(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
B01D53/26 220
B01D53/26 100
(21)【出願番号】P 2021054422
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】今川 圭介
(72)【発明者】
【氏名】甲田 幸大
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-195603(JP,A)
【文献】特開2009-248071(JP,A)
【文献】国際公開第2020/196213(WO,A1)
【文献】特開2006-220385(JP,A)
【文献】特開2006-125670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
F24F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排出口とを備える筐体と、
前記吸込口から吸い込んだ空気中の水分を除湿する除湿ロータを備える除湿部と、
前記吸込口から前記除湿部に向かう空気を冷却する冷却部と
を備え
、
前記除湿部は、
前記除湿ロータを加熱する加熱器と、
前記除湿ロータを回転駆動させる駆動モータと、
前記加熱器により加熱され且つ前記除湿ロータを通過した空気と熱交換する熱交換器と
を備え、
前記熱交換器は前記除湿ロータと前記冷却部との間に設けられ、
前記除湿ロータは、前記加熱器と対向する第1領域から、前記加熱器と前記熱交換器とに対向しない第2領域を経て、前記熱交換器と対向する第3領域に向かうように回転駆動される
除湿装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記吸込口側から見て、前記除湿ロータの中心を通り上下方向に延伸する仮想線の片側に配されている
請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記第2領域のうち半分が前記冷却部と対向する
請求項
1又は2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記冷却部は、前記熱交換器と対向し且つ近接する状態で、設けられている
請求項
1~3の何れか1項に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記加熱器により加熱された空気であって前記除湿ロータから前記熱交換器に供給される空気は、前記除湿ロータに対向する前記冷却部の周辺部を通過する
請求項
1~4の何れか1項に記載の除湿装置。
【請求項6】
前記筐体内に、圧縮器と蒸発器と放熱器とを備える冷凍サイクル式の第2除湿部を備え、
前記冷却部は前記第2除湿部の前記蒸発器である
請求項1~5の何れか1項に記載の除湿装置。
【請求項7】
前記除湿部は、前記蒸発器と前記放熱器の間に配されている
請求項6に記載の除湿装置。
【請求項8】
前記蒸発器と前記除湿部との距離は、前記除湿部と前記放熱器との距離よりも小さい
請求項6又は7に記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の水分を除く除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿装置として、例えば、「本体1の背面に設けられた吸込口2と上面前部に設けられた吹出口4とを結ぶ空気通路に、蒸発器10と、結露用ラジエタ11と、凝縮器12と、吸熱用ラジエタ13とを順次配設する一方、本体1の前面下部に設けられた吸込口3に対向して、空気中の水分を吸湿する吸湿ロータ8を回動自在に設け、同吸湿ロータ8を前記結露用ラジエタ11と前記吸熱用ラジエタ13とに配管により接続する」装置が提案されている(例えば特許文献1)。
上記除湿装置においては、蒸発器10から凝縮器12を通り吹出口4に至る空気通路と、吸湿ロータ8から吹出口4に至る空気通路とが途中で合流している。つまり、蒸発器と凝縮器による空気の凝縮と、除湿ロータによる吸着とが個別に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除湿装置において、除湿効率を高めたいとの要望がある。
本発明は、除湿効率を高めることができる除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る除湿装置は、吸込口と排出口とを備える筐体と、前記吸込口から吸い込んだ空気中の水分を除湿する除湿ロータを備える除湿部と、前記吸込口から前記除湿部に向かう空気を冷却する冷却部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、冷却された空気が除湿部に供給されるため、除湿効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る除湿装置の斜視図であり、(a)は前側上方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
【
図3】筐体を外した状態の斜視図であり、(a)は前側上方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
【
図4】筐体を外した装置の分解状態を前側上方から見た斜視図である。
【
図5】筐体を外した装置の分解状態を後側下方から見た斜視図である。
【
図6】装置の上部の断面拡大図であり、(a)は左右方向から見た図であり、(b)は、左右方向の上方から見た図である。
【
図8】(a)は吸込口側から第1除湿部等を見た図であり、(b)は吸込口側から蒸発器等を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の除湿装置は、吸込口と排出口とを備える筐体と、前記吸込口から吸い込んだ空気中の水分を除湿する除湿ロータを備える除湿部と、前記吸込口から前記除湿部に向かう空気を冷却する冷却部とを備える。これにより、冷却部を備えない構造に対して、除湿ロータの温度を低くでき、除湿ロータの吸湿効率を高めることもできる。
実施形態の別態様に係る第2の除湿装置は、第1の除湿装置において、前記除湿部は、前記除湿ロータを加熱する加熱器と、前記除湿ロータを回転駆動させる駆動モータと、前記加熱器により加熱され且つ前記除湿ロータを通過した空気と熱交換する熱交換器とを備え、前記熱交換器は前記除湿ロータと前記冷却部との間に設けられている。これにより、冷却部により冷却された低温空気が熱交換器に供給される(当たる)ため、熱交換が促進されて、除湿効率を向上できる。
実施形態の別態様に係る第3の除湿装置は、第2の除湿装置において、前記除湿ロータは、前記加熱器と対向する第1領域から、前記加熱器と前記熱交換器とに対向しない第2領域を経て、前記熱交換器と対向する第3領域に向かうように回転駆動される。これにより、加熱器による加熱された除湿ロータの高温部分に、冷却部で冷却された低温空気を通して、除湿ロータが早く吸湿できる温度まで下げることで、吸着効率を高めることができる。
【0009】
実施形態の別態様に係る第4の除湿装置は、第2又は第3の除湿装置において、前記冷却部は、前記熱交換器と対向し且つ近接する状態で、設けられている。これにより、熱交換器が低温空気で冷却されることとなり、除湿部の循環路が冷却され、熱交換器で結露が起こりやすくなり、除湿効率を高めることができる。
実施形態の別態様に係る第5の除湿装置は、第2~4の何れかの除湿装置において、前記加熱器により加熱された空気であって前記除湿ロータから前記熱交換器に供給される空気は、前記除湿ロータに対向する前記冷却部の周辺部を通過する。これにより、除湿部の循環路が冷却され、熱交換器で結露が起こりやすくなり、除湿効率を高めることができる。
実施形態の別態様に係る第6の除湿装置は、第1~5の何れかの除湿装置において、前記筐体内に、圧縮器と蒸発器と放熱器とを備える冷凍サイクル式の第2除湿部を備え、前記冷却部は前記第2除湿部の前記蒸発器である。これにより、第2除湿部により除湿効率を高めることができると共に第2除湿部を構成しない冷却部を別途設ける場合よりも装置を小型化できる。
実施形態の別態様に係る第7の除湿装置は、第6の除湿装置において、前記除湿部は、前記蒸発器と前記放熱器の間に配されている。これにより、装置を小型化できる。
実施形態の別態様に係る第8の除湿装置は、第6又は第7の除湿装置において、前記蒸発器と前記除湿部との距離は、前記除湿部と前記放熱器との距離よりも小さい。これにより、除湿効率を高めつつ装置を小型化できる。
【0010】
<実施形態>
1.除湿装置
主に、
図1及び
図2を用いて説明する。
除湿装置Xは吸込口11bと排出口11cとを有する筐体1を備える。除湿装置Xは、少なくとも、吸込口11bから吸込まれた空気を除湿する第1除湿部2と、吸込口11bから第1除湿部2に向かう空気を冷却する冷却部とを筐体1に備える。
除湿装置Xは、
図2に示すように、吸込口11bから空気を吸い込み、吸い込んだ空気を排出口11cから排出させるため送風部3を筐体1に備える。
本実施形態の除湿装置Xは筐体1内に第2除湿部4を備え、冷却部の一例として第2除湿部4の蒸発器42が利用されている。
第1除湿部2と第2除湿部4とは、両者を区別するために、便宜上、「第1」又は「第2」を付している。第1除湿部2と第2除湿部4は、筐体1内でフレーム7により支持されている。
本実施形態の除湿装置Xは、除湿された水を貯留するタンク81を筐体1に対して着脱可能に備える。除湿装置Xは、使用者が装置を操作するための操作部5、電源部と制御部とを一体に備える回路ユニット6とを備える。
ここで、説明の便宜上、タンク81が存在する側を前側、吸込口11bが存在する側を後側、排出口11cが存在する側を上側とそれぞれし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とする。
以下、各部について説明する。
【0011】
2.各部
(1)筐体
筐体1は、箱状をし、前側下部にタンク81用の開口11aを、後側の中部から上部に亘って吸込口11bを、上側前部に排出口11cを、上側後部に操作部5用の開口をそれぞれ有している。
図1及び
図2に示すように、吸込口11bにはフィルタ82が設けられ、排出口11cにはルーバー13が回動可能に設けられている。
【0012】
(2)第1除湿部
(2-1)概要
主に、
図4及び
図5を用いて説明する。
第1除湿部2は、少なくとも吸込口11bから吸い込んだ空気中の水分を除湿する除湿ロータ21を備える。つまり、第1除湿部2はデシカント式除湿部である。
第1除湿部2は、除湿ロータ21以外に、除湿ロータ21を加熱する加熱器22と、除湿ロータ21を回転駆動する駆動モータ23と、加熱器22に空気を送り込む送風器24と、加熱器22により加熱され且つ送風器24により除湿ロータ21を通過した空気と熱交換する熱交換器25と、送風器24により空気を循環させる循環路26とを第1フレーム72に備える。なお、循環路26は、送風器24と加熱器22とを接続する第1通路261と、加熱器22と熱交換器25とを接続する第2通路262と、熱交換器25と送風器24とを接続する第3通路263とを有し、第1フレーム72を利用して設けられている。
第1除湿部2は、吸込口11bから吸い込まれた空気が排出口11cから排出されるまでの空気の流路上に設けられている。
【0013】
第1除湿部2の除湿は次のようにして行われる。まず、吸込口11bから吸い込まれた空気が、除湿ロータ21を通過する際に空気中の水分(湿気)が除湿ロータ21に吸着される。除湿ロータ21の水分を吸着した部分は、除湿ロータ21の回転により加熱器22に達すると加熱される。加熱により蒸発した水分は、送風器24により第2通路262を通って熱交換器25に送られ、熱交換器25により冷却され凝縮されて水となり、タンク81に貯留される。一方、除湿ロータ21において、加熱器22により加熱された部分は水分を放出(乾燥)し、回転により再び吸込口11bからの空気の水分を吸着する。
【0014】
(2-2)除湿ロータ
除湿ロータ21は、例えばゼオライト等の吸水材(吸湿材)から構成され、円盤状をし、第1フレーム72に回転可能に支持されている。
(2-3)加熱器
加熱器22は、除湿ロータ21に対して吸込口11bと反対側に配されたヒータケース221にヒータを備え、除湿ロータ21を挟んでヒータケース221の反対側にレシーバ222を備える。ヒータケース221は第1通路261と接続し、レシーバ222は第2通路262と接続する。
加熱器22は、
図8の(a)に示すように、円盤状の除湿ロータ21と同心上に配され且つ除湿ロータ21と同じ半径の扇状をしている。加熱器22は、吸込口11b側から見ると、除湿ロータ21の中心を通り上下方向に延伸する仮想線に対して、左右方向の一方側であってその上部に配されている。
【0015】
(2-4)送風器
送風器24は、
図4に示すように、第1フレーム72おける吸込口11bと反対側であって左右方向の略中央の下部に配され、ファン241(
図2参照)とモータ242(
図4参照)とを備える。送風器24は、第1通路261を構成する第1通路カバー264に設けられている。
【0016】
(2-5)熱交換器
熱交換器25は、除湿ロータ21に対して吸込口11b側に配され、吸込口11bから吸い込まれた温度の低い空気を利用し、加熱器22で加熱された空気と熱交換する。熱交換器25は、
図5に示すように、第2除湿部4の蒸発器42と除湿ロータ21との間に配されている。熱交換器25は、
図8の(a)に示すように、吸込口11b側から見ると、除湿ロータ21の中心を通り上下方向に延伸する仮想線に対して、左右方向の他方側に配されている。
ここでの熱交換器25は、
図2、
図5及び
図6に示すように多数本の樹脂パイプ251からなる熱交換部252と、
図2及び
図6に示すように熱交換部252の上端部を支持する上支持部253と、
図2に示すように熱交換部252の下端部を支持する下支持部254とを備える。
樹脂パイプ251は、横断面が矩形状又は方形状をし、その筒軸が平行となるように支持されている。樹脂パイプ251は、その筒軸が上下方向と平行になる状態で、配されている。
上支持部253は、
図6に示すように、第2通路262の下流端部に配され、樹脂パイプ251の内部と連通する連通孔253aを左右方向に有すると共に連通孔253aの周縁部から下方に延伸するリブ部分253bを有する。なお、
図6では、第2通路262の引き出し線を矢印とし、通路を構成する第1フレーム72と区別する。
下支持部254は、第3通路263の上流端部に配され、上支持部253と同様に、連通孔とリブ部分とを有する。前後の並設された複数本の樹脂パイプ251は、上支持部253及び下支持部254のリブ部分により前後方向及び左右方向から支持される。
【0017】
(2-6)循環路
第1通路261は、第1フレーム72の前面と第1通路カバー264とで構成される。第2通路262は、第1フレーム72の後面と第2通路カバー265とで構成される。第3通路263は、第1フレーム72の後面と第3通路カバー266とで構成される。
第2通路カバー265は、
図6に示すように、左右方向と直交する断面において、「コ」字状をし、その開口側が第1フレーム72側になるように取り付けられている。第2通路カバー265は、
図8の(a)に示すように、レシーバ222の外周側と熱交換器25の上部側に亘って配されている。第2通路262の内部を移動する空気を、
図8の(a)の矢印Aで模式的に示している。
第2通路262は、
図6に示すように、蒸発器42の周辺部に配されている。つまり、除湿ロータ21から熱交換器25に供給される空気は、除湿ロータ21や熱交換器25に対向する蒸発器42の周辺部を通過する。これにより、熱交換器25へ供給される空気が蒸発器42により冷却される。
第2通路262は、
図6の(a)に示すように、熱交換器25の上方に位置する第1空間262aと、蒸発器42の上方に位置する第2空間262bとを有する。換言すると、第2通路262は、熱交換器25の上方から蒸発器42の上方に張り出すように構成されている。なお、張出部分は蒸発器42の上方を近接して張り出す。
【0018】
(3)送風部
送風部3は、
図2に示すように、排出口11cの上流側に配されている。ここでは、排出口11cの下方に設けられている。送風部3は、
図4及び
図5に示すように、除湿ロータ21と対向する送風フレーム73に取り付けられる送風カバー31と、送風カバー31における吸込口11b側に設けられたファン32と、送風カバー31における吸込口11bと反対側に設けられ且つファン32を回転駆動させるモータ33とを備える。なお、送風カバー31は送風フレーム73における吸込口11bと反対側に取り付けら、送風フレーム73は、吸込口11bからの空気を送風部3側に連通させるための貫通孔732を有している。
【0019】
(4)第2除湿部
(4-1)概要
第2除湿部4は、少なくとも、圧縮器41と蒸発器42と放熱器43とを備える。つまり、第2除湿部4は、冷凍サイクルを利用するコンプレッサー式(冷凍サイクル式)の除湿部である。なお、本実施形態の除湿装置Xは、デシカント式の第1除湿部2とコンプレッサー式の第2除湿部4とを備える、所謂、ハイブリット式である。
第2除湿部4は、圧縮器41、蒸発器42、放熱器43以外に減圧器44を備え、これらは、熱媒体が流動する配管45により接続されている。これにより、熱媒体は、圧縮器41から流出し、放熱器43、減圧器44、蒸発器42を経由して圧縮器41へと流入し、循環する。なお、熱媒体として、例えば、ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒を利用できる。
【0020】
第2除湿部4の除湿は次のようにして行われる。まず、吸込口11bから吸い込まれた空気中の水分は、蒸発器42を通過する際に熱媒体により熱が奪われる(冷却される)ことで凝縮されて水となり、タンク81に貯留される。蒸発器42の熱媒体は、通過する空気により気化した状態で圧縮器41に送られ、圧縮器41で圧縮されて高圧高温となり、放熱器43へと送られる。
蒸発器42を通過した低温の空気は、放熱器43で熱媒体から熱を奪い(昇温され)、排出口11cから排出される。放熱器43の熱媒体は、通過する空気により液化した状態で減圧器44に送られ、減圧器44で減圧されて低圧低温となり、蒸発器42に送られる。
【0021】
(4-2)圧縮器
圧縮器41はコンプレッサーにより構成されている。圧縮器41は、配管411(
図3参照)を介して蒸発器42から流入してきた熱媒体を圧縮して、配管412(
図3参照)を介して放熱器43へと流出する。圧縮器41は、重量構造物であり、筐体1の下部に配される。
【0022】
(4-3)
蒸発器42は、筐体1の吸込口11b側に配され、蒸発器42を通過する空気を低温の熱媒体により熱交換(冷却)する。蒸発器42は、熱伝導性の良い材料(例えば、銅、アルミニウム)からなるパイプ材421を備え、パイプ材421の内部を熱媒体が流動する。パイプ材421は、蒸発器42を通過する空気との熱交換効率を高めるために、ジグザク状に構成されている。ここでは、パイプ材421は、左右方向を延伸し、左右方向の端部で反対側に複数回反転する。
蒸発器42は、ジグザグ状のパイプ材421を保持する保持部材422を有している。保持部材422は、パイプ材421における左右方向に延伸する複数箇所で上下方向に連結する薄肉の板材(例えば、金属、樹脂等である)により構成されている。なお、保持部材422は、
図3~5では、1枚の板状で示している。
蒸発器42は、第1除湿部2の熱交換器25の上流側、つまり、吸込口11b側に配されている。これにより、蒸発器42により冷却された空気が熱交換器25に供給されることとなり、熱交換器25の熱交換効率を高めることができる。特に、蒸発器42は、熱交換器25に近接配置されているため、蒸発器42で冷却された空気がそのまま熱交換器25に供給されることとなり、より一層熱交換効率を高めることができる。なお、ここでいう、近接配置とは、蒸発器42と熱交換器25との間隔(隙間)が、0mm以上、10mm以下の範囲をいう。
【0023】
(4-4)放熱器
放熱器43は筐体1の排出口11c側に配されている。換言すると、放熱器43は、第1除湿部2の下流側に配されている。つまり、放熱器43は、蒸発器42とで第1除湿部2を挟むように、設けられている。
放熱器43は、放熱器43を通過する空気を高温の熱媒体により熱交換(加熱)する。放熱器43は、蒸発器42と同様に、熱伝導性の良い材料(例えば、銅、アルミニウム)からなるパイプ材431を備え、パイプ材431の内部を熱媒体が流動する。パイプ材431は、放熱器43を通過する空気との熱交換効率を高めるために、ジグザク状に構成されている。ここでは、パイプ材431は、左右方向を延伸し、左右方向の端部で反対側に複数回反転する。放熱器43は、上記のジグザグ状の2本のパイプ材431を前後方向に重ねる状態で備える。
放熱器43は、ジグザグ状のパイプ材431を保持する保持部材432を有している。保持部材432は、パイプ材431における左右方向に延伸する複数箇所で上下方向に連結する薄肉の板材(例えば、金属、樹脂等である)により構成されている。なお、保持部材432は、
図3~5では、1枚の板状で示している。
放熱器43は、第1除湿部2の除湿ロータ21の下流側、つまり、吸込口11bと反対側に配されている。
【0024】
(4-5)減圧器
減圧器44は、例えば、膨張弁やキャピラリーチューブ等により構成され、ここでは膨張弁が利用されている。減圧器44は、配管441(
図3参照)を介して放熱器43から流入してきた熱媒体を減圧して、配管442(
図3参照)を介して蒸発器42へと流出させる。
【0025】
(5)操作部
操作部5は、
図4及び
図5に示すように、使用者が装置を操作するための複数の操作手段51と、装置の運転状況や使用者の操作内容を表示する複数の表示手段52とをベース53の裏面の操作基板54に備える。なお、操作手段51はベース53に支持され、操作手段51と表示手段52は、
図1に示すように、筐体1の上面に露出している。
【0026】
(6)回路ユニット
回路ユニット6は、電気コード62から受電した商用電源から、第1除湿部2、送風部3、第2除湿部4、操作部5の表示手段52等を駆動させるための駆動電力を生成する電源部と、使用者の操作に従って第1除湿部2、送風部3、第2除湿部4、操作部5の表示手段52等を制御する制御部とを有する。電源部及び制御部は、複数個の電子部品が回路構成された回路基板に実装されることで構成され、
図4及び
図5に示すように回路ケース61に収容されている。
【0027】
(7)フレーム
主に、
図7を用いて説明する。
フレーム7は、例えば、ベースフレーム71と、第1フレーム72と、送風フレーム73とからなる。
(7-1)ベースフレーム
ベースフレーム71は、筐体1内において下部側に配され、縦板部711と横板部712とを有する。縦板部711は上下方向に延伸し、筐体1の内部において、縦板部711の前側にタンク81が配され、後側に圧縮器41が配される(
図3参照)。なお、縦板部711は、上下方向と直交する断面において「W」字状に湾曲している。これにより安定性を向上できる。
横板部712は、前後左右方向に広がり、上面に第1フレーム72と送風フレーム73とが立設状態で取り付けられる。横板部712は、第1フレーム72を固定する第1フレーム固定部713と、第2除湿部4の蒸発器42を下方から支持する蒸発下支持部分714と、送風フレーム73を固定する送風フレーム固定部分715と、第2除湿部4の放熱器43を下方から支持する放熱下支持部分716とを有する。なお、横板部712は、蒸発器42及び第1除湿部2の下方に位置する部分が傾斜面717となっており、蒸発器42や熱交換器25で冷却されて凝縮した水分をタンク81へと誘導する。
【0028】
(7-2)第1フレーム
第1フレーム72は主に第1除湿部2用である(第1除湿部2の構成部品でもある)。第1フレーム72には、除湿ロータ21、加熱器22、駆動モータ23、送風器24、熱交換器25が取り付けられ、第1通路カバー264、第2通路カバー265及び第3通路カバー266とで循環路26を構成する。
第1フレーム72には第2通路カバー265が取り付けられ、第2通路カバー265は、蒸発器42のパイプ材421における反転部分の左右方向の内側を上方から支持する蒸発上支持部分265aを有する。
これにより、第1除湿部2を支持する第1フレーム72、第1フレーム72が取り付けられる横板部712、第1通路カバー264を使って、蒸発器42を位置決め状態で支持でき、蒸発器42を簡単な構造で取り付けることができる。
【0029】
(7-3)送風フレーム
送風フレーム73は主に送風部3用である(送風部3の構成部品でもある)。送風フレーム73には、ファン32とモータ33とが取り付けられた送風カバー31が取り付けられ、送風カバー31とで排出口11cに接続する排出路35(
図2参照)を構成する。
送風フレーム73の後面には、放熱器43を左右方向に位置規制する放熱位置規制部731を有すると共に、放熱器43を上方から支持する放熱上支持体75が取り付けられる。なお、放熱上支持体75は、放熱器43のパイプ材431における反転部分の左右方向の内側を支持する放熱上支持部751を有している。なお、放熱上支持部751は保持部材432の左右方向の外側で対向する。
これにより、送風部3を支持する送風フレーム73と、送風フレーム73が取り付けられる横板部712と、放熱上支持体75とで放熱器43を位置決め状態で支持でき、送風部3を支持する従来の構造に、放熱上支持体75を設ける簡単な構造で取り付けることができる。
【0030】
3.蒸発器の位置について
図8を用いて説明する。
第1除湿部2は、吸込口11b側から見ると、
図8の(a)に示すように、除湿ロータ21に対向するように熱交換器25と加熱器22(レシーバ222)を備える。つまり、除湿ロータ21は、加熱器22と対向する第1領域、加熱器22と熱交換器25とに対向しない第2領域、熱交換器25と対向する第3領域をこの順で周方向に有する。
除湿ロータ21は、第1領域から第2領域を経て第3領域に向かうように回転駆動される。この場合、除湿ロータ21は、第1領域で加熱された後、第2領域で自然冷却され、第3領域で熱交換器25により熱交換(冷却)された空気により冷却される。これにより、第3領域を通過する空気の温度が低くなり、空気中の水分が凝縮しやすく、除湿ロータ21に吸着されやすくなる。
【0031】
第2除湿部4の蒸発器42は、
図8の(b)に示すように、熱交換器25よりも大きく、熱交換器25を覆うように、配されている。これにより、蒸発器42を通過した冷却された空気が熱交換器25に供給され、熱交換効率を高めることができる。また、熱交換された空気は温度上昇するが、蒸発器42を備えていない場合の熱交換された空気よりも温度が低く、除湿ロータ21の水分吸着率を高めることができる。
蒸発器42は、熱交換器25に対して、平行であって近接する状態で配置されている。これにより、蒸発器42から熱交換器25に向かう空気が吸熱するのを防止できる。
第2除湿部4の蒸発器42は、吸込口11b側から見ると、
図8の(b)に示すように、除湿ロータ21の左右方向の一方側端から直径の略1/4の位置を通り上下方向に延伸する仮想線に対して、左右方向の他方側に配されている。つまり、除湿ロータ21の第2領域のうち、左右方向の約半分が、蒸発器42と対向する。これにより、除湿ロータ21の第2領域が、蒸発器42からの空気により冷却されることになり、蒸発器42を備えていない場合に比べて水分吸着率を向上させることができる。
実施形態では、熱交換器25は、蒸発器(冷却部)42と除湿ロータ21との間に配されていたが、例えば、蒸発器(冷却部)42を通過した空気が熱交換器25に供給されればよく、この観点から、熱交換器25は、吸込口11bから吸い込まれた空気が排出口11cから排出されるまでの空気の流路において、蒸発器(冷却部)42と除湿ロータ21との間にあればよい。なお、蒸発器(冷却部)42により冷却された空気の全てが熱交換器に供給されてもよいし、冷却された空気の一部が供給されてもよい。
【0032】
以上、実施形態について説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、各変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0033】
<変形例>
1.筐体
筐体1は、吸込口11b及び排出口11cを有していればよく、その位置は特に限定するものではない。但し、除湿部(第1除湿部2)と冷却部(蒸発器42)は、吸込口11bから吸い込まれた空気が排出口11cから排出される流路上に位置する必要がある。
【0034】
2.冷却部
(1)位置
冷却部(第2除湿部4の蒸発器42)は、吸込口11bから見たときに熱交換器25よりも大きく、熱交換器25を覆うように配されているが、熱交換器25よりも小さくてもよい。この場合も、熱交換器25に供給される空気が冷却されることとなり、熱交換効率を高めることができる。つまり、熱交換器25に供給される空気を冷却できればよく、その大きさ、位置は特に限定するものではない。
但し、実施形態のように熱交換器25よりも大きく且つ熱交換器25を覆うようにすることで、高い熱交換効率を得ることができる。また、熱交換器25に対して冷却部(42)を吸込口11b側に配置する方が熱交換効率を高めることができる。
吸込口11b、冷却部(42)、熱交換器25、除湿ロータ21は、前後方向に並ぶように設けられているが、例えば、吸込口を筐体の側面に設ける場合、吸込口から熱交換器への空気の流路上の冷却部があればよく、前後方向に限定するものではない。
【0035】
(2)構成
冷却部(42)は、熱交換器25に供給される空気を冷却できればよく、第2除湿部4の蒸発器42以外のものでもよく、例えば、ペルチェ素子を利用した冷却でもよい。
蒸発器42内を流動する熱媒体として、HFC冷媒を利用したが、例えば、パイプ材421内に水や空気を循環させるような冷却部(放熱器等を備えない)であってもよい。
冷却部としての蒸発器42は、熱交換器25の樹脂パイプ251の筒軸方向と直交する方向に延伸し且つ筒軸方向に間隔をおいたジグザグ状に構成しているが、例えば、筒軸方向に延伸し且つ筒軸方向と直交する方向に間隔をおいたジグザグ状であってもよい。
冷却部としての蒸発器42は、1本のパイプ材421をジグザグ状にし、熱交換器25に対して吸込口11b側に1重に設けられていたが、複数本のパイプ材を使って、熱交換器25に対して多重に設けられてもよい。多重にする場合、パイプ材の延伸方向を同じにしてもよいし、異なるようにしてもよい。
【0036】
3.除湿部(第1除湿部)
(1)構造
第1除湿部2の構造は特に限定するものでないが、熱交換器25は、除湿ロータ21に対して吸込口11b側に位置し、冷却部(42)と除湿ロータ21との間にあることが好ましい。これにより、第1除湿部2の除湿効果を高めることができる。
(2)除湿ロータ
第1除湿部2の除湿ロータ21は、加熱器22と対向する第1領域から、加熱器22と熱交換器25とに対向しない第2領域に向かうように回転駆動されているが、第2領域から第1領域に向かうように回転駆動されてもよい。但し、第1領域から第2領域に向かう方が除湿機能は高くなる。
(3)第2通路(第2通路カバー)
第2通路262(第2通路カバー265)は、熱交換器25の上側であって加熱器22と除湿ロータ21とが並ぶ方向(前後方向)に張り出すように設けられているが、第2通路(第2通路カバー)は、加熱器22から熱交換器25に向かう空気が冷却部(42)により(空気が冷却部の周辺を通過することにより)冷却されればよく、第2通路(第2通路カバー)の位置は特に限定するものでない。つまり、冷却部によって冷却される位置は、冷却部に対して、上下左右前後の何れかであってもよい。例えば、熱交換器の左右方向(吸込口11bから除湿ロータ21に向かう空気の流れる方向と樹脂パイプの筒軸と直交する方向)の両側の少なくとも一方を通過するように設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
X 除湿装置
1 筐体
2 第1除湿部(除湿部)
3 送風部
4 第2除湿部
11b 吸込口
11c 排出口
21 除湿ロータ
22 加熱器
23 駆動モータ
24 送風部
25 熱交換器
41 圧縮器
42 蒸発器(冷却部)
43 放熱器
44 減圧器