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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】足場固定具及び足場組立方法
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20241216BHJP
E04G 3/18 20060101ALI20241216BHJP
【ＦＩ】
E04G5/04 J
E04G5/04 C
E04G5/04 Z
E04G3/18 C
【請求項の数】
6
(21)【出願番号】P 2023153897
(22)【出願日】2023-09-20
【審査請求日】2024-05-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523359652
【氏名又は名称】株式会社ネクスリード
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西原 宏
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１１－１４４４９５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０８－０４９４０６（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０９－３１０４８３（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０４Ｇ ５／０４
Ｅ０４Ｇ ３／１８
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外壁に足場を固定させるための足場固定具であって、上側フレームと、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームと、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、上側フレームを通すための貫通孔を有し、着脱可能に設けられた、外形が直方体状のスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部を有する、
足場固定具。
【請求項2】
建築物のベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の上端に固定するためのものである請求項１に記載の足場固定具。
【請求項3】
該足場取付金具は、垂直方向に伸びる足場用の管を固定するものである請求項１又は２に記載の足場固定具。
【請求項4】
該上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームが設けられた請求項１又は２に記載の足場固定具。
【請求項5】
建築物のベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の上端に、壁の長さ方向に垂直に上側フレームを設置し、該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームを設け、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、上側フレームを通すための貫通孔を有し、着脱可能に設けられた、外形が直方体状のスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部により、該ベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の内側の壁面に対して、足場固定具を固定させる、
足場組立方法。
【請求項6】
該上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームを設ける請求項５に記載の足場組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は足場を固定するための足場固定具及び足場組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場や建築物補修現場において組立てられる鋼管足場にて使用される、管、建枠、交差筋かい、床付き布枠等は、ＪＩＳ規格によりその寸法が決められている。しかしながら、建築物の例えばベランダ等の床面は曲線により構成されることがあったり、直線により構成されていても、その寸法は任意に決定されていたりして、必ずしも規格化されていない。同様に外階段についてもいえる。
そもそも建築物の壁面の形状も、デザイン性等を考慮して任意の形状とすることがある。
このような各形状の建築物の外壁面やベランダ等に沿って、ＪＩＳ規格に沿った材料を使用して足場を組むため、例えば足場と建築物壁面との間隔、足場とベランダ外面との間隔が開きすぎたり、狭すぎたりすることがあり作業性に劣ることがある。さらに、建築物壁面に沿って足場を組むときに、建築物の角部における足場用部材の長さの過不足が生じる場合がある。
また、１階に入口や商店があったり、建築物に隣接して造作物等があったりする場合には、地面から垂直に上方に向けて足場を組むことが困難な場合が多い。
そのため、商店入口等を開口部にした特殊な足場部材を採用することが行われている。また、ベランダ壁面にフレームを取り付けて、ベランダ外壁面からクランプ等によりフレームにより足場を固定することは、特許文献１及び２に記載のように公知である。
そもそも建築物の壁面の形状も、デザイン性等を考慮して任意の形状とすることがある。
このような各形状の建築物の外壁面やベランダ等に沿って、ＪＩＳ規格に沿った材料を使用して足場を組むため、例えば足場と建築物壁面との間隔、足場とベランダ外面との間隔が開きすぎたり、狭すぎたりすることがあり作業性に劣ることがある。さらに、建築物壁面に沿って足場を組むときに、建築物の角部における足場用部材の長さの過不足が生じる場合がある。
また、１階に入口や商店があったり、建築物に隣接して造作物等があったりする場合には、地面から垂直に上方に向けて足場を組むことが困難な場合が多い。
そのため、商店入口等を開口部にした特殊な足場部材を採用することが行われている。また、ベランダ壁面にフレームを取り付けて、ベランダ外壁面からクランプ等によりフレームにより足場を固定することは、特許文献１及び２に記載のように公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０１２－４１７２２号公報
【文献】特開平１１－１８２０２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築物の外壁がほぼ平面のような形状であれば、その外壁に沿って足場を設置すると、足場と建築物との間隔を好ましい範囲にできることが多い。
しかし、建築物の外壁面の形状や寸法が、既存の足場構築用各部材に円滑に対応できない場合では、外壁面と足場との間隔が広がりすぎると、作業者や工具等が落下する危険があり、狭すぎると、作業者が安全な状態で作業できないことや、窮屈な体勢での作業を強いられる場合があった。特に習熟していない作業者にとって危険性があった。
またベランダ等に足場を固定する際に使用する足場固定具では、ベランダの外壁面側からフレームを固定することが多い。このときも壁面作業者が狭い足場に立って作業をすると、十分に力を入れて固定することが困難であったり、場合により経時後にボルトが緩む可能性があるなどの危険性があったりして、安全性を向上させる必要がある。しかも、ベランダ等の外壁面側からフレームを固定することは、その作業時にはベランダ等の外壁面側に既に足場ができていることを意味する（仮に足場ができていなければ、通常は外壁面側に立ってフレームを固定する作業ができない。）。
またベランダ等に足場を固定した状態の公知の足場固定具は、ベランダ等の外壁面に間接的にも接したフレーム部分と、足場を固定するためのフレーム部分が結合する場所がおおよその支点になる。そして、足場を固定して足場の荷重を直接受けるフレームの先端がおおよその力点であり、ベランダ等内壁に力を加えて固定するためのフレーム部分がおおよその作用点となる。このため、建築物壁面等から足場までの距離が長く、足場を固定するためのフレーム部分を伸ばして固定する程、力点に掛かるモーメントが増大する。この結果、作用点においてフレームを確実に固定するために必要な力が増加したり、モーメントを減少させるために、建築物のより多くの階に足場固定用のフレームを設置したりして、それぞれのフレームに掛かるモーメントを減少させることを必要とする。
しかし、建築物の外壁面の形状や寸法が、既存の足場構築用各部材に円滑に対応できない場合では、外壁面と足場との間隔が広がりすぎると、作業者や工具等が落下する危険があり、狭すぎると、作業者が安全な状態で作業できないことや、窮屈な体勢での作業を強いられる場合があった。特に習熟していない作業者にとって危険性があった。
またベランダ等に足場を固定する際に使用する足場固定具では、ベランダの外壁面側からフレームを固定することが多い。このときも壁面作業者が狭い足場に立って作業をすると、十分に力を入れて固定することが困難であったり、場合により経時後にボルトが緩む可能性があるなどの危険性があったりして、安全性を向上させる必要がある。しかも、ベランダ等の外壁面側からフレームを固定することは、その作業時にはベランダ等の外壁面側に既に足場ができていることを意味する（仮に足場ができていなければ、通常は外壁面側に立ってフレームを固定する作業ができない。）。
またベランダ等に足場を固定した状態の公知の足場固定具は、ベランダ等の外壁面に間接的にも接したフレーム部分と、足場を固定するためのフレーム部分が結合する場所がおおよその支点になる。そして、足場を固定して足場の荷重を直接受けるフレームの先端がおおよその力点であり、ベランダ等内壁に力を加えて固定するためのフレーム部分がおおよその作用点となる。このため、建築物壁面等から足場までの距離が長く、足場を固定するためのフレーム部分を伸ばして固定する程、力点に掛かるモーメントが増大する。この結果、作用点においてフレームを確実に固定するために必要な力が増加したり、モーメントを減少させるために、建築物のより多くの階に足場固定用のフレームを設置したりして、それぞれのフレームに掛かるモーメントを減少させることを必要とする。
【0005】
図１（ａ）は、建築物外壁に沿って組んだ足場を上から見た図である。ＪＩＳ規格により各サイズが規格化された足場用部材を使用すると、建築物の外面の長さや表面の形状によっては、その足場用部材に過不足が発生する。その結果として、足場間に空間Ｓが発生してしまう。
このような空間Ｓが生じることは、作業員や工具等の落下等の危険性を有するため、この空間Ｓを埋めるように、空間Ｓの大きさに合わせた床材や横架材等を特別に製造して足場の管材に固定させることになる。このために新たな作業が発生するので、作業性に劣ることになる。
または、空間Ｓを発生させないために、建築物の外壁に対して、離れすぎた位置に足場を設けると、足場と外壁の間に大きな空間が生じて、作業員や工具等の落下の危険があったり、壁面に対する作業時の姿勢等に無理が生じて、作業性に劣ったりすることが懸念される。逆に建築物の外壁に対して、近すぎる位置に足場を設けると、建築物の壁面に対して作業する際の作業員の姿勢が窮屈になる等による作業性の低下が懸念される。
これらの作業性等の問題は、特に経験が浅い作業員にとって危険性が高まる等として重大である。
このような空間Ｓが生じることは、作業員や工具等の落下等の危険性を有するため、この空間Ｓを埋めるように、空間Ｓの大きさに合わせた床材や横架材等を特別に製造して足場の管材に固定させることになる。このために新たな作業が発生するので、作業性に劣ることになる。
または、空間Ｓを発生させないために、建築物の外壁に対して、離れすぎた位置に足場を設けると、足場と外壁の間に大きな空間が生じて、作業員や工具等の落下の危険があったり、壁面に対する作業時の姿勢等に無理が生じて、作業性に劣ったりすることが懸念される。逆に建築物の外壁に対して、近すぎる位置に足場を設けると、建築物の壁面に対して作業する際の作業員の姿勢が窮屈になる等による作業性の低下が懸念される。
これらの作業性等の問題は、特に経験が浅い作業員にとって危険性が高まる等として重大である。
【0006】
これらの、図１（ａ）に示す足場の欠点を解消するため、図１（ｂ）は、床材や横架材等を特別に製造せず、各サイズが規格化された足場用部材のみを使用しても、建築物の外壁に沿って、空間Ｓを発生させることなく足場を組めるようにした図である。
このために、足場固定具の例えば外側フレーム３から、足場までの距離を調整できるように、上側フレームの長さのみを調整したものである。図１（ｂ）における、上下方向に伸びた上側フレーム２において、外側フレーム３から足場までの長さは、同じく左右方向に伸びた上側フレーム２において、外側フレーム３から足場までの長さよりも長くなるようにする。このとき、上下方向に伸びた上側フレーム２における外側フレーム３に掛かる力（足場を支える力）は、左右方向に伸びた上側フレーム２における外側フレーム３に掛かる力よりも強くなる。その結果として、より確実に足場を支えることが困難になり、ひいては、足場が、強風や地震等による外力を受けて、損傷したり、崩壊したりする危険性が高くなる。そして、建築物のより多くの階に対して足場用部材による足場の固定を必要とし、工事全体の効率が低下して工期が長期化することになる。
このために、足場固定具の例えば外側フレーム３から、足場までの距離を調整できるように、上側フレームの長さのみを調整したものである。図１（ｂ）における、上下方向に伸びた上側フレーム２において、外側フレーム３から足場までの長さは、同じく左右方向に伸びた上側フレーム２において、外側フレーム３から足場までの長さよりも長くなるようにする。このとき、上下方向に伸びた上側フレーム２における外側フレーム３に掛かる力（足場を支える力）は、左右方向に伸びた上側フレーム２における外側フレーム３に掛かる力よりも強くなる。その結果として、より確実に足場を支えることが困難になり、ひいては、足場が、強風や地震等による外力を受けて、損傷したり、崩壊したりする危険性が高くなる。そして、建築物のより多くの階に対して足場用部材による足場の固定を必要とし、工事全体の効率が低下して工期が長期化することになる。
【0007】
図１（ｃ）は上記図１（ａ）及び図１（ｂ）の全ての欠点を解消するものであり、本発明の足場用部材を使用して実施できる足場を示す図である。
図１（ｃ）は以後説明するように、ベランダ等の外壁面と外側フレーム３との間にスペーサー８を設けることにより、ベランダ外壁面と足場との距離を任意に調整して、上記のような空間Ｓを生じないようにできる。それに加えて、ベランダ外壁面と足場との距離に関係なく、外側フレーム３と足場までの距離を短くできるので、足場固定時に上側フレームに掛かる力を低下でき、さらに、ベランダの壁に対して、足場用部材を確実に固定等できる。
図１（ｃ）は以後説明するように、ベランダ等の外壁面と外側フレーム３との間にスペーサー８を設けることにより、ベランダ外壁面と足場との距離を任意に調整して、上記のような空間Ｓを生じないようにできる。それに加えて、ベランダ外壁面と足場との距離に関係なく、外側フレーム３と足場までの距離を短くできるので、足場固定時に上側フレームに掛かる力を低下でき、さらに、ベランダの壁に対して、足場用部材を確実に固定等できる。
【0008】
つまり、足場を壁つなぎ用金具（ＪＩＳ規格上最大使用長１２００ｍｍ以下）により建築物壁面に固定する際に、安全に無理無く固定できるような、足場と壁の間隔にすることが求められる。
つまり、足場固定具により、建築物に足場を固定させる際には、足場固定具を建築物に確実に固定させることが困難であったり、足場を固定するために必要以上の力を要したり、固定するにあたっての作業性に劣ることが多かった。本発明の解決すべき課題は、足場固定具を建築物に確実に固定し、足場固定具に必要以上に大きい力が掛かることがなく、足場の固定や足場上での作業を容易にしたり、安全性を向上させたりすることである。
つまり、足場固定具により、建築物に足場を固定させる際には、足場固定具を建築物に確実に固定させることが困難であったり、足場を固定するために必要以上の力を要したり、固定するにあたっての作業性に劣ることが多かった。本発明の解決すべき課題は、足場固定具を建築物に確実に固定し、足場固定具に必要以上に大きい力が掛かることがなく、足場の固定や足場上での作業を容易にしたり、安全性を向上させたりすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段で解決することができることを見出し、本発明をなすに至った。
１．建築物の外壁に足場を固定させるための足場固定具であって、
上側フレームと、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームと、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、着脱可能に設けられたスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部を有する、
足場固定具。
２．建築物のベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の上端に固定するためのものである１に記載の足場固定具。
３．該足場取付金具は、垂直方向に伸びる足場用の管を固定するものである１又は２に記載の足場固定具。
４．該上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームが設けられた１～３のいずれかに記載の足場固定具。
５．建築物のベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の上端に、壁の長さ方向に垂直に上側フレームを設置し、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームを設け、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、着脱可能に設けられたスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部により、該ベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の内側の壁面に対して、足場固定具を固定させる、
足場組立方法。
６．該上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームを設ける５に記載の足場組立方法。
１．建築物の外壁に足場を固定させるための足場固定具であって、
上側フレームと、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームと、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、着脱可能に設けられたスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部を有する、
足場固定具。
２．建築物のベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の上端に固定するためのものである１に記載の足場固定具。
３．該足場取付金具は、垂直方向に伸びる足場用の管を固定するものである１又は２に記載の足場固定具。
４．該上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームが設けられた１～３のいずれかに記載の足場固定具。
５．建築物のベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の上端に、壁の長さ方向に垂直に上側フレームを設置し、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームを設け、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、着脱可能に設けられたスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部により、該ベランダ及び／又は外階段を構成する、上端を有する壁の内側の壁面に対して、足場固定具を固定させる、
足場組立方法。
６．該上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームを設ける５に記載の足場組立方法。
【発明の効果】
【0010】
建築物の外壁に沿って足場を組む際に、上記のように空間Ｓを発生させないため、ベランダや外階段等の外壁から足場を固定すべき位置までの距離が大きくなるときがある。この場合には、足場固定具の単にフレームを外側に伸ばして足場を固定することがある。そのとき、ベランダや外階段等の外壁と足場の固定箇所との間の距離が大きいほど、特にベランダ外壁部分のフレームには、極めて強い力（モーメント）が掛かる。強い力が掛かることは、それだけ多くの階に足場固定具を使用したり、足場固定具が大きくなったり、その構造が複雑になったり、足場固定具の設置の管理が困難になったりすることである。
【0011】
しかしながら、本発明によれば、ベランダや外階段等の外壁から足場を固定すべき位置までの距離が大きくても、スペーサーを使用することにより、足場固定具と足場との距離は小さいので、足場固定具の一端に掛かる力の程度はより小さくなる。また、足場を設ける場所によっては、建築物の外壁と足場の距離が大きく異なる場合であっても、本発明の足場固定具によれば、その場所による距離の違いをなるべく平準化することができる。
本発明の足場固定具によれば、どの建築物の外壁面に対しても、その建物に設置した足場全体では、適切な間隔を設けて足場を設置できる。また、ベランダや外階段等に足場を固定するためのフレームを設置する際には、より確実に固定を行うことができ、安全性を向上させることができる。同時に、建築物の各階に対して必ずしも足場固定具を設置する必要はなく、低層階の一部の階に対して、本発明の足場固定具を使用して足場を設けることにより、より上層階に向けて設置した足場を含めて、支持・固定できる。加えて、地震や強風等により足場に外力が掛かる場合においても、足場の損傷や崩壊等を防止できる。さらに、熟練していない作業者が、安全を確保しつつ確実に作業をすることができるという効果を奏する。
本発明の足場固定具によれば、どの建築物の外壁面に対しても、その建物に設置した足場全体では、適切な間隔を設けて足場を設置できる。また、ベランダや外階段等に足場を固定するためのフレームを設置する際には、より確実に固定を行うことができ、安全性を向上させることができる。同時に、建築物の各階に対して必ずしも足場固定具を設置する必要はなく、低層階の一部の階に対して、本発明の足場固定具を使用して足場を設けることにより、より上層階に向けて設置した足場を含めて、支持・固定できる。加えて、地震や強風等により足場に外力が掛かる場合においても、足場の損傷や崩壊等を防止できる。さらに、熟練していない作業者が、安全を確保しつつ確実に作業をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1(a)】建築物外壁に沿って組んだ足場を上からみたときの図
【図1(b)】建築物外壁に沿って組んだ足場を上からみたときの図
【図1(c)】建築物外壁に沿って組んだ足場を上からみたときの図
【図2】足場固定具を設置した足場を示す図
【図3】足場固定具を示す図
【図4】ベランダ等に足場固定具により足場を設置した図
【図5】本発明の足場固定具を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の足場固定具について、図を参照して、下記にその実施態様を示して説明する。本発明の足場固定具は、専ら建造物の外周に設置する足場を建築物に取り付けるために用いられる。なお本発明はこの実施態様に限定されない。
また、本発明を使用する足場は、ＪＩＳ Ａ ８９５１－１９９５（鋼管足場）にて規格された単管足場及び枠組足場であり、これらの足場にて使用される規格化された鋼管、緊結金具、建枠及び各種部材（建地、布、腕木、けた行筋かい、水平筋かい、壁つなぎ用金具、附属金具、敷板、前踏み、後踏み）等からなる。
また、本発明を使用する足場は、ＪＩＳ Ａ ８９５１－１９９５（鋼管足場）にて規格された単管足場及び枠組足場であり、これらの足場にて使用される規格化された鋼管、緊結金具、建枠及び各種部材（建地、布、腕木、けた行筋かい、水平筋かい、壁つなぎ用金具、附属金具、敷板、前踏み、後踏み）等からなる。
【0014】
実施形態
（全体構造）
建築物に本実施形態の足場固定具を設置した場合、横から見て図２に示す全体構造を有する。
建築物の各階にあるベランダや外階段等（以下まとめて「ベランダ等」という）の壁に、本発明の足場固定具を設置する。この足場固定具に対して、緊結金具等により足場用単管等が固定される。そして必要な部材（単管ジョイント、持送り枠、壁つなぎ用金具、床つき布枠等）によって足場が構成される。
図２では足場を組んだ階は２階以上である。足場を組んだ階の下に例えば建築物入口の庇や階があるときのように、本発明の足場固定具を途中の階のベランダ等に設けて、その階から上方に足場を組むことができる。図示をしていないが、より上の階に対しては、本発明の足場固定具による固定を必要としない。
なお、本発明の足場固定具を使用して足場を組むときに、１階から組んでも良い。
（全体構造）
建築物に本実施形態の足場固定具を設置した場合、横から見て図２に示す全体構造を有する。
建築物の各階にあるベランダや外階段等（以下まとめて「ベランダ等」という）の壁に、本発明の足場固定具を設置する。この足場固定具に対して、緊結金具等により足場用単管等が固定される。そして必要な部材（単管ジョイント、持送り枠、壁つなぎ用金具、床つき布枠等）によって足場が構成される。
図２では足場を組んだ階は２階以上である。足場を組んだ階の下に例えば建築物入口の庇や階があるときのように、本発明の足場固定具を途中の階のベランダ等に設けて、その階から上方に足場を組むことができる。図示をしていないが、より上の階に対しては、本発明の足場固定具による固定を必要としない。
なお、本発明の足場固定具を使用して足場を組むときに、１階から組んでも良い。
【0015】
図３には、本発明の足場固定具の構造の一例を示す。
図３の（ａ）において、本発明の足場固定具１を構成する上側フレーム２の一端は、外側フレーム３に接合される。外側フレーム３は図３（ｂ）でありそのほぼ中央部に縦長の２つの孔が形成されている。それぞれの孔に上側フレーム２を構成する２本の棒状物が結合された状態を上からみた図が図３（ｃ）である。図３（ｃ）は上側フレームが２本の棒状物からなっていることを示す。図３（ｂ）における外側フレーム３に設けた２つの孔に、２本からなる上側フレームのそれぞれが挿入され、図示されない任意の手段により固定される。
ベランダ等の外壁に本発明の足場固定具を設置する際には、例えばベランダ等の外壁の上端に、壁の長さ方向に垂直に、更に水平になるように上側フレームを設置する。
但し、外側フレーム３に上記のように縦長の２つの孔を設ける必要は必ずしもなく、上側フレームと互いに固定される構造であれば良い。また上側フレーム２は１本からなっていても良い。
外側フレームからみた上側フレームの他端部方向の任意の位置、例えば、上側フレーム２の中央部分には固定部５を設けるが、固定部５の位置は図３（ａ）の左右方向に移動して設けられても良い。固定部５に設けられており、図において左右に移動可能なボルト６により、足場固定具１をベランダ等に固定する。その際には、圧着部７は右方向に移動されて、図示をしていないが、ベランダ等の内側の壁面に圧着される。この状態により足場固定具１はベランダ等に固定される。圧着部はベランダ壁の内側表面に密着されて固定できるような樹脂等の材料からなってもよい。なお、圧着部７とベランダ等の内側の壁面との間に、スペーサーや、板状物を介することにより、圧着部７をより確実にベランダ等の内側の壁面に押し付けて、足場固定部をベランダ等により確実に固定しても良い。
図３（ａ）における固定部５のみを、図３（ａ）の左方向からみた図が図３（ｄ）である。固定部５は１枚の板からなるが、この形態にとらわれず、複数の板や板状以外の形状からなっても良い。また、２本からなる上側フレームの間に挿入された状態で固定されても良く、上側フレームの外側に固定してもよい。
図３の（ａ）において、本発明の足場固定具１を構成する上側フレーム２の一端は、外側フレーム３に接合される。外側フレーム３は図３（ｂ）でありそのほぼ中央部に縦長の２つの孔が形成されている。それぞれの孔に上側フレーム２を構成する２本の棒状物が結合された状態を上からみた図が図３（ｃ）である。図３（ｃ）は上側フレームが２本の棒状物からなっていることを示す。図３（ｂ）における外側フレーム３に設けた２つの孔に、２本からなる上側フレームのそれぞれが挿入され、図示されない任意の手段により固定される。
ベランダ等の外壁に本発明の足場固定具を設置する際には、例えばベランダ等の外壁の上端に、壁の長さ方向に垂直に、更に水平になるように上側フレームを設置する。
但し、外側フレーム３に上記のように縦長の２つの孔を設ける必要は必ずしもなく、上側フレームと互いに固定される構造であれば良い。また上側フレーム２は１本からなっていても良い。
外側フレームからみた上側フレームの他端部方向の任意の位置、例えば、上側フレーム２の中央部分には固定部５を設けるが、固定部５の位置は図３（ａ）の左右方向に移動して設けられても良い。固定部５に設けられており、図において左右に移動可能なボルト６により、足場固定具１をベランダ等に固定する。その際には、圧着部７は右方向に移動されて、図示をしていないが、ベランダ等の内側の壁面に圧着される。この状態により足場固定具１はベランダ等に固定される。圧着部はベランダ壁の内側表面に密着されて固定できるような樹脂等の材料からなってもよい。なお、圧着部７とベランダ等の内側の壁面との間に、スペーサーや、板状物を介することにより、圧着部７をより確実にベランダ等の内側の壁面に押し付けて、足場固定部をベランダ等により確実に固定しても良い。
図３（ａ）における固定部５のみを、図３（ａ）の左方向からみた図が図３（ｄ）である。固定部５は１枚の板からなるが、この形態にとらわれず、複数の板や板状以外の形状からなっても良い。また、２本からなる上側フレームの間に挿入された状態で固定されても良く、上側フレームの外側に固定してもよい。
【0016】
（足場固定具のフレーム）
ベランダ等の壁に足場固定具を設置した、図３と同様の図４に示すように、本発明の足場固定具１を構成する上側フレーム２及び外側フレーム３は、いずれも断面が三角形や四角形等の多角形の金属のパイプ又は棒であり、建築物に足場を固定するために必要な強度を有する。例えば、上側フレーム２及び外側フレーム３は、いずれも断面の外形が例えば長方形や５０ｍｍ角等の正方形で良い。
そして、本発明における上側フレーム２及び外側フレーム３は、それぞれが独立して、伸縮しない１本以上のフレームからなることが好ましい。図４において上側フレーム２は、２本のフレームを間隔を空けて重ねて使用した例を示す。同じく外側フレーム３は、１本の断面正方形のフレームを使用した例を示す。
ベランダ等の壁に足場固定具を設置した、図３と同様の図４に示すように、本発明の足場固定具１を構成する上側フレーム２及び外側フレーム３は、いずれも断面が三角形や四角形等の多角形の金属のパイプ又は棒であり、建築物に足場を固定するために必要な強度を有する。例えば、上側フレーム２及び外側フレーム３は、いずれも断面の外形が例えば長方形や５０ｍｍ角等の正方形で良い。
そして、本発明における上側フレーム２及び外側フレーム３は、それぞれが独立して、伸縮しない１本以上のフレームからなることが好ましい。図４において上側フレーム２は、２本のフレームを間隔を空けて重ねて使用した例を示す。同じく外側フレーム３は、１本の断面正方形のフレームを使用した例を示す。
【0017】
上側フレーム２の一端部に、溶接、ボルト等によって、外側フレーム３の端部又は中間部が接合される。このとき、上側フレーム２と外側フレーム３が直角に接合される。
外側フレーム３を固定した該上側フレーム２の一端部から、他端部に向けて離れた位置に、上側フレーム２からみて外側フレーム３と同方向に延びる固定部５を設ける。
外側フレーム３を固定した該上側フレーム２の一端部から、他端部に向けて離れた位置に、上側フレーム２からみて外側フレーム３と同方向に延びる固定部５を設ける。
【0018】
（固定部）
図４における固定部５は、上記のように、間隔を設けた２本のフレームで構成され
る上側フレームの間隔内にプレート状の固定部５を挿入され、２本のフレームで固定
部５を挟み、ボルト等により上側プレート内に固定されてなることができる。
固定部５を、また上側フレーム２の長さ方向の任意の位置であって、変更可能な位
置に固定できるようにしても良い。このとき、上側フレーム２の複数箇所にボルト貫
通用の孔を空けておく等し、これらの孔においてボルトで固定することができる。こ
の場合、上側フレーム２の複数箇所のボルト貫通用の孔のうち、どの孔で固定するか
によって、上側フレーム２上の固定部５による固定位置を調整できる。固定位置は、
ベランダ等の壁の厚さや必要とするスペーサー８による厚さ等により調整できる。
固定部５は、本発明の足場固定具１をベランダ等の壁に設けたときに、そのベラン
ダ等の壁の内側（住居側）に位置して、ベランダ等の壁の内側の面を使って足場固定
具１を固定させるためのものである。
そして、上側フレーム２の一端に接続した外側フレームに対して、上側フレームの
他端側に固定部５を設ける。本発明の足場固定具１をベランダ等に固定したときに
は、上側フレームの一端側より順に、外側フレーム３、スペーサー８、ベランダ等の
壁及び固定部５が位置することになる。
図４における固定部５は、上記のように、間隔を設けた２本のフレームで構成され
る上側フレームの間隔内にプレート状の固定部５を挿入され、２本のフレームで固定
部５を挟み、ボルト等により上側プレート内に固定されてなることができる。
固定部５を、また上側フレーム２の長さ方向の任意の位置であって、変更可能な位
置に固定できるようにしても良い。このとき、上側フレーム２の複数箇所にボルト貫
通用の孔を空けておく等し、これらの孔においてボルトで固定することができる。こ
の場合、上側フレーム２の複数箇所のボルト貫通用の孔のうち、どの孔で固定するか
によって、上側フレーム２上の固定部５による固定位置を調整できる。固定位置は、
ベランダ等の壁の厚さや必要とするスペーサー８による厚さ等により調整できる。
固定部５は、本発明の足場固定具１をベランダ等の壁に設けたときに、そのベラン
ダ等の壁の内側（住居側）に位置して、ベランダ等の壁の内側の面を使って足場固定
具１を固定させるためのものである。
そして、上側フレーム２の一端に接続した外側フレームに対して、上側フレームの
他端側に固定部５を設ける。本発明の足場固定具１をベランダ等に固定したときに
は、上側フレームの一端側より順に、外側フレーム３、スペーサー８、ベランダ等の
壁及び固定部５が位置することになる。
【0019】
（圧着部７）
この固定部５には、ボルト６やクランプと、ボルト６やクランプの先端に設けた圧着部７が設けられている。圧着部７は、ベランダ等の室内に向いた壁面に対して押圧を加えて、足場固定具を固定させるためのものである。
図４ではベランダ等の床に向けて下方に延びるように設けた内側フレーム４を介して、２点破線で示されるベランダ壁面の内側の面に向けて、ボルト６によって圧着部７を押し付けて、足場固定具１をベランダ等に固定する。この際上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームを設けても良い。
ここで、内側フレーム４を使用してもよく、使用しなくてもよいが、内側フレーム４は、上記の圧着部７によるベランダ壁面の内側の面に向けた強い押圧をベランダ壁面の内側の面に伝えるためのものであり、圧着部７よりも広い面積によって固定部５により足場固定具を固定させることができる。
例えば、ベランダ壁面の内側が平面ではなく、凹凸等を有する面であるときに、内側フレームを使用することが好ましい。
ここで、内側フレーム４は金属のみからなるものでも良い。また、内側フレーム４のベランダ壁面の内側の面に接する面が樹脂やゴムのシート等の柔軟性を有する材料からなるものでもよい。これらの材料もベランダ壁面の内側の形状や構造により選択できる。
この固定部５には、ボルト６やクランプと、ボルト６やクランプの先端に設けた圧着部７が設けられている。圧着部７は、ベランダ等の室内に向いた壁面に対して押圧を加えて、足場固定具を固定させるためのものである。
図４ではベランダ等の床に向けて下方に延びるように設けた内側フレーム４を介して、２点破線で示されるベランダ壁面の内側の面に向けて、ボルト６によって圧着部７を押し付けて、足場固定具１をベランダ等に固定する。この際上側フレームの他端方向に、外側フレームの長さ方向に対して並行に内側フレームを設けても良い。
ここで、内側フレーム４を使用してもよく、使用しなくてもよいが、内側フレーム４は、上記の圧着部７によるベランダ壁面の内側の面に向けた強い押圧をベランダ壁面の内側の面に伝えるためのものであり、圧着部７よりも広い面積によって固定部５により足場固定具を固定させることができる。
例えば、ベランダ壁面の内側が平面ではなく、凹凸等を有する面であるときに、内側フレームを使用することが好ましい。
ここで、内側フレーム４は金属のみからなるものでも良い。また、内側フレーム４のベランダ壁面の内側の面に接する面が樹脂やゴムのシート等の柔軟性を有する材料からなるものでもよい。これらの材料もベランダ壁面の内側の形状や構造により選択できる。
【0020】
本発明は、ベランダ等の壁面の内側の面を押圧するために固定部５を設けるが、外側フレームにはこのような固定部を設けない。
このため、固定部５をベランダ等の壁面の内側の面を押圧することの意義は以下のとおりである。
ベランダ等に本発明の足場固定具１を固定するため、作業者がベランダ等の内側、つまり、比較的足元がしっかりし、かつ十分広い場所にて、十分に力を加えてクランプ等の固定具を操作して足場固定具をベランダ等に固定できる。
設置時において、足場固定具１はベランダ等の壁の上端を跨ぐようにし、上側フレームは該ベランダ等の上端に接し、外側フレームはスペーサー８を介してベランダ外壁面に接する。そして足場固定具１は、固定部５によりベランダ内壁面に固定される。なお、本発明の足場固定具はベランダ等の床の下面にても固定しても良く、しなくても良い。
このため、固定部５をベランダ等の壁面の内側の面を押圧することの意義は以下のとおりである。
ベランダ等に本発明の足場固定具１を固定するため、作業者がベランダ等の内側、つまり、比較的足元がしっかりし、かつ十分広い場所にて、十分に力を加えてクランプ等の固定具を操作して足場固定具をベランダ等に固定できる。
設置時において、足場固定具１はベランダ等の壁の上端を跨ぐようにし、上側フレームは該ベランダ等の上端に接し、外側フレームはスペーサー８を介してベランダ外壁面に接する。そして足場固定具１は、固定部５によりベランダ内壁面に固定される。なお、本発明の足場固定具はベランダ等の床の下面にても固定しても良く、しなくても良い。
【0021】
このように、本発明の足場固定具は、固定させるために操作をする固定部５がベランダ等の内側の壁面のみに位置するので、効率良く安全に固定でき、固定後の点検等に関する時間と手間を削減し、点検漏れの防止もできる。
仮に、建築物外部の足場に作業者が立って、ベランダの外側からクランプ等で固定するときには、足場は狭いために、十分な広さの作業スペースを確保できない。
さらに、ベランダ等の外壁の場所にもよるが、その外壁と足場との間隔の違いに、作業員は確実に対応することが困難である。加えて、内側フレームに対してクランプ等による固定部により固定しても、この場合には、足場固定具が足場を支持したときに、直接最も力が掛かる場所が外側フレームにあるクランプ等による固定部であるため、足場固定具全体の固定が困難になる可能性がある。
これに対し、ベランダ等の内側のみで固定させることにより、比較的習熟度が高くない作業者であっても、安全で確実に足場固定具を固定できる。
また本発明の足場固定具をベランダ等に固定する手段として、上記固定部５、ボルト６、及び圧着部７等を使用することに代えて、別の手段を採用してベランダ等の内壁側に力を加える手段を採用しても良い。
仮に、建築物外部の足場に作業者が立って、ベランダの外側からクランプ等で固定するときには、足場は狭いために、十分な広さの作業スペースを確保できない。
さらに、ベランダ等の外壁の場所にもよるが、その外壁と足場との間隔の違いに、作業員は確実に対応することが困難である。加えて、内側フレームに対してクランプ等による固定部により固定しても、この場合には、足場固定具が足場を支持したときに、直接最も力が掛かる場所が外側フレームにあるクランプ等による固定部であるため、足場固定具全体の固定が困難になる可能性がある。
これに対し、ベランダ等の内側のみで固定させることにより、比較的習熟度が高くない作業者であっても、安全で確実に足場固定具を固定できる。
また本発明の足場固定具をベランダ等に固定する手段として、上記固定部５、ボルト６、及び圧着部７等を使用することに代えて、別の手段を採用してベランダ等の内壁側に力を加える手段を採用しても良い。
【0022】
（スペーサー）
スペーサー８は、外側フレームと断面形状が略同じ寸法の金属製のものでも良い。また外側フレームと断面形状が異なる寸法の金属製のものでも良い。スペーサー８の片端には、上側フレームを通すための貫通孔が設けられている。この貫通孔は、スペーサー８本体に設けても良く、スペーサー８本体の端部に貫通孔を形成するための部材を接続しても良い。
スペーサー８本体の端部に貫通孔を形成するために、スペーサー８の片端に上側フレームを挟むための２枚の板状部を形成しておき、この２枚の板状部それぞれにはボルトを通す孔を形成する。そして、この２枚の板状部で上側フレームを挟むようにした状態で、上記ボルトを通す孔によりボルトで締めて、上側フレームに対してスペーサー８を一体化させても良い。他の任意の手段により、取り外し可能にスペーサー８を上側フレームに着脱可能に固定しても良い。要は、外側フレームの該固定部側、言い換えれば外側フレームの、ベランダ等の外壁側に対して、着脱自在に設けることができる構造であれば良い。
なお、このとき、隣接する外側フレーム、及び、隣接する他のスペーサー８があるときには、その他のスペーサー８と密着させることが必要である。密着させることにより足場固定具をベランダ等に確実に固定できる。
本発明の足場固定具を使用する際に、ベランダ等の外壁面と設置する足場との距離によってスペーサー８の本数や寸法が異なる。
スペーサー８の長さは外側フレームの長さ程度までで良い。スペーサー８の断面形状及び大きさは外側フレームと同程度でよく、またスペーサー８使用時において、外側フレームの長さ方向の、スペーサー８の厚さは例えば２０ｍｍから７０ｍｍの範囲で任意に選択し、使用できる。図４（ｂ）ではスペーサー８を４枚使用しているが、足場固定具の設置場所の状況に応じて、使用するスペーサーの数やその大きさを選択できる。
スペーサー８は、外側フレームと断面形状が略同じ寸法の金属製のものでも良い。また外側フレームと断面形状が異なる寸法の金属製のものでも良い。スペーサー８の片端には、上側フレームを通すための貫通孔が設けられている。この貫通孔は、スペーサー８本体に設けても良く、スペーサー８本体の端部に貫通孔を形成するための部材を接続しても良い。
スペーサー８本体の端部に貫通孔を形成するために、スペーサー８の片端に上側フレームを挟むための２枚の板状部を形成しておき、この２枚の板状部それぞれにはボルトを通す孔を形成する。そして、この２枚の板状部で上側フレームを挟むようにした状態で、上記ボルトを通す孔によりボルトで締めて、上側フレームに対してスペーサー８を一体化させても良い。他の任意の手段により、取り外し可能にスペーサー８を上側フレームに着脱可能に固定しても良い。要は、外側フレームの該固定部側、言い換えれば外側フレームの、ベランダ等の外壁側に対して、着脱自在に設けることができる構造であれば良い。
なお、このとき、隣接する外側フレーム、及び、隣接する他のスペーサー８があるときには、その他のスペーサー８と密着させることが必要である。密着させることにより足場固定具をベランダ等に確実に固定できる。
本発明の足場固定具を使用する際に、ベランダ等の外壁面と設置する足場との距離によってスペーサー８の本数や寸法が異なる。
スペーサー８の長さは外側フレームの長さ程度までで良い。スペーサー８の断面形状及び大きさは外側フレームと同程度でよく、またスペーサー８使用時において、外側フレームの長さ方向の、スペーサー８の厚さは例えば２０ｍｍから７０ｍｍの範囲で任意に選択し、使用できる。図４（ｂ）ではスペーサー８を４枚使用しているが、足場固定具の設置場所の状況に応じて、使用するスペーサーの数やその大きさを選択できる。
【0023】
スペーサー８を使用する意義は、単にベランダ等の外壁面と外側フレーム３の間隔を調整して、上側フレームの一端に設けた外側フレームの足場方向に向いた面に設けた１つ以上の足場取付金具の位置を足場の位置に合わせることだけではない。
ベランダ等の外面に対して、スペーサー８を介して一体化して密着された上側フレームが直接足場を固定するために、上側フレームや外側フレーム、ひいては圧着部７等に過剰な力が加わらないようにする。本発明の足場固定具はスペーサー８を介してベランダ等の外壁と点ではなく面で接触する。
つまり、本発明におけるスペーサー８の使用は、複数のスペーサー８を使用しても、足場固定具を固定した状態において、外側フレーム３と密着したスペーサー８を含む足場固定具全体が一体化する。
ベランダ等の外面に対して、スペーサー８を介して一体化して密着された上側フレームが直接足場を固定するために、上側フレームや外側フレーム、ひいては圧着部７等に過剰な力が加わらないようにする。本発明の足場固定具はスペーサー８を介してベランダ等の外壁と点ではなく面で接触する。
つまり、本発明におけるスペーサー８の使用は、複数のスペーサー８を使用しても、足場固定具を固定した状態において、外側フレーム３と密着したスペーサー８を含む足場固定具全体が一体化する。
【0024】
足場を組んだ状態において、足場の荷重は、外側フレーム３に設けた足場との接続部に掛かる。これがいわゆる力点（又は作用点）となる。なお、この接続部は、外側フレーム３に足場用クランプ等の緊結部材を固定しておき、この緊結部材により、足場用の単管等を固定するものである。この結果として、外側フレーム３に対する固定された足場用単管の位置は足場用クランプ等の緊結部材の大きさによって決定され、ほぼ隣接した位置にある。その結果、外側フレーム３に係るモーメントは極めて小さくなる。
例えば図５（ａ）は従来の足場固定具の一種である。ベランダ等の壁の内側に固定部に設けたクランプやボルト等によって、図４中の圧着部７と同様な部材により固定される。そして、ベランダ等の壁の外面に外側フレーム３が密着したり、図４中の圧着部７と同様な部材により固定されたりして、ベランダ等の壁の外面に外側フレーム３が固定される。この図５の（ａ）の場合には、下記のように支点Ａと力点Ｂの間の距離ｄは大きくなる。
他方、本発明に沿った図５（ｂ）の足場固定具によれば、外側フレーム３とベランダ等壁の外面との間に必要なだけのスペーサーを密着させることができる。この結果として、支点Ａと力点Ｂの間の距離ｄは小さくなる。この小さい距離ｄは、現場に応じて、スペーサーの本数を調整することにより、常に可能な限り小さくすることができる。
なお図５（ｂ）において、ベランダ等の壁の内側に本発明でいうスペーサー等と同様の部材を密着させて、その同様の部材等を介して、固定部により、足場固定具をベランダ等の壁に固定してもよい。
例えば図５（ａ）は従来の足場固定具の一種である。ベランダ等の壁の内側に固定部に設けたクランプやボルト等によって、図４中の圧着部７と同様な部材により固定される。そして、ベランダ等の壁の外面に外側フレーム３が密着したり、図４中の圧着部７と同様な部材により固定されたりして、ベランダ等の壁の外面に外側フレーム３が固定される。この図５の（ａ）の場合には、下記のように支点Ａと力点Ｂの間の距離ｄは大きくなる。
他方、本発明に沿った図５（ｂ）の足場固定具によれば、外側フレーム３とベランダ等壁の外面との間に必要なだけのスペーサーを密着させることができる。この結果として、支点Ａと力点Ｂの間の距離ｄは小さくなる。この小さい距離ｄは、現場に応じて、スペーサーの本数を調整することにより、常に可能な限り小さくすることができる。
なお図５（ｂ）において、ベランダ等の壁の内側に本発明でいうスペーサー等と同様の部材を密着させて、その同様の部材等を介して、固定部により、足場固定具をベランダ等の壁に固定してもよい。
【0025】
本発明によれば、足場の荷重がフレームに掛かる際に、いわゆる支点が外側フレーム３と上側フレーム２の交点となり、かつスペーサー８の使用量に依存せず支点と力点の距離は変わらない。なお、この支点と力点の距離は小さく、場合により、ほぼ足場との接続部材の大きさによる。そのため、設置した足場の重量が同じであれば、ベランダ等の外壁面と足場との距離に関係なく、足場固定具のフレームが受けるモーメントは一定（つまり、足場と外側フレーム３との距離と、足場の重量の積）である。特にこの距離が大きい場合には、本発明によって、より少ないモーメントにすることができる。
このため、足場固定具の設置時に、該上側フレームの長さ方向に向けて設けた足場取付金具と、ベランダ等の外壁との間隔を望ましい範囲とするために、スペーサー８の適切な本数や厚さを選択する。該足場取付金具は、垂直方向に伸びる足場用の管を固定するものである。
このため、足場固定具の設置時に、該上側フレームの長さ方向に向けて設けた足場取付金具と、ベランダ等の外壁との間隔を望ましい範囲とするために、スペーサー８の適切な本数や厚さを選択する。該足場取付金具は、垂直方向に伸びる足場用の管を固定するものである。
【0026】
仮にスペーサー８を使用しない場合（本発明の例ではない図５（ｂ）の場合）には、足場単管とベランダ等の外壁に接して設けられたフレームとの間隔の分だけ横方向に伸ばしたアーム（又はフレーム）の先端に足場の荷重が掛かり、このアームの先端が力点になる。このとき、上側フレームと外側フレームの交点が支点になる。このときには、足場固定具のフレームが受けるモーメントは一定ではなく、さらにより大きくなる（つまり、足場と外側フレーム３との（より長い）距離と、足場の重量の積）。
このように、スペーサー８を使用すると、外側フレームの位置を足場に接近させ、上側フレームと外側フレームの交点を足場に隣接させることができる。この上側フレームと外側フレームの交点に足場固定具を設けること、外側フレームの長さ方向に沿って足場取付金具を設けることにより、支点と力点の間隔を極限にまで縮めることができる。
このように、スペーサー８を使用すると、外側フレームの位置を足場に接近させ、上側フレームと外側フレームの交点を足場に隣接させることができる。この上側フレームと外側フレームの交点に足場固定具を設けること、外側フレームの長さ方向に沿って足場取付金具を設けることにより、支点と力点の間隔を極限にまで縮めることができる。
【0027】
足場取付金具からの距離は、外側フレームと上側フレームの交点に対するよりも、足場取付金具に対するベランダ等の外壁と上側フレームの交点に対する方が大きい。そのため、スペーサー８を使用した場合に支点に掛かる力（モーメント）は、スペーサー８を使用しない場合に掛かる力（モーメント）よりも弱いことは明確である。上記特許文献１の図１に示すように、足場固定具本体と足場との接続を、壁つなぎのみで行うと、足場の荷重を外側に伸ばした、所定長さの壁つなぎで受けることになる。そして壁つなぎが本体に固定されている箇所に過大な力のモーメントが掛かるので、足場の固定が困難になりやすい。
このように、スペーサー８を使用した場合に支点に掛かる力は、スペーサー８を使用しない場合に掛かる力よりも弱いことは、足場固定具により固定できる足場の重量、つまり、足場を組むことができる階数に影響する。本発明の足場固定具を、通常は、多くても３階分程度のベランダ等に使用しても、確実に足場を固定でき、その上の多くの階については、足場固定具を使用する必要はない。そのため、工期を短くでき、足場固定具の設置に必要な点検箇所を削減できる効果を発揮できる。
しかし、スペーサー８を使用しない場合には足場を組む全ての階のベランダ等に足場固定具を固定させる必要がある。
このように、スペーサー８を使用した場合に支点に掛かる力は、スペーサー８を使用しない場合に掛かる力よりも弱いことは、足場固定具により固定できる足場の重量、つまり、足場を組むことができる階数に影響する。本発明の足場固定具を、通常は、多くても３階分程度のベランダ等に使用しても、確実に足場を固定でき、その上の多くの階については、足場固定具を使用する必要はない。そのため、工期を短くでき、足場固定具の設置に必要な点検箇所を削減できる効果を発揮できる。
しかし、スペーサー８を使用しない場合には足場を組む全ての階のベランダ等に足場固定具を固定させる必要がある。
【0028】
さらに、ベランダ等の壁の外壁から足場単管までの距離の設定の自由度が高い（上記のように、支点と力点の距離を小さくでき、足場固定具の支点に掛かる力を削減できる）ので、建築物の外面形状によっては、規格に沿った足場用の各部材では、建築物外面に対して一定の適切な距離を保って足場を組むことが困難な場合があるが、このような場合であっても、建築物外壁全体に対する各足場の間の距離を調整しながら、足場の位置を適切に設けることができる。
さらに、地震や強風等により足場に大きな外力が加わった場合でも、本発明の足場固定具を使用することにより、足場の損傷や崩壊等を防止できる。
さらに、地震や強風等により足場に大きな外力が加わった場合でも、本発明の足場固定具を使用することにより、足場の損傷や崩壊等を防止できる。
【0029】
（足場組立方法）
本発明の足場固定具を用いて、現場にて足場を組立てる方法としては、例えば、建築物の外壁にあるベランダや外階段等の、上端を有する堅固な壁に対して、その壁の上端において、壁の長さ方向に垂直に、かつ水平になるように、上側フレームが位置するように設け、その壁の外側で、上側フレームの一端に、足場を設ける側に外側フレームと、その外側フレームと壁との間に必要な数のスペーサーを設ける。該外側フレームからみた他端側に設けた固定部と、その固定部に設けたクランプ等の圧着部によって、該上側フレーム、外側フレーム、スペーサー等からなる足場固定具を、ベランダ等の壁に固定する。必要に応じて、固定部とベランダ等の壁の内側の面との間にスペーサー等の部材を介することもできる。
このように固定した足場固定具の外側フレーム付近に設けた緊結金具等により、垂直方向に伸びた足場用単管等を固定する。そして固定した足場用単管に他の足場用部材を組み合わせて、建築物外面の必要箇所に足場を設置する。なお、緊結金具等のように、外側フレームと足場を構成する単管等とを確実に接続するための部材は、外側フレームと足場単管との距離をなるべく短くできるような大きさであれば良い。足場等において使用する接続用クランプ等を使用できる。
本発明の足場固定具は、建築物の２階以上に設置して、この足場固定具を設置した階を基にして、その上の階に向けて足場を設けることができる。その際、１階の玄関、商店、ガレージ等、足場で覆うことを回避したい箇所に、足場を設けないようにしてもよい。
本発明の足場固定具を用いて、現場にて足場を組立てる方法としては、例えば、建築物の外壁にあるベランダや外階段等の、上端を有する堅固な壁に対して、その壁の上端において、壁の長さ方向に垂直に、かつ水平になるように、上側フレームが位置するように設け、その壁の外側で、上側フレームの一端に、足場を設ける側に外側フレームと、その外側フレームと壁との間に必要な数のスペーサーを設ける。該外側フレームからみた他端側に設けた固定部と、その固定部に設けたクランプ等の圧着部によって、該上側フレーム、外側フレーム、スペーサー等からなる足場固定具を、ベランダ等の壁に固定する。必要に応じて、固定部とベランダ等の壁の内側の面との間にスペーサー等の部材を介することもできる。
このように固定した足場固定具の外側フレーム付近に設けた緊結金具等により、垂直方向に伸びた足場用単管等を固定する。そして固定した足場用単管に他の足場用部材を組み合わせて、建築物外面の必要箇所に足場を設置する。なお、緊結金具等のように、外側フレームと足場を構成する単管等とを確実に接続するための部材は、外側フレームと足場単管との距離をなるべく短くできるような大きさであれば良い。足場等において使用する接続用クランプ等を使用できる。
本発明の足場固定具は、建築物の２階以上に設置して、この足場固定具を設置した階を基にして、その上の階に向けて足場を設けることができる。その際、１階の玄関、商店、ガレージ等、足場で覆うことを回避したい箇所に、足場を設けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
１ 足場固定具
２ 上側フレーム
３ 外側フレーム
４ 内側フレーム
５ 固定部
６ ボルト
７ 圧着部
８ スペーサー
２ 上側フレーム
３ 外側フレーム
４ 内側フレーム
５ 固定部
６ ボルト
７ 圧着部
８ スペーサー
【要約】
【課題】足場固定具を建築物に確実に固定し、足場固定具に必要以上に大きい力が掛かることがなく、足場の固定や足場上での作業の安全性を向上させること。
【解決手段】建築物の外壁に足場を固定させるための足場固定具であって、
上側フレームと、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームと、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、着脱可能に設けられたスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部を有する、
足場固定具。
【選択図】図３
【解決手段】建築物の外壁に足場を固定させるための足場固定具であって、
上側フレームと、
該上側フレームの一端部に、該上側フレームの長さ方向に対して直角に接続した外側フレームと、
該外側フレームに設けた足場取付金具と、
該外側フレームの下記固定部側に、着脱可能に設けられたスペーサーを有し、
該上側フレームの他端側に設けた固定部を有する、
足場固定具。
【選択図】図３
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
