の外周面15に雄ネジ部26を
設けるのに対して、締付ネジ部16が、雄ネジ部26に螺合するナット状であってもよい。
たとえば、第1実施形態において、内外管X1、X2の所定位置に単一の固定支持治具を設けるものと説明したが、それに限定されることなく、たとえば、一対の貫通スリット32を内外管X2の長手方向に間隔を隔てて設ける場合に、このような一対の貫通スリット3
2を、内外管X1、X2の周方向に複数組、設け、それに応じて、複数の押付体を設けるのでもよく、各押付体において、押付体14の押付荷重受け部に対して、押付荷重を付与する押付荷重付与部として共通な締結ネジ部16、押付レバー301のいずれを採用するかは互いに独立に、個別に選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の全体斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の管状ベース部12部の斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の押付体の斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の締結ネジ部の斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の側断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具について、締結ネジによる締結前、締結後の線A-Aに沿う断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具について、締結ネジによる締結前、締結後の線B-Bに沿う断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る固定支持治具の
図2に相当する図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る固定支持治具の
図6に相当する図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具を適用した音楽用スタンドの斜視図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係る固定支持治具の分解図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る固定支持治具の斜視図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係る固定支持治具の断面図である。
【
図15】本発明の第4実施形態に係る固定支持治具の作用を示す図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の変形例の
図2に相当する図である。
【
図17】本発明の第3実施形態に係る固定支持治具の
図6に相当する図である。
【
図18】本発明の第1実施形態に係る固定支持治具の変形例の
図6に相当する図である。
【
図19】本発明の第5実施形態に係る固定支持治具の図である。
【
図20】本発明の第5実施形態に係る固定支持治具の図である。
【
図21】本発明の第5実施形態に係る固定支持治具の図である。
【
図22】本発明の第6実施形態に係る固定支持治具の
図2に相当する図である。
【
図23】本発明の第6実施形態に係る固定支持治具の図である。
【
図24】本発明の第6実施形態に係る固定支持治具の断面図である。
【符号の説明】
【0065】
D ヘッド部径
F 譜面台
L1 脚部の長さ
L2 脚部の長さ
10 固定支持治具
X1 内管
X2 外管
12 管状ベース部
13外周面
14 押付体
15 外周面
16 締付ネジ部
17 環状肩部
18 脚部
19 内周面
20 押付端面
21外周面
22 荷重受け面
24 バカ穴
25 突起部
26 雄ネジ部
28 一端部
32 スリット貫通穴
34 雌ネジ部
36 雌ネジ部
38 いもねじ
40 端周面
42 開口
60 当接部
62 当接面
100 譜面台スタンド
106 三脚部
300 押付レバー機構
301 押付レバー
302 枢軸
303 グリップレバー部
304 ピン
308 回動部
310 スぺ―ス
312 湾曲周面
314 リングプレート
333 中空スリーブ
335 雄ネジ部
337 雌ネジ部
【要約】
互いに嵌合する内管(X1)と外管(X2)との間に介在し、貫通穴(32)を外周面に備える管状ベース部(12)を有し、管状ベース部は、内周面が外管の外周面に第1所定クリアランスを以て対向する外管に外嵌する第1外嵌部と、内周面が内管の外周面に第2所定クリアランスを以て対向する内管に外嵌する第2外嵌部とから構成され、さらに、押付荷重受け部(25)と、内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備える押付体(14)と、押付荷重受け部に対して、押付荷重を付与する押付荷重付与部(16)と、を有し、外管に対する内管の嵌合位置を調整したうえで、内外管の長手方向を中心とする所望回転位置に設定された管状ベース部の貫通穴を介して、押付荷重付与部により、押付荷重受け面を介して押付体を内管に向かって押付けることにより、押付端面を内管の外周面に面接触させつつ、押付端面の内管に対する面接触部の反対側の内管の外周面を、外管の内周面または管状ベース部の内周面に対して押付固定する固定支持治具(10)。