(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】生体音響信号の向上された検出及び分析
(51)【国際特許分類】
A61B 7/04 20060101AFI20241216BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61B7/04 A
A61B5/00 B
A61B7/04 U
(21)【出願番号】P 2021561723
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2020028600
(87)【国際公開番号】W WO2020214866
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521452544
【氏名又は名称】エンタック・メディカル・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】5100 Poplar Avenue,Suite 518,Memphis,TN 38137,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】クロムウェル、ジョン・ダブリュ.
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-036637(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135127(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0035610(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0032957(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0340306(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0061780(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01、7/00-7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腹部の表面に取り付けるように適合された患者インターフェースと、
腸音に応答して振動して、前記患者の腹部内で発せられた前記腸音を増幅する音圧波を作成するように適合された振動板と、
前記腸音を増幅する振動板振動によって引き起こされる前記音圧波を受け取るように適合された音響室と、
前記音響室中又はその近くに位置する1次オーディオ収集デバイスと、
2次オーディオ収集デバイスと、
コンピュータを備えるハウジングと、ここで、前記コンピュータ、前記1次オーディオ収集デバイス、及び前記2次オーディオ収集デバイスは、前記ハウジング中に含まれており、
1つ以上のアルゴリズムを備えるメモリと、
ディスプレイを備えるユーザインターフェースと、
を備える、腸オーディオ分析デバイスであって、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、周囲雑音に起因する誤信号のために、前記1次オーディオ収集デバイスによって収集された前記音圧波から収集されたオーディオデータを分析し、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、経時的に収集された前記オーディオデータについての2つ以上のスペクトルイベント値を分析し、ここで、前記2つ以上のスペクトルイベント値は、収集された前記オーディオデータを処理することによって識別されたスペクトルイベントのために所定の時間期間にわたってカウントされ、
収集された前記オーディオデータが前記誤信号のために分析された後に、前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、経時的に収集された前記オーディオデータについての前記2つ以上のスペクトルイベント値の線形回帰分析の傾きを生成する役割を果たし、
前記線形回帰分析の前記傾きは、胃腸機能障害に関するバイナリ予測を行うために所定の傾き閾値と比較される、デバイス。
【請求項2】
前記ディスプレイは、グラフィカルユーザインターフェースを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、患者からオーディオ信号を収集及び分析して、前記胃腸機能障害の臨床的徴候が発生する前に前記胃腸機能障害の可能性を予測するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは、上部及び台座を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記2次オーディオ収集デバイスは、前記周囲雑音を収集するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記患者インターフェースは音響音波を収集し、前記1次オーディオ収集デバイス、及び前記2次オーディオ収集デバイスのうちの少なくとも1つは、前記振動板を振動させる前記音響音波から生じる前記振動板振動によって引き起こされる前記音圧波を収集する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記2次オーディオ収集デバイスは、第2の振動板を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ハウジングは、分離可能な頂部及び下部を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記分離可能な頂部及び下部は、取り付け手段を使用して固定されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
胃腸機能障害が発生する可能性を予測する方法であって、前記方法は、
請求項1に記載のデバイスで、前記1次オーディオ収集デバイスによって収集された前記音圧波から前記オーディオデータを取集するために前記患者の腹部内で生じる前記腸音を記録することと、
前記コンピュータで、前記周囲雑音に起因する前記誤信号のための収集された前記オーディオデータを分析することと、
前記コンピュータで、前記誤信号のために収集された前記オーディオデータの分析が、軽減が必要であることを示す場合に、前記誤信号について軽減することと、
前記コンピュータで、識別された前記2つ以上のスペクトルイベント値の総数を取得することと、
前記コンピュータで、経時的に前記2つ以上のスペクトルイベント値の前記傾きをもたらす処理された前記オーディオデータ上で前記線形回帰分析を実行することと、
前記コンピュータで、前記傾きを胃腸機能障害が発生する前記可能性と相関させることと、
ユーザに、前記ディスプレイ上で、前記可能性に基づくリスクレベルを提供することと、
を備える、方法。
【請求項11】
前記軽減するステップは、周囲雑音に起因する前記誤信号を考慮することによって識別されたスペクトルイベントの数を調整することを備え、識別されたスペクトルイベントの前記総数をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記実行するステップは、タイムスタンプを提供し、識別されたスペクトルイベントの総数を前記デバイスのバッファに書き込むことを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記線形回帰分析は、前記バッファに書き込まれたデータを使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記相関させるステップは、前記傾きを、前記傾きを後に発生する胃腸機能障害の可能性と相関させるデータと比較することによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記誤信号についての分析が、軽減が必要であることを示す場合にユーザに警告するステップを更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記警告には、前記デバイスの一部として警告インジケータが設けられ、前記警告インジケータは、光、雑音、前記ユーザインターフェースの前記ディスプレイ上のグラフィック、又はそれらの組み合わせを備えるリストから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記警告するステップをトリガするための閾値は、
1)前記2次オーディオ収集デバイスからの予め設定された周囲雑音デシベルレベル、
2)前記1次オーディオ収集デバイス対前記2次オーディオ収集デバイスからの信号対雑音比の分析、又は
3)予め設定された閾値を上回るスペクトルイベントの誤トリガリングのために前記2次オーディオ収集デバイスによって受け取られた周囲雑音の処理
に基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記2つ以上のスペクトルイベント値のうちの1つのスペクトルイベント値は、
900-20000Hzの範囲の周波数、及び
5.8-600msの範囲の持続時間、
を備える所定の信号パラメータを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記デバイスは、前記周囲雑音に起因する前記誤信号用の警告インジケータを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
バッファをさらに備え、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、収集された前記オーディオデータについての前記2つ以上のスペクトルイベント値を分析し、識別されたスペクトルイベントのタイムスタンプと総数とを前記バッファに提供し、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、バッファされたデータを使用して、前記線形回帰分析の前記傾きを生成する役割を果たす、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
術後イレウス(POI)は、手術の2~6日後に発症する消化管の急性麻痺であり、悪心及び嘔吐、腹痛及び膨満などの望ましくない副作用を引き起こす。これは、胃腸手術において最も頻繁に起こる。どの患者がこれらの腸の問題を発症する可能性があるかを予測する能力が欠如しており、それは、術後の合併症の発生、入院、及び再入院率の増加の事例をもたらす。誤データ点を引き起こす周囲雑音を制限及び/又は除去することによってリスクレベル分析をより正確に提供する腸オーディオ分析デバイス及び方法が更に欠如しており、デバイス及び方法は、より自己完結型である。
【0002】
このことから、これらの問題を低減するためのデバイス及び方法が依然として必要とされており、医療提供者は、入院及び再入院を低減し、より正確な栄養摂取導入を介して増悪を回避するようにより良好に装備されており、これは、胃腸機能障害が例えば術後に患者に発生する可能性に関連するより正確なリスクレベル情報を取得するための改善された能力を通して達成される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図2】本明細書に説明するデバイスの例の上面図を示す。
【
図3】本明細書に説明するデバイスの分解図を示す。
【
図4】本明細書に説明するデバイスの分解図を示す。
【
図5】本明細書に説明するデバイスの例の底面図を示す。
【
図6】本明細書に説明するデバイスの例の分離されたハウジングの正面図を示す。
【
図7】本明細書に説明するデバイスの例の分離されたハウジングの側面図を示す。
【
図8】本明細書に説明するデバイスの例の分離されたハウジングの背面図を示す。
【
図9】本明細書に説明するデバイスの例のユーザインターフェースを伴わないハウジングの上部の内側を示す。
【
図10】本明細書に説明するデバイスの例のハウジングの下部の内面図を示す。
【
図11】本明細書に説明するデバイスの例の2次オーディオ収集デバイスハウジング及び台座を伴わないハウジングの下部の底面図を示す。
【
図12】本明細書に説明するデバイスの例の側面図を示す。
【
図13】本明細書に説明するデバイスの例の正面図を示す。
【
図14】本明細書に説明するデバイスの背面図を示す。
【
図15】記録された腹部音に含まれるスペクトルイベントを例示する実例的なスペクトログラムである。
【
図16】胃腸機能障害を伴う及び伴わない患者における特定のスペクトルイベント(MH4)の時間的変化を描画するグラフである。
【
図17】胃腸機能障害を予測するための方法の実施形態のフロー図である。
【
図18】収集された患者データを処理して、胃腸機能障害の予測及びリスク評価を支援することができる、
図1~14におけるものなどのデバイスのアーキテクチャの実施形態のブロック図である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、任意の臨床的徴候又は症状が発生するより前に胃腸機能障害を予測するための腸オーディオ分析デバイスの使用に関する。
【0005】
ある特定の実施形態では、術後のある時間持続期間にわたって患者の腹部の表面に取り付けるように適合された患者インターフェースを有する腸オーディオ分析デバイスが提供される。デバイスは、腸音に応答して振動して、患者の腹部内で発せられた腸音を増幅する音圧波を生成する振動板を有する。これは、増幅された音を受け取る音響室を通して腸音に関連するオーディオデータが収集されることを可能にし、増幅された音は、音響室中又はその近くに位置するオーディオ収集デバイスに伝わる。腸オーディオ分析デバイスは、外部ハウジング及び内部コンピュータ、並びに正確な収集データ及び分析を提供するために様々に必要とされるステップを実行するようにシステムに命令を提供するためのメモリ及び1つ以上のアルゴリズムを有する。1つ以上のアルゴリズムは、周囲雑音に起因する誤信号について収集されたオーディオデータを分析し、経時的に2つ以上のスペクトルイベント値(例えばMH4)を分析し、GIIの可能性及びリスクに関連するバイナリ予測を行うための所定の傾き閾値との比較のために線形回帰分析の傾きを生成することができ、リスクは、例えばユーザインターフェースディスプレイ上で伝達される。
【0006】
他の実施形態では、腸オーディオ分析デバイスを使用する方法が提供される。ある特定の実施態様では、臨床症状より前にGIIが発生する可能性及びリスクレベルを予測する方法が提供される。腸音は、患者の腸音のオーディオデータを生成するために記録される。オーディオデータは、ある特定の予測スペクトルイベント(例えばMH4)を識別するために処理され、オーディオデータは、周囲雑音に起因する誤信号について分析される。必要に応じて、ある特定の実施形態は、線形回帰分析のために識別された予測スペクトルイベントのより正確な総数を取得することを確実にするために、誤信号の軽減を提供する。結果として得られる経時的なスペクトルイベント値の傾きは、傾きを(例えば術後に)胃腸機能障害が発生する可能性と相関させるために使用され、相関に基づいて、ユーザは、可能性に基づくリスクレベルを提供される。
【0007】
本発明の実施形態は、周囲雑音に対する改善された制御を提供し、それは、相関を行い、それをもとに術後GIIの予測を臨床症状より前に行うために使用されるデータの精度を増加させる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
胃腸機能障害(GII)は、手術処置後の一般的な懸念である。本明細書では、患者の腸音に基づいてGIIを予測するためのシステム及び方法を開示する。以下に説明するように、開示するシステム及び方法は、後続するGII、及びいくつかの事例では、術後GIIを予測するために使用することができる、腸音内の離散音響スペクトルイベントを識別する。それらのスペクトルイベントは、音が腸内の運動活動によって生成されるので、腸管機能及び/又は機能不全の良好な指標である。
【0009】
以下の開示では、様々な実施形態を説明する。それらの実施形態は、本発明の単なる実例的な実装形態に過ぎず、他の実施形態が可能であることが理解されるべきである。全てのそのような他の実施形態は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0010】
ある特定の実施形態は、ハウジングと、ディスプレイと、プロセッサと、少なくとも1つのオーディオ収集デバイスとを備えるデバイスを備える。ある特定の実施形態では、1次オーディオ収集デバイス及び2次オーディオ収集デバイスが存在する。いくつかの実施形態では、1次オーディオ収集デバイスは、対象に取り付けるか又は挿入することができる。
【0011】
図1~2は、デバイスの実施形態の例を提供する。
図1及び
図2は、ハウジング101と、ユーザがデバイスと相互作用して、その動作を制御するための少なくとも1つのボタン102と、ユーザインターフェース103とを備えるデバイスの例を部分的に示す。ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)であり得る。
【0012】
ある特定の実施形態では、デバイスは、2次オーディオ収集デバイスを備える。いくつかの実施形態では、2次オーディオ収集デバイスは、周囲雑音を収集することができるマイクロフォン又は他の受音機構であり得る。他の実施形態では、真の雑音消去を達成するために、1次マイクロフォンデータからの周囲雑音の信号減算が実行される。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するデバイスは、GIIを予測又は診断する方法において使用することができる。ある特定の実施形態では、本明細書で説明するシステム及び方法は、症状が発症する前にGIIを予測することを備えることができる。いくつかの事例では、2次オーディオ収集デバイスは、腸音の収集に干渉し得る周囲雑音に関連する干渉を取り除くことができる。そのような構成は、GIIをより正確に予測するという驚くべき予想外の結果をもたらすことができる。いくつかの事例では、GII予測は術後であり得る。いくつかの実施形態では、周囲オーディオ収集デバイスは、振動板を更に備える。
【0013】
図3~4は、デバイスの例の分解図を示す。
図3及び4は、ユーザインターフェース103と、ハウジングの分離可能な頂部104と、コンピュータ105と、ハウジングの下部106と、少なくとも1つの締結手段107と、振動板108と、ガスケット109と、粘着ウェハ110とを備えるデバイスを示す。
図5は、2次オーディオ収集デバイス111を有するデバイスの例を示す。
【0014】
図8~10は、ハウジングの頂部104及びハウジングの下部106の異なる図を示す。
図9は、ハウジングの頂部104の内部図を示し、
図10~11は、ハウジングの下部106の異なる図を示す。
図12~14は、本発明のデバイスのある特定の実施形態の異なる図を示す。
【0015】
GUIは、ユーザがデバイスと相互作用し、被検体からオーディオデータを収集することを可能にするように構成することができる。ある特定の実施形態は、ハウジングを備える。ハウジングは、上部及び粘着ウェハを備えることができる。粘着ウェハは、サイズ(幅及び長さ)が変動し得る。例えば、ウェハは、ユニットの底面エリアと同じ幅及び長さであり得るか、又はユニットの底面エリアより小さくあり得る。ウェハは異なる厚さであり得る。ウェハは、GIIイベントの確実な監視/記録/収集のためにユニットを患者に最も良く適合させるように形成される。ハウジングは、分離可能な頂部及び下部を備えることができる。
【0016】
ハウジングが分離可能な頂部及び下部を備える実施形態では、分離可能な頂部及び下部は、取り付け手段を使用して固定される。取り付け手段は、ねじ、締結具、ピン、ブラケット、ペグ、リベット、クリップ、及び同様のものを備えることができる。
【0017】
システムの実施形態は、胃腸機能障害を予測するために使用することができる。システムの実施形態は、データ収集デバイス、患者インターフェース、及びコンピュータ105を備えることができる。コンピュータ105又はデータ収集デバイスは、患者インターフェース及びコンピュータ105から取り出されたデータを収集及び/又は記憶する別個のデバイスであり得る。患者インターフェースは、患者の腸管内で生成されるオーディオデータを収集することが可能な任意のデバイスを備えることができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、ポータブル(例えばハンドヘルド)デジタルオーディオレコーダを備える。そのような場合、患者インターフェースは、腸音を捕捉するために使用される一体型マイクロフォン(図示せず)を備えることができ、一体型マイクロフォンは、音響室中又はその近くに収容することができる。音響室は、例えば、振動板108とハウジングの下部106との間に形成することができる。音響室は、患者の消化管の音を周囲雑音に対して増幅することによってデータ収集を大幅に増加させ、オーディオ収集の時点で周囲雑音を低減する能力を増加させ、無関係な構成要素のインベントリを低減することを通してオーディオデータ収集を単純にし、患者インターフェースと、振動板と、オーディオデータ収集デバイス、例えば音響室中又はその近くの本発明のデバイス内に収容されたマイクロフォン、とを組み合わせた連続オーディオデータ収集の能力を提供する。
【0018】
患者インターフェースは、腸音を検出する目的で患者の腹部に直接適用することができるデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、聴診器ヘッドを備えるか、設計及び機能がそれと類似している。聴診器ヘッドは、患者と接触して配置され、体内で生成される音に応答して振動する振動板を備えることができる。それらの音は、コンピュータ105に信号を送信することができるマイクロフォンに送達することができ、コンピュータ105は、オプションとして、データをデータ収集デバイスに送信することができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、患者インターフェースと、音響室内に位置することができるマイクロフォンなどの音収集デバイスとの間に延在するチューブを介して音を伝達することができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、音波を、コンピュータ105によって処理することができるデジタル信号に変換することができる。例えば、振動板振動によって生成された音圧波は、チューブの内腔内をマイクロフォンまで移動することができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、GIIを予測するためにシステムによって処理及び分析することができるデジタル信号に音圧波を変換するマイクロフォン又は他のデバイスを備えることができる。例として、音圧波をデジタル信号に変換するためのマイクロフォン又は他のデバイスは、振動板108とハウジングの下部106との間に位置付けられた音響室中に収容することができるか、又はそれと通信することができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースの全て又は一部は、患者間の交差汚染を回避するために使い捨てであり得る。患者インターフェースは、使用後に廃棄することができる使い捨てシース又はカバー(図示せず)と共に使用することができる。
【0019】
コンピュータ105によって収集されたオーディオデータは、コンピュータによって備えられた内部メモリ内に記憶することができる。いくつかの実施形態では、メモリは、コンピュータ105とは別個であり得るが、コンピュータ105とデータ通信する。いくつかの実施形態では、オーディオデータは、デバイスの不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)内に記憶することができる。データは次いで、処理のためにコンピュータ105に送信することができる。いくつかの実施形態では、データ及びデータ分析は、データ及びデータ分析を受信及び伝達するために必要な構成要素を有するラップトップ若しくはデスクトップコンピュータ又はハンドヘルド若しくはポータブルデバイスなどの別個のプロセッサ若しくはコンピュータにコンピュータ105を物理的に接続するために使用されるワイヤ又はケーブルを介して送信される。いくつかの実施形態では、データ及びデータ分析は、例えば、Bluetooth(登録商標)若しくはWi-Fi(IEEE 802.11)などの適切なワイヤレスプロトコルを介して、又はGlobal System for Mobile communication(GSM(登録商標))、General Packet Radio Service(GPRS)、Enhanced Data Rates for GSM Evolution(EDGE)、Universal Mobile Telecommunications Service(UMTS)、High Speed Packet Access(HSPA)、Code-Division Multiple Access(CDMA)、Evolution-Data Optomized(EV-DO、EVDO、1xEV-DO)、Short Message Service(SMS)、及びWi-MAXなどの適切なセルラプロトコルを介して、デバイスから別個のプロセッサ又はコンピュータにワイヤレスに送信することができる。
【0020】
別個のコンピュータは、いくつかの実施形態では、デスクトップコンピュータを備えることができる。しかしながら、コンピュータ105によって収集されたオーディオデータを受信及び処理することが可能な実質的に任意のコンピューティングデバイスを使用することができることに留意されたい。従って、別個のコンピュータは、代替として、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又はハンドヘルドコンピュータなどのモバイルコンピュータの形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ105は、患者から受け取られた音響音から生成された任意のデータを処理し、ユーザインターフェース103を介して情報を出力することができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、表示機能を備えることができ、ユーザがデバイスと相互作用し、その動作を制御することを可能にするタッチスクリーンでもあり得る。例えば、デバイスには、収集されたオーディオデータを分析するために使用することができるデジタルシグナルプロセッサ及び適切なソフトウェア/ファームウェアを設けることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、患者インターフェースからデバイスに患者の音をワイヤレスに送信することができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、心電図(EKG)リードと同様にインターフェースが患者の皮膚に一時的に粘着されることを可能にする粘着面を有することができる。ある特定の実施形態では、患者データは、ワイヤード接続を介して(ワイヤ若しくはケーブルを介して)又はワイヤレスに患者インターフェースからコンピュータ105に送信することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、それ自体の一体型マイクロフォン(図示せず)を有するデバイスを備えることができ、マイクロフォンによって拾い上げられた患者の音は、ワイヤ又はケーブルに沿ってデバイスに電子的に送信することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、患者監視システムとドッキングするように設計された構成要素を備えることができ、患者監視システムは、数時間、数日、又は数週間などの連続的な時間期間にわたって患者のそばに位置し得る。そのような患者監視システムは、現在、血圧及び酸素飽和度などの他の患者パラメータを監視するために使用されている。例えば、患者監視システムは、ドッキングステーション及び関連するディスプレイを備えることができる。ある特定の実施形態では、これは、警告又は通知が、2次的ロケーション、例えば、ナースステーションで受信されることを可能にする。デバイスは、使用より前にステーションのフリーベイ内にドッキングするように設計することもできる。本発明のデバイスを接続する他の手段は、例えば、PS/2、シリアルポート(例えば、DB-25、DE-9若しくはRS-232、又はCOM Port)、パラレルポート又はセントロニクス36ピンポート、オーディオポート、S/PDIF、TOSLINK、ビデオポート、Digital Video Interface(DVI)(例えば、ミニDVI、マイクロDVI)、ディスプレイポート、RCAコネクタ、コンポーネントビデオ、Sビデオ、HDMI(登録商標)、USB(例えば、タイプA、タイプC)、RJ-45、RJ-11、e-SATA、及び同様のものを含む、これらのタイプの電子システムについて業界で知られている様々なポートを介するものである。理解されるように、本発明を患者監視システムにハード接続するためのある特定のアダプタも企図される。患者監視システムのタイプは知られており、例えば、固定位置システムのための標準的な院内患者監視システム、並びにモバイル及び/又はポータブル監視システム、リモート及び/又はワイヤレス、ホームシステム、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、デバイスは、内部電源を備えないことがあり、従って、ドッキングされたときにのみ患者データを収集することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、A/C接続などの電力接続を備えることができるか、又はバッテリなどの内部電源を備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、ソーラーセルなどの光起電源及び/又は熱電源を備えることができる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、音響音波を収集及び/又は音響音波をGIIを予測するために使用することができるデータに処理するために使用することができる、バッテリ、光起電デバイス、及び/又は熱電デバイスなどの電源を備え得る。例として、デバイスは、電力を受け取り、収集されたデータを患者監視システムに転送する目的で、デバイスを患者監視システムに電気的に結合する電気ピンを有することができる。患者データは、患者監視システムのメモリ中に記憶することができ、及び/又は関連する医療記録データベース中の患者記録と関連付けて記憶するために中央コンピュータに送信することができる。
【0024】
デバイスは、ワイヤ又はケーブルのプラグを受け入れることができる電気ポートを備えることができる。加えて、デバイスは、患者監視システムとの正電気接続及び患者信号品質などの情報をオペレータに伝達する、発光ダイオード(LED)インジケータなどの1つ以上のインジケータを備えることができる。
【0025】
デバイスは、患者監視システムと結合することができる。いくつかの実施形態では、外部患者インターフェースの代わりに、デバイスは、腹膜腔内から音を収集するように設計される内部患者インターフェースを備えることができる。例として、患者インターフェースは、ドレナージカテーテルと同様に、手術が完了した後に定位置に残される細径マイクロフォンカテーテルを備えることができる。そのような患者インターフェースは、患者が肥満であり、皮膚の表面から高品質の信号を取得することがより困難である場合に特に有用であり得る。患者に電流が流れるのを回避するために、患者インターフェースは、レーザマイクロフォンを備えることができる。そのような場合、レーザビームは、カテーテルを通して指向され、体内の目標に反射する。反射された光信号は、光信号をオーディオ信号に変換する受信機によって受信することができる。光が目標から反射する際に光が移動する距離の微小な差異は、干渉法によって検出される。ある特定の実施形態では、患者インターフェースは、カテーテルの先端に位置付けられるマイクロフォンを備えることができる。
【0026】
デバイスは、コンピュータ105などの中央処理ユニット(CPU)、又はマイクロプロセッサ若しくはデジタルシグナルプロセッサなどの他の処理デバイスを備えることができる。デバイスは、揮発性メモリ要素(例えばRAM)及び不揮発性メモリ要素(例えばフラッシュ、ハードディスク、ROM)のうちの任意の1つ又はそれらの組み合わせを備えることができるメモリを備えることができる。
【0027】
ユーザインターフェース103は、ユーザがデバイスと相互作用する構成要素を備えることができる。ユーザインターフェース103は、例えば、キーボード、マウス(マウスパッド)、インタラクティブタッチディスプレイ、及び/又は液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイデバイスを備えることができる。デバイスは、ユーザがデバイスを使用し、メニューをナビゲートする、データを見る、等など、ユーザインターフェース103を操作することを可能にすることができる1つ以上のボタン102を備え得る。代替として又は加えて、ユーザインターフェース103は、1つ以上のボタン及び/又はタッチスクリーンを備えることができる。1つ以上のI/Oデバイスは、他のデバイスとの通信を容易にするように適合することができ、1つ以上の電気コネクタと、ワイヤレス送信機及び/又は受信機とを含み得る。加えて、デバイスが患者から取り出されたデータの収集及び/又は処理も行っている場合には、I/Oデバイスは、マイクロフォンを備えることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、メモリは、コンピュータ可読媒体であり得、オペレーティングシステム及び腸音分析器を含む様々なプログラム(即ち論理)を記憶することができる。オペレーティングシステムは、他のプログラムの実行を制御することができ、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連するサービスを提供することもできる。腸音分析器は、患者がGIIを発症する可能性を予測する目的で腸オーディオデータを分析するように構成された1つ以上のアルゴリズムを備えることができる。いくつかの実施形態では、分析器は、データベース中に記憶された相関データに対して分析を行うことができ(そのようなデータベースは、コンピュータ105中に記憶することができる)、GIIリスクの予測指数をユーザ(例えば医者、病院スタッフ、及び/又は臨床医)に提示することができる。いくつかの実施形態では、分析器は、目標信号パラメータ、信号対雑音比パラメータ、及び雑音電力推定パラメータを使用して、関心のある特定のスペクトルイベントを識別することができる。次いで、指定された時間間隔中の予測スペクトルイベントの数の決定木分析を使用して、GIIの高リスク、中リスク、又は低リスクを通信することができる。いくつかの実施形態では、各リスクレベルに関連するリスクは、それぞれ83%、30%、及び0%、又はおよそそのあたりである。
【0029】
デバイスを使用するある特定の方法では、オーディオデータを生成するために患者の腸音を記録することができる。上記に説明したように、音は、例えば、腹部上又はその近くの患者の皮膚に当てられる聴診器ヘッド又は他の患者インターフェースを使用して非侵襲的に取得することができる。代替として、音は、患者の腹膜腔中に延在するデバイスを用いて収集することができる。音は、術後期間の初期に、例えば、手術の当日又は手術直後の日、及びその後の任意の必要とされる長さの時間にわたって記録することができる。いくつかの実施形態では、音響音は、手術の直後に取得され、本開示を考慮して当業者によって理解されるように、数時間、数日間、又は数週間にわたって監視及び分析され続け得る。いくつかの実施形態では、音は連続的に収集される。いくつかの実施形態では、音は、所定の間隔である時間期間にわたって収集される。音がいつ記録されるかにかかわらず、それらは、腸機能及び/又は機能障害の発生を予測するスペクトルイベントの識別を可能にするのに十分な時間持続時間にわたって記録することができる。例として、音は約4~6分の期間にわたって記録される。いくつかの実施形態では、20~20000Hzの範囲内の全ての音が記録される。いくつかの実施形態では、人間の耳に聞こえる範囲外の音が収集及び分析される。フィルタは、記録される周波数の範囲を低減するために適用することができ、従って、分析されるデータの量を低減する。いくつかの実施形態では、2次オーディオ収集デバイス111は、改善された分析結果を提供するために患者インターフェースと連携して動作することができる。例えば、2次オーディオ収集デバイスは、患者の近傍で周囲雑音を測定することができるマイクロフォンを備えることができる。次いで、周囲雑音は、患者から収集された音響音から減算されて、デバイスによって分析されるいかなる音響音も実際に患者から収集され、任意の外部源からは収集されないことを確実にすることができる。ある特定の実施形態では、例えば、2次マイクロフォン及びユニットの一体型マイクロフォンは、同期された様式で独立してオーディオデータを収集する。オーディオデータの両方のセットは、MH4検出器を通して実行されて、周囲雑音が、一体型マイクロフォンから来る誤MH4イベントカウントを潜在的にトリガしているかどうかを突き止め、ある特定の基準が周囲音(複数可)によって満たされる場合、周囲データカウントは、最終カウントから減算することができる。いくつかの実施形態では、約700~1500Hzの周波数を有する音のみが記録又は分析されるようにフィルタを使用することができるが、デバイスが所定の周波数範囲内の音のみを分析することを可能にするフィルタを組み込むことができる。周囲雑音の影響を軽減することの一部として、警告インジケータ又は警報機構は、デバイスの一部であり得、警告インジケータ又は警報機構は、例えば、医師、介護者、看護師、又は臨床医に、周囲雑音(複数可)が低減されなければならないことを通知する。デバイスの雑音軽減戦略が機能するには周囲雑音レベルが高すぎるシナリオがある。そのようなシナリオでは、意味のあるMH4値を取得することができない。光、雑音、可聴音、又はデバイスディスプレイ上のグラフィックの任意の組み合わせであり得る警告インジケータは、周囲雑音が低減及び/又は制御される必要があることをユーザに示すために使用することができる。警告インジケータをトリガするための閾値は、例えば、外向きマイクロフォンからの現在の周囲雑音デシベルレベル、1次対外向きマイクロフォンからの信号/雑音比の分析、予め設定された閾値を上回る誤トリガリングMH4値のための外向きマイクロフォンからの音の処理に基づくことができる。音を「記録される」ものとして説明したが、音は、代替的に、実際に音を記録することなく、単に取得され、(以下で説明するように)リアルタイムで処理することができることが理解されるであろう。
【0030】
オーディオデータが生成されると、データは、1つ以上の予測スペクトル信号を識別するために、例えばリアルタイムで処理することができる。リアルタイムとは、例えば、音が患者によって生成されるときにデバイスを介して取得されている間にデータが処理されることを意味し得る。上記で説明したように、腸によって生成される音は、蠕動の結果であり得、蠕動から、デバイスは、GIIの可能性を予測することができ、これは、GIIがデータの収集及び分析後に発生する可能性をデバイスが(GII前に)示すことを意味する。デバイスによって収集及び/又は分析される音は、従って、腸がどのように機能しているかの指標を提供することができる。例えば、腸管の有意な部分の麻痺は、消化管における高エネルギー推進収縮の回数を比例的に低減し、それは、正常に機能する腸に典型的であるより高いエネルギー、このことからより高い周波数の音響スペクトルのうちのいくらかの損失をもたらす。以下で説明するように、GIIが発生する可能性が高いか否かを高度に予測するある特定の所定のスペクトルイベントを音の中で識別できることが突き止められている。以下で同様に説明するように、所定のスペクトルイベントの各々は、それらの周波数、振幅、持続時間、及び他のスペクトルイベントからの時間的分離などの特定の特性又はパラメータによって規定される。
【0031】
スペクトルイベントが識別された後、指定された時間持続時間(例えば、記録の総持続時間)中のそれらの数を合計することができる。識別された予測スペクトルイベントの合計数はタイムスタンプされ、本発明のデバイスのデータバッファ(バッファ)に書き込まれる。理解されるように、バッファは、例えば、データを一時的に記憶するために使用される物理メモリストレージ中にあり得、その一方で、バッファは、ハードウェアの固定メモリ中にあり得るか、又は物理メモリ中のロケーションを指すソフトウェア中の仮想データバッファとしてあり得ることが理解される。この時点で、スペクトルイベントの総数を、スペクトルイベントの数を後のGIIの可能性と相関させる相関データと比較することができる。例として、「MH4」と称されるスペクトルイベントが、以下に説明する研究において識別された。MH4では、観察されたMH4イベントの数が4分の記録中に約21回未満である場合にはGIIの高いリスクが存在し、観察されたMH4イベントの数が4分の記録中に約21回を超えるが約131回未満である場合にはGIIの中リスクが存在し、観察されたMH4イベントの数が4分の記録中に約131回を超える場合にはGIIの低いリスクが存在する。所定のスペクトルイベントの数は、従って、GIIについてのリスクの大きさを伝達する指数として使用することができ、より小さい数はより高いリスクを示し、より大きい数はより低いリスクを示す。
【0032】
後のGIIの可能性が突き止められると、そのリスクをユーザに伝達することができる。例えば、コンピュータ105又は他のデバイス(別個のコンピュータなど)は、分析を実行するために使用することができ、ユーザインターフェース103などの関連するディスプレイ上にリスクレベルを表示することができるが、予測は、別個のコンピュータモニタなどの別個のディスプレイ上に示すことができる。いくつかの実施形態では、予測は、予測が患者記録と共に自動的に記憶されるように、病院カルテ記入及び/又は記録システムに自動的に伝達することができる。いくつかの事例では、データを匿名化し、集約データとして使用することができる。いくつかの実施形態では、リスクは、指数(即ち数)として伝達することができる。他の実施形態では、リスクは、「高い」、「中程度」、又は「低い」として示すことができる。いずれにしても、表示に対して適切な措置を取ることができ、適切な措置は、経口栄養摂取を許可又は禁止することを備え得る。特に、腸機能を評価し、最初の患者評価を裏付けるために、術後から数日間に患者に対して更なる記録及び分析を実行することができる。
【0033】
本明細書で説明する特徴のうちのいずれも、本明細書に提供される開示及び説明を考慮して当業者によって理解されるように、組み合わせることができるか、又は置換することができる。
【0034】
上記で説明した方法から理解することができるように、GIIのリスクを、心臓の問題のリスクをEKGを用いて非侵襲的に評価することができるのとほぼ同じ方法で評価することができる。いくつかの実施形態では、リスク評価は、リアルタイムで実行することができる。
【0035】
開示するシステム及び方法の実行可能性を評価するために臨床研究が行われた。本研究の1つの目的は、術後期間の初期に腸音に存在するスペクトルイベントが、実際に、その後、臨床的徴候及び症状が発症する前にGIIと相関することを裏付けることであった。本研究の別の目的は、病院及び他の施設が、腸音の分析を使用して、臨床的に有意なGIIの発症について患者をリスク層別化することを可能にする、単純な非侵襲性のポイントオブケア検査として実装することができる、GIIを予測するためのモデルを開発することであった。
【0036】
本研究では、入院手術を受ける予定の患者が、IRB承認プロトコルを使用して採用された。腹部手術及び非腹部手術を受けた患者が含まれた。術後にICUに入院した患者は、研究の残りから除外された。
【0037】
研究のために、デュアルチャネルデジタルオーディオレコーダ(Microtrak II,M-Audio Corp.,Irwindale,CA)、コンデンサマイクロフォン(ATR35s,Audio-Technica Ltd,Leeds,UK)、聴診器チューブ、及び聴診器ヘッドを使用して、腹部音をデジタル記録するためのデバイスが組み立てられた。腸音を記録するために、聴診器ヘッドが上部及び下部前腹壁に当てられ、両方のチャネルが5~6分の期間にわたって同時に記録された。オーディオレベルを較正するために、標準化されたトーンも各記録に適用された。
【0038】
腸音の記録は、リサーチチームによって手術直前に、次いで術後の各日に実行された。リサーチチームはまた、臨床転帰データを毎日収集した。GIIの発症に関連する変数を表1に示す。患者のケアを提供する臨床チームは、オーディオ記録の結果を知らされなかった。
【表1】
【0039】
その後、デジタル信号処理アルゴリズムを使用してオーディオ記録が処理された。アルゴリズムは、術前に又は病院滞在の残りの間のGIIの発症を予測するであろう術後期間の初期にスペクトルイベントを識別することに焦点を当てた反復様式で適用された。可聴スペクトルの異なる部分にわたる5つのタイプのスペクトルイベントが、最終的に分析に使用された。各タイプのスペクトルイベントは、一意の目標信号パラメータ(最小及び最大周波数、最小及び最大持続時間、並びに最小分離)、信号対雑音比パラメータ(最小占有率、信号対雑音閾値)、及び雑音電力推定パラメータ(ブロックサイズ、ホップサイズ、パーセンタイル)によって定義された。5つのスペクトルイベントをH4、M4、L4、ML4及びMH4と称し、各々についてのパラメータを表2に示す。スペクトルイベントは、4分の時間間隔にわたってカウントされた。GIIは、嘔吐の存在、経鼻胃挿管の必要性、又は飲食の逆転として定義された。
【表2】
【0040】
RavenPro1.4ソフトウェアが、記録されたオーディオ信号の視覚化、分析、及び測定に使用された。PASW18及びClementine10.1を使用して統計分析が実行された。
【0041】
37人の患者が研究に採用された。術後のICUへの入院のため、5人の患者が除外された。手術日に退院した2人の患者は、術後データが取得されなかったので除外された。残りの30人の患者のうち、11人は男性であり、19人は女性であった。平均年齢は52歳(SD=12)であった。5人の患者は腹部外手術を受け、25人の患者は腹部内手術を受けた。その後、9人の患者(全体の30%)がGIIを発症し、その全てが術後最初の4日以内であった。それらの患者のうち、4人はPOD1で開始し、1人はPOD2で開始し、4人はPOD4で開始した。
【0042】
スペクトルイベントのうちの3つ例を
図15のスペクトログラムに示す。各指定のスペクトルイベントの平均数が、その後GIIを示したか又は示さなかった患者について計算された。次いで、両側t検定が使用されて、任意の差異の有意性が評価された。POD0から取得されたスペクトルイベントは、その後のGIIの発症と相関しなかった。POD1から取得されたスペクトルイベントは、しかしながら、その後のGIIの発症と相関することが判明した。具体的には、MH4スペクトルイベントは、後続するGIIを伴わない患者において154の平均カウントを有し、そしてGIIを発症した患者において44の平均カウントを有した(p=.004)。
【0043】
図16は、本明細書で説明するようなデータの収集に基づくGIIの予測の例を示し、MH4スペクトルイベントにおける時間的変化を描画するグラフを示す。研究の結果は、手術入院の初期に腸音に存在するスペクトルイベントが、実際に、臨床的徴候及び症状が発症する前にGIIと相関することを裏付けた。特に、MH4は、後続するGIIの存在により高度且つ有意に分離することが突き止められた。従って、MH4測定に基づく予測モデルを使用して、患者をGIIについて高リスク、中リスク、及び低リスクであると評価することができる。有意には、低リスク群の患者はGIIを発症しなかった。本研究では、GIIなしについての低リスク分類の予測値は100%であり、その一方で、GIIについての高リスク分類の予測値は83%であった。中リスク患者の30パーセント(30%)がGIIを経験した。
【0044】
本発明の実施形態についてここで及び上記で説明したように、
図17は、GIIを予測するための本発明の方法の実施形態のフロー図を提供する。例示するように、本発明のデバイスが患者上に位置付けられると、ブロック100において、オーディオデータを生成するために患者の腸音が記録される。本明細書で説明するように、音は、患者の腹部又は事実上その近くにおいて、患者の皮膚に対する患者インターフェースを通して非侵襲的に取得することができる。ブロック100からの記録されたオーディオデータは、次いで、ブロック102において、予測スペクトルイベント(例えばMH4)を識別するために処理される。ブロック102の処理されたオーディオデータは、次いで、ブロック104Aにおいて、周囲雑音に起因する誤信号について分析される。本発明のデバイスが、そのような誤信号が軽減を必要としていることを示さない場合、ブロック106において、識別された予測スペクトルイベントの総数が計算される。しかしながら、本発明のデバイスがブロック104Aにおいて閾値を超える数の誤信号を検出した場合、周囲雑音を低減又は制御する必要性をユーザに警報/警告しながら、ブロック104Bにおいて、誤信号を考慮するために識別された予測スペクトルイベントの数を調整することによって、周囲雑音に起因する誤信号の軽減が実行され、デバイスは再計算する。ブロック104Bにおける軽減が完了すると、上記で議論したブロック104Aからの非軽減判定について説明したように、ブロック106において、識別された予測スペクトルイベントの総数が提供される。ブロック106において計算された識別された予測イベントの総数を用いて、ブロック108Aにおいてタイムスタンプ及びスペクトルイベントの数がバッファに書き込まれ、ブロック108Bにおいてバッファリングされたデータの回帰分析から経時的なスペクトルイベント値の傾きが生成される。次いで、ブロック110において、傾き値は、傾きをGIが将来発生する可能性と相関させるデータと比較される。この態様は、2つ以上のスペクトルイベント値(即ちMH4値)の傾きを経時的に分析することによって、他の方法に対して有意な改善を提供する。例えば、術後約7~約12時間の間のMH4値が取得され、これらの点の線形回帰分析の傾きが計算される。予測子としての役割を果たす術後12時間で収集された単一のMH4値ではなく、本発明の計算された傾きが、バイナリ予測を行うために所定の傾き閾値と比較される。本発明のこの態様は、周囲雑音干渉によって誤って上昇し得る単一のMH4値に起因する潜在的な誤った解釈を訂正するが、本発明は、複数の値及び結果に基づく分析を、周囲雑音などの外部干渉に対してより回復力がある分析結果と共に提供する。誤信号を軽減するこの能力は、特に本明細書で定義するような音響室を備える本発明のデバイスで使用されるとき、リスクレベル分析及び戦略を大幅に増加させる。ブロック110の相関から、本発明のデバイスは、予測されるGIIイベントが発生する可能性に対処するための準備、予防、治療、及び他の戦略に関する意思決定のために、ブロック112においてユーザにリスクレベルを示す。本明細書中で議論するように、GIIが特定のリスクレベルで発生すると予測する結果を提供するために、リアルタイムのデータの収集、分析、相関を可能にするデバイス及び方法が提供される。
【0045】
図18は、収集された患者データを分析するために胃腸機能障害を予測するためのシステムにおいて使用することができるデバイス72のための実例的なアーキテクチャを例示する。例として、
図18に示すアーキテクチャは、例えば、
図3~4のコンピュータ105及びユーザインターフェース103、並びに本明細書で説明するようなデータ収集デバイス、処理デバイス、ユーザインターフェース、I/Oデバイス(複数可)(マイクロフォンを含む)、メモリ(オペレーティングシステム、腸音分析器、データベース、等を含む)を備える本発明のデバイスのアーキテクチャであり得る。その上、例示されたアーキテクチャは、1つ以上のデバイスにわたって分散することができることに留意されたい。
【0046】
図18に示すように、デバイス72は、一般に、処理デバイス74、メモリ76、ユーザインターフェース78、及び入力/出力デバイス80を備え、それらの各々は、ローカルバスなどのローカルインターフェース82に結合される。
【0047】
処理デバイス74は、中央処理ユニット(CPU)、又はマイクロプロセッサ若しくはデジタルシグナルプロセッサなどの他の処理デバイスを含むことができる。メモリ76は、揮発性メモリ要素(例えばRAM)及び不揮発性メモリ要素(例えばフラッシュ、ハードディスク、ROM)のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む。
【0048】
ユーザインターフェース78は、ユーザがデバイス72と相互作用する構成要素を備える。ユーザインターフェース78は、例えば、キーボード、マウス、及び液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイデバイスを備えることができる。代替として又は加えて、ユーザインターフェース78は、1つ以上のボタン及び/又はタッチスクリーンを備えることができる。1つ以上のI/Oデバイス80は、他のデバイスとの通信を容易にするように適合され、1つ以上の電気コネクタ並びにワイヤレス送信機及び/又は受信機を含み得る。加えて、デバイス72がデータ収集デバイスである場合、I/Oデバイス80は、マイクロフォン84のうちの1つ以上を備えることができる。
【0049】
メモリ76は、コンピュータ可読媒体であり、オペレーティングシステム86及び腸音分析器88を含む様々なプログラム(即ち論理)を記憶する。オペレーティングシステム86は、他のプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連するサービスを提供する。デバイス72、及び好ましくはメモリ76はデータバッファを備え、そこに傾きと後のGIIの可能性との相関のためのデータとの傾き値比較のための、1つ以上のアルゴリズム及び/又は他のソフトウェアを介した分析のために、タイムスタンプされたスペクトルイベントが書き込まれ、それからリスクレベルが決定される。腸音分析器88は、患者がGIIを発症する可能性を予測する目的で腸オーディオデータを分析するように構成された1つ以上のアルゴリズムを備える。いくつかの実施形態では、分析器88は、データベース90中に記憶された相関データに対してその分析を行い、GIIリスクの予測指数をユーザ(例えば医者又は病院スタッフ)に提示する。いくつかの実施形態では、分析器88は、ターゲット信号パラメータ、信号対雑音比パラメータ、及び雑音電力推定パラメータを使用して、対象となる特定のスペクトルイベントを識別する。次いで、指定された時間間隔中の予測スペクトルイベントの数の決定木分析を使用して、GIIの高、中、又は低リスクを通信することができる。いくつかの実施形態では、各リスクレベルに関連するリスクは、それぞれ83%、30%、及び0%、又はおよそそのあたりである。
【0050】
強力なモデルは、患者のより大きいデータセットから、24時間期間などの長時間期間隔中に腸音を監視することによって生成することができると考えられる。データ平均化及び追加のタイプのスペクトル分析の追加を伴う連続記録は、開示する技法の予測精度を改善し得る。より大きいデータのセットを収集し、提案された予測モデルを検証し、分析されるスペクトルイベントを改良し、データ収集の代替タイミングを評価し、広く適用可能な予測モデルを展開することに焦点を当てる将来の試験が予想される。加えて、迅速なポイントオブケアデータ連続取得及び分析のための信頼性のある技術の更なる展開は、これらの調査を拡大する上で、及び最終的には任意の臨床的使用において非常に貴重となるであろう。いずれにしても、上記で説明した研究は、GII及び他の胃腸障害の研究において音響スペクトル分析を使用することの実現可能性及び見込みを裏付ける。
【0051】
仙痛は、馬における早死の主な原因である。仙痛は腹痛を指すが、それは、閉塞、痙攣、又は捻転を含む、大腸に影響を及ぼすいくつかの根本的な障害を反映し得る。早期診断は、死亡を予防するための鍵であるが、馬などのより大型の哺乳類における早期診断は困難である。疝痛の根本的な原因は、腸の機械的変化を反映するので、これらは、腸の規則的な収縮から生成される雑音のタイプの僅かな差異として認識可能である。
【0052】
本発明のデバイス及びシステムは、馬などの大型哺乳類における腸音のオーディオスペクトル分析を実行するように修正することができる。本発明の別の態様では、一連のデバイスを使用して、複数の馬を同時に又は重複する時間に監視することができ、デバイスは、少なくとも1つの他の受信システムへのデータ及び/又は分析の送信のためにゲートウェイデバイスにネットワーク接続される。デバイス及びシステムは、(即ち、ストラップ、粘着力、弾性バンド、他の類似機構、及び/又はそれらの組み合わせを介して)馬の身体(例えば、胴体又は腹部/下腹部)に取り付けられるように構成され、デバイスマイクロフォンは、身体に向かって位置付けられるであろう。デバイスによって収集されたデータは、デバイスによって分析することができる。結果として得られる分析は、本明細書で説明するようにデバイスからアクセス及び再検討することができるか、又はデータ分析は、例えば、納屋、動物保護施設、野原、牧草地、又は本質的にゲートウェイデバイスが馬に取り付けられたデバイスから情報を受信し、その情報を別の場所のデバイスに送信して飼育係が馬に必要な行動を決定するために分析を再検討することができるエリアに位置するゲートウェイデバイスに送信することができる。オーディオスペクトル分析アルゴリズムは、仙痛が発生し始める可能性又は仙痛の初期段階を予測するスペクトルイベントの早期識別のために特に調整されるべきであり、デバイスを交換する前に数週間から数ヶ月までの使用を可能にする電力消費戦略を有するであろう。馬の近く及び周囲の周囲雑音は、病院又は人間が看護される他の場所の周囲雑音とは異なるが、本発明のデバイスは、馬の近く及び周囲の周囲雑音を考慮するように容易に調整することができることが理解されるべきである。周囲雑音を制御する必要性の通知及び/又は警報に関する警告インジケータの使用は、本明細書において上記で説明している。
【0053】
前述の説明は本発明の好ましい実施形態を対象としているが、他の変形及び修正が当業者には明らかであり、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われ得ることに留意されたい。その上、本発明の一実施形態に関連して説明される特徴は、上記で明示的に述べられていなくても、他の実施形態と併せて使用され得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 患者の腹部の表面に取り付けるように適合された患者インターフェースと、
腸音に応答して振動して、患者の腹部内で発せられた腸音を増幅する音圧波を作成し、収集用のオーディオデータをもたらす振動板と、
前記腸音を増幅する振動板振動によって引き起こされる音圧波を受け取るように適合された音響室と、
前記音響室中又はその近くに位置するオーディオ収集デバイスと、
コンピュータを備えるハウジングと、
1つ以上のアルゴリズムを備えるメモリと、
ディスプレイを備えるユーザインターフェースと、
を備える、腸オーディオ分析デバイスであって、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、周囲雑音に起因する誤信号について収集されたオーディオデータを分析し、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、経時的な2つ以上のスペクトルイベント値を分析し、
前記1つ以上のアルゴリズムのうちの少なくとも1つは、経時的な前記2つ以上のスペクトルイベント値の線形回帰分析の傾きを生成する役割を果たし、
前記線形回帰分析の前記傾きは、バイナリ予測を行うために所定の傾き閾値と比較される、デバイス。
[2] 前記ディスプレイは、グラフィカルユーザインターフェースを備える、[1]に記載のデバイス。
[3] 前記デバイスは、患者からオーディオ信号を収集及び分析して、胃腸機能障害の臨床的徴候が発生する前に前記胃腸機能障害の可能性を予測するように構成されている、[1]に記載のデバイス。
[4] 前記ハウジングは、上部及び台座を備える、[1]に記載のデバイス。
[5] 前記デバイスは、2次オーディオ収集デバイスを更に備える、[1]に記載のデバイス。
[6] 前記2次オーディオ収集デバイスは、周囲雑音を収集するように構成されている、[5]に記載のデバイス。
[7] 前記患者インターフェースは、音響音波を収集し、少なくとも1つの前記オーディオ収集デバイスは、前記音響音波から処理されたオーディオデータを収集する、[1]に記載のデバイス。
[8] 前記2次オーディオ収集デバイスは、振動板を更に備える、[5]に記載のデバイス。
[9] 前記ハウジングは、分離可能な頂部及び下部を更に備える、[1]に記載のデバイス。
[10] 前記分離可能な頂部及び下部は、取り付け手段を使用して固定されている、[9]に記載のデバイス。
[11] 胃腸機能障害が発生する可能性を予測する方法であって、前記方法は、
患者のオーディオデータを生成するために腸音を記録することと、
予測スペクトルイベントを識別するために前記オーディオデータを処理することと、
周囲雑音に起因する誤信号について前記オーディオデータを分析し、誤信号についての前記分析が軽減が必要であることを示す場合に前記誤信号について軽減することと、
識別された予測スペクトルイベントの総数を取得することと、
経時的なスペクトルイベント値の傾きをもたらす線形回帰分析を実行することと
前記傾きを胃腸機能障害が発生する可能性と相関させることと、
ユーザに前記可能性に基づくリスクレベルを提供することと
を備え、前記方法は、[1]に記載のデバイスで実行される、方法。
[12] 前記軽減するステップは、周囲雑音に起因する前記誤信号を考慮することによって識別された予測スペクトルイベントの数を調整することを備え、識別された予測スペクトルイベントの前記総数をもたらす、[11]に記載の方法。
[13] 前記実行するステップは、タイムスタンプを提供し、識別された予測スペクトルイベントの総数を前記デバイスのバッファに書き込むことを備える、[11]に記載の方法。
[14] 前記線形回帰分析は、前記バッファに書き込まれたデータを使用して実行される、[13]に記載の方法。
[15] 前記相関させるステップは、前記傾きの値を、傾きを後に発生する胃腸機能障害の可能性と相関させるデータを比較することによって実行される、[11]に記載の方法。
[16] 前記方法は、誤信号についての分析が軽減が必要であることを示す場合にユーザに警告するステップを更に備える、[11]に記載の方法。
[17] 前記警告には、前記デバイスの一部として警告インジケータが設けられ、前記警告インジケータは、光、雑音、ユーザインターフェースディスプレイ上のグラフィック、又はそれらの組み合わせを備えるリストから選択される、[16]に記載の方法。
[18] 前記警告するステップは、
1)2次オーディオ収集デバイスからの予め設定された周囲雑音デシベルレベル、2)1次オーディオ収集デバイス対2次オーディオ収集デバイスからの信号対雑音比の分析、3)予め設定された閾値を上回るスペクトルイベントの誤トリガリングのために前記2次オーディオ収集デバイスによって受け取られた雑音の処理によってアクティブ化される、[16]に記載の方法。
[19] 前記予測スペクトルイベントは、MH4である、[11]に記載の方法。
[20] 前記デバイスは、過剰周囲雑音に起因する誤信号用の警告インジケータを備える、[1]に記載のデバイス。