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▶ 金城 俊輝の特許一覧

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  • 特許-花用整形具及び整形花の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】花用整形具及び整形花の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 5/00 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
A01G5/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023557946
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2022039254
(87)【国際公開番号】W WO2023079978
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2021182184
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521490122
【氏名又は名称】金城 俊輝
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 俊輝
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-136009(JP,U)
【文献】実開平05-43961(JP,U)
【文献】実開平06-27615(JP,U)
【文献】国際公開第82/4430(WO,A1)
【文献】国際公開第16/98166(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0187424(US,A1)
【文献】米国特許第6349501(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 5/00- 5/06
A01G 7/06
B44C 5/06
A47G 7/00- 7/08
B65B 1/00-69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
花の萼筒外周を取り囲むように配置される固定帯と、この固定帯に突設され、前記萼筒を中心部へ向けて押圧変形させる整形突起と、を備える花用整形具。
【請求項2】
前記固定帯に、この固定帯が前記萼筒を取り囲んだ状態でその内径を調整することにより、前記整形突起の前記萼筒への押し込み量を調整する整形量調整手段が設けられている請求項1に記載の花用整形具。
【請求項3】
前記整形突起が複数設けられている請求項1または請求項2に記載の花用整形具。
【請求項4】
前記整形突起が、前記固定帯にその長さ方向に移動可能に装着されている請求項1に記載の花用整形具。
【請求項5】
花用整形具を用いる整形花の製造方法であって、
前記花用整形具は、花の外周を取り囲む固定帯と、前記固定帯に突設される整形突起と、を備え、
前記固定帯を前記花の萼筒外周を取り囲むように配置する配置工程と、前記整形突起を前記萼筒の中心部へ向けて押圧し、前記花を変形させる変形工程と、を含む整形花の製造方法。
【請求項6】
前記変形工程は、前記花が開花する前に行う請求項5に記載の整形花の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花用整形具に係わり、特に、花の正面から見た形状を変化させるようにした花用整形具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、草花を飾る際に、草花の姿勢や形状を人為的に変化させて見栄えを調整することが行なわれている。
【0003】
その一例として、草花の茎に金属細線を巻き付けておき、茎を任意に湾曲させてその湾曲した形状を金属細線によって保持することにより、草花の姿勢を矯正することが行なわれている。
【0004】
また、特許文献1に示されるように、葉を挟み込んで表裏面に異なる摩擦を与えることにより、葉の反りを調整することも行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-132258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した何れの従来技術においても、茎や葉といった花以外の部位を整形するものである。
【0007】
しかしながら、草花の見栄えを決定する主要部は花自体であり、花自体に整形を施すことにより、より効果的な見栄えの変更が可能と考えられる。
【0008】
本発明は、このような知見のもとになされたもので、花自体に整形を施すことの可能な花用整形具の提供及び整形を施された花を簡便な製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の花用整形具は、前述した課題を解決するために、花の萼筒外周を取り囲むように配置される固定帯と、この固定帯に突設され、前記萼筒を中心部へ向けて押圧変形させる整形突起とを備える。
【0010】
このような構成とすることにより、固定帯によって花の萼筒外周を取り囲んだ後に、この固定帯の内径を縮めるように締め付けることにより、この固定帯とともに整形突起を萼筒へ押し付けて花に装着する。
【0011】
萼筒へ押し付けられた整形突起は、萼筒の一部を中心部へ向けて押し込むように変形させる。
【0012】
萼筒の一部が中心部へ押し込まれると、花を正面から見た状態において、花の中心部が、例えば、略真円形状からハート形状に変形させられる(整形突起が一つの場合)。
【0013】
このように、花の見栄えを左右する主要素である花の正面から見た形状を変化させることができる。
したがって、効果的な見栄えの変更を行なうことができる。
【0014】
前記固定帯に、この固定帯が萼筒を取り囲んだ状態でその内径を調整することにより、整形突起の萼筒への押し込み量を調整する整形量調整手段を設けることもできる。
【0015】
このような構成とすることにより、整形量調整手段によって整形突起の萼筒への押し込み量を調整することにより、萼筒の変形量、すなわち、花の正面視での形状の変化量を調整することができる。
すなわち、花を正面から見た際の見栄えを調整することができる。
【0016】
前記整形突起は、複数設けることができる。
このような構成とすることにより、萼筒を内側へ向けて押し込む部位を増やして、これに伴う花の正面視での形状変化のバリエーションを増やすことができる。
【0017】
前記整形突起は、固定帯にその長さ方向に移動可能に装着することができる。
【0018】
このような構成とすることにより、萼筒の押圧変形位置を設定する際に、その自由度を高めることができる。
【0019】
上記課題を解決する本発明は、花用整形具を用いる整形花の製造方法であって、前記花用整形具は、花の外周を取り囲む固定帯と、前記固定体に突設される整形突起と、を備え、前記固定体を前記花の萼筒外周を取り囲むように配置する配置工程と、前記整形突起を前記萼筒の中心部へ向けて押圧し、前記花を変形させる変形工程と、を含む整形花の製造方法である。
このような構成によって、簡便な方法で整形された花を生産することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記変形工程は、前記花が開花する前に行う。
このような構成によって、整形にあたっての花への負担を軽減するとともに、開花する際には整形による変形を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明の花用整形具によれば、萼筒の一部を内側へ向けて押し込むことにより、花の正面視での形状を変化させることができる。また、簡便に整形された花を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
図2】花を正面から見た図である。
図3】花を側面から見た図である。
図4】本発明の一実施形態の作用を説明するための側面図である。
図5】本発明の一実施形態の作用を説明するための花を正面から見た図である。
図6】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態において、花用整形図が作用する様子を表す底面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1中、符号1は本実施形態に係わる花用整形具を示す。
【0024】
この花用整形具1は、長尺な固定帯2の側面に整形突起3を一体的に突設した構成となっている。
【0025】
前記固定帯2の一端部には、固定帯2の他端部が嵌挿させられてこの固定帯2を環状体とする固定手段4が設けられる。
【0026】
整形突起3は、固定帯2が環状体となるときに内周側となる面に設けられた三角柱状の部材である。整形突起3において後述する花Fと当接する突端部31の先端は、少なくとも0.5mm以上、好ましくは1mm以上の幅を付けて設けられている。また、突端部31の先端の高さは、後述する萼筒11の高さの1/2よりも高くすることが好ましく、より好ましくは、萼筒11の高さと略同一となるように設けられる。
なお、本実施形態において突端部31は、平板部材を鋭角になるように2つ折りにすることで形成され、内側で貼り付けられることでその状態が維持される。
【0027】
この固定手段4は、固定帯2の縮径方向への相対動を許容し、各径方向への相対動を拘束する整形量調整手段Zの機能が付与されている。
【0028】
図2は、花Fを正面から見た状態を示し、図3は、花Fを側面から見た図である。
【0029】
この花Fは、茎10と、この茎10の先端部に連続する萼筒11と、この萼筒11によって支持され、この萼筒11から外側へ広がる多数の花弁12とを備えている。
【0030】
ついで、本実施形態の花用整形具1の使用方法について説明する。
まず、配置工程として、固定帯2を、萼筒11を取り巻くように位置させた後に、その他端部を固定手段4に嵌挿して、固定帯2を環状体とする。
【0031】
ついで、変形工程として、図4に示すように、固定帯2を縮径させて萼筒11の外周面に接触させることにより、固定帯2に設けられている整形突起3によって萼筒11の一部を内側へ向けて押し込む。
【0032】
このように、萼筒11の一部が内側へ向けて押し込まれると、図5に示すように、花Fを正面から見た状態において、花Fの中心部の一部も内側へ押し込まれるように変形させられる。
これによって花Fの整形を完了する。
【0033】
好ましくは、変形工程は花Fが開花していないときに行う。このようにすることによって、花Fの内部にある子房の成長に伴って花Fの整形がされるため、花にかかるストレスを小さくして整形による変形量を大きくすることができる。
【0034】
本実施形態においては、花Fの中心部が円形となされ、かつ、整形突起3が一箇所に設けられた例では、前述した整形後によって、花Fの中心部をハート形に変形させることができる。
より詳しく言えば、花Fははいわゆる頭状花序の花であって、中心において集合している筒状花の位置及び範囲が整形突起3の押圧によって変化することでハート型に整形される。花Fは、特にガーベラであることが好ましい。
【0035】
このように、花Fの見栄えを左右する主要素である花Fの正面から見た形状を変化させることができるので、効果的な見栄えの変更を行なうことができる。
【0036】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法とは一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0037】
例えば、図6に示すように、変形工程において花Fに当接する当接材5が設けられていてもよい。
【0038】
当接材5は固定手段4の近傍であって、固定帯2が環状体となるときに内周側となる面に貼り付けられる部材である。その高さは突端部31の高さと略同一か大きくなるように設けられていることが好ましい。
【0039】
本実施形態において当接材5はスポンジや不織布によってなる緩衝材である。一方、花Fを挟持したときに変形しない程度の剛性とし、さらに花Fに当接する面を所望の形状(凹面、突起等)とし、整形突起3と併せて花Fを整形できるようにしてもよい。このとき、当接材5は整形突起3に対向する位置に設けられていることが好ましい。
【0040】
また、整形突起3を固定帯2に、この固定帯2の長さ方向に移動可能な構成とすることもできる。この場合、整形突起3は、花Fと当接する突端部31と、固定帯2を貫入可能な孔を有する摺動体32とが一体に設けられる。この際、萼筒11は、固定帯2の内周面及び当接材5の間に外周が囲われるように設けられる。さらに萼筒11は、図7に示すように、萼筒の一部が整形突起3によって固定帯2の内周面及び当接材5に押し付けられ、3点で支持されるように設けられる。
【0041】
また、固定帯2を紐によって構成し、この紐を結ぶことによって整形突起3を萼筒11に押し付ける構成とすることもできる。さらに、固定手段として、面ファスナを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 花用整形具
2 固定帯
3 整形突起
31 突端部
32 摺動体
4 固定手段
5 当接材
10 茎
11 萼筒
12 花弁
F 花
Z 整形量調整手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7