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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】レース管理システム及びレース管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241216BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G5/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024552082
(86)(22)【出願日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 JP2024011119
【審査請求日】2024-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2023049510
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519164666
【氏名又は名称】株式会社パスファインダー
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】室屋 義秀
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086983(JP,A)
【文献】特開2013-215426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閲覧場所の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定部と、
場所が異なる複数の記録場所のそれぞれで前記コースに沿って移動する移動体の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部と、
複数の前記移動体のうち、少なくとも2つの前記移動体の前記移動軌跡に基づいて前記閲覧場所の画像に前記移動体の画像を重畳したXR画像を前記閲覧場所にいる視聴者に提供するXR画像提供部と、
前記複数の記録場所のそれぞれに対応する前記移動軌跡の計測時の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報に基づいて前記移動体に対してハンディキャップを設定するハンディキャップ設定部と、
を備え
前記XR画像提供部は、
前記ハンディキャップに基づいて前記移動軌跡における前記移動体の位置を調整することにより、前記ハンディキャップが反映された前記XR画像を前記視聴者に提供する、
レース管理システム。
【請求項2】
前記XR画像提供部は、
複数の前記移動体のうち、少なくとも2つの前記移動体のスタートを同時及び同一位置になるように生成された前記XR画像を前記視聴者に提供する、
請求項1に記載のレース管理システム。
【請求項3】
前記XR画像提供部は、
前記移動軌跡の計測時に実際に撮像されたカメラ画像に対して前記閲覧場所の風景を合成した合成画像を前記XR画像とともに提供する、
請求項1又は2に記載のレース管理システム。
【請求項4】
前記XR画像提供部は、
前記XR画像中の前記移動体又は前記閲覧場所の画像に対して広告画像を重畳する、
請求項1又は2に記載のレース管理システム。
【請求項5】
コンピュータによって実行されるレース管理方法であって、
閲覧場所の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定ステップと、
場所が異なる複数の記録場所のそれぞれで前記コースに沿って移動する移動体の移動軌跡を取得する移動軌跡取得ステップと、
複数の前記移動体のうち、少なくとも2つの前記移動体の前記移動軌跡に基づいて前記閲覧場所の画像に前記移動体の画像を重畳したXR画像を前記閲覧場所にいる視聴者に提供するXR画像提供ステップと、
前記複数の記録場所のそれぞれに対応する前記移動軌跡の計測時の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記環境情報に基づいて前記移動体に対してハンディキャップを設定するハンディキャップ設定ステップと、
を含み、
前記XR画像提供ステップにおいて、
前記ハンディキャップに基づいて前記移動軌跡における前記移動体の位置を調整することにより、前記ハンディキャップが反映された前記XR画像を前記視聴者に提供する、
レース管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レース管理システム及びレース管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット等の通信ネットワークを利用してレースゲームの臨場感を演出する技術が知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、利用者が選択したレーサーによりレース中に認識される画像および音声を処理し、レーサーからの処理済み画像および音声を、レーサーを選択した利用者のクライアント端末に送信するシステムが記載されている。特許文献1によれば、実際のレーサーにより捉えられた画像および音声に基づいて利用者がレースゲームをプレイできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-520303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、市街地の空中や道路や夜間に行われるナイトレースでは、危険性も考慮し、実機でレースを行うことが難しい。また、レースでは、参加者を同じ場所に集める必要があり、大会の開催には場所の整備の他、スケジュールの調整等、準備に必要なコストが多大となる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、安全性のため開催が難しい場所であっても、移動体の実機を用いた臨場感の高いレースを体験できるレース管理システム及びレース管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、閲覧場所の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定部と、場所が異なる複数の記録場所のそれぞれで前記コースに沿って移動する移動体の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部と、複数の前記移動体のうち、少なくとも2つの前記移動体の前記移動軌跡に基づいて前記閲覧場所の画像に前記移動体の画像を重畳したXR画像を前記閲覧場所にいる視聴者に提供するXR画像提供部と、を備えるレース管理システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、コンピュータによって実行されるレース管理方法であって、閲覧場所の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定ステップと、場所が異なる複数の記録場所のそれぞれで前記コースに沿って移動する移動体の移動軌跡を取得する移動軌跡取得ステップと、複数の前記移動体のうち、少なくとも2つの前記移動体の前記移動軌跡に基づいて前記閲覧場所の画像に前記移動体の画像を重畳したXR画像を前記閲覧場所にいる視聴者に提供するXR画像提供ステップと、を含むレース管理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全性のため開催が難しい場所であっても、移動体の実機を用いた臨場感の高いレースを体験できるレース管理システム及びレース管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るレース管理システムを示す模式図である。
図2】本実施形態に係るレース管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るレース管理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】大会実行委員会によって入力される大会情報の入力処理の一例を示すフロー図である。
図5】対戦カード決定後の測定開始までの処理の一例を示すフロー図である。
図6】飛行情報のレース管理装置への登録処理の一例を示すフロー図である。
図7】勝敗判定の出力処理の一例を示すフロー図である。
図8】XR画像の生成処理の一例を示すフロー図である。
図9】視聴者に提供されるXR画像の一例を示す図である。
図10】3D機体モデルの広告の表示例を示す図である。
図11】会場でのXR画像の提供処理の一例を示すフロー図である。
図12】XR画像の提供形態の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
<システム概要>
図1は、本発明の一実施形態に係るレース管理システム100を示す模式図である。図1に示すように、レース管理装置1は、世界各地の記録場所110A~110Cに設定されるコースでタイムを競って飛行した飛行機101A~101Cの飛行情報を集約し、集約した情報に基づくモータスポーツのXR映像を閲覧場所111の視聴者やインターネット等の所定の通信ネットワークを通じて視聴者に提供する。飛行機101A~101Cは、例えば、小型プロペラ航空機等の移動体である。
【0013】
記録場所110A~110Cは、それぞれ異なる場所である。コースは、閲覧場所111や記録場所110A~110Cの地形に応じてレイアウト、スタート位置、高度、スタート方向が設定される。例えば、コースのレイアウトは、閲覧場所111となるホストシティの街中環境、ビル、道路、観戦場所に応じて設定される。
【0014】
記録場所110A~110Cに設定されるコースには、空気等で膨らまされたパイロン102がコースレイアウトに応じて空中に複数設置される。飛行機101A~101Cは、パイロン102間を通過することにより、指定のコースを飛行することになる。また、コースは、後述する閲覧場所111にいる視聴者から地上環境や高度関係なくどこでもパイロン102が見えるように設定される。コースは、ソフトウェアによって自動生成されてもよいし、設定されたコースがソフトウェアによって自動補正されてもよい。
【0015】
飛行機101A~101Cのコース飛行時の飛行情報は、USBメモリやSDカード等を介して取得されてもよいし、無線通信を用いてリアルタイム伝送で取得されてもよい。リアルタイム伝送では、実際の飛行で生じるミリ秒の遅延(ディレイレイテンシー)が、ソフトウェア上で補正されることが好ましい。
【0016】
記録場所110Aは飛行機101Aのレース会場となり、記録場所110Bは飛行機101Bのレース会場となり、記録場所110Cは飛行機101Cのレース会場となる。飛行地域が異なるため、各記録場所110A~110Cには環境差が生じる。環境差は、標高、空気密度、気温、湿度、風、緯度、地球重力等である。環境差は、ハンディキャップとしてコンピュータによりレースに反映される。環境差は、標高、緯度、経度、地球重力等のその記録場所110C毎に不変なものと、空気密度、気温、湿度、風等のその記録時点毎に変化するものとを区別して管理される。
【0017】
閲覧場所111は、パブリックビューイング等の会場である。閲覧場所111では、空中で3次元移動する飛行機101A~101Cの計測技術とAR再現技術により生成されたXR画像が提供される。XR(Extended Reality/Cross Reality)画像は、AR(Augmented Reality)画像やVR(Virtual Reality)画像等である。なお、以下の説明において、画像は、時間とともに変化する動画を示すものとする。なお、画像を閲覧する方法、ARゴーグルやVRゴーグルに限定されず、網膜投射技術を用いたものを用いてもよい。
【0018】
例えば、閲覧場所111を撮像した画像に対して飛行機101A~101Cの3D機体モデルが合成されたXR画像が、レース管理装置1によって提供される。XR画像には、パイロン102の画像も合成される。
【0019】
閲覧場所111では、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末5やヘッドマウントディスプレイ6等のハードウェアを用いて、XR画像が視聴者に提供される。ヘッドマウントディスプレイ6はARグラスでもよい。XR画像は、レース実況として映像化、番組化された映像コンテンツとしても提供される。閲覧場所111でのXR画像の提供は、例えば、タイムアタックの最終日をレースデイとして通信ネットワークの配信やテレビにより行われる。
【0020】
XR画像は、閲覧場所111で実際の飛行機が必ずしも飛行する必要はないが、実際の飛行機の飛行を撮像した画像に飛行機101A~101Cの3D機体モデルをゴーストのように重畳してAR画像を生成してもよい。この際、リアルに飛行する飛行と3D機体データの飛行との間のオンライン上のタイムラグ(ディレイレイテンシー)を補正するプログラムにより、仮想空間上の3D機体データの位置を調整することが好ましい。
【0021】
なお、以下の説明において、飛行機101A~101Cの区別をしないときにはアルファベットを省略して飛行機101として説明し、記録場所110A~110Cの区別をしないときには記録場所110として説明する。
【0022】
<ハードウェア構成>
次に、レース管理装置1を構成するハードウェアの一例について説明する。図2は、本実施形態に係るレース管理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。レース管理装置1は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0023】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0024】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との間で通信を行う。
【0025】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0026】
ここで説明したハードウェア構成はあくまで一例である。レース管理装置1を含む本実施形態で説明するコンピュータは、図2の構成と共通する構成であってもよいし、異なる構成でもよい。また、コンピュータは、2台以上のコンピュータによって構成されてもよい。
【0027】
<機能的構成>
次に、レース管理装置1の機能的構成について説明する。図3は、本実施形態に係るレース管理装置1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0028】
図3に示すように、レース管理装置1は、コース設定部31と、対戦カード設定部32と、対戦カード提示部33と、トークン管理部34と、移動軌跡取得部35と、環境情報取得部36と、ハンディキャップ設定部37と、勝敗判定部38と、XR画像提供部39と、をプロセッサ上で実現される機能部として備える。
【0029】
図4を参照し、コース設定部31、対戦カード設定部32及び対戦カード提示部33について説明する。図4は、大会実行委員会によって入力される大会情報の一例を示す模式図である。
【0030】
図4に示すように、レースを主催する大会実行委員会は、インターネット等の所定の通信ネットワークを介してレース管理装置1に接続されるコンピュータ2により大会情報をレース管理装置1に入力する。Adminwebは、レース管理装置1によって実現される管理者専用のwebインターフェースである。
【0031】
大会情報は、大会の作成、開始、終了等を行うためにレース管理装置1に入力される。大会情報には、チーム作成、チームごとのコース設定、対戦カード(対戦表)作成、採用フライト/ランの設定や変更等を行うための情報が含まれる。なお、フライトは記録場所110での飛行を示し、ランはコースを最初から最後まで飛行することを示すものとする。
【0032】
コース設定部31は、入力される大会情報に基づいて記録場所110でタイムを測定するためのコースを設定し、登録する。コースは、各記録場所110A~110Cの緯度経度情報に基づいて生成されるとともに同一のコースである。なお、コース自体は、各記録場所110A~110Cにおいて共通であるが、各記録場所110A~110Cは異なるため、設定されるコースの緯度経度は異なる。また、GPS等の技術で測定された高さは、地球を楕円体ととらえたものであるため、実際のジオイドを考慮した高度等に換算する必要がある。本実施形態のコースは、これらの影響を含め、XR画像が適切なものとなるよう考慮し、閲覧場所111の地形に応じて設定される。
【0033】
対戦カード設定部32は、大会実行委員会から入力される大会情報に含まれる対戦カードを取得して登録する。対戦カードには、同じレースに参加する参加者としてのチームに関する情報が含まれる。
例えば、対戦カードは、まず、リーグ形式やトーナメント形式等所定の形式で大会の全体又は一部の内容が決定される。そして、後述する計測においては、当該計測を用いる対戦(例えば、A選手とB選手の1対1の対戦や、A乃至D選手による予選)を特定するものが紐づけられて管理される。
【0034】
対戦カード提示部33は、大会に参加するチームや一般に対して対戦カードに関する情報を提示する。対戦カードに関する情報には、チームの他、タイムアタックを行う期間として指定された指定期間等が含まれる。
【0035】
対戦カードに関する情報は、Playerwebを介してチームに提示される。Playerwebは、レース管理装置1によって実現される大会参加者専用のwebインターフェースである。チームは、Playerwebに通信ネットワークを介して接続されるコンピュータ3により、対戦カードに関する情報を取得する。チームは、コンピュータ3によりPlayerwebを介してチーム情報の表示修正等の操作も行うこともできる。また、対戦カード提示部33は、通信ネットワークに接続される一般公開用のPublicwebを介して対戦カードを一般人に公開する。一般人は、コンピュータを介して対戦カードや大会に関する情報を知ることができる。
【0036】
次に、図5及び図6を参照し、トークン管理部34、移動軌跡取得部35及び環境情報取得部36について説明する。図5は、対戦カード決定後の測定開始までの処理の一例を示すフロー図である。
【0037】
図5に示すように、チームの参加決定により、各チームでフライトプランが計画される。また、計画されたプランに基づいてリアルタイムなフライトランの配信表示がPublicwebを介して一般人に公開される。リアルタイム配信は、例えば、地上カメラによって撮像される動画である。
【0038】
レース管理装置1のトークン管理部34は、不正防止用のトークンを発行する。例えば、トークンは、改ざん(不正の一例)を防止するために、対象の情報に対する改ざんの検出や暗号化に用いられる。本実施形態では、トークン管理部34は、対戦カードが決定された状態において、記録場所110で記録を行う前にトークンを発行する。
【0039】
発行されたトークンは、USB等の記録媒体30に格納される。トークンが格納された記録媒体30は、飛行機101A~101Cに搭載されるRDU(Remote Data Unit)25に接続される。
【0040】
また、指定のコースに対する飛行が行われる記録場所110の近くの空港等で環境情報が取得される。環境情報は取得するタイミングはフライトの直前であってもよいし、フライト中であってもよいし、フライト直後であってもよい。本実施形態では、トークンの発行時に環境情報が取得される。なお、より正確に環境を取得するという点ではフライト中に取得されることが好ましい。以下の説明において、フライト時は、フライトの直前、フライト中、及びフライト直後を含める時間間隔とする。
【0041】
環境情報には、標高、空気密度、気温、湿度、風、緯度、地球重力等が含まれる。環境情報は、例えば、インターネット等の所定の通信ネットワークを介してレース管理装置1に接続されるコンピュータにより入力される。レース管理装置1の環境情報取得部36は、各記録場所110A~110Cの飛行機101A~101Cのフライト時の環境情報を取得する。なお、上述のトークンには、各記録場所110A~110Cに対応する環境情報が埋め込まれてもよい。
【0042】
図6は、飛行情報のレース管理装置1への登録処理の一例を示すフロー図である。トークンが格納された記録媒体30がRDU25に接続された状態では、飛行機101がコース設定部31によって設定されたコースに対してフライト/ランを行う。
【0043】
記録媒体30がRDU25に接続された状態で飛行機101がコース設定部31によって設定されたコースをフライトすることにより、移動軌跡を含む飛行情報がRDU25から記録媒体30に格納される。移動軌跡には、時間経過とともに変化する飛行機101の移動経路を示す情報が含まれる。飛行情報は、記録媒体30を介して回収される。フライト中、任意回数(例えば3回や5回)のランが行われる。なお、任意回数は、大会のルールとして設定される所定の回数であり、1回でもよい。
【0044】
図3に示すように、飛行機101には、RDU25の他、ディスプレイシステム26と3次元データロガー27がレース管理を実現するための構成として搭載される。
【0045】
ディスプレイシステム26は、例えば、超高輝度ヘッドアップディスプレイにより構成される。ディスプレイシステム26は、パイロットの視線上にAR技術によりパイロン102等の位置を示すコース情報を表示する。ディスプレイシステム26は、他の記録場所110で記録された飛行機101の移動軌跡等を投影してもよい。また、ディスプレイシステム26は、ワールドレコード、自己ベスト、ライバルの飛行機101のラン等の指標になるタイムのマーカーをパイロットの視線上に表示してもよい。
【0046】
ディスプレイシステム26は、高速移動するは飛行機101の機体内で、現在位置情報を常時把握しながら、オンボードでリアルタイムのAR合成を行う。これによって、ビギナー向けに安全性を高めた高高度でのレースも可能となり、技量に合わせた競技クラスを設定し、幅広いレベルの選手が参加できる大会とすることもできる。なお、ディスプレイシステム26は、必ずしもAR合成を行う必要がある訳ではない。パイロットは、AR技術にたよることなく、空中に浮かぶパイロン102等によってコースを把握し、フライト/ランを行ってもよい。
【0047】
3次元データロガー27は、コース飛行時の飛行情報を取得する。3次元データロガー27は、GPS装置や加速度センサ等によって構成される。飛行情報には、位置情報、機体姿勢、機体速度、重加速度等の飛行機の軌道を示す移動軌跡が含まれる。位置情報は、姿勢、GPSポジション、慣性航法装置、加速度情報等に基づいて精密に取得される。コースからの逸脱等のレースルールに対する審判は、コンピュータの自動判定によりリアルタイムで行われてもよい。
【0048】
本実施形態では、3次元データロガー27は、フライト/ラン中に移動軌跡としての機体軌道、機体姿勢、機体速度、G(重力)、コースに対するペナルティ等を取得する。これらのデータは、JSON(JavaScript Object Notation)ファイルとバイナリデータXMLがzip化されて記録媒体30に格納される。なお、データは、所定単位で所定形式で改竄不能にされて記憶される。記録媒体30に格納されたデータは、飛行機101から取り出された後、レース管理装置1にアップロードされる。
【0049】
移動軌跡取得部35は、レース管理装置1にアップロードされたデータから移動軌跡を含む飛行情報を取得する。移動軌跡を含む飛行情報は、各チームのそれぞれに関連付けて登録される。任意回数のランのうち、所定回数(例えば3回)が登録される。なお、この時、データは暗号化されていてもよい。
【0050】
また、図6に示すように、フライト/ランの開始時には、カメラによる動画の撮影も開始される。本実施形態では、飛行機101に搭載され、操縦者始点の画像を撮像するオンボードカメラ22と、地上から飛行機101を撮像する地上カメラ23と、によってフライト/ランの動画が撮像される。撮像されたオンボードカメラ22の動画及び地上カメラ23の動画のデータは、Playerwebを介してレース管理装置1にアップロードされる。
【0051】
次に、図7を参照し、ハンディキャップ設定部37及び勝敗判定部38について説明する。図7は、勝敗判定の出力処理の一例を示すフロー図である。
【0052】
ハンディキャップ設定部37は、環境情報取得部36によって取得された環境情報に基づいてハンディキャップを飛行機101A~101Cに付与する。ハンディキャップは、環境差による有利・不利をなくすためのものである。ハンディキャップは、例えば、理論的又は経験的に設定される所定の数式に環境情報のパラメータを当てはめることにより算出される。ハンディキャップは、環境情報に基づく秒数を測定タイムに反映することにより、付与される。
【0053】
勝敗判定部38は、飛行機101A~101Cの移動軌跡とハンディキャップと、に基づいて飛行機101A~101Cに対して勝敗判定を行う。これによって、異なる場所で記録された飛行機101A~101Cの中から勝者が決定する。
【0054】
勝敗判定部38は、勝敗判定の結果を出力する。勝敗判定部38によって出力される出力情報には、フライト/ラン結果と対戦・大会結果が含まれる。
【0055】
フライト/ラン結果は、例えば、各飛行機101A~101Cのコースのランした結果を示すリザルトタイム(sec)やランタイム(sec)、ペナルティを示すペナルティタイム(sec)、ハンディキャップ設定部37で設定されたハンディキャップ(±sec)等である。対戦・大会結果は、例えば、勝利、敗戦、引き分け等の勝敗を決定する勝敗情報、勝利、敗戦、引き分けのそれぞれに設定される取得ポイントや、これまでの取得ポイントの合計である総合ポイント、チームのポイントランキング等である。また、対戦・大会(複数人による予選方式を含む)結果には、コースのラン時の最速タイム(fastest time)ランキングや、チームごとの・選手ごとの最速タイム、最速タイムによるボーナス等が含まれてもよい。
【0056】
勝敗判定部38によって出力された出力情報は、Adminwebを介して大会実行委員会に提供される。大会実行委員会は、出力情報に含まれるフライト/ラン結果や対戦・大会結果をチェックする。大会実行委員会は、チェック後、フライト/ランのデータから無効なものと採用するものを選定し、Adminwebを介してコンピュータ2によりレース管理装置1に選定結果を入力する。大会実行委員会から選定結果が入力されると、勝敗判定部38は、入力結果を反映した出力情報を再度出力する。
【0057】
また、勝敗判定部38によって出力された出力情報は、予め公開が制限される情報を除き、Playerwebを介してチームに提供されるとともに、Publicwebを介して一般に公開される。出力情報の提供及び公開は、リアルタイムに行われる。予め公開が制限される情報は、例えば、準決勝、決勝、3位決定戦等の大会の結果データである。結果データは、自動的には公開されない。結果データは、閲覧場所111でのXR画像の公開後等に提供又は公開される。
【0058】
次に、XR画像提供部39について説明する。XR画像提供部39は、飛行機101A~101Cの移動軌跡とハンディキャップに基づいて生成されたXR画像を閲覧場所111にいる視聴者やインターネット等の通信ネットワークを介して配信される動画配信サービスの視聴者に提供する。XR画像は、提供される視聴者によって形式が異なってもよい。例えば、閲覧場所111の視聴者に対してはAR画像が提供され、動画配信サービスの視聴者にはVR画像が提供される。
【0059】
図8を参照し、XR画像の生成について説明する。図8は、XR画像の生成処理の一例を示すフロー図である。
【0060】
図8に示すように、移動軌跡を含むフライト/ランデータは、画像コンテンツの制作処理を行うために加工ツールに提供される。フライト/ランデータの加工ツールへの提供方法は、ARwebを介して行われる。ARwebは、AR画像に関する情報やAR画像を提供するためのwebインターフェースである。加工ツールは、フライト/ランデータをAR画像及びVR画像に処理するための加工を行う。加工ツールで加工された加工フライト/ランデータは、AR/VR編集ツールに出力される。編集ツールには、加工フライト/ランデータの他、機体3Dモデルと3D都市モデルが入力される。
【0061】
機体3Dモデルは、チームから提供される飛行機101の機体の形状を示す3次元情報である。機体3Dモデルは、例えば、実際の飛行機101A~101Cを高精度スキャンしてポリゴンデータ化して取得することができる。この機体3Dモデルは、個人利用の無償配布又は商用の精細データの有償配布等を行うプロモーションにも活用できる。配布された機体3Dモデルは、ゲームやVRクラスタ等に利用され、二次創作コンテンツとして展開され、大勢の人に周知される。
【0062】
3D都市モデルは、閲覧場所111の地形(都市の形状)を示す3次元情報である。3D都市モデルは、最新の地理データを航空測量で取得したものでもよいし、3D都市モデルのオープンデータを利用してもよい。
【0063】
編集ツールは、加工フライト/ランデータ(移動軌跡)、機体3Dモデル及び3D都市モデルに基づいてAR画像のコンテンツデータとVR画像のコンテンツデータを出力する。
【0064】
また、編集ツールは、コンテンツとしてパイロット視点のVR画像も出力する。VR画像は、オンボードカメラ22の撮像画像と3D都市モデル等の地上データを合成して作成される。これにより、オンボードカメラ22の動画データに対して閲覧場所111の風景が反映され、パイロットを疑似体験できる合成画像となる。また、合成画像は、コックピット内のパイロットを撮像した画像のパイロットの背景に閲覧場所111の風景を3D都市モデルに基づいて合成して構成されてもよい。
【0065】
ここでコンテンツデータについて図9を参照して説明する。図9は、視聴者に提供されるXR画像の一例を示す図である。図9には、実際の閲覧場所111を撮影した画像に対して機体3Dモデルに基づく画像が重畳されたAR画像(XR画像)が示されている。この例のAR画像には、飛行機101A、飛行機101B、パイロン102、広告画像60が含まれる。AR画像中の飛行機101A、飛行機101Bやパイロン102の位置は、閲覧場所111を撮像したカメラの位置、コースレイアウト、移動軌跡、3D都市モデルの位置情報等に基づいて設定される。広告画像60は、社名や商品名等である。広告画像60の位置は、予め設定される広告情報と3D都市モデルの位置情報等に基づいて設定される。
【0066】
図9には、AR画像に加えてレース情報表示部51、パイロット情報表示部52、パイロット画像部53が表示されている。レース情報表示部51は、計測タイム等のレースに関する情報が表示する。パイロット情報表示部52は、飛行機101Aや飛行機101Bのパイロット名やパイロットの所属するチーム等のパイロットに関する情報を表示する。パイロット画像部53は、飛行機101Aや飛行機101Bのコックピット内のパイロットを撮像した画像のパイロットの背景に閲覧場所111の3D都市モデルを合成した合成画像である。
【0067】
図10を参照し、3D機体モデルに表示される広告の一例について説明する。図10は、3D機体モデルの広告の表示例を示す図である。図10には、AR画像又はVR画像で表示される飛行機101が示されている。この例では、機体3Dモデルの飛行機101の翼の部分に社名や商品名等の広告画像61が重畳表示される。従って、実際の飛行機101にペイント等で広告を表示する必要なく、画像処理によって広告をXR画像に表示することができる。
【0068】
また、XR画像の再生中(レース中)に飛行機101の文字やカラーリング等の表示態様を変更できる。表示態様は、時間経過やレース状況に応じて広告を変更することもできるので、実機のレースではできないスポンサー枠の拡張やスポンサーの特別レース等のビジネスに展開できる。
【0069】
また、移動軌跡を含むフライト/ランデータは、立体音響の制作処理を行うために音制作ツールに提供される。音制作ツールは、フライト/ランデータに基づいてAR画像及びVR画像に対応する立体音響を実現する音声データを出力する。
【0070】
次に、AR画像及びVR画像を含むXR画像の提供方法について説明する。図11は、会場でのXR画像の提供処理の一例を示すフロー図である。
【0071】
XR画像提供部39は、閲覧場所111の視聴者のモバイル端末5にインストールされるAR/VRモバイルアプリやヘッドマウントディスプレイ6にインストールされるAR/VRヘッドセットアプリにコンテンツデータを出力する。データの出力は、インターネット等の所定の通信ネットワークを介して行われる。これによって視聴者のモバイル端末5やヘッドマウントディスプレイ6上でAR画像又はVR画像が表示される。なお、ヘッドマウントディスプレイ6では、XR画像の視聴中に、視聴映像をAR画像から大会の情報番組や通常の撮影画像に切り替えることもできる。
【0072】
また、コンテンツデータは、閲覧場所111で投影を行うために、投影用のAR/VRモバイルアプリに入力され、閲覧場所111を撮影した撮影データに重畳して街にAR/VR投影が行われる。また、投影されるAR/VRの撮影データは、映像配信システムを通じてリアルタイム配信を行うために活用される。本実施形態では、投影されるAR/VRの撮影データは通信ネットワークを介してブロードキャスト配信され、閲覧場所111にいない視聴者にも提供される。
【0073】
また、閲覧場所111の部屋を観戦会場とし、部屋の透明な窓をスクリーンとして設定し、当該透明窓に飛行機101A~101C、パイロン102、広告画像60等が表示されるように構成してもよい。この場合、透過性LEDや単焦点プロジェクタ等を表示装置として利用できる。
【0074】
会場音響40には、立体音響を再生するための音声データが入力される。音声データは、提供されるAR画像及びVR画像に同期して再生される。画像に加えて立体音響も合わさることにより、より臨場感のある体験を視聴者に提供できる。
【0075】
ブロードキャスト配信には、大会関係者や専門家のコメンタリー音声・映像、リポーターのリポート音声・映像、チーム/選手インタビュー音声・映像等が組み込まれる。
【0076】
以上、説明したように、本実施形態のレース管理システム100は、タイムを測定するコースを設定するコース設定部31と、場所が異なる複数の記録場所110A~110Cのそれぞれでコースに沿って移動する飛行機101A~101C(移動体)の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部35と、記録場所110A~110Cのそれぞれに対応する移動軌跡の計測時の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部36と、環境情報に基づいて飛行機101A~101Cに対してハンディキャップを設定するハンディキャップ設定部37と、記録場所のそれぞれで計測を行った複数の飛行機101A~101Cのうち少なくとも2つの飛行機101A~101C間の勝敗を、ハンディキャップを反映して判定する勝敗判定部38と、を備える。
【0077】
また、本実施形態のレース管理方法は、タイムを測定するコースを設定するコース設定ステップ(例えば、図4のフロー)と、場所が異なる複数の記録場所110A~110Cのそれぞれでコースに沿って移動する飛行機101A~101C(移動体)の移動軌跡を取得する移動軌跡取得ステップ(例えば、図6のフロー)と、複数の記録場所110A~110Cのそれぞれに対応する移動軌跡の計測時の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得ステップ(例えば、図5のフロー)と、環境情報に基づいて飛行機101A~101Cに対してハンディキャップを設定するハンディキャップ設定ステップ(例えば、図7のフロー)と、記録場所110A~110Cのそれぞれで計測を行った複数の飛行機101A~101Cのうち少なくとも2つの飛行機101A~101C間の勝敗を、ハンディキャップを反映して判定する勝敗判定ステップ(例えば、図7のフロー)と、を含む。
【0078】
このようにレース管理システム100及びレース管理方法が構成されることにより、環境が異なる記録場所110A~110Cで行われた飛行機101A~101Cの計測記録に対し、各記録場所110A~110Cの環境を加味して勝敗が判定されるので、実際には異なる場所で行われた飛行機101A~101C間における公平なレースを行うことができる。
【0079】
また、本実施形態のレース管理システム100は、複数の飛行機101A~101C同士の対戦カードを設定する対戦カード設定部32と、飛行機101A~101Cを操縦するチームに対戦カードを提示する対戦カード提示部33と、を備え、移動軌跡取得部35は、対戦カードに対応付けて移動軌跡を記録し、勝敗判定部38は、対戦カードに対応する飛行機101A~101C間の勝敗を判定する。
【0080】
これにより、測定自体は単独で行われるレースにおいても、チームは対戦カードの対戦相手を考慮してレースのペナルティを回避するような安全性と測定タイムの短縮のバランスを考慮してレースに臨むことができる。
【0081】
また、本実施形態のレース管理システム100は、移動軌跡の測定前に不正防止用のトークンを発行するトークン管理部34を更に備え、移動軌跡取得部35は、トークンが格納された記録媒体30が飛行機101に接続された状態で計測が実行された移動軌跡をトークンとともに取得する。
【0082】
これにより、異なる記録場所110A~110Cで実施される場合であっても、移動軌跡の改ざん等をトークンにより防止できるので、より公正なレースを実現できる。
【0083】
また、上記実施形態で説明したように、本実施形態のレース管理システム100は、閲覧場所111の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定部31と、場所が異なる複数の記録場所110A~110Cのそれぞれでコースに沿って移動する飛行機101A~101Cの移動軌跡を取得する移動軌跡取得部35と、複数の飛行機101A~101Cのうち、少なくとも2つの飛行機101A~101Cの移動軌跡に基づいて閲覧場所111の画像に飛行機101A~101Cの画像を重畳したXR画像を閲覧場所111にいる視聴者に提供するXR画像提供部39と、を備える。
【0084】
また、本実施形態のレース管理方法は、閲覧場所111の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定ステップ(例えば、図4のフロー)と、場所が異なる複数の記録場所110A~110Cのそれぞれでコースに沿って移動する移動体の移動軌跡を取得する移動軌跡取得ステップ(例えば、図6のフロー)と、複数の飛行機101A~101Cのうち、少なくとも2つの飛行機101A~101Cの移動軌跡に基づいて閲覧場所111の画像に飛行機101A~101Cの画像を重畳したXR画像を閲覧場所111にいる視聴者に提供するXR画像提供ステップ(例えば、図8及び図11のフロー)と、を含む。
【0085】
このようにレース管理システム100及びレース管理方法が構成されることにより、市街地の空中や道路、夜間のナイトレース等の実機では不可能な場所でのレースが閲覧場所111で行われているような観戦環境をXR技術により視聴者に提供できる。また、同じ場所に居合わせることが困難な選手達でのレースが実現できる。更に、閲覧場所111に居合わせた視聴者間で臨場感をもって盛り上がることができる。
【0086】
また、本実施形態のXR画像提供部39は、複数の飛行機101A~101Cのうち、少なくとも2つの飛行機101A~101Cのスタートを同時及び同一位置になるように生成されたXR画像を視聴者に提供する。
【0087】
これにより、同一位置から同時にスタートするレースという現実には衝突によって実現できないレース状況をXRによって実現でき、XR画像ならではの映像体験を視聴者に提供できる。
【0088】
また、本実施形態のレース管理システム100は、複数の記録場所110A~110Cのそれぞれに対応する移動軌跡の計測時の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部36と、環境情報に基づいて飛行機101A~101Cに対してハンディキャップを設定するハンディキャップ設定部37と、を更に備え、XR画像提供部39は、ハンディキャップに基づいて移動軌跡における飛行機101A~101Cの位置を調整することにより、ハンディキャップが反映されたXR画像を視聴者に提供する。
【0089】
これにより、不利な環境の飛行機101A~101Cを秒数先に再生する等、ハンディキャップをXR画像のレースに反映できる。例えば、再生タイミングを調整することにより、ゴールラインを先に超えた方が勝者となるようにXR画像が生成される。視聴者は、ハンディキャップの数値を意識することなくXR画像を視聴すればよいので、分かり易いルールで没入感を高めることができる。
【0090】
また、本実施形態では、XR画像提供部39は、移動軌跡の計測時に実際に撮像されたカメラ画像に対して前記閲覧場所の風景を合成した合成画像をXR画像とともに提供する。
【0091】
パイロットを撮像したオンボードカメラ画像等に閲覧場所の風景が合成されることにより、飛行機101A~101Cが実際に閲覧場所111を飛んでいるかのように視聴者に感じさせることができ、レースの閲覧の臨場感がより一層向上する。
【0092】
また、本実施形態では、XR画像提供部39は、XR画像中の飛行機101A~101C又は閲覧場所111の画像に対して広告画像を重畳する。
【0093】
これにより、飛行機101A~101Cの画像や閲覧場所111の風景を構成するモデルにレースやショーの広告を付すことができ、実機を用いた従来のレースではできない広告表示をXR画像により実現できる。
【0094】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0095】
上述の実施形態では、観客は閲覧場所111おいて、ARゴーグルやVRゴーグルを用いて閲覧するものとして説明したが、閲覧場所111以外の場所、例えば、自宅においても本実施形態のXR画像を閲覧することが出来る。
【0096】
図12は、XR画像の提供形態の他の例を示す図である。
図12には、所定比率で縮小された閲覧場所111を模した街並みと飛行機101と飛行機101の軌跡とパイロン102と広告画像60とを含むXR画像G1と、閲覧場所111において視聴者に提供されるXR画像G2と、机Dが図示されている。
【0097】
XR画像G1は、所定比率で縮小された閲覧場所111を模した街並みと飛行機101を含むXR画像である。
XR画像G1は、ARゴーグルを介して視聴者に提示される。ここで、机Dは、視聴者の近くに存在する実物の机である。即ち、視聴者は、ARゴーグルを介して、近くに存在する実物の机Dの上に重畳されたXR画像G1を閲覧している。
なお、所定比率は、視聴者により任意に設定可能である。
【0098】
そして、XR画像G2は、閲覧場所111において視聴者に提供されるXR画像である。即ち例えば、XR画像G2は、閲覧場所111の地上(建築物の屋上等でもよい)から、レースを視聴する際にVRゴーグル等で閲覧可能な2次元のXR画像であってもよい。また例えば、XR画像G2は、動画配信サービスにおいて視聴者に提供される、各種情報やオンボード画像等をXR技術を用いて合成された2次元のXR画像でっあてもよい。なお、XR画像G2は、AR上で曲面として配置されていてもよい。
このように、自宅等、閲覧場所111以外の場所からXR画像を閲覧する者に対しては、俯瞰したXR画像G1と地上等(例えば建築物の屋上でもよい)から見たとされるXR画像G2等、複数のXR画像を視聴させることができる。これにより、視聴者は、臨場感と、閲覧場所111以外であるからこそのXR画像(各種情報)を同時に視聴することができる。
なお、これらの他に飛行中のコックピット画像やライブ画像、所定のSNS等での配信画像を上述のXR画像G2のようにAR表示させてもよい。
【0099】
また例えば、机Dとその机上にジオラマが視聴者の近くに実際に存在するものとする。この場合、上述のXR画像G1として、机Dとその机上のジオラマに対して、重畳して飛行機101と飛行機101の軌跡とパイロン102と広告画像60とえと飛行機101の軌跡とパイロン102と広告画像60等が含まれるXR画像G1を視聴することができ、閲覧場所111以外からレースの視聴に興ずることができる。
【0100】
上記実施形態では、ハンディキャップ設定部37は環境情報に基づいてハンディキャップを設定しているが、ハンディキャップの設定は他の方法を採用できる。例えば、ビギナーやエキスパート等のパイロット(チーム)との技術差をデジタル上で補正し、ハンディキャップレースを実施できるようにしてもよい。また、観戦者からの応援を数値化し、移動軌跡に付加して観客の応援がチームのタイムや成績に影響する「ファンブースト」方式を採用してもよい。
【0101】
上記実施形態では、閲覧場所111を撮像した画像に対して飛行機101A~101Cを重畳するAR画像やVR画像により、レースをコンテンツとして視聴者に提供する例として説明したが、実際には行われないような演出を行うこともできる。例えば、演出上、表示される飛行機101(機体3Dモデル)の大きさが小さくなったり、変形したりするようにしてもよい。更に、実際のコースではできない狭い空間、地下空間、水中、宇宙空間等の仮想空間を舞台にしたレースの画像を提供してもよい。
【0102】
XR画像は、プレイヤーが飛行機を操縦するシミュレータゲームにも適用できる。プレイヤーは、パイロットが実際に飛行するコースと同じコースをゲーム上の飛行機でフライト/ランすることができる。このゲーム空間にも、環境情報を付加させ、情報を補正し再現することにより、臨場感豊かなゲーム空間を演出できる。例えば、風、気圧の影響、機体から発生する乱気流等の影響をゲーム空間の飛行機の機体に与えることができる。
【0103】
また、ゲーム後にプレイヤーの飛行軌跡をAR画像に投影し、閲覧場所111でのゲームプレイの再現を行うこともできる。また、ゲームのプレイヤーだけの大会を行うこともできるし、実際の飛行機101A~101Cのパイロットとゲームのプレイヤーとの対戦も実現できる。例えば、大会参加チームの飛行機101A~101Cのレース画像とゲームのプレイヤー(一般参加者)ゲーム画像を融合したXR画像を生成することもできる。ゲーム大会は、メタバース等の別のゲーム空間内で行われてもよい。更に、ゲームのトップ選手がリアル大会への参戦を目指す、リアルパイロット育成プログラムを実施することもできる。
【0104】
また、ミニチュアのレーストラックをAR上で再現し、AR箱庭上で観戦することもできる。更に、閲覧場所111の都市を正確に再現したミニチュアに3D都市モデルに基づいて正確にマッピングされた飛行機101A~101Cの軌道をAR技術で表示し、神の視点で楽しめるコンテンツを制作することができる。この際、XR画像提供時に3D都市モデルに投影されたAR広告等も忠実に再現してもよい。
【0105】
また、提供するコンテンツの一部にNFT(Non-Fungible Token)を活用してもよい。例えば、飛行機101A~101Cの3D機体モデル、移動軌跡を含む飛行情報、オリジナルの機体カラーリング、パイロットをアバター化したアバターパイロット等をNFTによって資産化してもよい。
【0106】
上記実施形態では、有人飛行機を移動体の例として説明したが本発明が適用される移動体は有人飛行機に限定される訳ではない。移動体は、例えば、無人航空機、自動車、バイク、船舶、自転車等のあらゆる移動体や、移動する生物であってもよい。
【0107】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がレース管理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、レース管理装置の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0108】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0109】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0110】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0111】
1 レース管理装置
30 記録媒体
31 コース設定部
32 対戦カード設定部
33 対戦カード提示部
34 トークン管理部
35 移動軌跡取得部
36 環境情報取得部
37 ハンディキャップ設定部
38 勝敗判定部
39 XR画像提供部
100 レース管理システム
101A、101B、101C 飛行機
110A、110B、110C 記録場所
111 閲覧場所
【要約】
本発明は、安全性のため開催が難しい場所であっても、移動体の実機を用いた臨場感の高いレースを体験できるレース管理システム及びレース管理方法を提供することを課題とする。レース管理システム100は、閲覧場所111の地形に応じたタイムを測定するコースを設定するコース設定部31と、場所が異なる複数の記録場所110A~110Cのそれぞれでコースに沿って移動する飛行機101A~101Cの移動軌跡を取得する移動軌跡取得部35と、複数の飛行機101A~101Cのうち、少なくとも2つの飛行機101A~101Cの移動軌跡に基づいて閲覧場所111の画像に飛行機101A~101Cの画像を重畳したXR画像を閲覧場所111にいる視聴者に提供するXR画像提供部39と、を備える。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12