(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】X線源の機械的アライメント
(51)【国際特許分類】
H01J 35/14 20060101AFI20241216BHJP
H01J 35/06 20060101ALI20241216BHJP
H01J 35/08 20060101ALI20241216BHJP
H01J 35/28 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H01J35/14
H01J35/06 E
H01J35/08 B
H01J35/08 C
H01J35/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198104
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2021523647の分割
【原出願日】2019-11-04
【審査請求日】2023-12-13
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】317016811
【氏名又は名称】エクシルム・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・クロンステッツ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ルンドストレーム
(72)【発明者】
【氏名】ペル・タクマン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-513418(JP,A)
【文献】特開2004-303725(JP,A)
【文献】特開2014-115286(JP,A)
【文献】特表2014-503960(JP,A)
【文献】特表2019-507479(JP,A)
【文献】米国特許第07929667(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0301805(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0161233(US,A1)
【文献】国際公開第01/031678(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/149006(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 35/14
H01J 35/06
H01J 35/08
H01J 35/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源(100)であって、
電子ビーム(e)が液体ジェットターゲット(J)と相互作用してX線放射(X)を発生させるように、前記液体ジェットターゲット(J)に向けられた前記電子ビーム(e)を提供するように適合された電子源(110)と、
前記液体ジェットターゲット上で前記電子ビームを走査するように配置された偏向器と、
電子ビーム位置に応じて前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す量を監視することによって、前記電子ビームに対する前記液体ジェットターゲットの向きを示す信号を生成するように構成されたターゲット方位センサ(270,272)と、
前記電子ビームに対する前記液体ジェットターゲットの向きを調整するように構成されたターゲット調整手段(280)と
、
を備えるX線源。
【請求項2】
前記ターゲット方位センサ及び前記ターゲット調整手段に動作可能に接続されているコントローラ(140)を備え、
前記コントローラは、前記ターゲット調整手段に、前記ターゲット方位センサから受け取った前記信号に基づいて前記液体ジェットターゲットの向きを調整させるように構成されている、請求項1に記載のX線源。
【請求項3】
前記ターゲット方位センサは、前記液体ジェットターゲットの下流で前記電子ビームの強度を監視するように構成されている、請求項1
又は2に記載のX線源。
【請求項4】
前記ターゲット方位センサは、前記液体ジェットターゲットから散乱した電子の強度、又は前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の前記相互作用によって生じるX線放射の強度を監視するように構成されている、請求項1
又は2に記載のX線源。
【請求項5】
前記X線源は、ターゲットジェネレータを更に備え、前記ターゲット調整手段は、前記ターゲットジェネレータのノズルの向きを調整するように構成されたアクチュエータを備える、請求項1
又は2に記載のX線源。
【請求項6】
前記アクチュエータは前記ノズルを前記電子ビームに沿った方向に移すように構成されている、請求項5に記載のX線源。
【請求項7】
X線源をアラインするための方法であって、
電子ビームが液体ジェットターゲットと相互作用してX線放射を発生させるように、前記液体ジェットターゲットに向けられた前記電子ビームを提供すること(710)と、
前記液体ジェットターゲット上で前記電子ビームを走査することと、
電子ビーム位置に応じて前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す量を監視することによって、電子ビーム
焦点に対する前記液体ジェットターゲットの向きを示す信号を生成すること(720)と
、
生成された
前記信号に基づいて前記電子ビーム
焦点に対する前記液体ジェットターゲットの向きを調整すること(730)と、
を備える方法。
【請求項8】
前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す前記量は、前記液体ジェットターゲットの下流での電子ビームの強度である、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す前記量は、前記液体ジェットターゲットから散乱した電子の強度、又は前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の前記相互作用によって生じるX線放射の強度である、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記液体ジェットターゲットは、ノズルによって発生し、前記方法は、
さらに、
前記液体ジェットターゲット上で前記電子ビームを繰り返し走査し、前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す前記量を記録することによって、前記液体ジェットターゲットの画像を生成することと、
前記液体ジェットターゲットの現在の画像が前の液体ジェットターゲットの以前に取得された画像と相関するまで、前記ノズルを移動させることによって前記液体ジェットターゲットの向きを調整すること(740)と、
を備える、請求項
7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記調整するステップはコントローラによって実行される、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記液体ジェットターゲットは前記電子ビームに沿った方向に調整される、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される発明は一般に、電子ビームがターゲットと相互作用してX線放射を発生させる電子衝撃X線源に関する。特に、本発明は、電子ビームとターゲットとのアライメントを改善するための技法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビームをターゲットに向けることによってX線放射を発生させ得る。このようなシステムでは、高電圧カソードを備える電子源は、真空チャンバ内のターゲット位置でターゲットに衝突する電子ビームを作り出すために利用される。電子ビームとターゲットとの間の相互作用によって生じるX線放射は、周囲の大気から真空チャンバを分離するX線窓を通って真空チャンバから出ることができる。
【0003】
電子ビームとターゲットとの間の相対的な向きは、X線源の性能に影響を与える重要な要因であることが知られている。アライメントが不十分であったり正しくなかったりすると、発生するX線放射の電力及び品質が低下し得、システム全体を動作不能にする可能性がある。
【0004】
電子ビームとターゲットとの相対的なアライメントは、システムの部品のメンテナンス及び交換だけでなく、摩耗によっても悪化し得る。その結果、オペレータ又はサービスエンジニアは、X線源のメンテナンスに関連して、煩雑で時間のかかるアライメント及び調整に対処しなければならず、システムの長いダウンタイム期間につながる。
【0005】
従って、X線源のダウンタイムを短縮する改善された技術が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上記欠点の少なくともいくつかに対処するX線技術を提供することである。特定の目的は、電子ビーム及び/又はターゲットの容易なアライメントを可能にするX線源及び方法を提供することである。
【0007】
電子ビームとターゲットとの相対的な位置又は方向は、アライメントと呼ばれ得る。電子ビームが、意図されたターゲット位置でターゲットに衝突するため、及び、発生したX線放射が所望のケーションに向けられるためには、正しいアライメントが必要である。しかしながら、電子ビーム及び/又はターゲットのアライメントは、例えば、X線源の機械部品のメンテナンス、摩耗、又は交換により、時間の経過とともに悪化し得る。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、電子ビームとターゲットとの間の相互作用によってX線放射を放出するように構成されたX線源が提供され、ここにおいて、X線源は、電子を放出するように構成されたカソードと、放出された電子を加速して電子ビームを形成するように構成されたアノード電極とを有する電子源を備える。更に、X線源は、電子源のアノード電極とカソードとの間の相対的な向きを調整するように構成された調整手段と、集束設定に従って電子ビームをターゲットに集束させるように構成された集束手段と、センサエリアに対する電子ビームの向きを示す信号を生成するように配置されたビーム方位センサと、集束手段、ビーム方位センサ、及び調整手段に動作可能に接続されているコントローラとを備える。コントローラは、集束設定が変更されたときに、センサから受け取る信号が所定の間隔内で変化するように、調整手段に、アノード電極とカソードとの間の相対的な向きを調整させるように構成される。
【0009】
第2の態様によれば、X線源をアラインするための方法が提供され、ここでは、電子が、カソードから放出され、アノード電極によって加速されて電子ビームが形成される。電子ビームは、集束コイルに少なくとも2つの集束設定を適用することによって集束される。更に、少なくとも2つの集束設定についてセンサエリアに対する電子ビームの向きを示す信号が生成され、少なくとも2つの集束設定についての生成された信号間の差が所定の間隔内となるように、アノード電極とカソードとの間の相対的な向きが調整される。
【0010】
電子がアノード電極とカソードとの間の電界によって加速されるため、アノード電極とカソードとの相対的な向きは、発生した電子ビームが電子源を出る方向に影響を与えるために用いられ得ることが認識される。従って、カソードに対してアノード電極を移動させること又はその逆を行うことによって、調整手段は、それに応じて電子ビームのアライメントを調整することができる。
【0011】
ビーム方位センサは、電子ビームに対する調整手段の影響(effect)又は影響(impact)を決定するために用いられ得る。換言すると、ビーム方位センサは、所望の又は理想的な方向又は位置に対する電子ビームの位置又は方向を直接又は間接的に測定するために使用され得る。好ましくは、電子ビームの向きは、ターゲットの位置、又は電子ビームとターゲットとの間の相互作用が起こるように意図された空間内の点を参照して検討され得る。センサの出力は、調整手段のようなX線源の他の部分を制御するための入力として使用され得るため、アライメントの閉ループ又はフィードバック制御の一部を形成し得る。ビーム方位センサは、例えば、実際の電子ビームを測定する電子光学手段、ビームの電子を受け取る電子検出器若しくはセンサ、又はターゲットとの衝突により発生するX線又は電子を観察するための手段によって実現され得る。しかしながら、更なる例及び実装形態が、本発明の異なる実施形態に関連して説明される。
【0012】
第3の態様によれば、電子ビームがターゲットと相互作用してX線放射を発生させるように、ターゲットに向けられた電子ビームを提供するように適合された電子源と、電子ビームに対するターゲットの向きを示す信号を生成するように構成されたターゲット方位センサと、電子ビームに対するターゲットの向きを調整するように構成されたターゲット調整手段とを備えるX線源が提供される。更に、ターゲット方位センサ及びターゲット調整手段に動作可能に接続されており、ターゲット調整手段に、ターゲット方位センサから受け取った信号に基づいてターゲットの向きを調整させるように構成されたコントローラが提供される。
【0013】
第4の態様によれば、X線源をアラインするための方法が提供される。この方法は、電子ビームがターゲットと相互作用してX線放射を発生させるように、ターゲットに向けられた電子ビームを提供することと、電子ビームに対するターゲットの向きを示す信号を生成することと、生成された信号に基づいてターゲットの向きを調整することとを備える。
【0014】
X線源のターゲットは、回転ターゲット又は静止ターゲットのような固体ターゲットであり得る。ターゲットはまた、電子ビームがターゲットに衝突し得る相互作用領域内を伝播する液体金属ジェットのような液体ジェットから形成され得る。
【0015】
ターゲット方位センサを使用することによって、電子ビームに対する(又はターゲットと電子ビームとの間の相互作用が起こるように意図された空間内の点に対する)ターゲットの位置が決定され得る。これにより、所望の又は改善されたアライメントを達成するように、ターゲットの向き、場合によっては電子ビームの向きを調整することができる。ターゲット方位センサは、例えば、電子ビームの下流方向に見てターゲットの背後に配置された電子センサから形成され得る。代替的に、ターゲット位置は、電子ビームとターゲットとの間の相互作用によって生じる後方散乱電子又はX線放射を観察することによって、既知の電子ビーム位置に対して決定され得る。アライメントが不十分であったり正しくなかったりする場合、それは、例えば、X線放射及び後方散乱電子の発生が比較的少ないことで現れ得る。従って、ターゲット方位センサは、例えば、ターゲットの下流での電子ビームの強度、ターゲットから散乱した電子の強度、又は電子ビームとターゲットとの間の相互作用によって生じるX線放射の強度を監視し得る。ターゲットは、好ましくは液体ジェットターゲットである。
【0016】
ターゲットの向きは、ターゲット調整手段によって調整又は制御され得、これは、ターゲットを異なる位置に移動させるため、ターゲットの向きを変えるため、又はそうでなければ電子ビームとの相互作用の意図された点の位置を変えるために用いられ得る。ターゲット調整手段は、X線源の調整及びアライメントを容易に及び改善するために、閉ループ又はフィードバック制御においてターゲット方位センサからの入力に応答して動作され得る。
【0017】
本発明者らは、電子ビームとターゲットとの間の空間的関係又はターゲットの意図された位置を示すセンサからの入力を分析し、調整手段に、センサ入力に基づいて空間的関係を調整させるためにコントローラを使用することで、X線源のアライメントプロセスが容易になり得ることに気付いた。コントローラにより、他の場合にはX線源をアラインするために必要な手動ステップを減らすること又は無くすことができる。従って、これまでは作業集約的で時間のかかるものとして知られていたアライメントプロセスを、自動化されたより高速な方法で実行することができ、その結果、システムのダウンタイムを短縮することができる。これにより、手動調整を使用するときに可能な頻度と比較して、アライメントの調整をより頻繁に実行することもできる。
【0018】
「アライメント」とは、基準に対する電子ビーム又はターゲットの向きを意味する。基準は、例えば、空間内の意図された位置、X線源の基準点若しくは構造、又は電子光学システムの光軸であり得る。代替的又は追加的に、電子ビームのアライメントが、ターゲットに対するその位置又は向きに関連しているのに対して、ターゲットのアライメントは、電子ビーム又は電子スポットに対する位置又は向きを指し得る。
【0019】
「向き」という用語は、何かの相対的な位置又は方向として理解され得、「位置」は、何かのロケーション又は場所として理解され得、「方向」は、何かが移動するコースとして理解され得る。従って、電子ビームの向きは、その伝播方向及び/又はX線源の真空チャンバ内の実際の位置を指し得る。従って、電子ビームの向きを調整すると、相互作用領域、すなわち、電子ビームがターゲットに衝突する(又は衝突ように意図された)点又は領域の位置が変わり得る。従って、ターゲットの向きは、ターゲットが移動するコース、及び/又はX線源内の実際の位置を指し得る。従って、ターゲットの向きを変化させると、相互作用領域において対応する変化が起こり得る。結果として、ターゲットと電子ビームとの間の向きの調整は、ターゲット、電子ビーム、又は両方の向きを調整することによって達成され得る。
【0020】
一実施形態によれば、X線源は、電子ビームの向きを調整するように構成された電子光学手段を備え得る。電子光学手段は更に、電子ビームの向きを示す信号を提供するために用いられ得る。コントローラは、この更なる信号を受け取り得、調整手段に、この更なる信号に基づいてアノード電極とカソードとの間の相対的な向きを調整させるように構成され得る。従って、電子光学手段は、電子ビームのアライメントを調整するためのフィードバックループへの入力を生成するために使用され得る。
【0021】
電子光学手段は、電子ビームの伝播経路に影響を与えるフィールドを発生させるように構成された、例えば偏向板を備える、1つ又は複数のアライメントコイル及び/又は偏向器を備え得る。この場合、更なる信号は、フィールドの強度、ひいては電子光学システムを通過する電子ビームの向きを示し得る。比較的高いフィールドは、アライメントコイルが電子ビームの向きに対して与える影響が比較的高いことを意味し得、比較的低いフィールドは、電子ビームに対して与える影響が比較的低い影ことを意味し得る。
【0022】
従って、電子光学手段は、アライメントプロセスを改善するためにコントローラが使用することができる入力を生成する追加のセンサとして使用され得る。一例では、調整手段によって粗いアライメントを行い、続いて、電子光学手段で微調整して、電子ビームが、意図されたターゲット位置でターゲットと相互作用するようにすることができる。次いで、電子ビームの向き(又は電子光学手段によって行われる調整の程度)を示す更なる信号は、調整手段によって可能な限り正しいアライメントを達成することを目的として、調整手段の更なる調整のための入力として使用され得る。別の言い方をすると、更なる信号は、電子光学手段からの作用又は寄与を低減することを目的とする制御ループにおいて入力として使用され得る。更なる信号がアライメントコイルによって生じるフィールドを示す場合、コントローラは、アライメントコイルによって必要とされるフィールドが低減されるか又は最小になるように、調整手段に、アノードとカソードとの間の相対的な向きを調整させるために使用され得る。
【0023】
本実施形態は、電子光学手段によって印加される比較的低いフィールドを使用しながら、X線源をアラインさせることができるという点で有利である。フィールドの低減は、電子光学手段によって誘発される非点収差の低減をもたらし得るという点で有利である。
【0024】
一実施形態では、電子ビーム焦点が変えられても電子ビームが移動しないようにアライメントが調整され得る。これは、電子ビームが、集束レンズの中心を通って光軸に沿って移動するアライメントに対応する。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、カソードは、調整手段によって、アノード電極とカソードとの間の相対的な向きを変化させることができる可動のフランジに取り付けられ得る。調整手段は、例えば、フランジに作用するアクチュエータ又はモータの形態で提供され得、フランジは、次に、フランジを異なる方向に移動させることができるボールジョイントに枢動可能に接続されているであろう。フランジは、カソードの向き又は傾斜角度を、外側から、すなわち、カソードが位置し得るチャンバ又は保護された環境の外側から変化させることができるように配置され得る。従って、フランジは、カソードに直接アクセスすることなく、アノード電極とカソードとの間の相対的な向きを調整することができるように、チャンバの外側に突出し得る。これは、調整を容易にし、システムのダウンタイムを短縮し得る。
【0026】
フランジは、例えば、電子ビームの方向に対するフランジの角度位置を調整するように配置された2つ以上のアクチュエータに動作可能に接続され得る。アクチュエータ又はモータは、次に、上で説明したように、コントローラによって動作又は制御され得る。更に、チャンバの真空完全性又は気密性を確保するために、可動部分(フランジ)と固定部分(チャンバ、アノード電極)との間にベローズが設けられ得る。
【0027】
代替的に又は追加的に、アノード電極は、電子ビームの向きを調整することができるように、カソードに対して可動であり得る。これは、例えば、アノード電極に動作可能に接続されており、コントローラによって動作され得る電気機械アクチュエータによって達成され得る。
【0028】
カソード及び/又はアノード電極が回転及び並進の両方で移動又は調整され得ることは認識される。
【0029】
一実施形態によれば、ターゲットは、液体ジェット、特に液体金属ジェットの形態で提供され得る。従って、X線源は、ターゲット材料が電子ビームと相互作用し得る相互作用領域を通過するターゲットを形成する金属ジェットを発生させるように構成されたターゲットジェネレータを備え得る。「液体ターゲット」又は「液体アノード」という用語は、本出願の文脈では、液体ジェット、すなわち、例えばノズルを通して押し出され、チャンバ又はハウジングの内部を伝播する液体流又は液体の流れを指し得る。液体ターゲットの代替的な実施形態は、複数のジェット、静止又は回転の液体プール、固体表面上を流れる液体、又は固体表面によって閉じ込められた液体を含み得る。
【0030】
本実施形態によれば、ビーム方位センサは、電子ビームの方向に見て、ターゲットの背後に、かつ、ターゲットがセンサを少なくとも部分的に覆い隠し得るように配置され得る。この構成により、例えば、ターゲットに向かう電子ビーム及びターゲットから出る電子ビームを走査することと、センサにおいて受け取る結果として生じる信号を観察することとによって、ターゲットに対する電子ビームの位置を決定することができる。代替的に又は追加的に、電子ビームの位置は、センサエリアに向かう電子ビーム及びセンサエリアから出る電子ビームを走査することによってセンサに対して決定され得る。ターゲットの位置は、同様の方法で、すなわちターゲット上で電子ビームを走査することと、結果として生じる信号をセンサにおいて観察することとによって決定され得る。従って、センサは、ターゲット方位センサとしても使用され得る。
【0031】
一実施形態によれば、ビーム方位センサ及び/又はターゲット方位センサは、X線源の性能を示す品質尺度を監視するように構成され得る。品質尺度は、例えば、幅、形状、又は温度のようなターゲットの物理的特性を示し得、これらは、X線源及び発生したX線放射の全体的な性能に影響を与え得る。逸脱した品質尺度又はターゲットの性能不良は、ターゲットの向きの調整又はターゲットの交換といった修正動作を引き起こし得る。
【0032】
一実施形態によれば、ビーム方位センサ及び/又はターゲット方位センサは、ターゲットと電子ビームとの間の相互作用を監視するように構成され得る。センサ(複数を含む)は、例えば、相互作用から生じるX線放射の量、ターゲットから散乱する電子の数、ターゲットを透過する電子の数、ターゲットを通過する電子の数、又は電子ビームによって発生した二次電子を直接又は間接的に測定し得る。これら全てのパラメータが、電子ビームとターゲットとの間の相互作用、及び所望のX線放射を発生させる能力に関するX線源の性能を決定する又は示すために使用され得る。センサ(複数を含む)からの信号は、電子ビーム及び/又はターゲットのアライメントを調整するときにコントローラに対する入力として使用され得る。
【0033】
一実施形態によれば、X線源は、ターゲットジェネレータを備え得る。このようなジェネレータによって提供されるターゲットの例には、金属ジェット、トラベリングバンド、及びトラベリングストリングが含まれる。これらのタイプのターゲットは、新しいターゲット材料を相互作用領域において連続的に提供することができ、温度制御を容易にし、高品質のターゲットを可能にするという点で有利である。
【0034】
一実施形態によれば、ターゲット調整手段は、ターゲットジェネレータのノズルの向きを調整するように構成され得る。これにより、例えば、X線源のメンテナンス又はノズルの交換に関連して液体金属ジェットの向きを調整することができる。調整は、例えば、ノズルの位置又は方向を変えるようにノズル上で動作するように配置されたアクチュエータによって達成され得る。ノズルは、電子ビームに対するノズルの相対的な位置、又はターゲットと例えば電子ビームとの間の相互作用を示す信号に基づいて調整され得る。しかしながら、信号は、ターゲットとセンサ手段、例えばターゲットと相互作用するように配置された電磁コイル又はターゲットの位置を検出するフォトダイオードとの間の相互作用のような他の相互作用も示し得る。一例では、ターゲットの画像を取得するために撮像デバイスが利用され得る。次いで、ターゲットの向きが決定され、別のノズルによって発生したターゲットの記憶された参照画像のような別の画像内の以前の向き又は基準位置と比較され得る。これらの画像は、ターゲット上で電子ビームを繰り返し走査し、電子ビームの方向でターゲットの下流にあるセンサエリアにおいて受け取った電流を測定することによって、又はターゲットの写真を撮ることによって取得され得る。
【0035】
代替的に、ターゲットの向きは、ターゲットから下流側で電子ビームの強度を測定することによって決定され得る。次いで、ターゲットの向きを示す信号が、例えば、ターゲットから下流側での電子ビームの強度を示すセンサ信号に基づいて取得され得る。電子ビームがターゲットによって遮られていない場合、下流で最大強度が測定され、電子ビームがターゲットによって最大限に遮られている場合は、最小強度が測定される。従って、ターゲットから下流側で電子ビームの強度の観点から測定されると、電子ビームがターゲットによって遮られる程度は、電子ビームとターゲットとの間の相対的な位置を示す。電子ビームの向きが知られている場合、ターゲットから下流側での電子ビームの強度を示すセンサ信号に基づいてターゲットの向きを見つけることができる。好ましくは、そのようなセンサ信号は、ターゲット上で電子ビームを走査しながら取得される。
【0036】
一実施形態によれば、X線源と、例えばミラーのような外部のX線光学系及び/又は試料位置との間のアライメントが必要とされ得る。これは、X線光学系及び/又は試料位置に対してX線源を移動させることによって達成され得る。液体ジェット源の特定の場合では、これは、電子ビームに沿った方向の移動に制約され得る。ジェット流の方向に沿った調整は、電子光学系を利用して電子ビームを移動させることによって達成され得る。X線光学系の焦点深度が比較的大きいため、電子ビーム及びジェット流の方向に対して垂直な調整は、通常不要である。ミラーを最適位置から数ミリメートル移動させると、典型的な設定では、性能が数パーセント低下し得る。ノズル交換で約0.2mmの位置シフトが起こる可能性があることを考慮すると、多くの場合、この方向の調整は必要とされない。
【0037】
本明細書に開示される技術は、X線源に上述の方法を実行させるようにプログラム可能なコンピュータを制御するためのコンピュータ読取可能な命令として具現化され得る。そのような命令は、命令を記憶した不揮発性コンピュータ読取可能な媒体を備えるコンピュータプログラム製品の形態で分配され得る。
【0038】
いくつかの態様による方法について上で説明した実施形態における特徴がいずれも他の態様によるデバイスと組み合わせられ得ることは認識される。
【0039】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な開示、図面、及び添付の特許請求の範囲を検討すると明らかになるであろう。当業者は、以下に記載されるもの以外の実施形態を作り出すために本発明の異なる特徴が組み合わせられ得ることを認識するであろう。
【0040】
本発明は、添付の図面を参照して例示の目的で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図3b】
図3aの電子源のフランジの側面図である。
【
図4a】ターゲットに対する電子ビームのアライメントプロセスを例示する。
【
図4b】ターゲットに対する電子ビームのアライメントプロセスを例示する。
【
図5】X線源のターゲットジェネレータを例示する。
【
図6】本発明によるX線源をアラインするための方法のフローチャートである。
【
図7】本発明によるX線源をアラインするための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
全ての図は概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、概して、本発明を説明するために必要な部分だけを示しており、他の部分は省略され得るか、又は単に示唆され得る。
【0043】
本発明の一実施形態によるX線源100が、
図1を参照して説明される。
図1に示されるように、低圧チャンバ又は真空チャンバ104は、筐体102と、周囲の大気から低圧チャンバ104を分離するX線透過窓106とによって画定され得る。X線源100は、相互作用領域又はターゲット位置Iを通過する流れ軸に沿って移動する液体ジェット162を形成するように構成された液体ジェットジェネレータ160のようなターゲットジェネレータを備え得る。液体ジェットジェネレータ160は、ノズルを備え得、それを通して、例えば液体金属のような液体が噴射され、例えば相互作用領域Iに向かい、相互作用領域I内を伝播する液体ジェット162を形成し得る。液体ジェット162は、相互作用領域I内を通って、流れ方向に関して液体ジェットジェネレータ160の下方に配置された収集装置163に向かって伝播する。
【0044】
X線源100は、相互作用領域Iに向けられた電子ビームeを提供するように構成された電子源110を更に備える。電子源110は、電子ビームeを発生させるためのカソード及びアノード電極(
図1には図示せず)を備え得る。相互作用領域Iにおいて、電子ビームeは液体ジェット162と相互作用してX線放射を発生させ、X線放射は、X線透過窓106を介してX線源100から外に透過される。ここでは、X線放射は、電子ビームeの方向に対して実質的に垂直な方向にX線源100から外に透過される。
【0045】
液体ジェットを形成する液体は、収集装置163によって収集され、その後、ポンプによって再循環経路164を介して液体ジェットジェネレータ160に再循環され、そこでは、液体が再利用されて液体ジェット162を連続的に発生させ得る。
【0046】
ビーム方位センサ130のようなセンサ装置は、ここではX線源100の一部として例示されている。ビーム方位センサ130は、電子ビームeとターゲット162の相対的な位置若しくは向き及び/又はX線源の性能を示す品質尺度を監視するように構成され得る。センサ130は、液体ジェット162を通過する電子ビームeの少なくとも一部を受け取るように配置され得る。従って、センサは、電子源110の視点から見て相互作用領域Iの背後に配置された電子検出器であり得る。液体ジェット162が移動するか又は形状を変化させる場合、電子ビームeの少なくとも一部は、液体ジェット162を通過し、電子検出器130と相互作用し得る。従って、電子検出器130は、ターゲット162と電子ビームeの相対的な向き又はアライメントを示す品質尺度を監視し得る。
【0047】
コントローラ又は処理ユニット140も、ここではX線源100の一部として例示されている。コントローラ140は、低圧チャンバ104の内側又は外側に配置され得、当業者は、処理ユニット140の他の可能な配置が添付の特許請求の範囲内で可能であることを認識する。従って、コントローラ140及びX線源100は、単一の物理又は論理エンティティにおいて、又は分散ネットワークの通信部分として実装され得る。
【0048】
図2は、一実施形態によるX線源100の概略図である。本X線源100は、
図1に関連して説明したX線源100と同様に構成され得る。
【0049】
例示されるように、X線源100は、カソード112及びアノード電極114を備える電子源110を備え得る。カソード112は、熱電子放出によって電子流を作り出すために加熱される熱カソード112であり得る。カソード112の更なる例には、熱電子カソード及び熱電界又は冷電界荷電粒子源が含まれる。次いで、放出された電子は、カソード112とアノード電極114との間に印加される電界によってアノード電極114に向かって加速され、アノード電極114によって画定された孔115を通って電子源110から出ることができる。アノード電極114は、電子源110の筐体の一部を形成し得、別個の要素として配置され得、及び/又は電子ビームeを作り出すための所望を発生させる複数の電極の配置の一部を形成し得る。
【0050】
カソード112及びアノード電極114の向きは、放出された電子を加速する電界の向きを決定し得る。電界の向きと、結果として生じる電子ビームeが電子源110から放出されて通るアパーチャ115の位置とは、電子ビームeの方向又は軌道を定義し得る。従って、アノード電極114とカソード112との間の相対的な向きを変化させることによって、電子ビームeの向きが制御され得る。本実施形態では、これは、コントローラ140によって動作される調整ねじ120のような調整手段120によって実行され得る。調整ねじ120は、アノード電極114に対するカソード112の位置を調整するように構成され得る。この調整は、例えば、電子が放出される位置を変えるようにカソード112を傾斜又は回転させることによって実現され得る。本実施例では、調整手段120は、筐体102によって画定された真空チャンバ内に配置される。しかしながら、調整手段120は、いくつかの例では、真空チャンバの外側に配置され得、真空チャンバ内の環境に影響を与えることなくそこからアクセスされ得る。電子源110及び調整手段120のより詳細な例は、
図3に関連して説明される。
【0051】
X線源100は、電子源110から放出された電子ビームeの向きを調整するように構成された電子光学手段150を更に備え得る。電子光学手段150は、例えば、電子の軌道ひいては電子ビームeの形状及び向きに影響を与えるように電子に作用するように配置された1つ又はいくつかの磁気レンズ及び静電レンズ及び/又は偏向板を備え得る。印加されたフィールドの強度と電子への影響との間の相関関係が仮定され得、これにより、印加されたフィールドの強度を、電子光学手段150が電子ビームに与える影響の程度の尺度として使用することができる。
【0052】
電子光学手段150は、電子ビームを異なる方向に偏向させるように構成された偏向手段154と、電子スポットにおいて電子ビームをターゲットに集束させるように構成された集束手段152とを備え得る(
図4a参照)。電子スポットのサイズは、集束手段に適用される焦点設定を調整することによって調整され得る。
【0053】
電子光学手段150は、コントローラ140によって制御され得、従って、電子ビームeを所望の方向に向けるために、電子源110の調整手段120とともに使用され得る。電子光学手段150を用いて、電子源110のカソード112とアノード電極114との間の相対的な向きを検証及び/又は制御する特定の例が説明される。
【0054】
第1のステップでは、調整手段120の初期設定が選択される。初期設定は、例えば、統計的に決定された最初の推定値であるか、又は以前の設定(例えば、電子源110のメンテナンス又は交換の前に使用された最後の既知の設定)で使用され得る、記憶された設定に基づき得る。調整手段120の初期設定は、特定の軌道を有する電子ビームeをもたらす。この軌道は、電子光学手段150によって、電子ビームeが所望の位置に衝突するか又は所望の位置を通過するように調整され得る。電子光学手段150は、例えば、電子ビームeがターゲットに対して正しいアラインを与えるように又は所望の位置でセンサ130に衝突するように、電子ビームeの軌道を微調整するために使用され得る。
【0055】
電子光学手段150からの寄与は、調整手段120の初期設定が許容可能なものであるかどうか又は変更する必要があるかどうかを決定するために、コントローラによって使用され得る。コントローラは、この決定を以下の推論に基づいて行い得る:
- 電子光学手段150からの比較的小さい寄与は、調整手段120の初期設定が比較的正しいアプローチ(ansatz)であることを示している。換言すると、電子源110のカソード112とアノード電極114との間の相対的な向きは、意図されたターゲット位置に対してアライメント基準を満たすためにわずかな調整だけを必要とする初期の向きを有する電子ビームをもたらす。
- 電子光学手段150からの比較的大きい寄与は、調整手段120の設定が改善され得ることを示す。従って、初期のアプローチは、電子ビームeの所望の向きを達成するために電子光学手段150による微調整をあまり必要としない電子ビーム経路をもたらし得る別の設定に置き換えられるべきである。
【0056】
従って、コントローラ140は、電子ビームeを自動的にアラインするためにフィードバックループにおいて調整手段120及び電子光学手段150を使用し得る。アライメントは、高い性能を維持し、X線源100の摩耗及び経年劣化を補償するために、例えば、X線源100のサービス又はメンテナンスに関連して、及び/又はX線源100の動作中に定期的に、実行され得る。
【0057】
図3a及び
図3bは、
図1及び
図2に関連して上述した実施形態と同様に構成され得る実施形態による電子源110の概略図である。本実施例では、電子源110は、カソード112とアノード電極114との間の相対的な向きを変化させることができる可動のフランジ116に取り付けられているカソード112を備える。カソード112は、カソードの電子放出部分及びアノード電極114を囲むハウジング119に対して可動であり得る。ハウジング119は、真空チャンバを画定する筐体102に接続され得、真空チャンバ内の環境に影響を与えることなくフランジ116とハウジング119との間の相対運動を可能にするためのベローズ構造117のようなシール117が、フランジ116とハウジング119との間に設けられ得る。
【0058】
フランジ116の向きは、カソード112の角度方向を制御するように配置された第1及び第2のアクチュエータ120のようの調整手段120によって変えられ得る。アクチュエータ120は、
図3aの断面図に例示されており、フランジ116とハウジング119の壁との間の間隙を制御する。アクチュエータの例には、圧電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、リニアモータ(ボイスコイル)、及び適切なギア装置を有する回転モータが含まれる。本実施例では、アクチュエータ120は、真空チャンバの外側に配置される。この構成では、真空は、アクチュエータのための予圧として使用され得、すなわち、大気圧は、フランジ116とハウジング119の壁との間の間隙を広げるためにアクチュエータ120が克服しなければならない力をフランジ116に与えることとなる。
図3aに示されるように、フランジ116の上部とハウジング119の壁との間の距離が減少すると、カソード112の電子放出部分の位置が下がるようなカソード112の傾斜運動が起こり得る。逆に、フランジ116の下部との距離が短くなると、カソード112の電子放出部分がアノード電極114に対してより高い位置に上げられ得る。アクチュエータ120の過度の動きによる真空シールの不慮の破壊を防ぐために、機械的停止部が設けられ得る(図示せず)。
【0059】
図3bは、
図3aのフランジ116の側面図を示し、フランジ116は、ボールジョイント118(位置が
図3bにおいて破線によって示されている)を介してハウジング119に枢動可能に接続されている。アクチュエータ120は、ボールジョイント118と協働してボールジョイント118を中心にしたフランジ116の所望の角度調整を提供するように配置され得る。アクチュエータを共通の方向に沿って変位させることで、2つのアクチュエータを結ぶ線に並行であり、ボールを通過する軸を中心にしてフランジを傾斜させることができ、アクチュエータを反対方向に変位させると、2つのアクチュエータを結ぶ線に対して垂直な方向に、ボールを通過する軸を中心にしてフランジを傾斜させることができる。
図3bに示される本実施例では、アクチュエータを共通の方向に沿って変位させることで、カソードを図の上下方向に傾斜させることができ、アクチュエータを反対方向に変位させることで、カソードを図の左右方向に傾斜させることができる。
【0060】
図4aは、
図1~
図3に関連して説明した実施形態と同様に構成され得る実施形態によるX線源の電子光学手段150及びターゲットJを示す。
図4aは、電子ビームeの偏向の平面で描かれており、各々が電子光学手段150の偏向手段154の設定に対応する3つの異なる偏向方向I1、I1’、I1’’のビームを示している。ビームの角度は、縮尺通りに描かれていないが、ターゲットの上方(I1)、内側(I1’)、及び下方(I1’’)のビーム位置が、小さい角度範囲を表し、従ってビームが、更に下流に位置するセンサ(図示せず)によって捕捉され得ることは強調される。
【0061】
ターゲットJに対する電子ビームeのアライメントは、複数の偏向手段設定Uの各々についてターゲットJの下流のセンサからの信号を記録しながら、偏向手段154によってターゲットJ上でビームを走査することによって決定され得る。このようなデータセットが
図4bにプロットされている。ターゲットJがセンサエリアと重複している場合、その存在は、センサ信号Eが低減されるか又はゼロに近い間隔として現れる。プロットされた曲線の最小値は、ターゲットの内側(I1’)のビーム位置となる偏向手段設定Uに対応する。
【0062】
センサ信号値Eの記録は、電子光学手段150の設定に応じて実行される必要はないことが強調される。実際には、調整手段の好ましい設定を決定するために、カソード及びアノード電極(
図4a及び
図4bには図示せず)の異なる相対的なアライメントの値を記録することが好ましい場合がある。
【0063】
電子ビームは、センサエリアから外に偏向されるように、偏向手段154によってセンサエリア上で走査される。このようにして、電子ビームの特定の位置に対応する偏向手段の設定が決定され得るか、又は代替的に、偏向されていない電子ビームの位置が取得され得る。アライメントが十分であるかどうかを決定するために、2つの異なる集束手段(152)の設定についての電子ビームの位置の変化が決定され得、この変化が所定の範囲内であれば、アライメントは十分に良好であるとみなされ得る。カソードとアノード電極との間の相対的な向きは、この基準が満たされるまで調整され得る。機械的公差が十分であれば、電子ビーム焦点が変えられたときに電子ビームの予測された動きを確実にする手順でも、満足のいく性能が得られ得、すなわち、電子ビームの更なるアライメントは必要されないであろう。これは、アライメントコイルが必要とされないという意味で、電子光学手段150を簡略化し得る。
【0064】
一実施形態では、電子ビームの所望のアライメントは、集束レンズの光軸に沿ったものである。これを達成するために、カソードとアノード電極との間の相対的な向きは、電子ビーム焦点が変えられても電子ビームの動きがごくわずかになるまで調整され得る。従って、この実施形態では、上述の所定の範囲は、所定の限界値に対応する。換言すると、アライメントは、異なる集束手段設定についての電子ビーム位置の差が所定の限界値を下回るまで調整され得る。
【0065】
図5は、一実施形態によるターゲットジェネレータ260の概略図である。ターゲットジェネレータ260は、
図1~
図4に関連して上述した実施形態のいずれか1つによるX線源に含まれ得る。本実施例では、ターゲットジェネレータ260は、液体ジェット262の形態でターゲットを発生させるように構成される。液体ジェット262、すなわちターゲットは、液体金属又は液体合金のような流体を噴射して液体ターゲット262を形成することができるノズル261を備えるターゲットジェネレータ260によって形成され得る。本発明概念の実施形態によるX線源が、複数の液体ターゲット及び/又は複数の電子ビームを備え得ることに留意されたい。本発明の好ましい実施形態では液体金属が使用されるが、液体キセノンのような他の液体ターゲットが使用されることも考えられる。
【0066】
液体ジェット262は、導管システム264に接続されている収集リザーバ263によって収集され、液体の圧力を上昇させるように適合された高圧ポンプのようなポンプ266によって、ターゲットジェネレータ260に戻され得る。圧力は、液体ジェットを発生させるために、少なくとも10バール、好ましくは少なくとも50バールであり得る。
【0067】
X線源は、電子ビームeの向きに対してターゲットの向きを調整するためのターゲット調整手段280を更に備え得る。調整手段280は、筐体102(
図5には図示せず)内に又は真空チャンバの外側に配置され得る。調整手段280をチャンバの外側に配置することは、調整手段280のモータ、歯車機構、潤滑剤、及び他の要素から生じる汚染物質でチャンバを汚染するリスクを低減するという観点から有利であり得る。調整手段280は、いくつかの例では、例えば、生成されたターゲットの向きに影響を与えるようにターゲットジェネレータ260を回転及び/又は並進させることによって、ターゲットジェネレータ260に作用することができる。代替的又は追加的に、ターゲット調整手段は、ターゲットの位置、ひいてはターゲットと電子ビームとの間の相対的な向きを移動又は調整するようにターゲットに直接作用し得る。更に、ターゲット調整手段が、電子ビームを調整するための調整手段とともに動作し得ることは強調される。
【0068】
図5に例示する本実施例では、ターゲット調整手段280は、ターゲットジェネレータ260の位置、特に液体ジェット262を形成する液体を噴射するノズル261の向きを調整するように構成される。これは、調整ねじのような調整機構に作用する、モータのようなアクチュエータによって実行され得る。好ましくは、アクチュエータは、ターゲット向きの自動調整を可能にするために、コントローラに通信可能に接続される。液体ジェットの流れ軸に対して実質的に垂直な方向及び電子ビームの進行方向に対して実質的に垂直な方向へのターゲット位置の調整は、電子光学システムが代わりに電子ビームを移動させることができる程度に必要な調整が小さければ、場合によっては必要でない場合がある。外部のX線光学系の焦点深度が十分に大きければ、このアプローチで十分であり得る。しかしながら、多くの場合、電子ビームの進行方向に沿ったターゲット位置の調整は、省略されることも、電子ビームの移動に置き換えられることもないであろう。用途がX線源の正確な位置に敏感でないのであければ、わずかに変位した位置で所望のスポットサイズを保持するように電子ビームの焦点を調整するので十分であり得る。多くの場合、外部のX線光学系の光軸に対して垂直な方向へのX線スポットの変位が、外部の光学系及び/又はX線放射を受けるように意図された試料の再アライメントを必要とし得るため、これは好ましくないであろう。
【0069】
依然として
図5を参照すると、磁界ジェネレータ270が液体ジェット262に関連して示されている。磁界ジェネレータは、液体ターゲット262と相互作用する磁界を発生させるための複数の手段を備え得る。そのような手段の例には、液体ターゲット262の経路の異なる側に配置され得る電磁石が含まれ得る。
【0070】
磁界ジェネレータ270は、いくつかの例では、好ましくは相互作用領域において、ターゲットの形状又は位置を調整するためのターゲット調整手段として使用され得る。代替的又は追加的に、磁界ジェネレータ270は、ターゲット262の向きを示す信号を生成するように構成されたターゲット方位センサとして使用され得る。センサ機能は、ターゲットと磁界との間の相互作用を利用して、ターゲットの実際の位置又は磁界に対する位置の変化に関する知識を得ることができる。磁界ジェネレータ270は、ターゲットの向きに関する情報をコントローラ140に提供するように、及び/又は、コントローラ140がターゲットの向きを修正するためのターゲット調整手段として磁界ジェネレータ270を使用することができるように、コントローラ140に接続され得る。
【0071】
図5は、ターゲット262の画像を取得するように配置されたカメラ272のような撮像デバイスを更に例示する。カメラ272からの信号は、ターゲット262の現在の位置をターゲットの以前の位置又は基準位置と比較するために使用され得る。一例では、以前の位置情報は、前のノズルによって発生したターゲット262の記憶された参照画像に対応する。カメラ272が、ターゲットジェネレータ260又は液体ジェット262を噴射するノズル261の位置を示す基準構造のような、システムの他の部分も観察するように配置され得ることに留意されたい。
【0072】
カメラ272は、例えば、ノズル261を交換した後に、ターゲットの初期の粗いアライメントを提供するために使用され得る。次いで、粗いアライメントは、前の実施形態に関連して上述したアライメント手順のいずれかによって微調整され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、X線源は、X線源の性能を示す品質尺度を監視するためのセンサを備え得る。品質尺度は、例えば、強度又は輝度のような、発生したX線放射の特性に関連し得る。更に、X線源は、ターゲットと電子ビームeとの間の相互作用を示すセンサを備え得る。相互作用は、例えば、ターゲットによって散乱された電子の数、ターゲットによって吸収された電子の数、又はターゲットを通過する電子の数と、チャンバ内に存在する二次電子の数とによって特徴付けられ得る。相互作用はまた、発生したX線放射によって特徴付けられ得る。
【0074】
上記のパラメータは、ターゲットと電子ビームとの間のアライメントに関する知識を得るため、並びにビーム調整手段及び/又はターゲット調整手段をどのように動作させるかを決定するために使用され得る。
【0075】
電子ビームの進行方向においてターゲットの下流にセンサエリアを設けることによって、電子ビームとターゲットとの間の相対的な向きは、ターゲット上で電子ビームを走査し、異なる位置でセンサエリアに到達する電子の量を測定することによって決定され得る。電子ビームの断面積がターゲットと比較して比較的小さい場合には、電子ビームがターゲットによって遮られると高電流から低電流への遷移を検出し、同様に、電子ビームが遮られていないと低レベルから高レベルへの遷移を検出することで、ターゲット幅及びターゲット位置を測定することができる。ここでは、ターゲットジェネレータが交換されている場合が例示的な例として説明される。ターゲット上で電子ビームを走査することによってターゲット位置を測定することによって、交換前の状況と比較してターゲットの変位が決定され得る。電子ビームに対して実質的に垂直な方向の変位は、この方向へのターゲット位置の変化をもたらす。電子ビームの焦点が変えられなければ、電子ビームに沿った方向の変位は、見かけ上のターゲット幅の変化をもたらす。焦点設定を変更し、走査を繰り返すことによって、どの焦点設定でターゲットロケーションが電子ビームの最小断面積に対応するかを決定することが可能である。この情報から、電子ビームの方向の変位が取得され得る。
【0076】
代わりに、ターゲットによって吸収された電流又はターゲットから散乱した電子が測定される場合、上記と同様の考察が適用され得る。入射する電子は、ターゲットから逸れたり、ターゲットによって吸収されたり、ターゲットから散乱したりし得る。従って、ターゲットの向きを決定するために、ターゲット上で電子ビームを走査しながら、これら3つの量のいずれかが測定され得る。コントローラは、この情報を使用して、それに応じてターゲットの向きを調整することができる。
【0077】
別の可能性は、電子ビームとターゲットとの間の相互作用によって生じるX線放射を測定することであり得る。ターゲット上で電子ビームを走査することによって、X線放射の量は、電子ビームがターゲットを通過するときの少量から、電子ビーム全体がターゲットに衝突するときの大量まで変化する。
【0078】
上記のパラメータは、異なるタイプのセンサによって決定され得る。いくつかの実施形態では、X線源は電子ビームeの方向に見て、ターゲットの背後に配置されたビーム方位センサ130を備え得る。ビーム方位センサ130は、ターゲットを通過し、従ってX線放射の発生に寄与しない電子の数を決定するために使用され得る。散乱電子又は二次電子の数は、チャンバ内に配置された、例えば電流計に接続されている電極のような電子検出器によって検出され得る。更に、発生したX線放射は、チャンバの外側に配置されたX線感知検出器によって測定され得る。
【0079】
これらのセンサは、上で説明したような自動アライメントプロセスにおいてフィードバックとして使用可能な情報をコントローラ140に提供することができるように、コントローラ140に接続され得る。
【0080】
図6は、一実施形態による方法を概説するフローチャートである。この方法は、
図1~
図5に関連して説明した実施形態と同様に構成され得るX線源で実行され得る。本実施例では、方法は、以下のステップのうちの少なくともいくつかを備え得る:
カソード112から電子を放出すること610;
放出された電子をアノード電極114によって加速して電子ビームeを形成すること620;
ターゲット位置に対する電子ビームeの向きを示す信号を生成すること630;
コントローラ140によって生成された信号に基づいて、コントローラ140によって、アノード114とカソード112との間の相対的な向きを調整すること640;
アライメントコイル150によって、ターゲット位置に対する電子ビームeの向きを示す生成された信号に基づいて電子ビームeの向きを調整すること650;
アライメントコイル150によって生じるフィールドを示す更なる信号を監視すること660;
アライメントコイル150によって生じる、所望のアライメントを達成するために必要なフィールドが低減されるように、アノード電極114とカソード112との間の相対的な向きを調整すること670。
【0081】
方法の別の実施形態(例示されない)は、以下のステップを備え得る:
カソード112から電子を放出すること;
放出された電子をアノード電極114によって加速して電子ビームeを形成すること; 集束手段152の2つの異なる設定について偏向器154によってセンサエリア上で電子ビームを走査すること;
2つの異なる集束手段設定について電子ビームの位置差を決定すること;
位置差が所定の限界値を下回るように、アノード電極とカソードとの間の相対的な向きを調整すること。
【0082】
図7は、一実施形態による方法を概説するフローチャートである。この方法は、
図1~
図5に関連して説明した実施形態と同様に構成され得るX線源で実行され得る。本実施例では、方法は、以下のステップのうちの少なくともいくつかを備え得る:
電子ビームがターゲットと相互作用してX線放射を発生させるように、ターゲットに向けられた電子ビームeを提供すること710;
電子ビームに対するターゲットの向きを示す信号を生成すること720;
コントローラ140によって生成された信号に基づいて、コントローラ140によってターゲットの向きを調整すること730。
【0083】
ターゲットがノズル261によって発生した液体ジェット262である場合、電子ビームに対するターゲットの向きを示す信号は、ターゲットの方を見る撮像デバイス272によって生成され得る。そうである場合、方法は、ターゲットの現在の画像が前のターゲットの以前に取得された画像と相関するまで、ノズル261を移動させることによってターゲット262の向きを調整するステップ740を備え得る。
【0084】
代替的に又は追加的に、ターゲット262の位置を示す画像は、ターゲット262上で電子ビームeを走査750することによって取得され得る。
【0085】
当業者は、上で説明した例となる実施形態に限定されるものではない。反対に、添付の特許請求の範囲内で多くの修正及び変形が可能である。特に、1つよりも多くのターゲット又は1つよりも多くの電子ビームを備えるX線源及びシステムが、本発明の概念の範囲内で考えられる。更に、本明細書で説明したタイプのX線源は、医療診断、非破壊試験、リソグラフィ、結晶解析、顕微鏡法、材質科学、顕微鏡法表面物理学、X線回折による蛋白質構造決定、X線光分光法(XPS)、臨界寸法小角X線散乱(CD-SAXS)、及び蛍光X線(XRF)によって例示されるがこれらに限定されない特定の用途に合わせて調整されたX線光学系及び/又は検出器と有利に組み合わせられ得る。追加的に、開示された例に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 電子ビーム(e)と液体ジェットターゲットとの間の相互作用によってX線放射(X)を放出するように構成されたX線源(100)であって、
電子を放出するように構成されたカソード(112)と、放出された電子を加速して前記電子ビームを形成するように構成されたアノード電極(114)とを備える電子源(110)と、
前記電子源の前記アノード電極と前記カソードとの間の相対的な向きを調整するように構成された調整手段(120)と、
集束設定に従って前記電子ビームを前記液体ジェットターゲットに集束させるように構成された集束手段(152)と、
センサエリアに対する前記電子ビームの向きを示す信号を生成するように配置されたビーム方位センサ(130)と、
前記集束手段、前記ビーム方位センサ、及び前記調整手段に動作可能に接続されているコントローラ(140)と
を備え、
前記コントローラは、前記集束設定が変更されたときに、前記ビーム方位センサから受け取る信号が所定の間隔内で変化するように、前記調整手段に、前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを調整させるように構成されている、
X線源。
[2] 前記コントローラによって提供されるアライメント設定に従って前記電子ビームの向きを調整するように構成された電子光学手段(150)を更に備え、前記コントローラは、前記電子ビームが前記センサエリアに対して所定の位置に向けられていることを前記生成された信号が示すように、前記アライメント設定を調整するように構成されている、[1]に記載のX線源。
[3] 前記アライメント設定は、前記電子光学手段によって生じる電磁界に対応し、コントローラは、前記電子ビームを前記所定の位置に向けるために必要な前記アライメント設定が低減された電磁界に対応するように、前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを調整するように更に構成されている、[2]に記載のX線源。
[4] 前記電子ビームの向きを調整し、前記電子ビームの向きを示す更なる信号を提供するように構成された電子光学手段(150)を更に備え、前記コントローラは、前記電子光学手段から前記更なる信号を受け取り、前記調整手段に、前記更なる信号に基づいて前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを調整させるように構成されている、[1]に記載のX線源。
[5] 前記電子光学手段は、アライメントコイルを備え、
前記更なる信号は、前記アライメントコイルによって生じるフィールドを示し、
前記コントローラは、前記調整手段に、前記フィールドが低減されるように前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを調整させるように構成されている、
[2]又は[4]に記載のX線源。
[6] 前記カソードは、前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを変化させることができる可動のフランジ(116)に取り付けられており、
前記調整手段は、前記フランジに接続されており、前記フランジの角度方向を調整するように配置されたアクチュエータである、
[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のX線源。
[7] 前記フランジは、ボールジョイント(118)に枢動可能に接続されている、[6]に記載のX線源。
[8] 前記カソードは、前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを2つの方向に沿って変化させることができる可動のフランジ(116)に取り付けられており、
前記調整手段は、前記フランジに接続されており、前記2つの方向に沿って前記フランジの角度方向を調整するように配置された2つのアクチュエータを備え、
前記フランジは、ボールジョイント(118)に枢動可能に接続されている、
[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のX線源。
[9] 前記液体ジェットターゲットを形成する液体金属ジェットを発生させるように構成されたターゲットジェネレータを更に備え、前記センサエリアは、前記電子ビームの方向に見て、前記液体ジェットターゲットの背後に配置されている、[1]乃至[8]のいずれか一項に記載のX線源。
[10] 液体ジェットターゲットX線源をアラインするための方法であって、
カソード(112)から電子を放出すること(610)と、
前記放出された電子をアノード電極(614)によって加速して電子ビーム(e)を形成すること(620)と、
集束コイルに少なくとも2つの集束設定を適用することによって前記電子ビームを集束させることと、
前記少なくとも2つの集束設定についてセンサエリアに対する前記電子ビームの向きを示す信号を生成すること(630)と、
コントローラ(140)によって、前記少なくとも2つの集束設定についての前記生成された信号間の差が所定の間隔内となるように、前記アノード電極と前記カソードとの間の相対的な向きを調整すること(640)と
を備える方法。
[11] アライメントコイル(150)によって、ターゲット位置に対する前記電子ビームの向きを示す前記生成された信号に基づいて前記電子ビームの向きを調整すること(650)と、
前記アライメントコイルによって生じるフィールドを示す更なる信号を監視すること(660)と、
前記コントローラによって、前記アライメントコイルによって生じるフィールドが低減されるように、前記アノード電極と前記カソードとの間の前記相対的な向きを調整すること(670)と
を更に備える、[10]に記載の方法。
[12] 前記少なくとも2つの集束設定について前記センサエリアに対する前記電子ビームの向きを示す信号を発生させるステップは、各集束設定について、前記センサエリア上で前記電子ビームを走査することを含む、[10]又は[11]に記載の方法。
[13] X線源(100)であって、
電子ビーム(e)が液体ジェットターゲット(J)と相互作用してX線放射(X)を発生させるように、前記液体ジェットターゲット(J)に向けられた前記電子ビーム(e)を提供するように適合された電子源(110)と、
前記液体ジェットターゲット上で前記電子ビームを走査するように配置された偏向器と、
電子ビーム位置に応じて前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す量を監視することによって、前記電子ビームに対する前記液体ジェットターゲットの向きを示す信号を生成するように構成されたターゲット方位センサ(270,272)と、
前記電子ビームに対する前記液体ジェットターゲットの向きを調整するように構成されたターゲット調整手段(280)と、
前記ターゲット方位センサ及び前記ターゲット調整手段に動作可能に接続されているコントローラ(140)と、
前記コントローラは、前記ターゲット調整手段に、前記ターゲット方位センサから受け取った前記信号に基づいて前記液体ジェットターゲットの向きを調整させるように構成されている、
X線源。
[14] 前記ターゲット方位センサは、前記液体ジェットターゲットの下流で前記電子ビームの強度を監視するように構成されている、[13]に記載のX線源。
[15] 前記ターゲット方位センサは、前記液体ジェットターゲットから散乱した電子の強度、又は前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の前記相互作用によって生じるX線放射の強度を監視するように構成されている、[13]に記載のX線源。 [16] 前記X線源は、ターゲットジェネレータを更に備え、前記ターゲット調整手段は、前記ターゲットジェネレータのノズルの向きを調整するように構成されたアクチュエータを備える、[13]乃至[15]のいずれか一項に記載のX線源。
[17] X線源をアラインするための方法であって、
電子ビームが液体ジェットターゲットと相互作用してX線放射を発生させるように、前記液体ジェットターゲットに向けられた前記電子ビームを提供すること(710)と、
前記液体ジェットターゲット上で前記電子ビームを走査することと、
電子ビーム位置に応じて前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す量を監視することによって、前記電子ビームに対する前記液体ジェットターゲットの向きを示す信号を生成すること(720)と、
コントローラによって前記生成された信号に基づいて、前記コントローラによって、前記電子ビームに対する前記液体ジェットターゲットの向きを調整すること(730)と、
を備える方法。
[18] 前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す前記量は、前記液体ジェットターゲットの下流での電子ビームの強度である、[17]に記載の方法。
[19] 前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す前記量は、前記液体ジェットターゲットから散乱した電子の強度、又は前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の前記相互作用によって生じるX線放射の強度である、[17]に記載の方法。
[20] 前記液体ジェットターゲットは、ノズルによって発生し、前記方法は、
前記液体ジェットターゲット上で前記電子ビームを繰り返し走査し、前記電子ビームと前記液体ジェットターゲットとの間の相互作用を示す前記量を記録することによって、前記液体ジェットターゲットの画像を生成することと、
前記液体ジェットターゲットの現在の画像が前の液体ジェットターゲットの以前に取得された画像と相関するまで、前記ノズルを移動させることによって前記液体ジェットターゲットの向きを調整すること(740)と
を備える、[17]乃至[19]のいずれか一項に記載の方法。