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  • 特許-電解研磨装置用電極 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】電解研磨装置用電極
(51)【国際特許分類】
   C25F 7/00 20060101AFI20241216BHJP
   C25F 1/06 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C25F7/00 S
C25F7/00 X
C25F7/00 K
C25F1/06 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024070778
(22)【出願日】2024-04-24
【審査請求日】2024-06-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591120837
【氏名又は名称】株式会社ケミカル山本
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】山本 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】佃 岩夫
(72)【発明者】
【氏名】大下 功
(72)【発明者】
【氏名】藤永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】中川 正浩
(72)【発明者】
【氏名】植木 達己
(72)【発明者】
【氏名】天野 正幸
(72)【発明者】
【氏名】空 美春
(72)【発明者】
【氏名】北河 哲平
(72)【発明者】
【氏名】清木 義夫
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-037611(JP,A)
【文献】特開2017-031478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25F 7/00
C25F 1/06
C25F 3/00
C25F 3/16-3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対配置した電極と電解処理対象物との間に、該電極を被覆する保水性を備える電気短絡防止材と電解液層とを介在した状態で両者間に通電して電解し、電気化学的作用によって電解処理対象物であるステンレス鋼の溶接焼け取りや清浄化を行う電解研磨装置で使用する電解研磨装置用電極であって、
柔軟性又は弾力性を有する導電性の炭素繊維材又は金属部材を単独で用い又は混在させた電極コアと、前記電極コアが露出しないように被覆する柔軟性かつ保水性を有する電気短絡防止材とを組み合わせ形成された平板状の電極であり
当該平板状の電極は、電解処理対象物の形状に合わせて自在に変形可能な柔軟性を有し、前記電気短絡防止に、隔膜形成効果を付与させたことを特徴とする電解研磨装置用電極。
【請求項2】
前記電極コアが、複数の前記炭素繊維材、又は複数の前記金属部材、又は前記炭素繊維材及び金属部材の複数の混合物が単層又は多層状に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨装置用電極。
【請求項3】
前記平板状の電極は、上面と下面とが縫合され又は糸を掛け渡す処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解研磨装置用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼溶接加工品の溶接焼けを電気分解方式により溶解除去すると同時に、耐食性に優れた不動態皮膜を形成させるための新規な電極構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、過去に、ステンレス鋼の溶接後の溶接焼け取り洗浄作業が極めて危険な毒劇物に該当する硝弗酸に依存している実情に鑑み、研究の結果、安全無害な中性塩の溶液を電解液とする電解焼け取り法を開発し、「合金鋼の脱スケール法」の名称のもとに特許第1543867号を取得し、従来の危険な毒劇物硝弗酸の使用を抑制し、より安全無害な溶接焼け取りを可能とする電解装置を開発した。
【0003】
この発明の要旨とするところは、燐酸、硫酸、弗酸の中性塩溶液にグリセリンを混合して電解液とし、被処理ステンレス鋼を陽極とする直流電解法である。この方法によれば、極めて効果的に上記焼け取り作業が実施できるが、電解時に毒性の高い六価のクロムが溶出する欠点が有ったため、この種の電解液に改良を加え、市販の単純な直流電源器をもって電解処理を施工しても六価クロムを溶出しない画期的で安全な電解液を開発し業界の注目するところとなっている。
【0004】
また従来市販の六価クロムが溶出して危険性のある中性塩電解液を使用しても、六価クロムが完璧に溶出しないように改良した画期的な電解処理用電源器を開発し、「合金鋼の溶接に伴うスケールの除去方法」の名称のもとに特許第1908719号を取得している。
【0005】
この発明の要旨とするところは、無機中性塩の溶液を電解液とし、直流に振幅が直流電圧に等しいか、又は若干高い程度の交流を重ね合わせた交直重乗電流をもって電解処理することを特長とするもので、電解時に溶出した有害な六価クロムは直ちに還元され、無害化される卓越した効果を奏するものである。
【0006】
本出願人は、その他電気化学的手法として、従来の技術ではステンレス表面の公知の酸素系不動態皮膜を破壊するため適用不可能とされていた交流電流を用いることも可能にして、ステンレス鋼表面の優美性を維持したままでその表面に強力な不動態皮膜を形成させることにより、ステンレス鋼本来の耐食性を損なうことなく、むしろ向上させながらステンレス鋼表面に付着している溶接や熱処理による酸化膜や、さび、油分、汚れ等の各種異物を一工程で除去するステンレス鋼の表面洗浄、不動態化処理方法を確立し、「ステンレス鋼表面の清浄、不動態化処理方法」の名称のもとに特許第3484525号を取得している。
【0007】
また特許第4218000号「含弗素乃至弗素・酸素系被膜層を形成させたステンレス鋼とその製造方法」では、特許第3484525号で不明であった強力な不動態皮膜を形成させるメカニズムをも解明し、電気化学的手法により、ステンレス鋼の表面部乃至はその近傍に対し、弗酸若しくは弗酸と酸素とをイオン状で拡散、浸透せしめることにより含弗素系乃至含弗素・酸素系の皮膜層を形成させ、従来のステンレス鋼表面に形成されている酸素系不動態皮膜に比べて耐食性に優れた新規な皮膜の形成によってもたらせる効果により、該ステンレス鋼の鋼種に応じて保有する固有の耐食性をより一層飛躍的に向上させ、特にオーステナイト系ステンレス鋼に特有の塩素による孔食発生から異常腐食さらには応力腐食割れに至る諸問題を大幅に改善したステンレス鋼とその製造方法発明した。
【0008】
一般に、前述したような電解処理装置の根幹を成す電極部の役割は、ステンレス鋼等の導電性材質に天然又は合成繊維の織布若しくは不織布よりなる保水性物質を隔膜として被覆せしめた状態のもので、該電極と被処理ステンレス鋼表面との間に電解液を介在させて電解処理を行うものであるが、従来の電極は、構造そのものが金属の平板に織物を被せた画一的なものであるだけに、あらゆる溶接状況に対応し充分な溶接焼けの除去性能を上げるには難があり、概ね平滑な溶接周辺部に適用されてきた経緯がある。
【0009】
本出願人はあらゆる溶接状況に対応する電極として「電解研磨装置用電極」の名称のもとに特許第5849348号を取得している。この電極は、図7に示すようにステンレス鋼平板51を電気短絡防止の布袋53で被覆し、該布袋内全体に導電性の炭素繊維あるいはステンレス繊維55を装着したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第1543867号公報
【文献】特許第1908719号公報
【文献】特許第3484525号公報
【文献】特許第4218000号公報
【文献】特許第5849348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許第5849348号に記載の電解研磨装置用電極は、柔軟で弾力性があるため変形自在な電極となり多くのユーザーから好評を博している。一方、電極のコア部にステンレス製平板を用いているため、炭素繊維あるいはステンレス繊維を内包した布袋の柔軟性に制限があり、曲面部に対しては当該電極の一部しか密着しないため、完全な溶接焼け取りに時間を要している。
【0012】
本発明の目的は、曲面部への密着面を増加させて効率的な焼け取りを可能とし、同時に溶接焼け取り除去部に不動態皮膜を形成させることのできる電解研磨装置用電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、相対配置した電極と電解処理対象物との間に、該電極を被覆する保水性を備える電気短絡防止材と電解液層とを介在した状態で両者間に通電して電解し、電気化学的作用によって電解処理対象物であるステンレス鋼の溶接焼け取りや清浄化を行う電解研磨装置で使用する電解研磨装置用電極であって、柔軟性又は弾力性を有する導電性の炭素繊維材又は金属部材を単独で用い又は混在させた電極コアと、前記電極コアが露出しないように被覆する柔軟性かつ保水性を有する電気短絡防止材とを組み合わせ形成された平板状の電極であり当該平板状の電極は、電解処理対象物の形状に合わせて自在に変形可能な柔軟性を有し、前記電気短絡防止に、隔膜形成効果を付与させたことを特徴とする電解研磨装置用電極である。
【0014】
本発明に係る電解研磨装置用電極において、電極コアが、複数の炭素繊維材、又は複数の金属部材、又は前記炭素繊維材及び金属部材の複数の混合物が単層又は多層状に形成されてなることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電解研磨装置用電極において、前記平板状の電極は、上面と下面とが縫合され又は糸を掛け渡す処理が施されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電解研磨装置用電極において、前記電極コアに柔軟性のある樹脂細線又は樹脂チューブを併用し弾力性を付与してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電解研磨装置用電極は、従来の電極では充分な機能が発揮できなかったステンレス鋼の溶接加工品の溶接焼けを残すことなく効率よく除去できると共に、溶接焼け部分に不動態皮膜を形成させ耐食性の改善が図れるなど、産業上益するところは極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る電解研磨装置用電極11を含む電解研磨装置1の構成及び使用方法を説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態の電解研磨装置用電極11の構成を説明するための図である。
図3】本発明の第1実施形態の電解研磨装置用電極11を変形させた形態を示す模式図である。
図4】本発明の第2実施形態の電解研磨装置用電極12の構成を説明するための図である。
図5図7に示す従来の係る電解研磨装置用電極50を備える電解研磨装置を用い溶接焼け取りの処理を施した比較例である。
図6】本発明に係る電解研磨装置用電極11を備える電解研磨装置1を用い溶接焼け取りの処理を施した実施例である。
図7】従来の電解研磨装置用電極50の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態の電解研磨装置用電極11を含む電解研磨装置1の構成及び使用方法を説明するための図である。電解研磨装置1は、電源器2と、電源器2に接続された電極グリップコード3及びアースクリップコード5と、電解研磨装置用電極(以下、電極と記す場合がある)11とを有する。電極グリップコード3の先端には電極グリップ4が設けられ、電極グリップ4に電極11が取付けられる。
【0020】
電解研磨装置1の使用方法は、以下のとおりである。アースクリップコード5の先端に設けられたクリップ6を溶接加工品200に取り付ける。電極11に電解液容器100に注入された電解液101を含浸させ(図1(B)参照)、電極11を溶接加工品200の溶接焼け部201に当てると通電が始まり、電気化学的作用にて溶接焼けが除去されていく。
【0021】
電解研磨装置1は、電極11を除き従来の電解研磨装置と同じ構成であり、特に限定されるものではない。また電解研磨装置1の使用方法も特に限定されるものではない。一方、電極11は、以下に説明のとおり構成・構造が特定される。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態の電解研磨装置用電極11の構成を説明するための図であり、図2(A)は、電解研磨装置用電極11の外観図、図2(B)は、電解研磨装置用電極11の断面図である。図1では略円柱形状の電極11を示したが、図2では平板状の電極11を示す。
【0023】
本実施形態の電極11は、導電性を有する電極コア20と、電極コア20を覆う不導電性の電気短絡防止材30と、通電用金属端子35とを含む。
【0024】
電極コア20は、柔軟性及び弾力性を有する導電性の炭素繊維21又は導電性の金属部材22である。炭素繊維21は、公知の炭素繊維を使用することができる。金属部材22は、導電性の細線などを使用することができる。電極コア20は、炭素繊維21又は金属部材22を単独で用いてもよく、あるいは炭素繊維21又は金属部材22を混在させて使用してもよい。
【0025】
本実施形態の電気短絡防止材30は、電極コア20を被覆する袋状の不導電性の織布からなる被覆材であり、図2に示すように電極コア20を覆った状態で一端が通電用金属端子35に固定される。電気短絡防止材30は、電極コア20を被覆することができれば固定方法は特に限定されない。電気短絡防止材30には、不導電性、保水性及び柔軟性を有する素材を用いることが可能であり、織布に代えて樹脂製の不織布を用いることができる。
【0026】
通電用金属端子35は、電極グリップ4に固定可能に構成される。通電用金属端子35は電極グリップ4にボルト等を用い堅固に固定し使用される。
【0027】
本実施形態の電極11は、厚さが薄い長方体形状、換言すれば平板状であり、柔軟性及び弾力性を有する。本実施形態のように電極11を平板状とすれば、電極11の特性を活かし図3に示すように変形して使用することができる。
【0028】
電極11の使用に際し、電極11内部で電極コア20が動き、偏りの発生が懸念される場合には、電気短絡防止材30の上面31と下面32とを適当な間隔で縫合し又は糸を掛け渡してもよい。これについては第2実施形態の電解研磨装置用電極12においても同じである。
【0029】
図3は、図2に示す電極11を変形させた形態を説明するための図であり、通電用金属端子35の図示を省略している。
【0030】
図3(A)は、電極11を平板状のまま使用する。電極11の先端部分15をステンレス鋼溶接加工品200に押し当てるように使用する例である。図3(B)は、電極11の先端部15を基端部16側に折り曲げ変形させた例である。図3(C)は、電極11を円筒状に湾曲させた例である。図3(D)は、電極11を巻貝のように巻き付け、先細り円錐状に変形させた例である。基端部16は、通電用金属端子35側である。図3(B)~(D)のように電極11を変形させた後に、糸又は紐で縛ったり縫合すれば変形の後の形状を維持することができる。
【0031】
図4は、本発明の第2実施形態の電解研磨装置用電極12の構成を説明するための図であり、図4(A)は、電解研磨装置用電極12の外観図、図4(B)は、電解研磨装置用電極12の断面図である。本発明の第2実施形態の電解研磨装置用電極12において、図2に示す本発明の第1実施形態の電解研磨装置用電極11と同一の構成には同の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本発明の第1実施形態の電極11が、単層であるに対して第2実施形態の電極12は多層構造となっている。第2実施形態の電極12は、本発明の第1実施形態の電極11と同じ構造の電極11が3個積み重ねられ、1つの通電用金属端子35に固定されている。
【0033】
第2実施形態の電極12を構成する3つの電極11は、基端部16が通電用金属端子35を介して結合するが、基端部16を除く部分は結合されていない。よって使用する際に3つの電極11の先端部15が離れるように広げて使用することができる。本実施形態では、電極12が3層構造となっているが、2層又は4層以上の多層構造であってもよい。
【0034】
以上、第1及び第2実施形態の電解研磨装置用電極を用いて説明のとおり、本発明に係る電解研磨装置用電極は、通電時に隔膜となる電気短絡防止材により電極コアが被覆されているので、電極と溶接加工品との接触によるスパークを防止でき、電極コアの消耗を抑制できるとともに、仕上がり性及び耐食性も向上する。
【0035】
また本発明に係る電解研磨装置用電極は、柔軟性、弾力性を有するので溶接加工物の形状に追従して密着し、焼け取り速度が一段と向上する。さらに本発明に係る電解研磨装置用電極は、種々の形状の外観形状とすることができるので曲面部、箱の隅、狭隘部、すき間などの溶接焼けにも対応することができる。
【0036】
本発明に係る電解研磨装置用電極は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更することができる。本発明に係る電解研磨装置用電極は、電極コアが不導電性、保水性及び柔軟性を有する電気短絡防止材で被覆されていればよく外観形状、寸法は特に限定されるものではない。上記実施形態では、円柱状、平板状の電極を示したが、電極の外観形状は角柱状、紡錘状、扁平状であってもよく、溶接加工品の溶接焼け部の形状に適したものを使用すればよい。
【0037】
また電極コアに樹脂製のチューブ、樹脂製の細線・棒が加えられた本発明に係る電解研磨装置用電極は、作業に適した柔軟性に設定することができるので作業性が向上する。また電極コアに塑性変形し変形後の形状を保持する金属部材を用い、溶接加工物の曲面形状に合わせて変形させ使用すれば電極全面が密着し効率化が図れる。
【実施例
【0038】
比較例
図5は、従来の電解研磨装置用電極50を備える電解研磨装置1を用い、溶接曲面部に処理を施した比較例である。溶接焼けの一部が残留していることが分かる。具体的には図5に矢印で示した、溶接線部分が黒い線として写っているが、黒い線が太く見えている。
【0039】
実施例1
図6は、本発明に係る第1実施形態の電解研磨装置用電極11を備える電解研磨装置1を用い、溶接曲面部に処理を施した実施例である。溶接焼けがきれいに除去されていることが分かる。具体的には図6に矢印で示した、溶接線部分の残りが若干黒い線として写っているが、黒い線は図5よりも細くなっている。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように本発明に係る電解研磨装置用電極は、従来の電解研磨装置用電極に比較して、直線部ではほぼ同等、曲面部で略2倍の溶接焼き取り速度であった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
ステンレス鋼溶接加工品の溶接焼け取りに利用でき、特に曲面部の焼け取りスピード及び仕上がり性が向上するだけでなく、耐食性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 電解研磨装置
2 電源器
3 電極グリップコード
4 電極グリップ
5 アースクリップコード
6 クリップ
11,12 電解研磨装置用電極,電極
15 電極先端部
16 電極基端部
20 電極コア
21 炭素繊維
22 金属繊維
30 電気短絡防止材
31 上面
32 下面
35 通電用金属端子
50 従来の電極
51 従来の電極のステンレス鋼平板
53 従来の電極で使用する布袋
55 従来の電極で使用するステンレス繊維
100 電解液容器
101 電解液
200 溶接加工品
201 溶接焼け部

【要約】
【課題】曲面部等、電極が密着しにくい場面でも効率的な焼け取りと不働態被膜の形成が可能な、電解研磨装置用電極を提供する。
【解決手段】相対配置した電極とステンレス鋼の溶接加工品との間に、該電極を被覆する保水性を備える電気短絡防止材と電解液層とを介在した状態で両者間に通電して電解し、電気化学的作用によってステンレス鋼の溶接焼け取りや清浄化を行う電解研磨装置で使用する電解研磨装置用電極11であって、柔軟性又は弾力性を有する導電性の炭素繊維材又は金属部材を単独で用い又は混在させた電極コア20と、前記電極コア20が露出しないように被覆する柔軟性かつ保水性を有する電気短絡防止材30と、を備え、前記電気短絡防止剤30と前記電極コア20が交互に積層された状態を形成するよう配置し、前記電気短絡防止剤30に、隔膜形成効果を付与させたことを特徴とする。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7