(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】内外装用板材
(51)【国際特許分類】
E04B 9/24 20060101AFI20241216BHJP
E04D 3/36 20060101ALI20241216BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
E04B9/24 H
E04D3/36 M
E04B9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020214535
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】川島 次郎
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-016107(JP,A)
【文献】実開昭62-149512(JP,U)
【文献】特開昭62-248759(JP,A)
【文献】特開平09-217466(JP,A)
【文献】特開2002-097748(JP,A)
【文献】特開2001-317152(JP,A)
【文献】特開平06-101306(JP,A)
【文献】実開昭52-135321(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
E04B 7/00-7/24
E04D 1/00-3/40
E04D 13/00-15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦状の面板部の左右に、上方へ立ち上げられると共に基端付近に係合部を備える立上り部と、該立上り部の上端から外側へ
水平状に延在される支持面部と、該支持面部の先端が折り下げられた折下げ部と、を有する内外装用板材であって、
保持部材に設けられた水平状の支持台部上にて、左右に隣り合う当該
内外装用板材の前記支持面部が重合状に接続されることにより、表面が平坦状の外装面で、裏面が平坦状の内装面を形成できることを特徴とする内外装用板材。
【請求項2】
前記係合部は、前記面板部側へ突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内外装用板材。
【請求項3】
左右に隣り合う当該内外装用板材の前記係合部間には、化粧材又は吊り金具が取付可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内外装用板材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用いる部材(本体及び保持部材)が簡易で、しかも施工を極めて容易に行うことができる内外装用板材に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨躯体からなる横梁(躯体)に対してタイトフレームを固定し、該タイトフレームに折板を敷設する屋根構造は広く知られている。
このような屋根構造では、横梁の長手方向に対して直交する方向に折板が敷設されている。また、横梁は、屋根材の形状等から3~5mの間隔で構築されるため、タイトフレームの取付、屋根材の敷設等の作業時に室内側に足場を設置するためスペースが必要となる。
また、この場合の天井構造は、一般に、前記屋根構造の施工とは、別々に行われている。
そのため、屋根を施工後に、体育館などで、天井施工を行おうとすると、その天井施工のみで、足場などが必要であった。
【0003】
例えば特許文献1には、C形鋼(リップ付き溝形鋼)間に天井材等の壁材を架設している構造が提案されている。
また、特許文献2には、梁上に天井折板体と折板屋根体とを敷設している構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4764375号公報
【文献】特許第5973749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1では、用いられる壁材が、天井としての専用材であって、天井材以外での使用は困難であった。具体的には、面板部の左右端縁のうち、一方の取付部としてはC形鋼を覆うように取り付けているが、他方の取付部はC形鋼の下フランジのリップに取り付けているため、連続する外装面を形成することができない構成であった。
また、前記特許文献2では、そもそもが異なる形状の天井折板体と折板屋根体とを敷設しているように、一体で内外装を兼用するものを提案するものではなかった。
このように前記特許文献1,2は、屋根構造と天井構造との両方に用いることができるものではないため、前述の製品管理等の諸問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、用いる部材(本体及び保持部材)が簡易で、しかも施工を極めて容易に行うことができる内外装用板材を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、面板部の左右に、上方へ立ち上げられると共に基端付近に係合部を備える立上り部と、該立上り部の上端から外側へ水平状に延在される支持面部と、該支持面部の先端が折り下げられた折下げ部と、を備える内外装用板材であって、保持部材に設けられた水平状の支持台部上にて、左右に隣り合う当該内外装用板材の支持面部を重合状に接続することにより、表面が平坦状の外装面で、裏面が平坦状の内装面を形成できることを特徴とする内外装用板材に関するものである。
【0008】
また、本発明は、前記内外装用板材において、前記係合部は、面板部側へ突出するように形成されていることを特徴とする内外装用板材をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記内外装用板材において、左右に隣り合う当該内外装用板材の係合部間には、化粧材又は吊り金具が取付可能であることを特徴とする内外装用板材をも提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内外装用板材は、本体自体も極めて簡易であって、水平状の支持台部を備える簡易な保持部材にて左右に隣り合う内外装用板材を容易に接続することができ、天井面等の平坦状の内装面(即ち天井材等の内装材として)と、屋根面等の平坦状の外装面(即ち屋根材等の外装材として)とを、保持部材(支持台部)上より天井側から、同時に容易に形成できる。
【0011】
また、前記係合部は、面板部側へ突出するように形成されている場合、この係合部を側方から保持部材への押し付け部分として用いることができ、当該立上り部の変形を生ずることなく適正位置にこの立上り部を配置させることができる。
【0012】
また、左右に隣り合う当該内外装用板材の係合部間には、化粧材又は吊り金具が取付可能である場合には、目地キャップ等の化粧材や照明器具等の吊り金具を容易に取り付けることができ、意匠性の向上や機能性の向上が果たされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)本発明の第1実施例の
内外装用板材とそれを支持する保持部材(C形鋼)とを示す正面図、(b)下地に固定した保持部材に、外装材として
内外装用板材を取り付けた状態を示す正面図である。
【
図2】(a)天井材として本発明の第1実施例の
内外装用板材を取り付けると共に目地キャップを取り付けた状態を示す正面図、(b)用いた目地キャップを示す正面図、(c)天井材として第1実施例の
内外装用板材を取り付けると共に吊り金具を取り付けた状態を示す正面図、(d)用いた吊り金具を示す正面図である。
【
図3】(a)天井材として本発明の第1実施例の
内外装用板材を、別の保持部材に取り付けた状態を示す側面図、(b)その流れ方向の断面図である。
【
図4】(a)天井材として本発明の第1実施例の
内外装用板材を、別の保持部材に、別の目地キャップを併用して施工する状態を示し、
内外装用板材の立上り部に対して側方から別の目地キャップ材を組み付ける状態を示す正面図、(b)その斜視図、(c)隣り合う別の
内外装用板材を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図5】(a)本発明の第1実施例の
内外装用板材を施工して形成される天井面を示す斜視図、(b)その断面図、(c)保持部材及び下地を省略して示す断面図である。
【
図6】(a)左右に隣り合う本発明の第1実施例の
内外装用板材の接続部分にて形成される縦桟状部分に、外側カバー材を取り付けた状態を示す断面図、(b)別の外側カバー材を取り付けた状態を示す断面図、(c)更に別の外側カバー材を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図7】(a)左右に隣り合う本発明の第1実施例の
内外装用板材の接続部分にて形成される縦桟状部分に、縦葺き屋根構造を取り付けた状態を示す流れ方向の断面図、(b)その桁行方向の断面図である。
【
図8】(a)隣り合う本発明の第2実施例の
内外装用板材間に取付補助材を取り付けた状態を示す正面図、(b)取付補助材を取り付けた部分を拡大して示す正面図、(c)当該例における目地キャップを拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の内外装用板材(以下、本体という)は、面板部の左右に、上方へ立ち上げられると共に基端付近に係合部を備える立上り部と、該立上り部の上端から外側へ延在される支持面部と、該支持面部の先端が折り下げられた折下げ部と、を備え、保持部材に設けられた水平状の支持台部上にて、左右に隣り合う当該本体の支持面部を重合状に接続することにより、内装材(天井材)又は外装材としても使用することができることを特徴とする。
【0015】
前記本体は、前述のように面板部と、その左右に、上方へ立ち上げられると共に基端付近に係合部を備える立上り部と、該立上り部の上端から外側へ延在される支持面部と、該支持面部の先端が折り下げられた折下げ部と、を備えている。そして、保持部材に設けられた水平状の支持台部上にて、左右に隣り合う当該本体の支持面部を重合状に接続することにより、内装材又は外装材としても使用することができ、内装面又は外装面の何れか一方或いは両方を形成することができる。
なお、前記「外側」とは、面板部から遠ざかる方向を指すものであって、そのため、面板部の左側に形成される立上り部の上端から更に左側へ延在するように支持面部が設けられ、面板部の右側に形成される立上り部の上端から更に右側へ延在するように支持面部が設けられる。
【0016】
前記面板部は、内装面又は外装面を形成する部位であって、平板状でも波板状でもよいし、内装面を形成する場合には、その上面に断熱材や各種の機能性材を配設してもよい。或いは多数の孔を有する多孔性面板でもよく、その場合、例えばパンチングメタルにて当該部分(面板部)を形成することができ、断熱材や各種の機能性材を配設してもしなくてもよいが、吸音や軽量等を考慮したものとなる。
【0017】
前記立上り部は、前記面板部の左右が上方へ立ち上げられた部位であって、略垂直状でも傾斜状でもよく、その基端付近に、適宜形状の係合部が形成されている。この係合部としては、保持部材に係合する部位としてもよいし、化粧材や吊り金具等が取り付ける部位としてもよい。
なお、この係合部は、面板部側へ突出するように形成されていることが望ましく、この係合部を側方から保持部材への押し付け部分として用いることができ、当該立上り部の変形を生ずることなく適正位置にこの立上り部を配置させることができる。
【0018】
前記支持面部は、前記立上り部の上端から外側へ延在されるであって、保持部材の支持台部上に載置される部位であり、隣り合う本体が重合状に接続される箇所でもあるため、予め固定具を打ち込む取付孔を形成しておいてもよい。
この支持面部は、保持部材の支持台部上にて重合状に載置されるので、当該支持面部を、保持部材の支持台部の幅長より僅かに大きく形成することで、上方からすっぽりと嵌合状に取り付けることができる。なお、更に詳しくは、左右の一方が下方に位置し、他方が上方に位置するとすれば、下方の支持面部は、支持台部の幅長より僅かに大きく形成され、上方の支持面部は、それ(下方の支持面部の幅長)より更に僅かに大きく形成されればよい。
【0019】
前記折下げ部は、前記支持面部の先端が折り下げられた部位であって、特にその長さ(折り下げ長さ)については限定しないが、前述のように支持面部を保持部材の支持台部の幅長より僅かに大きく形成する場合には、この折下げ部は、支持面部が嵌合状に取り付けられる際に係止状に取り付けられるものとなる。
【0020】
前記本体を支持する保持部材は、前述のように水平状の支持台部を備える部材であって、後述する図示実施例のようにC形鋼等の型鋼を用いてもよいし、又は帯状鋼材の成形体でもよいし、或いは板状材を適宜に折り曲げて用いてもよい。
前記支持台部は、その大きさ(幅長)を限定するものではなく、隣り合う本体の支持面部を載置させた状態でビス等の固定具を打ち込むことができるものであればよい。また、前述のように前記本体の支持面部を、この支持台部の幅長より僅かに大きく形成することで、上方からすっぽりと嵌合状に取り付けることができるため、予め前記支持面部の幅長に応じて調整される。
また、この保持部材としては、前述のように各種構成のものを用いることができるが、本体と同程度の長さを備える連続材でもよいし、所定間隔で設置する複数の短尺材でもよい。
【0021】
また、この保持部材が固定される下地(躯体)は、後述する図示実施例では横梁であるが、特に限定するものではなく、前記固定部をこの下地上に沿わせて適宜に固定具にて固定すればよい。
【0022】
本発明の本体は、それ自体もそれを支持する保持部材も極めて簡易であって、保持部材の支持台部に対し、左右に隣り合う本体に形成した支持面部を重合状にさせて接続すればよいので、屋根側からでも容易に施工を行うことができ、実用的価値が極めて高いものである。
特に屋根側から施工できるため、室内側に足場等も必要としないので、足場のための巨大なスペースも足場形成のための膨大な費用も必要とすることがない。
【0023】
また、左右に隣り合う当該本体の係合部間には、化粧材又は吊り金具が取付可能である場合には、目地キャップ等の化粧材や照明器具等の吊り金具を容易に取り付けることができ、意匠性の向上や機能性の向上が果たされる。
【第1実施例】
【0024】
本発明の第1実施例の本体1は、
図1(a)に示すように面板部11の左右に、上方へ立ち上げられると共に基端付近に係合部121,121'を有する立上り部12,12'と、該立上り部12,12'の上端から前記支持台部21側へ延在して該支持台部21上にて載置される支持面部13,13'と、該支持面部13,13'の先端が折り下げられた折下げ部14,14'とを備え、保持部材2に設けられた水平状の支持台部21上にて、左右に隣り合う本体1,1の支持面部13,13'が重合状に接続されることにより、内装材(天井材)又は外装材としても使用することができる。
また、面板部11の左右に形成される立上り部、支持面部、折下げ部は、重合させる際に上面側になる側(図面では左側)を12,13,14とし、下面側になる側(図面では右側)を12',13',14'として区別した。
【0025】
前記本体1を支持する保持部材2は、C形鋼(リップ付き溝形鋼)であって、前記本体1を外装材として用いる場合には、この保持部材2は長さ方向に連続する通し材であって、梁等の構造材を兼用する。
この第1実施例における保持部材2は、前記のようにC形鋼であるから、その上フランジが水平状の横片である支持台部21であって、ウエブが垂直状縦片である脚部22であって、下フランジが水平状横片である固定部23であり、上フランジ(支持台部)21の先端には下向きのリップ211が、下フランジ(固定部)23の先端には上向きのリップ231が備えられている。
なお、この
図1(b)にて保持部材2が立設される下地3は、横梁である躯体であって、H鋼材等からなり、該実施例では、下地3に固定されたL字鋼3bを介して保持部材2が立設(固定)されている。
【0026】
なお、前述のようにこの保持部材2がC形鋼である仕様では、以下の四つの想定が可能であり、その組み合わせても多様である。
(1)本体1をそのまま外装材として単独で使用する。
(2)本体1を外装材として用い、その上に太陽電池等の設備を載置する。
(3)本体1を配設した上に更に別の外装材を敷設することで純粋な「天井材」として使用する(後述する
図7)。
(4)本体1の下方に吊り金具を介して室内側に設備を設置する。
前記(1),(2)のように本体1を外装材として使用する場合には、外装材のみの使用でもよいし、仮に下方側から目地が見える場合には凹部又はC形鋼に化粧材や目地カバーを配設してもよい。即ち化粧材や目地カバーを配設することで天井面としての意匠性を出すことができるので、天井材を兼ねることができる。
前記(3)のように本体1を天井材として使用する場合は、パンチング材を用いて面板部を形成したり、面板部上に断熱材を敷設することもできる。なお、目地部は、カバーを配しても配さなくても良い。
前記(4)では、前記(1)~(3)のように本体1を外装材か天井材かの何れか、或いは両方として使用した状態で、吊り金具等を介してさらに付属設備を配置可能である。
【0027】
この第1実施例における外装材としての本体1の係合部121,121'は、当該
図1には保持部材2に係合する部位としても、化粧材や吊り金具等が取り付ける部位としても示されていないが、係合部121,121'間に後述する目地キャップや吊り金具等を配設した場合には、天井材等の内装材として用いることもできる。
【0028】
この外装材としての本体1の支持面部13,13'は、面板部11と同様に外装面を形成する部位であって、該支持面部13,13'を保持部材2の支持台部21に固定するには、上方から図示しない固定ビス等を打ち込めばよいが、該固定ビスからの雨水等の浸入を防止する止水処理を行うことが望ましい。
また、その立上り部12,12'の高さ寸法は保持部材2のウエブ(脚部22)より僅かに高く、その支持面部13,13'の幅寸法は上フランジ(支持台部21)より僅かに大きく形成されているので、保持部材2に対して上方からすっぽりと本体1を取り付けることができる。
【0029】
この第1実施例の本体1は、それ自体も極めて簡易であって、水平状の支持台部21を備える簡易な保持部材(C形鋼)2にて左右に隣り合う本体1,1を容易に接続することができ、屋根面等の外装面の施工に容易に適用することができる。
【0030】
図2(a)や
図2(c)には、第1実施例の本体1を、外装材としても内装材としても用いることができることを示している。即ちこれら
図2(a)、(c)は、前記
図1の仕様に、目地キャップ4A、吊り金具6を配した仕様であり、このまま外装材としても用いることができ、上層に新たな外装材を敷設することで天井材としても用いることもできる。
そのうち、
図2(a)は、左右に隣り合う本体1,1間に意匠性を持たせる
図2(b)に示す目地キャップ4Aが取り付けられている例であって、
図2(c)は、隣り合う本体1,1の係合部121,121'に架け渡すように
図2(d)に示す吊り金具6が取り付けられている例である。
【0031】
前記目地キャップ4Aは、
図2(b)に示すように保持部材2の下フランジ(固定部23)を覆う化粧下面41、上向きリップに沿う上向き片44、脚部22に沿う縦面部42、上フランジ(支持台部21)に沿う差し込み部43を備え、前記上向き片44の上端には係合片441が設けられている。
この目地キャップ4Aは、本体1の配設以前に保持部材2に取り付けられるものであって、該保持部材2に目地キャップ4Aを取り付けた後に、本体1が取り付けられる。その際、目地キャップ4Aの係合片441の外側に係合部121が係合するように取り付ける。即ち本体1の取り付けに際し、より安定に取り付けることができるため、目地キャップ4Aはビス等によって固定前の仮止めとなる。
【0032】
前記吊り金具6は、
図2(d)に示すように複数の金属加工片を溶接やボルトナット6bにて一体化したピース材であり、左右一対の突っ張り先端611,611を備える横片状の天板部61と、該天板部61の中央から縦片部62が垂下状に室内側へ延在しており、その下端が水平状に折り曲げられ、図示しない各種照明器具等を固定する連結横片63が設けられている。なお、連結横片63には、各種照明器具等を容易に取り付けることができるように取付ナット631等が固定されている。
この吊り金具6は、本体1,1の係合部121,121'の内側に突っ張り先端611,611が押圧状に取り付けられ、ピース材であるため、取付位置、数量等を任意に選択できる。
【0033】
図3(a),(b)は、金属板材を適宜形状に切り抜き折り曲げした形状(側面視がひ字状で正面視が略矩形状)の保持部材2Bを、予め下地3上に載置状に取り付け、該保持部材2Bの左右の側縁251に前記本体1,1を係合状に取り付けた例である。
この例における保持部材2Bは、底面部24の前後面25,25を略垂直状に且つ対向状に立ち上げ、該前後面25,25の上端を外側へ略水平状に折曲して支持台部26,26とした構成である。
なお、下地3は、横梁である躯体であって、C形鋼からなり、更に下側に配設したH形鋼30上に伏せるように配設されている。
【0034】
前記保持部材2Bは、前後面25,25のそれぞれの左右の側縁251,251に、左右の前記本体1,1の立上り部12,12'(係合部121,121'を含む)が係合状に沿う状態で取り付けられる(沿うような形状に成形されている)ので、本体1をより安定に取り付けることができる。
【0035】
図4は、前記
図3と同様に保持部材2Bを用いた例であるが、その長さ方向に隣り合う保持部材2B,2B間に目地キャップ4Bを取り付けた例であり、同図には本体1と目地キャップ4Bとを同時に施工する手順を示している。
この目地キャップ4Bは、前記
図2(a)における目地キャップ4Aとほぼ同様(但し、配設向きが正対する)であるが、係合片441を備えない以外はほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。なお、この目地キャップ4Bには、保持部材2Bを室内側から覆うものではないが、左右に隣り合う本体1,1間に意匠性を持たせる目的では共通する。
【0036】
図4(a),(b)は、予め下地3上には前記構成の保持部材2Bが所定間隔で固定されており、それに対し、本体1と目地キャップ4Bとを同時に施工している。
即ち最も左側に位置する保持部材2Bに対し、その左側から本体1を取り付けると共に、その右側から目地キャップ4Bを回動させながら取り付けている。
なお、特に
図4(b)に示されるように目地キャップ4Bの長さは、長さ方向に隣り合う下地3,3間(長さ方向に隣り合う保持部材2B,2B間)よりも短いため、保持部材2Bにて回動が阻害されることなく(即ち目地キャップ4Bは、保持部材2Bには接触しておらず)、目地キャップ4Bを容易に回動させて取り付けることができる。
その後、
図4(c)に示すように新たな本体1を上方から嵌合させるように容易に取り付けることができ、以後、前記手順を繰り返して施工する。
【0037】
図5(a)は、前記手順を繰り返して左右に本体1を三枚隣接させた状態を示し、
図5(b)にはその断面図を、
図5(c)には本体1と目地キャップ4Bとの組み合わせ状態を示している。
【0038】
このように
図4及び
図5のように施工される天井構造では、天井材としての本体1の面板部11が連続する天井面が形成され、その継ぎ目部分には、室内側から下地3,3間に目地キャップ4Bが配設された状態が見えるため、意匠性に優れたものである。
【0039】
図6(a)~(c)には、前記
図2(c)の例における左右に隣り合う本体1,1の接続部分にて形成される縦桟状部分に取り付ける外側カバー材のバリエーションを示している。なお、この外側カバー材は、その目的によって通し材(連続材)であってもピース材であっても良く、また、複数部材を組み合わせたものであっても良い。
但し、前記
図2(c)の例では、C形鋼の保持部材2を用いたが、当該
図6では前記金属板材の成形材である保持部材2Bを用いている。そのため、この
図6における本体1や吊り金具6等については前記
図2(c)の例と同様であるから、図面に同一の符号を付し、保持部材2Bについては前記
図3等と同様であるから、図面に同一の符号を付してそれぞれ説明を省略する。
【0040】
図6(a)は、左右に隣り合う本体1,1の接続部分にて形成される縦桟状部分に、外側カバー材5Aを上方から取り付けたものである。
この外側カバー材5Aは、金属又は硬質樹脂の成形体であって、中央に凹状部511を備える平坦状の頂部51の左右から傘状に側面部52,52が折り下げられた形状であり、この側面部52,52の下端には、それぞれ内側上方へ跳ね上げ状の係合部521,521が設けられている。この係合部521,521は、左右の係合部121,121'の外側に係合(嵌合)状に取り付けられる。なお、側面部52,52の内側には、内側へ向かって水平状の延在片522,522が設けられ、取付状態に際して左右の支持面部13,13'を押さえるように配設される。そのため、縦桟状部分に対し、外側カバー材5Aは、側面部52,52の延在片522,522と係合部521,521とで上下左右から包囲状に取り付けられるものとなる。この延在片522,522は、外側カバー材5Aを上方から強く深く押圧し過ぎることを防止する。そのため、この外側カバー材5Aは、前記縦桟状部分に上方から押圧するだけで、左右に隣り合う本体1,1に弾性的に嵌合されて取り付けられる。
なお、この外側カバー材5Aの頂部51中央に設けられた凹状部511は、図示しないボルトの頭部を陥入させて長さ方向にスライド移動させる支持部として用いることができ、雪止め具や太陽電池等を支持させることができる。
【0041】
図6(b)は、左右に隣り合う本体1,1の接続部分にて形成される縦桟状部分に、外側カバー材5Bを側方から取り付けたものである。
この外側カバー材5Bは、金属又は硬質樹脂の成形部品の組合わせ体であって、左右対称状の部品をボルトナット541にて連結したものであり、略水平状の頂部53と、略垂直状の縦状部54と、支持面部13,13'に沿う略水平状の台状部55と、その側端から立上り部12,12'に沿う側面部56,56とからなる。なお、側面部56,56の内側には、内側へ向かって水平状の延在部561,561が設けられ、この延在部561,561は、左右の係合部121,121'の外側に係合(嵌合)状に取り付けられる。
そのため、この外側カバー材5Bは、前記縦桟状部分に側方から容易に取り付けられる。なお、この外側カバー材5Bの頂部53には、図示しない太陽電池等を支持させることができる。
【0042】
図6(c)は、左右に隣り合う本体1,1の接続部分にて形成される縦桟状部分に、外側カバー材5Cを上方から取り付けたものである。
この外側カバー材5Cは、前記本体1と同様に金属板材の成形体であって、平坦状の頂部57の左右から傘状に側面部58,58が折り下げられた形状であり、この側面部58,58の下端には、それぞれ内側上方へ跳ね上げ状の係合部581,581が設けられている。この係合部581,581は、左右の係合部121,121'の外側に係合(嵌合)状に取り付けられる。なお、側面部58,58の折り曲げ下端は、面板部11に近接状に配設されているため、面板部11上を流れる雨水等は、側端の立上り部12,12'へ流れる際に、この外側カバー材5Cの側面部58,58によって遮られるので、立上り部12,12'を伝って上方へ雨水が侵入することも防止される。
【0043】
これらの
図6(a)~(c)に示される例における本体1は、内装材(天井材)と外装材との何れかの機能を有するものとして用いることもできるが、前述のように同時に内装材(天井材)としても外装材としても機能するものである。
【0044】
図7に示す縦葺き外装構造は、前記取付下地面(支持面部13,13')上に、流れ方向(同図(a)では左右方向、同図(b)では前後方向)に沿って配設されたW字状の排水部材9Aと、該排水部材9A,9A間に配設された断熱材9Bと、前記排水部材9Aの中央に設けられた隆起状固定部91に跨るように配設された支持部材9Cと、隣り合う支持部材9C,9C間に配設される縦葺き外装材7Eと、左右の縦葺き外装材7E,7E間を覆うカバー材7Fと、からなる。
前記支持部材9Cは、排水部材9Aが流れ方向にずれ動かないように固定する役割と、縦葺き外装材7Eを弾性的に嵌合させて保持する役割を果たし、カバー材7Fは上方から押圧するだけで嵌合状に支持部材9Cに取り付けられ、縦葺き外装材7Eは、カバー材7Fと支持部材9Cとの間に挟着状に取り付けられる。そして、略平坦状の外装面が施工されるものとなる。
【0045】
この例では、天井材としての本体1の支持面部13,13'上に屋根構造が施工されるものであり、屋根構造については天井構造には全く制限を受けないので、前述のように外装(屋根)構造を限定するものではない。
【第2実施例】
【0046】
図8(a)は、左右に隣り合う第2実施例の本体1",1"間に目地キャップ4Cを取り付けた状態を示し、この本体1"を支持する保持部材2は、前記第1実施例と同様にC形鋼(リップ付き溝形鋼)である。
【0047】
この第2実施例における本体1"は、略水平状の面板部11及び支持面部13,13'については前記第1実施例の本体1と同様であるが、立上り部15,15'が、係合部151,151'を除く部分、及び折下げ部16,16'が略垂直状である点で前記第1実施例の本体1と相違する。即ち前記第1実施例における立上り部12,12'とこの第2実施例における立上り部15,15'とは、面板部11から垂直状に立ち上がると共にその上端を水平状に折り曲げた構成では共通するが、前記第1実施例では、係合部121,121'の突出頂点から上端まで続くなだらかな傾斜状となっているのに対し、この第2実施例では、係合部151,151'の突出頂点から短い急な傾斜状となってそこから再び垂直状に立ち上がっている点が相違する。言い換えれば、前記第1実施例の係合部121,121'はく字状の上辺が長く、この第2実施例の係合部151,151'はく字状の上辺が短い点で相違する。或いは前記第1実施例では立上り部12,12'における垂直状部分は、係合部121,121'の下方にのみ存在するのに対し、この第2実施例では立上り部15,15'における垂直状部分が係合部151,151'の上方にも下方にも及んでいる点で相違するともいえる。
【0048】
また、前記目地キャップ4Cは、
図8(c)に示すように水平状の底面部(化粧下面41")の左右に、略垂直状の縦面部42",42"が立ち上げられ、該縦面部42"の上端に、内側へく字状に折り曲げられた被取付部421"が設けられている構成である。
この目地キャップ4Cは、保持部材2の下フランジ(固定部)23に下方から取り付けられるが、隣り合う本体1",1"間に配設されるので、被取付部421",421"間に跨がって突っ張るように取り付けられるものとなる。そのため、本体1"は、
図8(b)に拡大して示すように隣り合う被取付部421",421"間に対し、係合部151,151'が安定に取り付けられるものとなるため、目地キャップ4Cは取付補助材としても寄与する。
なお、前記本体1"も前記第1実施例における本体1と同様に天井材等の内装材として用いることもできる。
【0049】
そのため、この目地キャップ4Cは、C形鋼である保持部材2の下フランジ23を隠す目的では、少なくとも保持部材2より長い寸法を備える必要がある。
なお、この目地キャップ4Cの配設に際し、側方から前記化粧下面41"の下面に手を伸ばして持ち上げるようにすると、被取付部421",421"と係合部151,151'が安定に係合され、本体1"も目地キャップ4Cも安定に取り付けられるものとなる。
【符号の説明】
【0050】
1,1" 本体(内外装用板材)
11,11" 面板部
12,12',15,15' 立上り部
121,121',151,151' 係合部
13,13' 支持面部
14,14',16,16' 折下り部
2,2B 保持部材
21,26 支持台部
22 脚部
23,24 固定部
3 下地(躯体,横梁)
4A,4B,4C 目地キャップ
41,41" 化粧下面
5A,5B,5C 外側カバー材
6 吊り金具