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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】骨伝導スピーカユニット
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20241216BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/10 104A
H04R1/10 104Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023579272
(86)(22)【出願日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2023031924
(87)【国際公開番号】W WO2024090030
(87)【国際公開日】2024-05-02
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022172195
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591075892
【氏名又は名称】株式会社テムコジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】福田 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】渥美 智也
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-270879(JP,A)
【文献】特開2020-155802(JP,A)
【文献】特許第6427701(JP,B1)
【文献】特開2005-328125(JP,A)
【文献】国際公開第2008/029515(WO,A1)
【文献】特開2015-195444(JP,A)
【文献】実開昭58-104077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/10
H04R 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨伝導スピーカと、耳甲介腔内に収まって前記骨伝導スピーカを支持する支持手段とから成り、
前記支持手段は、上面に前記骨伝導スピーカの底面に固着される支柱を設けたリングと、前記リングの外周面に形成される周溝に嵌め付けられる弾性アダプターにより構成されることを特徴とする骨伝導スピーカユニット。
【請求項2】
前記弾性アダプターは、前記周溝に嵌め付けられる環状部と、前記環状部から水平方向に突出して、使用時に耳甲介腔の内側面に当接する凸部とから成る、請求項1に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項3】
前記凸部はU字状又はV字状に突出するものである、請求項2に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項4】
前記凸部はヤジロベー形状に突出するものである、請求項2に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項5】
前記リングは硬質樹脂製であり、前記弾性アダプターは軟質材製である、請求項1に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項6】
前記弾性アダプターはサイズ及び/又は形状の異なるものが複数種用意され、選択交換自在にされる、請求項1に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項7】
前記骨伝導スピーカは、その一部が前記リングの開口にかかるように配置される、請求項1に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項8】
骨伝導スピーカと、耳甲介腔内に収まって前記骨伝導スピーカを支持する支持手段と、前記骨伝導スピーカをメガネに支持させるためのメガネ装着手段とから成る骨伝導スピーカユニットであって、
前記支持手段は、上面に前記骨伝導スピーカの底面に固着される支柱を設けたリングと、前記リングの外周面に形成される周溝に嵌め付けられる弾性アダプターにより構成され、
前記メガネ装着手段は、弾性支持帯とメガネ装着部材とから成り、前記弾性支持帯は、一端部が前記骨伝導スピーカに固定され、他端部が前記メガネ装着部材に固定され、前記メガネ装着部材にはテンプル挿通孔が貫設されていて、そこにメガネのテンプルを挿通することによりメガネに装着可能であることを特徴とする骨伝導スピーカユニット。
【請求項9】
前記弾性支持帯の両端部に嵌合孔が形成されていて、一方の前記嵌合孔に前記骨伝導スピーカに形成される係止部を嵌め入れることで前記弾性支持帯の一端が前記骨伝導スピーカに固定され、他方の前記嵌合孔に前記メガネ装着部材に形成される係止部を嵌め入れることで前記弾性支持帯の他端が前記メガネ装着部材に固定される、請求項8に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項10】
前記リングは硬質樹脂製であり、前記弾性アダプターは軟質材製である、請求項8に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項11】
前記弾性アダプターはサイズ及び/又は形状の異なるものが複数種用意され、選択交換自在にされる、請求項8に記載の骨伝導スピーカユニット。
【請求項12】
前記骨伝導スピーカは、その一部が前記リングの開口にかかるように配置される、請求項8に記載の骨伝導スピーカユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨伝導スピーカユニットに関するものであり、より詳細には、頭骨に音声信号に基づく振動を伝えることによって骨伝導音として聴取させるスピーカ(イヤホン)であって、特に、健聴者が使用するのに好適な骨伝導スピーカユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のとおり、骨伝導スピーカは頭骨を振動させて音声の伝達を行なうものであり、使用に際しては、その振動面を頭部のいずれかの個所に当接させ、且つ、その状態を維持させる必要がある。そのために当初は、通常のヘッドホンのように、ヘッドバンドを用いてスピーカをこめかみ部及び乳様突起部に押し当てる方法が用いられていた。しかし、この方法の場合、ヘッドバンドを頭に掛け続けなければならない煩わしさがあり、また、装着状態が目立つために敬遠されていた。また、一般のイヤホンと同様に、耳孔内に挿入するタイプのものも用いられているが、当然のことながら、それを街中で使用する場合は、耳孔が塞がれて周囲音が聞き取りにくくなり、危険でもある。
【0003】
しかるに、最近は、健聴者が骨伝導スピーカを使用する場合は、通常音は外耳道から鼓膜を介して聴取し、別情報を、骨伝導スピーカを介して聴取するといった使われ方が一般化している。この場合骨伝導スピーカは、耳孔を塞がないように且つ耳殻周辺部に当接するように配置され、耳孔は開放される必要がある。健聴者が使用する場合は、健聴者であるが故に、外耳道を経由して入ってくる音を優先的に認識する傾向にあり、その結果、骨導音を小さく感じてしまうという問題がある。もちろん、このレベルの骨導音であっても、耳栓をして外部音をカットした場合には、明瞭に聴取することが可能である。
【0004】
健聴者が使用することを前提として、耳孔を塞がず且つ耳殻周辺部に当接するように配置することができる骨伝導スピーカを開示する先行文献として、WO2008/029515号公報(特許文献 1)及び特許第4683635号公報(特許文献2)がある。
【0005】
特許文献1の発明は、骨伝導スピーカに取り付けられて骨伝導スピーカを耳珠又はその近傍位置に当接させるように保持するC字形状等の耳甲介腔内に収まるリング状の保持手段を備えたもので、保持手段の両外側面部分が耳珠の内側部と耳甲介腔の内側面に当接してそこを押し続けることにより、その位置に係止されるようにしたものである。また、特許文献2の発明は、棒状の骨伝導スピーカ部と、耳甲介腔を含む窪みに納まり、耳珠と対珠に圧接される形状及び大きさを有するリング状の振動伝達部と、骨伝導スピーカを支持し、耳介接触部と連結する支持部を備える受話装置である。
【0006】
耳甲介腔の大きさや形状は人によって区々であるところ、耳甲介腔内に収めて使用される上記特許文献1の発明の保持手段及び特許文献2の発明の振動伝達部は、共にサイズが決まっているため、耳部の多様なサイズに適応し切れず、うまく嵌め込める人と嵌め込めない人が出てくる。また、特許文献1の発明の場合、耳甲介腔内への装着に際し、リング状の保持手段を押圧変形させるのに少なからぬ力が必要となり、装着感もよくない。更に、特許文献1,2の発明の場合の骨伝導スピーカは、耳珠ではなく対珠及び耳垂に当接しているため、気導音の発生効率がよくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2008/029515号公報
【文献】特許第4683635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおり、上記特許文献1の発明の保持手段及び特許文献2の発明の振動伝達部は、共にサイズが決まっているため、人によって異なる耳部の多様なサイズ等に適応し切れず、うまく嵌め込める人と嵌め込めない人とが出てくるという問題があり、また、気導音の発生効率がよくないという問題があった。そこで本発明は、耳部のサイズや形状に関係なく容易に収まりよく装着でき、健聴者が使用した場合、耳孔を塞がないために外部音の聴取が阻害されず、気導音の発生効率がよくて音質の向上が図れる骨伝導スピーカユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、骨伝導スピーカと、耳甲介腔内に収まって前記骨伝導スピーカを支持する支持手段とから成り、
前記支持手段は、上面に前記骨伝導スピーカの底面に固着される支柱を設けたリングと、前記リングの外周面に形成される周溝に嵌め付けられる弾性アダプターにより構成されることを特徴とする骨伝導スピーカユニットである。
【0010】
一実施形態においては、前記弾性アダプターは、前記周溝に嵌め付けられる環状部と、前記環状部から水平方向に突出して、使用時に耳甲介腔の内側面に当接する凸部とから成る。前記凸部はU字状又はV字状に突出するものとされ、あるいは、前記凸部はヤジロベー形状に突出するものとされる。
【0011】
一実施形態においては、前記リングは硬質樹脂製であり、前記弾性アダプターは軟質材製である。前記弾性アダプターはサイズ及び/又は形状の異なるものが複数種用意され、選択交換自在にされる。
【0012】
一実施形態においては、前記骨伝導スピーカは、その一部が前記リングの開口にかかるように配置される。
【0013】
上記課題を解決するための請求項8に記載の発明は、骨伝導スピーカと、耳甲介腔内に収まって前記骨伝導スピーカを支持する支持手段と、前記骨伝導スピーカをメガネに支持させるためのメガネ装着手段とから成る骨伝導スピーカユニットであって、
前記支持手段は、上面に前記骨伝導スピーカの底面に固着される支柱を設けたリングと、前記リングの外周面に形成される周溝に嵌め付けられる弾性アダプターにより構成され、
前記メガネ装着手段は、弾性支持帯とメガネ装着部材とから成り、前記弾性支持帯は、一端部が前記骨伝導スピーカに固定され、他端部が前記メガネ装着部材に固定され、前記メガネ装着部材にはテンプル挿通孔が貫設されていて、そこにメガネのテンプルを挿通することによりメガネに装着可能であることを特徴とする骨伝導スピーカユニットである。
【0014】
一実施形態においては、前記弾性支持帯の両端部に嵌合孔が形成されていて、一方の前記嵌合孔に前記骨伝導スピーカに形成される係止部を嵌め入れることで前記弾性支持帯の一端が前記骨伝導スピーカに固定され、他方の前記嵌合孔に前記メガネ装着部材に形成される係止部を嵌め入れることで前記弾性支持帯の他端が前記メガネ装着部材に固定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る骨伝導スピーカユニットは上述したとおりのものであり、装着に際して弾性アダプターが歪み変形するため、耳部のサイズや形状に関係なく容易に収まりよく装着でき、健聴者が使用した場合、耳孔を塞がないために外部音の聴取が阻害されず、また、骨伝導スピーカは、リングに支柱を介して固定されていて、人体に触れない位置(高さ)に配置されるため、振動出力を、リングを経由して耳孔周辺に直接無駄なく伝達することができて、耳珠を含む耳孔周辺部を加振して外耳道内に効率よく気導音を発生させることができ、以て、音質の向上を図ることができるという効果がある。
【0016】
また、請求項8~12に記載の発明においては、骨伝導スピーカが弾性支持帯を介して所望位置に安定状態に支持されるため、メガネ装着者が使用する場合の装着性が向上する効果がある
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の態様の骨伝導スピーカユニットの構成例の斜視図である。
図2】本発明の第1の態様の骨伝導スピーカユニットの構成例の分解斜視図である。
図3】本発明の第1の態様の骨伝導スピーカユニットの構成例の簡略縦断面図である。
図4】本発明の第1の態様の骨伝導スピーカユニットの装着状態を示す図である。
図5】本発明に係る骨伝導スピーカユニットの周波数特性を示す図である。
図6】本発明の第2の態様の骨伝導スピーカユニットの装着状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の態様の骨伝導スピーカユニットの構成例の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1乃至図4は、本発明に係る骨伝導スピーカユニットの第1の態様を示すもので、それは、骨伝導スピーカ1と、耳甲介腔内に収まって骨伝導スピーカ1を支持する支持手段2とから成り、支持手段2は、上面に支柱4が立設された、通例、硬質樹脂製のリング3と、リング3の外周面に形成される周溝5に嵌め付けられる弾性アダプター6とから成る。支柱4は、その上端が骨伝導スピーカ1のケース底面に接着、溶着、ネジ止め、その他任意の手段により確固と固着されて、骨伝導スピーカ1を支持する(図2,3参照)。
【0019】
骨伝導スピーカ1は、その一部がリング3の開口にかかるように配置することが好ましい(図2,3参照)。そのようにするのは、骨伝導スピーカ1を耳孔11の直近に配置し、スピーカの漏れ音(高音域)を積極的に利用するためである。なお、骨伝導スピーカ1をリング3の開口を完全に覆うように配置すれば、漏れ音をより効率よく利用できると考えられるが、見た目で耳孔11が開いていることをアピールする関係上、あえてリング3の開口を露出させる配置とするのである。
【0020】
弾性アダプター6は、通例、軟質ゴム、軟質樹脂等の軟質材製で、周溝5に嵌まり込む環状部7と、環状部7から水平方向に突出して、使用時に歪み変形して耳甲介腔12及び対珠13の内側面に当接する凸部8とから成る(図2参照)。凸部8の形状は歪み変形し得る形状であれば任意であり、例えば、U字状又はV字状に突出するものとされ(図2(A))、あるいは、ヤジロベー形状に突出するものとされる(図2(B))。弾性アダプター6は、凸部8のサイズ及び/又は形状の異なるものが複数種用意され、選択交換可能にされる。
【0021】
リング3は、使用時に弾性アダプター6が嵌め付けられた状態で耳甲介腔12内に装入されるが、その装入状態において対珠13及び耳殊14の内側面と耳甲介腔12等の内側面に当接するのは、硬質樹脂製のリング3ではなく、軟質材製の環状部7及び凸部8であるので感触がよく、違和感が少ない(図4参照)。その場合凸部8は、当接する耳甲介腔12等の内側面に沿って歪み変形し、無理なく耳甲介腔12の内側面形状に倣うように変形し、その復元力にて耳甲介腔12の内側面を押圧する。かくしてリング3及び弾性アダプター6は、一体となって無理なく耳甲介腔12内に収装され、痛感のない良好な装着状態が得られる。
【0022】
上記構成の骨伝導スピーカの場合、骨伝導スピーカ1の振動出力は、リング3を経由して耳甲介腔12周辺に骨導音として伝達される。その際骨伝導スピーカ1は、リング3に支柱4を介して固定されて、人体に触れない位置(高さ)に配置されているため、振動出力を、リング3を経由して耳孔周辺に直接伝達することができるので、振動伝達ロスを最小限に抑えることが可能となる。それにより耳孔11周辺部が効率よく加振されて、外耳道内に気導音が発生するため、健聴者が使用した場合、主に鼓膜経由の音声を明瞭に聴取することが可能となる。
【0023】
本来、骨振動の伝達特性は頭蓋骨の振動が直接聴覚神経に達するもので、振動伝達される周波数特性は可聴周波数帯の高周波部での減衰が大きいのが特徴である。しかし、骨伝導スピーカ1が耳孔11の直近にある場合は、骨伝導スピーカ1が振動時に発生する気導音(漏れ音)も同時に鼓膜に到達することになる。その場合、発生する気導音(漏れ音)が低いレベルであったとしても、骨伝導スピーカ1が耳孔11の直近にあるため、健聴者の鼓膜には十分な音量として到達する。言うまでもなく本発明に係る骨伝導スピーカユニットの場合は、リング3の開口によって耳孔11が開放されているため、気導音(漏れ音)は十分に鼓膜に到達する。
【0024】
図5は、この時の周波数特性を、聴取者の外耳道内に配置した小型のマイクで測定した耳孔内気導音特性を示すものである。図5を見ると、B&K社の骨振動測定用MASTOIDで測定したデータと比較して高域特性が大きく改善されていることが判る。使用する骨伝導スピーカはどのような種類であっても効果は同じであるが、測定時に使用したのはダイナミックタイプの骨伝導スピーカで、その基本構造から高周波帯域が出やすく、健聴者が音楽鑑賞用として使用する場合に適している。
【0025】
図6,7は、本発明に係る骨伝導スピーカユニットの第2の態様を示すもので、この第2の態様は、本骨伝導スピーカユニットをメガネ装着者が使用する場合の装着性向上を図ったものである。その装着性向上のために第2の態様においては、上記第1の態様の構成に対し、弾性支持帯21及びメガネ装着部材22が付加され、また、骨伝導スピーカ1に、弾性支持帯21の一端部を取り付けるための、くびれ部9aを有する円形の係止部9が形成される。
【0026】
弾性支持帯21は、軟質材製の帯状体で、両端に嵌合孔22,23が形成されている。嵌合孔22,23は、引っ張ることで拡げることができる。メガネ装着部材24は軟質材製のブロック体であって、一側面から他側面に抜けるテンプル挿通孔25が貫設され、そこにメガネのテンプル31を挿通することで、メガネに取り付けられる(図6)。また、メガネ装着部材24の一端面に、係止部9と同様のくびれ部26aを有する係止部26が形成される。
【0027】
弾性支持帯21の一端の嵌合孔22を引っ張って拡げて骨伝導スピーカ1の係止部9を嵌め入れると、嵌合孔22がくびれ部9aにおいて縮径し、以て、弾性支持帯21の一端が骨伝導スピーカ1に係止固定される(図6)。また、弾性支持帯21の他端の嵌合孔23を引っ張って拡げ、メガネ装着部材24の係止部26を嵌め入れると、嵌合孔23がくびれ部26aにおいて縮径し、以て、弾性支持帯21の他端がメガネ装着部材24に係止固定される(図6)。
【0028】
メガネ装着部材24は、テンプル挿通孔25にメガネのテンプル31を挿通することで、メガネに取り付けられる(図6)。メガネ装着部材24は軟質材製であって、テンプル31を先端部からテンプル挿通孔25に押し込むと、テンプル挿通孔25はテンプル31の形状に応じて変形するので、テンプル31を容易に挿通させることができる。従って、メガネ装着部材24は、種々の形状のテンプル31に装着可能である。また、メガネ装着部材24は、テンプル31に沿ってずらし動かすことができるので、使用者が使用に際して所望位置に配置することができる。即ち、本骨伝導スピーカユニットをメガネ装着者が使用する場合、良好な装着性が得られる。
【0029】
この第2の態様の場合の骨伝導スピーカ1は、弾性支持帯21を介してメガネに支持されて定位置に保持されるので、弾性アダプター6に凸部8を設けなくてもよい(もちろん設けてもよい)。また、第2の態様の場合の作用効果は、弾性支持帯21による作用効果以外、上記第1の態様の場合と同じである。
【0030】
上述した従来例の場合は、骨伝導スピーカからそれが当接する対珠及び耳垂に、また、骨伝導スピーカ1に固定されているリングから耳珠に振動伝達されて外耳道内に気導音が発生するが、その場合は振動が分散される上に、対珠及び耳垂は耳珠よりも気導音の発生効率が悪いと考えられる。これに対して本発明に係る骨伝導スピーカユニットの場合は、骨伝導スピーカ1の振動が全て耳珠14周辺に伝達されるので、骨伝導音の伝達効率がよいだけでなく、気導音の発生効率もよいと言える。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る骨伝導スピーカユニットは上述したとおりのものであって、装着に際して弾性アダプターが歪み変形するため、耳部のサイズや形状に関係なく容易に収まりよく装着でき、健聴者が使用した場合、耳孔を塞がないために外部音の聴取が阻害されず、また、骨伝導スピーカは、リングに支柱を介して固定されていて、人体に触れない位置(高さ)に配置されるため、振動出力を、リングを経由して耳孔周辺に直接無駄なく伝達することができて、耳珠を含む耳孔周辺部を加振して外耳道内に効率よく気導音を発生させることができ、以て、音質の向上を図ることができるという効果を奏するものであり、また、第2の態様においては、メガネ装着者が使用する場合の装着性が向上する効果があるので、その産業上の利用可能性は大である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7