(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】防水用混和材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20241216BHJP
C04B 14/06 20060101ALI20241216BHJP
C04B 24/08 20060101ALI20241216BHJP
C04B 18/06 20060101ALI20241216BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B14/06 Z
C04B24/08
C04B18/06
C04B22/06 Z
(21)【出願番号】P 2024166386
(22)【出願日】2024-09-25
【審査請求日】2024-09-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520506040
【氏名又は名称】株式会社石橋建築研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】石橋 修
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7122792(JP,B1)
【文献】特開平08-302346(JP,A)
【文献】特開平08-311446(JP,A)
【文献】特開2000-096051(JP,A)
【文献】特開平02-053889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小数点以下第一位を四捨五入した
後の値が珪砂45~47重量
%、水20
重量%以上、セメント1重量
%、防水材3重量
%、
消石灰13重量%、苦土石灰11重量%及びフライアッシュ5重量%で、各成分の合計が100重量%となるように混合した粉体であることを特徴とする防水用混和材。
【請求項2】
コンクリートと混和されることを特徴とする請求項
1に記載の防水用混和材。
【請求項3】
土壌と混合される土壌改良材であることを特徴とする請求項
1に記載の防水用混和材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる防水用混和材に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤やコンクリートに防水性を付与する技術として、例えば特許文献1にはアスファルトとポリプロピレンとから成る水性エマルジョンと、セメント系固化剤とを所定の割合で混合させた地盤改良材が開示されている。
また、特許文献2にはセメント、細骨材、粗骨材、非空気連行性減水剤、補強用金属繊維および水を含んだ防水コンクリートが開示されている。
本願発明者は製造コストが低く、且つコンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる防水用混和材を開発して特許を取得した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-53889号公報
【文献】特開2005-247663号公報
【文献】特許第7122792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防水性能は高いほど好ましく、上記各特許文献に開示された技術よりも高い防水性能を有する混和材が求められている。
【0005】
本発明はこのような問題を考慮して、製造コストが低く、且つコンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる防水用混和材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防水用混和材は、小数点以下第一位を四捨五入した後の値が珪砂45~47重量%、水20重量%以上、セメント1重量%、防水材3重量%、消石灰13重量%、苦土石灰11重量%及びフライアッシュ5重量%で、各成分の合計が100重量%となるように混合した粉体であることを特徴とする。
また、コンクリートと混和されることを特徴とする。
また、土壌と混合される土壌改良材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明者は鋭意研究の結果、防水用混和材として小数点以下第一位を四捨五入した後の値が珪砂45~47重量%、水20重量%以上、セメント1重量%、防水材3重量%、消石灰13重量%、苦土石灰11重量%及びフライアッシュ5重量%で、各成分の合計が100重量%となるように混合した粉体が最適であることを見出した。各成分は安価で入手が容易であるため製造コストを低くすることができる。
本発明の防水用混和材を混和材としてコンクリートと混和したり、土壌改良材として土壌と混合したりすることでコンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例における各試験体の成分比の詳細を体積%及び重量%で示した表
【
図3】実施例における各試験体の成分比について小数点以下第一位を四捨五入した重量%で示した表
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の防水材の実施の形態について説明する。
図1に示すように防水用混和材は小数点以下第一位を四捨五入した場合に珪砂45~47重量%と、水20~21重量%と、セメント1重量%と、防水材3重量%と、消石灰、苦土石灰及びフライアッシュの混合物29重量%の範囲内で、各成分の合計が100重量%となるように混合し、固化させたのちに粉体化させたものである。
【0010】
珪砂とは主に石英粒からなる砂であり、主成分をシリカとし、無数の微細孔を有する。本発明で使用する珪砂の比重、空隙率及び粒径は特に限定されない。
セメントとは「石灰石・粘土・酸化鉄を焼成・粉砕した灰白色の粉末をいう」(広辞苑)。セメントは水硬性材料の1つであり、水と水和反応することによって凝結硬化する。セメントを構成する材料の種類は特に限定されず、一般的なものを使用すればよい。
【0011】
防水材としては、例えばアスファルト系、二酸化ケイ素を主成分とする無機質系、シリコーン系、変成シリコーン系、ウレタン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系防水材が挙げられるがこれらに限定されない。防水材として例えばアスファルト系であれば成瀬化学株式会社のナルファルトC(登録商標)や三生化工株式会社のアルファー・ゾル(登録商標)、二酸化ケイ素を主成分とする無機質系であればベストン株式会社のベストン(登録商標)が挙げられる。
消石灰とは水酸化カルシウムをいう。
苦土石灰とは「クエン酸可溶性マグネシウムを3.5%以上含有する石灰肥料」(広辞苑)をいい、炭酸カルシウムと酸化マグネシウムを主成分とした物質である。
フライアッシュとはシリカやアルミナを主成分とするものであり、石炭を燃焼させることにより生成された燃焼灰である。
【実施例】
【0012】
本発明の防水用混和材を使用した各種試験の結果を示す。
[試験体]
図2及び
図3に試験体(1)~(6)の配合割合を示す。
試験体(2)~(4)は本発明の防水用混和材である。
試験体(2)は珪砂45重量%、水20重量%、セメント1重量%、防水材3重量%、フライアッシュ5重量%、苦土石灰11重量%及び消石灰13重量%(フライアッシュ、苦土石灰及び消石灰の合計29重量%)である。なお、小数点以下第1位を四捨五入しているので各成分の合計は100重量%にはならない。以下同様である。
試験体(3)は珪砂46重量%、水21重量%、セメント1重量%、防水材3重量%、フライアッシュ5重量%、苦土石灰11重量%及び消石灰13重量%(フライアッシュ、苦土石灰及び消石灰の合計29重量%)である。
試験体(4)は珪砂47重量%、水20重量%、セメント1重量%、防水材3重量%、フライアッシュ5重量%、苦土石灰11重量%及び消石灰13重量%(フライアッシュ、苦土石灰及び消石灰の合計29重量%)である。
【0013】
試験体(1),(5)及び(6)は比較例であり、本発明の防水用混和材に含まれない。
試験体(1)は珪砂44重量%、水21重量%、セメント2重量%、防水材4重量%、フライアッシュ5重量%、苦土石灰11重量%及び消石灰14重量%(フライアッシュ、苦土石灰及び消石灰の合計30重量%)である。
試験体(5)は珪砂48重量%、水20重量%、セメント1重量%、防水材3重量%、フライアッシュ5重量%、苦土石灰10重量%及び消石灰12重量%(フライアッシュ、苦土石灰及び消石灰の合計27重量%)である。
試験体(6)は珪砂49重量%、水20重量%、セメント1重量%、防水材3重量%、フライアッシュ5重量%、苦土石灰10重量%及び消石灰12重量%(フライアッシュ、苦土石灰及び消石灰の合計27重量%)である。
上記のとおりに各成分を混合し、固化させたものを試験体とした。
【0014】
[防水性能試験]
上記のとおりに各成分を混合して板状の試験体を作製した。
試験体の表面に一定量の水を注ぎ、水が浸透するまでの時間を計測した。
図4のグラフに示すとおり、この試験を各試験体の材齢4週,8週,12週時点において実施した。そして、材齢4週の時点で水が浸透するまでの時間(保水時間)が150時間を超えたものを「防水性有り」とした。通常、コンクリートの強度を測る際に「4週強度」を目安にすることが多い。コンクリートの強度は打設後から徐々に上がりはじめ、4週間たつと安定すると考えられるがその理由である。
【0015】
図4のグラフによると材齢4週の時点で保水時間が150時間を超えたものは試験体(2),(3)及び(4)である。
比較例の試験体(1),(5)及び(6)も材齢4週の時点である程度高い保水時間を確保しているが、材齢8週及び12週では試験体(2),(3)及び(4)と比較して試験体(1),(5)及び(6)は保水時間が大幅に低下するため不可と判断した。なお、上記特許文献3に開示した防水用混和材では保水時間が6時間を超えたものを「防水性有り」としていることから、比較例の試験体(1),(5)及び(6)でも防水性能が充分高いことが分かる。
【0016】
[結論]
試験体(2),(3)及び(4)は高い防水性能を備えることが分かった。特に試験体(2)は極めて高い防水性能を備えることが分かった。
本発明の防水用混和材は混和材としてコンクリートと混和したり、土壌改良材として土壌と混合したりした場合に高い防水性能を発揮するものと推察される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、製造コストが低く、且つコンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる防水用混和材であり、産業上の利用可能性を有する。
【要約】
【課題】 製造コストが低く、且つコンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる防水用混和材を提供する。
【解決手段】 本発明の防水用混和材は、小数点以下第一位を四捨五入した場合に珪砂45~47重量%と、水20~21重量%と、セメント1重量%と、防水材3重量%と、消石灰、苦土石灰及びフライアッシュの混合物29重量%の範囲内で、各成分の合計が100重量%となるように混合した粉体であることを特徴とする。各成分は安価で入手が容易であるため製造コストを低くすることができる。本発明の防水用混和材を混和材としてコンクリートと混和したり、土壌改良材として土壌と混合したりすることでコンクリート及び地盤に高い防水性を付与することができる。
【選択図】
図1