(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】容器減容装置
(51)【国際特許分類】
B30B 9/32 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
B30B9/32 101B
(21)【出願番号】P 2023143353
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2021173777の分割
【原出願日】2016-10-14
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】友澤 一成
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-066794(JP,A)
【文献】特開2015-098038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298415(US,A1)
【文献】特開平08-238591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空容器を減容する容器減容装置であって、
前記空容器を横姿勢で投入する投入口と、
前記投入口を開放する開閉扉と、
対向配置された一対の回転軸を回転自在に軸支する一対の支持部と、
前記対向配置された一対の回転軸それぞれに当該回転軸に沿って所定間隔に複数配置された圧縮ローラのうち、一方の支持部側の圧縮ローラは、前記支持部の側面までの距離が、長尺の前記空容器の首部の長手方向の長さより長い減容部と、
減容された前記空容器を収容する収容部と
、を備え
、
前記対向配置された一対の回転軸は、投入口側に配置された他方の回転軸と、前記他方の回転軸と対向配置された前記一方の回転軸からなり、前記一方の回転軸は、前記投入口側に配置された前記他方の回転軸よりも回転速度が速い
ことを特徴とする容器減容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器減容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂容器やアルミ缶などの空容器を、対向する圧縮ローラに挟んで押しつぶし減容して収容する空容器減容回収装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空容器を単純に圧縮ローラにて押しつぶし、空容器の首部分と胴部が切り離されてしまうと、サイズが大きく密度の小さい胴部のみ回収され、サイズが小さく密度の大きい首部分は回収されない場合がある。空容器の首部分も確実に回収することができる空容器回収装置や容器減容装置が望まれている。
【0005】
また、特許文献1に記載の空容器減容回収装置では、空容器を圧縮ローラにて挟んで押しつぶした際に、容器の一部分が圧縮ローラに絡みつく等の不具合が生じる場合がある。
【0006】
また、樹脂製の容器は、外力に対して高い復元力を有し、圧縮ローラにて単純に押し潰されたとしても、潰された状態を維持し続けることができず、減容後の容積が比較的大きくなる場合がある。また、圧縮ローラにより容器が押し潰されたとしても圧縮後の容器が湾曲してしまい、空容器回収装置の収納部に収納される際にかさばり、結果的に収納可能な量が少なくなってしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器減容装置は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
空容器を減容する容器減容装置であって、
前記空容器を横姿勢で投入する投入口と、
前記投入口を開放する開閉扉と、
対向配置された一対の回転軸を回転自在に軸支する一対の支持部と、
前記対向配置された一対の回転軸それぞれに当該回転軸に沿って所定間隔に複数配置された圧縮ローラのうち、一方の支持部側の圧縮ローラは、前記支持部の側面までの距離が、長尺の前記空容器の首部の長手方向の長さより長い減容部と、
減容された前記空容器を収容する収容部と、を備え、
前記対向配置された一対の回転軸は、投入口側に配置された他方の回転軸と、前記他方の回転軸と対向配置された前記一方の回転軸からなり、前記一方の回転軸は、前記投入口側に配置された前記他方の回転軸よりも回転速度が速いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器減容装置は、空容器の首部分と胴部が切り離されることなく、空容器の首部分も確実に回収することできる。
空容器の一部分が減容手段に絡みつくことなく、空容器を減容することができる容器減容装置を提供することができる。また、減容された容器が減容状態を長期間維持する容器減容装置を提供することができる。
また、容器減容装置を備えた空容器回収装置を提供することができる。
また、容器減容装置によるリサイクル用空容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る容器減容装置を備えた空容器回収装置を説明するための図、(a)は空容器回収装置の全体斜視図、(b)は開閉扉の一例を示す図。
【
図2】本発明の実施形態に係る容器減容装置の斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る容器減容装置の一例を示す側面図。
【
図4】本発明の実施形態に係る容器減容装置の上面図。
【
図5】
図4に示した容器減容装置のA-A線に沿った断面図。
【
図6】容器減容装置の正面、側面、底面を示す斜視図。
【
図7】剥離部(剥離部材)の一例を示す図、(a)は側面図、(b)は正面図。
【
図9】ペットボトル等の樹脂製の空容器の一例を示す部分拡大図。
【
図10】容器減容装置により減容された樹脂製空容器の写真の一例を示す図。
【
図11】切断部分と非切断部分とが形成された被減容体の写真の一例を示す図。
【
図12】切断部分と非切断部分とが形成された被減容体の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る容器減容装置は、空容器を減容する。この容器減容装置は、対向配置された一対の回転軸それぞれに当該回転軸に沿って所定間隔に複数配置された圧縮ローラを備える減容手段を有する。減容手段は、回転軸に設けられた複数の圧縮ローラ間の隙間の軸方向の長さが、長尺の前記空容器の首部分の長手方向の長さと比べて略同等または長くなるように構成されている。
また、容器減容装置は、減容手段の容器排出側に設けられ、前記減容手段により減容された容器を、当該減容手段の圧縮ローラから剥がす剥離部を有する。空容器としては、樹脂製容器、アルミ製容器、スチール製容器などを採用することができる。本実施形態の容器減容装置で扱われる空容器としては、ペットボトル等の樹脂製容器である。
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る容器減容装置、容器減容装置を備えた空容器回収装置、容器減容装置によるリサイクル用空容器の製造方法を、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。尚、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0013】
図1に示したように、本発明の実施形態に係る容器減容装置1を備えた空容器回収装置100は、本体部100b内に容器減容装置1を有し、容器減容装置1の下方に収容部1uが配置されている。容器減容装置1は、本体部100bの上部の投入口1kから投入された横姿勢の空容器を減容した後、減容された容器を収容部1uに排出する。収容部1uは容器減容装置1の本体部100b内に着脱自在に配置されている。また、容器減容装置1は本体部100bの前面側に半透明窓部1wまたは透明窓部が設けられていてもよく、収容部1uに収容されている容器の量を容易に確認可能に構成されている。収容部1uは、定期的又は必要に応じて本体部100bから取り出され、減容された空容器がリサイクル用空容器として回収される。
【0014】
また、空容器回収装置100はペットボトル(容器)のキャップを収容するキャップ収容部を備えていてもよく、本体部100bにキャップ投入口1cや半透明窓部などが設けられていてもよい。
また、空容器回収装置本体部100b内の容器減容装置1は着脱自在に設けられていてもよく、例えば、引き出し式構造などを採用することにより、容易に交換等のメンテナンスを行うことができる構造となっていてもよい。
【0015】
また、投入口1kには、必要に応じて開閉自在なスライドドア等の開閉扉1dが設けられていてもよい。また、空容器回収装置本体部100bには、タッチパネル表示装置などの操作表示部1tや、非接触型ICカード(RFID等)とデータ通信可能なリーダ/ライタ1rが設けられていてもよい。
また、
図1(b)に示したように、開閉扉1d(スライドドア等)や投入口等に、印刷やシール、成型などで、空容器(ペットボトル等)を投入するための容器の向きや位置を示す案内表示をしてもよい。また、空容器回収装置100は、投入口に投入された容器(ペットボトル等)の向きを検出するセンサやカメラ(撮像部)を備え、規定の向きと異なる場合には、その旨を表示部に表示する、発音部により音声案内する、等により報知してもよい。
【0016】
次に、
図2~
図8を参照しながら、容器減容装置1を説明する。
容器減容装置1は、減容手段200と、減容手段200の上方に設けられた送り機構5を有する。送り機構5は、投入口から投入された横姿勢の空容器を、減容手段200へ送る。
【0017】
詳細には、
図2、
図4に示したように、容器減容装置1は、略板形状の支持部材71、支持部材72により、減容手段200の一対の回転軸111、211、送り機構5の回転軸51を回転自在に軸支した構造を有する。
【0018】
回転軸111、211、51はそれぞれ所定の間隔をあけて互いに平行に配置されている。一対の回転軸111、211それぞれにおいて、軸方向の両側面に刃面11k(21k)を備えた圧縮ローラ11(21)と、当該圧縮ローラ11(21)よりも小さい径で当該圧縮ローラ11(21)の厚みよりも僅かに厚いスペーサsとが軸方向に沿って交互に並設されている。
一方の回転軸に設けられた圧縮ローラの外周部が、他方の回転軸に設けられた圧縮ローラの間に配置されており、当該他方の回転軸に設けられた当該圧縮ローラの間に設けられたスペーサsに対して所定の距離LPだけ離れた位置に配置されている。
【0019】
図2、
図3、
図4に示したように、回転軸211の一方の端部には歯車211mが設けられており、回転軸111の一方の端部に設けられた歯車111mと噛合するように構成されている。
また、
図3に示したように、回転軸111の端部には大径の歯車111nが設けられている。歯車111nは、モータ等の駆動部40の回転軸40pに設けられた歯車40nにチェーン等の動力伝達体41を介して動力を伝達可能に接続されている。
駆動時、駆動部40の回転軸40p、歯車40nが回転し、動力伝達体41により動力が回転軸111、回転軸211に伝達されることにより、回転軸111、回転軸211が互いに逆方向に回転する。
【0020】
本実施形態では、歯車211mは、歯車111mと比較して大径に形成されており、外歯の数が多い。歯車211mと歯車111mは噛合し、回転軸111、回転軸211が互いに反対方向に異なる速度で回転するように構成されている。具体的には、回転軸111が、回転軸211と比較して高速に回転する。また、一対の各回転軸111、211に設けられた圧縮ローラ11、21が、互いに逆方向に異なる速度で回転する。
詳細には、投入口から投入された減容対象の空容器Aを、回転軸111、211の間を通って、上方から下方へ移動させるように、回転軸111、211が所定の方向に回転するように構成されている。
【0021】
比較例として、一対の回転軸111、211が互いに逆方向に同じ速度で回転する場合では、対向する圧縮ローラ11、21の外周部の側面の同じ箇所が一サイクル毎に摺接する。
【0022】
本実施形態では、一対の回転軸111、211が互いに逆方向に異なる速度で回転するように構成されているので、圧縮ローラ11、21の外周部の側面の同じ箇所が一サイクル毎に摺接することなく、少しずつずれていくので、圧縮ローラの側面の刃面の劣化を低減することができる。
【0023】
また、回転軸111は、投入口側の回転軸211と比較して回転速度が速い。このため、投入された空容器が圧縮ローラ11、21に投入された場合であっても、装置の後方に移動しないように構成されている。
【0024】
図2、
図5に示したように、送り機構5は、回転軸51に、パドルとして複数の羽根部52(金属製または樹脂製等)を有する。回転軸51が回転することにより、羽根部52が回転軸51を回転中心として回転する。詳細には、羽根部52は、略矩形状の本体部52bの一方の端部が回転軸51に連結され、他方の先端部52aが、本体部52bに対して屈曲した形状に形成されている。詳細には、先端部52aは、回転軸51の回転方向と逆方向に屈曲した形状に形成されており、駆動時に規定以上の外力が加わった場合であっても羽根部52が撓むことにより、送り機構の破損を防止する構造となっている。
また、
図2に示したように、先端部52aには、複数の凸部52atが設けられている。その凸部52atは、回転軸111に所定間隔に設けられた圧縮ローラ11の間の位置(スペーサsの位置)に対応した位置を通過可能に形成されている。
【0025】
また、
図2に示したように、回転軸51の端部には大径の歯車51wが設けられている。歯車51wは、チェーン等の動力伝達体501により、回転軸111の端部に設けられた小径の歯車111wから回転力が伝達される。
【0026】
つまり、駆動時、駆動部40の回転軸40p、歯車40nが回転し、動力伝達体41により動力が回転軸111、回転軸211に伝達されることにより、回転軸111、回転軸211が互いに逆方向に回転し、回転軸111の回転力が動力伝達体501により歯車51wを介して回転軸51に伝達されることにより、回転軸51が、回転軸111と同方向に回転する。すなわち、駆動部40は、一対の回転軸111、211を互いに逆方向に異なる速度で回転駆動する。
【0027】
図5に示したように、減容手段200上方には、板形状の規制部材61、規制部材62が、空容器Aを減容手段200の中心へ導くように、互いに逆方向に傾斜して設けられており、空容器Aがそれ以外の箇所へ移動することを規制する。
【0028】
図5、
図8に示したように、一対の回転軸111、211それぞれにおいて、軸方向の両側面に刃面11k(21k)を備えた圧縮ローラ11(21)と、当該圧縮ローラ11(21)よりも小さい径で当該圧縮ローラ11(21)の厚みよりも僅かに厚いスペーサsとが軸方向に沿って交互に並設されている。
一方の回転軸に設けられた圧縮ローラの外周部が、他方の回転軸に設けられた圧縮ローラの間に配置されており、当該他方の回転軸に設けられた当該圧縮ローラの間に設けられたスペーサsに対して所定距離だけ離れた位置に配置されている。よって、圧縮ローラ11とローラ21が干渉することがなく、ローラの刃こぼれや破損による不具合等が起きないようになっている。
【0029】
圧縮ローラ11、21は、円形状の基部11b、21bから径方向外方へ突出した凸形状の押圧部11a、21aを、周方向に沿って所定間隔で複数備えている。
回転軸111に設けられた圧縮ローラ11の基部11bは、対向する回転軸211に設けられた圧縮ローラ21の基部21bと重ならないように構成されている。また、回転軸211に設けられた圧縮ローラ21の基部21bは、対向する回転軸111に設けられた圧縮ローラ11の基部11bと重ならないように構成されている。
【0030】
回転軸111に設けられた圧縮ローラ11の押圧部11a(11af)は、回転軸の軸方向に沿ってスペーサsを介して隣設される他の圧縮ローラの押圧部11a(11ab)を通る、回転軸に平行な直線からずれた位置に配置されている。
詳細には、
図5に示したように、回転軸111の軸方向から視認した場合、圧縮ローラ11の複数の押圧部11a(11af)は、スペーサsを介して軸方向に隣接する他の圧縮ローラの複数の押圧部11a(11ab)の間に配置されている。
回転軸211に設けられた圧縮ローラ21の押圧部21aについても同様である。
すなわち、簡単な構成で、空容器にきれいに凹凸部を形成することができ、且つ、空容器の一部分に所定間隔でスリット状に切断部を形成することができる。且つ、略平坦な減容物を形成することができる。つまり、空容器の胴部等の側面を押圧して扁平形状に押し潰すとともに、扁平形状の空容器の胴部等が重なった状態で、スリット状に形成された切断部分が噛合状態(係止状態)となり、減容後の容積が小さく略平坦形状の減容状態を維持し続けることができる。
【0031】
剥離部30(31、32)は、減容手段200の圧縮ローラ11、21により減容された容器を、減容手段200の圧縮ローラ11、21から剥がす。詳細には、
図5、
図6、
図7に示したように、剥離部30(31、32)は、先端部30aと、延出部30bと、連結部30cとを有する。
【0032】
先端部30aは、圧縮ローラ11(21)の間に設けられ、スペーサsの近傍位置に配置されている。延出部30bは、先端部30aから容器排出側へ延出した形状に形成されている。連結部30cは、複数の先端部30aから容器排出側へ延出した形状の延出部30bが、圧縮ローラ11、21よりも径方向外側の位置で連結している。また、本実施形態では、剥離部31、32は、先端部30a、延出部30b、連結部30cが一体的に形成された櫛形状部30wを有する。
【0033】
また、本実施形態では、一対の回転軸111、211それぞれに対応して、一対の剥離部30(31,32)が設けられている。一対の剥離部31、32の間隔は、容器排出方向側ほど広い間隔となっており、容器排出方向に対して斜めに設けられている。
【0034】
圧縮ローラ11(21)が回転時、減容手段200により減容された空容器RAの一部分または全部は、剥離部30の先端部30aにより、圧縮ローラ11(21)やスペーサsから剥離され、剥離部30の延出部30bにより容器排出側へ導出される。
複数の圧縮ローラ11(21)の間に剥離部30の先端部30aが設けられているので、簡単な構造で、減容された空容器を減容手段200の圧縮ローラ11(21)から剥離させることができる。
【0035】
また、櫛形状部30wの先端部30aには、傾斜面部30asが形成されている。つまり、先端部30aは断面鋭角形状に形成されており、減容された空容器を圧縮ローラやスペーサ等から容易に剥離させることができる。
【0036】
また、櫛形状部30wの凹部30dには、傾斜面30dsが形成されている。つまり、凹部30dは、断面鋭角形状に形成されており、圧縮ローラの外周部に絡みついている減容された空容器を容易に剥離させることができる。
この傾斜面30dsは、櫛形状部30wの先端部30aの傾斜面部30asと比較して、逆勾配に形成されている。すなわち、圧縮ローラ11(21)の間から、減容された容器を容易に剥離させることともに、圧縮ローラ11(21)の外周部に絡みつく、減容された容器を容易に剥離させることができる。
【0037】
図9に示したように、ペットボトル等の空容器Aは、首部Abに、ねじ山A1、ねじ山A2、ネックリングA4が形成されている。また、首部Abには、未開封リング係止用突起部A3がネックリングA4とねじ山A2の間に形成されていてもよい。本実施形態では、首部Abの長さLAb(首丈)は、開口部Ah側の先端部AcからネックリングA4までの長さである。また、首部Abの長さLAb(首丈)は、開口部Ah側の先端部Acから首部の付け根部A5までの長さであってもよい。
【0038】
ペットボトル等の樹脂製の空容器Aは、首部Abの厚みDAbと比較して、他の部分、具体的には、肩部Afや胴部Ag等の厚みDAgと比較して厚く形成されている。
リサイクル用の空容器としては、例えば、空容器Aの首部Abと、他の部分が切り離されて基準より小さい塊となった場合、リサイクル業者によりリサイクル対象外とみなされることがある。
【0039】
本発明の実施形態に係る容器減容装置は、比較的厚みがあり質量の重い首部Abが、肩部Afや胴部Agと切り離されない状態で、空容器がリサイクル対象となるように、上記基準より大きい状態で扁平形状に減容する。
【0040】
図8に示したように、容器減容装置は、略板状の支持部材の側面71aに、投入されたペットボトル等の横姿勢の空容器Aの開口部Ah側の先端部Acが当接するように、又は僅かに隙間をあけて配置されるように構成されている。
【0041】
支持部材71の側面71aから、回転軸211の側面側に配置された圧縮ローラ21までの距離LCは、空容器Aの首部Abの長さLAbよりも長くなるように構成されている。
また、本実施形態では、距離LCは、回転軸211の側面側に配置されたスペーサws(s)の軸方向の長さよりも長く設定されている。スペーサws(s)の軸方向の長さ(厚み)は、他のスペーサの軸方向の長さLsと比較して約2倍の長さに設定されている。
つまり、空容器Aの首部Abと、肩部Afや胴部Agと切り離されないように、回転軸211に設けられた支持部材71側の圧縮ローラが、支持部材71の側面71aから所定距離だけ離れた位置に配置されている。
すなわち、容器減容装置は、容器減容時に、空容器Aの首部Abが、肩部Afや胴部Agと切り離されない構造となっている。
【0042】
また、本実施形態では、圧縮ローラ11(21)の軸方向の厚みL1は、空容器Aの首部Abの長さLAbよりも短い。例えば、ペットボトル等の樹脂製の空容器Aが逆向きに配置された場合、詳細には、空容器Aの開口部Ahの形成された先端部Acが、略板形状の支持部材72側に位置するように配置された場合であっても、容器減容時に、空容器Aの首部Abが、肩部Afや胴部Agと切り離されない構造となっている。
【0043】
尚、圧縮ローラ11は圧縮ローラ21と同じ厚みL1である。スペーサsの軸方向の厚みLsは、圧縮ローラ11(21)の厚みL1と同じ又は僅かに厚く形成されている。
【0044】
また、回転軸111に設けられたスペーサsと、回転軸211に設けられたスペーサws(s)の間の距離LTは、空容器の首部Abの外径よりも長い。
首部Abの外径は、例えば、開口部Ah側の先端部Acの外径としてもよいし、ネックリングA4の外径LNとしてもよい。
【0045】
また、回転軸111に設けられたスペーサsと、そのスペーサsに対向する、回転軸211に設けられた圧縮ローラ21との間の距離LPは、空容器Aの胴部Agの最大外径LAgよりも小さく設定されている。本実施形態では、距離LPは、減容率の観点から、L胴部の最大外径LAgの50%以下、好ましくは30%以下、最適には20%以下である。すなわち、減容手段200は、空容器Aの胴部Agを、厚みが距離LP程度となるように扁平形状に減容する。すなわち、減容率が大きい。
減容率=[(減容前の空容器の体積-減容後の空容器の体積)/減容前の空容器の体積]×100である。
【0046】
また、本実施形態では、距離LPは、距離LTや空容器Aの首部Abの外径(又はネックリングA4の外径LN)よりも短く設定されており、減容率が大きい。
【0047】
図10は容器減容装置により減容された樹脂製空容器の写真の一例を示す図である。
本願発明者は、実際に、容器減容装置を作製して、空容器に減容処理を施した。
図10に示したように、空容器は、首部分と胴部が切り離されることなく、押し潰されて減容状態となっている。また、有底筒状の空容器が扁平形状となり、容器側面が重なった状態で、スリット状に形成された切断部分が噛合状態(係止状態)となり、減容後の容積が小さい減容状態を維持し続けている。また、
図10に示したように、減容状態の空容器は、非湾曲状態となっており、収容部1uにかさばることなく収容され、収容部1uに収納可能な量が多い。
【0048】
図11は切断部分と非切断部分とが形成された被減容体の写真の一例を示す図である。詳細には、
図11に示した被減容体は、容器減容装置により上記減容手段により処理が施された2枚重ねの樹脂製透明シートである。
図12は切断部分と非切断部分とが形成された被減容体の概念図である。
【0049】
図11、12に示したように、一対の回転軸それぞれに軸方向に沿ってスペーサを介して所定間隔で配置された圧縮ローラが、互いに逆方向に回転し、その間を2枚重ねの樹脂製透明シートを通過させることで、2枚重ねの透明シートが凹形状部d、及び凸形状部tが略交互の形状を有する波形に整形される。略交互に整形されることにより透明シートは略平面状態を保つことが可能となる。
【0050】
上述したように、圧縮ローラ11、21の凸形状の押圧部の側面に刃面(刃面でなく端部でもよい)11k、21kが形成されている。一対の回転軸111、211に設けられた、それぞれ対向する圧縮ローラ11、21の刃面11k、21kにより、被減容体(空容器)の一部分を所定間隔に切断することで、スリット状の複数の切断部ccを形成する。尚、刃面11k、21kは前述したように摺接していないため端部同士で反対側に押し切るようにスリットを形成してもよい。押し切るように形成することで減容物(被減容体)は噛合状態(係止状態)となり、減容物(被減容体)の対となる面同士が重なった状態を維持することができる。
また、
図5に示したように、回転軸111に設けられた圧縮ローラ11の基部11bは、対向する回転軸211に設けられた圧縮ローラ21の基部21bと重ならないように構成されている(軸方向から視認して重ならない)。すなわち、被減容体は切断されずに、非切断部acが形成される。
【0051】
図10に示した減容状態の空容器についても、
図11、
図12に示した減容状態と同様に説明することができる。
つまり、空容器の胴部等の側面が重なった状態で凹凸波形に圧潰され、容器側面が重なった状態で、スリット状に形成された切断部分が噛合状態(係止状態)となる。
【0052】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る容器減容装置1は、空容器Aを減容する減容手段200を有する。この減容手段200は、対向配置された圧縮ローラ間の軸方向の長さが、長尺の空容器の首部分の長手方向の長さと比べて略同等または長くなるように構成されている。詳細には、回転軸に設けられた複数の圧縮ローラ間の隙間の軸方向の長さが、長尺の空容器Aの首部分(首部Ab)の長手方向の長さよりも略同等または長くなるように構成されている。
すなわち、空容器の首部分と胴部が切り離されることなく、空容器の首部分も確実に回収することできる容器減容装置を提供することができる。詳細には、空容器としてのペットボトルの首部分(首部Ab)のAc~A4までが残り易いように、回転軸に設けられた複数の圧縮ローラ11の間隔が、長尺の空容器Aの首部Abの長手方向の長さよりもよりも略同等または長くなるように構成されている。また、回転軸に設けられた複数の圧縮ローラ21の間隔が、長尺の空容器Aの首部Abの長手方向の長さよりもよりも略同等または長くなるように構成されている。
すなわち、例えば、圧縮ローラ11,21,11の並びが狭い場合には、2箇所の11でAc~A4を減容することになってしまうのに比べ、最低でもローラ11,21の間でしか減容されない為、回収率が落ちることが少なくなる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る容器減容装置1の減容手段200は、一対の回転軸111、211それぞれにおいて、軸方向の両側面に刃面11k(21k)を備えた圧縮ローラ11(21)と、当該圧縮ローラ11(21)よりも小さい径で当該圧縮ローラ11(21)の厚みよりも僅かに厚いスペーサsとが軸方向に沿って交互に並設されている。一方の回転軸に設けられた圧縮ローラの外周部が、他方の回転軸に設けられた圧縮ローラの間に配置されており、当該他方の回転軸に設けられた当該圧縮ローラの間に設けられたスペーサに対して所定距離だけ離れた位置に配置されている。
剥離部30(31、32)は、圧縮ローラ11(21)の間に設けられ、スペーサsの近傍位置に配置された先端部30aと、先端部30aから容器排出側へ延出した形状の延出部30bと、を有する。
すなわち、圧縮ローラ11(21)が回転時、減容手段200により減容された空容器RAの一部分または全部は、剥離部30の先端部30aにより、圧縮ローラ11(21)やスペーサsから剥離され、剥離部30の延出部30bにより圧縮ローラ11(21)よりも容器排出側へ導出される。
複数の圧縮ローラ11(21)の間に剥離部30の先端部30aが設けられているので、簡単な構造で、減容された容器を減容手段200の圧縮ローラ11(21)から剥離させることができる。
【0054】
また、本発明の実施形態に係る容器減容装置1は、対向配置された一対の回転軸111、211それぞれに当該回転軸111、211に沿って所定間隔に複数配置された圧縮ローラ11、21を備える減容手段200と、減容手段200の容器排出側に設けられ、減容手段200の圧縮ローラ11、21により減容された容器を、減容手段200の圧縮ローラ11、21から剥がす剥離部30(31、32)と、を有する。
すなわち、減容手段200により減容された空容器RAの一部分又は全部がその減容手段200の圧縮ローラ11、21等に絡みつくことがなく、空容器を効率よく減容可能な容器減容装置を提供することができる。
【0055】
また、本発明の実施形態に係る容器減容装置1の剥離部30は、複数の先端部30aから容器排出側へ延出した形状の延出部30bが、圧縮ローラ11、21よりも径方向外側の位置で連結する連結部30cを有する。すなわち、剥離部30は、先端部30a、延出部30b、連結部30cを備えた櫛形状部30wを有する。
すなわち、剥離部30は櫛形状部30wを有するので、例えば、板状の部材で形成された複数の先端部30aを単純に並設した場合と比較して、大きい強度を有する。また、例えば、金属製の板材に切り欠き部を複数形成する加工を施すことにより、櫛形状部30wを有する剥離部30を容易に作製することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態に係る容器減容装置1によるリサイクル用空容器の製造方法は、減容手段200が、一対の回転軸それぞれに設けられた圧縮ローラの押圧部11a、21aにより、空容器を扁平形状に減容しつつ、押圧部11a、21aの側面の刃面11k、21kにより、空容器の側面が重なった状態でその一部分をスリット状に切断し、扁平形状に重なった状態で切断部分を噛合状態とする工程と、剥離部30(31、32)が、減容手段200により減容された容器を、当該減容手段200の圧縮ローラ11、21から剥がす工程と、を有する。
すなわち、簡単に、リサイクル用空容器を製造することができる。詳細には、空容器の胴部等の側面を押圧して扁平形状に押し潰すとともに、扁平形状に容器側面が重なった状態で、スリット状に形成された切断部分が噛合状態(係止状態)となり、減容後の容積が小さい減容状態を維持し続けることができる。
つまり、減容された容器が減容状態を長期間維持する容器減容装置を提供することができる。また、減容された容器が減容状態を長期間維持することができる、リサイクル用空容器の製造方法を提供することができる。
【0057】
また、容器内に液体が残留している場合であっても、減容手段200により、空容器に切断部分が形成されるので、内部の液体が容器外部に排出される。
また、空容器回収装置は、減容された容器の外部に液体が漏れた場合や容器減容装置本体部の投入口に誤って液体を入れられた場合に、その液体を検知する検知部を備え、検知部が反応すると、その液体を減容収納部(収容部1u)とは異なる液体収納部等に収容する構造を有していてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0059】
また、空容器回収装置は、装置外部のコンピュータと通信可能な通信部や、各駆動部にセンサを有しており、各駆動部のセンサが異常を検出した場合には、コールセンター等のコンピュータに異常を知らせるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…容器減容装置
1k…投入口
1u…収容部
5…送り機構
11…圧縮ローラ
11a…押圧部
11k…刃面
21…圧縮ローラ
21a…押圧部
21k…刃面
30…剥離部
30a…先端部
30b…延出部
30c…連結部
31…剥離部
32…剥離部
40…駆動部(駆動モータ)
51…回転軸
71、72…支持部材
71a…側面
100…空容器回収装置
100b…本体部
111…回転軸
200…減容手段
211…回転軸
A…空容器
Ab…首部(首部分)
s、ws…スペーサ