(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】分類装置、表示装置及び分類方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/906 20190101AFI20241216BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20241216BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241216BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G06F16/906
G09G5/10 B
G09G5/00 510H
G09G5/00 510P
G09G5/14 A
G09G5/00 550B
G09G5/00 550D
G09G5/00 X
G09G5/00 530T
(21)【出願番号】P 2022136662
(22)【出願日】2022-08-30
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】509354422
【氏名又は名称】大塚 作一
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(72)【発明者】
【氏名】大塚 作一
(72)【発明者】
【氏名】岩井田 早紀
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-138399(JP,A)
【文献】特開2017-085193(JP,A)
【文献】特開2002-223364(JP,A)
【文献】特開2021-093608(JP,A)
【文献】斉藤 優理,伊藤 貴之,CrowdRetouch: ユーザの好みを反映した画像一括補正システム,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会 ,2016年01月14日,PRMU2015-125, MVE2015-47 (2016-01),pp. 181-185
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G09G 5/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブでそれぞれ元画像を画質変換して得られる複数の変換画像の中から、元画像に写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像をユーザに選択させる選択部と、
複数の被験者による変換画像の選択結果を用いたクラスタ分析により生成された分類基準にしたがって、前記選択部でのユーザの変換画像の選択結果に基づいて、ユーザを分類する分類部と、
を備え
、
前記クラスタ分析では、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像の選択結果に対応する数値を示す座標軸が、被写体を見ると想定される想定時間帯毎に独立して規定されたベクトル空間で複数の被験者が分類されることにより前記分類基準が生成され、
前記選択部は、
被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を、前記想定時間帯毎にユーザに選択させて、前記ベクトル空間におけるユーザの選択結果を示すベクトルを求め、
前記分類部は、
前記ベクトル空間におけるユーザの選択結果を示すベクトルに基づいて、ユーザを分類する、
分類装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の分類装置と、
明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブのうち、前記分類装置で分類されたユーザのクラスタに対応するトーンカーブで、表示される画像の画質を変換する画質変換部と、
を備える表示装置。
【請求項3】
分類装置によって実行される分類方法であって、
明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブでそれぞれ元画像を画質変換して得られる複数の変換画像の中から、元画像に写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を、複数の被験者が被写体を見ると想定される想定時間帯毎に選択したときの選択結果を用いたクラスタ分析を行って、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像の選択結果に対応する数値を示す座標軸が、前記想定時間帯毎に独立して規定されたベクトル空間で複数の被験者を分類する分類基準を生成し、
前記複数の変換画像の中から、元画像に写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を
、前記想定時間帯毎にユーザに選択させ
て、前記ベクトル空間におけるユーザの選択結果を示すベクトルを求め、
前
記分類基準にしたがって、
前記ベクトル空間におけるユーザの変換画像の選択結果に基づいて、ユーザを分類する、
分類方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分類装置、表示装置及び分類方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示される画像に黒つぶれ又は白とびが発生しないように、画像の画質を調整することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように調整された画像でもその画像を見たときの感じ方は人によって異なる。ある人にとっては違和感のない画像でも、他の人にとっては違和感のある画像であることもしばしばである。このような違和感をなくすには、表示される画像の画質を個人個人の視覚特性にあわせて調整する必要がある。しかし、ユーザ個人の視覚特性にあわせて画質を調整するのは、必定に煩雑な作業であり、現実的ではない。現状では、ユーザ個人の視覚特性を特定する方法ですら見いだされていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上記実情の下になされたものであり、ユーザの視覚特性を特定し、特定された視覚特性を利用することができる分類装置、表示装置及び分類方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る分類装置は、
明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブでそれぞれ元画像を画質変換して得られる複数の変換画像の中から、元画像に写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像をユーザに選択させる選択部と、
複数の被験者による変換画像の選択結果を用いたクラスタ分析により生成された分類基準にしたがって、前記選択部でのユーザの変換画像の選択結果に基づいて、ユーザを分類する分類部と、
を備え、
前記クラスタ分析では、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像の選択結果に対応する数値を示す座標軸が、被写体を見ると想定される想定時間帯毎に独立して規定されたベクトル空間で複数の被験者が分類されることにより前記分類基準が生成され、
前記選択部は、
被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を、前記想定時間帯毎にユーザに選択させて、前記ベクトル空間におけるユーザの選択結果を示すベクトルを求め、
前記分類部は、
前記ベクトル空間におけるユーザの選択結果を示すベクトルに基づいて、ユーザを分類する。
【0010】
本発明の第2の観点に係る表示装置は、
本発明の第1の観点に係る分類装置と、
明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブのうち、前記分類装置で分類されたユーザのクラスタに対応するトーンカーブで、表示される画像の画質を変換する画質変換部と、
を備える。
【0013】
本発明の第3の観点に係る分類方法は、
分類装置によって実行される分類方法であって、
明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブでそれぞれ元画像を画質変換して得られる複数の変換画像の中から、元画像に写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を、複数の被験者が被写体を見ると想定される想定時間帯毎に選択したときの選択結果を用いたクラスタ分析を行って、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像の選択結果に対応する数値を示す座標軸が、前記想定時間帯毎に独立して規定されたベクトル空間で複数の被験者を分類する分類基準を生成し、
前記複数の変換画像の中から、元画像に写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を、前記想定時間帯毎にユーザに選択させて、前記ベクトル空間におけるユーザの選択結果を示すベクトルを求め、
前記分類基準にしたがって、前記ベクトル空間におけるユーザの変換画像の選択結果に基づいて、ユーザを分類する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を複数の被験者に選択させてクラスタ分析を行い、その分析により生成された分類基準にしたがってユーザの選択結果に基づいてユーザを分類するので、ユーザの視覚特性を特定し、特定された視覚特性を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】(A)は、午前用の元画像である。(B)は、午後用の元画像である。
【
図3】
図1のトーンカーブから得られた変換画像の例を示す図である。
【
図5】被験者が選択した午前、午後のトーン値の変化を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る分類装置のソフトウエア構成を示すブロック図である。
【
図7】
図6の分類装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図6の分類装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】ユーザを分類するシーケンスの他の例を示すフローチャートである。
【
図10】
図6の分類装置のソフトウエア構成の変形例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る表示装置のソフトウエア構成を示すブロック図である。
【
図12】
図11の表示装置を通信ネットワークで接続した構成を示すブロック図である。
【
図13】
図11の表示装置のソフトウエア構成の変形例を示すブロック図である。
【
図14】本発明の実施の形態3に係る印刷装置のソフトウエア構成を示すブロック図である。
【
図15】印刷用のトーンカーブの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0017】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1について説明する。本実施の形態に係る分類装置1(
図6参照)は、新しく得られたユーザの視覚特性に関する知見に基づいて、ユーザを分類する。まず、本実施の形態に係る分類装置1において用いられるユーザの視覚特性を利用したクラスタ分析について説明する。
【0018】
[クラスタ分析]
人間は、明所視のHDR(High Dynamic Range)環境を模した実験室環境において、103.5程度の輝度比を同時に知覚可能である。HDR環境下で現実の風景を見たときに感じられる自然な印象を、102程度のSDR(Standard Dynamic Range)レベルの画像や映像で知覚的に忠実に再現する手法を確立する研究が行われている。この研究により、HDR環境において、人間がその状況を直接知覚・記憶するのではなく、時間(午前、午後、夜間など)や環境(天候や屋内外など)に対応した大域処理(Global Tone Mapping)を用いてSDRレベルの知覚表象に圧縮する処理を行っていることが明らかになっている。圧縮された知覚表象は、NVP(Normalized Visual Percept)と呼ばれる。NVPは、サーカディアンリズム、すなわち日内変動によって能動的に変動する可能性が示唆されている。本実施の形態では、NVPがサーカディアンリズムに依存して変化するという視覚特性を利用して、晴天屋外という環境条件下で撮影した午前、午後の画像を用いたクラスタ分析により複数の被験者が分類される。
【0019】
このクラスタ分析では、
図1に示すように、明るさ及びコントラストの変換特性が異なる5つのトーンカーブTC-1~TC-5が用いられる。
図1に示すのは、それぞれ正規化されたトーンカーブであり、SDRレベルで、黒つぶれ及び白とびが発生しないトーンカーブとして規定されている。トーンカーブTC-1を用いれば、全体としては暗いが、コントラストが大きい画像が得られる。この画像は、例えば午前の屋外での標準的な知覚(生活習慣が朝型の場合)に対応する画像である。また、トーンカーブTC-5を用いれば、全体として明るいが、コントラストが小さい画像が得られる。この画像は、夜間の標準的な知覚に対応する画像である。トーンカーブTC-2~TC-4は、トーンカーブTC-1で変換された画像とトーンカーブTC-5で変換された画像との中間のトーンを有する画像を生成するためのものである。
【0020】
本実施の形態に係るクラスタ分析では、5つのトーンカーブTC-1~TC-5を用いて、
図2(A)に示す3枚の元画像A1~A3と、
図2(B)に示す3枚の元画像P1~P3の画質を変換してそれぞれ5枚ずつの変換画像が生成される。
図2(A)に示す元画像A1~A3は、午前に撮影されそれぞれ被写体が異なる画像である。
図2(B)に示す元画像P1~P3は、午後に撮影されそれぞれ被写体が異なる画像である。なお、
図2(A)及び
図2(B)では、画像がグレースケールで示されているが、実際にはカラー画像である。
図3も同様である。
【0021】
図3に示す左側5枚の画像は、
図2(A)の左端に示す同一の元画像A1を、トーンカーブTC-1~TC-5で画質変換して得られた変換画像である。また、
図3の右側5枚の画像は、
図2(B)の左端に示す同一の元画像P1を、トーンカーブTC-1~TC-5でそれぞれ画質変換して得られた変換画像である。
【0022】
クラスタ分析では、これらの複数の変換画像の中から、被写体をその想定された想定時間帯(午前、午後)で実際に見たときの見え方に最も近い変換画像を複数の被験者に選択させる。例えば、
図2(A)の3枚の元画像A1~A3から得られる計15枚の変換画像(
図3の左5枚の変換画像を含む)から、午前の見え方に最も近い変換画像を元画像A1~A3についてそれぞれ被験者に選択させる。さらに、
図2(B)の3枚の元画像P1~P3から得られる計15枚の変換画像(
図3の右5枚の変換画像を含む)から午後の見え方に最も近い変換画像を元画像P1~P3について被験者に選択させる。午前は午前9時ぐらいを想定し、午後は午後1時ぐらいを想定している。選択は、経験的に被験者の視覚特性が安定していることがわかっている午後の早い時間帯に行われるのが望ましい。なお、被験者に見せる画像は、ディスプレイ14(
図7参照)に表示されたものであってもよいし、プリンタ22(
図7参照)に印刷されたものであってもよい。なお、プリンタに印刷する場合の画像は、
図15に一例を示した印刷用のトーンカーブTC-a1、TC-a2で予め時間に応じて印刷前の追加補正を行った変換画像であることに留意する必要がある。
【0023】
このクラスタ分析では、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像の選択結果に対応するトーン値を示す座標軸が、被写体又は想定時間帯が異なる元画像A1~A3、P1~P3毎に独立して規定されたベクトル空間で複数の被験者が分類されることにより分類基準が生成される。例えば、トーンカーブTC-1の変換画像が選択された場合、その選択に係る座標値(トーン値)は1となる。同様にトーンカーブTC-2の変換画像が選択された場合、トーン値は2となり、トーンカーブTC-3の変換画像が選択された場合、トーン値は3となり、同様にトーンカーブTC-4、TC-5の変換画像が選択された場合、トーン値は4、5となる。クラスタ分析は、このトーン値を用いて行われる。このクラスタ分析では、午前の元画像A1~A3からそれぞれ選択される変換画像を示す3つのトーン値と、午後の元画像P1~P3からそれぞれ選択される変換画像を示す3つのトーン値とを要素とするユーザの選択結果を示すベクトルのベクトル空間で、複数の被験者が分類される。以下では、このベクトルを選択結果ベクトルともいう。
【0024】
本実施の形態では、被験者の主要な属性と判断結果に対して、Ward法による階層的クラスタ分析を行って複数の被験者を分類する。Ward法では、被験者毎に選択結果ベクトルを取得し、被験者毎の選択結果ベクトルのベクトル空間内の距離に基づいて分類を行う。
【0025】
実際に、29人の被験者でWard法による階層的クラスタ分析を行ったところ、被験者は、C1とC2とに分類され、C1は、さらにC1-1とC1-2とに分類され、C1-1は、さらにC1-1-1と、C1-1-2とに分類され、C1-2は、さらにC1-2-1と、C1-2-2とに分類される。午前、午後のトーン値の変動量(絶対値)、変動方向、トーン値の平均値の3種類を説明変数として回帰特性を調べた結果を
図4に示す。
図5には、この5つのクラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2での午前、午後のトーン値の変動が示されている。
【0026】
(1)C1とC2は、午前、午後を合わせたトーンの平均値が異なる。C2はトーン値が常時高い(日中でも夜に近い低いコントラスト)を維持するタイプである。なお、コントラストの高い画像を選べば、トーン値は低くなっている。
(2)C1-1とC1-2とでは,午前から午後に向けてのトーン値の変動方向が異なる。C1-2は、標準的な朝型に分類されるタイプである。
(3)C1-2はトーン値の変化の傾きの大きさによってC1-2-1、C1-2-2に分類される。傾きが大きければC1-2-1に分類され、小さければC1-2-2に分類される。
(4)C1-1は、トーン値の平均値によってC1-1-1、C1-1-2に分類される。トーン値の平均値が大きければC1-1-1に分類され、小さければC1-1-2に分類される。C1-1-1が夜型(朝はコントラストが低く、午後にコントラストが上昇するタイプ)に属する。被験者の人間は、午前ではトーン値が大きい画像を選択し、午後ではトーン値が低い画像を選択している。
(5)C1-1-2に分類される被験者は、午前でも午後でも、トーン値が小さい画像を選んでおり、高いコントラストを維持している。
【0027】
なお、このような分類結果は、あくまで一例であり、被験者の数を増やしたりすれば、分類されるクラスタは大きく変わる可能性がある。
【0028】
以上の分析結果を利用してユーザを分類する分類装置1について説明する。本実施の形態に係る分類装置1は、ユーザを、C1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2のいずれかに分類するものとして説明を行う。しかしながら、クラスタは、上述の複数の被験者によるクラスタ分析によって決まるのであり、より多くのクラスタに分類されるようにしてもよい。
図6に示すように、分類装置1は、記憶部2と、選択部3と、分類部4と、を備える。
【0029】
[記憶部]
記憶部2は、以下の情報を記憶する。
(A)分類基準R:分析基準Rは、複数の被験者による複数の変換画像CPの選択結果を用いたクラスタ分析により生成された分類基準である。ユーザをそのいずれかのクラスタに分類するための基準となる情報である。例えば、各クラスタの中心ベクトルなどが、分類基準となる。ユーザの選択結果ベクトルと各クラスタの中心ベクトルとの距離に基づいてユーザを分類することができるためである。この分類基準は、実際にクラスタ分析を行った情報処理装置としてのクラスタ分析装置7で求められ、記憶部2に記憶される。
(B)元画像OP:例えば、
図2(A)及び
図2(B)に示す画像A1~A3、P1~P3であり、クラスタ分析のときと同じ画像が用いられる。すなわち、記憶部2には、被写体が異なる複数の元画像OPが記憶される。分類装置1が元画像OPから変換画像CPを生成する場合、記憶部2には元画像OPが記憶される。変換画像CPが記憶部2に記憶されている場合、記憶部2に元画像OPを記憶する必要はない。
(C)変換画像CP:元画像OPをトーンカーブTC-1~TC-5で画質変換して得られる複数の変換画像CPである。分類基準Rが生成されたときに用いられた変換画像CPと同じ画像である。元画像OP、トーンカーブTC-1~TC-5が記憶されている場合、記憶部2に変換画像CPを記憶する必要はない。
(D)トーンカーブTC:例えば、トーンカーブTC-1~TC-5である。分類基準Rが生成されたときに用いられたトーンカーブTC-1~TC-5と同じものが記憶される。変換画像CPを記憶している場合、分類装置1では、トーンカーブTC-1~TC-5を記憶しておく必要はないが、ユーザの分類にはトーン値を求める必要があるため、記憶部2は、どの変換画像CPが、どのトーン値に対応しているか(どのトーンカーブTC-1~TC-5に対応しているか)を記憶しておく必要がある。
なお、
図6に示すように、元画像OP、変換画像CP、トーンカーブTCは記憶部2に複数記憶されるが、以降の図では、簡略化のため、これらは1つずつ図示することとする。
【0030】
[選択部]
選択部3は、複数の変換画像CPの中から、元画像OPに写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像CPをユーザに選択させる。変換画像CPは、元画像OPからトーンカーブTCを用いて生成するようにしてもよい。このため、選択部3は、記憶部2から複数の変換画像CPを読み込んで、変換画像CPを表示出力し、その表示を見たユーザに、変換画像CPを選択するように表示又は音声出力し、ユーザが選択した変換画像CPの情報を入力する機能を有している。本実施の形態では、選択部3は、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像CPを、被写体が異なる元画像OP毎にユーザに選択させて、上述のベクトル空間における座標軸毎の数値(トーン値)を求める。また、選択部3は、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像CPを、想定時間帯毎(午前、午後)にユーザに選択させて、ベクトル空間における座標軸毎の数値(トーン値)を求める。これにより、ユーザの選択結果ベクトルが決定される。
【0031】
[分類部]
分類部4は、記憶部2に記憶された分類基準Rにしたがって、選択部3でのユーザの変換画像CPの選択結果に基づいて、ユーザを分類する。本実施の形態では、分類部4は、ベクトル空間における、ユーザの選択結果が表すベクトルに基づいて、ユーザを分類する。例えば、分類部4は、ユーザを、クラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2のいずれかに分類する。分類部4は、その分類結果を出力する。
【0032】
[ハードウエア構成]
図7には、分類装置1のハードウエア構成が示されている。
図7に示すように、分類装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、メモリ11と、外部メモリ12と、操作部13と、ディスプレイ14と、通信インターフェイス(I/F)15と、入出力部16と、タイマ17と、カメラ18Aと、マイク18Bとを備える。分類装置1の各構成要素は、内部バス20を介して接続されている。
【0033】
CPU10は、ソフトウエアプログラム(以下、単に「プログラム」とする)を実行するプロセッサ(演算装置)である。メモリ11には、外部メモリ12からプログラム19が読み込まれ、CPU10は、メモリ11に格納されたプログラム19を実行することにより、選択部3、分類部4の動作が実現される。
【0034】
メモリ11は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メモリ11には、CPU10によって実行されるプログラム19が格納される他、CPU10によるプログラム19の実行で必要なデータが記憶される。
【0035】
外部メモリ12は、例えばハードディスク等である。外部メモリ12は、CPU10により実行されるプログラム19が記憶される。また、持ち運び可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体21にはプログラム19が記憶されている。外部メモリ12には、記録媒体21から転送されたプログラム19が記憶されている。元画像OP、変換画像CP、トーンカーブTC、分類基準Rなどの各種データも同様である。
【0036】
操作部13は、ユーザが操作可能なマンマシンインターフェイスである。操作部13としては、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等がある。CPU10は、操作部13の操作入力に従って動作する。例えば、ユーザが選択した変換画像CPの情報は、操作部13の操作入力によって入力される。
【0037】
ディスプレイ14は、画像を表示する画像表示装置である。ディスプレイ14は、CPU10から出力された画像信号を出力する。これにより、ディスプレイ14には、その画像信号に基づく画像が表示される。タッチパネルの場合、操作部13とディスプレイ14とは一体化している。ディスプレイ14には、例えば、複数の変換画像CPが表示される。
【0038】
通信インターフェイス15は、外部機器と通信を行うための通信インターフェイスである。通信インターフェイス15は、通信ネットワークの入出力インターフェイスである。通信インターフェイス15には、例えばプリンタ22が接続されている。
【0039】
入出力部16は、記録媒体21の入出力インターフェイスである。プログラム19又は上記各種データは、この入出力部16を介して入力され、外部メモリ12に記憶される。
【0040】
タイマ17は、計時を行う。タイマ17が計時する時刻によって、CPU10は、現在の時間帯、例えば現在午前であるか午後であるかを検出することができる。他に、分類装置1は、カメラ18A(撮像装置)及びマイク18B(音声入力装置)を備える。
【0041】
次に、
図6、
図7の分類装置1の動作、すなわち全体処理について説明する。
図8に示すように、まず、選択部3は、変換画像CPをディスプレイ14に表示させるとともに、質問をディスプレイ14に表示させる(ステップS10)。ここで、変換画像CPが複数表示され、被写体を実際に見たときの見え方に近い変換画像CPを時間帯毎、被写体毎に1枚ずつ選択するように促す質問の表示が行われる。
【0042】
続いて、選択部3は、操作部13に選択入力があるまで待つ(ステップS11;No)。表示された複数の変換画像CPを見たユーザは、操作部13の操作入力により、自分の見え方に近い変換画像CPを選択する。
【0043】
以上のステップS10、S11が、明るさ及びコントラストの変換特性が異なる複数のトーンカーブTCでそれぞれ元画像OPを画質変換して得られる複数の変換画像CPの中から、被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像CPをユーザに選択させる選択動作に対応する。なお、選択部3は、午前の変換画像CPを先に表示して、午前の見え方に近い変換画像CPを先に選択させ、その後、午後の変換画像CPを表示して、午後の見え方に近い変換画像CPを後から選択させるように動作してもよい。
【0044】
選択入力があると(ステップS11;Yes)、分類部4は、記憶部2に記憶された分類基準Rに従って、選択部3によるユーザの選択結果に基づいて、ユーザを分類する分類処理を行う(ステップS12)。具体的には、分類部4は、選択部3でのユーザが選択した選択結果ベクトルが、分類基準Rに照らして、ベクトル空間においてどのクラスタに属するかにより、ユーザを分類する。例えば、ユーザの選択結果ベクトルと、ベクトル空間において最も距離が近いクラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2が、ユーザが属するクラスタとして決定される。分類処理後、全体処理が終了する。
【0045】
なお、クラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2に分類する場合、分類部4は、
図9に示す処理を実行し、選択部3で選択された変換画像CPのトーン値の平均値、選択部3で選択された変換画像CPの想定時間帯によるトーン値の変動方向及び変動の絶対値の大きさに基づいて、ユーザを分類するようにしてもよい。
【0046】
(1)
図9に示すように、分類部4は、ユーザが午前、午後に選択した変換画像CPのトーン値の平均値を算出し、算出した平均値が、第1閾値T1を上回るか否かを判定する(ステップS1)。第1閾値T1は、上記分析により求められた数値である。ユーザがC2であると判定された場合(ステップS1;Yes)、分類部4は、ユーザをC2に分類する。
【0047】
(2)ユーザがC1に属すると判定された場合(ステップS1;No)、分類部4は、午前から午後へのトーン値の変化の傾きが正であるか否かを判定する(ステップS2)。分類部4は、正であると判定された場合(ステップS2;Yes)、ユーザをC1-2であると分類し、正でないと判定された場合(ステップS2;No)、ユーザをC1-1であると分類する。
【0048】
(3)ユーザがC1-1であると判定された場合(ステップS2;No)、分類部4は、トーンの値の平均値が第2閾値T2を上回るか否かを判定する(ステップS3)。トーンの値の平均値が第2閾値T2を上回る場合(ステップS3;Yes)、分類部4は、ユーザをC1-1-1に分類する。一方、トーン値の平均値が第2閾値T2以下である場合(ステップS3;No)、分類部4は、ユーザをC1-1-2に分類する。この第2閾値T2も、上述の分析により求められた数値が用いられる。
【0049】
(4)ユーザがC1-2であると判定された場合(ステップS2;Yes)、分類部4は、午前から午後へのトーン値の変動量の絶対値が、第3閾値T3を上回るか否かを判定する(ステップS4)。分類部4は、午前から午後へのトーン値の変動量の絶対値が、第3閾値T3を上回ると判定した場合(ステップS4;Yes)、ユーザをC1-2-1であると分類する。一方、分類部4は、午前から午後へのトーン値の変動量の絶対値が、第3閾値T3以下であると判定した場合(ステップS4;No)、ユーザをC1-2-2であると分類する。この第3閾値T3も、上述の分析結果に基づいて決定される。
【0050】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る分類装置1によれば、元画像OPに写る被写体を実際に見たときの見え方に最も近い変換画像CPを複数の被験者に選択させてクラスタ分析を行い、その分析により生成された分類基準Rにしたがってユーザの選択結果に基づいてユーザを分類するので、ユーザの視覚特性を特定し、特定された視覚特性を利用することができる。特定されたユーザの視覚特性を利用する表示装置、印刷装置については後述する。
【0051】
本実施の形態では、ユーザが複数の変換画像CPから自身の見え方に近い変換画像CPを選択することにより、ユーザの分類を行うものである。しかしながら、ユーザが変換画像CPの選択に迷う場合もある。この場合に対応するため、分類装置1の構成を
図10に示すものとしてもよい。
【0052】
図10に示す分類装置1は、記憶部2、選択部3及び分類部4を備える点は、
図1に示す分類装置1と同じである。
図10に示す分類装置1では、記憶部2が、言語データベースWを記憶している点が、
図1に示す分類装置1と異なる。
図10に示す分類装置1では、
図1に示す分類装置1と同様に、変換画像CPを選択してユーザを分類することもできるが、変換画像CPを選択する分類に加え、あるいはそのような分類に代えて、ユーザに自身の生活習慣、ある時間帯での視覚に関する感じ方又は視覚に関する嗜好を回答させて、ユーザを分類する機能を備えている。
【0053】
この分類装置1を生成するため、クラスタ分析を行った複数の被験者に対して、予めアンケート調査を行う。このアンケート調査により、被験者の生活習慣、ある時間帯での視覚に関する感じ方又は視覚に関する嗜好に関する質問に対する回答が回収される。この回答と、クラスタ分析で生成されたクラスタとを照らし合わせることにより、クラスタ分析で生成される複数のクラスタと、生活習慣、ある時間帯での視覚に関する感じ方又は視覚に関する嗜好を表す情報との対応関係が明らかとなる。例えば
図10に示すように、言語データベースWには、クラスタ分析装置7で行われた複数の被験者を対象とするクラスタ分析の結果生成されたクラスタが登録される。さらに、言語データベースWには、複数のクラスタのうち、いずれかのクラスタと、生活習慣、朝の見え方(ある時間帯での視覚に関する感じ方)又は視覚に関する嗜好を表す情報と対応付けて登録される。例えば、生活習慣が「朝型」で、朝の見え方が「コントラスト大」である人は、C1-2に対応付けされる。また、生活習慣が「夜型」で朝の見え方が「まぶしい」人は、C1-1-1に対応付けされる。好みとして「淡いトーンが好み」、「色が濃いのが好み」、という視覚に関する嗜好もそれぞれのクラスタに対応付けされる。このように、記憶部2は、クラスタに対応する生活習慣、ある時間帯での視覚に関する感じ方又は視覚に関する嗜好を表す複数の情報を記憶する。
【0054】
選択部3は、記憶部2の言語データベースWに複数のクラスタと対応付けて登録された複数の情報の中から、自身の生活習慣、ある時間帯での視覚に関するものの感じ方又は視覚に関する嗜好に合致する情報をユーザに選択させる。例えば、選択部3は、言語データベースWに登録された生活習慣、ある時間帯での視覚に関する感じ方又は視覚に関する嗜好を表す文章を表示し、その文章に自分が当てはまるか否かをユーザに選択入力させる。
【0055】
分類部4は、選択部3でユーザにより選択された、生活習慣、ある時間帯での視覚に関するものの感じ方又は視覚に関する嗜好を表す情報に基づいて、ユーザを分類する。例えば、分類部4は、「朝方である」という文章が選択された場合、言語データベースWを参照して、その選択を行ったユーザをC1-2(C1-2-1もしくはC1-2-2)に分類する。また、分類部4は、「朝の見え方がまぶしい」という文章が選択された場合、その選択を行ったユーザを、C1-1-1に分類する。
【0056】
なお、ある時間帯での視覚に関する感じ方は、「朝の見え方」に限られない。昼でも夜でもよい。また、ユーザが文章を選択するという方式でなく、質問に対するYes/Noの回答方式でユーザが情報を選択する方式を採用するようにしてもよい。
【0057】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2では、
図11に示すように、上記実施の形態1に係る表示装置5は、分類装置1の分類結果を利用する。
【0058】
表示装置5は、分類装置1と、記憶部30と、読み出し部31と、画質変換部32と、表示部33と、を備える。表示装置5のハードウエア構成は、
図7に示す上記実施の形態1に係る分類装置1のハードウエア構成と同じである。表示装置5の外部メモリ12は、後述のデータベースDBを記憶している。
【0059】
分類装置1の構成及び動作は、上記実施の形態1で説明した通りである。分類装置1は、ユーザの分類結果が、読み出し部31に入力される。例えば、ユーザが属するクラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2のいずれかが、読み出し部31に入力される。
【0060】
記憶部30は、クラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2と、午前のトーンカーブTC、午後のトーンカーブTCが対応づけられたデータベースDBを記憶している。このデータベースDBでは、例えば、クラスタC1-1-1には、午前、午後のトーンカーブTCとして、トーンカーブTC-4、TC-2が対応づけられている。この対応付けは、上述の分析結果に基づくものである(
図4及び
図5参照)。
図5においては、クラスタC1-1-1は、午前のトーン値の平均が4に近く、午後のトーン値の平均が2に近いため、トーンカーブTC-4、TC-2が対応づけられている。
【0061】
なお、上述の例では、最も近いトーンカーブを選択することとしたが、トーン値の平均により近づけるようにするには、2種類のトーンカーブの画像を用いて、補間する処理を加えることも容易である。例えば、トーン値が3.5であればTC-3とTC-4の画像の輝度平均(実際の画像生成後ではなくトーンカーブ上での平均値で問題ない)をとることで近似できる。
【0062】
読み出し部31は、現在の時間帯のタイマ17から取得し、記憶部30に記憶された複数のトーンカーブTC-1~TC-5の中から、分類装置1で分類されたユーザのクラスタに対応する現在の時間帯でのユーザの視覚特性に応じたトーンカーブTCを選択して読み出す。ここで、ユーザがクラスタC1-1-1に分類され、現在の時間帯が午前であった場合、読み出し部31は、トーンカーブTC-1を選択し、記憶部30からトーンカーブTC-1を読み出す。
【0063】
画質変換部32は、読み出し部31で読み出されたトーンカーブTCで表示される画像の画質を変換する。読み出されたトーンカーブTCがトーンカーブTC-1である場合、画質変換部32は、トーンカーブTC-1を用いて画質変換を行う。表示部33は、画質変換部32に変換された画像を表示する。
【0064】
このように、本実施の形態に係る表示装置5によれば、個人の視覚特性に沿った違和感のない画質で画像を表示することができる。午前と午後とで物の見え方に変化がある場合でも、時間帯に合わせたトーンカーブTC-1~TC-5を選択し、午前でも午後でも違和感のない画質で画像を表示することができる。
【0065】
なお、このような表示装置5をリモート会議に利用することも可能である。
図12に示すように、それぞれが時差のある環境に置かれた状態で、両者を通信ネットワークで接続する。このようにすれば、表示装置5(カメラ18A及びマイク18B)を用いて、双方向のリモート会議を行うことができる。
【0066】
例えば、一方の表示装置5の設置場所の現在の時間は午前であり、他方の表示装置5の設置場所の現在の時間は午後であったとする。この場合、一方の表示装置5のカメラ18Aで撮像された画像は、通信ネットワークを介して他方の表示装置5に送信され、表示される。ここで、カメラ18Aで撮像された画像は、午前に撮像される画像であるため、このままで表示すれば、午後に見る他方の表示装置5のディスプレイ14に表示される画像は、違和感のある画像となる場合がある。しかし、本実施の形態によれば、他方の表示装置5では、午後の見え方に応じたトーンカーブTCで画質が調整されるので、他方の表示装置5の時間帯に合わせた違和感のない画像を表示することができる。
【0067】
また、表示装置5の構成を
図13に示すものとしてもよい。この表示装置5は、記憶部と、選択部3と、画質変換部32と、表示部33と、を備える。記憶部2は、元画像OPと、変換画像CPと、トーンカーブTCと、を記憶する。
【0068】
選択部3は、複数のトーンカーブTCでそれぞれ同一の元画像OPを画質変換して生成された複数の変換画像CPの中から、被写体を実際に見ると想定される想定時間帯に見たときの見え方に最も近い変換画像CPを、想定時間帯毎にユーザに選択させる。この選択部3による選択は、上記実施の形態1で説明した通りである。例えば、想定時間帯を午前及び午後とした場合、午前での変換画像CP、午後での変換画像CPが選択される。
【0069】
画質変換部32は、複数のトーンカーブTCのうち、タイマ17を参照して、現在の時間帯に対応する想定時間帯について選択された変換画像CPの生成に用いられたトーンカーブTCで、表示される画像の画質を変換する。例えば、現在の時間帯が午前である場合、午前で選択された変換画像CPに対応するトーンカーブTCが記憶部2から読み出され、画像の画質変換に用いられる。このようにしても、表示部33において、ユーザの視覚特性に合致した画質の画像を表示することが可能である。
【0070】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、
図14に示すように、上記実施の形態1に係る分類装置1を備える印刷装置6について説明する。
【0071】
印刷装置6は、分類装置1と、記憶部30と、読み出し部35と、画質変換部36と、印刷部37と、を備える。印刷装置6のハードウエア構成は、
図7に示す上記実施の形態1に係る分類装置1のハードウエア構成と同じである。分類装置1の構成及び動作は、上記実施の形態1で説明した通りである。
【0072】
分類装置1は、ユーザの分類結果が、読み出し部35に入力される。例えば、ユーザが属するクラスタC1-1-1、C1-1-2、C1-2-1、C1-2-2、C2のいずれかが、読み出し部35に入力される。記憶部30は、データベースDBと、画像表示用のトーンカーブTCと、印刷用のトーンカーブTCを記憶する。印刷用のトーンカーブには、標準のトーンカーブと、午前用のトーンカーブTC-a1、午後用のTC-a2と、がある。標準のトーンカーブは、印刷される画像が、ディスプレイ14に表示された画像を、可能な限り同じ画質に変換する汎用のトーンカーブである。午前用のトーンカーブTC-a1は、午前に被写体を実際に見たときの見え方に近い画質に変換するトーンカーブである。午後用のトーンカーブTC-a2は、午後に被写体を実際に見たときの見え方に近い画質に変換するトーンカーブである。
図15に示すように、全体的な比較では、トーンカーブTC-a2がトーンカーブTC-a1よりも出力軸で比較すると上側に位置していることから、相対的に午前が暗く、午後が明るい変換となっている。また、各々のトーンカーブを部分的に見ると、トーンカーブTC-a1では、輝度が高い部分のコントラストが相対的に大きくなるように規定されており、トーンカーブTC-a2では、輝度が低い部分のコントラストが相対的に大きくなるように規定されている。
【0073】
図14に戻り、読み出し部35は、まず、ユーザが属するクラスタの現在の時間帯のトーンカーブをトーンカーブTC-1~TC-5の中から読み出す。さらに、読み出し部35は、印刷用のトーンカーブと、現在の時間帯、午前、午後に対応する印刷用のトーンカーブTC-a1又はTC-a2を記憶部30から読み出す。画質変換部36は、読み出し部35で読み出された画像用のトーンカーブTC1~TC5のいずれかで表示する画像の画質を変換して変換画像CPを生成する。この段階で、変換された画像は、ユーザ個人の視覚特性に従った画質となる。
【0074】
さらに、画質変換部36は、印刷用の標準トーンで変換した際に適切なトーンとなるように変換画像CPの画質を、現在の時間帯(午前又は午後)のトーンカーブ(TC-a1又はTC-a2)で変換する。このようにすれば、印刷紙面上に印刷される画像は、現在の時間帯で被写体を実際に見たときの見え方に近い画質に変換されるようにあらかじめ補正を行うことが出来る。
【0075】
さらに、画質変換部36は、画質が変換された変換画像CPに対して、印刷用の標準のトーンカーブで、画像の画質をさらに変換する。印刷部37は、プリンタ22(
図7参照)を用いて、この変換画像CPを印刷する。この段階で、変換画像CPは、ディスプレイ14に表示される画質と、印刷される画質が一致したものとなる。このようにすれば、反射物体である印刷物と、発光物である表示画面とで、画像の見え方が極力同じような画質になる。
【0076】
最終的に印刷される画像は、ユーザの視覚特性に合致し、ディスプレイ14に表示される画像と同じ画質となる上、午前、午後の時間帯にマッチした画質の画像となる。
【0077】
なお、上記各実施の形態では、時間帯を午前と午後とに分けて、午前と午後の被写体の実際の画像の見え方に近い変換画像CPを選択している。しかしながら、これには限られない。時間帯をさらに細分化して、それぞれの時間での被写体の実際の見え方に近い変換画像CPを選択するようにしてもよい。逆に、時間帯を区別せず、ユーザが1枚の変換画像CPを選択し、そのトーンカーブTCを適用するようにしてもよい。
【0078】
また、ユーザが居住する地域毎に画像を用意し、ユーザが居住する地域の風景を被写体とする変換画像CPをユーザに選択されるようにしてもよい。その風景に慣れ親しんだユーザであれば、その時間帯での被写体への太陽の当たり方を普段から知覚しているため、変換画像CPを選択する際の画像に対する違和感を生じにくくすることができる。
【0079】
上記実施の形態では、異なる被写体、異なる時間帯の変換画像CPをユーザに選択させる。このようにすれば、より正確に視覚特性に適合したトーンカーブTCを選択することができる。しかしながら、変換画像CPは、同一の被写体の画像から画質が変換されたもののみを用いてもよいし、時間帯に関わらず、変換画像CPを1つ選択させるだけでもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、階層クラスタ分析で複数の被験者を分類したが、非階層クラスタ分析で複数の被験者を分類するようにしてもよい。
【0081】
その他、分類装置1等のハードウエア構成やソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0082】
記憶部2、選択部3及び分類部4などから構成される分類装置1等の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する分類装置1等を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで分類装置1等を構成してもよい。
【0083】
分類装置1等の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムとの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0084】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS;Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0085】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、画像表示、印刷分野など、多岐にわたる分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 分類装置、2 記憶部、3 選択部、4 分類部、5 表示装置、6 印刷装置、7 クラスタ分析装置、10 CPU、11 メモリ、12 外部メモリ、13 操作部、14 ディスプレイ、15 通信インターフェイス、16 入出力部、17 タイマ、18A カメラ、18B マイク、19 プログラム、20 内部バス、21 記録媒体、22 プリンタ、30 記憶部、31 読み出し部、32 画質変換部、33 表示部、35 読み出し部、36 画質変換部、37 印刷部、OP、A1~A3、P1~P3 元画像、CP 変換画像、TC、TC-1~TC-5 トーンカーブ、DB データベース、W 言語データベース、R 分類基準