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特許7604041二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 9/02 20060101AFI20241216BHJP
   C22B 25/08 20060101ALI20241216BHJP
   C22B 13/10 20060101ALI20241216BHJP
   C22B 30/06 20060101ALI20241216BHJP
   F27B 1/09 20060101ALI20241216BHJP
   F27B 1/24 20060101ALI20241216BHJP
   F27B 1/28 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C22B9/02
C22B25/08
C22B13/10
C22B30/06
F27B1/09
F27B1/24
F27B1/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023534072
(86)(22)【出願日】2023-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 CN2023079160
(87)【国際公開番号】W WO2023165540
(87)【国際公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】202210206692.X
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521285805
【氏名又は名称】昆明理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】李 一夫
(72)【発明者】
【氏名】張 環
(72)【発明者】
【氏名】楊 連峰
(72)【発明者】
【氏名】周 生安
(72)【発明者】
【氏名】楊 斌
(72)【発明者】
【氏名】陳 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】劉 大春
(72)【発明者】
【氏名】徐 宝強
(72)【発明者】
【氏名】田 陽
(72)【発明者】
【氏名】蒋 文龍
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-160567(JP,A)
【文献】実開昭58-148060(JP,U)
【文献】特開2000-129372(JP,A)
【文献】国際公開第2020/157167(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置であって、縦型炉体、供給システム、加熱システム、水循環冷却システム、回転システム、真空システム、吐出システム及び観察システムを含み、
前記縦型炉体には、内筒(8)と、内筒(8)の頂部に連なり下方に向かいクリスタルポット(20)に向かう枝管とが備わり、その枝管の頂部の底部に、内筒(8)で析出した結晶を加熱して融解する領域である結晶融解領域が配置され、
前記供給システムは、るつぼ(2)、供給管(3)および供給スイッチ(4)を含み、回転システムは、回転刃(9)、回転軸(10)、モーター(14)を含み、真空システムは、真空ポンプ(15)と一連のバルブの構成を含み、吐出システムは、吐出管I(11)、吐出スイッチI(12)、バッフル(17)、吐出管II(18)、吐出スイッチII(19)、メルトポット(13)および前記クリスタルポット(20)を含み、
前記供給システムの前記るつぼ(2)の作業温度は300~1000℃であり、前記るつぼ(2)の内部には、原料(1)の融液に浸漬する供給管(3)の入口端が設けられ、前記供給管(3)の出口端は、供給スイッチ(4)によって、縦型炉体の頂部と密閉連通し、縦型炉体の頂部には前記モーター(14)が設けられ、前記モーター(14)は、縦型炉体の内筒(8)に密閉挿入された前記回転軸(10)に連結され、前記回転軸(10)には前記回転刃(9)が配置され、前記縦型炉体の頂部には、前記縦型炉体を1~100Paの真空度まで排気するための真空ポンプ(15)が設けられ、前記結晶融解領域の下方に向かう傾斜角が3°~7°であり、結晶融解領域の長さが30~50cm、幅が15~100cmであり、結晶融解領域には、板状のバッフル(17)が千鳥配置状に設置され、前記内筒(8)の外壁に加熱システムと水循環冷却システムが設置され、結晶融解領域の底部には、温度領域が350~800℃である加熱システムが設置され、結晶融解領域には吐出領域が連なり、吐出領域底部には前記吐出管II(18)と吐出スイッチII(19)が設けられ、前記吐出管II(18)の底部には前記クリスタルポット(20)が設けられ、吐出領域には加熱システムが設けられ、前記内筒(8)の底部には前記吐出管I(11)が設けられ、前記吐出管I(11)は、前記吐出スイッチI(12)を介して底部の前記メルトポット(13)に連通し、縦型炉体の頂部には観察システムの観察口(16)が設けられ、前記回転システムは、前記モーター(14)による前記回転軸(10)の回転に従い、螺旋状の回転刃(9)の回転により、前記内筒(8)の内容物を下から上へ移送し、
前記内筒(8)は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃である
ことを特徴とする二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置。
【請求項2】
前記縦型真空螺旋結晶化装置の処理量は100~500kg/日であることを特徴とする請求項1に記載の二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置。
【請求項3】
前記加熱システムは、発熱体(5)と断熱層(6)とを含み、前記発熱体(5)は抵抗線であり、前記断熱層(6)はアルミナ耐火れんがであることを特徴とする請求項1に記載の二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置。
【請求項4】
前記水循環冷却システムは、水循環装置と水循環管(7)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置。
【請求項5】
前記モーター(14)の回転速度は0~50rpmであり、前記内筒(8)の直径は15~100cm、高さは2~5mであり、前記回転刃(9)の外縁と前記内筒(8)との距離は5~20mmであることを特徴とする請求項1に記載の二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置。
【請求項6】
前記真空ポンプ(15)は直結型2段ロータリーベーン真空ポンプであり、排気速度は15~25L/sであることを特徴とする請求項1に記載の二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置。
【請求項7】
二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶方法であって、具体的な工程として、二元共晶合金原料は、真空状態でるつぼ(2)からサイフォンにより連続的に内筒(8)内に注入され、内筒(8)には温度勾配があり、モーター(14)の回転により、結晶は連続的に析出し、内筒(8)の頂部に輸送され、結晶融解領域に流れ込んで再び融解し、吐出スイッチIIを介して吐出管II(18)から吐出されると同時に、定期的に前記内筒(8)の底部の吐出スイッチIをオンにして、吐出管I(11)から融液を放出する工程が含まれ
前記モーター(14)による回転軸(10)の回転に従い、螺旋状の回転刃(9)の回転により、前記内筒(8)の内容物を下から上へ移送し、
前記内筒(8)は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃であり、
前記内筒(8)の頂部には、前記内筒(8)に連なり下方に向かい前記吐出管II(18)に向かう枝管が備わり、その枝管の頂部の底部に、内筒(8)で析出した結晶を加熱して融解する領域である結晶融解領域が配置され、
前記結晶融解領域には、板状のバッフル(17)が千鳥配置状に設置される
ことを特徴とする二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化方法。
【請求項8】
前記二元共晶合金原料には、錫-鉛合金、錫-ビスマス合金、鉛-ビスマス合金または錫-アルミニウム合金が含まれることを特徴とする請求項7に記載の二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋晶析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置及び方法に関し、非鉄金属乾式製錬技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
分別結晶法は、固態の主金属及び液態の主金属における不純物の溶解度の違いを利用して不純物の分離を実現するもので、金属間異相分離に属し、省エネ、低温操作、高純度製品の分離ができるなどのメリットを有する。中国で1970年代に分別結晶法に基づいて発明された電熱連続結晶化装置は、錫製錬工程で最も重要な装置の一つであり、その主な機能は粗錫から鉛の除去を実現することである。しかし、従来の電熱式連続結晶化装置は、自動化の程度が低く、水の消費量が多く、労働者の作業環境が劣悪だった。何十年もの間、中国の科学者と技術者はそれを変え続けてきた。特許文献1では、電気加熱螺旋結晶化装置を開示し、主に各加熱セクションの適切な温度比、単一のマシンの高い生産性、および製造プロセスでの水の消費量が少ない電気加熱螺旋結晶化装置を提供する。特許文献2では、粗錫処理用電熱螺旋結晶化装置を開示し、はんだ付けプロセスでの電熱加熱の使用を改善して、ディーゼル燃焼による環境への汚染を減らし、労働者の作業環境の快適さを改善することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許開示205662564U
【文献】中国特許開示206069975U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術の問題点および欠陥を考慮して、本発明は、二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置及び方法を提供する。本発明の装置及び方法は、共晶点を有する任意成分を含む二元合金を処理するものであり、装置の操作が簡単で、強度が低く、処理工程中に「三廃」が発生せず、金属の直接回収率(direct recovery rate)が最大となり、操作環境が良好で、工程が安全で制御可能である。本発明は、以下の技術的解決策によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置であって、縦型炉体、供給システム、加熱システム、水循環冷却システム、回転システム、真空システム、吐出システム、観察システムを含み、
前記供給システムは、るつぼ2、供給管3および供給スイッチ4を含み、回転システムは、回転刃9、回転軸10、モーター14を含み、真空システムは、真空ポンプ15と一連のバルブの構成を含み、吐出システムは、吐出管I11、吐出スイッチI12、バッフル17、吐出管II18、吐出スイッチII19、メルトポット13およびクリスタルポット20を含み、
供給システムのるつぼ2の作業温度は300~1000℃であり、るつぼ2の内部には、原料1の融液に浸漬する供給管3の入口端が設けられ、供給管3の出口端は、供給スイッチ4によって、縦型炉体の頂部と密閉連通し、縦型炉体の頂部にはモーター14が設けられ、モーター14は、縦型炉体の内筒8に密閉挿入された回転軸10に連結され、回転軸10には回転刃9が配置され、縦型炉体の頂部には、縦型炉体を1~100Paの真空度まで排気するための真空ポンプ15が設けられ、縦型炉体の頂部と内筒8の内側との距離が1~2mmである箇所に、傾斜角が3°~7°の結晶融解領域が設置され(長さ30~50cm、幅15~100cm)、結晶融解領域には、ずれるように配置されたバッフル17が設置され、内筒8の外壁に加熱システムと水循環冷却システムが設置され、結晶融解領域の底部には、温度領域が350~800℃である加熱システムが設置され、結晶融解領域は吐出領域と連通し、吐出領域底部には吐出管II18と吐出スイッチII19が設けられ、吐出管II18の底部にはクリスタルポット20が設けられ、吐出領域には加熱システムが設けられ、内筒8の底部には吐出管I11が設けられ、吐出管I11は、吐出スイッチI12を介して底部のメルトポット13に連通し、縦型炉体の頂部には観察システムの観察口16が設けられている。
【0006】
前記縦型真空螺旋結晶化装置の処理量は100~500kg/日である。
【0007】
前記加熱システムは、発熱体5と断熱層6とを含み、発熱体5は抵抗線であり、断熱層6はアルミナ耐火れんがである。
【0008】
前記水循環冷却システムは、水循環装置と水循環管7とを含む。
【0009】
前記内筒8は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃である。
【0010】
前記モーター14の回転速度は0~50rpmであり、内筒8の直径は15~100cm、高さは2~5mであり、回転刃9の外縁と内筒8との距離は5~20mmである。
【0011】
前記真空ポンプ15は直結型2段ロータリーベーン真空ポンプであり、排気速度は15~25L/sである。
【0012】
二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶方法であって、その具体的な工程として、二元共晶合金原料は、真空状態でるつぼ2からサイフォンにより連続的に内筒8内に注入され、内筒8には温度勾配があり、モーター14の回転により、結晶は連続的に析出し、内筒8の頂部に輸送され、結晶融解領域に流れ込み、結晶はバッフルを通って再び融解し、吐出スイッチIIから吐出されると同時に、定期的に吐出スイッチIをオンにして、融液を放出する工程が含まれる。
【0013】
前記二元共晶合金原料には、錫-鉛合金、錫-ビスマス合金、鉛-ビスマス合金または錫-アルミニウム合金が含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は:
本装置と方法の処理対象は、共晶点任意組成を含む二元共晶合金であるため、原材料の普遍性が高く、装置の操作が簡単で、強度が低く、処理プロセスに「3つの廃棄物」がなく、金属の直接回収率が最大限に保証され、作業環境は良好であり、プロセスは安全で制御可能である。
従来の結晶機槽体の斜め横置きに比較して、本装置は縦型を使用するので、さらに重力を利用して融液の逆流を加速し、結晶の純度を向上させるのに役立つ。同時に、本装置は真空システムを追加し、一方では金属の酸化の問題を回避し、金属の直接回収率を向上させ、他方では、真空システムの下で熱損失が減少し、エネルギー効率が改善された。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明装置構造の概略図、
図2】本発明バッフルぶん
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例1
図1、2に示すように、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置は、縦型炉体、供給システム、加熱システム、水循環冷却システム、回転システム、真空システム、吐出システム、観察システムを含み、
供給システムは、るつぼ2、供給管3および供給スイッチ4を含み、回転システムは、回転刃9、回転軸10、モーター14を含み、真空システムは、真空ポンプ15と一連のバルブの構成を含み、吐出システムは、吐出管I11、吐出スイッチI12、バッフル17、吐出管II18、吐出スイッチII19、メルトポット13およびクリスタルポット20を含み、
供給システムのるつぼ2の作業温度は300~1000℃であり、るつぼ2の内部には、原料1の融液に浸漬する供給管3の入口端が設けられ、供給管3の出口端は、供給スイッチ4によって、縦型炉体の頂部と密閉連通し、縦型炉体の頂部にはモーター14が設けられ、モーター14は、縦型炉体の内筒8に密閉挿入された回転軸10に連結され、回転軸10には回転刃9が配置され、縦型炉体の頂部には、縦型炉体を1~100Paの真空度まで排気するための真空ポンプ15が設けられ、縦型炉体の頂部と内筒8の内側との距離が1~2mmである箇所に、傾斜角が3°の結晶融解領域が設置され(長さ30cm、幅15cm)、結晶融解領域には、ずれるように配置されたバッフル17が設置され、内筒8の外壁に加熱システムと水循環冷却システムが設置され、結晶融解領域の底部には、温度領域が350~800℃である加熱システムが設置され、結晶融解領域は吐出領域と連通し、吐出領域底部には吐出管II18と吐出スイッチII19が設けられ、吐出管II18の底部にはクリスタルポット20が設けられ、吐出領域には加熱システムが設けられ、内筒8の底部には吐出管I11が設けられ、吐出管I11は、吐出スイッチI12を介して底部のメルトポット13に連通し、縦型炉体の頂部には観察システムの観察口16が設けられている。
【0017】
ここで、前記縦型真空螺旋結晶化装置の処理量は100~500kg/日であり、加熱システムは、発熱体5と断熱層6とを含み、発熱体5は抵抗線であり、断熱層6はアルミナ耐火れんがであり、水循環冷却システムは、水循環装置と水循環管7とを含み、内筒8は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃であり、
モーター14の回転速度は0~50rpmであり、内筒8の直径は15cm、高さは2mであり、回転刃9の外縁と内筒8との距離は5mmである。
【0018】
真空ポンプ15は直結型2段ロータリーベーン真空ポンプであり、排気速度は15~25L/sである。
【0019】
当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶方法は、以下の具体的な工程を含む。
(1)錫鉛二元合金(組成:Sn90%、Pb10%)100kgを作業温度500℃のるつぼ2で熔解させ、供給スイッチ4、吐出スイッチI12、吐出スイッチII19をオフにし、真空ポンプ15を起動し、縦型炉体内の圧力を100Pa未満とし、且つ内筒8の頂部温度を232℃、下部温度を183℃とし、加熱システムを起動し、
(2)縦型炉体の温度勾配が安定した後、供給管スイッチ4をオンにし、同時にモーター14を起動して3rpmの速度で運転させ、
(3)観察口16によって結晶の状態を確認し、結晶融解領域の温度を350℃に設定し、不定期に吐出スイッチをオンにして、溶融物と結晶を放出し、最終的に鉛含有量38.4%のはんだと錫含有量99.6%の精製錫製品が得られた。
【0020】
本実施例では、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置が使用され、従来の電熱結晶化装置と比較して、金属錫の直接回収率が5%増加し、エネルギー効率が8%増加した。
【0021】
実施例2
図1、2に示すように、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置は、縦型炉体、供給システム、加熱システム、水循環冷却システム、回転システム、真空システム、吐出システム、観察システムを含み、
供給システムは、るつぼ2、供給管3および供給スイッチ4を含み、回転システムは、回転刃9、回転軸10、モーター14を含み、真空システムは、真空ポンプ15と一連のバルブの構成を含み、吐出システムは、吐出管I11、吐出スイッチI12、バッフル17、吐出管II18、吐出スイッチII19、メルトポット13およびクリスタルポット20を含み、
供給システムのるつぼ2の作業温度は300~1000℃であり、るつぼ2の内部には、原料1の融液に浸漬する供給管3の入口端が設けられ、供給管3の出口端は、供給スイッチ4によって、縦型炉体の頂部と密閉連通し、縦型炉体の頂部にはモーター14が設けられ、モーター14は、縦型炉体の内筒8に密閉挿入された回転軸10に連結され、回転軸10には回転刃9が配置され、縦型炉体の頂部には、縦型炉体を1~100Paの真空度まで排気するための真空ポンプ15が設けられ、縦型炉体の頂部と内筒8の内側との距離が1~2mmである箇所に、傾斜角が7°の結晶融解領域が設置され(長さ50cm、幅100cm)、結晶融解領域には、ずれるように配置されたバッフル17が設置され、内筒8の外壁に加熱システムと水循環冷却システムが設置され、結晶融解領域の底部には、温度領域が350~800℃である加熱システムが設置され、結晶融解領域は吐出領域と連通し、吐出領域底部には吐出管II18と吐出スイッチII19が設けられ、吐出管II18の底部にはクリスタルポット20が設けられ、吐出領域には加熱システムが設けられ、内筒8の底部には吐出管I11が設けられ、吐出管I11は、吐出スイッチI12を介して底部のメルトポット13に連通し、縦型炉体の頂部には観察システムの観察口16が設けられている。
【0022】
ここで、前記縦型真空螺旋結晶化装置の処理量は100~500kg/日であり、加熱システムは、発熱体5と断熱層6とを含み、発熱体5は抵抗線であり、断熱層6はアルミナ耐火れんがであり、水循環冷却システムは、水循環装置と水循環管7とを含み、内筒8は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃であり、
モーター14の回転速度は0~50rpmであり、内筒8の直径は100cm、高さは5mであり、回転刃9の外縁と内筒8との距離は20mmである。
【0023】
真空ポンプ15は直結型2段ロータリーベーン真空ポンプであり、排気速度は15~25L/sである。
【0024】
当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶方法は、以下の具体的な工程を含む。
(1)錫鉛二元合金(組成:Sn95%、Pb5%)500kgを操作温度300℃のるつぼ2で熔解させ、供給スイッチ4、吐出スイッチI12、吐出スイッチII19をオフにし、真空ポンプ15を起動し、縦型炉体内の圧力を100Pa未満とし、且つ内筒8の頂部温度を232℃、下部温度を183℃とし、加熱システムを起動し、
(2)縦型炉体の温度勾配が安定した後、供給管スイッチ4をオンにし、同時にモーター14を起動して2rpmの速度で運転し、
(3)観察口16によって結晶の状態を確認し、結晶融解領域の温度を350℃に設定し、不定期に吐出スイッチをオンにして、溶融物と結晶を放出し、最終的に鉛含有量37.8%のはんだと錫含有量99.9%の精製錫製品が得られた。
本実施例では、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置が使用され、従来の電熱結晶化装置と比較して、金属錫の直接回収率が4%増加し、エネルギー効率が15%増加した。
【0025】
実施例3
図1、2に示すように、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置は、縦型炉体、供給システム、加熱システム、水循環冷却システム、回転システム、真空システム、吐出システム、観察システムを含み、
供給システムは、るつぼ2、供給管3および供給スイッチ4を含み、回転システムは、回転刃9、回転軸10、モーター14を含み、真空システムは、真空ポンプ15と一連のバルブの構成を含み、吐出システムは、吐出管I11、吐出スイッチI12、バッフル17、吐出管II18、吐出スイッチII19、メルトポット13およびクリスタルポット20を含み、
供給システムのるつぼ2の作業温度は300~1000℃であり、るつぼ2の内部には、原料1の融液に浸漬する供給管3の入口端が設けられ、供給管3の出口端は、供給スイッチ4によって、縦型炉体の頂部と密閉連通し、縦型炉体の頂部にはモーター14が設けられ、モーター14は、縦型炉体の内筒8に密閉挿入された回転軸10に連結され、回転軸10には回転刃9が配置され、縦型炉体の頂部には、縦型炉体を1~100Paの真空度まで排気するための真空ポンプ15が設けられ、縦型炉体の頂部と内筒8の内側との距離が1~2mmである箇所に、傾斜角が6°の結晶融解領域が設置され(長さ40cm、幅80cm)、結晶融解領域には、ずれるように配置されたバッフル17が設置され、内筒8の外壁に加熱システムと水循環冷却システムが設置され、結晶融解領域の底部には、温度領域が350~800℃である加熱システムが設置され、結晶融解領域は吐出領域と連通し、吐出領域底部には吐出管II18と吐出スイッチII19が設けられ、吐出管II18の底部にはクリスタルポット20が設けられ、吐出領域には加熱システムが設けられ、内筒8の底部には吐出管I11が設けられ、吐出管I11は、吐出スイッチI12を介して底部のメルトポット13に連通し、縦型炉体の頂部には観察システムの観察口16が設けられている。
【0026】
ここで、縦型真空螺旋結晶化装置の処理量は100~500kg/日であり、加熱システムは、発熱体5と断熱層6とを含み、発熱体5は抵抗線であり、断熱層6はアルミナ耐火れんがであり、水循環冷却システムは、水循環装置と水循環管7とを含み、内筒8は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃であり、
モーター14の回転速度は0~50rpmであり、内筒8の直径は80cm、高さは4mであり、回転刃9の外縁と内筒8との距離は15mmである。
【0027】
真空ポンプ15直結型2段ロータリーベーン真空ポンプであり、排気速度は15~25L/sである。
【0028】
当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶方法は、以下の具体的な工程を含む。
(1)錫アルミニウム二元合金(組成:Sn20%、Al80%)500kgを作業温度1000℃のるつぼ2で熔解させ、供給スイッチ4、吐出スイッチI12、吐出スイッチII19をオフにし、真空ポンプ15を起動し、縦型炉体内の圧力を100Pa未満とし、且つ内筒8の頂部温度を232℃、下部温度を183℃とし、加熱システムを起動し、
(2)縦型炉体の温度勾配が安定した後、供給管スイッチ4をオンにし、同時にモーター14を起動して2rpmの速度で運転し、
(3)観察口16によって結晶の状態を確認し、結晶融解領域の温度を800℃に設定し、不定期に吐出スイッチをオンにして、溶融物と結晶を放出し、錫を85%含む粗錫と、アルミニウムを99%含む粗アルミニウムが得られた。
【0029】
本実施例では、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置が使用され、電気分解法と比較して、金属アルミニウムの直接回収率は21%増加し、エネルギー効率は27%増加した。
【0030】
実施例4
図1、2に示すように、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置は、縦型炉体、供給システム、加熱システム、水循環冷却システム、回転システム、真空システム、吐出システム、観察システムを含み、
供給システムは、るつぼ2、供給管3および供給スイッチ4を含み、回転システムは、回転刃9、回転軸10、モーター14を含み、真空システムは、真空ポンプ15と一連のバルブの構成を含み、吐出システムは、吐出管I11、吐出スイッチI12、バッフル17、吐出管II18、吐出スイッチII19、メルトポット13およびクリスタルポット20を含み、
供給システムのるつぼ2の作業温度は300~1000℃であり、るつぼ2の内部には、原料1の融液に浸漬する供給管3の入口端が設けられ、供給管3の出口端は、供給スイッチ4によって、縦型炉体の頂部と密閉連通し、縦型炉体の頂部にはモーター14が設けられ、モーター14は、縦型炉体の内筒8に密閉挿入された回転軸10に連結され、回転軸10には回転刃9が配置され、縦型炉体の頂部には、縦型炉体を1~100Paの真空度まで排気するための真空ポンプ15が設けられ、縦型炉体の頂部と内筒8の内側との距離が1~2mmである箇所に、傾斜角が6°の結晶融解領域が設置され(長さ45cm、幅85cm)、結晶融解領域には、ずれるように配置されたバッフル17が設置され、内筒8の外壁に加熱システムと水循環冷却システムが設置され、結晶融解領域の底部には、温度領域が350~800℃である加熱システムが設置され、結晶融解領域は吐出領域と連通し、吐出領域底部には吐出管II18と吐出スイッチII19が設けられ、吐出管II18の底部にはクリスタルポット20が設けられ、吐出領域には加熱システムが設けられ、内筒8の底部には吐出管I11が設けられ、吐出管I11は、吐出スイッチI12を介して底部のメルトポット13に連通し、縦型炉体の頂部には観察システムの観察口16が設けられている。
【0031】
ここで、前記縦型真空螺旋結晶化装置の処理量は100~500kg/日であり、加熱システムは、発熱体5と断熱層6とを含み、発熱体5は抵抗線であり、断熱層6はアルミナ耐火れんがであり、水循環冷却システムは、水循環装置と水循環管7とを含み、内筒8は、各段の加熱システムと水循環冷却システムによって、上から下に向かって、温度勾配が徐々に減少する制御可能な加熱領域が形成され、頂部が高温セグメント、底部が低温セグメントで、高温セグメントの温度は200~800℃、低温セグメントの温度は100~650℃であり、
モーター14の回転速度は0~50rpmであり、内筒8の直径は65cm、高さは4mであり、回転刃9の外縁と内筒8との距離は18mmである。
【0032】
真空ポンプ15は直結型2段ロータリーベーン真空ポンプであり、排気速度は15~25L/sである。
【0033】
当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶方法は、以下の具体的な工程を含む。
(1)錫ビスマス二元合金(組成:Pb62.5%、Bi37.5%)200kgを作業温度400℃のるつぼ2で熔解させ、供給スイッチ4、吐出スイッチI12、吐出スイッチII19をオフにし、真空ポンプ15を起動し、縦型炉体内の圧力を100Pa未満とし、且つ内筒8の頂部温度を232℃、下部温度を183℃とし、加熱システムを起動し、
(2)縦型炉体の温度勾配が安定した後、供給管スイッチ4をオンにし、同時にモーター14を起動して2rpmの速度で運転し、
(3)観察口16によって結晶の状態を確認し、結晶融解領域の温度を400℃に設定し、不定期に吐出スイッチをオンにして、溶融物と結晶を放出し、ビスマスを77%含む粗ビスマスと、98.7%の鉛を含む粗鉛が得られた。
【0034】
本実施例では、当該二元共晶合金を連続分離する縦型真空螺旋結晶化装置が使用され、電気分解法と比較して、金属鉛の直接回収率は18%増加し、エネルギー効率は22%増加した。
【0035】
以上、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1-原料、2-るつぼ、3-供給管、4-供給スイッチ、5-発熱体、6-断熱層、7-水循環管、8-内筒、9-回転刃、11-吐出管I、12-吐出スイッチI、13-メルトポット、14-モーター、15-真空ポンプ、16-観察口、17-バッフル、18-吐出管II19-吐出スイッチII、20-クリスタルポット

図1
図2