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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】投映システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 27/00 20060101AFI20241216BHJP
   E04H 3/10 20060101ALI20241216BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241216BHJP
   A63J 17/00 20060101ALI20241216BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G09B27/00 B
E04H3/10 Z
G03B21/00 D
A63J17/00
H04N5/74 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020200360
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088101
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】508067839
【氏名又は名称】有限会社大平技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 貴之
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-257933(JP,A)
【文献】特開2010-060745(JP,A)
【文献】特開2016-170252(JP,A)
【文献】特開2005-031270(JP,A)
【文献】特開2013-026824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 27/00-08
E04H 3/10
G03B 21/00
A63J 17/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想球体の中心を通る水平面よりも下側に設けられた基礎面と、
前記中心を通る水平面よりも下側に下端縁が設けられ、前記下端縁から上側の前記仮想球体の内面の全面に設けられた球面様のスクリーンと、
観客が位置するように構成された面が前記下端縁より上側に配置され、前記スクリーンよりも内側に前記スクリーンから離間して配置されている観客台と、
前記観客台よりも下側の前記観客から見えない位置に配置されて投映領域が互いに異なる複数のプロジェクタを含み、前記複数のプロジェクタで前記中心を通る水平面よりも下側から前記仮想球体の頂上まで隙間なく前記スクリーンに映像を投映するように構成されているプロジェクタ群と
を備え
前記プロジェクタ群は、水平方向の位置が前記スクリーンと前記観客台との間となる位置であって前記基礎面に配置され、前記スクリーンの頂上の部分を含む第1の領域に映像を投映するように構成された少なくとも一つの前記プロジェクタを含む第1のプロジェクタ群を含む、
投映システム。
【請求項2】
前記プロジェクタ群は、前記観客台の下方に配置され、前記第1の領域よりも下側の第2の領域に映像を投映するように構成された少なくとも一つの前記プロジェクタを含む第2のプロジェクタ群を含む、請求項に記載の投映システム。
【請求項3】
仮想球体の中心を通る水平面よりも下側に設けられた基礎面と、
前記中心を通る水平面よりも下側に下端縁が設けられ、前記下端縁から上側の前記仮想球体の内面の全面に設けられた球面様のスクリーンと、
観客が位置するように構成された面が前記下端縁より上側に配置され、前記スクリーンよりも内側に前記スクリーンから離間して配置されている観客台と、
前記観客台よりも下側の前記観客から見えない位置に配置されて投映領域が互いに異なる複数のプロジェクタを含み、前記複数のプロジェクタで前記中心を通る水平面よりも下側から前記仮想球体の頂上まで隙間なく前記スクリーンに映像を投映するように構成されているプロジェクタ群と
前記観客台を傾斜可能に支持するアクチュエータと、
前記プロジェクタ群に前記観客台の傾斜に応じた映像を前記スクリーンに投映させる制御装置と
を備え
前記プロジェクタは、前記観客台が傾斜しても前記観客から見えない位置に配置されている、
投映システム。
【請求項4】
前記観客台は、前記観客の目の位置が前記中心を通る水平面と等しい高さ又は当該水平面よりも高い位置となるように配置されている、請求項1乃至の何れかに記載の投映システム。
【請求項5】
前記観客台は、下方から前記基礎面の上に支持されている、請求項1乃至の何れかに記載の投映システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投映システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドーム状のスクリーン又は球状のスクリーンなどに映像を投映して、その映像を観客が観賞するシアターが知られている。このようなシアターでは、一般に複数のプロジェクタが用いられる。それぞれのプロジェクタから投映される映像が互いに適切につながるように各部が調整されることで、広いスクリーンの全面に一つの映像が映し出される。例えば、半球状のドームスクリーンに夜空の映像などが投映されるデジタルプラネタリウムなどが知られている。
【0003】
映像に取り囲まれることによって、観客はその映像の世界に没入する感覚を味わうことができる。例えば特許文献1には、球体の内壁をスクリーンとして全球にわたって映像を投映する全球型映像施設に関する技術が開示されている。この施設では、球体の中央を貫通するように橋梁状の通路が設けられている。通路の両端は、球体の内外に開口した一対の出入り口と連結している。この出入り口のそれぞれの周囲には複数台のプロジェクタが配置され、各プロジェクタが対向するスクリーンの分割領域に映像を投映する。これら分割領域の画像をつなぎ合わせることで全球にわたって映像が投映される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4538352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている施設では、ほぼ全球にわたって映像が投映され得るが、観客の観覧スペースが細長い通路であり、観覧スペースがごく限られる。また、観客は、出入り口の周囲に設けられたプロジェクタを容易に視認できる。プロジェクタを視認できる状況では、観客は映像世界への没入感を得にくい。
【0006】
本発明は、観客に投映映像への没入感を与えられる観賞環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、投映システムは、仮想球体の中心を通る水平面よりも下側に設けられた基礎面と、前記中心を通る水平面よりも下側に下端縁が設けられ、前記下端縁から上側の前記仮想球体の内面の全面に設けられた球面様のスクリーンと、観客が位置するように構成された面が前記下端縁より上側に配置され、前記スクリーンよりも内側に前記スクリーンから離間して配置されている観客台と、前記観客台よりも下側の前記観客から見えない位置に配置されて投映領域が互いに異なる複数のプロジェクタを含み、前記複数のプロジェクタで前記中心を通る水平面よりも下側から前記仮想球体の頂上まで隙間なく前記スクリーンに映像を投映するように構成されているプロジェクタ群とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、観客に投映映像への没入感を与えられる観賞環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る投映システムの構成例の概略を示す側方から見た模式図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る投映システムの構成例の概略を示す上方から見た模式図である。
図3図3は、第2の実施形態に係る投映システムの構成例の概略を示す側方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る投映システム1の構成例の概略を示す側方から見た模式図である。図2は、投映システム1の構成例の概略を示す上方から見た模式図である。投映システム1は、球面様のスクリーンに複数のプロジェクタによって投映される映像を、観客が当該球面の内部から観賞することができるドーム型の映像シアターに関する。複数のプロジェクタによって投映される映像は、互いに適切につながるように調整されており、スクリーンの全面に一つの大きな映像が映し出されるように構成されている。特に、投映システム1では、水平方向全周にわたって天頂から観客の目の位置よりも下まで映像が映し出される。
【0011】
投映システム1の構成について、仮想球体91を考えて説明する。投映システム1は、基礎面10の上に設けられている。基礎面10は、仮想球体91の中心92を通る水平面93よりも下側に設けられている。投映システム1の球面様のスクリーン20は、基礎面10の上側の仮想球体91の内面の全面に設けられている。すなわち、スクリーン20の下端縁21は、仮想球体91の中心92を通る水平面93より下側にある。また、スクリーン20の下端縁21は、基礎面10と仮想球体91との交線に又は当該交線よりも上側に位置している。このように、スクリーン20は、仮想球体91の中心92を通る水平面93より下側から仮想球体91の頂上94までを隙間なく覆っている。言い換えると、本実施形態の投映システム1では、スクリーン20は、半球よりも広く下側まで、180度を超えて過半球状に設けられている。なお、ここで示す例では、基礎面10は、水平な平面としているが、これに限らない。基礎面10は、水平から傾いていてもよいし、湾曲していたり凹凸があったりしてもよい。
【0012】
投映システム1では、観客は、観客台30に乗って映像を観賞する。観客台30の観客が位置する面31は、スクリーン20の下端縁21より上側に位置している。また、観客台30は、水平方向には仮想球体91の中央部分に、すなわち、スクリーン20よりも内側に、スクリーン20から離間して配置されている。図示する例では、観客台30は、円盤形状をしている。このように、投映システム1では、スクリーン20と観客台30との間には、隙間95がある。観客台30の高さは、観客台30の上の観客87の目の位置88が、仮想球体91の中心92を通る水平面93と等しい高さ又は水平面93よりも高くなることが好ましい。例えば、観客台30の高さは、仮想球体91の中心92を通る水平面93よりも高い。観客台30は、例えば、観客台支持部33によって、下方から基礎面10の上に支持されている。観客台30の周縁部には柵又は囲い壁32が設けられており、柵又は囲い壁32は、観客87が観客台30の外側に体を出さないように制限し、また、所定の範囲で観客87の下向きの視線を遮る。
【0013】
スクリーン20と観客台30とのこのような配置によって、観客台30の上の観客87は、水平方向には観客87の全周にわたって、垂直方向には自身の足元よりも下にあるスクリーン20の下端縁21近傍から天頂のスクリーン20の頂上22まで、観客87の周囲を取り囲んだ映像を観賞することができる。このような周囲を囲む映像によって、観客87は、映像への没入感を得ることができる。
【0014】
なお、観客87は、基礎面10の高さに設けられた入り口から投映システム1の内部に入り、基礎面10から観客台支持部33に設けられた階段又はエレベータなどで、観客台30の真下から、又は、観客台30の側部から、観客台30の上に登ることができる。あるいは、投映システム1は、入退場時のみ観客台30の面31に接続される、観客台30の横から水平方向に延びる通路、又は、観客台30の上から垂直方向に延びるエレベータなどで、観客87が観客台30の面31に出入りするように構成されていてもよい。
【0015】
投映システム1は、スクリーン20に映像を投映するため、複数のプロジェクタ61を備える。各々のプロジェクタ61が映像を投映する領域は互いに異なり、それらの端の一部が重なるように配置されている。投映システム1では、このように、複数のプロジェクタ61を含むプロジェクタ群50によって、スクリーン20の下端縁21付近から上側の全面に隙間なく映像が投映される。すなわち、プロジェクタ群50の複数のプロジェクタ61によって、仮想球体91の中心92を通る水平面93よりも下側から仮想球体91の頂上94まで隙間なくスクリーン20に映像が投映される。プロジェクタ群50の各プロジェクタ61は、コンピュータを有する映像制御装置71に接続されている。各プロジェクタ61が投映する映像は、映像制御装置71によって制御される。
【0016】
ここで、プロジェクタ群50の各々のプロジェクタ61は、観客台30よりも下側の観客87から見えない位置に配置されている。したがって、観客87から見てスクリーン20に投映される映像がプロジェクタ61の光によって邪魔されることがないし、プロジェクタ61が視界に入って観客87が興ざめすることもないし、プロジェクタ61によって投映される映像に観客87の影が映り込むこともない。
【0017】
プロジェクタ61の配置についてさらに説明する。プロジェクタ群50は、少なくとも1つのプロジェクタ61を含む第1のプロジェクタ群51と、少なくとも1つのプロジェクタ61を含む第2のプロジェクタ群52とを含む。第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61は、スクリーン20の上側の第1の領域81に映像を投映するように構成されている。第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61は、スクリーン20の下側の第2の領域82に映像を投映するように構成されている。図示する例では、第1のプロジェクタ群51と第2のプロジェクタ群52とは、それぞれ6台のプロジェクタ61を含む。それぞれ6台の第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61と第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61とが、水平方向に6分割された領域に映像を投映することで、水平方向に360度、全周にわたって映像が投映される。
【0018】
第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61は、それぞれスクリーン20と観客台30との隙間95の基礎面10に配置されている。すなわち、第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61は、水平方向の位置がスクリーン20と観客台30との間となる位置に配置されている。第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61が映像を投映する第1の領域81は、スクリーン20の頂上22を含む領域である。第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61は、観客台30の下方の基礎面10の観客87から死角になる領域であって、水平方向には観客台30から離れてスクリーン20側に寄った位置に配置され得る。このような配置によって、当該プロジェクタ61は、観客台30や観客87が妨げになることなく、無理なくスクリーン20の頂上22の部分まで映像を投映することができる。
【0019】
第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61は、それぞれ観客台30の下に配置されている。第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61が映像を投映する第2の領域82は、第1の領域81の下側の領域である。観客台30の下に配置されることで、第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61は、観客87から見えることがない。また、観客台30の下に配置されることで、当該プロジェクタ61は、観客87よりも下方に位置する部分を含むスクリーン20の下側の第2の領域82に、無理なく映像を投映することができる。
【0020】
本実施形態の投映システム1によれば、観客87を、水平方向に全周にわたって、垂直方向に180度以上にわたって、映像で囲むことができ、観客87に投映映像への没入感を与えることができる観賞環境を提供することができる。このような投映システム1は、例えばプラネタリウムにも応用できる。
【0021】
従来からドーム状又は球状の映像シアターが知られている。例えば、半球状のドーム型のスクリーンの全面に複数のプロジェクタで映像を投映することが行われている。このような場合には、観客の存在が投映を妨げないように、一般に、半球状のスクリーンよりも下側に観客席を設け、半球状のスクリーンの下側からプロジェクタで映像を投映することが行われる。すなわち、観客は、半球状のスクリーンの下から見上げることになる。例えば、星空を見上げるプラネタリウムなどの用途としては、このような構成も優れている。しかしながら、観客により没入感を与える映像としては、天頂から観客の目の高さよりも下側まで観客を映像で覆うことが好ましい。
【0022】
180度を超えて過半球状のスクリーンを設けて、天頂から観客の目の高さよりも下側まで映像を投映する構成としては、スクリーンの一部に穴をあけて、その穴からプロジェクタで映像を投映する構成も知られている。このような構成では、観客を避けるように映像を投映することができるので、球状のスクリーンへの投映も可能である。しかしながら、このような構成では、プロジェクタを配置する穴の部分で映像が途切れ、全周にわたって観客を映像で囲むことはできない。また、このことは、観客に映像への没入感を与えることの妨げとなる。
【0023】
これらに対して、本実施形態の投映システム1によれば、球状ではなく足下への投映はないものの、水平方向の全方位にわたって、天頂から観客87の目の位置88よりも下側まで180度以上の範囲で、途切れることのない映像で観客87を囲むことができる。投映される映像に観客87の影が出ることはなく、また、観客87はプロジェクタ61を一切視認できない。このため、臨場感が損なわれることはない。投映システム1は、このような広い視野角の映像により、観客87にこれまでに体験したことがない感覚を与えることができる。なお、投映システム1では、映像が投映されない観客87の足元の空間が、プロジェクタ61を配置する空間として適切に活用されていると言える。
【0024】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図3は、本実施形態に係る投映システム2の構成例の概略を示す側方から見た模式図である。本実施形態に投映システム2では、観客台30が、観客台支持部33の上に傾斜支持機構40を介して支持されており、この点が第1の実施形態の投映システム1と異なる。
【0025】
傾斜支持機構40は、観客台30を傾斜可能に支持するアクチュエータ41を含む。傾斜支持機構40は、例えば、スチュワートプラットフォームなどと称される機構であり、観客台30の底面の3か所をそれぞれ2つ、合計6つの油圧式のアクチュエータ41で支持する機構である。各々の油圧式のアクチュエータ41の長さが制御されることで、観客台30の位置及び姿勢は、x、y、zの3軸の平行移動とピッチ、ロール、ヨーの3軸の回転との合計6自由度で制御される。
【0026】
観客台30の上には、シートベルトを備えた座席が設けられている。観客87は、シートベルトで体を座席に固定して着席し、スクリーン20に投映される映像を観賞する。
【0027】
傾斜支持機構40の動作は、観客台制御装置72によって制御される。映像制御装置71と観客台制御装置72とは、制御装置73に接続されている。制御装置73は、映像制御装置71を介して制御するスクリーン20に投映する映像と、観客台制御装置72を介して制御する観客台30の傾き等の動きとを同期させる。スクリーン20に投映される映像を観客台30の傾斜に連動して傾けて、観客87に傾斜したことを気付かせずに水平方向の重力ベクトルを感じさせる。このようにして、観客87は、加速感や減速感を疑似的に体験できるようになっている。
【0028】
投映システム2では、プロジェクタ61は、観客台30が傾斜した場合でも、観客87から見えない位置に配置されている。すなわち、投映システム2では、プロジェクタ61の配置、スクリーン20の形状、観客台30の最大傾斜角度、観客台30上の座席及び柵又は囲い壁32の位置関係が考慮されている。
【0029】
第2の実施形態の投映システム2でも、第1の実施形態の投映システム1と同様に、複数のプロジェクタ61を含むプロジェクタ群50によって、映像制御装置71の制御下でスクリーン20の全面に隙間なく映像が投映される。各々のプロジェクタ61は、観客台30よりも下側の観客87から見えない位置に配置されている。
【0030】
プロジェクタ群50は、第1のプロジェクタ群51と第2のプロジェクタ群52とを含む。第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61は、それぞれスクリーン20と観客台30との隙間95の基礎面10の観客87から死角になる位置に配置されている。第1のプロジェクタ群51のプロジェクタ61は、スクリーン20の頂上22を含む第1の領域に映像を投映する。
【0031】
第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61は、それぞれ観客台30の下に配置されている。第2のプロジェクタ群52のプロジェクタ61は、第1の領域81の下側の第2の領域82に映像を投映する。第1の実施形態の投映システム1では、第1の領域81の下端からスクリーン20の下端縁21まで、1台のプロジェクタ61によって映像が投映されている。これに対して、第2の実施形態の投映システム2では、第1の領域81の下端からスクリーン20の下端縁21までの第2の領域82が、上側領域82aと下側領域82bとに分割されている。第2のプロジェクタ群52は、上側プロジェクタ群52aと下側プロジェクタ群52bとを含む。第2の領域82の上側領域82aには、第2のプロジェクタ群52の上側プロジェクタ群52aによって映像が投映される。第2の領域82の下側領域82bには、第2のプロジェクタ群52の下側プロジェクタ群52bによって映像が投映される。
【0032】
この例のように、第2の領域82は、高さ方向にいくつに分割されていてもよい。なお、第2の領域82の上側領域82aなどに映像を投映するプロジェクタ61は、第1のプロジェクタ群51と同様に、スクリーン20と観客台30との隙間95の基礎面10に配置されていてもよい。このように、本実施形態において、及び上述の第1の実施形態においても、プロジェクタ61の配置と各々のプロジェクタ61が映像を投映する領域とは、適宜に調整され得る。
【0033】
本実施形態の投映システム2も、観客87を、水平方向に全周にわたって、垂直方向に180度以上にわたって映像で囲むことができる。さらに、本実施形態の投映システム2は、観客87に加速度をも感じさせることができる。その結果、投映システム2は、観客87により高い没入感を与えることができる観賞環境を提供することができる。
【0034】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0035】
例えば、上述の各実施形態において、スクリーン20の形状は、球面の一部に限らず、楕円球の一部であっても、歪んだ形状であってもよい。上述の各実施形態では、これらの形状も含めて球面様として説明している。
【符号の説明】
【0036】
1 投映システム
2 投映システム
10 基礎面
20 スクリーン
21 下端縁
22 頂上
30 観客台
31 面
32 柵又は囲い壁
33 観客台支持部
40 傾斜支持機構
41 アクチュエータ
50 プロジェクタ群
51 第1のプロジェクタ群
52 第2のプロジェクタ群
52a 上側プロジェクタ群
52b 下側プロジェクタ群
61 プロジェクタ
71 映像制御装置
72 観客台制御装置
73 制御装置
81 第1の領域
82 第2の領域
82a 上側領域
82b 下側領域
87 観客
88 目の位置
91 仮想球体
92 中心
93 水平面
94 頂上
95 隙間

図1
図2
図3