(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】中心窩光学補正を用いるディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241216BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241216BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09G5/00 510A
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/00 510H
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2021560127
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 IL2020050700
(87)【国際公開番号】W WO2020261268
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-15
(32)【優先日】2019-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504616(JP,A)
【文献】特表2017-518532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0212335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの目に画像を表示するための表示システムであって、前記目が、アイモーションボックス内に位置付けられており、前記表示システムが、
(a)平行である一対の主要な外面を有する光ガイド光学素子(LOE)と、
(b)コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタであって、前記画像プロジェクタが、前記画像照明を前記LOE内に導入して、前記一対の主要な外面における内面反射によって前記LOE内を伝搬するように、前記LOEに光学的に結合されており、前記画像プロジェクタが、電気的に制御可能な可変レンズを含む、画像プロジェクタと、
(c)前記LOEの少なくともカップリングアウト領域に関連付けられているカップリングアウト構成であって、前記カップリングアウト構成が、前記LOE内を伝搬する前記画像照明の少なくとも部分を、前記ユーザの前記目で見るために前記アイモーションボックスに向け直すように構成されている、カップリングアウト構成と、
(d)少なくとも1つのプロセッサを備えるコントローラであって、前記コントローラが、前記電気的に制御可能な可変レンズに関連付けられており、かつ
(i)前記画像の現在の関心領域を決定することと、
(ii)前記現在の関心領域の外側にある前記画像の少なくとも1つのエリアにおける収差の増加を犠牲にして、前記ユーザの前記目で見られる前記画像の前記現在の関心領域における少なくとも1つのタイプの光学収差を低減するように、前記電気的に制御可能な可変レンズの特性を変化させる作動信号を生成することと、を行うように構成されている、コントローラと、を備える、表示システム。
【請求項2】
前記ユーザの前記目の現在の視線を追跡するために配備されたアイトラッキング装置をさらに備え、前記コントローラが、前記アイトラッキング装置から受信した入力に基づいて前記現在の関心領域を決定する、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記画像がビデオ画像であり、前記コントローラが、前記ビデオ画像のコンテンツを処理して、前記現在の関心領域を導出する、請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記画像がビデオ画像であり、前記コントローラが、前記ビデオ画像に関連付けられている現在の関心領域を示すデータストリームを受信する、請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのタイプの光学収差が、前記画像プロジェクタからの前記コリメートされた画像のフィールドにわたって変化し、前記電気的に制御可能な可変レンズが、少なくとも1つの軸に沿って可変光パワーを有し、前記コントローラが、前記現在の関心領域に対応する前記コリメートされた画像の領域における前記少なくとも1つのタイプの光学収差を低減するように、前記可変光パワーを変化させる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
温度を示す信号を生成する温度センサをさらに備え、前記コントローラが、温度を示す前記信号に応答して、前記画像プロジェクタの光学特性における温度に関連する変動を少なくとも部分的に補償するように、前記可変光パワーを変化させる、請求項5に記載の表示システム。
【請求項7】
前記画像プロジェクタが、異なる期間で異なる色の画像照明を順次投影し、前記コントローラが、色固有の収差補償を提供するように、前記期間と同期して前記可変光パワーを変化させる、請求項5に記載の表示システム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す値を記憶するようにさらに構成されており、前記コントローラが、前記画像プロジェクタの前記製造公差の補正を提供することと、前記現在の関心領域に対応する前記コリメートされた画像の領域における前記少なくとも1つのタイプの光学収差を低減することとの両方を行うように、前記電気的に制御可能な可変レンズを作動させるように、さらに構成されている、請求項5に記載の表示システム。
【請求項9】
前記コントローラに関連付けられているユーザ入力デバイスをさらに備え、前記コントローラが、較正プロセス中に前記ユーザ入力デバイスを介して提供されるユーザ入力に応答して、前記画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す新しい値を記憶する、請求項8に記載の表示システム。
【請求項10】
前記画像プロジェクタからの前記コリメートされた画像の焦点フィールドが不均一であり、前記電気的に制御可能な可変レンズが、可変の焦点距離を有し、前記コントローラが、前記関心領域内の前記コリメートされた画像のコリメーションを強化するように、前記焦点距離を変化させる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項11】
前記アイモーションボックスにおいて観察される前記画像の均一性が、前記LOEに導入される前記画像照明の偏光の関数として、前記画像のフィールドにわたって変化し、前記電気的に制御可能な可変レンズが、可変偏光修正レンズであり、前記コントローラが、前記現在の関心領域に対応する前記画像の領域における不均一性を低減するように、前記可変偏光修正レンズを変化させる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項12】
前記画像プロジェクタが、狭ビーム照明源と、前記画像の角度フィールドにわたる前記狭ビームの走査パターンを生成するための走査装置と、を備え、前記電気的に制御可能な可変レンズが、前記狭ビーム照明源と前記走査装置との間の光路に配備されているか、または前記走査装置に隣接している、請求項1~11のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項13】
前記画像プロジェクタが、空間光変調器およびコリメート光学系を備え、前記電気的に制御可能な可変レンズが、前記コリメート光学系と前記LOEとの間の光路に配備されるか、または前記コリメート光学系と一体化される、請求項1~11のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項14】
前記画像プロジェクタが、
(a)狭ビーム照明源と、
(b)画像平面において実画像を生成するために、前記画像の角度フィールドにわたる前記狭ビームの走査パターンを生成するための走査装置と、
(c)コリメートされた画像として前記LOEに導入されるように、前記画像平面からの画像照明をコリメートするコリメート光学系と、を備え、
前記電気的に制御可能な可変レンズが、前記画像平面と前記LOEとの間の光路に配備され、
前記表示システムが、前記狭ビーム照明源と前記画像平面との間の光路に配備された第2の電気的に制御可能な可変レンズをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項15】
前記カップリングアウト構成が、前記LOE内の複数の相互に平行な部分反射面を備え、前記部分反射面が、前記主要な外面に対して斜めである、請求項1~11のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項16】
前記カップリングアウト構成が、前記LOE内に関連付けられ、前記画像照明の一部分をカップリングアウトするように構成された回折光学素子を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項17】
ユーザの目に画像を表示するための方法であって、前記目が、アイモーションボックス内に位置付けられており、前記方法が、
(a)表示システムを提供するステップであって、前記表示システムが、
(i)平行である一対の主要な外面を有する光ガイド光学素子(LOE)と、
(ii)コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタであって、前記画像プロジェクタが、前記画像照明を前記LOE内に導入して、前記一対の主要な外面における内面反射によって前記LOE内を伝搬するように、前記LOEに光学的に結合されており、前記画像プロジェクタが、電気的に制御可能な可変レンズを含む、画像プロジェクタと、
(iii)前記LOEの少なくともカップリングアウト領域に関連付けられているカップリングアウト構成であって、前記カップリングアウト構成が、前記LOE内を伝搬する前記画像照明の少なくとも部分を、前記ユーザの前記目で見るために、前記アイモーションボックスに向け直すように構成されている、カップリングアウト構成と、を備える、提供するステップと、
(b)前記画像の現在の関心領域を決定するステップと、
(c)前記画像の少なくとも1つの他の領域において見られる画質の低下を犠牲にして、前記関心領域における少なくとも1つの光学収差を低減するように、前記電気的に制御可能な可変レンズの特性を、前記画像の前記現在の関心領域の関数として変化させるステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記現在の関心領域が、前記ユーザの前記目の現在の視線を検知することによって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記画像が、ビデオ画像であり、前記現在の関心領域が、前記ビデオ画像のコンテンツの関数として変化する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ニアアイディスプレイ用の光学系は、小さな画像生成器からの画像を、観察者の瞳の推定位置に対応するアイボックスエリア(アイモーションボックスまたは「EMB」)に投影する。この投影に使用される光学系は、通常、ミラー、レンズ、プリズムの組み合わせを含む。画像は通常、透明な導波路または透明な反射器に基づく結合器によって、観察者の目に伝達される。
【0002】
光学装置は、焦点ぼけ、球面、コマ収差、および非点収差などを含む、投影された画像の光学収差を低減するように最適化されている。
【0003】
投影されるフィールドが大きいほど、収差のない画像を生成すること、または少なくとも収差が観察者に受け入れられるレベルに保たれることは、より複雑になる。光学系は、フィールドの中心での収差を最小化するように最適化できる。ただし、フィールド全体で良好な画像を維持するには、大型、複雑、および高価な光学系が必要である。さらに、波長が異なれば光パワーも異なり、色収差が発生することになる。光学系の熱変化も光パワーの変動を生成し、それによって光学系をその公称(最小収差)位置からずらす。
【0004】
導波路に基づくシステムは、コリメートされた画像(無限遠の画像)を導波路に結合する画像プロジェクタを含む。画質が低下するもう1つの原因は、コリメートされていない(つまり、コリメートが不完全な)画像が導波路に入射されることである。
【0005】
視線追跡サブシステムは、通常、ニアアイディスプレイシステムに導入されている。したがって、観察の方向(現在の「視線」)は、通常、低遅延でシステムに認識される。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ユーザの目に画像を表示するための表示システムおよび対応する方法である。
【0007】
本発明の実施形態の教示によれば、ユーザの目に画像を表示するための表示システムであって、目が、アイモーションボックス内に位置付けられており、表示システムが、(a)平行である一対の主要な外面を有する光ガイド光学素子(LOE)と、(b)コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタであって、画像プロジェクタが、画像照明をLOE内に導入して、一対の主要な外面における内面反射によってLOE内を伝搬するように、LOEに光学的に結合されており、画像プロジェクタが、電気的に制御可能な可変レンズを含む、画像プロジェクタと、(c)LOEの少なくともカップリングアウト領域に関連付けられているカップリングアウト構成であって、カップリングアウト構成が、LOE内を伝搬する画像照明の少なくとも部分を、ユーザの目で見るためにアイモーションボックスに向け直すように構成されている、カップリングアウト構成と、(d)少なくとも1つのプロセッサを備えるコントローラであって、コントローラが、電気的に制御可能な可変レンズに関連付けられており、かつ(i)画像の現在の関心領域を決定することと、(ii)現在の関心領域の外側にある画像の少なくとも1つのエリアにおける収差の増加を犠牲にして、ユーザの目で見られる画像の現在の関心領域における少なくとも1つのタイプの収差を低減するように、電気的に制御可能な可変レンズの特性を変化させる作動信号を生成することと、を行うように構成されている、コントローラと、を備える、表示システムが提供される。
【0008】
本発明のさらなる特徴によれば、ユーザの目の現在の視線を追跡するために配備されたアイトラッキング装置もまた提供され、コントローラは、アイトラッキング装置から受信した入力に基づいて現在の関心領域を決定する。
【0009】
本発明のさらなる特徴によれば、画像は、ビデオ画像であり、コントローラは、ビデオ画像のコンテンツを処理して現在の関心領域を導出する。
【0010】
本発明のさらなる特徴によれば、画像は、ビデオ画像であり、コントローラは、ビデオ画像に関連付けられている現在の関心領域を示すデータストリームを受信する。
【0011】
本発明のさらなる特徴によれば、少なくとも1つの光学収差は、画像プロジェクタからのコリメートされた画像のフィールドにわたって変化し、電気的に制御可能な可変レンズは、少なくとも1つの軸に沿って可変光パワーを有し、コントローラは、現在の関心領域に対応するコリメートされた画像の領域における少なくとも1つの光学収差を低減するように、光パワーを変化させる。
【0012】
本発明のさらなる特徴によれば、温度を示す信号を生成する温度センサもまた提供され、コントローラは、温度を示す信号に応答して、画像プロジェクタの光学特性における温度に関連する変動を少なくとも部分的に補償するように、光パワーを変化させる。
【0013】
本発明のさらなる特徴によれば、画像プロジェクタは、異なる期間で異なる色の画像照明を順次投影し、コントローラは、色固有の収差補償を提供するように、期間と同期して光パワーを変化させる。
【0014】
本発明のさらなる特徴によれば、コントローラは、画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す値を記憶するようにさらに構成されており、コントローラは、画像プロジェクタの製造公差の補正を提供することと、現在の関心領域に対応するコリメートされた画像の領域における少なくとも1つの光学収差を低減することとの両方を行うように、電気的に制御可能な可変レンズを作動させるように、さらに構成されている。
【0015】
本発明のさらなる特徴によれば、コントローラに関連付けられているユーザ入力デバイスをもさらに提供され、コントローラは、較正プロセス中にユーザ入力デバイスを介して提供されるユーザ入力に応答して、画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す新しい値を記憶する。
【0016】
本発明のさらなる特徴によれば、画像プロジェクタからのコリメートされた焦点フィールドは不均一であり、電気的に制御可能な可変レンズは、可変の焦点距離を有し、コントローラは、関心領域内のコリメートされた画像のコリメーションを強化するように、焦点距離を変化させる。
【0017】
本発明のさらなる特徴によれば、アイモーションボックスにおいて観察される画像の均一性は、LOEに導入される画像照明の偏光の関数として、画像のフィールドにわたって変化し、電気的に制御可能な可変レンズが、可変偏光修正レンズであり、コントローラは、現在の関心領域に対応する画像の領域における不均一性を低減するように、可変偏光修正レンズを変化させる。
【0018】
本発明のさらなる特徴によれば、画像プロジェクタは、狭ビーム照明源と、画像の角度フィールドにわたる狭ビームの走査パターンを生成するための走査装置と、を備え、電気的に制御可能な可変レンズは、狭ビーム照明源と走査装置との間の光路に配備されているか、または走査装置に隣接している。
【0019】
本発明のさらなる特徴によれば、画像プロジェクタは、空間光変調器およびコリメート光学系を備え、電気的に制御可能な可変レンズは、コリメート光学系とLOEとの間の光路に配備されるか、またはコリメート光学系と一体化される。
【0020】
本発明のさらなる特徴によれば、画像プロジェクタは、(a)狭ビーム照明源と、(b)画像平面において実画像を生成するために、画像の角度フィールドにわたる狭ビームの走査パターンを生成するための走査装置と、(c)コリメートされた画像としてLOEに導入されるように、画像平面からの画像照明をコリメートするコリメート光学系と、を備え、電気的に制御可能な可変レンズは、画像平面とLOEとの間の光路に配備され、表示システムは、狭ビーム照明源と画像平面との間の光路に配備された第2の電気的に制御可能な可変レンズをさらに備える。
【0021】
本発明のさらなる特徴によれば、カップリングアウト構成は、LOE内の複数の相互に平行な部分反射面を備え、部分反射面は、主要な外面に対して斜めである。
【0022】
本発明のさらなる特徴によれば、カップリングアウト構成は、LOE内に関連付けられて、画像照明の一部分をカップリングアウトするように構成された回折光学素子を備える。
【0023】
本発明の実施形態の教示によれば、ユーザの目に画像を表示するための方法であって、目が、アイモーションボックス内に位置付けられており、方法が、(a)表示システムを提供するステップであって、表示システムが、(i)平行である一対の主要な外面を有する光ガイド光学素子(LOE)と、(ii)コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタであって、画像プロジェクタが、画像照明をLOE内に導入して、一対の主要な外面における内面反射によってLOE内を伝搬するように、LOEに光学的に結合されており、画像プロジェクタが、電気的に制御可能な可変レンズを含む、画像プロジェクタと、iii)LOEの少なくともカップリングアウト領域に関連付けられているカップリングアウト構成であって、カップリングアウト構成が、LOE内を伝搬する画像照明の少なくとも部分を、ユーザの目で見るために、アイモーションボックスに向け直すように構成されている、カップリングアウト構成と、を備える、提供するステップと、(b)画像の現在の関心領域を決定するステップと、(c)画像の少なくとも1つの他の領域において見られる画質の低下を犠牲にして、関心領域における少なくとも1つの光学収差を低減するように、電気的に制御可能な可変レンズの特性を、画像の前記現在の関心領域の関数として変化させるステップと、を含む、方法もまた提供される。
【0024】
本発明のさらなる特徴によれば、現在の関心領域は、ユーザの目の現在の視線を検知することによって決定される。
【0025】
本発明のさらなる特徴によれば、画像は、ビデオ画像であり、現在の関心領域は、ビデオ画像の内容の関数として変化する。
【0026】
本発明の一実施形態の教示によれば、ユーザの目に画像を表示するための表示システムであって、目が、アイモーションボックス内に位置付けられており、表示システムが、(a)平行である一対の主要な外面を有する光ガイド光学素子(LOE)と、(b)コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタであって、画像プロジェクタが、画像照明をLOE内に導入して、一対の主要な外面における内面反射によってLOE内を伝搬するように、LOEに光学的に結合されており、画像プロジェクタが、少なくとも1つの軸に沿って可変の光パワーを有する電気的に制御可能な可変レンズを含む、画像プロジェクタと、(c)LOEの少なくともカップリングアウト領域に関連付けられているカップリングアウト構成であって、カップリングアウト構成が、LOE内を伝搬する画像照明の少なくとも部分を、ユーザの目で見るためにアイモーションボックスに向け直すように構成されている、カップリングアウト構成と、(d)表示システムの少なくとも部分の温度を示す信号を生成する温度センサと、(e)少なくとも1つのプロセッサを備えるコントローラであって、コントローラが、温度センサおよび電気的に制御可能な可変レンズに関連付けられており、コントローラが、温度を示す信号に応答して、画像プロジェクタの光学特性における温度に関連する変動を少なくとも部分的に補償するように、光パワーを変化させる作動信号を生成する、コントローラと、を備える、表示システムもまた提供される。
【0027】
本発明のさらなる特徴によれば、コントローラは、画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す値を記憶するようにさらに構成されており、コントローラは、画像プロジェクタの製造公差の補正と、画像プロジェクタの光学特性における温度に関連する変動に対する少なくとも部分的な補償との両方を提供するように、電気的に制御可能な可変レンズを作動させるように、さらに構成されている。
【0028】
本発明のさらなる特徴によれば、コントローラに関連付けられているユーザ入力デバイスをもまた提供され、コントローラは、較正プロセス中にユーザ入力デバイスを介して提供されるユーザ入力に応答して、画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す新しい値を記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。
【
図1A】本発明の実施形態に従って構築され、動作する、ユーザの目に画像を表示するための表示システムの概略側面図であり、導波路から目に向かう画像の結合が、それぞれ反射および回折装置によって達成される。
【
図1B】本発明の実施形態に従って構築され、動作する、ユーザの目に画像を表示するための表示システムの概略側面図であり、導波路から目に向かう画像の結合が、それぞれ反射および回折装置によって達成される。
【
図1C】
図1Aおよび1Bの表示システムの実装のブロック図である。
【
図2A】本発明の文脈におけるパンチャラトナムベリー位相レンズの動作の概略表現であり、それぞれ、透過構成および反射構成で示されている。
【
図2B】本発明の文脈におけるパンチャラトナムベリー位相レンズの動作の概略表現であり、それぞれ、透過構成および反射構成で示されている。
【
図3】
図1Aおよび1Bのシステムの実装による画像プロジェクタの拡大部分図であり、本発明の一実施形態による調整可能な光学デバイスの位置決めを示している。
【
図4A(i)】
図1A~1Cの表示の角度のある視野における3つの例示的なポイントを示す図である。
【
図4B(i)】
図1A~1Cの表示の角度のある視野における3つの例示的なポイントを示す図である。
【
図4C(i)】
図1A~1Cの表示の角度のある視野における3つの例示的なポイントを示す図である。
【
図4A(ii)】
図4A(i)、4B(i)、4C(i)の例示的なポイントの連続するポイントについて、可変レンズで補正された導波路の入口開口部における軸外の角度の関数としての焦点深度を示すグラフである。
【
図4B(ii)】
図4A(i)、4B(i)、4C(i)の例示的なポイントの連続するポイントについて、可変レンズで補正された導波路の入口開口部における軸外の角度の関数としての焦点深度を示すグラフである。
【
図4C(ii)】
図4A(i)、4B(i)、4C(i)の例示的なポイントの連続するポイントについて、可変レンズで補正された導波路の入口開口部における軸外の角度の関数としての焦点深度を示すグラフである。
【
図4A(iii)】可変レンズの3つの補正状態に対する3つの例示的なポイントの角度の広がりの拡大プロットである。
【
図4B(iii)】可変レンズの3つの補正状態に対する3つの例示的なポイントの角度の広がりの拡大プロットである。
【
図4C(iii)】可変レンズの3つの補正状態に対する3つの例示的なポイントの角度の広がりの拡大プロットである。
【
図4C(iv)】
図4C(ii)の可変レンズ補正の実装による白色ドットのクロミック分離を示すプロットである。
【
図5A(i)】接線収差および矢状収差について、
図4C(i)の周辺の例示的なポイントの開口部をわたる位置の関数としての焦点平面のドット位置のプロットのグラフ表現である。
【
図5B(i)】円柱状の補正を加えた後の
図5A(i)と同様である。
【
図5A(ii)】それぞれ
図5A(i)および5B(i)に対応する、対応するスポットサイズの図である。
【
図5B(ii)】それぞれ
図5A(i)および5B(i)に対応する、対応するスポットサイズの図である。
【
図6A】
図1Aおよび
図1Bのシステムの実装による画像プロジェクタの拡大部分図であり、走査型レーザー画像生成器を使用する本発明の実施形態による調整可能な光学デバイスの位置決めを示す。
【
図6B】
図6Aのシステムの変形実装による可変レンズの代替の配備位置の部分図である。
【
図6C】
図6Aのシステムの変形実装による可変レンズの代替の配備位置の部分図である。
【
図7】二重瞳結像を備えた走査型レーザー画像生成器を使用する、
図1Aおよび1Bのシステムのための画像プロジェクタのさらなる代替の実装の概略側面図である。
【
図8】二重瞳結像を備えた走査型レーザー画像生成器を使用する、
図1Aおよび1Bのシステムのための画像プロジェクタのさらなる代替の実装のさらなる概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、ユーザの目に画像を表示するための表示システムおよび対応する方法である。
【0031】
本発明による表示システムの原理および動作は、図面および添付の説明を参照することによってより理解することができる。
【0032】
ここで図面を参照すると、
図1Aおよび1Bは、システムの主要な光学構成部品の概略図を示し、一方、
図1Cは、本発明の特定の実施形態によるシステムのブロック図である。
【0033】
一般的に、本発明は、ユーザの目502に画像を表示するための表示システム500を参照して本明細書に例示され、目はアイモーションボックス504内に位置付けられている。表示システムは、互いに平行な一対の主要な外面508、510を有する光ガイド光学要素(LOE)506を含む。コリメートされた画像の画像照明を投影する画像プロジェクタ512は、画像照明をLOEに導入して、主要な外面508、510における内面反射によってLOE内を伝搬するように、LOE506に光学的に結合される。画像プロジェクタ512は、互換的に「POD」と呼ばれる。
【0034】
LOE506の少なくともカップリングアウト領域に関連付けられているカップリングアウト構成は、LOE内を伝搬する画像照明の少なくとも部分を、ユーザの目502で見るためにアイモーションボックス504に向け直すように構成されている。カップリングアウト構成の典型的な実装は、例えば、
図1Aに示されるように、LOE506内の主要な外面508、510に対して斜めになっている複数の相互に平行な部分反射面514として実装された反射カップリングアウト装置を含む。代替のカップリングアウト装置は、
図1Bに示されるように、LOE506に関連付けられて、画像照明の一部分を結合するように構成された1つ以上の回折光学素子516を使用する。ガイド付き光ディスプレイ用の反射型および回折型の両方のカップリングアウト装置の実装の詳細は、この分野でよく知られており、簡潔にするために、ここでは詳細に説明しない。
【0035】
本発明の特定の実施形態の特に好ましい特徴は、画像プロジェクタ512が少なくとも1つの電気的に制御可能な可変レンズを含むことである。少なくとも1つの電気的に制御可能な可変レンズは、光学的変化デバイス10および/または偏光変化デバイス13によって
図1Cに概略的に表されている。少なくとも1つの電気的に制御可能な可変レンズの構造、機能、および位置決めの様々な例を以下で説明するが、本発明の特に好ましい実装において、可変レンズは、コリメートされた画像がLOEに入る前に光路に位置決めされる。
【0036】
一般的に、可変レンズは、ユーザによって見られる画像の知覚品質を改善するために、画像プロジェクタ512の出力画像の特定の補正および/または調整を容易にする。ほとんどの実装では、可変レンズは、少なくとも1つのプロセッサを含むコントローラ18の制御下で動作する。本発明の第1の態様によれば、コントローラ18は、画像の現在の関心領域を決定するように、および現在の関心領域の外側にある画像の少なくとも1つのエリアにおける収差の増加を犠牲にして、ユーザの目によって見られる画像の現在の関心領域における少なくとも1種類の収差を低減するように、電気的に制御可能な可変レンズの特性を変化させる作動信号を生成するように構成されている。
【0037】
本発明は、人間の視力が、観察視線の中心に位置付けられた狭いフィールドに対応する中心窩における画質に敏感であるが、周辺視界は画質にはるかに敏感ではないという観察結果を利用する。
【0038】
本発明のこの態様によれば、適応光学構成部品(可変レンズ)は、画質が最も必要とされる関心フィールドまたは「関心領域」における収差を最小化または低減するために、他の領域、例えば、画像の劣化が通常は知覚されないか、または少なくとも重要性が低いユーザの視野の周辺領域における収差を悪化させることを犠牲にして、プロジェクタの光学特性を連続的に修正するように作動される。このアプローチは、他の方法で許容されるよりも重大な収差を有する光学システムの使用を可能にし、それによって、より小さく、より安価で、および/またはよりコンパクトな光学系の使用を可能にする。「関心領域」および「関心フィールド」という語句は、本明細書では互換的に使用されることに留意されたい。「領域」という用語は画像の領域を指し、「フィールド」はユーザの視野の角度領域を指す。ただし、LOEからカップリングアウトされた画像は無限遠にコリメートされるため、画像の「領域」は対応する角度のある「フィールド」によって完全に定義される。
【0039】
関心領域は、いくつかの方法で導出することができる。ユーザの目の現在の視線を追跡するためにアイトラッキング装置が配備される一組の実装では、コントローラ18は、好ましくは、アイトラッキング装置から受信した入力に基づいて現在の関心領域を決定する。ほとんどの収差は視野全体で比較的スムーズに変化するため、推定される現在の視線を最適化することで、視線測定誤差および中心窩視界領域の寸法を考慮に入れるのに十分な広さのエリアで収差の低減を提供することができる。
【0040】
他の実装では、リアルタイムのアイトラッキングデータが利用できない場合に特に有用であり、関心領域は、表示される画像の内容に従って定義される。したがって、例えば、画像の領域がテキストの字幕を有する場合、字幕のエリアは、明瞭さを改善するための収差低減を提供するために優先度が高いと想定され得る。同様に、現実世界に重ねられた情報またはオブジェクトの表示のために表示エリアの部分のみが所与の瞬間に使用される拡張現実アプリケーションでは、現在表示されているエリアは、現在アクティブでない表示領域よりも優先される。関心領域は、現在アクティブな領域の重心として定義することも、コンテンツに応じてこれらのアクティブな領域間で優先順位を付けるためにさらにアルゴリズムを使用することによって定義することもできる。
【0041】
現在の関心領域を決定するための画像コンテンツの分析は、通常は好適な画像処理アルゴリズムを実装することによって、コントローラ18によってリアルタイムで実行されてもよい。これらのアルゴリズムは、前述の分析、および他の同様の分析を実装して、画像内の関心のある可能性のあるエリアを識別し、それに応じて関心領域を定義する。これには通常、次の1つ以上の検索が含まれる:表示の現在アクティブな領域、テキストまたはその他の高解像度画像要素を含む画像の領域、顔を含む画像の領域、ビデオ画像の前のフレームに対して動きを有する画像の領域。これらの画像処理アルゴリズムはすべて、よく知られた画像処理技術を使用して簡単に実装でき、標準の画像処理ライブラリの関数を使用して実行することができる。異なるタイプのコンテンツ間の優先度は、システムの使用目的に応じてシステム設計者が選択でき、システムは、画像コンテンツの種類の検出に基づいて自動的に、またはユーザの入力によって、システムの現在の使用に応じて2つ以上のモード間で切り替え可能であってもよい。
【0042】
あるいは、場合によっては、関心領域の事前に選択された定義が、ビデオ画像に関連付けられた現在の関心領域を示すデータストリームとしてコントローラ18に提供されてもよい。データストリームは、任意選択で、ビデオソースと一緒にエンコードすることができ、または動的に生成されたグラフィックスの場合、表示されるグラフィック要素を生成するプロセッサによって追加の出力として提供されてもよい。
【0043】
「コントローラ」という用語は、ここでは、可変レンズの特性を直接的または間接的に調整する作動信号を生成するデバイスを指すために使用されることに留意されたい。コントローラは、通常、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のデータ記憶デバイスと、入力および出力のための様々なインターフェースと、を含み、これらはすべて当技術分野で知られている。物理的には、コントローラは単一のユニットとすることができ、またはその機能は2つ以上のユニットに細分化することができ、コントローラは、例えば、画像プロジェクタの駆動または任意の他の必要な機能に関連する様々な追加機能を実行する処理システムと一体化することができる。プロセッサは、ディスプレイアセンブリの部分として位置付けられてもよく、または好適な通信リンクによってリンクされた異なる位置間で分割することもでき、その様々な機能を任意の所望の方法で分割することができる。プロセッサまたは複数のプロセッサは、好適なオペレーティングシステムの下で動作し、好適なソフトウェアによって、または専用ハードウェアとして、またはハードウェアとソフトウェアの任意の組み合わせによって構成される汎用プロセッサを含む、任意のタイプのプロセッサとすることができる。
【0044】
「調整可能なレンズ」という用語は、本明細書では、開口部を通過する、または開口部で反射される光の位相成分を修正する任意のデバイスを指す総称として使用される。「調整可能なレンズ」は、少なくとも1つの軸に沿って調整可能な光パワーを有するレンズ、および光の偏光に可変の影響を与えるデバイスを含む。このようなデバイスの例については、以下で説明する。
【0045】
光ガイド光学素子(LOE)という用語は、本明細書では「導波路」および「基板」と交換可能に使用され、コリメートされた画像が内面反射によって伝搬する少なくとも2つの主要な平面の平行な外面によって境界付けられる光ガイド素子を指す。拡張現実アプリケーションの場合、LOEは、投影された画像と現実世界の像とを組み合わせるという点で「コンバイナ」とも呼ばれる。コリメートされた画像と一緒に平面の平行な表面を使用すると、基板の拡張エリアにわたって画像照明の部分的なカップリングアウトによって、開口部の拡張が容易になる。任意選択で、LOEは、PCT特許出願公開第2020/049542号(本出願の優先日には未公開であり、先行技術ではない)に記載されているような、複数の次元での開口部拡張を達成するために配備された複数の特徴部のセットを含むことができる。
【0046】
本出願で言及される「画像」は、表示のエリア全体または表示エリア内の任意の領域のいずれかをカバーする任意の画像であり得る。画像は通常、一連の画像またはフレームの一部であり、「ビデオ画像」または単に「ビデオ」と呼ばれる、明らかに時間とともに変化する画像を提供する。画像および/またはビデオは、フルフレーム(例えば、長方形)画像である必要はなく、代わりに、表示される様々な孤立した領域、グラフィック要素、またはオブジェクトを定義することができることに留意されたい。さらに、画像またはビデオは、グラフィック形式で記憶またはストリーミングする必要はなく、代わりに、ベクターグラフィックスおよび/または任意の他のレンダリングハードウェアまたはソフトウェアを使用して生成することができる。いずれの場合も、ユーザの目に提示される信号は、グラフィック出力であり、通常、ピクセル位置および強度/色値のセットとして定義され、本明細書では「画像」と呼ばれる。
【0047】
収差が低減される「関心領域」の範囲は、問題の収差の空間的変動に応じて、必ずしも明確に区切られるとは限らない。多くの場合、関心領域は、特定の方向、例えば、収差低減が最適化される関心領域の中心によって定義することができ、フィールドの残りの部分に対する補正の影響は本質的に従う。しかしながら、本発明のこの態様で扱われる収差は視野全体で変化するものであるため、調整は通常、少数の角度のある視野上で、所与のタイプの収差に対する収差低減を最適化し、視野内の少なくとも1つの他の領域で同じ収差の増加を引き起こす。
【0048】
次に
図1Cをより詳細に見ると、これは、システムの非限定的な実装の構成部品を概略的に示している。
【0049】
光学的変化デバイス10および偏光変化デバイス13は、画像生成器12によって送信される画像の光学的特性を修正する。修正された画像は、コンバイナ(例えば、導波路)14および観察者の目16に送信される。コントローラ18(制御デバイス10および13)は、好ましくは、以下のリアルタイムパラメータのいくつかまたはすべてを受信する。
【0050】
1.観察者の視線の配向。この情報は、アイトラッカーシステム20によって提供される。(特に、本発明は、観察者が見ている関心領域を示す、かなり低解像度のアイトラッキング情報のみを必要とする。例えば、本発明の実装には、通常、およそ5度の精度で十分である。
【0051】
2.瞬時色照明:色シーケンスで照明するシステムは、様々なタイムスロットで様々なカラー画像(赤、緑、および青)を送信する。どの特定の色が特定のタイムスロットで点灯しているかに関する同期情報は、好ましくは、画像コントローラ22から受信される。
【0052】
3.システム温度:システムの重要な位置(複数可)に位置付けられた1つ以上の温度センサ24によって検出されたパラメータ。
【0053】
システムのシミュレーションまたはテストを使用して、上記のパラメータ、つまり視線(フィールド)、色、および温度によって生成される収差の必要な補正のためのルックアップテーブルを生成することができる。ほとんどの場合、様々なパラメータに必要な補正は加算的であるが、より複雑な補正マトリクスをシステムメモリ/データストレージ26に保存することができる。コントローラ18は、このように可変レンズを作動させて、関心のあるフィールドの部分で光学画質を最適化することができる。ルックアップテーブルは、様々なタイプの収差を考慮に入れることができ、これには、走査システムの走査ダイナミクスに関連する収差も含まれる場合がある。
【0054】
アイトラッキングに基づく動作の場合、動作中、コントローラ18は、アイトラッカー20から視線の入力を受け取り、観察者が見ている現在の関心領域における最小の収差および/または最大の信号強度のために、少なくとも1つの軸に沿った焦点および/または光パワーおよび/または偏光を最適化するように、デバイス10および13の一方または両方を作動させる。補正はまた、好ましくは、画像コントローラ22および熱センサ24の出力を考慮に入れ、データストレージ26に記憶された収差ライブラリから適切な補正を取り出すことができる。調整が視野の特定の領域に対して最適化されているという事実は、通常、視野の他の領域の画質を低下させる。ただし、これらの領域は現在、観察者の視線の近くにないため、周辺フィールドでの品質の低下は十分に許容され、通常は目立たないことさえある。
【0055】
デバイス10による光学補正を導入すると、場合によっては、画像にいくらかの歪みも導入される。この歪みは通常、(視線上で)局所的な狭い関心フィールドでの画像シフトとして現れる。このシフトは、2つのプロジェクタの補正が異なる両眼システムの場合にミスアライメントを生成する可能性がある。これに対処するために、歪みマップもメモリ26によって保存されることが好ましく、その結果、ドライバ18は、事前補償のために、予測された歪み(またはその補正)を画像プロセッサモジュール28に送信することができる。
【0056】
関心フィールド内の光学特性を改善するための電気的に制御可能な可変レンズを実装するために、様々なデバイスおよび技術を使用することができる。ボイスコイルまたはピエゾアクチュエータによる機械的なレンズの動きは任意選択であるが、速度および信頼性が制限される場合がある。より好ましい選択肢はCORNING(商標)(米国)から市販されているVARIOPTIC(商標)またはOPTOTUNE(商標)から市販されている焦点調整可能なレンズのようなコンデンサに基づくデバイスである。さらに好ましい選択肢は、劣化の影響を最小化して高速で使用できる液晶に基づく構成部品である。例えば、特許出願公開第2006/022346号に記載されている集束レンズを有利に使用することができる。あるいは、非点収差および球面などのより複雑な補正機能を、1つ以上のパンチャラトナム-ベリー位相(PBP)レンズ(「幾何学的位相レンズ」とも呼ばれる)を使用して実装することもできる。さらに好ましい選択肢は、DeepOptics Ltd.(イスラエル)から市販されているものなどの制御可能な液晶レンズである。
【0057】
任意選択で、焦点調整のためにコントローラ18へのユーザフィードバックを可能にするために、ユーザ入力(図示せず)が提供されてもよい。この手動焦点調整入力は、時間の経過に伴うデバイスの光学品質の劣化を補償するための較正を提供することができる。
【0058】
図2Aおよび2Bは、PBPレンズに基づいてこのシステムを実装する際の偏光の態様を概略的に示しているが、他の偏光に基づくデバイスに適合させることができる。
図2Aは、直線偏光がλ/4波長板70に入り、円偏光に変換されるパススルー実装を備えた構成67を示している。この光は、PBPレンズ71を通過し、必要に応じて光パワー(図示せず)および逆円偏光を取得する。必要に応じて、別のλ/4波長板72を使用して、出力画像を直線偏光に変換する。
【0059】
偏光ビームスプリッタ(PBS)へのPBPレンズの一体化は、
図2Bのスキーム69として示されている。直線偏光された入力光は、PBPレンズの光パワーによって作用されることに加えて、λ/4波長板76およびPBPレンズ77を通過して、
図2Aのように円偏光になる。ここで、λ/2波長板78は偏光配向を反転させ、反射器79は偏光配向をもう一度反転させる。光が構成部品を通過して戻ると、より多くの光パワーを取得し、入射光に直交する直線偏光で現れる。いくつかの実装では、この後者の構成は有利であり得、所与の調整可能なレンズデバイスに対して2倍の光パワー補正を提供する。
【0060】
本発明を使用した光学系の一例を
図3に示す。このシステムは、導波路(LOE 506)に画像照明を導入するプロジェクタ512に基づいている。導波路への画像照明は、関心領域に対応する視野の領域(観察者の現在の視線の周り)でコリメート(無限遠での画像)されなければならない。
【0061】
偏光ビームスプリッタプリズムに基づく光学配装置の非限定的な例では、(図示しないソースからの)照明光50は、偏光ビームスプリッタ(PBS)52から画像生成マトリクス54(例えば、LCOS空間光変調器)上に反射する。あるいは、照明源50は、走査型レーザービーム(ここには示されていないが、以下でさらに説明する)であってもよく、その場合、54は、通常、反射器、拡散器、または最も好ましくは、四分の一波長板と組み合わせたマイクロレンズアレイ(MLA)である。画像光は、PBS52を通して反射レンズ56(最小のコストのために好ましくは球形)に反射され、PBS52に戻る。光は、PBS52から反射し、例えば、結合プリズム60などの任意の好適な結合装置を介して導波路506に結合される。
【0062】
偏光変化デバイス(
図1Cのデバイス13)が望まれる場合、それは、好ましくは、59で示されるように位置決めされた液晶デバイスとして実装される。収差補償のための光パワー修正(
図1Cのデバイス10)は、58A(
図2Aで上述したスキーム67と同等)または58B(
図2Bで上述したスキーム69と同等)に配備された調整可能なレンズを使用して実装することができる。それが58Bで配備される場合、PBS52での光路の正しいルーティングに必要な偏光シフトは、好ましくは、スキーム69に示される構成によって提供される。それ以外の場合は、当技術分野で知られているように、別の四分の一波長板が反射レンズ56の前に配備される。
【0063】
補償なしの表示システムの画像は、通常、かなりの収差を有する。この構成で最も支配的な収差は、通常、「像面湾曲」である。
図4A(i)~4A(iii)は、像面湾曲による歪みを最小化するための従来のアプローチを示している。
【0064】
図4A(i)は、システムの角度フィールド、および分析のために選択された3つのポイント、つまりフィールド82の中心、フィールド84の中半径のポイント、およびフィールド86のエッジを示す
図80である。
図4A(ii)、グラフ90は、像面湾曲を示し、ここで、x軸は局所焦点距離であり、y軸はフィールドの半径である。曲線92および96は、それぞれ矢状焦点距離および接線焦点距離を示しており、ここで、線96はシステムの位置(実際に透過した画像平面の位置)を表している。96から92および96までの距離は、局所的な焦点ぼけを表しており、対応する特定のフィールド位置でコリメートされていない画像になる。フィールド全体でのこの歪みの最小化は、従来、プロット90が84bで最小の距離を有するように、ポイント84a(矢印でマークされている)に対する画像平面を最適化することによって達成される。このようにして、フィールド全体にわたって平均化された、82bおよび86bから線96までの距離によって表される焦点ぼけが最小化される。
【0065】
この解決策は、
図4A(iii)のプロット100に示されるように、明らかに不完全であり、82aの中心波長(緑)スポットを82cとして示し、同様に、ポイント84aおよび86aについてそれぞれ84cおよび86cを示す。84が最高の品質(焦点が合っている)であり、他の画像ポイントがよりかなり広がっていることは明らかである。その結果、フィールドの中央およびエッジで画質が低下する。
【0066】
本発明の一態様によれば、焦点の動的調整は、観察者の目の現在の視線に従って実行され、その結果、焦点は、観察者が現在見ている領域(現在の関心領域または「中心窩領域」と呼ばれる)に焦点が最適化されるが、観察者の周辺視界にある領域では品質が低下する。このアプローチは、周辺視界におけるさらなる画像劣化が十分に許容されるように、画質に対する周辺人間の視界の相対的な鈍感性を利用しながら、視野全体にわたって知覚される画質を向上させるのに効果的である。
【0067】
したがって、視線がフィールドの中心にあることをアイトラッカーが検出すると(
図4B(i)の矢印102によって示される)、この関心フィールドで最適になるように焦点をシフトするために、変化デバイス58Bが例えば-1/2ジオプターでアクティブ化される。(この例では、アクティブな光学デバイスが
図3の58Bに配備されている場合、必要な光パワーの半分が必要である。)
図4B(ii)のプロット104は、フィールド全体の調整された焦点を示しており、82bの領域の焦点が線96と交差していることを示し、画像のこの領域が光ガイド光学素子への入力で正しくコリメートされていることを示している。
図4B(iii)は、3つの参照ポイントについて得られたポイントの広がり関数を示しており、中央フィールドスポット82cの有意な改善およびフィールド86cのエッジの実質的な劣化を示している。この図では明らかではないが、スポットサイズもミッドフィールド84cでわずかに劣化している。
【0068】
関心領域がフィールドのエッジに変化すると(
図4C(i)、矢印108)、次に、光学的変化デバイス58Aは、例えば、+1ジオプター(またはその半分の量の58Bのデバイス)に調整され、
図4C(ii)および4C(iii)のプロット110および112に示されるように、フィールドのエッジ近くの画質に対応する改善をもたらす。この場合、改善には、中心フィールド(現在、観察者の視界の「周辺」にある)の画質が低下するという犠牲が伴う。
【0069】
場合によっては、光学的変化デバイス10の有効光パワーは、色投影画像を構成する異なる色に異なる影響を与えるように、波長により変化する。
図4C(iv)において、プロット114は、上記の+1ジオプター補正中の画像内の白色ピクセルを構成する赤、緑、および青の色分解のスポットを概略的に、そして拡大して示している。この例(典型的であると考えられているが、非限定的である)では、すべての色がそれらの焦点に対して効果的に補正されているが、関心フィールドにおいて異なる倍率(ここでは鋭いスポットとして現れるが、互いに相対的にシフトしている)を有することが明らかである。これは次の方法で補償することができる。
【0070】
1.色のうちの1つ以上の画像データ情報に等しいが反対の変位を生成するために、デジタル画像プロセッサに異なる倍率を導入すること、または
【0071】
2.色が順番に照明され、調整可能なレンズの応答時間が十分に速い場合(LCDレンズ技術を有するなど)、この倍率の変動を補償するために、変化デバイス58の光パワーをすべての色の照明に対して変更することができる。
【0072】
より複雑な収差補償(非点収差と球面との組み合わせなど)では、変化デバイス58によって生成される、より複雑な光学プロファイルを必要とする。これは、例えば、DeepOptics Ltd.(イスラエル)によって製造されたLCDレンズを使用することによって達成することができる。
【0073】
他の光学構成および表示技術もまた、アイトラッカーからの入力から導出されるか、または画像コンテンツから決定され得る、現在の関心領域に応じて、視野全体の画質に影響を与える焦点および/または偏光および/またはその他の光学特性を調整するという上記のアプローチを使用することができ、現在の関心領域で改善された画像を提供するために特性を調整する。その他の関連技術は、導波路およびマイクロLEDに基づくプロジェクタへのレーザースキャナが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
可変レンズは、以下に例示するように、
図3に示される例示的な位置以外の他の位置に配置することができる。
【0075】
次に偏光調整デバイス13を見ると、いくつかの導波路に基づくニアアイディスプレイは、偏光が導波路に入射されたときに画像の不均一性を示す。
図1のデバイス13および
図3の59は、好ましくは出口偏光を制御して、関心フィールドにおいて改善された画像均一性を達成する偏光管理デバイスを描いている。この場合、ルックアップテーブルをドライバメモリ26に記憶して、フィールドの様々な部分に最適な偏光状態を定義する必要がある。このテーブルは、製品ごとに1回実行される実験室試験に基づいて経験的に決定することも、経験的確認の有無にかかわらず、理論計算に基づいて導出することもできる。次に、ドライバは、関心フィールド(例えば、現在の視線)に従って偏光状態を生成するように、デバイス59を作動させる。焦点補正および偏光補正は、各々、それ自体で特許性のある重要性があると見なされるが、特定の相乗効果と一緒に使用できることに留意されたい。
【0076】
非点収差補正
非点収差は、円対称の光学系に存在する可能性があり、光学系のミスアライメントの場合、または円筒状の光学系がシステムに存在する場合に重要になる。
図5A(i)は、1mmのミスアライメントが入射瞳に導入されたときの、
図3のシステムのフィールドポイント86Cの収差を示している。プロット150は、接線収差を示しており、ここで、x軸は開口部内の光線の位置であり、y軸は焦点平面内のこの光線の位置である。このプロットでは、平らな線が最小の収差を表している。これらの光線の焦点ぼけを表すプロット150が傾いていることは明らかである。プロット152は、湾曲しているが比較的平坦な矢状光線のプロットを示している。これらの収差プロットは、細長い形状を有する焦点スポット154に変換される(
図5A(ii))。
【0077】
これらの収差を補正するために、好ましくは、円筒状の補正が、デバイス58Aの円対称補正に追加され、円筒状の補正は、1.3メートルの焦点距離を有する。この独立した円筒状の補正は、円筒状の光パワーを有する追加のLCD層によって導入することができる。結果として、接線方向の光線156は補正され(より平坦なプロット)、矢状方向の光線158は変更されない(
図5B(i))。これは、160に見られるように、スポット高さの低減をもたらす(
図5B(ii))。
【0078】
縮小次元可変焦点レンズを使用したレーザー走査の実装
レーザー走査システムを使用して投影画像を生成する場合、走査装置の近くまたは前の光路におけるビームの小さな寸法は、特にコンパクトな可変焦点レンズの使用を可能にし、それによって設計要件を緩和し、より速い応答時間を可能にする。
【0079】
例示的なレーザー走査システムが
図6Aに示されている。コリメート光学系201を備えたレーザー200は、光を走査ミラー202V(垂直)および202H(水平)に透過し、その結果、走査ビーム(概略的には202Hからの発散矢印として示される)および
図3を参照して上に示したものと同様のコリメート光学系に透過する。この場合、要素54は、好ましくは拡散器と組み合わされたミラー、または最も好ましくはマイクロレンズアレイ(MLA)であってもよく、その後のレーザー照明の制御された発散を伴う画像平面を定義する。ここに示されているPBSプリズムベースの光学系は非限定的であり、光が透過する屈折レンズおよびマイクロレンズアレイを使用した自由空間光学系の実装は、ここで例示した構成と完全に同等であり、場合によっては好ましいものとなることに留意すべきである。自由空間透過型光学系が使用される場合、偏光マニピュレータ(上記の偏光変化デバイス13)が使用される場合、この構成では通常、画像プロジェクタ構成部品の光学感度がないため、光路に沿った任意のポイントに実装することができる。
【0080】
レーザービームの導波路への結合を維持するために、導波路入口瞳204は、「瞳結像」と呼ばれる光学装置で、ミラー202に可能な限り近くで結像される。レンズ58Cは可変焦点レンズである。可変焦点レンズは、前述の技術のいずれかを使用して実装することができ、限定されないが、Deep-Optics Ltd.(イスラエル)から市販されているものなどの液晶レンズ、またはCorning(商標)またはOptotune(商標)によって名称VARICOTIC(登録商標)の下で市販されているものなどの静電作動レンズを含む。あるいは、反射光学素子を使用する本明細書に記載の実装のいずれかにおいて、可変光学素子は、例えば、表面56を置き換える可変湾曲反射器として実装されてもよい。これは、静電レンズを反射コーティングでコーティングすることによって実装することができる。この説明の目的のために、例示的なデバイスは、可変レンズを用いてここに示されるが、いずれの場合も、可変光パワー反射器も適用可能であることを理解されたい。これらの可変レンズはすべて、アクティブな開口部が小さいほど応答が速くなる。
【0081】
非常に低い光パワーの場合、可変レンズ58Cは、レーザーレンズ201に組み込むことができる。複数の色レーザー(赤、緑、および青)が同じ軸に沿って投影される場合、可変レンズは、ビームのすべてを結合するために多重化した後、共通の光路上に位置付けられていることが好ましい。レーザーの実装の詳細はここでは示さない。
【0082】
図6Aから、レーザービームの空間的範囲は、ミラー202を走査する近くおよびその前の位置で最も狭いことが明らかである。したがって、これらの位置に可変レンズ58Cを配置することにより、小さな光学開口レンズ(例えば、1mmのオーダーの直径を有する)を使用することができる。これにより、可変光学系の応答時間が速い実装が容易になる。
【0083】
レンズ58Cに必要な光パワーの変動は比較的小さいので、それはレーザービームの発散および幅を実質的に変更しない。さらなる選択肢は、このレンズをミラー202V/Hの近くに配置することであり、これもミラー上のビームサイズへの影響が最小であり、瞳結像装置の劣化も最小である。その結果、ミラーおよび瞳204でのパワーの損失が最小化される。
図6Bは、可変レンズ58Dがミラー202V/Hの間にある配置を概略的に示しており、
図6Cは、ミラー202V/Hの後の可変レンズ58Eを示しているが、走査ビームの空間的広がりがまだ比較的小さく、小型の可変レンズを使用することができるミラーに十分に近い。
【0084】
反射および/または透過光学系に基づく様々な光学アーキテクチャを使用して、一般に表示システム、特に可変レンズを実装することができる。
図7は、二重瞳結像を有する光学装置の別の例を示している。導波路62の入口瞳204は、ミラー202Vに結像され、ミラー202Hにもう一度結像される。可変光学系は、レンズ58F1および58F2、または反射器58G1および58G2と一体化されるか、またはそれらに隣接して実装することができる。複数の可変レンズを使用することができ、例えば、円筒状の可変LCDを58F1で使用し、直交配向の円筒状の可変LCDを58F2で使用することができる。円筒状または球面の可変レンズは、任意の好適な技術(例えば、LCDおよび静電)を使用して実装することもできる。
【0085】
レンズ58Hは、前述のように、任意選択でレーザー光学系と組み合わせて、可変レンズとして実装することもできる。
【0086】
次に
図8を見ると、レーザー走査画像プロジェクタのいくつかの場合において、プロジェクタは、2つの光学サブセクション、つまり、走査レーザー1201からマイクロレンズアレイ(MLA)1329までのレーザーセクション1300U、およびMLAから出口瞳1334(導波路への入口瞳)への中継セクションとして扱うことができる。中継セクションの像面湾曲収差を最小化するために、MLA1329を図のように湾曲したセクションで作成することができる。ただし、この湾曲は、レーザーセクションの好ましい湾曲に対応していない。したがって、本発明の一態様によれば、レンズ1223は、MLAの適切なセクションに(それによって関心フィールド)に最適なレーザービーム焦点を生成するように適応するように設定することができる。このレンズは小さいので、素早い修正が可能である。このレンズを走査ミラーの近くに配置することが好ましい。あるいは、レンズ1227を適応型に設定することができるが、この場合、より大きなレンズが必要とされる。
【0087】
レーザーセクションの能動的な光学補償も好ましく、というのも、それ以外の場合、レーザー光源によって誘発される温度勾配が本来中継セクションよりもレーザーセクションの光学系を歪める可能性があるためである。
【0088】
この例では、レーザー1201は、複数の並んだレーザー(例えば、赤、緑、および青)として実装することができる。これらのレーザーは互いに近接しているため、像面湾曲はほぼ同じである。この場合、1223によって実装される補償は、3つのレーザーの位置の平均として、または中央に位置決めされた隣接するレーザーのうちの1つに従って設定することができる。
【0089】
MLAから出口瞳までの中継サブセクション1300Lは、独立した光学系と見なすことができ、追加の収差補正および/または偏光調整を行うために、追加の可変レンズ(通常、ここに例示されているレンズのうちの1つと一体化されている)を任意選択で備えることができる。
【0090】
無指向性補正
これまでに説明された本発明の例はすべて、アイモーションおよび/または画像内容によって動的に変化する現在の関心領域の識別を含んでいる。しかしながら、電気的に制御可能な可変レンズおよび対応するコントローラを含めることは、フィールド全体に対してグローバルに補正が行われる場合でさえ、本発明の様々な追加の態様に従って有利に使用され得ることに留意されたい。このような補正の例としては、温度変化によって引き起こされる変動の補正、製造公差を補償するために行われる較正補正、長期間にわたる様々な要因による画質の劣化を補正するためのユーザ入力による焦点などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの場合の各々において、ここで提供される補正は、画像プロジェクタレベルで、すなわち、画像照明がLOEに入る前に実行され、LOEに入射された画像のコリメーションを強化する。
【0091】
したがって、例えば
図1A~1Cからの特徴のサブセットに対応する本発明のさらなる態様によれば、ユーザの目に画像を表示するための表示システムは、すべて上述したようなLOE506と、画像プロジェクタ512とを含み、少なくとも1つの軸に沿って可変の光パワーを有する電気的に制御可能な可変レンズ10を含む。温度センサ24は、通常、光学ハウジングの一部としてシステムと一体化され、表示システムの少なくとも部分の温度を示す信号を生成する。コントローラ18(すべて上記のとおり)は、温度を示す信号に応答して、画像プロジェクタの光学特性における温度に関連する変動を少なくとも部分的に補償するように、光パワーを変化させる作動信号を生成する。補正は、通常、同じく上述したように、データ記憶デバイス26に記憶されたルックアップテーブルから取り出される。
【0092】
さらに、または代わりに、生産後の較正プロセスに基づいて、工場出荷時の補正(またはルックアップテーブルへの対応する調整)が提供されてもよく、大量生産プロセスにおける構成部品の公差および/またはアセンブリのばらつきに起因して発生する可能性のある一連の累積誤差または収差の補償を可能にする。
【0093】
さらに、または代わりに、焦点調整のためにコントローラ18へのユーザフィードバックを可能にするために、ユーザ入力(図示せず)が提供されてもよい。この手動焦点調整入力は、時間の経過に伴うデバイスの光学品質の劣化を補償するための較正を提供することができる。したがって、コントローラは、較正プロセス中にユーザ入力デバイスを介して提供されるユーザ入力に応答して、画像プロジェクタの製造公差に必要な補正を示す新しい値を記憶する。
【0094】
上記の説明は、例としてのみの役目を果たすことを意図しており、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で、他の多くの実施形態が可能であることを理解されたい。