(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20241216BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A63F5/04 603D
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020176300
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】小林 大悟
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 恭佑
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大厨 隆裕
【審査官】渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-089626(JP,A)
【文献】特開2015-011897(JP,A)
【文献】特開2018-092902(JP,A)
【文献】特開2016-162594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵柄が施されたパネルと、
遊技者から見て遊技機の左側、かつ、前記パネルの後方に配置され、前記絵柄を発光表示させるための発光部と、を備えた遊技機において、
前記発光部は、
光源と、
前記光源の前方に、前方に向けて水平方向に突出した態様で設けられた細長の導光板と、
前記導光板の前方に設けられた球状の透明部材と、を備え、
前記光源から発せられた光は、前記導光板及び前記透明部材を介して前記絵柄を発光表示させることが可能であり、
前記導光板は、
前端部の断面が線状に見える薄さの部材で構成され
、
前記前端部は、前記左側の辺と、中央の辺と、右側の辺とからなる3つの辺に基づいて形成され、
前記右側の辺は、前記左側の辺よりも長い
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記発光部は、前記導光板の前方の先端を除き周囲全体を覆う遮光部材を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記導光板は、正面側端部に相当する前端部より後端部の方が肉厚である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光表示が可能なパネルを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ機などの遊技機においては、透光部材であるパネルを備え、パネルに施した絵柄を発光表示させることが行われている。
このような発光表示は、パネルの後方に配置したLEDなどの発光素子から光を照射することにより行うことができる。
このような発光表示を遊技状況に応じて制御することで、遊技者に遊技状況を報知したり遊技に対する興趣を高めることができる。
例えば、特許文献1には、駆動回路に設けられた複数の出力ポートのすべてが一つの発光素子に接続されており、それら複数の出力ポートのうち電流を流す出力ポートの数を所定時間間隔で増加させることにより、その発光素子に流す電流の量を段階的に増加させて、その発光素子の階調制御を行う遊技機が開示されている。
この遊技機によれば、演出制御部から駆動回路に送られる駆動データを、出力ポート毎に電流を流すか否かを指定するオンオフデータとして構成することで、面白味のあるランプ演出を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の遊技機は、改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、絵柄が施されたパネルと、遊技者から見て遊技機の左側、かつ、前記パネルの後方に配置され、前記絵柄を発光表示させるための発光部と、を備えた遊技機において、前記発光部は、光源と、前記光源の前方に、前方に向けて水平方向に突出した態様で設けられた細長の導光板と、前記導光板の前方に設けられた球状の透明部材と、を備え、前記光源から発せられた光は、前記導光板及び前記透明部材を介して前記絵柄を発光表示させることが可能であり、前記導光板は、前端部の断面が線状に見える薄さの部材で構成され、前記前端部は、前記左側の辺と、中央の辺と、右側の辺とからなる3つの辺に基づいて形成され、前記右側の辺は、前記左側の辺よりも長く構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】遊技機の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】告知ユニットの外観図であり、(a)は前方斜視図、(b)は後方斜視図である。
【
図8】告知ユニットの要部外観図であり、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は右側面図である。
【
図11】告知ユニットを前方から撮影したときの写真である。
【
図12】中パネルの告知部を前方から撮影したときの写真である。
【
図13】(a)は導光板の斜視拡大図、(b)は導光板の正面視拡大図である。
【
図15】告知部の要部を遊技者側から撮影したときの写真である。
【
図16】かつて遊技機に用いられていた豆電球の一例である。
【
図17】補助光源から発せられた光が拡散された場合の発光領域を模式的に示す図である。また、球状透明部材の陰影を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る遊技機の実施形態について、各図を参照して説明する。
遊技機には、スロットマシン、パチンコ機など様々な種類があるが、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0008】
図1~3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0009】
スロットマシン1は、必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成されている。
【0010】
前扉1aの上部には、ランプ9やスピーカSPが設けられる。
前扉1aの中央部には、中パネル6が装着されている。
図4に示すように、中パネル5は、前扉1aの内部において、その躯体でもあるパネル枠61の前方に取り付けられる。 中パネル6は、アクリルなどの透光部材からなり、その中央部分には、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認できる表示窓Wを備えている。
また、中パネル6は、後方から光を照射することでパネル面に施した絵柄を発光表示させることができる。
絵柄の一例として、中パネル6の左下部にはボーナス当選時に発光表示させるギザギザの模様やGOGO!の装飾文字等を施している。
前扉1aにおける中パネル6の下部には、メダルが投入されるメダル投入口2と、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
【0011】
筐体1bの上部には、それぞれマイクロコンピュータ等で構成され、スロットマシン遊技を制御する主制御部10や演出制御を行う副制御部20が設けられる。
筐体1bの中央部には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出するメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0012】
このような構成のスロットマシンにおいては、以下の方法でスロットマシン遊技が行われる。
遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入され、スタートレバー3が操作されると、スタート信号が主制御部10に入力される。
スタート信号が入力されると、主制御部10は、所定の遊技プログラムに従いドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
主制御部10は、ボーナスや小役等を抽選する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
主制御部10は、各リール41a,41b,41cを所定の図柄の組合せで停止させると、メダル払出装置7に対し遊技価値である所定数のメダルを払い出させる制御を行い、この結果、メダル払出口7bからメダルが払い出される。
副制御部20は、主制御部10の制御下で遊技の演出などに関する制御を行う。
副制御部20には、スピーカSP、ランプ9、LED861~865等が接続され、遊技状況に応じてこれらを動作させる演出制御を実行する。
副制御部20により制御される演出の一例としてボーナス告知がある。
ボーナス告知は、ボーナス役に当選したことに基づいてスピーカSPからファンファーレ音などの音を出力したり、ランプ9を点灯・点灯させることで遊技者にボーナス当選を告知する演出である。
また、副制御部20は、ボーナス役に当選したことに基づいて告知ユニット8の内部に設けた光源(LED861~865)を所定の発光パターンで発光させる制御を行うようになっており、当該制御に基づく光学的動作に基づいて、中パネル6におけるギザギザ模様やGOGO!文字からなる絵柄(以下、告知部6aという)を発光表示させるボーナス告知を実行する。
【0013】
(告知ユニット)
告知ユニット8は、本発明の発光部に相当するユニット装置である。
告知ユニット8は、中パネル6における告知部6aを後方からの光の照射により発光表示させるための装置であり、
図4及び
図5に示すように、告知部6aの後方(中パネル6とパネル枠61との間の空間)に設けられる。
図6は、告知ユニット8の外観図であり、
図7は、告知ユニット8の分解図である。
図7に示すように、告知ユニット8は、前部フレーム81と、光拡散板82と、球状透明部材83と、遮光部材84と、導光板85と、LED基板86と、後部フレーム87とにより構成され、これらの部材を組み合わせることにより
図6に示す告知ユニット8を完成することができる。
告知ユニット8は、
図5~
図7に示すように、豆電球のガラス球を模した球状透明部材83を用いるなど、豆電球や豆電球の光り方を再現可能な構成を備えている。
本実施形態のスロットマシン1は、このような告知ユニット8を備えることで、かつての遊技機において告知ランプ等に用いられていた豆電球のような質感で暖かみのある光り方を再現するものである。
なお、
図16(a)~(c)は、かつて遊技機に用いられていた豆電球の一例である。
【0014】
前部フレーム81は、告知ユニット8の最前部を構成するフレーム部材である。
前部フレーム81には、四角形状の開口が設けられており、この開口に対し、四角形状の光拡散板82が前方に臨む態様で設けられる。
光拡散板82は、光源から発せられた光を広範囲に拡散させるための部材である。
光拡散板82は、具体的には、後方に配置されているLED862~865から発せられた光を後面から入射し、これを広範囲に拡散して前面(出射面)から告知部6aに向けて出射する。
これにより、告知部6aの全体を満遍なく発光表示させることができる。
光拡散板82は、白色(具体的には乳白色)が施された半透明の光拡散部材を用いることができる。
このような光拡散板82によれば、光拡散板82の後方に存在するLED862~865やLED基板86などの部材を隠蔽することができ、中パネル6を介してこれらが見えることを防止することができる。
光拡散板82は、白色半透明部材に限らず、光拡散顔料を含む有色の透明・半透明部材や表面にシボ加工を施したものなど、光拡散性及び隠蔽性を備える様々な部材を用いることができる。
光拡散板82は、一部材で、かつ、出射面全体を面一(フラット)に形成してある。
光拡散板82を、面一ではなく、例えば、LED862~865のそれぞれに対応してそれぞれ複数設けることもできる。
ただし、その場合、出射面と出射面との間に継ぎ目が生じ、告知部6aにおいて、その継ぎ目が影となって表れ美感を損なう。
このような理由から光拡散板82は、一部材で、かつ、出射面を面一であることが好ましい。
光拡散板82は、前部フレーム81の後方から取り付けられるところ、その側部枠811に対しては前方から覆う態様で取り付ける構成を採用しているため、側部枠811が影となって視認されることもない(
図6(a),
図7参照)。
なお、光拡散板82の中心部は、球状透明部材83を挿入できるように円形の開口が設けられている。
【0015】
球状透明部材83は、球状(正確には半球状)に形成された内部空洞の透明部材である。
球状透明部材83は、光拡散板82の開口に挿入した状態、すなわち、開口から前方を臨む態様で設けられる(
図6(a)等参照)。
遮光部材84は、導光板85の周囲を覆うための部材である。
遮光部材84は、具体的には鞘状に形成されており、導光板85は、この鞘部分に収容された状態で設けられる。
また、遮光部材84は、鞘部分に導光板85を収容した状態において、導光板85の先端部(以下、前端部851という)だけが露出するように、端部が開放されている。
導光板85は、肉薄細長の透明の板状部材であり、前端部851が前方を向く態様で、球状透明部材83の内部空間に設けられる。
導光板85は、後端部から入射した光を前端部851に導き、当該前端部851から告知部6aに向けて線状の光を出射(照射)する役割を担う。
【0016】
LED基板86は、基板表面に配置された複数の光源(LED861~865)と、これら光源の発光動作を制御する制御チップ(不図示)と、を備え、当該制御チップが、副制御部20からの命令に従って各光源を所定の発光パターンで発光させる制御を行う。
LED861は、告知部6aの中心部の発光表示を担う光源(主光源)であり、本発明の第1光源の一例である。
LED861は、LED基板86の中心部に実装され、導光板85の後端部の後方に配置される。
言い換えれば、LED861の出射面の前方には、導光板85が突出した態様で設けられる。
LED862~865は、告知部6aの中心部の周囲の発光表示を担う光源(補助光源)であり、本発明の第2光源の一例である。
LED862~865は、LED861の周囲に実装され、光拡散板82の後方に配置される。
後部フレーム87は、告知ユニット8の最後部を構成するフレーム部材である。
後部フレーム87には、LED基板86が取り付けられる。
【0017】
図8は、告知ユニット8の要部外観図であり、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は右側面図である。
図9は、
図8(a)のA-A断面図であり、
図10は、
図8(a)のB-B断面図である。
なお、
図8~
図10に示す告知ユニット8は、説明を分かり易くするため、前部フレーム81及び後部フレーム87を除いている。
【0018】
図9,
図10等を参照しながら、告知ユニット8の各構成部材によって告知部6aが発光表示される仕組みについて説明する。
まず、LED861を光源とする光学的な動作によって豆電球のような光り方を見せる仕組みについて説明する。
なお、
図9及び
図10において、実線矢印は、LED861から発せられた光の進行を模式的に示している。
【0019】
図9及び
図10に示すように、主光源LED861から発せられた光は、導光板85の後端部(後端面)から入射し、導光板85の内部を進行(伝播)し、導光板85の前端部851から出射される。
導光板85の前端部851から出射される光は、LED861から発せられた主に高指向性の高照度の光であるが、低指向性の低照度の光も含まれる。
ここで、導光板85の前端部851は、導光板85が肉薄の板材であることから、断面視(又は正面視)線状に形成されている。
このため、導光板85の前端部851から出射された高照度の光は、球状透明部材83の頂部を直線的に通過して、告知部6aの中心部における線状領域を高輝度に発光表示する。
低照度の光は、導光板85の前端部851から広がりながら進行し、球状透明部材83の球面を発光しながら、告知部6aの中心部を全体的に発光表示する。
以上のように、LED861から発せられた光は、上述した光学的動作に基づいて、告知部6aの中心部を発光表示する。
【0020】
図11は、LED861を発光させた状態において、告知ユニット8を前方から撮影した写真である。
図11に示すように、線状の前端部851が高輝度に発光することで表れる線形の発光体fを、球状透明部材83を通して視認することができる。
図11においては、球状透明部材83の球面が丸みを帯びて発光している様子を視認することもできる。
図12は、LED861~865を発光させた状態において、告知部6aを前方から撮影した写真である。
図12に示すように、告知部6aにおいても、線形の発光体fを視認することができる。
これは、線形の発光体fが高輝度であるため、その前方に中パネル6があっても、そのまま透過して視認されるからである。
図11や
図12に示すように、導光板85の前端部851における発光体fやその光り方は、豆電球におけるフィラメントやその光り方と似ており、いずれも高輝度で線状に発光する。
また、これらの図に示すように、球状透明部材83における丸みを帯びた光り方は、豆電球(ガラス球)の光り方と似ている。
このように、告知ユニット8によれば、告知部6aを発光表示しつつ、豆電球のフィラメントのように線形の発光体fを見せることができ、あたかも豆電球によって告知部6aが発光表示されているように見せることができる。
【0021】
ここで、豆電球のフィラメントは特に高輝度に発光するため、豆電球の光り方により近づけるためには、発光体fをなす導光板85の前端部851の発光輝度を高めることが求められる。
これに対し、本実施形態に係る導光板85は、前端部851を除き周囲を遮光部材84で覆うことで、光が導光板85の内部を伝播する過程で外部に漏れず、前端部851にのみ光が集中するようにしている(
図8,
図10等参照)。
【0022】
また、
図10等に示すように、導光板85の後端部を、前端部851に比べ肉厚に形成している。
これにより、入射面積を大きくすることができ、入光量を増やすことができる。
また、
図13に示すように、導光板85を楕円錐状(後端面を楕円状)に形成し、板面(上面及び下面)をやや湾曲した形状にしている。
このようにすることで、後端部から入射した光を前端部851(特に中央部)に集中し易くなり、前端部851における発光輝度を効果的に高めることができる。
【0023】
告知ユニット8は、上記以外にも、豆電球や豆電球の光り方を再現するための以下の構成を備えている。
【0024】
図14は、
図9に示す導光板85の拡大図である。
図14に示すように、導光板85の前端部(前端面)851には、多数の凹凸を細かな周期で設けている。
これにより、前端部851において光を広範囲に拡げることができ、発光体fの輝度を均一化しつつ高めることができる。
このため、均一かつ高輝度に発光するフィラメントの発光態様に近づけることができる。
また、細かな周期に基づく多数の凹凸そのものによって、見た目にもフィラメントのコイルのように見せることができる。
【0025】
導光板85は、水平(横向き)、具体的には、板面を上方向又は下方向に向けた態様で設けている。
これにより、発光体fの線形が横向きに見えるため、フィラメントが横向きの豆電球が設置されているように見せることができる。
また、これにより、フィラメントが横向きの豆電球が設置されていた、かつての遊技機を連想させ、懐かしさを感じさせることができる。
なお、導光板85を水平以外(例えば垂直)に設けることも可能であり、これにより、フィラメント(豆電球)の見え方を変えることもできる。
【0026】
導光板85の前端部851は、複数の辺に基づいて形成されている。
本実施形態に係る導光板85は、前端部851を台形状に形成している。
なお、導光板85の前端部851の形状は、台形状に限らず、例えば、三角形状、五角形状など、複数の辺に基づいて形成される様々な形状にすることができる。
このように、導光板85の前端部851を、複数の辺に基づく形状にすることで、発光体fを、
図16(a)~(c)などに示されるような様々な形状のフィラメントのように見せることができ、そのフィラメントを使用した豆電球やその光り方を再現することができる。
【0027】
図14に示すように、本実施形態に係る導光板85は、前端部851が、左側の辺851aと、中央の辺851bと、右側の辺851cとの3つの辺に基づいて形成されており、このうち、左側の辺851aと右側の辺851cをそれぞれ斜辺とし、中央の辺851bを短い底辺とする台形を形成している。
導光板85の前端部851の形状を、台形状にすることで、例えば、
図16(b)に示すように、フィラメントの形状が台形状の豆電球のように見せることができる。
【0028】
導光板85の前端部851における台形は、左右非対称にしている。
具体的には、台形の斜辺のうち、左側の辺851aと右側の辺851cとの長さを異ならせている。
より具体的には、右側の辺851cが左側の辺851aよりも長くなるようにしている。
このように、右側の辺851cを相対的に長くしたのは、本実施形態のスロットマシン1において、告知部6aは、前扉1aの左側に配置されており、遊技者からは、右側の辺851cは視認し易く、左側の辺851aは視認しづらいからである。
この場合、仮に、右側の辺851cを短くすると、遊技者からは、実際の豆電球には存在するはずのない遮光部材84が視認され易くなり、豆電球の再現性を阻害する。
なお、左側の辺851aも長くしたとしてもそのような問題は生じないが、遊技者から視認しづらい左側の辺851aを長くしても光学的に無駄が多い。
左側の辺851aを短くしても視認性上の問題は小さい一方、導光板85の左側に対し遮光部材84で覆われる部分を増やすことになるため、遊技者から見え易い右側の辺851cや中央の辺851bの部分に光が集中される結果、よりその部分の輝度を高めることができる。
【0029】
図15は、告知ユニット8の要部を遊技者側(右側)から撮影したときの写真である。
この写真に示されるように、右側の辺851cを相対的に長くすることによって、結果的に、発光体fを、
図16(c)に示される豆電球のフィラメントのように見せることもできる。
つまり、
図15を見ると、球状透明部材83の中心から右側の辺851cと中央の辺851bとによって構成されたV字状の発光体fを視認することができるが、これは、
図16(c)の電球を前方から見たときのフィラメントの形態に似ている。
このため、かつての遊技機に用いられていた、
図16(b)のタイプ(フィラメントが台形状)の電球だけでなく、
図16(c)のタイプの豆電球やその光り方を再現することができる。
なお、告知部6aが前扉1aの右側に配置されてある場合には、左側の辺851aの長さを相対的に長くすることで同様の光学的効果や視覚的効果を得られる。
【0030】
導光板85の軸は、
図10に示すように、完全な水平ではなく、やや下向きになるように設けている。
これは、前扉1a及びその躯体が、完全な垂直ではなく、やや上向きに(約6度に)傾斜しており、告知ユニット8は、前扉1aの躯体であるパネル枠61に取り付けられるからである。
仮に、前扉1aが完全に垂直な場合には、告知ユニット8をパネル枠61に取り付けるだけで導光板85を水平にすることができるが、実際の前扉1aは、傾斜しているため、導光板85を水平にはできない。
そこで、導光板85を、予めその傾斜を相殺する傾斜角度(下向き約6度)に傾けておくことで、告知ユニット8をパネル枠61に取り付けるだけで水平になるようにしている。
これにより、遊技者に対し、導光板85の前端部851を正面から見せることができる。
つまり、遊技機固有の条件に対応しつつ、遊技者に線形の発光体fを見せることができる。
【0031】
図8(a)、
図13(b)に示すように、中央の辺851bを、完全な直線ではなくやや湾曲した形状にすることもできる。
これにより、やや湾曲したフィラメントの豆電球やその光り方を再現することができる。
なお、
図16(b)のタイプの豆電球には、先端の辺がやや湾曲したものもあることから、この種の豆電球やその光り方を再現することができる。
【0032】
次に、
図9~
図10等を参照しながら、補助光源LED862~865から発せられた光によって告知部6aの全体が発光表示される仕組みについて説明する。
なお、
図9及び
図10において、破線矢印は、LED862~865から発せられた光の進行を模式的に示している。
これらの図に示すように、LED862~865から発せられた光は、光拡散板82の後方(後面)から入射する。
図17は、LED862~865から発せられた光が拡散された場合の光拡散板82における発光態様を模式的に示す図である。
図11及び
図17に示すように、光拡散板82に入射した光は、内部で散乱される結果、各LED862~865を中心とした同心円状に拡散される。
なお、
図17の破線で示す領域862a~865aは、それぞれLED862~865から発せられた光が拡散された場合の発光領域を模式的に示したものである。
光拡散板82において拡散された光は、前面(出射面)から前方に向けて出射される。
これにより、告知部6aは、全体的に発光表示される。
【0033】
ところで、
図17において点線で示される円は、告知部6aに表れる球状透明部材83の陰影83aを模式的に示したものである。
このような陰影83aは、無指向性である実際の豆電球には表れないため問題である。
この問題に対し、主光源LED861のみ発光させた場合に陰影83aが顕著に表れることが判明した。
このため、主光源LED861だけでなく、各補助光源LED862~865を発光させることで陰影83aをある程度目立たなくすることができた。
ただし、単に主光源と補助光源を発光させるだけだと陰影83aを完全に無くすことはできない。
【0034】
そこで、本発明の発明者は研究を重ねた結果、主光源LED861と、補助光源LED862~865との相対的な明るさの関係に基づいて陰影83aが完全(ほぼ完全を含む)になくなることを突き止めた。
例えば、LED861の光束を約1ルーメンに設定し、LED862~865の光束をそれぞれ約0.25ルーメンに設定することで、陰影83aがほぼ表れないようにできた(
図12参照)。
すなわち、主光源の光束と、各補助光源の光束の合計値とが等しくなるようにすることで、陰影83aを完全に無くすことができた。
これにより、告知部6aにおける視認性を向上することができる。
なお、陰影83aの非表示には、光束のほか、光源の位置、個数、指向特性等の各要素が関係すると考えられるところ、これら各要素に関する係数を求めることで、様々な条件においても陰影83aを非表示にすることができる。
【0035】
以上のように、本発明の遊技機においては、告知部6aなどの絵柄が施された中パネル6と、中パネル6の後方に配置され、絵柄を発光表示させるための告知ユニット8(発光部)と、を備えたスロットマシン1などの遊技機において、告知ユニット8は、光源であるLED861と、LED861の前方に、突出した態様で設けられた細長の導光板85と、導光板85の前方に設けられた球状透明部材83と、を備え、LED861から発せられた光は、導光板85及び球状透明部材83を介して絵柄を発光表示させることを可能にしている。
これにより、フィラメントのような線形の発光体fを視認させつつ絵柄を発光表示することができ、豆電球のような質感で暖かみのある光り方を、LEDを用いて再現することができる。
【0036】
また、本発明の遊技機においては、告知ユニット8は、第1光源であるLED861と、第1光源の周囲に設けた第2光源であるLED862~865と、LED861の前方に、突出した態様で設けられた導光板85と、導光板85の前方に設けられた球状透明部材83と、LED862~865の前方に設けられた光拡散板82と、により構成され、LED861から発せられた光は、導光板85及び球状透明部材83を介して絵柄の中心部を発光表示させることが可能であり、LED862~865から発せられた光は、光拡散板82を介して絵柄の中心部の周囲を発光表示させることを可能にしている。
これにより、LEDを用いて豆電球のような質感で暖かみのある光り方をもって絵柄の中心部を発光表示させつつ、補助光源のLEDを用いて中心部の周囲を全体的に発光表示させることができる。
【0037】
これに対し、従来の遊技機においては、発光素子の階調制御等に基づいて面白味のあるランプ演出を行うものがあったが、豆電球のような暖かみのある光り方を再現することはできず、また、豆電球のように見せることも困難であった。
本発明の遊技機によれば、LED861、導光板85、球状透明部材83等を用いて豆電球のような光り方や豆電球のように見せることができる。
このため、本発明によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0038】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態において、遊技機は、スロットマシンである例を示したが、これに限定されない。遊技機は、例えば、パチンコ、玉スロなどその他の遊技機でもよい。
また、遊技機は、メダルなどの現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の疑似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆるメダルレス遊技機でもよい。さらに、遊技機は、遊技球などの遊技媒体を外部に払い出さず、内部循環させてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機でもよい。
また、本実施形態において、「透明」は、完全な透明に限らず、半透明や有色の透明・半透明なども含む。
導光板85の前端部851の形状は、左右対称であってもよい。
例えば、前扉1aの中央に告知部6aが配置されている場合には、導光板85の端部を、左右対称の台形状にすることが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1 スロットマシン
6 中パネル
6a 告知部
8 告知ユニット
81 前部フレーム
82 光拡散板
83 球状透明部材
84 遮光部材
85 導光板
851 前端部
86 LED基板
861~865 LED
87 後部フレーム
f 発光体