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特許7604031包装容器、及び、当該包装容器によって包装された包装食品の製造方法
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  • 特許-包装容器、及び、当該包装容器によって包装された包装食品の製造方法 図1
  • 特許-包装容器、及び、当該包装容器によって包装された包装食品の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】包装容器、及び、当該包装容器によって包装された包装食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20241216BHJP
   A45C 11/20 20060101ALI20241216BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B65D77/20 F
A45C11/20 Z
B65D85/50 100
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023186430
(22)【出願日】2023-10-31
(62)【分割の表示】P 2020078109の分割
【原出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2023181397
(43)【公開日】2023-12-21
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390007537
【氏名又は名称】株式会社ケーピープラテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 智之
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104067(JP,A)
【文献】特開2016-155584(JP,A)
【文献】特開2019-167131(JP,A)
【文献】特開2005-162249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
A45C 11/20
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口の収容空間を画定する容器本体、及び、前記容器本体に剥離可能に接着されて、前記上方開口を封止するトップシールを含む包装容器であって、
前記容器本体は、
上面に凹部を備え、上面に印刷層が設けられた基体と、
透過性を有する材料によって構成され、裏面において前記基体の上面に接合された第1ラミネートフィルムと、
透過性を有する材料によって構成され、前記第1ラミネートフィルムの上面に接合された第2ラミネートフィルムとを有し、
前記第1ラミネートフィルムと前記基体との間の接合強度は、前記第1ラミネートフィルムと前記第2ラミネートフィルムとの間の接合強度よりも大きい包装容器。
【請求項2】
前記第1ラミネートフィルムは前記基体に溶着され、
前記第2ラミネートフィルムは前記第1ラミネートフィルムに接着されている請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記第1ラミネートフィルムと前記第2ラミネートフィルムとは同じ素材によって形成されている請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記基体はフィラ入りポリプロピレン製であり、
前記第1ラミネートフィルム及び前記第2ラミネートフィルムはそれぞれポリプロピレン製である請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記トップシールは前記第2ラミネートフィルムに熱圧着されている請求項2~請求項4のいずれか1つの項に記載の包装容器。
【請求項6】
前記基体は、水平をなす底壁と、前記底壁の外周縁に立設された周壁と、前記周壁の上縁から水平に延出するフランジ部とを備え、
前記フランジ部の上方において、前記第2ラミネートフィルムと、前記トップシールとが接合されている請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の包装容器。
【請求項7】
上方開口の収容空間を画定する容器本体、及び、前記容器本体に剥離可能に接着されて、前記上方開口を封止するトップシールを含む包装容器によって包装された包装食品の製造方法であって、
前記容器本体は、
上面に凹部を備え、上面に印刷層が設けられた基体と、
透過性を有する材料によって構成され、裏面において前記基体の上面に結合された第1ラミネートフィルムと、
透過性を有する材料によって構成され、前記第1ラミネートフィルムの上面に結合された第2ラミネートフィルムとを有し、
前記製造方法は、
前記第1ラミネートフィルムを前記基体に溶着する工程と、
前記第1ラミネートフィルムに前記第2ラミネートフィルムを接着する工程と、
前記収容空間に食品を収容する工程と、
前記食品が収容された状態で、前記トップシールを前記第2ラミネートフィルムに熱圧着する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
前記トップシールを前記第2ラミネートフィルムの前記上面に接合する工程において、前記トップシールと前記第2ラミネートフィルムとは、冷凍された前記食品が前記収容空間に収容された状態で熱圧着されている請求項7に記載の包装食品の製造方法。
【請求項9】
前記第1ラミネートフィルムと前記第2ラミネートフィルムとは同じ素材によって形成されている請求項7又は請求項8に記載の包装食品の製造方法。
【請求項10】
前記基体はフィラ入りポリプロピレン製であり、
前記第1ラミネートフィルム及び前記第2ラミネートフィルムはそれぞれポリプロピレン製である請求項9に記載の包装食品の製造方法。
【請求項11】
前記基体は、水平をなす底壁と、前記底壁の外周縁に立設された周壁と、前記周壁の上縁から水平に延出するフランジ部とを備え、
前記フランジ部の上方において、前記第2ラミネートフィルムと、前記トップシールとが接合されている請求項7~請求項10のいずれか1つの項に記載の包装食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容する容器本体、及び、容器本体に剥離可能に接着され、容器本体を封じるトップシールを含む包装容器と、その包装容器によって包装された包装食品の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
トップシール用蓋材で密閉可能な容器本体が公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1の容器本体は、ポリスチレン発泡体からなり、底部と、その底部の外周から起立した側部と、その側部の上端から外方に向けて延出したフランジ部とを備えている。フランジ部は全周に亘って幅4mm以上の平坦部を有し、トップシール用蓋材はその平坦部の幅内に熱溶着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-164084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器本体には収容される料理を引き立たせるため、図柄や文字等を含む印刷層が設けられることがある。しかしながら、容器本体にトップシール用蓋材を熱溶着した後、トップシール(トップシール用蓋材)を剥がすと、フランジ部とトップシールとの溶着部分の印刷層が剥離することがある。このような印刷層の剥離によって、容器本体の意匠性が低下するという問題がある。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、物品を収容する容器本体、及び、容器本体を封じるトップシールを含む包装容器であって、トップシールを剥がすときに印刷層が剥がれ難い包装容器、及び、その包装容器によって包装された包装食品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による包装食品は、上方開口の収容空間(34)を画定する容器本体(4)、及び、前記容器本体に剥離可能に接着されて、前記上方開口を封止するトップシール(6)を含む包装容器(2)であって、前記容器本体は、上面に凹部(24)を備えた基体(12)と、透過性を有する材料によって構成され、裏面に印刷層(30)が設けられ、裏面において前記基体の上面に接合された第1ラミネートフィルム(14)と、透過性を有する材料によって構成され、前記第1ラミネートフィルムの上面に接合された第2ラミネートフィルム(16)とを有し、前記第1ラミネートフィルムと前記基体との間の接合強度は、前記第1ラミネートフィルムと前記第2ラミネートフィルムとの間の接合強度よりも大きい。
【0007】
この構成によれば、第1ラミネートフィルムと基体との間の接着強度は、第1ラミネートフィルムと第2ラミネートフィルムとの間の接着強度よりも大きいため、トップシールを剥がしたときに、第1ラミネートフィルムが基体から剥離されるよりも前に、第2ラミネートフィルムが第1ラミネートフィルムから剥離される。これにより、第1ラミネートフィルムが基体から剥離されることが防止できるため、第1ラミネートフィルムの裏面に設けられた印刷層を保護できる。
【0008】
上記実施形態において、好ましくは、前記第1ラミネートフィルムは前記基体に溶着され、前記第2ラミネートフィルムは前記第1ラミネートフィルムに接着されている。
【0009】
この構成によれば、第1ラミネートフィルムと基体との間の接着強度を、第1ラミネートフィルムと第2ラミネートフィルムとの間の接着強度よりも大きくすることができる。
【0010】
上記実施形態において、好ましくは、前記第1ラミネートフィルムと前記第2ラミネートフィルムとは同じ素材によって形成されている。
【0011】
この構成によれば、第1ラミネートフィルムと第2ラミネートフィルムとを同素材によって構成することで、両者が接着され易くなる。
【0012】
上記実施形態において、好ましくは、前記基体はフィラ入りポリプロピレン製であり、前記第1ラミネートフィルム及び前記第2ラミネートフィルムはそれぞれポリプロピレン製である。
【0013】
この構成によれば、包装食品が安価になる。
【0014】
上記実施形態において、好ましくは、前記トップシールは前記第2ラミネートフィルムに熱圧着されている。
【0015】
この構成によれば、トップシールを第2ラミネートフィルムに熱圧着するときに、第2ラミネートフィルムに脆弱部を形成することができる。これにより、トップシールを剥がしたときに、第2ラミネートフィルムを脆弱部で破断させることができるため、第2ラミネートフィルムが第1ラミネートフィルムから分離し易くなる。よって、トップシールを剥がしたときに、第1ラミネートフィルムが基体から剥がされることが防止できるため、印刷層を保護することができる。
【0016】
上記実施形態において、好ましくは、前記基体は、水平をなす底壁と、前記底壁の外周縁に立設された周壁と、前記周壁の上縁から水平に延出するフランジ部とを備え、前記フランジ部の上方において、前記第2ラミネートフィルムと、前記トップシールとが接合されている。
【0017】
この構成によれば、トップシールの第2ラミネートフィルムへの接合が容易になる。
【0018】
本発明は、上方開口の収容空間を画定する容器本体(4)、及び、前記容器本体に剥離可能に接着されて、前記上方開口を封止するトップシール(6)を含む包装容器(2)によって包装された包装食品の製造方法であって、前記容器本体は、上面に凹部(24)を備えた基体(12)と、透過性を有する材料によって構成され、裏面に印刷層が設けられ、裏面において前記基体の上面に結合された第1ラミネートフィルム(14)と、透過性を有する材料によって構成され、前記第1ラミネートフィルムの上面に結合された第2ラミネートフィルム(16)とを有し、前記製造方法は、前記第1ラミネートフィルムを前記基体に溶着する工程と、前記第1ラミネートフィルムに前記第2ラミネートフィルムを接着する工程と、前記収容空間に食品(38)を収容する工程と、前記食品が収容された状態で、前記トップシールを前記第2ラミネートフィルムに熱圧着する工程とを含む。
【0019】
この構成によれば、第1ラミネートフィルムと基体との間の接着強度は、第1ラミネートフィルムと第2ラミネートフィルムとの間の接着強度よりも大きくなるため、基体の上面に設けられた印刷層が保護される。更に、トップシールを第2ラミネートフィルムに熱圧着するときに、第2ラミネートフィルムに脆弱部を形成することができる。これにより、トップシールを剥がしたときに、第2ラミネートフィルムを脆弱部で破断させることができるため、第2ラミネートフィルムが第1ラミネートフィルムから分離し易くなる。よって、第1ラミネートフィルムが基体から剥がされることが防止できるため、第1ラミネートフィルムの裏面に設けられた印刷層をより保護することができる。
【0020】
上記実施形態において、好ましくは、前記トップシールを前記第2ラミネートフィルムの前記上面に接合する工程において、前記トップシールと前記第2ラミネートフィルムとは、冷凍された前記食品が前記収容空間に収容された状態で熱圧着されている。
【0021】
この構成によれば、熱溶着時の第2ラミネートフィルムに加わる温度変化が大きくなるため、第2ラミネートフィルムに形成される脆弱部をより脆弱にすることができる。
【0022】
上記実施形態において、好ましくは、前記第1ラミネートフィルムと前記第2ラミネートフィルムとは同じ素材によって形成されている。
【0023】
この構成によれば、第1ラミネートフィルムと第2ラミネートフィルムとを同素材によって構成することで、両者が接着され易くなる。
【0024】
上記実施形態において、好ましくは、前記基体はフィラ入りポリプロピレン製であり、前記第1ラミネートフィルム及び前記第2ラミネートフィルムはそれぞれポリプロピレン製である。
【0025】
この構成によれば、包装食品が安価になる。
【0026】
上記実施形態において、好ましくは、前記基体は、水平をなす底壁(18)と、前記底壁の外周縁に立設された周壁(20)と、前記周壁の上縁から水平に延出するフランジ部(22)とを備え、前記フランジ部の上方において、前記第2ラミネートフィルムと、前記トップシールとが接合されている。
【0027】
この構成によれば、トップシールの第2ラミネートフィルムへの接合が容易になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、食品、食品を収容する容器本体、及び、容器本体を封じるトップシールを含む包装食品であって、トップシールを剥がすときに印刷層が剥がれ難い包装食品、及び、その包装食品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る包装食品の斜視図
図2図1のII-II断面図
図3】本発明に係る包装食品の製造工程の前半を説明するための説明図
図4】本発明に係る包装食品の製造工程の後半を説明するための説明図
図5図4の二点鎖線で囲まれた部分の拡大図
図6】本発明に係る包装食品に収容された食品を食べるときに利用者が行う工程を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明による包装容器、及び、その包装容器によって包装された包装食品の製造方法の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0031】
本発明に係る包装容器2は、図1に示すように、食品等の物品を包装するためのものであって、トレイ状の容器本体4と、容器本体4を封止するトップシール6とを含む。
【0032】
図2に示すように、容器本体4は複数の層からなる多層構造体によって構成されている。より具体的には、容器本体4は、最下層を形成する基体12と、基体12の上面に結合された層を形成する第1ラミネートフィルム14と、第1ラミネートフィルム14の上面に結合された層を形成する第2ラミネートフィルム16とを含む。
【0033】
基体12はポリプロピレンを母材としてフィラを混練された複合材(PPF、フィラ入りポリプロピレン)によって形成されている。フィラは無機粉末であるタルクであってよい。基体12は、略水平に延びる四角形状の底壁18と、底壁18の外周縁に立設された周壁20と、周壁20の上縁から略水平に延出するフランジ部22とを備えている。底壁18及び周壁20によって、基体12の上面には、上方に向かって開口して下方に凹む凹部24が画定される。図1に示すように、凹部24には略水平に延在する仕切壁26が設けられている。
【0034】
第1ラミネートフィルム14は、透過性を有する材料によって形成されている。本実施形態では、第1ラミネートフィルム14は無延伸ポリプロピレン(CPP)製である。第1ラミネートフィルム14の裏面には、印刷が施されている。換言すれば、第1ラミネートフィルム14の裏面には印刷層30が設けられている。本実施形態では、第1ラミネートフィルム14の裏面には、全面に渡って上面から見たときに木目調の模様となる印刷が施されている。
【0035】
図2に示すように、第1ラミネートフィルム14は裏面において、底壁18の上面、周壁20の内面、及び、フランジ部22の上面を含む基体12の上面に接合されている。本実施形態では、第1ラミネートフィルム14は基体12に溶着されている。
【0036】
ここでいう溶着とは、熱可塑性のシート等を加熱して溶かし、好ましくは圧力を加えて結合させた後、冷却して接合する接合方法をいう。第1ラミネートフィルム14が基体12に溶着されるときには、第1ラミネートフィルム14はその裏面が少なくとも融点以上となるまで加熱される。
【0037】
第2ラミネートフィルム16は、第1ラミネートフィルム14と同一の透過性を有する素材(材料)によって形成されている。本実施形態では、第2ラミネートフィルム16は無延伸ポリプロピレン(CPP)製である。第2ラミネートフィルム16は裏面(下面)において、第1ラミネートフィルム14の上面全面に接合されている。本実施形態では、第2ラミネートフィルム16は、接着剤によって、第1ラミネートフィルム14の上面全面に接着(ドライラミネート)されている。第2ラミネートフィルム16の裏面には印刷は施されておらず、無色透明なフィルム状をなしている。これにより、第2ラミネートフィルム16を介して、第1ラミネートフィルム14に施された木目調の模様が視認できる。
【0038】
凹部24の内部に第1ラミネートフィルム14及び第2ラミネートフィルム16が結合されることによって、容器本体4には、上方に向かって開口する開口部32を備えた(すなわち、上方開口の)収容空間34が画定されている。仕切壁26によって収容空間34は複数の空間34A~34Dに区画されている。仕切壁26の上面はフランジ部22の上面よりも低いとよい。
【0039】
トップシール6はポリプロピレン(PP)によって構成された無色透明なフィルム状をなしている。トップシール6は第2ラミネートフィルム16のフランジ部22の上方に位置する部分(より詳細には、第1ラミネートフィルム14のフランジ部22の上面に結合された部分に結合された第2ラミネートフィルム16の部分)の上面に剥離可能に接着されている。本実施形態では、トップシール6は開口部32の全周に渡って第2ラミネートフィルム16に熱圧着され、開口部32の全体を封止している。但し、トップシール6は第2ラミネートフィルム16に接着剤によって接着されていてもよい。
【0040】
ここでいう熱圧着とは、接合されるべき材料を融点以下の所定の温度に加熱し、加圧密着させることによって、塑性変形を起こさせて接合させることをいう。トップシール6が第2ラミネートフィルム16に熱圧着されるときには、トップシール6及び第2ラミネートフィルム16はともに融点以下の所定の温度に加熱され、加圧密着されて接合される。
【0041】
本実施形態では、トップシール6は第2ラミネートフィルム16よりも大きく、第2ラミネートフィルム16の外縁上方から略水平方向に延出した部分を含む。トップシール6の端部には、第2ラミネートフィルム16に接着されていない摘み部36が形成されている。
【0042】
第1ラミネートフィルム14と基体12とは熱溶着され、第1ラミネートフィルム14と第2ラミネートフィルム16とは接着剤によって接着されているため、第1ラミネートフィルム14と基体12との接合強度は、第1ラミネートフィルム14と第2ラミネートフィルム16との接合強度よりも大きい。ここでいう接合強度とは接合された二面間の結合の強さを示すものである。接合強度は、荷重が接合面に対して離反する方向に加わった場合に、接合部分が剥離するのに要する単位面積あたりの引張荷重であり、いわゆる剥離強度(剥離接着強さ)であってよい。
【0043】
更に、第2ラミネートフィルム16とトップシール6との接合強度は、第1ラミネートフィルム14と第2ラミネートフィルム16との接合強度よりも大きい。
【0044】
収容空間34には図1及び図2に示すように食品38が収容される。これにより、包装容器2と、包装容器2によって包装された食品38とを含む包装食品40が構成される。本実施形態では、収容空間34には電子レンジによる加熱後に食べることができる冷凍食品38Aが収容されている。
【0045】
次に、包装食品40の製造方法について、図3及び図4を参照して説明する。作業者は図3(A)に示すように、PPFシートを基体12に加工した後、裏面に印刷層30が設けられた第1ラミネートフィルム14の裏面を基体12に溶着させる。その後、作業者は、図3(B)に示すように、裏面に接着剤が塗布された第2ラミネートフィルム16を、第1ラミネートフィルム14に接着させる。これにより、図4(A)に示すように、容器本体4が完成する。
【0046】
その後、作業者は、図4(A)に示すように、容器本体4の収容空間34に食品38を収容する。但し、食品38が冷凍食品38Aであるときには、作業者は食品38及び容器本体4を低温(-18℃以下)に冷却し、その低温下で食品38を収容空間34に収容するとよい。
【0047】
次に、作業者は、図4(B)に示すように、開口部32を封じるようにトップシール6を配置して、ツール42を用いてトップシール6のフランジ部22の上方に位置する部分を加熱しつつ、トップシール6を第2ラミネートフィルム16に押し付けることによって、トップシール6を第2ラミネートフィルム16に熱圧着する。このとき、作業者は食品38の温度上昇を防止するため、容器本体4及び食品38を低温(-18℃以下)に冷却しつつ、トップシール6を加熱するとよい。更に、作業者は、収容空間34内に窒素ガスや二酸化炭素ガスを吹き付けて、窒素雰囲気又は二酸化炭素雰囲気下で、トップシール6の熱溶着を行うとよい。このとき、図5に示すように、第2ラミネートフィルム16のフランジ部22と周壁20との接続部分の近傍部分には、熱溶着時の温度変化や熱溶着される部分と外部環境との温度差によって、他の部分に比べて破断し易い脆弱部44が形成される。トップシール6の熱溶着が完了すると、包装食品40の製造が完了する。
【0048】
食品38を食べるときには、利用者はまず包装食品40を電子レンジで加熱する。脆弱部44は電子レンジによる加熱によって、より破断し易くなる。その後、利用者はトップシール6を剥がすべく、摘み部36を指でつまみ上げる。これにより、図6(A)に示すように、第1ラミネートフィルム14と第2ラミネートフィルム16との間で剥離し、トップシール6は第2ラミネートフィルム16とともに持ち上がる。その後、図6(B)に示すように、脆弱部44において、第2ラミネートフィルム16が破断し、第1ラミネートフィルム14とトップシール6とは分離される。これにより、収容空間34が開口し、包装容器2が開封される。これによって、利用者は収容空間34から食品38(図4(B)参照)を取り出して食べることができる。
【0049】
次に、包装容器2、及び、包装食品40の製造方法の効果について説明する。第1ラミネートフィルム14と基体12とは熱溶着され、第1ラミネートフィルム14と第2ラミネートフィルム16とは接着剤によって接着されている。これにより、第1ラミネートフィルム14と基体12との間の接合強度を、第1ラミネートフィルム14と第2ラミネートフィルム16との間の接合強度よりも大きくすることができる。これにより、利用者が摘み部36を指でつまみ上げると、第1ラミネートフィルム14が基体12から剥離されることなく、第2ラミネートフィルム16が第1ラミネートフィルム14から剥離される。よって、第1ラミネートフィルム14の裏面に設けられた印刷層30が保護される。
【0050】
第1ラミネートフィルム14及び第2ラミネートフィルム16はCPPによって形成されている。このように、第1ラミネートフィルム14及び第2ラミネートフィルム16を同素材によって構成することで、両者がなじみ易くなり、両者が接着され易くなる。また、基体12はフィラ入りポリプロピレン製であり、第1ラミネートフィルム14及び第2ラミネートフィルム16はそれぞれポリプロピレン製であるため、包装容器2を安価に製造することができる。
【0051】
トップシール6を第2ラミネートフィルム16に熱溶着するときに、第2ラミネートフィルム16は急速加熱される。これにより、図5に示すように、第2ラミネートフィルム16内には、トップシール6と接着される部分及びその近傍、すなわち、フランジ部22の近傍に脆弱部44が形成される。これにより、利用者が摘み部36を指でつまみ上げたときに、図6(B)に示すように、第2ラミネートフィルム16をフランジ部22の近傍において破断させ、第2ラミネートフィルム16の摘み部36の側の部分を第1ラミネートフィルム14から分離させることができる。よって、トップシール6を剥がしたときに、第1ラミネートフィルム14に基体12から剥がされることが防止されるため、印刷層30を保護することができる。
【0052】
更に、本実施形態では、トップシール6と第2ラミネートフィルム16とは低温環境下で熱接着されているため、第2ラミネートフィルム16が室温環境下で熱接着される場合に比べて、第2ラミネートフィルム16のトップシール6と接着される部分及びその近傍に形成される脆弱部44をより脆弱にすることができる。これにより、第2ラミネートフィルム16の脆弱部44がより破断され易くなる。よって、第2ラミネートフィルム16の摘み部36側の部分を第1ラミネートフィルム14からより容易に分離させることができるため、印刷層30を保護することができる。
【0053】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
上記実施形態では、第1ラミネートフィルム14の裏面に印刷層30が設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、基体12の上面に印刷層30が設けられていてもよい。上記実施形態では、包装容器2に食品38を収容した例について説明したが、この態様には限定されない。包装容器2には、食品38以外の物品が収容されていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
2 :包装容器
4 :容器本体
6 :トップシール
12 :基体
14 :第1ラミネートフィルム
16 :第2ラミネートフィルム
18 :底壁
20 :周壁
22 :フランジ部
24 :凹部
26 :仕切壁
30 :印刷層
32 :開口部
34 :収容空間
34A :空間
34B :空間
34C :空間
34D :空間
36 :摘み部
38 :食品
38A :冷凍食品
40 :包装食品
42 :ツール
44 :脆弱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6