(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】両面テープ及びテープカッター
(51)【国際特許分類】
C09J 7/40 20180101AFI20241216BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241216BHJP
B65H 35/07 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C09J7/40
C09J7/38
B65H35/07 D
B65H35/07 K
(21)【出願番号】P 2023519593
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2023012113
(87)【国際公開番号】W WO2023090464
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-124177(JP,A)
【文献】特開2003-020161(JP,A)
【文献】特開平09-048553(JP,A)
【文献】中国実用新案第208308058(CN,U)
【文献】特開2021-038081(JP,A)
【文献】特開2005-320047(JP,A)
【文献】特開2001-181584(JP,A)
【文献】特開平05-320591(JP,A)
【文献】特開昭61-083275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/00-7/50
B65H 35/00-35/10
B65D 1/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着面である第1及び第2の面を有するテープ本体と、
前記第1の面に貼付された剥離紙と、を備え、
前記剥離紙は、前記第1の面の一部にのみ貼付されて
おり、
前記剥離紙の幅は、前記テープ本体の幅よりも小さく、
前記剥離紙の中心線は、前記テープ本体の中心線に一致することを特徴とする両面テープ。
【請求項2】
請求項
1に記載の両面テープにおいて、
前記剥離紙の前記幅は、前記テープ本体の前記幅の50%以下である両面テープ。
【請求項3】
請求項
1に記載の両面テープにおいて、
前記剥離紙の前記幅は、前記テープ本体の前記幅の20%以上である両面テープ。
【請求項4】
請求項
1に記載の両面テープにおいて、
前記剥離紙は、前記テープ本体の延在方向について、前記第1の面に連続的に貼付されている両面テープ。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れかに記載の両面テープにおいて、
前記第1の面の全体が前記粘着面である両面テープ。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載の両面テープを
備えるテープカッター。
【請求項7】
請求項
6に記載のテープカッターにおいて、
前記両面テープを両側方から覆う一対の側板部と、
前記各側板部の下端に接続された底板部と、
前記底板部の端部に設けられ、前記テープ本体の前記第1の面側に当接した状態で前記両面テープを切断する切断刃と、
前記切断刃の上方に設けられ、前記両面テープの端が前記切断刃から浮いた状態で前記第2の面が貼着される貼着部と、
を備えるテープカッター。
【請求項8】
請求項
7に記載のテープカッターにおいて、
上下方向についての前記切断刃から前記貼着部までの距離は、前記一対の側板部間の間隔以上であるテープカッター。
【請求項9】
請求項
7に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記各側板部に接続されているテープカッター。
【請求項10】
請求項
9に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記各側板部の側端に接続されているテープカッター。
【請求項11】
請求項
7に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の先端部の幅は、前記テープ本体の幅よりも小さいテープカッター。
【請求項12】
請求項
7に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の厚みは、前記各側板部の厚みに等しいテープカッター。
【請求項13】
請求項
7に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記一対の側板部、及び前記底板部と同一の材料からなるテープカッター。
【請求項14】
請求項
7に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記一対の側板部に対して着脱自在であるテープカッター。
【請求項15】
請求項
6に記載のテープカッターにおいて、
前記両面テープを両側方から覆う一対の側板部と、
前記各側板部の下端に接続された底板部と、
前記一対の側板部の側端間の所定の範囲内に前記両面テープの引出部を案内する案内部と、を備え、
前記案内部は、
前記底板部から離間しており、前記引出部が通過する開口と、
前記開口に連設され、前記引出部が貼着される貼着部と、
前記開口を通過した前記引出部を切断する切断刃と、を有するテープカッター。
【請求項16】
請求項
15に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記開口から前記一対の側板部の外側に向かって張り出しているテープカッター。
【請求項17】
請求項
15に記載のテープカッターにおいて、
前記切断刃の先端は、前記貼着部から離間しているテープカッター。
【請求項18】
請求項
15に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の幅は、前記テープ本体の幅よりも小さいテープカッター。
【請求項19】
請求項
15に記載のテープカッターにおいて、
前記開口は、側面視で、前記側板部の前記側端に重なるテープカッター。
【請求項20】
請求項
15に記載のテープカッターにおいて、
前記案内部は、前記各側板部に接続されているテープカッター。
【請求項21】
請求項
20に記載のテープカッターにおいて、
前記案内部は、前記各側板部の前記側端に接続されているテープカッター。
【請求項22】
請求項
15に記載のテープカッターにおいて、
前記案内部は、前記一対の側板部に対して着脱自在であるテープカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面テープ、及びそれを備えるテープカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の両面テープとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された両面テープは、円環状の芯に巻回されている。両面テープにおいては、表面及び裏面の双方が粘着面となっている。ただし、両面テープの表面には、剥離紙が貼着されている。そのため、粘着面は、両面テープの裏面にのみ露出している。この両面テープは、テープカッターに回転可能に保持された状態で使用される。テープカッターは、一対の側板部(面板)、底板部、及び切断刃を有している。一対の側板部は、両面テープを両側方から覆っている。底板部は、側板部どうしを連結するように、各側板部の下端に接続されている。切断刃は、底板部の端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の両面テープは、一対の側板部間の隙間から繰り出されて、切断刃によって切断される。切断された両面テープ(切断片)を使用する際は、表面から剥離紙が剥離される。剥離された剥離紙は、ゴミとして排出される。このようにゴミとして排出される紙類は、リサイクルされることが望ましい。しかしながら、剥離紙は、紙とその表面をコーティングしている樹脂とを分離することができないため、リサイクルすることが困難である。そのため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、剥離紙の排出量を減らす工夫が求められる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、剥離紙の排出量の削減に資する両面テープ、及びそれを備えるテープカッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による両面テープは、粘着面である第1及び第2の面を有するテープ本体と、上記第1の面に貼付された剥離紙と、を備え、上記剥離紙は、上記第1の面の一部にのみ貼付されていることを特徴とする。
【0007】
この両面テープにおいては、第1の面及び第2の面の双方が粘着面であるテープ本体が設けられている。テープ本体の第1の面には、剥離紙が貼付されている。剥離紙は、第1の面の一部にのみ貼付されている。この場合、剥離紙が第1の面の全体に貼付されている場合に比して、剥離紙の排出量を減らすことができる。
【0008】
また、本発明によるテープカッターは、上記両面テープを繰り出して切断するのに用いられるテープカッターであって、上記両面テープが回転可能に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、剥離紙の排出量の削減に資する両面テープ、及びそれを備えるテープカッターが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による両面テープの一実施形態を示す側面図である。
【
図2】
図1の両面テープの引出部1bを示す平面図である。
【
図3】
図1の両面テープの引出部1bを示す底面図である。
【
図5】本発明によるテープカッターの第1実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図5のテープカッターの使用方法の一例を説明するための側面図である。
【
図10】
図5のテープカッターの使用方法の一例を説明するための側面図である。
【
図11】
図5のテープカッターの使用方法の一例を説明するための側面図である。
【
図12】本発明によるテープカッターの第2実施形態を示す斜視図である。
【
図18】
図12のテープカッターの使用方法の一例を説明するための端面図である。
【
図19】
図12のテープカッターの使用方法の一例を説明するための端面図である。
【
図20】剥離紙20の一変形例を説明するための平面図である。
【
図21】剥離紙20の他の変形例を説明するための平面図である。
【
図22】剥離紙20の他の変形例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0012】
図1は、本発明による両面テープの一実施形態を示す側面図である。両面テープ1は、円環状の芯90に巻回されている。両面テープ1は、巻回部1a、及び引出部1bからなる。巻回部1aは、両面テープ1における芯90に巻回された部分であり、全体として円環状をしている。引出部1bは、両面テープ1における巻回部1aから引き出された部分である。
【0013】
図2及び
図3は、それぞれ、引出部1bを示す平面図及び底面図である。また、
図4は、
図2のIV-IV線に沿った断面図である。両面テープ1は、テープ本体10、及び剥離紙20を備えている。テープ本体10は、表面12(第1の面)、及び裏面14(第2の面)を有している。表面12及び裏面14は、何れも粘着面である。本実施形態においては、表面12の全体が粘着面であるとともに、裏面14の全体も粘着面である。
【0014】
剥離紙20は、テープ本体10の表面12に貼付されている。剥離紙20は、表面12の一部にのみ貼付されている。すなわち、剥離紙20は、表面12の粘着面の一部にのみ貼付されている。剥離紙20は、テープ本体10の幅方向(
図2及び
図3の上下方向)について、表面12の一部にのみ貼付されている。ここで、テープ本体10の幅方向は、テープ本体10の延在方向(
図2及び
図3の左右方向)に垂直な方向である。それゆえ、剥離紙20の幅w1は、テープ本体10の幅w2よりも小さい。幅w1は、幅w2の20%以上50%以下であることが好ましい。これにより、テープ本体10においては、表面12の一部が剥離紙20で覆われる一方、表面12の残部及び裏面14の全体に粘着面が露出している。
【0015】
剥離紙20の中心線C1は、テープ本体10の中心線C2に一致している。中心線C1及び中心線C2は、それぞれ、剥離紙20及びテープ本体10を幅方向に二等分する仮想的な直線である。剥離紙20は、テープ本体10の延在方向について、表面12に連続的に貼付されている。すなわち、剥離紙20は、テープ本体10の延在方向について、表面12の全体に貼付されている。
【0016】
図5、
図6及び
図7は、それぞれ、本発明によるテープカッターの第1実施形態を示す斜視図、側面図及び正面図である。
図7は、
図5のテープカッターを右側から見た図に相当する。また、
図8は、
図5のテープカッターを示す端面図である。
【0017】
テープカッター6は、両面テープ1を繰り出して切断するのに用いられる。テープカッター6において両面テープ1は、回転可能に保持されている。なお、
図5乃至
図7においては、両面テープ1の図示を省略している。
【0018】
テープカッター6は、一対の側板部30、底板部40、切断刃50、及び貼着部60を備えている。一対の側板部30は、両面テープ1を両側方から覆っている。
図8は、側板部30に平行で、かつ一対の側板部30の中間に位置する端面を示している。各側板部30の下部(側面視で、後述する挿通部32を含む直線より下の部分)は、矩形をしている。一方、各側板部30の上部(側面視で、上記直線より上の部分)は、半円状をしている。側板部30は、側方から両面テープ1の全体を覆っていてもよいし、一部のみを覆っていてもよい。すなわち、側板部30は、側面視で、両面テープ1の全体に重なっていてもよいし、一部にのみ重なっていてもよい。各側板部30は、板状をしている。側板部30の材料としては、例えば、紙類、プラスチック、金属、又は木材を用いることができる。紙類には、加工紙、及びセルロースナノファイバー(CNF)も含まれる。プラスチックは、生分解性プラスチックであってもよい。
【0019】
各側板部30には、挿通部32が接続されている。挿通部32は、両面テープ1がテープカッター6から脱落しないように、両面テープ1の芯90の内側に挿通されている。挿通部32は、板状をしている。挿通部32の厚み方向は、側板部30の厚み方向に垂直である。2つの挿通部32は、重なり合った状態で互いに固定されている。これにより、一対の側板部30の中央部どうしは、挿通部32によって連結されている。ここで、「中央部」とは、側板部30の周縁以外の部分である。各挿通部32は、側板部30と一体に形成されることが好ましい。挿通部32の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。各側板部30は、半円状の開口部34を有している。開口部34は、各側板部30の上部に形成されている。開口部34は、指を挿入することが可能な大きさをしている。それゆえ、テープカッター6は、開口部34に指を入れた状態で、手に持って使用することができる。挿通部32は、開口部34の下端に接続されている。
【0020】
底板部40は、各側板部30の下端30aに接続されている。これにより、一対の側板部30の下端30aどうしは、底板部40によって連結されている。底板部40は、各側板部30の下端30aの全体に接続されていてもよいし、一部にのみ接続されていてもよい。底板部40は、板状をしている。底板部40の厚み方向は、側板部30の厚み方向に垂直であり、挿通部32の厚み方向に等しい。底板部40は、側板部30と一体に形成されることが好ましい。底板部40の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
切断刃50は、底板部40の端部に設けられている。切断刃50は、底板部40上に固定されている。切断刃50は、テープ本体10の表面12側(剥離紙20)に当接した状態で両面テープ1を切断する。切断刃50の先端は、底板部40から食み出している。切断刃50の先端は、巻回部1aから離間している。これにより、切断刃50は、一定の長さの引出部1bを残して、両面テープ1を切断する。切断刃50の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。切断刃50は、底板部40と一体に形成されてもよい。
【0022】
貼着部60は、切断刃50の上方に設けられている。
図8に示すように、貼着部60には、両面テープ1(引出部1b)の端1cが切断刃50から浮いた状態で、テープ本体10の裏面14が貼着される。具体的には、貼着部60の先端部62に、裏面14が貼着される。先端部62は、貼着部60の下端に等しい。先端部62(裏面14が接触する部分)は、平坦であってもよいし、凹凸が形成されていてもよい。貼着部60の幅は、先端部62に近づくにつれて単調に小さくなっている。先端部62の幅w3(
図7参照)は、テープ本体10の幅w2よりも小さい。幅w3は、幅w2の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0023】
貼着部60は、各側板部30に接続されている。具体的には、貼着部60は、各側板部30の側端30bに接続されている。側端30bは、側板部30の下端30a以外の周縁のうち、下部に位置する部分である。側端30bは、直線状をしている。これにより、一対の側板部30の側端30bどうしは、貼着部60によって連結されている。一対の側板部30の側端30bどうしは、貼着部60のみによって連結されている。それゆえ、一対の側板部30の側端30bどうしは、貼着部60の反対側においては連結されていない。また、一対の側板部30の上端30cどうしも、連結されていない。上端30cは、側板部30の下端30a以外の周縁のうち、上部に位置する部分である。上端30cは、曲線状をしている。
【0024】
上下方向についての切断刃50から貼着部60(先端部62)までの距離d1(
図7参照)は、一対の側板部30間の間隔d2以上であることが好ましい。上下方向は、底板部40の厚み方向(
図5乃至
図7の上下方向)に等しい。距離d1は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。貼着部60は、一対の側板部30に対して着脱自在であってもよいし、着脱自在でなくてもよい。ここで、着脱自在とは、側板部30及び貼着部60を損傷することなく、側板部30に対する貼着部60の取付け及び取外しを繰り返し行えるということである。
【0025】
側面視で、先端部62は、側板部30の側端30b上に位置している。平面視で、先端部62は、切断刃50の先端に重なってもよいし、重ならなくてもよい。すなわち、先端部62は、切断刃50の先端の真上に位置してもよいし、斜め上に位置してもよい。後者の場合、平面視で切断刃50の先端から先端部62までの距離(水平方向の距離)は、距離d1よりも小さいことが好ましい。貼着部60は、板状をしている。貼着部60の厚み方向は、側板部30の厚み方向にも底板部40の厚み方向にも垂直である。貼着部60の厚みは、各側板部30の厚みに等しいことが好ましい。貼着部60は、側板部30と一体に形成されてもよい。貼着部60の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
図9乃至
図11を参照しつつ、テープカッター6の使用方法の一例を説明する。まず、
図9に示すように、両面テープ1(引出部1b)を指で摘んで、両面テープ1を貼着部60から剥がした後、底板部40に沿って引っ張る。これにより、底板部40と貼着部60との間から両面テープ1が繰り出される。次に、
図10に示すように、テープ本体10の表面12及び剥離紙20を切断刃50の先端に押し当てるようにして両面テープ1を切断する。その後、
図11に示すように、テープ本体10の裏面14を貼着部60に再び貼着する。このとき、両面テープ1の端1cが先端部62から食み出すようにすることが好ましい。引出部1bは、貼着部60にのみ貼着される。すなわち、テープカッター6は、テープカッター6における貼着部60以外の部分に引出部1bが貼着されないように構成されている。このようにして、テープカッター6から両面テープ1を繰り出して、所望の長さの切断片を得ることができる。
【0027】
本実施形態の効果を説明する。両面テープ1においては、表面12及び裏面14の双方が粘着面であるテープ本体10が設けられている。テープ本体10の表面12には、剥離紙20が貼付されている。剥離紙20は、表面12の一部にのみ貼付されている。この場合、剥離紙20が表面12の全体に貼付されている場合に比して、剥離紙20の排出量を減らすことができる。したがって、剥離紙20の排出量の削減に資する両面テープ1、及びそれを備えるテープカッター6が実現されている。
【0028】
このように剥離紙20を設けることは、次の利点をもたらす。まず、テープ本体10の表面12の粘着面に触れずに両面テープ1を繰り出すことが可能となる。それにより、両面テープ1を引っ張りやすくなるとともに、表面12に指紋が付着しにくくなる。また、表面12の粘着面への塵埃の付着や、当該粘着面の粘着力の低下を抑制することができる。さらに、テープ本体10の形状が安定するため、テープ本体10が縒れにくくなる。それにより、両面テープ1を円滑に繰り出すことができる。
【0029】
剥離紙20の幅w1は、テープ本体10の幅w2よりも小さい。これにより、テープ本体10の幅方向の一部にのみ剥離紙20を設けることができる。この場合、テープ本体10の延在方向の全体に剥離紙20を設けつつ、表面12の一部にのみ剥離紙20が貼付された構成を実現することができる。
【0030】
剥離紙20の幅w1を小さくした方が、剥離紙20の排出量を減らすのに有利である。かかる観点から、幅w1は、テープ本体10の幅w2の50%以下であることが好ましい。他方、幅w1が小さすぎると、剥離紙20を設けることによる上述の利点を充分に享受できなくなりかねない。かかる観点から、幅w1は、幅w2の20%以上であることが好ましい。
【0031】
剥離紙20の中心線C1は、テープ本体10の中心線C2に一致している。この場合、テープ本体10の幅方向について剥離紙20が偏在しないため、剥離紙20が設けられた部分を摘みながら両面テープ1を円滑に繰り出すことができる。
【0032】
剥離紙20は、テープ本体10の延在方向について、表面12に連続的に貼付されている。この場合、両面テープ1の引出部1bが弛みにくくなる。これにより、引出部1bの粘着面どうしが付着してしまう事態を起こりにくくすることができる。
【0033】
テープ本体10の表面12の全体が粘着面である。これにより、両面テープ1によって貼り合わせたい対象物どうしを安定的に固定することができる。
【0034】
テープカッター6においては、両面テープ1が回転可能に保持されている。これにより、両面テープ1の繰出しを容易に行うことができる。
【0035】
テープカッター6においては、切断刃50の上方に貼着部60が設けられている。貼着部60には、両面テープ1の端1cが切断刃50から浮いた状態で、テープ本体10の裏面14が貼着される。これにより、両面テープ1の端1cと切断刃50との間に隙間が確保されるため、両面テープ1を指で摘みやすくなる。
【0036】
このように両面テープ1を貼着部60に貼着しておくことにより、両面テープ1の巻戻り(引出部1bが巻回部1aに戻ること)を起こりにくくすることができる。また、切断刃50から離れた位置で両面テープ1を摘めるため、両面テープ1を繰り出す際に指が切断刃50に触れにくくなる。このため、テープカッター6の安全性を高めることができる。
【0037】
上下方向についての切断刃50から貼着部60までの距離d1が大きい方が、両面テープ1の端1cと切断刃50との隙間が広くなるため、両面テープ1を摘みやすくするのに有利である。かかる観点から、距離d1は、一対の側板部30間の間隔d2以上であることが好ましい。同様の観点から、距離d1は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。他方、距離d1が大きすぎると、貼着部60を配置する場所をテープカッター6に確保しにくくなりかねない。かかる観点から、距離d1は、50mm以下であることが好ましい。
【0038】
貼着部60は、各側板部30に接続されている。この場合、貼着部60を、テープカッター6の形状(一対の側板部30が所定の間隔で対向した形状)を維持するための部材としても機能させることができる。
【0039】
貼着部60は、各側板部30の側端30bに接続されている。これにより、貼着部60の先端部62を側板部30の側端30bに揃えやすくなる。実際、テープカッター6においては、側面視で、先端部62が側板部30の側端30b上に位置している。この場合、一対の側板部30で挟まれた空間の奥に先端部62が入り込まないため、貼着部60に貼着された両面テープ1を指で摘みやすくするのに有利である。
【0040】
先端部62の幅w3は、テープ本体10の幅w2よりも小さい。この場合、幅w3を変えることにより、先端部62とテープ本体10との接触面積、ひいては貼着部60とテープ本体10との間の粘着力を調整することができる。これにより、貼着部60の材料の選択肢が増えるため、貼着部60を他の部分(側板部30、底板部40、及び/又は切断刃50)と一体に形成しやすくなる。ただし、幅w3は、幅w2に等しくてもよいし、幅w2より大きくてもよい。例えば、幅w3は、一対の側板部30間の間隔d2に等しくてもよい。
【0041】
貼着部60の厚みが各側板部30の厚みに等しい場合、側板部30及び貼着部60を均一な厚みの1枚のシートから形成しやすくなる。
【0042】
貼着部60が一対の側板部30及び底板部40と同一の材料からなる場合、側板部30、底板部40及び貼着部60を一体に形成しやすくなる。このように側板部30、底板部40及び貼着部60を一体に形成することにより、テープカッター6の製造工程を簡略化し、それによりテープカッター6の製造コストを削減することができる。
【0043】
貼着部60が一対の側板部30に対して着脱自在である場合、貼着部60だけを新しいものと交換することが可能となる。
(第2実施形態)
【0044】
図12、
図13、
図14及び
図15は、それぞれ、本発明によるテープカッターの第2実施形態を示す斜視図、側面図、正面図及び平面図である。
図14は、
図12のテープカッターを右側から見た図に相当する。また、
図16は、
図12のテープカッターを示す端面図である。
【0045】
テープカッター8は、両面テープ1を繰り出して切断するのに用いられる。テープカッター8において両面テープ1は、回転可能に保持されている。なお、
図12乃至
図15においては、両面テープ1の図示を省略している。
【0046】
テープカッター8は、一対の側板部30、底板部40、及び案内部70を備えている。一対の側板部30は、両面テープ1を両側方から覆っている。
図16は、側板部30に平行で、かつ一対の側板部30の中間に位置する端面を示している。側板部30は、両面テープ1の巻回部1aの一部のみを側方から覆っている。すなわち、側板部30は、側面視で、巻回部1aの一部にのみ重なっている。各側板部30は、矩形の板状をしている。各側板部30には、後述する爪部78の差込口となる切込38が形成されている。
【0047】
各側板部30には、挿通部32が接続されている。挿通部32は、両面テープ1がテープカッター8から脱落しないように、両面テープ1の芯90の内側に挿通されている。挿通部32は、板状をしている。挿通部32の厚み方向は、側板部30の厚み方向に垂直である。挿通部32は、各側板部30の上端30cに接続されている。2つの挿通部32は、重なり合った状態で互いに固定されている。これにより、一対の側板部30の上端30cどうしは、挿通部32によって連結されている。各挿通部32は、側板部30と一体に形成されることが好ましい。挿通部32の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
底板部40は、各側板部30の下端30aに接続されている。これにより、一対の側板部30の下端30aどうしは、底板部40によって連結されている。底板部40は、各側板部30の下端30aの全体に接続されていてもよいし、一部にのみ接続されていてもよい。底板部40は、板状をしている。底板部40の厚み方向は、側板部30の厚み方向に垂直であり、挿通部32の厚み方向に等しい。底板部40は、側板部30と一体に形成されることが好ましい。底板部40の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
案内部70は、一対の側板部30の側端30b間の所定の範囲内に両面テープ1の引出部1bを案内する。すなわち、案内部70は、側面視で引出部1bが側端30bと所定の範囲内で交わるように、引出部1bを案内する。案内部70は、底板部40から離間している。案内部70は、各側板部30に接続されている。具体的には、案内部70は、各側板部30の側端30bに接続されている。これにより、一対の側板部30の側端30bどうしは、案内部70によって連結されている。本実施形態において一対の側板部30の側端30bどうしは、案内部70のみによって連結されている。それゆえ、一対の側板部30の側端30bどうしは、案内部70の反対側においては連結されていない。案内部70の材料は、側板部30の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
図17は、案内部70を示す斜視図である。案内部70は、開口72、貼着部74、切断刃76、及び爪部78を有している。開口72は、両面テープ1の引出部1bが通過する部分である。開口72は、底板部40から離間している。開口72は、側面視で、側板部30の側端30bに重なっている。開口72の全体を含む平面の垂線は、側板部30の厚み方向にも底板部40の厚み方向にも垂直である。上述の「所定の範囲」は、開口72の範囲に等しい。開口72は、正面視で、横長の矩形をしている。開口72の左右方向(側板部30の厚み方向に等しい)の長さd3(
図14参照)は、一対の側板部30間の間隔d2よりも小さい。長さd3は、テープ本体10の幅w2よりも大きい。
【0051】
貼着部74は、開口72に連設されている。具体的には、貼着部74は、開口72の上端に連設されている。貼着部74は、開口72から一対の側板部30の外側に向かって張り出している。貼着部74には、
図16に示すように、両面テープ1の引出部1bが貼着される。具体的には、貼着部74の貼着面74aに、引出部1bの裏面14が貼着される。貼着面74aは、貼着部74の下面に等しい。貼着面74aは、平面状をしている。貼着面74aは、底板部40と平行である。貼着部74の幅w4(
図15参照)は、テープ本体10の幅w2よりも小さい。幅w4は、貼着面74aの左右方向の寸法として定義される。幅w4は、幅w2の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0052】
切断刃76は、開口72を通過した引出部1bを切断する。上述の開口72及び貼着部74は、引出部1bに沿って、巻回部1aと切断刃76との間に設けられている。切断刃76の先端は、引出部1bを切断しやすいように、外向き(側端30bから遠ざかる向き)になっている。切断刃76の先端は、側面視で、側板部30の側端30bから食み出している。また、切断刃76の先端は、側面視で、貼着部74よりも内側に位置している。すなわち、切断刃76の先端から側端30bまでの距離d4(
図13参照)は、貼着部74の先端から側端30bまでの距離d5よりも小さい。切断刃76の先端は、貼着部74から離間している。切断刃76の先端は、底板部40からも離間している。すなわち、側板部30の上下方向について、切断刃76の先端は、貼着部74と底板部40との間に位置している。切断刃76は、案内部70の下端に設けられている。切断刃76の幅は、テープ本体10の幅w2以上である。
【0053】
切断刃76の材料は、案内部70の他の部分の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、例えば、切断刃76の材料として金属を用いるとともに、他の部分の材料として紙類を用いることが考えられる。また、切断刃76は、案内部70の他の部分と一体に形成されてもよいし、他の部分と別々に形成された後に当該部分に取り付けられてもよい。
【0054】
爪部78は、案内部70を側板部30に取り付けるための部分である。爪部78は、案内部70の両側端の各々から一対の側板部30の内側に向かって延在している。ただし、
図17においては、2つの爪部78のうち片方の爪部78の図示を省略している。爪部78を側板部30の切込38に差し込むことにより、側板部30に案内部70を取り付けることができる。本実施形態において爪部78は、各側板部30の外面から内面に向かって差し込まれている。爪部78を切込38から引き抜くことにより、側板部30から案内部70を取り外すことができる。このように、案内部70は、一対の側板部30に対して着脱自在である。ここで、着脱自在とは、側板部30及び案内部70を損傷することなく、側板部30に対する案内部70の取付け及び取外しを繰り返し行えるということである。
【0055】
図18及び
図19を参照しつつ、テープカッター8の使用方法の一例を説明する。まず、
図18に示すように、両面テープ1(引出部1b)を指で摘んで、両面テープ1を貼着部74から剥がした後、側板部30の外側に引っ張る。これにより、開口72を通して、一対の側板部30の側端30b間の隙間から両面テープ1が繰り出される。次に、
図19に示すように、テープ本体10の表面12及び剥離紙20を切断刃76の先端に押し当てるようにして両面テープ1を切断する。その後、テープ本体10の裏面14を貼着部74に再び貼着する(
図16参照)。このとき、両面テープ1の端1cが貼着部74の先端から食み出すようにすることが好ましい。このようにして、テープカッター8から両面テープ1を繰り出して、所望の長さの切断片を得ることができる。
【0056】
本実施形態の効果を説明する。両面テープ1においては、表面12及び裏面14の双方が粘着面であるテープ本体10が設けられている。テープ本体10の表面12には、剥離紙20が貼付されている。剥離紙20は、表面12の一部にのみ貼付されている。この場合、剥離紙20が表面12の全体に貼付されている場合に比して、剥離紙20の排出量を減らすことができる。したがって、剥離紙20の排出量の削減に資する両面テープ1、及びそれを備えるテープカッター8が実現されている。
【0057】
テープカッター8においては、一対の側板部30の側端30b間の所定の範囲内に両面テープ1の引出部1bを案内する案内部70が設けられている。案内部70は、底板部40から離間した開口72を有している。開口72を通過した引出部1bは、切断刃76で切断される。切断後の引出部1bは、開口72に連設された貼着部74に貼着される。これにより、引出部1bが開口72を通過した状態が維持されるため、底板部40から離間した位置で引出部1bを摘むことが可能となる。このため、繰り出す際に両面テープ1の引出部1bを摘みやすくなる。また、このように両面テープ1を貼着部74に貼着しておくことにより、両面テープ1の巻戻りを起こりにくくすることができる。
【0058】
貼着部74は、開口72から一対の側板部30の外側に向かって張り出している。これにより、貼着部74が側板部30の内側に向かって張り出している場合に比して、貼着部74に貼付された引出部1bを摘みやすくなる。ただし、貼着部74は、開口72から一対の側板部30の内側に向かって張り出していてもよい。その場合、貼着部74は、一対の側板部30の間に挟まれた状態となる。
【0059】
切断刃76の先端は、側面視で、貼着部74よりも内側に位置している。この場合、貼着部74に対して切断刃76が引っ込んだ状態となるため、テープカッター8の安全性を高めることができる。ただし、切断刃76の先端は、側面視で、貼着部74よりも外側に位置していてもよい。
【0060】
切断刃76の先端は、貼着部74から離間している。この場合、貼着部74に貼付された引出部1bを切断刃76から離れた位置で摘めるため、両面テープ1を繰り出す際に指が切断刃76に触れにくくなる。このため、テープカッター8の安全性を高めることができる。
【0061】
貼着部74の幅w4は、テープ本体10の幅w2よりも小さい。この場合、幅w4を変えることにより、貼着部74と引出部1bとの接触面積、ひいては貼着部74と引出部1bとの間の粘着力を調整することができる。これにより、貼着部74の材料の選択肢を増やすことができる。ただし、幅w4は、幅w2に等しくてもよいし、幅w2より大きくてもよい。例えば、幅w4は、開口72の左右方向の長さd3に等しくてもよい。
【0062】
開口72は、側面視で、側板部30の側端30bに重なっている。このように開口72の位置を側端30bに揃えることにより、一対の側板部30の側端30b間の所定の範囲内に両面テープ1の引出部1bを確実に案内することができる。
【0063】
案内部70は、各側板部30に接続されている。この場合、案内部70を、テープカッター8の形状を維持するための部材としても機能させることができる。
【0064】
案内部70は、各側板部30の側端30bに接続されている。これにより、開口72の位置を側板部30の側端30bに揃えやすくなる。
【0065】
案内部70は、一対の側板部30に対して着脱自在である。これにより、案内部70だけを新しいものと交換することが可能となる。ただし、案内部70は、側板部30に対して着脱自在でなくてもよい。その場合、案内部70は、側板部30と一体に形成されてもよいし、側板部30と別々に形成された後に側板部30に取り付けられてもよい。かかる取付けは、例えば接着剤を用いて行うことができる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、剥離紙20の中心線C1がテープ本体10の中心線C2に一致する場合を例示した。しかし、中心線C1は、例えば
図20に示すように、中心線C2からずれていてもよい。
【0067】
上記実施形態においては、剥離紙20がテープ本体10の延在方向について表面12に連続的に貼付された場合を例示した。しかし、剥離紙20は、例えば
図21に示すように、テープ本体10の延在方向について、表面12に断続的に貼付されていてもよい。同図において剥離紙20は、テープ本体10の延在方向について、表面12の一部にのみ貼付されている。
【0068】
上記実施形態においては、剥離紙20の幅w1がテープ本体10の幅w2よりも小さい場合を例示した。しかし、幅w1は、例えば
図22に示すように、幅w2に等しくてもよい。同図において剥離紙20は、テープ本体10の延在方向について、表面12に断続的に貼付されている。
【0069】
上記実施形態においては、テープ本体10の表面12の全体が粘着面である場合を例示した。しかし、表面12の一部のみが粘着面であってもよい。同様に、裏面14の一部のみが粘着面であってもよい。このように表面12の一部のみが粘着面である場合、剥離紙20は、表面12の粘着面の一部にのみ貼付されることが好ましい。
【0070】
上記実施形態においては、剥離紙20がテープ本体10の表面12に貼付されている場合を例示した。しかし、剥離紙20は、テープ本体10の裏面14に貼付されていてもよい。その場合、裏面14が「第1の面」に相当し、表面12が「第2の面」に相当する。
【符号の説明】
【0071】
1 両面テープ
1a 巻回部
1b 引出部
1c 端
6 テープカッター
8 テープカッター
10 テープ本体
12 表面(第1の面)
14 裏面(第2の面)
20 剥離紙
30 側板部
30a 下端
30b 側端
30c 上端
32 挿通部
34 開口部
38 切込
40 底板部
50 切断刃
60 貼着部
62 先端部
70 案内部
72 開口
74 貼着部
74a 貼着面
76 切断刃
78 爪部
90 芯