(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】多成分系液状組成物調製キット製造用治具
(51)【国際特許分類】
B65B 29/00 20060101AFI20241216BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20241216BHJP
A61J 1/20 20060101ALI20241216BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20241216BHJP
B65D 75/60 20060101ALI20241216BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20241216BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B65B29/00
A61J1/10 333C
A61J1/20 314
B65D81/32 B
B65D75/60
B65D75/62 A
B65D77/04 F
(21)【出願番号】P 2021206184
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2024-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391003576
【氏名又は名称】株式会社トクヤマデンタル
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 誠也
(72)【発明者】
【氏名】沖汐 和彦
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-037269(JP,U)
【文献】実開平02-040084(JP,U)
【文献】特開2015-048146(JP,A)
【文献】特開2018-052604(JP,A)
【文献】国際公開第2021/188533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 29/00
A61J 1/00
B65D 81/00
B65D 75/00
B65D 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏2つの主表面の形状が実質的に同一な矩形形状であり、一方端部及び他方端部を有する平袋からなる「外袋」及び「二以上の液剤包装体」を有し、前記外袋が、シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成され、一方端部、他方端部及び背面に、夫々ヒートシールによって形成された一方端シール部、他方端シール部及び外袋背面シール部を有するピロー平袋からなり、前記二以上の液剤包装体が、前記外袋の他方端部寄りに位置する内部空間である液剤包装体収容スペースに固定されて気密に収容されている「多成分系液状組成物調製キット」を、前記外袋の材料部材であって、前記外袋の他方端部が未接合で開口した状態である「開口外袋」の前記液剤包装体収容スペースとなる領域の所定の位置に、前記二以上の液剤包装体が配置されて保持された状態である「セット完了保持状態」に、前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を保持してから前記開口外袋の他方端部をヒートシールして、該他方端部の接合及び密閉と前記二以上の液剤包装体の前記外袋の内部への固定とを同時に行うことにより製造する方法において、前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を前記セット完了保持状態に保持するために使用する治具であって、
平面からなる底面と、該底面と平行に配置された平面からなる上面と、を有し、前記上面に開口を有する「有底溝」が形成されているブロック体からなる「治具本体」を有し、
前記有底溝は、前記開口外袋を入出自在に挿入できるように形成され、且つ前記開口外袋の一方端部辺縁を溝底と当接するように前記有底溝内に挿入したときに、該開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を前記セット完了保持状態に保持するための構造である、「広幅部」と、該広幅部の両長さ方向及び下方向で該広幅部と連通するように形成された「狭幅部」と、を有し、
前記開口外袋の一方端部辺縁に沿った方向を長さ方向とし、長さ方向に垂直で且つ該一方端部辺縁から他方端部に向かう方向を高さ方向とし、前記長さ方向及び高さ方向に垂直な方向を厚さ方向とし、
前記開口外袋の一方端部辺縁の長さ(mm)をL
1とし、前記二以上の液剤包装体の各袋体の一方端部辺縁の長さ(mm)をL
2とし、
前記溝底及び前記開口外袋の一方端部辺縁からの高さ(mm)について、前記開口外袋の他方端部辺縁の高さ(mm)をH
1とし、外袋としたときに他方端シール部となる領域の一方端部側辺縁となる位置の高さ(mm)をH
2とし、前記二以上の液剤包装体における袋体の最も低い一方端部辺縁の高さ(mm)をH
3とし、
前記二以上の液剤包装体の夫々の厚さ(mm):Wの中で最も薄い厚さ(mm)をW
minとし、すべての厚さの合計(mm)をW
allとし、
前記広幅部の最小幅、最大幅、深さ及び長さを夫々最小幅:w
11、最大幅w
12、深さd
1及び長さl
1とし、前記狭幅部の最小幅、最大幅、深さ及び長さを夫々最小幅:w
21、最大幅w
22、深さd
2及び長さl
2としたときに、
前記広幅部及び前記狭幅部は、下記(1)~(7)
(1) (開口外袋の一方端部の厚さ)<w
11=(or ≒)w
22<W
min
(2) (開口外袋の一方端部の厚さ)<w
21
(3) W
all<w
12
(4) (H
2-H
3)×0.1≦d
1<(H
2-H
3)
(5) d
1<d
2
(6) (d
2-d
1)=(or ≒)H
3
(7) L
2<l
2<L
1<l
1
に示される関係を全て満足する、
ことを特徴とする多成分系液状組成物調製キット製造用治具。
【請求項2】
前記「セット完了保持状態」において、前記二以上の液剤包装体を、前記開口外袋の前記開口を閉じたときに、前記二以上の液剤包装体の全ての他方端部が上記開口外袋の互いに対向する他方端部の間に挟持される位置に保持し、
前記狭幅部及び/又は前記広幅部には、前記セット完了保持状態において、前記開口外袋の他方端近傍の外袋背面シール部が前記有底溝における上部領域の内面に当接することによって前記開口外袋の最大開口幅を狭くすることを防止するための背面シール部逃しノッチが設けられている、請求項1に記載の多成分系液状組成物調製キット製造用治具。
【請求項3】
前記治具本体が、上面及び底面が長方形を有する直方体からなる基本形状を有し、上記上面の長手方向に沿って前記有底溝が、複数、所定の間隔を空けて1列に配列されている、請求項1又は2に記載の多成分系液状組成物調製キット製造用治具。
【請求項4】
前記治具本体の上面の長手方向に沿って所定の間隔を空けて1列に配列されている複数の有底溝の夫々が、各有底溝の長さ方向が前記上面の長手方向に対して1~3°内の一定の角度傾くようにして1列に配列されている、請求項3に記載の多成分系液状組成物調製キット製造用治具。
【請求項5】
前記治具本体の長手方向側面の少なくとも一方には、前記
治具本体の上面の長手方向に沿って所定の間隔を空けて1列に配列されている複数の有底溝に対応して、夫々の前記狭幅部に連通する、所定の開口面積を有するレーザー印字用開口が設けられている、請求項3に記載の多成分系液状組成物調製キット製造用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用接着材などの多成分系液状組成物調製するためのキットを製造する際に使用される治具に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療で汎用的に使用されているコンポジットレジンやコンポジットレジン型レジンセメントの歯科用材料(以下、「CR等」と略記することもある。)は、それ自体は歯質に対する接着性をほとんど有しない。このため、治療(歯牙の修復)を行う場合には、歯質にCR等の硬化体を強固に接合させるために、CR等の充填や圧接を行う前に、歯科用接着材(ボンディング材とも言われる。)を、塗布具を用いて歯牙表面に施用する必要がある。
【0003】
歯科用接着材は、一般に、酸性基を有する重合性単量体を含む重合性単量体と、当該重合性単量体を重合硬化させるための重合開始剤を含んでなる。重合開始剤としては、光照射や加熱を要さずに機能する化学重合開始剤を用いる場合があり、当該化学重合開始剤は、接触すると直ちに反応し得る還元剤と酸化剤等の複数成分との組合せを含むことから、二以上に分けて保管する必要がある。このため、化学重合開始剤を用いた歯科用接着材は、化学重合開始剤成分の分割に合わせて重合性単量体成分も適宜分割して複数の液状組成物として保管し、使用時にこれら分割された液状組成物を混合して歯科用接着材を調製するのが一般的である。そして、このような保管、調製および(塗布具を用いた)施用の便宜を図るためのキット(本発明おいてキットとは、調製時の負担軽減、汚染・異物混入の防止などを目的として、2以上の薬剤を一体品として組み合わせた製品を意味する。)や冶具も知られている。
【0004】
たとえば特許文献1には、そのようなキットとして「所定の機能を発揮する多成分系液状組成物の構成成分を二以上の液剤に分包して保管すると共に使用時において分包された各液剤を混合して前記多成分系液状組成物を調製するためのキットであって、複数の液剤収容部と、結合部と、を有し、前記複数の液剤収容部の全てが前記結合部で結合されていて一体化された複合液剤包装体と、当該複合液剤包装体を内部に固定して気密に収容する外袋と、を含み、該外袋は、内部に固定及び収容された前記複合液剤包装体の前記液剤収容部に保持されている前記液剤に押圧力を加えることによって当該液剤を前記液剤収容部の前記片端部より流出させたときに流出した全ての液剤を、前記複合液剤包装体と接触させることなく保持可能な液溜スペースを有することを特徴とする」多成分系液状組成物調製用キットが記載されている。
【0005】
この多成分系液状組成物調製用キットは、
図1に示すように、弱化ライン44を形成すれば、次のように使用することができる。すなわち、先ず、外袋3の表面壁及び裏面壁を2本の指で挟んで外袋3を押圧し、複合液剤包装体から液剤を液溜スペースに流出させてから、切欠46より弱化ライン44に沿って破断して上方の部分を除去することにより塗布具挿入開口48を形成する。そして、一方の手で外袋3を把持し、他方の手で塗布具50を把持して、塗布具挿入開口48を通して外袋3に塗布具50を挿入して液体保持部54に溜まった液剤を付着させてから引き出して歯科用接着性組成物を患者の治療歯の所要部位に施すことができる。
【0006】
また、特許文献1には、上記多成分系液状組成物を調製するためのキットの製造方法として「シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートからなる帯状基材を、前記内側層が上面となるように配置し、当該上面上に、前記複合液剤包装体の前記液剤収容部における前記袋体の前記他端部が前記帯状基材の長さ方向と直交するようにして、該帯状基材の幅方向の中央部又は略中央部に、前記帯状基材の長手方向に所定間隔おいて複数配置して仮止めする仮止め工程;前記仮止め工程で得られた、前記複合液剤包装体が所定間隔で複数仮止めされた前記帯状基材の両側端部領域どうしを長さ方向と平行になるようしてヒートシールして接合することによって、内側に前記複合液剤包装体が所定の間隔で配置・仮止めされた筒状体を得る筒状化工程;及び前記筒状化工程で得られた前記筒状体の、互いに隣接して仮止めされた前記複合液剤包装体の間の部分を、長手方向と直交する方向にヒートシールして接合すると共に接合された部分の中央部又は略中央部を長手方向と直交する方向に切断することによって一つの前記複合液剤包装体を収容するピロー平袋を得る袋形態形成工程;を含み、前記袋形態形成工程におけるヒートシール時に、仮止めされた前記複合液剤包装体の前記結合部における一体化された融合シーラント材と、前記帯状基材の前記内側層を構成する前記シーラント材と、を融着する、ことを特徴とする方法」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2020/158238号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
引用文献1に記載された方法は、外袋の製造と多成分系液状組成物調製用キットとの製造を同時に行う連続プロセスであるため効率的に大量生産を行うことができるが、バッチプロセスではないため、細かな仕様変更に対応し難く、また、プロセス開始時の安定化に要する(時間、エネルギー、材料等の)ロスや装置の稼働率等を考慮すると却って効率性が低下することもあった。そこで、本発明は、バッチプロセス又は半バッチプロセスにより多成分系液状組成物調製用キットを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、二以上の液剤包装体と、表裏2つの主表面の形状が実質的に同一な矩形形状であり、一方端部及び他方端部を有する平袋からなる外袋と、を有し、前記二以上の液剤包装体は、夫々一方端部及び他方端部を有する実質的に同形状の二以上の袋体の内部に、所定の機能を発揮する多成分系液状組成物の構成成分を二以上の液剤に分包して保持すると共に、各袋体の内部に保持されている前記液剤に押圧力を加えることによって一方端部から前記液剤が流出するようにされたものであり、前記外袋の内部空間は、他方端部寄りに位置する液剤包装体収容スペースと、一方端部寄りに位置する液溜スペースとを有し、前記二以上の液剤包装体は、前記外袋の前記液剤包装体収容スペース内に固定されて気密に収容されると共に、前記外袋を押圧することによって前記二以上の液剤包装体における前記二以上の袋体の内部に保持された液剤に押圧力を加えて該液剤を袋体の一方端部からから流出させたときに、流出した液剤が前記二以上の袋体と接触させることなく前記液溜スペース内に保持できるようにされている、多成分系液状組成物調製キット(以下、「本キット」ともいう。)を製造する方法であって、
前記外袋の材料部材であって、前記外袋の表裏2つの主表面における前記他方端部が未接合で開口した状態である開口外袋と、前記二以上の液剤包装体を準備する部材準備工程;
前記二以上の液剤包装体を挿入できるように前記他方端部の開口を広げて保持された前記開口外袋における前記開口内の前記液剤包装体収容スペースとなる領域の所定の位置に、前記二以上の液剤包装体が配置されて保持された状態である「セット完了保持状態」に、前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を保持する部材配置工程;及び
前記部材配置工程で前記セット完了保持状態に保持された前記開口外袋の前記開口を形成する表裏2つの主表面における他方部を閉じて接合することにより密封すると共に、前記二以上の液剤包装体を前記外袋の液剤包装体収容スペース内に固定して気密に収容する、密封・一体化工程;
を含んでなることを特徴とする、多成分系液状組成物調製キットの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)の前記部材配置工程で使用できる治具に関するものである。
【0010】
より具体的には、前記二以上の液剤包装体における前記二以上の袋体の夫々が、シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成され、該ヒートシール性積層フィルム又は該ヒートシール性積層シートの端部を夫々ヒートシールして形成したシール部である一方端部と他方端部とを有する袋体であり、
前記外袋が、シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成され、一方端部、他方端部及び背面に、夫々ヒートシールによって形成された一方端シール部、他方端シール部及び外袋背面シール部を有するピロー平袋である前記多成分系液状組成物調製キットを製造目的物とし、
前記部材配置工程のセット完了保持状態における前記二以上の液剤包装体の配置位置が、前記開口外袋の前記開口を閉じたときに、前記二以上の液剤包装体の全ての他方端部が、上記開口外袋の互いに対向する他方端部の間に挟持される位置であり、
前記密封・一体化工程において、前記開口外袋の他方端部をヒートシールして、該他方端部の接合及び密閉と前記二以上の液剤包装体の前記外袋の内部への固定とを同時に行う本発明の製造方法(以下、「本発明の好適製造方法」ともいう。)で使用される治具に関する。
【0011】
すなわち、本発明の形態は、表裏2つの主表面の形状が実質的に同一な矩形形状であり、一方端部及び他方端部を有する平袋からなる「外袋」及び「二以上の液剤包装体」を有し、前記外袋が、シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成され、一方端部、他方端部及び背面に、夫々ヒートシールによって形成された一方端シール部、他方端シール部及び外袋背面シール部を有するピロー平袋からなり、前記二以上の液剤包装体が、前記外袋の他方端部寄りに位置する内部空間である液剤包装体収容スペースに固定されて気密に収容されている「多成分系液状組成物調製キット」を、前記外袋の材料部材であって、前記外袋の他方端部が未接合で開口した状態である「開口外袋」の前記液剤包装体収容スペースとなる領域の所定の位置に、前記二以上の液剤包装体が配置されて保持された状態である「セット完了保持状態」に、前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を保持してから前記開口外袋の他方端部をヒートシールして、該他方端部の接合及び密閉と前記二以上の液剤包装体の前記外袋の内部への固定とを同時に行うことにより製造する方法において、前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を前記セット完了保持状態に保持するために使用する治具であって、
平面からなる底面と、該底面と平行に配置された平面からなる上面と、を有し、前記上面に開口を有する「有底溝」が形成されているブロック体からなる「治具本体」を有し、
前記有底溝は、前記開口外袋を入出自在に挿入できるように形成され、且つ前記開口外袋の一方端部辺縁を溝底と当接するように前記有底溝内に挿入したときに、該開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を前記セット完了保持状態に保持するための構造である、「広幅部」と、該広幅部の両長さ方向及び下方向で該広幅部と連通するように形成された「狭幅部」と、を有し、
前記開口外袋の一方端部辺縁に沿った方向を長さ方向とし、長さ方向に垂直で且つ該一方端部辺縁から他方端部に向かう方向を高さ方向とし、前記長さ方向及び高さ方向に垂直な方向を厚さ方向とし、
前記開口外袋の一方端部辺縁の長さ(mm)をL
1
とし、前記二以上の液剤包装体の各袋体の一方端部辺縁の長さ(mm)をL
2
とし、
前記溝底及び前記開口外袋の一方端部辺縁からの高さ(mm)について、前記開口外袋の他方端部辺縁の高さ(mm)をH
1
とし、外袋としたときに他方端シール部となる領域の一方端部側辺縁となる位置の高さ(mm)をH
2
とし、前記二以上の液剤包装体における袋体の最も低い一方端部辺縁の高さ(mm)をH
3
とし、
前記二以上の液剤包装体の夫々の厚さ(mm):Wの中で最も薄い厚さ(mm)をW
min
とし、すべての厚さの合計(mm)をW
all
とし、
前記広幅部の最小幅、最大幅、深さ及び長さを夫々最小幅:w
11
、最大幅w
12
、深さd
1
及び長さl
1
とし、前記狭幅部の最小幅、最大幅、深さ及び長さを夫々最小幅:w
21
、最大幅w
22
、深さd
2
及び長さl
2
としたときに、
前記広幅部及び前記狭幅部は、下記(1)~(7)
(1) (開口外袋の一方端部の厚さ)<w
11
=(or ≒)w
22
<W
min
(2) (開口外袋の一方端部の厚さ)<w
21
(3) W
all
<w
12
(4) (H
2
-H
3
)×0.1≦d
1
<(H
2
-H
3
)
(5) d
1
<d
2
(6) (d
2
-d
1
)=(or ≒)H
3
(7) L
2
<l
2
<L
1
<l
1
に示される関係を全て満足する、
ことを特徴とする多成分系液状組成物調製キット製造用治具である。
【0013】
上記形態の多成分系液状組成物調製キット製造用治具(以下、「本発明の治具」ともいう。)においては、本発明の好適製造方法における部材配置工程の前記「セット完了保持状態」において、前記二以上の液剤包装体を、前記開口外袋の前記開口を閉じたときに、前記二以上の液剤包装体の全ての他方端部が上記開口外袋の互いに対向する他方端部の間に挟持される位置に保持し、前記狭幅部及び/又は前記広幅部には、前記セット完了保持状態において、前記開口外袋の他方端近傍の外袋背面シール部が前記有底溝における上部領域の内面に当接することによって前記開口外袋の最大開口幅を狭くすることを防止するための背面シール部逃しノッチが設けられている、ことが好ましい。
【0014】
さらに、これら好ましい態様の本発明の治具においては、下記(1)~(3)の少なくとも一つの特徴を有することがさらに好ましい。
【0015】
(1)前記治具本体が、上面及び底面が長方形を有する直方体からなる基本形状を有し、上記上面の長手方向に沿って前記有底溝が、複数、所定の間隔を空けて1列に配列されていること。
【0016】
(2)前記治具本体の上面の長手方向に沿って所定の間隔を空けて1列に配列されている複数の有底溝の夫々が、各有底溝の長さ方向が前記上面の長手方向に対して1~3°内の一定の角度傾くようにして1列に配列されていること。
【0017】
(3)前記治具本体の長手方向側面の少なくとも一方には、前記治具本体の上面の長手方向に沿って所定の間隔を空けて1列に配列されている複数の有底溝に対応して、夫々の前記狭幅部に連通する、所定の開口面積を有するレーザー印字用開口が設けられていること。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によれば、予め別途準備された開口外袋や液剤を分包して保持する袋体を原料部材として用いたバッチ又は半バッチプロセスで、ボンディング材調製用キットを効率よく製造することが可能となる。そして、本発明の治具を用いることにより、本発明の方法をより効率的且つ確実に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本図は、本キットでもある特許文献1に開示されているキット及びその使い方を示す概略図であり、特許文献1の
図6及び
図10に相当するものである。
【
図2】本図は、本発明の製造方法における製造目的物として好適な多成分系液状組成物調製キット(本キット)の(A)斜視図及び(B)X-X´断面図である。
【
図3】本図は、代表的な本発明の治具の(A)正面図、(B)平面図及び(C)右側面である。
【
図4】本図は、
図3に示す本発明の治具に開口外袋を挿入する前の状態におけるY-Y´断面図(a)と、開口外袋を挿入した後に二以上の液剤包装体を配置してセット完了保持状態としたときのY-Y´断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の補助器具の使用対象となる多成分系液状組成物調製キット(以下、「本キット」ともいう。)、本発明の製造方法及び本発明の治具について詳しく説明する。
【0021】
なお、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x~y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との用語は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」との用語は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。
【0022】
1.本キット
本発明の製造目的物となる多成分系液状組成物調製キット(本キット)は、
図1に示される、特許文献1に開示されたキットと特に変わる点は無い。そこで以下、
図1及び
図2を参照して本キット10について説明する。
【0023】
図2に示されるように、本キット10は、二以上の液剤包装体20;及び表裏2つの主表面34a,bの形状が実質的に同一な矩形形状であり、一方端部31及び他方端部32を有する平袋33からなる外袋30;を有している。そして上記二以上の液剤包装体20は、夫々が一方端部21及び他方端部22を有する実質的に同形状の二以上の袋体20(図では、液剤包装体の包装材として示されているので、ここでは同一番号を用いて表す。)であり、その内部には、液剤23が封入・保持されている。そして、このときの封入は、各袋体の内部に保持されている前記液剤23に押圧力を加えることによって一方端部21から前記液剤23が流出するようにされたものでる。また、上記外袋30は、その内部に液剤包装体収容スペース(袋体収容スペース)36及び液溜スペース37を有し、前記袋体収容スペース36内に前記二以上の袋体20が固定されて気密に収容されている。
【0024】
前記二以上の液剤包装体(袋体)20内に分包される上記液剤23について説明すると、各袋体の内部に保持される各液剤23は、所定の機能を発揮する多成分系液状組成物の構成成分を二以上(具体的には袋体の数)に分けたものであり、二以上の袋体に保持されている全ての液剤23を前記液溜スペース37に流出させて混合することにより前記多成分系液状組成物が調製できるようになっている。なお、前記液溜スペース37は、前記外袋30を押圧することによって前記袋体収容スペース36内に収容された前記二以上の袋体20の内部に保持された液剤23に押圧力を加えて該液剤23を(全ての)袋体20から流出させたときに、流出した(全)液剤23を、前記二以上の袋体20と接触させることなく保持可能なスペースである。流出した(全)液剤23は、液溜スペース37に溜まるので、袋体20に邪魔されることなく、多成分系液状組成物の調製や後述する塗布操作を行うことが可能となる。
【0025】
図2に示す本キット10では、前記外袋30の表裏2つの主表面34である、相互に対向する一方主表面34aと他方主表面34bには、互いに対応する所定の位置に被押圧領域35a、bが画設されている。この被押圧領域35(a、b)は、前記二以上の袋体20(平袋24)の形状、大きさ及びこれに保持される液剤23の量、並びに袋体収容スペース36の位置(或いは前記二以上の袋体20の固定位置)に基づいて決定される領域であり、外袋30について該領域を押圧すれば確実かつ効率的に液剤23を袋体20の一方端部(片端部)21より流出さることができる領域として画定されるものである。したがって、外袋30の表裏の主表面34(すなわち一方主表面34a及び他方主表面側34b)では、実質的に同じ位置に画定される。
図2(A)において「Push here」と印字されている領域が、被押圧領域35に該当する。
【0026】
図2に示す本キット10では、前記二以上の液剤包装体の各袋体20は、何れも実質的に同一な矩形形状を有する平袋24であり、これら二以上の袋体20(平袋24)は、前記外袋30の前記被押圧領域35a、bを押圧することにより、全ての袋体20(平袋24)の一方端部21から前記液剤23が流出するように、その一方端部21及び他方端部22を夫々前記外袋30の一方端部31側及び他方端部32側に向け、全ての袋体20(平袋24)の他方端部22を重ねて、前記一方主表面34a側の他方端部32aと前記他方主表面側34bの他方端部32bとの間に挟持して前記袋体収容スペース36内に固定されて気密に収容されている。
【0027】
なお、袋体20及び外袋30の大きさは、保持される液剤23の量に応じて適宜決定すれば良いが、多成分系液状組成物が歯科用接着材である場合には、使い捨てにされることから各袋体20に保持される液剤23の量は、通常、0.03~0.1ml程度であり、袋体20(平袋24)の大きさは縦:16~40mm程度、横:5~15mm程度である。また、外袋30の大きさは縦:28~72mm程度、横:12~36mm程度で、被押圧領域35の面積は、240~400mm2程度である。
【0028】
前記外袋30を構成する前記平袋33の幅L1は、前記袋体20(平袋24)の幅L2よりも、所定の長さだけ長くなっており、前記二以上の袋体20を前記外袋の内部への一方側端31側に寄せて固定することによって、前記外袋30の前記液溜スペース37の他方端側には、前記袋体収容スペース36に隣接する塗布具挿入用スペース38が設けられている。そして、前記外袋30の一方主表面34aと他方主表面34bには、前記塗布具挿入用スペース38を覆う領域の他方端側の一部からなる除去部39を切り取って除去することにより塗布具挿入用開口(図示せず)を形成するための弱化ライン:WLが形成されている。
【0029】
図2に示される本キット10と(特許文献1に開示されている)
図1に示されるキットとの関係について説明すると、
図2において、二以上の液剤包装体(袋体)20の固定位置を袋体収容スペース36の位置を外袋30のほぼ中央とし、他方主表面34b側から見たものが、
図1に示される多成分系液状組成物調整用キット1に相当するものとなる。すなわち
図1の複合液剤包装体2における各包装体、その片端部、他端部及び液剤は、夫々、本キット10における袋体20(平袋24)、一方端部、他方端部及び液剤23に該当し、前記複合液剤包装体2は、本キット10における全ての袋体20の他方端部22を重ねて一体化したものに該当する。また、
図1における外袋3、下端シール部(片端部)40、上端シール部(他端部)42及び弱化ライン44は、夫々、
図2の本キット10における、外袋30(平袋33)、一方端部31、他方端部32及び弱化ラインWLに該当する。
【0030】
前記多成分系液状組成物の典型例としては、酸性基含有重合性単量体及び酸性基を有しない重合性単量体を含む重合性単量体、化学重合開始剤並びに水溶性有機溶媒及び/又は水を成分主成分とする所謂2液混合型歯科用接着材を挙げることができる。ここで、上記2液混合型歯科用接着材で好適に使用される各成分としては、次のようなものが好適に使用できる。
【0031】
すなわち、酸性基含有重合性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、ジ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10-(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、1,4-ジ(メタ)アクリロイルオキシピロメリット酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸等の1分子中に少なくとも1つのリン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基と少なくとも1つの重合性不飽和基を有する化合物が好適に使用できる。
【0032】
酸性基を有しない重合性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス{4-[3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2-[4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]-2‐[4-(メタ)クリロイルオキシトリエトキシフェニル]プロパン、2-[4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル]-2-[4-(メタ)クリロイルオキシトリエトキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(メタ)クリロイルオキシプロポキシフェニル]プロパン等が好適に使用できる。
【0033】
水溶性有機溶媒としてはアセトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等が好適に使用できる。
【0034】
化学重合開始剤としては、酸化剤、還元剤及び重合促進剤を、適宜組み合わせたものが好適に使用できる。酸化剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類等が好適に使用できる。また、還元剤としては、N,N’-ジメチル-p-トルイジン、N,N’-ジメチルアニリン、N’-β-ヒドロキシエチル-アニリン、N,N’-ジ(β-ヒドロキシエチル)-アニリン、N,N’-ジ(β-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N-メチル-アニリン、N-メチル-p-トルイジン等アミン化合物等が好適に使用できる。さらに、重合促進剤としてはバナジウム化合物、銅化合物、スルフィン酸塩、ボレート化合物、チオ尿素化合物等が好適に使用できる。なお、何れの化学重合開始剤系も全ての成分が揃うことにより開始剤として機能するように設計されており、また、分包する際の各成分の組み合わせについても、液剤の種類や具体的に使用する化合物に応じて、保存安定性を勘案して適宜決定される。たとえば、上記において重合促進剤に分類されるボレートは、条件によっては還元剤としても機能するものであるが、酸性化合物の非存在下であれば(酸性条件下でなければ)、酸化剤と共存させて保管することも可能である。
【0035】
前記二以上の袋体20は、本キット10の製造効率等の観点から、予め全ての袋体20(平袋24)の他方端部22を重ねて一体化して複合液剤包装体としておくことが好ましい。上記複合液剤包装体は、(I)シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートを用いた縦ピロー包装により、下端側ヒートシール部を一方端部(片端部)とし、上端側ヒートシール部を他方端部(他端部)とし、更に背面にヒートシールによって形成された背面シール部を有するピロー平袋からなる袋体の内部に液剤を気密且つ液密に保持した液剤収容部用個別包装体を複数準備する液剤収容部用個別包装体準備工程、及び(II)前記液剤収容部用個別包装体準備工程で準備された複数の液剤収容部用個別包装体の全ての他方端部(他端部)を重ね、全ての他端部が重なり合った重畳領域を加熱及び加圧することにより、各他端部の当該重畳領域における内側層を構成するシーラント材の一部を各他端部の外側層の末端より外側に押出しながら押出された延出シーラント材を相互に融着させる接合工程を含む方法により好適に製造することができる。
【0036】
ヒートシール性積層フィルム(又はヒートシール性積層シート)の内側層は、シーラント材となる加熱融着性の高い(ヒートシール性を有する)樹脂、例えばエチレン、メタクリル酸アクリル酸エステルの共重合物のアイオノマーを主成分とするポリマーアロイとポリエチレンの混合物で構成され、当該内側層(シーラント材の層)は、通常10~100μm、好ましくは30~80μmの厚さを有する。外側層12は、加熱融着性の低い(ヒートシール性を有しない)樹脂、無機材料又は両者の複合体からなり、内部に収容される液剤に応じて、その保存安定性を高める等の目的で、酸素ガス遮蔽性(酸素ガス不透過性)、紫外線遮蔽性などの機能を付与する素材や、内容物の存在が確認できるような透明性や、外側表面への印刷性を高める素材などが適宜選択される。また、より機能性を高めるために内側層と外側層の間に中間層を設けることもできる。
【0037】
また、外袋30もシーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム(又はヒートシール性積層シート)で構成されたピロー平袋であり、矩形状のヒートシール性積層フィルム(又はヒートシール性積層シート)の両側縁部を相互に加熱溶着(ヒートシール)して背面シール部を形成して筒形態にすると共に一方端部(片端縁部)及び他方端部(他端縁部)を相互に加熱溶着(ヒートシール)することによって袋体とされている。上記ヒートシール性積層フィルム(又はヒートシール性積層シート)は、基本的には、前記袋体20を構成するヒートシール性積層フィルムと同様の構造を有し、ヒートシール材もヒートシール性積層フィルムにおけるヒートシール材と同じものが使用される。ただし、外袋30は、押圧により流出した液剤の位置を確認しやすくするために、全体としては透明性を有することが好ましいため、その外側層を構成する外装材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、並びにエチレン、プロピレン及びブテン等から選ばれる少なくとも2種類以上のオレフィン系モノマーを共重合した共重合体等のオレフィン系ポリマーのフィルム又はシートを使用することが好ましい。
【0038】
本キット10では外袋30の四方は封止された密閉状態となる。このとき、外袋30と二以上の袋体20との間の空間には、通常、空気(大気)が封入される。二以上の袋体20(平袋24)に保持されている液剤に押圧力を加えて当該液剤を各液剤収容部の一方端部(片端部)より流出し易くするために、前記空間の容積が、当該空間の最大容積(外袋30に、大気圧下又は外袋30が破損しない程度の微加圧下で可能な限り空気を充填したときの容積から、内部に収容される二以上の袋体20が占める容積を差し引いた容積)の1~70%、特に5~40%となるように、当該空間に封入される空気量を調節することが好ましい。
【0039】
なお、ピロー平袋からなる外袋30は、上記矩形状のヒートシール性積層フィルム(又はヒートシール性積層シート)の両側縁部を相互に加熱溶着(ヒートシール)して背面シール部を形成して筒形態にしたものを、筒状体の長さ方向に沿って所定の間隔で、該長さ方向に対して垂直な方向でヒートシールを行って一方端(下端)シール部を形成し、たとえばその一方端部を前記長さ方向に垂直な方向に沿って切断して他方端部(上端)が開口状態の開口外袋60とし、その後該開口外袋60の他方端部(上端)をヒートシールして他方端(上端)シール部を形成して外袋30としてもよい。
【0040】
本発明のキット10使用する場合には、先ず、外袋30を押圧し、二以上の袋体20に夫々充填されている液剤23の全てに押圧力を加え、これを流出させて液溜スペース37で混合して目的の液状組成物である歯科用接着材を調製する。次いで、切欠から弱化ラインWLに沿って外袋30を破断し、塗布具挿入用スペース38を被覆するフィルム又はシートの弱化ラインWLよりも上方の除去部39を除去して塗布具挿入開口を開け(このような操作を、「塗布具挿入開口形成操作」とも言う。)、そこから、
図1の右側図に示されるように、細長い棒状本体52とその先端に配設された液体保持部54を有する塗布具50挿入し、液体保持部54を歯科用接着材に浸してから引き出して歯科用接着材を患者の治療歯の所要部位に施す、塗布操作を行えばよい。
【0041】
2.本発明の製造方法
本発明の製造方法は、本キットを製造する方法であって、以下に示す部材準備工程、部材配置工程及び密封・固定工程を含んでなることを特徴とする。
【0042】
部材準備工程: 前記外袋の材料部材であって、前記外袋の表裏2つの主表面における前記他方端部が未接合で開口した状態である開口外袋と、前記二以上の液剤包装体を準備する工程。
【0043】
部材配置工程: 前記二以上の袋体を挿入できるように前記他方端部の開口を広げて保持された前記開口外袋における前記開口内の前記液剤包装体収容スペースとなる領域の所定の位置に、前記二以上の液剤包装体が配置されて保持された状態である「セット完了保持状態」に、前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を保持する工程。
【0044】
密封・一体化工程: 前記部材配置工程で前記セット完了保持状態に保持された前記開口外袋の前記開口を形成する表裏2つの主表面における他方部を閉じて接合することにより密封すると共に、前記二以上の液剤包装体を前記外袋の液剤包装体収容スペース内に固定して気密に収容する工程。
【0045】
なお、上記部材配置工程において前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を「セット完了保持状態」に保持するためには、専用の治具を用いることが好ましい。
【0046】
上記本発明の製造方法においては、前記二以上の液剤包装体における前記二以上の袋体の夫々が、シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成され、該ヒートシール性積層フィルム又は該ヒートシール性積層シートの一方端部をヒートシールして一方端部を形成し、他方端が開口したものであることが好ましい。そして、このような袋体を用いた二以上の液剤包装体(袋体)としては、既に説明している製造方法で製造されたものが好適に使用される。
【0047】
また、前記開口外袋が、「シーラント材からなる内側層と外装材からなる外側層とを少なくとも含む、ヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成され、一方端部、他方端部及び背面に、夫々ヒートシールによって形成された一方端シール部、他方端シール部及び外袋背面シール部を有するピロー平袋」の中間材料となる材料部材であって、該ピロー平袋について一方端シール部及び背面シール部を形成し且つ他方端をヒートシールする前の他方端が開口した状態のものを使用することが好ましい。そして、このような開口外袋としては、前記したピロー平袋からなる外袋30を製造する際に得られる、背面シール部及び一方端シール部を有し、他方端部(上端)が開口した状態のものであって、後に他方端部(上端)をヒートシールして他方端シール部を形成して外袋30とするものが、好適に使用される。
【0048】
さらに、このようなヒートシール性積層フィルム又はヒートシール性積層シートで構成された二以上の液剤包装体(袋体)及び開口外袋を用いることに加えて、前記部材配置工程のセット完了保持状態における前記二以上の液剤包装体の配置位置が、前記開口外袋の前記開口を閉じたときに、前記二以上の液剤包装体の全ての他方端部が、上記開口外袋の互いに対向する他方端部の間に挟持される位置であり、前記密封・一体化工程において、前記開口外袋の他方端部をヒートシールして、該他方端部の接合及び密閉と前記二以上の液剤包装体の前記外袋の内部への固定とを同時に行うことが好ましい。
【0049】
このような好適な方法(本発明の好適製造方法)における前記部材配置工程における前記開口外袋及び前記二以上の液剤包装体の「セット完了保持状態」での保持は、本発明の治具を用いて好適に行うことができる。そこで、本発明の治具及びこれを用いた本発明の好適製造方法を例に、以下、図面を参照して詳しく説明する。
【0050】
3本発明の治具
本発明の治具は、平面からなる底面と該底面と平行に配置された平面からなる上面と有し、前記上面に開口を有する有底溝が形成されているブロック体からなる治具本体を有し、前記有底溝は、前記開口外袋を入出自在に挿入できるように形成され、且つ前記開口外袋の一方端部辺縁を溝底と当接するように前記有底溝内に挿入したときに、該開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を前記セット完了保持状態に保持できる構造を有する、ことを特徴とする。
【0051】
前記ブロック体としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリアミド(PA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料を用いて成形加工したものが好適に使用できる。また、有底溝の形成は、切削加工によって行ってもよいし、前記ブロック体を予め(最終形態のものを組み立てやすいように分割した)いくつかのパーツに分けて成形し、これを組み立てることにより行ってもよい。
【0052】
本発明の治具は、ブロック本体の有底溝内に開口外袋を挿入した状態で開口外袋及び二以上の液剤包装体をセット完了保持状態に保持できる構造を有するものであれば特に限定されないが、確実かつ効率的に開口外袋及び二以上の液剤包装体をセット完了保持状態に保持できるという観点から、(1)前記有底溝は、広幅部と、狭幅部と、を有し、且つ(2)使用する開口外袋及び二以上の液剤包装体の形状および大きさとの関係において規定される前記遊底溝の方向、長さ、高さ(深さ)及び厚さ(幅)が、次のような条件を満足するものであることが好ましい。
【0053】
すなわち、先ず、満たすべき条件の前提(基準)となる方向や長さ等について説明すると、開口外袋及び前記二以上の液剤包装体を前記セット完了保持状態に保持した状態の方向や長さ等は、以下のように規定される(
図3及び
図4参照)。
【0054】
[方向]
・長さ方向:前記開口外袋の一方端部辺縁に沿った方向、
・高さ方向:長さ方向に垂直で且つ該一方端部辺縁から他方端部に向かう方向
・厚さ方向:前記長さ方向及び高さ方向に垂直な方向。
【0055】
[開口外袋及び二以上の液剤包装体の各袋体の長さ等]:各長さ等については、次の記号を用いて表すこととする。
・L1:開口外袋の一方端部辺縁の長さ(mm)
・L2:二以上の液剤包装体の各袋体の一方端部辺縁の長さ(mm)
・H1:開口外袋における他方端部辺縁の一方端部辺縁からの高さ(mm)
・H2:外袋としたときに他方端シール部となる領域の一方端部側辺縁となる位置の一方端部辺縁からの高さ(mm)
・H3:二以上の液剤包装体における袋体の最も低い一方端部辺縁の開口外袋一方端部辺縁からの高さ(mm)
・Wmin:二以上の液剤包装体の夫々の厚さ:Wの中で最も薄い厚さ(mm)
・Wall:二以上の液剤包装体のすべての厚さの合計(mm)。
【0056】
[広幅部及び狭幅部の長さ等]:なお、狭幅部は、広幅部の両長さ方向及び下方向で該広幅部と連通するように形成された幅(厚さ)の狭い分を意味し、各長さ等については、次の記号を用いて表すこととする。また、深さは上面からの深さを意味する。
・l1:広幅部の長さ(mm) ・l2:狭幅部の長さ(mm)
・d1:広幅部の深さ(mm) ・d2:狭幅部の深さ(mm)
・w11:広幅部の最小幅(mm) ・w21:狭幅部の最小幅(mm)
・w12:広幅部の最大幅(mm) ・w22:狭幅部の最大幅(mm)。
【0057】
次に前記好ましい態様の治具が満たすべき条件について説明すると、該治具は、下記(1)~(7)に示される関係を全て満足する。
【0058】
(1) (開口外袋の一方端部の厚さ)<w11=(or ≒)w22<Wmin
(2) (開口外袋の一方端部の厚さ)<w21
(3) Wall<w12
(4) (H2-H3)×0.1≦d1<(H2-H3)
(5) d1<d2
(6) (d2-d1)=(or ≒)H3
(7) L2<l2<L1<l1 。
【0059】
以下、
図3及び
図4を参照して上記好ましい態様の本発明の治具について説明する。なお、
図4に示す(外袋の材料部材である)開口外袋60としては、前記したような方法により製造した、背面シール部及び一方端シール部を有し、他方端部(上端)が開口した状態のものであって、後に他方端部(上端)をヒートシールして他方端シール部を形成して外袋30とするものを用いている。そのため、
図4における開口外袋60の各部分には夫々外袋30において対応する部分と同じ番号を付している。
【0060】
図3に示す本発明の治具100は、本発明の治具の好適な形態の一例であり、1度に複数組(図では4組)の開口外袋60と二以上の液剤包装体20をセット完了保持状態に保持し、保持されたままの状態で密封・一体化工程のヒートシールを同時に行うことにより、数組(図では4個)の多成分系液状組成物調整用キットを製造できるものとなっている。
【0061】
すなわち、治具100の治具本体110は、:キット本体は、平面からなる底面111と該底面と平行に配置された平面からなる上面112が夫々長方形を有する直方体からなる基本形状を有するブロック体からなり、上記上面の長手方向に沿って有底溝120が、複数(図では4個)、所定の間隔を空けて1列に配列されている。
【0062】
そして、有底溝120は、
図3(C)及び
図4に示されるように、開口外袋60を構成する前記平袋33の幅L
1よりやや長い長さl
1を有する幅w
21=w
22(w
22は、w
21よりもわずかに大きくてもよい)で所定の深さd
2のスリット状の溝であり、その上面開口113側が該開口から深さd
1に亘って一部が拡径することにより広幅部121が形成されている。すなわち、広幅部121の開口形状は(略)楕円形で、その中央部におけるY-Y´断面が漏斗状となっている。一方、広幅部121から外れる(長さ方向において広幅部121の両端の外側の)部分は、スリット状の溝のままであり、広幅部121下方(深さd
1より深い部分)の深さ(高さ)が(d
2―d
1)で幅がw
21である狭い部分と一体となって狭幅部122を形成している。したがって、長さ方向において広幅部121の両端の外側の部分の断面は、深さ(高さ)がd
2で幅がw
21である縦長の(略)長方形となっている。このようにして、前記(5)広幅部の深さ:d
1<狭幅部の深さ:d
2を満足するものとなっている。
【0063】
前記条件(1)の「(開口外袋の一方端部の厚さ)<w
11」という条件、前記条件(2)及び前記条件(7)の「L
1<l
1」という条件を満足することにより、前記有底溝120内に開口外袋60を入出自在(挿脱自在)に、該外袋の一方端部31が下方を向くようにして挿入でき、開口外袋60を挿入したときに、開口外袋60の他方端が所定の広さ(幅)で開口した状態で、も開口外袋60を立たせて保持することができる。そして、有底溝120が広幅部121を有し、更に前記条件(3)、前記(1)の「w
11=(or ≒)w
22<W
min」という条件及び前記条件(7)の「L
2<l
2」という条件を満たすことにより、開口した状態にある前記開口外袋60に二以上の液剤包装体20を挿入できるようになっている。さらに、「広幅部の最小幅:w
11<二以上の液剤包装体のすべての厚さの合計:W
min」の関係を満足することにより二以上の液剤包装体は狭幅部122内には侵入できないのでその一方端部の位置が規定されることになり、前記条件(6)を満足することにより、結果として、
図4(b)に示されるように、セット完了保持状態の位置に位置決めさることになる。最後に、前記条件(4)を満足することにより、位置決めされた位置に(自然に自立して)保持できるようになっている。治具にセットしたままの状態で安定して密封・一体化工程におけるヒートシールを行えるという理由から、条件(4)は、「(H
2-H
3)×0.2≦d
1<(H
2-H
3)×0.5」を満足するものであることが好ましく、「(H
2-H
3)×0.25≦d
1<(H
2-H
3)×0.4」を満足することがより好ましい。
【0064】
図3に示す本発明の治具100では、背面シール部逃しノッチ123が広幅部121に設けられているので、前記セット完了保持状態において、開口外袋60の他方端近傍の外袋背面シール部が有底溝上部領域の内面に当接することによって開口外袋の最大開口幅を狭くすることを防止することができる。また、上記外袋背面シール部を背面シール部逃しノッチ123に収容するときに、治具にセットしたままの状態で前記ヒートシールを行うときに背面シールが干渉(邪魔)しないようにすることができる。
【0065】
また、治具100では、複数(4個)の有底溝120の夫々が、その長さ方向が前記本体上面112の長手方向に対して1~3°内の一定の角度傾くようにして1列に配列されている。こうすることにより、ヒートシーラーのように被封止体部を挟んで加熱圧着(融着)させるタイプのヒートシール装置を用いてヒートシールするときの、被封止部の挟み込みを行う際における(開口外袋内部の)エアーの逃げを制御し易くなる。例えば、平面で開口外袋60の他方端シール部予定領域を挟み込む場合、広幅部121のフィルム面から先に接触し、そこを起点に左右にエアーを逃しながら圧接され、加熱溶着がなされる。これに対し、角度を有する場合、狭幅部122一端のフィルム面から先に接触し、そこを起点に一方行にエアーを逃しながら圧接され、加熱溶着がなされる。これにより、ヒートシール面に生じる皺の形成を抑止し、滑らかな仕上がりにすることが可能となる。
【0066】
さらに、治具100には、治具本体110の長手方向側面の一方に、前記複数の有底溝に対応して、夫々の前記狭幅部に連通する、所定の開口面積を有するレーザー印字用開口130が設けられている。該レーザー印字用開口130を通して、開口外袋60(外袋30)を冶具に保持した状態で、その表面に、ロット番号(Lot No.)や使用期限等を印字できるようになる。点眼ボトルのような自立型の容器形態とは異なり、多成分系液状組成物調製用キットはフィルム素材の袋形態であるため、自立させることが極めて困難であり、また、ヒートシールされた後の主表面34a、34bは湾曲形状をしているため、印字を施す場合には、個別に、それぞれを特定方向に固定して行う必要があったが、治具100を用いることにより、所定の位置に確実かつ簡単に印字することが可能となる。
【0067】
以上、本発明の治具について
図3及び
図4を参照して説明したが、これらは一実施例として示したものであり、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。たとえば、治具の長手方向に沿った狭幅部122の中心線に沿って、2つのパーツに分割して開口外袋60をセットした後に2つのパーツを組み合わせるような構造としても良い。こうすることにより、開口外袋60挿入時のフィルムと治具の干渉が低減され、作業性をより向上させることができる。
【0068】
4.本発明の治具を用いた本発明の好適製造方法
本発明の治具を用いた本発明の好適製造方法では、すでに説明した方法により準備された開口外袋60と、前記二以上の液剤包装体20を、上記したようにして本発明の治具を用いてセット完了保持状態に保持し、その状態で密封・一体化工程を行う。このとき、
図4(b)に示されるように、二以上の液剤包装体20は、開口外袋60の開口を閉じたときに、該二以上の液剤包装体20の全ての他方端部22が、開口外袋60の互いに対向する他方端部42の間に挟持される位置に保持されているので、開口外袋60の他方端部42をヒートシールすることにより、該他方端部42の接合及び密閉と二以上の液剤包装体20の前記外袋の内部への固定とを同時に行うことができる。ヒートシールは、前記したように、ヒートシーラーのように被封止体部を挟んで加熱圧着(融着)させるタイプのヒートシール装置を用いて好適に行うことができる。ヒートシール後にレーザー印字用開口130からにロット番号や使用期限等をレーザー印刷した後に、冶具から取り出せば、所定の位置に印された多成分系液状組成物調整用キットを得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1:多成分系液状組成物調整用キット
2:複合液剤包装体
3:外袋
10:本キット(多成分系液状組成物調製キット)
20:液剤包装体(袋体)
21:袋体の一方端部
21a:袋体の一方端部辺縁
22:袋体の他方端部
23:液剤
24:平袋
30:外袋
31:外袋の一方端部
32:外袋の他方端部
33:平袋
34:主表面
34a:一方主表面
34b:他方主表面
35(a、b):被押圧領域
36:液剤包装体収容スペース(袋体収容スペース)
37:液溜スペース
38:塗布具挿入用スペース
39:除去部
40:一方端(下端)シール部(片端部或いは一方端部)
40a:一方端部辺縁
42:他方端(上端)シール部(他端部或いは他方端部)
42a:他方端部辺縁
42b:他方端シール部予定領域の一方端部側辺縁
42c:他方端シール部の幅
43:単純シール部
44:弱化ライン
46:切欠
48:塗布具挿入開口
50:塗布具
52:棒状本体
54:液体(液剤)保持部
WL:弱化ライン
60:開口外袋
100:(本発明の)治具
110:治具本体
111:底面
112:上面
113上面開口
120:有底溝
121:広幅部
w11:広幅部の最小幅
w12:広幅部の最大幅
d1:広幅部の深さ
122:狭幅部
w21:狭幅部の最小幅
w22:狭幅部の最大幅
d2:狭幅部の深さ
123:背面シール部逃しノッチ
130:レーザー印字用開口