(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】脱着式冷却装置、関連システムおよび配置方法
(51)【国際特許分類】
A61F 7/12 20060101AFI20241216BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61F7/12 Z
A61B17/00
(21)【出願番号】P 2022529836
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 US2020061541
(87)【国際公開番号】W WO2021102282
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-11-13
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502375437
【氏名又は名称】アイカーン スクール オブ メディスン アット マウント シナイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、ターナー エス.
(72)【発明者】
【氏名】コスタ、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】バッケリス、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケルナー、クリストファー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ショイラー、ハゼム
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0083302(US,A1)
【文献】米国特許第05470322(US,A)
【文献】米国特許第06974463(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0198579(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0029050(US,A1)
【文献】特表2014-528283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/12
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脳において用いるための局所的低体温法誘導流体システムにおいて用いるための脱着式冷却装置であって、
液体を入力として提供する遠位ルーメンを形成する遠位走行カテーテルと、
前記液体を出力として受け取る近位ルーメンを形成する近位走行カテーテルであって、閉回路流路に沿って前記遠位走行カテーテルと流体的に結合されている近位走行カテーテルと
を備え、
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは、近位端領域、遠位端領域、および前記近位端領域と前記遠位端領域との間の可撓性中間領域を有するカテーテル本体を画定し、前記可撓性中間領域は、2つの90度回転により、捩れることなく走行するように構成され、
前記近位端領域にコネクタを備え、
前記コネクタは、前記脱着式冷却装置に前記液体を送達するように構成される流体ポンプおよび熱調整メカニズムに関連付けられた1または複数のカテーテルと整列するように、前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルの取り付け、取り外し、および位置合わせを実行するように構成され、前記近位端領域は、前記可撓性中間領域および前記遠位端領域の両方と比較して、より硬質の材料で形成され、
前記流体ポンプおよび前記熱調整メカニズムに関連付けられた1または複数の前記カテーテルをシールされた状態で係合するように構成されている、
脱着式冷却装置。
【請求項2】
前記遠位端領域に熱交換領域をさらに備え、
前記熱交換領域は、前記遠位走行カテーテルから受け取った前記液体で周囲組織を冷却するための高伝導性材料を含む、請求項1に記載の脱着式冷却装置。
【請求項3】
前記液体または周囲組織の温度、前記液体または周囲組織の圧力、前記液体または周囲組織の流速、および前記液体または周囲組織の生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能なセンサアレイと、
前記温度、前記圧力、および前記流速の前記少なくとも1つを変更するように動作可能な外部コントローラと
をさらに備える、請求項1
または2に記載の脱着式冷却装置。
【請求項4】
前記センサアレイは、前記遠位走行カテーテルの遠位端部に配置されている、請求項
3に記載の脱着式冷却装置。
【請求項5】
前記遠位端領域に配置され、前記液体で周囲組織を冷却する高伝導性のループを含む熱交換領域をさらに備え、前記ループは、前記遠位走行カテーテルから前記近位走行カテーテルへと直接流れる、請求項1から
4のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
【請求項6】
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは互いに平行であり、前記高伝導性のループは、前記液体の流れ方向を角度180度だけ変化させるように構成される、請求項
5に記載の脱着式冷却装置。
【請求項7】
前記遠位端領域に配置され、前記近位走行カテーテルによって画定される熱交換領域であって、前記遠位走行カテーテルの周りに巻き付けられた高伝導性のコイル形式を有し、前記液体で周囲組織を冷却する熱交換領域をさらに備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
【請求項8】
前記遠位端領域に配置され、高伝導性の
膨張可能バッグを含む熱交換領域であって、前記
膨張可能バッグは、前記
膨張可能バッグの遠位領域への前記入力として、前記遠位走行カテーテルから前記液体を受け取る、熱交換領域をさらに備え、
前記近位ルーメンは、前記
膨張可能バッグの近位領域における前記出力として、前記
膨張可能バッグから前記液体を受け取り、前記
膨張可能バッグは、前記遠位走行カテーテルを前記近位走行カテーテルに接続し、前記液体で周囲組織を冷却する
請求項1から
4のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
【請求項9】
前記可撓性中間領域は、前記遠位走行カテーテルに入力される前記液体が前記熱交換領域に到達するまでこれを断熱する流体中央部を含み、
前記近位走行カテーテルおよび前記遠位走行カテーテルのそれぞれは、前記膨張可能バッグの遠位端を超えて延びている、請求項
8に記載の脱着式冷却装置。
【請求項10】
前記流体中央部は、前記液体を断熱するポリウレタン部を含む、請求項
9に記載の脱着式冷却装置。
【請求項11】
薬剤、洗浄剤、心室ドレイン、またはセンサワイヤの少なくとも1つを受け取るためのルーメンおよびポートの追加のセットをさらに備え、
ルーメンおよびポートの前記追加のセットは、前記
コネクタと前記脱着式冷却装置の最遠位端との間のいずれかの位置に配置される遠位ポートを通して、前記薬剤、洗浄剤、ドレインまたはセンサを導入する少なくとも1つのルーメンを含む、請求項
1に記載の脱着式冷却装置。
【請求項12】
前記
コネクタは、スクリューロックおよびルアーロックのうちの1つである、請求項1
1に記載の脱着式冷却装置。
【請求項13】
前記脱着式冷却装置の直径は4.7mmより小さい、請求項1から1
2のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
【請求項14】
前記液体の温度を測定するための前記熱交換領域内の内部温度センサと、前記周囲組織の温度を測定するための外部温度センサとをさらに含む、請求項2に記載の脱着式冷却装置。
【請求項15】
前記外部温度センサは、前記可撓性中間領域に沿って配置され、前記内部温度センサから3cmまでの距離に配置されている、請求項1
4に記載の脱着式冷却装置。
【請求項16】
前記近位端領域に取り外し可能に結合された取り外し可能な第1シールと、前記近位端領域に結合された第2シールとをさらに備え、前記第1シールは、前記遠位走行カテーテルの前記遠位ルーメンと流体連通する流入ポートを含み、前記第2シールは、前記近位走行カテーテルの流出ポートと流体連通して前記近位走行カテーテルから側面流出ポートに流体を導く前記側面流出ポートを含む、請求項1に記載の脱着式冷却装置。
【請求項17】
前記第1シールには第1回転可能ノブが含まれ、前記第2シールには第2回転可能ノブと、第2回転可能ノブから離間した第3回転可能ノブとが含まれ、前記側面流出ポートは前記第2回転可能ノブと前記第3回転可能ノブの間にあり、前記第2回転可能ノブおよび前記第3回転可能ノブによって前記側面流出ポートを隔離できる、請求項16に記載の脱着式冷却装置。
【請求項18】
患者の脳における標的位置を冷却するための局所的低体温法誘導流体システムであって、
液体を特定の温度に変化させ、前記液体の流速を調整するように動作可能な熱管理およびフローシステム(TMFS)であって、前記TMFSを通して前記液体を移動させるためのポンプと、前記液体を受け取る流入ポートと、前記液体を冷却する冷却ユニットと、前記液体を排出するための流出ポートとを含むTMFSと、
前記TMFSの流入ポートおよび流出ポートと脱着可能に結合され、前記TMFSから冷却された液体を受け取る
前記遠位走行カテーテルと、前記液体を前記TMFSに戻す
前記近位走行カテーテルとを含む
、請求項1から17のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置を有する閉回路フローシステムと、
前記脳内の標的位置において、前記液体および周囲領域の少なくとも1つの温度、圧力、前記流速、および生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能な少なくとも1つの遠位センサと
を備える、局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項19】
前記TMFSは、複数の毛細管チューブと物理的に接触し、前記液体の前記温度を上昇または低下させる冷却ユニットであって、ペルティエ冷却、液体冷却、気化冷却、および受動的冷却の少なくとも1つを用いて動作する冷却ユニットをさらに含む、請求項18に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項20】
前記TMFSの前記ポンプは、能動的容量式ポンプ、ロータリポンプ、ギアポンプ、ねじポンプ、蠕動ポンプ、ロータリベーンポンプ、遠心ポンプ、脈動ポンプ、油圧ラムポンプ、パルサー、エアリフトポンプ、速度ポンプ、ラジアルフローポンプ、および遠心軸流ポンプの少なくとも1つである、請求項18または19に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項21】
センサアレイと通信して、前記液体の温度および流速を調整するように動作可能なコントローラをさらに備える、請求項18から20のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項22】
前記コントローラは、線内における裂傷の自動検出の少なくとも1つを実行し、前記線内における裂傷検出に応答して、前記熱管理およびフローシステムへの電力供給を停止する自動キルスイッチを含む、請求項21に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項23】
前記脱着式冷却装置は、熱交換領域を含み、
前記TMFSから前記遠位走行カテーテルに入力される前記液体が前記熱交換領域に到達するまでこれを断熱する流体中央部をさらに備える、請求項18から22のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項24】
前記流体中央部は、前記液体を断熱するポリウレタン部を含む、請求項23に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項25】
前記脱着式冷却装置は、熱交換領域として動作する、露出した遠位先端領域を有する細長い本体を含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項26】
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは、互いに平行であり、前記遠位走行カテーテル内を流れる前記液体を前記近位走行カテーテルに伝達し前記TMFSに戻すために、これらの遠位端において流体的に接続されている、請求項25に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項27】
前記近位走行カテーテルは、前記遠位走行カテーテルの周りでコイルを形成するコイル部を有し、前記近位走行カテーテルは前記熱交換領域を画定する、請求項25または26に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項28】
前記遠位走行カテーテルの遠位端は、前記液体を前記コイル部に送達するように前記近位走行カテーテル内に開口している遠位開口部を含み、前記近位走行カテーテルは、前記コイル部から前記液体を受け取り、前記液体を送達して前記TMFSに戻すための近位開口部を含む、請求項27に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項29】
高伝導性のバッグを含む熱交換領域であって、前記バッグは、前記バッグの遠位領域への入力として、前記遠位走行カテーテルから前記液体を受け取る、熱交換領域をさらに備え、
前記近位走行カテーテルは、前記バッグの近位領域における出力として、前記バッグから前記液体を受け取り、前記バッグは、前記遠位走行カテーテルを前記近位走行カテーテルに接続し、前記液体で周囲組織を冷却する流路を画定する
請求項18から22のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項30】
薬剤、洗浄剤、心室ドレイン、またはセンサワイヤの少なくとも1つを提供するルーメンおよびポートのセットをさらに備える、請求項18から29のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項31】
前記脳の前記標的位置を冷却するために、前記脱着式冷却装置に沿って開口している薬剤注入ポートおよび薬剤注入ルーメンをさらに備える、請求項18から30のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項32】
前記局所的低体温法誘導流体システムにおける前記液体の温度または流速を変化させるための選択肢をユーザに提供するように動作可能なユーザインターフェイスをさらに備える、請求項18から31のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項33】
前記遠位センサのアレイは、前記脳内の頭蓋内圧を決定するように動作可能な頭蓋内圧センサを含む、請求項18から32のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項34】
前記頭蓋内圧センサは、前記脱着式冷却装置の遠位端に配置された熱交換領域内に、またはこれに隣接して配置されている、請求項33に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項35】
前記脱着式冷却装置は、流入ポートおよび流出ポートを含む剛性近位端部分を含み、第1シールは、前記剛性近位端部分にその近位端で封止結合され、第2シールは、前記第1シールと前記脱着式冷却装置の可撓性中央部との間の位置で、前記剛性近位端部分に封止結合され、前記第2シールは、前記脱着式冷却装置の一部である前記流出ポートと流体連通するサイドポートを含む
請求項18から34のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【請求項36】
前記第1シールは第1ロータリシールを含み、前記第2シールは第2および第3ロータリシールを含み、前記流出ポートおよびサイドポートは前記第2ロータリシールと前記第3ロータリシールとの間に配置されている、請求項35に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/938,916号の利益およびこれに対する優先権を主張し、その全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、概して、脳内出血(ICH)を治療するための器具および方法に関し、より具体的には、脳内出血(ICH)、頭蓋骨切除を必要とする手術、または柔組織内手術の関連症状を治療するための脳外科手術中に配置される脱着式冷却装置および関連システムに関する。
【背景技術】
【0003】
脳の内部における出血は、脳内出血(ICH)として知られている。ICHは、外傷性脳損傷の結果として発生することがあり、または、自発的に発生することがある。無外傷ICHの一般的な病因は、高血圧性細動脈症、脳アミロイド血管症、虚血性脳卒中の出血性変化、基礎の血管病変、出血性腫瘍、または他のまれな原因を含む。
【0004】
毎年5百万を超える出血性脳卒中が、世界中で発生している。米国におけるICHは、1年あたり約70,000件である。ICHは、致死率が最も高い形の脳卒中であり、一次的損傷から30日以内の死亡率は約40%である。出血後6か月で、患者の20%のみが、その日常活動における機能的独立性を取り戻している。
【0005】
血腫の形成に起因する脳組織の機械的ストレスおよび破壊は、出血性の事象後に急速に発生し、損傷部位を囲む脳組織の膨潤と関連する。血腫の神経毒成分は、血球周囲浮腫(PHE)として現れる二次的な亜急性損傷を誘発する。PHEの形成は、最初の4時間以内に開始し、急速に加速して、出血後24時間でピーク絶対容積の60%に到達する。最も急速な拡大は最初の48時間で発生するが、浮腫は、平均して出血後12日間まで増加し続ける。浮腫の増大は、神経機能の減少と相関する。PHEを軽減する、またはICH後の評価を改善する治療は、まだ発見されていない。現在の医療管理は、出血を制御することによって一次的損傷を限定し、再出血の機会を減少させて、患者にサポート的ケアを提供することに焦点を置いている。脳内出血における外科的治療(STICH)および脳葉内出血における外科的治療(STICH II)のトライアルは両方とも、ICH後の手術群における神経学的機能改善の主要評価において改善を示すことに失敗した。急性脳出血における集中的降圧(INTERACT II)および急性脳出血の降圧(ATACH II)のトライアルによる積極的な血圧制御における試みも、これらの機能的ステータス改善の主要評価を得られなかった。さらに、FACTOR VIIを急性に投与する、急性脳内出血における遺伝子組み換えVIIa因子製剤(FAST)は、利益を示さなかった。止血に対処する抗血小板療法(PATCH)トライアルに関連する自発的脳出血に起因する急性脳卒中後の血小板輸血対標準治療は、機能的改善を示さなかった。PATCHトライアルは、抗血小板剤における患者に血小板を与えることが有害であったことを実際に示した。
【0006】
研究の結果、ICHを治療するツールとしての低体温法の療法の役割が特定された。低体温法は、最も早くに最も詳しく研究された、複数のメカニズムを通して効果を及ぼす神経保護剤の1つである。急性に、低体温法は、新陳代謝率および興奮性神経伝達物質の解放を低下させ、グルコース代謝を改善する。亜急性に、これは、炎症マーカーの減少、アポトーシス促進性BAX遺伝子発現のダウンレギュレーションおよび抗アポトーシスBCL-2遺伝子発現のアップレギュレーションにより、細胞性炎症を減少させる。
【0007】
全身低体温法は、身体の中核温度を低下させることによって低体温法の誘導を実施することであり、標的器官である脳を含む全器官に低体温法を実現する。全身低体温法の適用は、神経損傷という結果をもたらす複数の状態、最も注目すべきは、心停止後、新生児低酸素症、および脳卒中において研究されてきた。しかしながら、全身低体温法は、徐脈性不整脈、凝固障害、代謝障害、免疫抑制、およびシバリングを含む、器官系の非選択的冷却に関する特定リスクを保持し、これらは、ICH自体よりも大きいダメージを生じさせることがある。
【発明の概要】
【0008】
実施形態は、概して、入力として液体を提供する遠位ルーメンを形成する遠位走行カテーテルと、出力として液体を受け取る近位ルーメンを形成する近位走行カテーテルとを含む脱着式冷却装置に関し、近位走行カテーテルは、遠位走行カテーテルに接続されている。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、液体で周囲組織を冷却する高伝導性材料を含む熱交換領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、流体ポンプおよび熱調整メカニズムに関連付けられた1または複数のカテーテルと整列するように、遠位走行カテーテルおよび近位走行カテーテルの取り付け、取り外し、および位置合わせを可能にするコネクタをさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、内部液体または周囲組織の温度、内部液体または周囲組織の圧力、内部液体または周囲組織の流速、および内部液体または周囲組織の生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能なセンサアレイと、温度、前記圧力、および前記流速の前記少なくとも1つを変更するように動作可能な外部コントローラとをさらに含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは、遠位走行カテーテルの最遠位端または遠位走行カテーテルのいずれかの部分に配置されている。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、液体で周囲組織を冷却する高伝導性のループを含む熱交換領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、高伝導性のループは、実質的に180度の角度にある。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、遠位走行カテーテルの周りに巻き付けられ、遠位走行カテーテルを近位走行カテーテルに接続し、液体で周囲組織を冷却する高伝導性のコイルを有する近位走行カテーテルを含む熱交換領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、バッグまたはバルーンのような高伝導性の膨張可能部材であって、膨張可能部材の最遠位領域への入力として、遠位走行カテーテルから液体を受け取る膨張可能部材と、遠位走行カテーテルを近位走行カテーテルに接続し、液体で周囲組織を冷却する膨張可能部材の最近位点における出力として、膨張可能部材から液体を受け取る近位ルーメンとを含む熱交換領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、遠位走行カテーテルに入力される液体が熱交換領域に到達するまでこれを断熱する流体中央部をさらに含む。いくつかの実施形態において、流体中央部は、液体を断熱するポリウレタンまたはシリコーン部を含む。より具体的には、この中央部は、必要とされる可撓性を有しつつ、断熱性のままでもあるように設計される。例えば、この可撓性中央部(可撓性中間領域としても本明細書において説明される)が捩れることなく、2つの90度回転を通して走行することを可能にすることが望ましい。本明細書において説明されるように、「捩れ」という表現は、ルーメンの少なくとも1つ(例えば、遠位走行ルーメンまたは近位走行ルーメン)が実質的に塞がれている(すなわち、ルーメン壁の屈曲/潰れに起因して、少なくとも1つのルーメンの40%より大きい閉塞)という状況を説明する。シリコーンベースの中央部は、これらの特性/特徴を送達可能である。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、薬剤、洗浄剤、心室ドレイン、またはセンサワイヤの少なくとも1つを提供するルーメンおよびポートの追加のセットをさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、脱着式冷却装置の前記近位端領域を流体冷却およびポンプシステムに取り付ける接続部と、接続部と前記脱着式冷却装置の最遠位端との間のいずれかの位置に配置される遠位ポートを通して、前記薬剤、洗浄剤、ドレインまたはセンサを導入する少なくとも1つの追加のルーメンとをさらに含む。いくつかの実施形態において、接続部はスクリューロックである。いくつかの実施形態において、接続部はルアーロックである。本明細書において説明されるように、脱着式冷却装置に関連する接続システムは、本明細書において説明されるように、皮膚下でトンネリング可能にしなければならない。本開示は、カテーテル構造(それ自体が皮膚下でトンネリング可能な脱着式冷却装置)が外科的器具を通過し、皮膚下をトンネリングした後で、コネクタがカテーテル構造に取り付けられるように構成される、または代替的に、コネクタ自体が皮膚下をトンネリングするように十分に小さい、異なる実施形態を説明する。さらに、カテーテル構造またはコネクタは、手術で一般に用いられる一般的な金属製スタイレットに取り付け可能であることが必要である。一般に、このことは、スタイレットにおける棘付きチューブコネクタの上のシリコーン篏合具によって実現可能である。
【0009】
いくつかの実施形態において、方法は、患者の頭蓋内血腫の外科的排出を実行する段階と、患者の残存する血腫キャビティ内に装置を設置する段階と、患者の脳における装置の配置を確認するために撮像を用いる段階と、装置を有効化して残存する血腫キャビティ内からの神経保護を誘導する段階と、手術終了後まで装置を動作させる段階と、追加の外科的手術なしで装置を除去する段階とを含む。好適な撮像器具は、限定されるものではないが、MRI、CT、および超音波を含む。代替的に、例えば、内視鏡(本明細書において説明されるように、SurgiScopeに関連し得る)を用いた直接可視化が用いられてよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、局所的低体温法誘導流体システムは、液体を特定の温度に変化させ、流速を調整するように動作可能な熱管理およびフローシステム(TMFS)を含む。TMFSは、TMFSを通して液体を移動させるためのポンプと、近位走行カテーテルから液体を受け取る流入ポートと、液体を冷却する冷却ユニットと、液体を遠位走行カテーテルに戻す流出ポートと、脱着式冷却装置を有する閉回路フローシステムと、液体および周囲領域の温度、圧力、流速、および生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能な遠位センサのアレイとを含む。いくつかの実施形態において、TMFSは、複数の毛細管チューブと物理的に接触し、前記液体の前記温度を上昇または低下させる冷却ユニットであって、ペルティエ冷却、液体冷却、気化冷却、および受動的冷却の少なくとも1つを用いて動作する冷却ユニットをさらに含む。いくつかの実施形態において、TMFSの前記ポンプは、能動的容量式ポンプ、ロータリポンプ、ギアポンプ、ねじポンプ、蠕動ポンプ、ロータリベーンポンプ、遠心ポンプ、脈動ポンプ、油圧ラムポンプ、パルサー、エアリフトポンプ、速度ポンプ、ラジアルフローポンプ、および遠心軸流ポンプの少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、局所的低体温法誘導流体システムは、センサアレイと通信して、前記液体の温度および流速を調整するように動作可能なコントローラをさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、熱交換領域を含み、局所的低体温法誘導流体システムは、遠位走行カテーテルに入力される液体が熱交換領域に到達するまでこれを断熱する流体中央部をさらに含む。いくつかの実施形態において、流体中央部は、液体を断熱するポリウレタン部を含む。いくつかの実施形態において、局所的低体温法誘導流体システムは、薬剤、洗浄剤、心室ドレイン、またはセンサワイヤの少なくとも1つを提供するルーメンおよびポートのセットをさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置は、遠位走行カテーテルを含み、遠位センサのアレイは、遠位走行カテーテルの最遠位端または遠位走行カテーテルの中央部に配置されている。いくつかの実施形態において、局所的低体温法誘導流体システムは、薬剤注入ポートをさらに含む。いくつかの実施形態において、局所的低体温法誘導流体システムは、システムにおける前記液体の温度または流速を変化させるための選択肢をユーザに提供するように動作可能なユーザインターフェイスをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置の配置方法は、頭蓋内出血排出後に、局所的低体温法誘導流体システムを頭蓋内で用いる。いくつかの実施形態において、頭蓋内に脱着式冷却装置を配置する方法は、脳内出血(ICH)排出、頭蓋骨切除、および柔組織内手術の少なくとも1つに従うことによって、局所的低体温法誘導流体システムを用いる。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置の近位部は、患者の頭蓋の外部に残り、前記患者の皮膚の下方をトンネリングする。いくつかの実施形態において、方法は、患者の頭蓋から外方向に脱着式冷却装置の近位端を引っ張ることによって、脱着式冷却装置を除去する段階をさらに含む。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置を配置するための方法は、柔組織内手術後に頭蓋内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は、同様の参照番号が同様の要素を指すために用いられる添付図面において、限定としてではなく、例として示される。
【0013】
【
図1】いくつかの実施形態に係る、脳内出血を治療する例示的な局所的低体温法誘導流体システムのブロック図である。
【0014】
【
図2】薬剤送達システムを含むように変更された別の例示的な局所的低体温法誘導流体システムのブロック図である。
【0015】
【
図3A】例示的な一実施形態に係る、脱着式冷却装置のループの実施形態の遠位端領域の側面図である。
【0016】
【0017】
【0018】
【
図3D】
図3Bに対して90度回転した脱着式冷却装置の別の断面図である。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【
図4A】別の例示的な実施形態に係る脱着式冷却装置のループの実施形態の遠位端領域の側面図である。
【0023】
【0024】
【0025】
【
図4D】
図4Bに対して90度回転した脱着式冷却装置の別の断面図である。
【0026】
【0027】
【0028】
【
図4G】透明および不透明部分を示す
図4Aの脱着式冷却装置の側面斜視図である。
【0029】
【
図5A】例示的な一実施形態に係る脱着式冷却装置のらせん状実施形態の遠位端領域の側面図である。
【0030】
【0031】
【0032】
【
図5D】
図5Bに対して回転した脱着式冷却装置の別の断面図である。
【0033】
【0034】
【0035】
【
図5G】
図5Aの透明および不透明部分を示す脱着式冷却装置の側面斜視図である。
【0036】
【
図6A】一次流体断面および代替的な実施形態の断面図である。
【
図6B】一次流体断面および代替的な実施形態の断面図である。
【
図6C】一次流体断面および代替的な実施形態の断面図である。
【
図6D】一次流体断面および代替的な実施形態の断面図である。
【
図6E】一次流体断面および代替的な実施形態の断面図である。
【0037】
【
図7A】脱着式冷却装置と熱管理およびフローシステムとの間の例示的な接続の側面斜視図である。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【
図9】例示的な一実施形態に係る熱管理およびフローシステムのブロック図である。
【0043】
【
図10】いくつかの実施形態に係る、脱着式冷却装置を適宜管理するための例示的なユーザインターフェイスを示す。
【0044】
【
図11A】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11B】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11C】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11D】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11E】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11F】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11G】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【
図11H】一実施形態に係る脱着式冷却システムの配置、動作、および除去中の脳を示す。
【0045】
【
図12】いくつかの実施形態に係る装置を設置および除去するための方法のフロー図である。
【0046】
【
図13A】脱着式冷却装置の抜き穴を通しての脳への配置を示す一連の段階を示す。
【
図13B】脱着式冷却装置の抜き穴を通しての脳への配置を示す一連の段階を示す。
【
図13C】脱着式冷却装置の抜き穴を通しての脳への配置を示す一連の段階を示す。
【
図13D】脱着式冷却装置の抜き穴を通しての脳への配置を示す一連の段階を示す。
【
図13E】脱着式冷却装置の抜き穴を通しての脳への配置を示す一連の段階を示す。
【
図13F】脱着式冷却装置の抜き穴を通しての脳への配置を示す一連の段階を示す。
【0047】
【
図14A】脱着式冷却装置への金属製スタイレットの取り付けを示す。
【
図14B】脱着式冷却装置への金属製スタイレットの取り付けを示す。
【0048】
【
図15】1つの脱着式冷却装置の様々な領域を概略的に示す側面図である。
【0049】
【
図16A】一実施形態に係る脱着式冷却装置の様々な図を示す。
【
図16B】一実施形態に係る脱着式冷却装置の様々な図を示す。
【
図16C】一実施形態に係る脱着式冷却装置の様々な図を示す。
【
図16D】一実施形態に係る脱着式冷却装置の様々な図を示す。
【0050】
【
図17】一実施形態に係る脱着式冷却装置の側面図である。
【0051】
【
図18A】収縮(潰れた)状態の膨張可能部材を有する脱着式冷却装置を示す。
【
図18B】膨張状態の膨張可能部材を有する脱着式冷却装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書は、概して、脳内出血排出後に脱着式冷却装置を排出キャビティに配置し、それを流体冷却システムに取り付け、目標の温度管理を誘導することによる、脳内出血(ICH)、頭蓋骨切除を必要とする手術、または柔組織内手術関連症状の治療に用いられる流体ベースの閉回路冷却システムを開示する。脱着式冷却装置は、手術中に配置されて流体冷却システムに接続され、数週間にわたって動作可能な状態を維持可能であり、追加の手術の必要なく除去可能である。冷却装置の脱着可能な特性により、手術中の装置の配置を容易にすることが可能となり、皮膚の下方でデバイスをトンネリングさせる能力が向上する。脱着式冷却装置は、患者の頭蓋から外方向へ脱着式冷却装置の近位端を引っ張ることによって除去されてよい。このアプローチは、温度変調領域を損傷領域およびその直近に限定することによって、ICHを外科的に治療するために現在採用されている標準的な手順内でも処置しつつ、全身冷却に焦点を置く現在および従来の療法的な低体温法戦略と異なる。脱着式冷却装置は、血球周囲領域における温度降下を介して低体温法の神経保護特性を最大化するのを支援可能であり、シバリング、凝固障害、および感染を含む全身低体温法関連の合併症を低減または限定するのを支援可能である。用語の定義は以下の通りである。「冷却」またはそのあらゆるバリエーションは、患者の脳内における損傷の一次領域に対する任意の温度低下として定義される。「ループ」は、流体システムの始点および終点が直ちに隣接している任意の形状として定義される。「バッグ」は、周囲領域に適合する区画を満たす任意の薄膜化された容積として定義される。「高伝導性材料」は、耐熱性の低い任意の材料、具体的には、1つの例示的な特性として、熱伝導率が約0.5ワット/メートル・ケルビンまたはこれより大きいプラスチックとして定義される。
【0053】
例示的システム
図1は、本明細書において説明されるように、脳内出血排出後に脱着式冷却装置(デバイス)101を排出キャビティに配置し、目標の温度管理を誘導することによって、脳内出血(ICH)、頭蓋骨切除を必要とする手術、または柔組織内手術関連症状を治療するための例示的な神経低体温法誘導流体システム100のブロック図を示す。
【0054】
低体温法誘導流体システム100は、好ましくは、脱着式冷却装置101と、脱着式冷却装置101の動作を監視および/または制御するための熱管理およびフローシステム103を有する閉回路フローシステムを含む。脱着式冷却装置101は、患者110の排出キャビティに配置される。システム100は、目標の温度管理を誘導するために、冷却された液体が標的領域に送達されるように構成され、より具体的には、冷却された液体の使用およびシステムの設計により、血球周囲領域における温度降下を介して、低体温法の神経保護特性が最大化される。一実施形態において、冷却された液体は、食塩水を含む。ただし、他の好適な溶液が用いられてよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置101は、遠位走行カテーテルおよび近位走行カテーテル(例えば、
図3A~
図3G参照)を含み、その両方は断熱された中央部を備え、これは、外部システムから受け取った冷却された液体が脱着式冷却装置101の熱交換領域105に到達するまでこれを絶縁するように設計されている。遠位および近位走行カテーテルの両方は、熱交換領域105を画定する。知られているように、熱交換器は、2つまたはそれより多くの流体間(例えば、冷却された液体と標的部位における組織との間)で、熱を伝達するために用いられるシステムである。本システム100において、熱交換領域105は、冷却された液体の低温が、標的部位(例えば、患者の脳内組織)に伝達するように設計されている。つまり、脱着式冷却装置101は、遠位走行カテーテルおよび近位走行カテーテルから構成され得るカテーテル本体によって画定されることが理解されよう。遠位走行カテーテルおよび近位走行カテーテルは、2つの別個の構造であってよく、または、互いから分離された2つの別個のルーメン(すなわち、遠位走行および近位走行)を含む単一の一体的構造であってよい。概して、脱着式冷却装置101は、カテーテル構造であると称されてよい。
【0056】
図1は、患者の脳の断面104を含み、これは、脱着式冷却装置101を、脳に入っており、脳内に含まれる脱着式冷却装置101の熱交換領域105を中心に温度制御半径111を含むものとして示す。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置101の近位端は、患者110の頭蓋にしっかりと取り付けられる。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置101の近位部は、頭蓋の外部に残されてよく、患者の皮膚の下方にトンネリングされることが可能である。システム100は、
図3A~3Gに関して後述される冷却された液体の閉ループ、
図4A~4Gに関して後述される冷却された液体のバッグ(膨張可能部材)、または
図5A~5Gに関して後述される冷却された液体のらせんを含んでよい。これらの実施形態の全ては閉回路システムであり、ここで、冷却された液体は、熱伝達が発生する熱伝達位置(熱交換位置)に送達され、次に、より温かい状態の液体が再冷却のために戻され、次に、プロセスが継続する。
【0057】
図1は、冷却された液体を送達するように設計された、脱着式冷却装置101と流体システムとの間の接続部の拡大部分106を示す。いくつかの実施形態において、接続部は、雌雄ルアーロックであってよい。ただし、任意の数の他のタイプの接続部が、これらの2つの部分の間にしっかりとした流体のシールされた接続部を提供するために用いられてよい。脱着式冷却装置101および流体中央部の両方は、2つのカテーテル107、すなわち、冷却された液体を患者110の排出キャビティに提供する遠位走行カテーテルと、液体を熱管理およびフローシステム103に戻す近位走行カテーテルとを含む。脱着式冷却装置101および流体中央部のこれらの2つのカテーテルの接続部は、シールされ、流体連通していることにより、冷却された液体が熱交換領域105に流れることを可能にし、また、後述するように、熱交換領域105における熱伝達を経た後で液体を返流することを可能にする。
【0058】
冷却された液体の温度は、熱管理およびフローシステム103内で(許容される公差内の)正確な(入力)値に変化させられ、脱着可能な接続部107を通して、脱着式冷却装置101へと遠位走行カテーテル(遠位走行ルーメン)にポンプダウンされる。脱着式冷却装置101の遠位走行カテーテルは、冷却された液体を熱交換領域105に提供する。冷却された液体は、熱交換領域105を通して周囲組織から熱を吸収する。液体は、次に、近位走行カテーテルに送られ、脱着式冷却装置101の近位走行カテーテル(近位走行ルーメン)を介して流れ、システム103へと戻る。
【0059】
近位走行カテーテル(近位走行ルーメン)は、つまり、液体を熱管理およびフローシステム103に戻す。いくつかの実施形態において、熱管理およびフローシステム103は、冷却液体の脱気または急速再冷却を促進するために、熱管理およびフローシステム103または液体リザーバを通して液体を移動させるためのポンプを含む。いくつかの実施形態において、熱管理およびフローシステム103は、加熱された液体が熱交換領域105から戻ると、これを近位走行カテーテルから受け取る流入ポートと、液体を冷却する複数の毛細管チューブと、特定温度の冷却された液体を流体中央部の遠位走行カテーテルに戻す流出ポートとを含む。いくつかの実施形態において、熱管理およびフローシステム103は、熱管理およびフローシステム103をIVラック108または同様の直立構造に吊り下げるためのアタッチメント、この場合、金属またはプラスチックのような頑丈な材料から形成されたループを含む。代替的に、熱管理およびフローシステム103は、スタンドアロンのユニット(コンソール)の一部であってよく、これは、ユニットが1つの位置から別の位置に移動することを可能にするホイールを含んでよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、熱管理およびフローシステム103は、複数の毛細管チューブと物理的に接触し、前記液体の前記温度を上昇または低下させる冷却ユニットであって、ペルティエ冷却、液体冷却、気化冷却、および受動的冷却の少なくとも1つを用いて動作し得る冷却ユニットを含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、熱管理およびフローシステムは、流体の流れを誘発するポンプを含む。このポンプは、能動的容量式ポンプ(ロータリタイプ、ギア、スクリュー、蠕動、およびロータリベーンを含む)、遠心ポンプ、脈動ポンプ(油圧ラム、パルサー、およびエアリフトを含む)、または速度ポンプ(ラジアルフロー/遠心および軸流を含む)として動作してよい。つまり、ポンプ動作は、閉回路流路において液体を流れさせる。
【0062】
図2は、様々な追加の実施形態を含む脱着式冷却システム150を有する別の例示的な閉回路フローシステムのブロック図を示す。本実施形態において、脱着式冷却装置101は、薬剤注入または他の注入ベースの治療152のための追加のポート151と、頭蓋内圧を低下させるための外部心室ドレイン153とを含む。ポート151は、医薬品のような薬剤を送達するためのシリンジまたは他の送達デバイスに係合するためのルアーコネクタ等を含んでよいことが理解されよう。別の実施形態において、薬剤導入システムおよび外部心室ドレイン153が、キャビティへの薬剤の制御された連続導入、または頭蓋内圧の変化に対応する自動安全調整プロセスを可能にするために、熱管理およびフローシステム103に加えられてよい。外部心室ドレイン153は、バルブまたはこれを制御するための他のメカニズムを含んでよい。さらに、外部心室ドレインの導入は、手術後の炎症性サイトカインのような多数の臨床的ファクターを解析するために用いられてよい。ポート151およびドレイン153は、カテーテル構造に専用のルーメンを有し、例えば、脱着式冷却装置101の遠位端(遠位先端)または脱着式冷却装置101に沿った別の遠位位置において開口していてよいことが理解されよう。本開示のシステムは、つまり、多数の異なる器具および機能性を単一のシステムに組み込むように構成され、したがって、皮膚下の細い開口およびトンネルを通して脳の抜き穴まで供給されるべき複数の独立した器具を用いる必要性を排除する。
【0063】
図3A~3Gは、
図1に示す脱着式冷却装置101のループの実施形態を示す。
図3Aは、遠位走行カテーテル202および近位走行カテーテル204の遠位端部201を示す。これは、接続して、冷却液体が遠位走行カテーテル202から近位走行カテーテル204までシームレスに流れることを可能にするループ(連続的な流体のループ)を形成する。脱着式冷却カテーテルの絶縁領域208は、特定の材料選択(例えば、好適な絶縁材料)によって絶縁され、熱交換領域206は、高伝導性材料によって冷却を促進するように設計される。つまり、熱交換領域206は、非絶縁領域を含む。他の品質の材料が可能である。いくつかの実施形態において、ループは、実質的に180度の角度で曲げられているが、他の角度が可能である。さらに、ループは、1のカテーテルから他のカテーテルまで液体のチャネルを形成する緩い曲線を含む。ループは、遠位走行カテーテル202を近位走行カテーテル204と一緒に結合することによって形成されてよく、これは、
図3Aにおいて結合点205として示されている。他の実施形態では、単一のカテーテルが、捩れることなくループを形成している。遠位走行カテーテル202および近位カテーテル204は、高い熱伝導率の半剛性材料から形成されてよい。
【0064】
遠位走行カテーテル202は、熱管理およびフローシステム(不図示。
図1のアイテム103を参照)から受け取った冷却された液体を含む。近位走行カテーテル204は、冷却された液体が熱交換領域206において周囲組織に露出した場合に加熱される液体を含む。換言すると、熱交換動作は、熱交換領域206において発生しており、冷却された液体の低温が組織に伝達された結果、組織の冷却と冷却された液体の加温が行われる。一実施形態において、標的領域(標的脳組織)を30℃から36℃までの間の温度に冷却するために、熱交換領域(遠位端部)は、(冷却された液体によって)約0℃の温度まで冷却される。遠位走行カテーテル202および近位走行カテーテル204は、遠位走行カテーテル202を絶縁して尚早な温度変化を防止する脱着式冷却装置101の部分208によって覆われている。換言すると、部分208は、ジャケット等のような外側絶縁材料によって画定される絶縁領域を含み、これは、少なくとも遠位走行カテーテル202を覆い、冷却された液体が熱交換領域206に送達されるときの温度を確実に維持する。任意の数の異なる絶縁材料が、この絶縁領域(部分208)が屈曲可能な程度に十分な可撓性を有する限りにおいて、利用可能である。
【0065】
熱交換領域206は、冷却された液体からの低温が周囲組織を冷却することを可能にする熱交換領域として動作する薄壁の高伝導性ポリエーテルループのような高伝導性材料を含んでよい。本例において、熱交換領域は、冷却された液体を遠位走行カテーテル202から露出させ、周囲組織から熱を吸収する。結果として、冷却された液体は加熱された液体になり、加熱された液体は、近位走行カテーテル204を介して患者の外部に送られる。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、伝導性ポリアミド(PA)、低摩擦ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、または伝導性ポリフェニレンサルファイド(PPS)のような他の高伝導性材料が利用可能であることが理解されよう。これらの材料の多くは、撮像性能またはデバイス機能に悪影響を及ぼすことなく、伝導性をさらに向上させるために、カーボンファイバまたはグラスファイバのような他の伝導性材料で埋め込みまたは強化されてよい。
【0066】
図3Bは、脱着式冷却装置の上断面図であり、
図3Cは、脱着式冷却装置101の部分201の第2側面図を示し、追加の実線は、絶縁領域208がどのように遠位走行カテーテル202および近位走行カテーテル204を覆うかを示す。
図3Dは、上断面図であり、
図3Eは、脱着式冷却装置101の部分201の第3側面図を示し、近位走行カテーテル204のみが見えるように回転している。
【0067】
図3Bは、センサ222および追加のルーメンポート224のような可能な実施形態を示す。コネクタ(不図示)は、脱着式冷却装置を流体システムおよび熱管理およびフローシステムから取り付けおよび取り外すために用いられ、流体システムの遠位および近位走行カテーテルを、脱着式冷却装置の遠位走行カテーテル202および近位走行カテーテル204に整列させる。いくつかの実施形態において、コネクタは、追加のルーメン、ガイドワイヤおよびリードを含むさらなる接続を可能にしてよい。コネクタは、(例えば、金属またはプラスチックで形成された)クリップ、または複合的なルアーロックメカニズムであってよい。追加のルーメンは、薬剤注入ポートとして用いられてよい。いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置101は、脳のフォトバイオモジュレーション(PBM)送達のための発光体を含んでよい。
【0068】
センサ222は、センサアレイまたは単一のセンサであってよい。センサ222は、データを記録するために脱着式冷却装置101に沿ったいずれかの位置に配置されてよい。いくつかの実施形態において、センサ222は、遠位走行カテーテル202から近位走行カテーテル204に移動するときの液体の温度を決定するために用いられてよい。センサ222は、液体の温度、液体の圧力、頭蓋内圧、液体の流速、または液体または周囲組織の他の生物学的特性を含む様々なデータを決定してよい。いくつかの実施形態において、センサ222は、温度、圧力、流速、および他の生物学的特性の少なくとも1つを変更するように動作可能な、熱管理およびフローシステム(不図示)に配置された外部コントローラに結合されている。センサ222および外部コントローラは、カテーテル内の裂傷を検出し、さらなる流れを直ちに阻害する動作を開始するためのメカニズムを含んでよい。
【0069】
センサ222は、頭蓋内圧を監視および検出するように設計された外部頭蓋内圧センサまたはプローブの形式であってよい。頭蓋内圧(ICP)の監視は、頭内に配置されたデバイス(センサまたはプローブ)を用いる。モニタは、頭蓋内の圧力を検知し、この場合、外部コントローラの一部であり得る記録装置に、測定値を送信する。センサ222は、任意の数の異なる位置、例えば、絶縁領域208と熱交換領域206との間のインターフェイス(
図3B)または冷却装置の最遠位端または標的部位近傍の他の位置に配置可能である。センサ222に関連する配線などのような電子機器は、
図6C~
図6Eに示すもののような、マルチルーメンカテーテル本体の一部として形成される1つのルーメンを通って移動することが理解されよう。追加のルーメンポート224は、脱着式冷却装置101が設置されている間に、薬剤を患者に投与するために用いられてよい。本例は追加のルーメンポート224が絶縁領域208と熱交換領域206との間にあるものとして示しているが、他の位置、例えば、ルーメンポート224の開口が脱着式冷却装置101の最遠位端にあることが可能である。一実施形態において、薬剤は、抗炎症剤または血栓溶解剤を含む。
【0070】
一実施形態において、熱交換領域における冷却液体の温度を測定するための1または複数の内部温度センサと、少なくとも1つの内部温度センサの位置から離間した位置で脳組織の温度を測定するための少なくとも1つの外部温度センサ(例えば、センサ222)とが存在してよい。例えば、本明細書において説明されるように、外部温度センサは、装置の可撓性中央部に沿って配置されてよい。内部および外部センサは、コントローラと通信し、温度測定値の記録および表示を可能にする。さらに、コントローラは、温度測定値に応答して動作するように構成されてよい。例えば、外部温度センサは、装置の径方向の冷却効果を測定することを意図しており、したがって、外部温度センサによって検出された脳組織の温度が所望の温度より小さい場合、冷却液体の温度は調整(例えば、低下)されてよい。
【0071】
図3Gは、少なくとも一実施形態において、絶縁位置を示す目的で、熱交換領域206は半透明、絶縁領域208は不透明で示している(グレーの陰影で示されている)が、他のバージョンの材料が可能である。
【0072】
図4A~
図4Gは、いくつかの実施形態に係る
図1の脱着式冷却装置101のバッグの実施形態を示し、熱交換領域305は、主に、薄い高伝導性のバッグ306で構成されてよい。
図4Aは、脱着式冷却装置101の遠位端部301を示し、これは、遠位走行カテーテル304、熱交換領域305、バッグ306、および薬剤注入ポート307の例示的な配置を示す。
【0073】
図4B~
図4Cは、近位走行カテーテル302、遠位走行カテーテル304、およびバッグ306を含む脱着式冷却装置101の上断面図および横断面図である。遠位走行カテーテル304は、バッグ306への入力として液体を提供する遠位開口部(ルーメン)311を形成する。または代替的に、遠位走行カテーテル304は、バッグ306の内側に冷却された液体を送達するためにバッグ306の内側内で流体連通する、本明細書において形成される1または複数の遠位開口部を含んでよい。遠位走行カテーテル304は、熱管理およびフローシステム(不図示)から冷却された液体を受け取る。遠位走行カテーテル304の一部は、遠位走行カテーテル304を絶縁して、熱交換領域305に到達するまで流体の熱変化を阻害する絶縁領域308によって覆われている。バッグ306は、冷却された液体が患者の周囲組織から熱を急速に吸収することを可能にする高い熱伝導率の材料で形成されてよい。バッグ306は、つまり、非絶縁の遠位領域を構成する。示された実施形態において、バッグ306は、遠位走行カテーテル304および近位走行カテーテル302の両方を囲んでいるが、バッグ306は、冷却されようとする組織に対してバッグ306を配置することを可能にするために、冷却された液体を保持する遠位走行カテーテル304のみを囲むように構成されてよいことが理解されよう。
【0074】
近位走行カテーテル302は、バッグ306の最近位点312から出力として液体を受け取る近位ルーメン312を形成する。代替的に、近位走行カテーテル302は、バッグ306の内側と近位走行カテーテル302の内部ルーメンとの間に流体連通を提供する1または複数の開口を含んでよい。本実施形態において、センサ309は、バッグ306と一体化されていてよい。センサ309は、センサのアレイまたは単一のセンサを含んでよい。センサ309は、詳細に前述したように、多種多様なデータポイントを検出するように、脱着式冷却装置101に沿ったいずれかの位置に存在してよい。
【0075】
図4D~
図4Eは、遠位走行カテーテル304、遠位走行カテーテル304、およびバッグ306を示す遠位部分301を異なる向きで示す。
図4D~
図4Eは、
図4B~
図4Cと比較して90度回転した遠位部分301を示す。
図4Gは、遠位部分301の側面斜視図である。
【0076】
図4Gは、絶縁位置を示す目的で絶縁領域が不透明であり(グレーの陰影で示されている)、熱伝達領域が半透明である実施形態を示しているが、他のバージョンの材料が可能である。
【0077】
図5A~
図5Gは、いくつかの実施形態に係る
図1の脱着式冷却装置101のらせん状実施形態を示す。
図5Aは、遠位走行カテーテル402、近位走行カテーテル404、および熱交換領域408を示す脱着式冷却装置101の遠位端部401を示す。
【0078】
図5B~
図5Cは、遠位走行カテーテル402、近位走行カテーテル404、遠位ルーメン406、近位ルーメン407、および熱交換領域408を含む脱着式冷却装置101の遠位部分401の上断面図および横断面図である。遠位走行カテーテル402は、ポリウレタンで形成されていてよい。遠位走行カテーテル402は、冷却された液体を脱着式冷却装置101の末端(遠位)端に送達し、ここで、冷却された液体は、遠位ルーメン(開口)406を介して近位走行カテーテル404の熱伝達部408へと解放される。熱伝達部408は、近位ルーメン(開口)407を介して近位走行カテーテル404へと流れる。熱交換領域408を形成するらせん形状の近位走行カテーテル404は、超低硬度、高熱伝導性の材料で形成されてよい。この熱交換領域408は、遠位走行カテーテル402の周りに巻き付けられ、周囲組織を冷却する。換言すると、冷却された液体は、遠位走行カテーテル402の内部ルーメン内に送達され、次にその遠位端として、遠位ルーメン406を通って流れ、遠位走行カテーテル402の周りに巻き付けられたらせん構造を有する熱交換領域408に至る。巻き付けられたらせん状形式の熱交換領域408は、熱伝達を伝導するために増加した表面を提供する。ラジエータ同様に、冷却された液体がらせん形状の熱交換領域408を流れると、ここで加温された液体が、近位ルーメン407を通って流れることによって、近位走行カテーテル404に流れ込む。
【0079】
いくつかの実施形態において、脱着式冷却装置101は、冷却された液体が熱交換領域408に到達するまでこれを絶縁する絶縁領域416を含む。上述されたように、冷却された液体が近位走行カテーテル404のコイル部分を通って移動し、周囲組織から熱を吸収した後、近位走行カテーテル404は近位ルーメン407に流れ込み、液体を伝送して熱管理およびフローシステム(不図示)に戻す。
【0080】
図5D~
図5Eは、
図5B~
図5Cと比較して90度回転した脱着式冷却装置101の遠位部分401を示す。本実施形態において、脱着式冷却装置101は、センサ427および追加のルーメンポート429を含んでよい。センサ427は、センサのアレイまたは単一のセンサであってよい。
【0081】
図5Gは、
図5Aの脱着式冷却装置101の遠位部分401の一実施形態を示す。本例において、絶縁位置を示す目的で、絶縁領域は不透明であり(グレーの陰影で示されている)、熱伝達領域は半透明であるが、他のバージョンの材料が可能である。
【0082】
図6A~
図6Eは、流体中央部の断面および脱着式冷却装置101の代替的な実施形態を示す。
図6Aは遠位走行ルーメン502、近位走行ルーメン503、および2つのルーメン502、504を絶縁するための絶縁部504を含む第1流体中央部501の実施形態を示す。ルーメン502、503間に示される空間506は、追加の絶縁部504を含んでよい。絶縁部504は、ラインロスを低減するために、高硬度、超低熱伝導性のポリウレタンを用いてカテーテルを断熱してよい。
図6Bから
図6Eにおいて505で示す流体中央部の第2グループは、薬剤注入、洗浄剤、またはセンサワイヤを含む代替的な実施形態のための異なるルーメンを示す。これらの図は、異なる機能を実行するための異なるサイズのルーメンおよび異なるルーメン位置を示す。概して、最大サイズのルーメンは、遠位走行ルーメン502および近位走行ルーメン503に関する。他のルーメンは、薬剤を標的部位に送達するための薬剤送達ポート、吸引デバイスに関連してよく、センサ222に関連する配線のような電子機器を保持してよい。
【0083】
図7A~
図7Cは、いくつかの実施形態に従って脱着式冷却装置101を熱管理およびフローシステム103に取り付ける1つの例示的な接続部600を示す。本例において、雌端601は雄端602に接続され、脱着式冷却装置605の遠位走行カテーテルは、熱管理およびフローシステム603の遠位走行カテーテルに整列し、脱着式冷却装置606の近位走行カテーテルは、熱管理およびフローシステム604の近位走行カテーテルに整列する。換言すると、接続部600が形成された場合、シールされた流体連通が、脱着式冷却装置101に関連するカテーテルと、熱管理およびフローシステム604に関連するこれらのカテーテルとの間に得られる。スクリューロックのような他のロックが可能である。接続部600は、実施が容易で、反転が容易なタイプでなければならない。
【0084】
図8Aおよび
図8Bは、近位端163および対向する遠位端164で終端する細長い本体162を有する脱着式冷却装置160の別の実施形態を示す。図示されるように、遠位端164は閉鎖端であり、近位端163は開放端であってよい。本実施形態において、脱着式冷却装置160の遠位端部は、本明細書において前述された方式で熱交換領域として動作する熱伝達バルーン170を含む。熱伝達バルーン170は、遠位端164に向かって拡張または閉鎖してよい。前の実施形態のように、脱着式冷却装置160は、遠位走行カテーテルおよび近位走行カテーテルを含む。遠位走行カテーテルは、遠位開口部を有してよく、または、冷却された液体を提供し、これが遠位走行カテーテルから熱伝達バルーン170の内側へと直接流れることを可能にする遠位ルーメンを画定してよい。この遠位開口部または遠位ルーメンは、好ましくは、熱伝達バルーン170の遠位端に、またはその付近に配置されている。近位走行カテーテルは、近位開口部を有してよく、または、液体を提供し、これが熱伝達バルーン170内から近位走行カテーテルへと直接流れ、熱管理およびフローシステムに戻ることを可能にする近位ルーメンを画定してよい。遠位開口部は、近位開口部の下流側(すなわち、遠位端のより近く)に配置されている。
【0085】
脱着式冷却装置160の遠位端は、好ましくは、適切な位置で(標的部位で)移動する間に脱着式冷却装置160からの潜在的ダメージを最小化するために、剛性ではない材料で形成される。
【0086】
脱着式冷却装置160は、図示の中間絶縁領域165を含み、絶縁材料が少なくとも遠位走行カテーテルを覆う。この中間絶縁領域165は、好ましくは、可撓性であり、本明細書において説明されるように、熱交換領域(例えば、バルーン170)および中間絶縁領域165が2つの別個の90度回転を経ることを可能にするように形成されている。近位端領域167に絶縁材料は存在せず、この部分は、剛性の接続領域として、熱管理およびフローシステムから冷却された液体を受け取り、加温された液体を熱管理およびフローシステムに戻すことを可能にするように機能する。近位端領域167は、可撓性でなく、コネクタがこれにしっかりと結合した場合に崩れない、好適な剛性プラスチック材料の形式であってよい。近位端領域167は、つまり、流出ポートおよび流入ポートを含んでよい。流出ポートは、加温された液体を排出するために近位走行カテーテルの内部ルーメンと流体連通しており、流入ポートは、冷却された液体を受け取るために遠位走行カテーテルの内部ルーメンと流体連通している。図示されるように、流出ポートは、近位端領域167の側面に沿って配置されてよく、流入ポートは、近位端領域167の近位端に配置されてよい。カテーテルおよびこれらのそれぞれのポートおよび対応する流路の構成は、
図4A~
図4Gのバッグの実施形態に関して図示および説明されたものと同様である。ただし、他の位置が等しく可能である。流入および流出ポートは、それぞれのカテーテルにおいて孔または開口の形式であってよい。
【0087】
脱着式冷却装置160は、第1シール180および第2シール190を含んでもよい。第1シール180は、第1ロータリシール部材の形式であってよく、第2シール190は、第2ロータリシール部材の形式であってよい。第1ロータリシール部材は、第1ロータリシール部材を効果的に脱着式冷却装置160に結合する(取り付ける)ためにねじ止め(screwed down)可能な第1回転可能ノブ(締め込み要素)181等を含む。第1ロータリシール部材の主本体は、本来的に可撓性(例えば、シリコーン管状構造)であり、脱着式冷却装置160の剛性の(強化)近位端領域の周りに配置されるように寸法決めされ、これにシールを形成する。第1回転可能ノブ181の締め付けにより、第1ロータリシール部材の可撓性主本体に対する締め付けを生じさせ、これを剛性近位端領域に対して圧縮およびシールする。第1シール180はこの剛性(強化)近位端領域に取り付けられるので、そこで内部ルーメンは、これらの形状を維持し、圧縮しない。逆に、第1回転可能ノブ18(締め付け要素)がねじ止め解除された場合、第1ロータリシール部材は脱着式冷却装置160から除去可能である。第1ロータリシール部材は、その一端に流入ポート185を提供し、これは、脱着式冷却装置160の流入ポートと流体連通して配置され、冷却された液体がこれらの2つのポートを通って遠位走行カテーテルの内部ルーメンへと流れることを可能にする。本明細書において説明されるように、第1シール180を迅速かつ容易に除去する能力は、当該脱着式冷却装置160が本明細書で説明されるように頭蓋内で用いられることを可能にする多数の利点を提供する。つまり、第1シール180はルアーに取り付けられてよく、つまり、両方が、流入ルーメンが配置された位置に配置される。
【0088】
第2ロータリシール部材(第2シール190)は、第2回転可能ノブ191等を一端に有し、第3回転可能ノブ192等を他端に有する細長い構造である。第1回転可能ノブ181と同様に、第2および第3回転可能ノブ191、192は、脱着式冷却装置160の本体の周りで締め付けられ、これに第2ロータリシール部材をしっかりと結合する(取り付ける)ように設計されている。第2および第3回転可能ノブ191、192をねじ止め解除することにより、第2ロータリシール部材を容易に切り離す(除去する)ことが可能になる。第2ロータリシール部材は、第2ロータリシール部材の側面に沿って配置された側面流出ポート194をも有する。側面流出ポート194は、第2ロータリシール部材の側面から放射状に外方向に延伸する脚の形式であってよい。第2ロータリシール部材は、近位端領域167および/または中間絶縁領域165の周りに配置され、これに封止結合されている。第2ロータリシール部材はまた、近位走行カテーテルに関連する流出ポートを覆い、流出ポートを通って流れる温かい流体が、第2ロータリシール部材の内側に流れ込み、側面流出ポート194を通って出て行くように設計されている。つまり、回転可能ノブ191、192は、側面流出ポート194を分離している。図示されるように、第2ロータリシール部材は、つまり、第1ロータリシール部材と遠位端164との間に配置されている。当該構造において、流出ルアーは、流出ポートに接続され、近位シール(180)に接続されてよいことが理解されよう。
【0089】
第2シール190は、つまり、流出ポートの遠位側である脱着式冷却装置の中間点に取り付けられてよい。2つのシール180、190は、つまり、3つのシールを用いることによって(2つは流出ポートを分離し、1つは流入ポートを分離する)、中間点の流出ポートと近位側の流入ポートとを分離する。
【0090】
熱伝達バルーンは、流体送達のような従来技術を用いて膨張/収縮可能なタイプであってよいことも理解されよう。開示された実施形態において、熱伝達バルーンの膨張媒体は、遠位走行カテーテル内を熱伝達バルーンへと流れる冷却された液体である。
【0091】
第1シール180および第2シール190は、デバイスにロータリ動作を提供し、これによりデバイスの異なる動きを可能とし、それにより、デバイスを標的位置に適切に位置付けるデバイス操縦が可能となる。
【0092】
図9は、いくつかの実施形態に係る熱管理およびフローシステム103のブロック図を示す。熱管理およびフローシステム103は、ポンプ704によって誘発された圧力によって、液体冷却剤の連続的な流れを誘導する。液体は、流入ポート706を通って熱管理およびフローシステム103に入り、高熱伝導性毛細管チューブを含んでよい冷却フロースルーシステム702を通して、熱的に制御されたリザーバ710へとポンプアップされる。液体は次に、ポンプ704(例えば、1または複数のポンプ)を通って移動し、一連の冷却毛細管チューブ705を含んでよい別の冷却フロースルーシステム705を通って、流出ポート708を介して絶縁中央部へと出て行く。ペルチェタイプの熱電ステンレス鋼液体冷却器またはステンレス鋼の液体ブロックが取り付けられたコールドプレート冷却器が、冷却711を誘発するために用いられてよい。流入ポート706または流出ポート708から取り付けられたセンサ707が、温度、流れ、薬剤送達および他の速度(例えば、流速)を適宜変化させるために、コントローラ703に報告してよい。コントローラ703は、脱着式冷却装置101またはシステムの他の領域の他のセンサから収集したデータを利用してもよい。電源701は、熱管理およびフローシステムに一体化されており、熱管理およびフローシステム103が完全に移動式であることを可能にする。熱管理およびフローシステム103は、各コンポーネントを統合するハウジング709内に囲われていてよい。熱管理およびフローシステム103は、つまり、制御フィードバックループを組み込み、ここで、ユーザは、冷却された液体の所望の冷却温度を入力することができ、冷却された液体の流速のようなパラメータが、所望のレベルでの標的部位の冷却を実現するために監視および制御されている。
【0093】
図10は、いくつかの実施形態に係る脱着式冷却装置を管理するための1つの例示的なユーザインターフェイス800を示す。本例において、ユーザインターフェイスは、脱着式冷却装置101内の液体の現在温度として華氏35.0度と、所望の温度として華氏33.5度とを含む。前述したように、2つの重要な温度があり、1つは冷却された液体の実際の温度であり、他方は標的部位(すなわち、周囲組織)の温度である。ユーザインターフェイス800は、冷却された液体の測定された現在温度と、冷却された液体の入力された温度とを表示してよい。ユーザインターフェイス800は、液体の所望の温度を変化させるためにボタン(入力)、熱管理およびフローシステム103に液体の冷却を停止させるためのボタン、および例えば、脱着式冷却装置101の動作を監視する設定を変更するためのボタンをも含み、手動または自動再加温を有効化し、熱管理およびフローシステム103の電源オフを行う。ユーザインターフェイス800はコンピューティングデバイス、例えば、ラップトップ、デスクトップなどの一部であってよく、または、モバイルデバイスの一部、例えば、携帯電話、タブレットなどのアプリケーションであってよいことが理解されよう。視覚的および聴覚的アラートの両方が、注意する必要がある事象(例えば、測定温度が許容範囲外である)について、ユーザにアラートを発するように実行されるソフトウェアに組み込まれてよい。
【0094】
図示され、本明細書において説明されるように、本明細書で開示される脱着式冷却装置は、3つの主領域、すなわち、熱交換領域として機能する遠位端領域と、絶縁領域である中間可撓性領域と、1または複数のコネクタが取り付けられる部分を画定するより硬質な強化領域である剛性近位端領域とを含む。異なる材料で形成可能な異なる領域が、接着剤、溶接などの使用のような従来技術を用いて、互いに結合されてよい。
【0095】
図11A~
図11Hは、いくつかの実施形態に係る脱着式冷却装置101の配置、動作、および除去中における脳(すなわち、標的領域)を示す。
図11A~
図11Hは、つまり、実行される連続的な段階を示している。脳外科手術中に、必要とされる器具およびツールが、SurgiScopeのような送達デバイスを用いて標的部位に送達されることが、よく理解されよう。SurgiScopeは、脳外科手術中にツールを保持し、これらのツールの配置を補助するように設計された顕微鏡かつロボットである。ユニットは天井に載置されてよく、内視鏡ツール、生検針、および電極のような器具を保持してよい。関連するソフトウェアにより、標的および軌道の決定が可能になる。第1段階において、
図11Aに示すように出血の排出が実行され、出血が、吸引デバイス20のような従来のツールを用いて脳10から除去される。第2段階において、
図11Bに示すようにキャビティが見られ、ここで、吸引デバイス20は除去されているが、アプローチ(すなわち、頭蓋を通過する開口)は将来のデバイスによって依然アクセス可能である。第3段階において、
図11Cに示すように、脱着式冷却装置101が、排出(段階1)のために利用されたものと同じ抜き穴を介してキャビティ内に配置される。脱着式冷却装置101は、抜き穴から遠くにトンネリングされ、患者の脳10の一次進入点の閉鎖を可能にする。脱着式冷却装置101は、脳内の標的位置に到達するために、SurgiScopeのようなデバイスを通して供給されることが理解されよう。第4段階において、
図11Dに示すように、患者が外科医の指導の下で依然として手術室にいる間に、脱着式冷却装置101を用いて冷却が開始される。第5段階において、
図11Eに示すように、数時間から入院の全期間までの間、冷却が維持される。この時間にわたって、冷却液体は、システムを通って連続的に流れ、再冷却などが行われ、標的組織を連続的に冷却することが理解されよう。第6段階において、
図11Fに示すように、脱着式冷却装置101の除去前に、制御された再加温が開始される。第7段階において、
図11Gに示すように、再加温が完了すると、流れが停止され、軽く引っ張る力を用いて(追加の器具を必要とすることなく)、ベッドサイドで脱着式冷却装置101が除去される。本明細書において説明されるように、いくつかの実施形態において、近位端コネクタは、除去前に除去される。制御された再加温は、脱着式冷却装置101を通って流れる液体を加熱することによって行われてよい。第8段階において、
図11Hに示すように、トンネリングされた出口ポイントが閉じられる。
【0096】
本明細書において説明される冷却装置の脱着性は重要である。なぜなら、脱着式冷却装置に関連するコネクタ器具は、大き過ぎてSurgiScopeのルーメンを通過できず、同様に、上述したプロセス中にSurgiScopeを脱着式冷却装置から除去することを望む場合、SurgiScopeがコネクタ器具の上方を通過することができないからである。つまり、シール180、190(
図8Aおよび8B)を用いる場合、これらのシール180、190は脱着式冷却装置から除去可能であり、脱着式冷却装置の上方でSurgiScopeの除去を可能にする。つまり、本システムのモジュール性および脱着性(迅速な接続/迅速な切り離し)は、頭蓋内の設定(脳外科手術)でこれを用いることを可能にする。本明細書において説明されるルアーコネクタのような他のタイプのコネクタも、迅速な取り付け/取り外しを可能にすることが理解されよう。
【0097】
図12は、ICH排出キャビティ内に装置を配置するための方法のフロー
図1000を示す。いくつかの実施形態において、
図1の脱着式冷却装置101が用いられるが、キャビティ内から神経保護を誘導する他のデバイスが用いられてよい。ブロック1002(第1段階)において、患者の頭蓋内血腫の外科的排出が実行される。例えば、外科的排出は、頭蓋の抜き穴を介して患者からIHCを除去する低侵襲性プロセスであってよい。ブロック1004(第2段階)において、装置は、患者の残存する血腫キャビティ内に設置される。装置は、
図1の脱着式冷却装置101または別のデバイスであってよい。ブロック1006(第3段階)において、患者の脳における装置の配置を確認するために撮像が用いられる。ブロック1008(第4段階)において、装置が有効化され、残存する血腫キャビティ内からの神経保護を誘導する。例えば、装置は、脳内組織を冷却する冷却された液体を、装置を通して提供するためのポンプを含む、
図1に示すような熱管理およびフローシステム103に取り付けられてよい。前述したように、ポンプは、標的範囲内における冷却された液体の温度を維持するように構成されたフロー管理制御システムの一部である。結果として、熱交換領域における冷却された液体の滞留時間が、熱交換領域内における冷却された液体の温度がこの所望の温度範囲(例えば、凝固点(32°F))で維持されるという結果をもたらすように、冷却された液体の流速が制御される。ブロック1009(第5段階)において、装置は、手術終了後まで動作する。ブロック1010(第6段階)において、装置は、追加の外科的手術なしで除去される。装置は、神経保護療法後に除去されてよい。例えば、装置は、残存する血腫キャビティの温度が患者の脳における他の組織の温度と実質的に同様になった後で除去されてよい。
図13A~
図13Fは、ICH手順におけるカテーテルのトンネリングのシステムを示す。脱着式冷却デバイス1303は、SurgiScopeまたは同様のデバイス1301を通り、抜き穴1302(頭蓋に形成された小孔)を介して脳に導入される。SurgiScope1301は、次に、カテーテル(デバイス1303)の周りで除去される(
図13B、
図13C)。カテーテル(デバイス1303)は、次に、金属製スタイレットで切断された孔1304を通り、皮膚1305を通ってトンネリングされる(
図13D、
図13E)。トンネリング後、コネクタ1306-1309がカテーテルに取り付けられ、複数のルアー接続を可能にする(
図13F)。本明細書において説明されるように、コネクタは、システム103、医薬品供給源、吸引器具などのような様々な外部器具への取り付けが可能である。
図14Aは、脳外科的処置におけるトンネリングのために用いられる標準的な金属製スタイレット1403の容易な取り付けを可能にする追加の実施形態による脱着式冷却装置1401の最近位部分を示す側面図を示す。スタイレットコネクタ1402は、恒久的なまたは除去可能なカテーテル部であってよく、シリコーンのような伸長可能材料を含む。
図14Bは、これらの2つの部品を一緒に接続するアタッチメントのスライドオーバーメカニズムを示す。
図15は、1つの例示的な脱着式冷却装置の様々な部分を示す。遠位端は、高伝導性プラスチックで構築された熱交換領域1501を含む。中央部1502は、脳、頭蓋および皮膚を横断する可撓性の絶縁領域である。カテーテルの近位部分は、ルアーコネクタ1503を取り付けるローテータシールまたは他のメカニズムの使用を可能にするように強化されている。概して、1504に示す、トンネリングのために、脱着式冷却装置を標準的な金属製スタイレット(
図14A参照)に取り付けるように設計された追加の実施形態も示されている。
図16A~
図16Dは、可能なカテーテルの実施形態を示す。
図16Bは、断熱する中央部1604に収容されている流出ルーメン1605の内部で走行する流入ルーメン1606を有するカテーテルの断面を示す。流入ルーメン1606を画定する構造は、遠位側に延伸するカテーテルであるとみなされてよく、流出ルーメン1606を画定する構造は、近位側に延伸するカテーテルであるとみなされてよい。流入ルーメンは、熱交換領域1601を通って延伸するが、熱交換領域1601の端の近位側で終端する。つまり、冷却された液体は、流出ルーメン1605の開放された遠位端を出て、流入ルーメン1606において逆方向に流れる前に、熱交換領域1601へと流れる。本明細書において説明したように、熱交換領域1601は、可撓性中央部(中間部)1604とは異なる材料で形成されている。さらに、流入および流出ルーメンの相対的なサイズは異なってよいが、ただし、典型的には、流入ルーメンは流出ルーメンより小さい直径を有する。
図17は、バッグまたはバルーンのような膨張可能部材として示される熱交換領域1702のごく近位側に配置された圧力(例えば、頭蓋内圧センサ)または温度センサ1701が加えられた脱着式冷却装置1700の実施形態を示す。これらのセンサ1701は、可撓性中央部1703(可撓性中間領域)に沿ったいずれかの位置に配置されてよい。
図16Dに示す実施形態のように、装置1700は、冷却された液体を熱交換領域1702に送達するための流入ルーメン1706(遠位走行カテーテル)を含む。
図18Aおよび18Bは、遠位熱交換膨張可能部材1805(例えば、バッグまたはバルーン)の可能な実施形態を伴う、
図17と同じ/同様のカテーテル設計を示す。収縮したバッグ(
図18A)は、流入ポート1801と同一平面にある。流れが開始すると、バッグ1805は膨張し(
図18B)、脳内のキャビティ空間を満たす。流入ポート1801はバッグ1805の全長にわたっては延伸せず、膨張した場合に半剛性の流入ポートが脳に直接接触しないことを確実にする。つまり、流入ポート1801の遠位端がバッグ1805の遠位端から離間しているので、バッグの遠位端は支持されていない。これにより、遠位端が、あらゆる脳組織の動きに起因していくらか圧縮されることが可能になる。流入ポート1801および流出1802は、バッグ内の特定の内部圧力を可能にするサイズである。可撓性中央部が、1808に示されている。
【0098】
本明細書において説明されるシステムは、つまり、標的領域の局所的冷却を提供するように構成され、従来の血管内冷却システムと異なり、本システムは血管外のものであるという特性を有する。本明細書において説明したように、本明細書において説明される冷却装置は、SurgiScopeデバイスのような現在の器具送達システムを通って嵌合するように設計されており、したがって、少なくとも一実施形態によれば、脱着式冷却装置(カテーテル構造)の直径は4.7mmより小さく、4.0mmより小さくてよく、例示的な一実施形態において、皮膚下でのトンネリングを可能とするように、2.0mmから4.0mmの間であってよい。一実施形態において、熱交換領域の軸方向長さは、1cmから3cmの間であってよい。外部温度センサおよび内部温度センサを用いる場合、本明細書において説明されるように、内部温度センサと外部温度センサとの間の距離は、3cmまで(例えば、1-3cmの間)であってよい。さらに、少なくとも一実施形態において、流出(近位走行)ルーメンは、僅かに流入(遠位走行)ルーメンより小さくてよく、膨張可能部材の膨張を確実にする。この結果、流出ルーメンは、流速に対する速度限定ステップとなる。一実施形態において、外径(OD)は4mmであり、流出ルーメンの内径(ID)が実質的により小さい(<1mm)ことを意味する。一実施形態において、~1mm(5F)の流出IDを実現することが望ましい。一実施形態において、カテーテル長さ(すなわち、脱着式冷却装置の長さ)は、5から20cmの間、例えば、~15cmであってよい。また本明細書で説明されているように、脱着式冷却装置(カテーテル)は、可撓性中央部の構造に起因して、2つの別個の90°回転を経るために十分な可撓性を有するように構成されている。これは、一般にシリコーンチューブで形成される一般的なEVDカテーテルと同様である。(例えば、脱着式冷却装置の断熱した外側カテーテルは、つまり、シリコーンのような可撓性材料で形成されてよい。)
【0099】
上述の説明において、説明目的で、明細書の十分な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載された。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細がなくとも、本開示が実施可能であることは明らかであろう。いくつかの例において、説明が曖昧になることを回避するために、構造およびデバイスがブロック図形式で示されている。
【0100】
明細書における「いくつかの実施形態」または「いくつかの例」という記載は、実施形態または例に関して説明される具体的な特徴、構造、または特性が説明の少なくとも1つの実装に含まれてよいことを意味する。明細書の様々な箇所に登場する「いくつかの実施形態において」という語句は、全てが必ずしも同じ実施形態を参照するということではない。
(項目1)
患者の脳において用いるための局所的低体温法誘導流体システムにおいて用いるための脱着式冷却装置であって、
液体を入力として提供する遠位ルーメンを形成する遠位走行カテーテルと、
前記液体を出力として受け取る近位ルーメンを形成する近位走行カテーテルであって、閉回路流路に沿って前記遠位走行カテーテルと流体的に結合されている近位走行カテーテルと
を備え、
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは、近位端領域、遠位端領域、および前記近位端領域と前記遠位端領域との間の可撓性中間領域を有するカテーテル本体を画定し、前記可撓性中間領域は、2つの90度回転により、捩れることなく走行するように構成される
脱着式冷却装置。
(項目2)
前記遠位端領域に熱交換領域をさらに備え、
前記熱交換領域は、前記遠位走行カテーテルから受け取った前記液体で周囲組織を冷却するための高伝導性材料を含む、項目1に記載の脱着式冷却装置。
(項目3)
前記近位端領域にコネクタをさらに備え、
前記コネクタは、前記脱着式冷却装置に液体を送達するように構成される流体ポンプおよび熱調整メカニズムに関連付けられた1または複数のカテーテルと整列するように、前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルの取り付け、取り外し、および位置合わせを実行するように構成され、前記近位端領域は、前記可撓性中間領域および前記遠位端領域の両方と比較して、より硬質の材料で形成されている
項目1または2に記載の脱着式冷却装置。
(項目4)
前記液体または周囲組織の温度、前記液体または周囲組織の圧力、前記液体または周囲組織の流速、および前記液体または周囲組織の生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能なセンサアレイと、
前記温度、前記圧力、および前記流速の前記少なくとも1つを変更するように動作可能な外部コントローラと
をさらに備える、項目1から3のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
(項目5)
前記センサアレイは、前記遠位走行カテーテルの遠位端部に配置されている、項目4に記載の脱着式冷却装置。
(項目6)
前記遠位端領域に配置され、前記液体で周囲組織を冷却する高伝導性のループを含む熱交換領域をさらに備え、前記ループは、前記遠位走行カテーテルから前記近位走行カテーテルへと直接流れる、項目1から5のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
(項目7)
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは互いに平行であり、前記高伝導性のループは、前記液体の流れ方向を角度180度だけ変化させるように構成される、項目6に記載の脱着式冷却装置。
(項目8)
前記遠位端領域に配置され、前記近位走行カテーテルによって画定される熱交換領域であって、前記遠位走行カテーテルの周りに巻き付けられた高伝導性のコイル形式を有し、前記液体で周囲組織を冷却する熱交換領域をさらに備える、項目1から5のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
(項目9)
前記遠位端領域に配置され、高伝導性のバッグを含む熱交換領域であって、前記バッグは、前記バッグの遠位領域への前記入力として、前記遠位走行カテーテルから前記液体を受け取る、熱交換領域をさらに備え、
前記近位ルーメンは、前記バッグの近位領域における前記出力として、前記バッグから前記液体を受け取り、前記バッグは、前記遠位走行カテーテルを前記近位走行カテーテルに接続し、前記液体で周囲組織を冷却する
項目1から5のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
(項目10)
前記可撓性中間領域は、前記遠位走行カテーテルに入力される前記液体が前記熱交換領域に到達するまでこれを断熱する流体中央部を含む、項目9に記載の脱着式冷却装置。
(項目11)
前記流体中央部は、前記液体を断熱するポリウレタン部を含む、項目10に記載の脱着式冷却装置。
(項目12)
薬剤、洗浄剤、心室ドレイン、またはセンサワイヤの少なくとも1つを受け取るためのルーメンおよびポートの追加のセットをさらに備える、項目1から11のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
(項目13)
前記脱着式冷却装置の前記近位端領域を流体冷却およびポンプシステムに取り付ける接続部をさらに備え、
ルーメンおよびポートの前記追加のセットは、前記接続部と前記脱着式冷却装置の最遠位端との間のいずれかの位置に配置される遠位ポートを通して、前記薬剤、洗浄剤、ドレインまたはセンサを導入する少なくとも1つのルーメンを含む、項目12に記載の脱着式冷却装置。
(項目14)
前記接続部は、スクリューロックおよびルアーロックのうちの1つである、項目13に記載の脱着式冷却装置。
(項目15)
前記脱着式冷却装置の直径は4.7mmより小さい、項目1から14のいずれか一項に記載の脱着式冷却装置。
(項目16)
前記液体の温度を測定するための前記熱交換領域内の内部温度センサと、前記周囲組織の温度を測定するための外部温度センサとをさらに含む、項目2に記載の脱着式冷却装置。
(項目17)
前記外部温度センサは、前記可撓性中間領域に沿って配置され、前記内部温度センサから3cmまでの距離に配置されている、項目16に記載の脱着式冷却装置。
(項目18)
患者の脳における標的位置を冷却するための局所的低体温法誘導流体システムであって、
液体を特定の温度に変化させ、前記液体の流速を調整するように動作可能な熱管理およびフローシステム(TMFS)であって、前記TMFSを通して前記液体を移動させるためのポンプと、前記液体を受け取る流入ポートと、前記液体を冷却する冷却ユニットと、前記液体を排出するための流出ポートとを含むTMFSと、
前記TMFSの流入ポートおよび流出ポートと脱着可能に結合され、前記TMFSから冷却された液体を受け取る遠位走行カテーテルと、前記液体を前記TMFSに戻す近位走行カテーテルとを含む脱着式冷却装置を有する閉回路フローシステムと、
前記脳内の標的位置において、前記液体および周囲領域の少なくとも1つの温度、圧力、前記流速、および生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能な少なくとも1つの遠位センサと
を備える、局所的低体温法誘導流体システム。
(項目19)
前記TMFSは、複数の毛細管チューブと物理的に接触し、前記液体の前記温度を上昇または低下させる冷却ユニットであって、ペルティエ冷却、液体冷却、気化冷却、および受動的冷却の少なくとも1つを用いて動作する冷却ユニットをさらに含む、項目18に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目20)
前記TMFSの前記ポンプは、能動的容量式ポンプ、ロータリポンプ、ギアポンプ、ねじポンプ、蠕動ポンプ、ロータリベーンポンプ、遠心ポンプ、脈動ポンプ、油圧ラムポンプ、パルサー、エアリフトポンプ、速度ポンプ、ラジアルフローポンプ、および遠心軸流ポンプの少なくとも1つである、項目18または19に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目21)
センサアレイと通信して、前記液体の温度および流速を調整するように動作可能なコントローラをさらに備える、項目18から20のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目22)
前記コントローラは、線内における裂傷の自動検出の少なくとも1つを実行し、前記線内における裂傷検出に応答して、前記熱管理およびフローシステムへの電力供給を停止する自動キルスイッチを含む、項目21に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目23)
前記脱着式冷却装置は、熱交換領域を含み、
前記TMFSから前記遠位走行カテーテルに入力される前記液体が前記熱交換領域に到達するまでこれを断熱する流体中央部をさらに備える、項目18から22のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目24)
前記流体中央部は、前記液体を断熱するポリウレタン部を含む、項目23に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目25)
前記脱着式冷却装置は、熱交換領域として動作する、露出した遠位先端領域を有する細長い本体を含む、項目18から22のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目26)
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは、互いに平行であり、前記遠位走行カテーテル内を流れる前記液体を前記近位走行カテーテルに伝達し前記TMFSに戻すために、これらの遠位端において流体的に接続されている、項目25に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目27)
前記近位走行カテーテルは、前記遠位走行カテーテルの周りでコイルを形成するコイル部を有し、前記近位走行カテーテルは前記熱交換領域を画定する、項目25または26に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目28)
前記遠位走行カテーテルの遠位端は、前記液体を前記コイル部に送達するように前記近位走行カテーテル内に開口している遠位開口部を含み、前記近位走行カテーテルは、前記コイル部から前記液体を受け取り、前記液体を送達して前記TMFSに戻すための近位開口部を含む、項目27に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目29)
高伝導性のバッグを含む熱交換領域であって、前記バッグは、前記バッグの遠位領域への入力として、前記遠位走行カテーテルから前記液体を受け取る、熱交換領域をさらに備え、
前記近位走行カテーテルは、前記バッグの近位領域における出力として、前記バッグから前記液体を受け取り、前記バッグは、前記遠位走行カテーテルを前記近位走行カテーテルに接続し、前記液体で周囲組織を冷却する流路を画定する
項目18から22のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目30)
薬剤、洗浄剤、心室ドレイン、またはセンサワイヤの少なくとも1つを提供するルーメンおよびポートのセットをさらに備える、項目18から29のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目31)
前記脳の前記標的位置を冷却するために、前記脱着式冷却装置に沿って開口している薬剤注入ポートおよび薬剤注入ルーメンをさらに備える、項目18から30のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目32)
前記局所的低体温法誘導流体システムにおける前記液体の温度または流速を変化させるための選択肢をユーザに提供するように動作可能なユーザインターフェイスをさらに備える、項目18から31のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目33)
前記遠位センサのアレイは、前記脳内の頭蓋内圧を決定するように動作可能な頭蓋内圧センサを含む、項目18から32のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目34)
前記頭蓋内圧センサは、前記脱着式冷却装置の遠位端に配置された熱交換領域内に、またはこれに隣接して配置されている、項目33に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目35)
前記脱着式冷却装置は、流入ポートおよび流出ポートを含む剛性近位端部分を含み、第1シールは、前記剛性近位端部分にその近位端で封止結合され、第2シールは、前記第1シールと前記脱着式冷却装置の可撓性中央部との間の位置で、前記剛性近位端部分に封止結合され、前記第2シールは、前記脱着式冷却装置の一部である前記流出ポートと流体連通するサイドポートを含む
項目18から34のいずれか一項に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目36)
前記第1シールは第1ロータリシールを含み、前記第2シールは第2および第3ロータリシールを含み、前記流出ポートおよびサイドポートは前記第2ロータリシールと前記第3ロータリシールとの間に配置されている、項目35に記載の局所的低体温法誘導流体システム。
(項目37)
頭蓋内出血排出後に、項目18に記載の局所的低体温法誘導流体システムを頭蓋内で用いる脱着式冷却装置の配置方法。
(項目38)
脳内出血(ICH)排出、頭蓋骨切除、および柔組織内手術の少なくとも1つの後に、項目18に記載の局所的低体温法誘導流体システムを用いて頭蓋内に脱着式冷却装置を配置する方法。
(項目39)
前記脱着式冷却装置の近位部は、患者の頭蓋の外部に残り、前記患者の皮膚の下方をトンネリングする、項目38に記載の方法。
(項目40)
脳内出血(ICH)、頭蓋骨切除を必要とする手術、または柔組織内手術に関連する症状を治療するための方法であって、
患者の脳において頭蓋内血腫の外科的排出を実行する段階と、
前記患者の残存する血腫キャビティ内に装置を設置する段階と、
前記患者の前記脳の前記残存する血腫キャビティにおける前記装置の配置を確認する段階と、
前記残存する血腫キャビティ内から神経保護を誘導するように前記装置を有効化する段階と、
手術終了後まで前記装置を動作させる段階と、
追加の外科的手術をすることなく前記装置を除去する段階と
を備える方法。
(項目41)
前記装置を設置する前記段階は、前記装置を皮膚下でトンネリングさせ、前記装置を2つの90度回転により、捩れることなく走行させる段階を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
確認する前記段階は、内視鏡を用いて前記装置の撮像または直接可視化を用いる段階を含む、項目40に記載の方法。
(項目43)
神経保護を誘導する前記段階は、局所的低体温法を誘導する段階を含む、項目40に記載の方法。
(項目44)
前記装置を有効化する前記段階の前に、コネクタを前記装置の近位端に結合する段階をさらに備える、項目40に記載の方法。
(項目45)
前記装置を用いて、神経保護剤を前記残存する血腫キャビティに送達する段階をさらに備える、項目40に記載の方法。
(項目46)
内部温度センサを用いて、前記装置の熱交換領域において循環する冷却された液体の温度を測定する段階と、
外部温度センサを用いて、前記脳の組織の温度を測定する段階と
をさらに備える、項目43に記載の方法。
(項目47)
前記装置は、脱着式冷却装置を有する閉回路フローシステムを含み、前記脱着式冷却装置は、冷却された液体を受け取る遠位走行カテーテルと、近位走行カテーテルと、前記脱着式冷却装置の遠位端部における熱交換領域とを含み、前記熱交換領域は、前記遠位走行カテーテルから受け取った前記液体で、周囲組織を冷却するための高伝導性材料を含む、項目40に記載の方法。
(項目48)
前記液体を特定の温度に変化させ、前記液体の流速を調整するように動作可能な熱管理およびフローシステム(TMFS)をさらに備え、前記TMFSは、前記TMFSを通して前記液体を移動させるためのポンプと、前記液体を受け取る流入ポートと、前記液体を冷却する冷却ユニットと、前記液体を排出するための流出ポートとを含み、前記流出ポートは、前記遠位走行カテーテルと流体的に結合され、前記流入ポートは、前記近位走行カテーテルと流体的に結合されている、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記TMFSは、標的位置における前記液体および周囲領域の温度、圧力、前記流速、および生物学的特性の少なくとも1つを決定するように動作可能な遠位センサのアレイをさらに含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記装置を除去する前記段階は、前記脱着式冷却装置の近位端を前記患者の頭蓋から外方向に引っ張ることによって、前記脱着式冷却装置を除去する段階を含む、項目47に記載の方法。
(項目51)
前記遠位走行カテーテルおよび前記近位走行カテーテルは、互いに平行であり、前記遠位走行カテーテル内を流れる前記液体を前記近位走行カテーテルに伝達し前記TMFSに戻すために、これらの遠位端において流体的に接続されている、項目48に記載の方法。
(項目52)
前記近位走行カテーテルは、前記遠位走行カテーテルの周りでコイルを形成するコイル部を有し、前記近位走行カテーテルは前記熱交換領域を画定する、項目47に記載の方法。
(項目53)
前記遠位走行カテーテルの遠位端は、前記液体を前記コイル部に送達するように前記近位走行カテーテル内に開口している遠位開口部を含み、前記近位走行カテーテルは、前記コイル部から前記液体を受け取り、前記液体を送達して前記TMFSに戻すための近位開口部を含む、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記熱交換領域は、高伝導性のバッグを含み、前記バッグは、前記バッグの遠位領域への入力として、前記遠位走行カテーテルから前記液体を受け取り、
前記近位走行カテーテルは、前記バッグの近位領域における出力として、前記バッグから前記液体を受け取り、前記バッグは、前記遠位走行カテーテルを前記近位走行カテーテルに接続し、前記液体で前記周囲組織を冷却する流路を画定する
項目48に記載の方法。