(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】二次電池用電極、それを含む二次電池、および電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20241216BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/60 20060101ALI20241216BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241216BHJP
H01M 4/1391 20100101ALI20241216BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/485
H01M4/48
H01M4/60
H01M4/131
H01M4/139
H01M4/1391
(21)【出願番号】P 2022575453
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 KR2021014537
(87)【国際公開番号】W WO2022092664
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0139305
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0137513
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミョンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】テゴン・キム
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0305316(US,A1)
【文献】国際公開第2019/213068(WO,A1)
【文献】特開2012-129536(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0121411(KR,A)
【文献】中国特許第112038574(CN,B)
【文献】米国特許出願公開第2020/0321599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/02-4/62
H01G 11/22
H01G 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極集電体、および
前記電極集電体上に位置する電極層を含み、
前記電極層は活物質、導電材、およびバインダの乾式混合電極組成物を含み、
前記バインダは第1バインダおよび第2バインダを含み、前記第1バインダと前記第2バインダは互いに異なる種類のバインダであり、
前記第2バインダは前記第1バインダの表面に付着しており、
前記第1バインダはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、
前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)より高く、
前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏15度以上摂氏100度以下であり、
前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏25度以上摂氏115度以下であり、
前記バインダの含有量は前記乾式混合電極組成物の全体重量を基準として0.51重量%以上11.99重量%以下である、二次電池用電極。
【請求項2】
前記第1バインダと前記第2バインダの含有量比は0.1:10~10:0.1の比率を有する、請求項
1に記載の二次電池用電極。
【請求項3】
前記第2バインダはアクリル系高分子物質を含む、請求項1
または2に記載の二次電池用電極。
【請求項4】
前記活物質はリチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)、リチウムマンガン酸化物、リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2)、バナジウム酸化物、Niサイト型リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、化学式Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn
2O
4、ジスルフィド化合物、Fe
2(MoO
4)
3、リチウムマンガン酸化物(LMO)のうち少なくとも一つを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項5】
前記乾式混合電極組成物はフリースタンディングフィルムであり、
前記フリースタンディングフィルムが前記電極集電体上に付着している、請求項1から
4のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項6】
前記フリースタンディングフィルムは5kgf/cm
2以上50kgf/cm
2以下の引張強度を有する、請求項
5に記載の二次電池用電極。
【請求項7】
活物質、導電材、およびバインダを乾式で混合して混合物を製造する段階、
前記混合物にせん断力を加えて電極組成物が製造される段階、
前記電極組成物でフリースタンディングフィルムを製造する段階、および
前記フリースタンディングフィルムを電極集電体上に付着して二次電池用電極を形成する段階を含み、
前記バインダは第1バインダおよび第2バインダを含み、前記第1バインダと前記第2バインダは互いに異なる種類のバインダであり、
前記第2バインダは前記第1バインダの表面に付着し、
前記第1バインダはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、
前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)より高く、
前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏15度以上摂氏100度以下であり、
前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏25度以上摂氏115度以下であり、
前記第1バインダおよび前記第2バインダの含有量の合計は前記電極組成物の全体重量を基準として0.51重量%以上11.99重量%以下である、二次電池用電極の製造方法。
【請求項8】
前記活物質、導電材、第1バインダ、および第2バインダを乾式で混合して混合物を製造する段階は常温で行われ、
前記混合物にせん断力を加えて電極組成物が製造される段階は摂氏100度以上の温度で行われる、請求項
7に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項9】
前記第1バインダと前記第2バインダの含有量比は0.1:10~10:0.1の比率を有する、請求項
7または8に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項10】
前記第2バインダはアクリル系高分子物質を含む、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
前記活物質はリチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)、リチウムマンガン酸化物、リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2)、バナジウム酸化物、Niサイト型リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、化学式Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn
2O
4、ジスルフィド化合物、Fe
2(MoO
4)
3、リチウムマンガン酸化物(LMO)のうち少なくとも一つを含む、請求項
7から
10のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項12】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の二次電池用電極を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年10月26日付韓国特許出願第10-2020-0139305号および2021年10月15日付韓国特許出願第10-2021-0137513号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は二次電池用電極、それを含む二次電池、および電極の製造方法に関し、より具体的には引張強度および抵抗減少効果が向上した二次電池用電極、それを含む二次電池、および電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加によりエネルギ源としての二次電池の需要が急激に増加しており、このような二次電池のうち高いエネルギ密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使われている。
【0004】
特に、二次電池は携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギ源としても多くの関心を集めている。
【0005】
また、環境問題に対する関心が高まるにつれ、大気汚染の主な原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両など化石燃料を使用する車両の代わりとなる電気自動車、ハイブリッド電気自動車などに対する多くの研究が進められている。このような電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力源としては主にニッケル水素金属二次電池が使用されているが、高いエネルギ密度と放電電圧のリチウム二次電池を使用する研究が活発に進められており、一部は商用化の段階にある。
【0006】
従来の二次電池用電極は湿式方法で製造された。しかし、湿式方法で電極を製造する場合、高温での熱処理過程が必須として求められ、金属酸化物が損傷する恐れがあった。そのため、乾式方法で製造された電極開発に対する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、引張強度および抵抗減少効果が向上した二次電池用電極、それを含む二次電池、および電極の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されるものではなく、言及されていない課題は、本明細書および添付する図面から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による二次電池用電極は、電極集電体;および前記電極集電体上に位置する電極層を含み、前記電極層は活物質、導電材、およびバインダの乾式混合電極組成物を含み、前記バインダは第1バインダおよび第2バインダを含み、前記第1バインダと前記第2バインダは互いに異なり、前記第2バインダは前記第1バインダの表面に付着している。
【0010】
前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)より高くてもよい。
【0011】
前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏15度以上摂氏100度以下であり、前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏25度以上摂氏115度以下であり得る。前記バインダの含有量は前記電極組成物の全体重量を基準として0.51重量%以上11.99重量%以下であり得る。
【0012】
前記第1バインダと前記第2バインダの含有量比は0.1:10~10:0.1の比率を有し得る。
【0013】
前記第1バインダはポリテトラフルオロエチレン(PTFE,Polytetrafluoroethylene)を含み、前記第2バインダはアクリル系高分子物質を含み得る。
【0014】
前記活物質はリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物、リチウム銅酸化物(Li2CuO2)、バナジウム酸化物、Niサイト型リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、化学式Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4、ジスルフィド化合物、Fe2(MoO4)3、リチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)のうち少なくとも一つを含み得る。前記電極組成物はフリースタンディングフィルムで製造され、前記フリースタンディングフィルムが前記電極集電体上に付着し得る。
【0015】
前記フリースタンディングフィルムは5kgf/cm2以上50kgf/cm2以下の引張強度を有し得る。
【0016】
本発明の他の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、活物質、導電材、およびバインダを乾式で混合して混合物を製造する段階;前記混合物にせん断力を加えて電極組成物が製造される段階;前記電極組成物でフリースタンディングフィルムを製造する段階;および前記フリースタンディングフィルムを電極集電体上に付着して二次電池用電極を形成する段階を含み、前記バインダは第1バインダおよび第2バインダを含み、前記第1バインダと前記第2バインダは互いに異なり、前記第2バインダは前記第1バインダの表面に付着している。
【0017】
前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)より高くてもよい。
【0018】
前記第1バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏15度以上摂氏100度以下であり、前記第2バインダのガラス転移温度(Tg)は摂氏25度以上摂氏115度以下であり得る。前記活物質、導電材、第1バインダ、および第2バインダを乾式で混合して混合物を製造する段階は常温で行われ、前記混合物にせん断力を加えて電極組成物が製造される段階は摂氏100度以上の温度で行われ得る。
【0019】
前記バインダの含有量は前記電極組成物の全体重量を基準として0.51重量%以上11.99重量%以下であり得る。
【0020】
前記第1バインダと前記第2バインダの含有量比は0.1:10~10:0.1の比率を有し得る。
【0021】
前記第1バインダはポリテトラフルオロエチレン(PTFE,Polytetrafluoroethylene)を含み、前記第2バインダはアクリル系高分子物質を含み得る。
【0022】
前記活物質はリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物、リチウム銅酸化物(Li2CuO2)、バナジウム酸化物、Niサイト型リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、化学式Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4、ジスルフィド化合物、Fe2(MoO4)3、リチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)のうち少なくとも一つを含み得る。
【0023】
本発明の他の一実施形態による二次電池は上述した二次電池用電極を含み得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態によれば、互いに異なるバインダを含む電極組成物を使用して二次電池用電極およびそれを含む二次電池を製造することによって、電極の引張強度が向上し、前記電極を含む二次電池の抵抗減少効果が向上することができる。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に制限されるものではなく、言及されていない効果は、本明細書および添付する図面から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による二次電池用電極の電極組成物を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法に関するフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例および比較例における二次電池用電極のバインダの含有量に応じた引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。
【
図4】本発明の実施例および比較例における二次電池用電極の第1バインダおよび第2バインダの含有量比に応じて引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。
【
図5】本発明の実施例および比較例における二次電池用電極の第1バインダおよび第2バインダのガラス転移温度に応じて引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0028】
以下では、本発明の一実施形態による二次電池用電極について説明する。
【0029】
本発明の一実施形態による二次電池用電極は、電極集電体;および前記電極集電体上にフリースタンディングフィルム(free standing film)で形成された電極層を含む。前記電極層は活物質、導電材、およびバインダが乾式で混合されている電極組成物を含む。
【0030】
前記電極層はフリースタンディングフィルムで先に製造され、前記フリースタンディングフィルムが前記電極集電体上に付着した後ラミネーション工程により形成される。ここで、前記フリースタンディングフィルムは5kgf/cm2以上50kgf/cm2以下の引張強度を有することができる。
【0031】
そのため、前記フリースタンディングフィルムは前記電極組成物に含まれる活物質、導電材、第1バインダ、および第2バインダが互いに高い結着力で混合された状態であり得、前記フリースタンディングフィルムはロール(roll)形態で容易に保管できる。そのため、生産性が向上し、電極の柔軟性改善に効果的であり得る。しかし、前記フリースタンディングフィルムの引張強度が5kgf/cm2未満の場合、充放電時の電極内の電極活物質の間に亀裂が発生し、抵抗が増加して電気伝導性が低下し、寿命特性もまた低下する問題がある。
【0032】
以下では、本発明の一実施形態による二次電池用電極に含まれる各構成要素について詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施形態による二次電池用電極の電極組成物を示す図である。
【0034】
図1を参照すると、本実施形態による二次電池用電極はバインダとして第1バインダ100および第2バインダ200を含むことができる。第1バインダ100と第2バインダ200は互いに異なってもよい。ここで、第1バインダ100および第2バインダ200はそれぞれ活物質粒子の間の付着および活物質と集電体との接着力を向上させる役割をする。ここで、第2バインダ200は第1バインダ100の表面に付着している。
【0035】
そのため、本発明の一実施形態による二次電池用電極において、第1バインダ100は第2バインダ200により互いに離隔している。そのため、第1バインダ100間の接触が防止され、第1バインダ100の固まる現象が減少し得る。また、第1バインダ100による活物質粒子の間のブリッジングまたは活物質粒子と集電体の間のブリッジング効果を妨げないながらも、第1バインダ100の分散性を向上させて、電極の引張強度および柔軟性もまた向上することができる。
【0036】
一例として、第1バインダ100はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。ここで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)はせん断力が加えられることによって粒子から繊維が抜け出る特徴を有する。すなわち、本発明の一実施形態による二次電池用電極はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む電極組成物に強いせん断力が加えられ、前記電極組成物はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の繊維化による物理的混合方式によって混合されることができる。
【0037】
そのため、本発明の一実施形態による二次電池用電極は、前記電極組成物が別途の溶媒または添加剤なしで乾式で混合され得、活物質粒子の間のブリッジングまたは活物質粒子と集電体の間のブリッジングに非常に効果的でありながらも、従来の混合方式による高温での熱処理過程で発生する活物質の損傷が防止される。
【0038】
一例として、第2バインダ200はアクリル系高分子物質を含むことができる。ここで、アクリル系高分子物質はアクリル酸(Acryl acid)系高分子およびアクリレート(acrylate)系高分子を含み、このうちの少なくとも一つが選択されて含まれ得る。一例として、第2バインダ200はポリアクリル酸(PAA)、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、エチルヘキシルアクリレート(EHA)、メチルメタアクリレート(MMA)のうち少なくとも一つが選択され得る。
【0039】
また、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)より高くてもよい。ここで、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は常温より高くてもよい。一般に、常温は標準温度である摂氏20度を基準として摂氏5度の誤差範囲を有する温度を意味する。
【0040】
より具体的には、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏15度以上摂氏100度以下であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏25度以上摂氏115度以下であり得る。一例として、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏15度以上摂氏95度以下であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏30度以上摂氏110度以下であり得る。
【0041】
ここで、ガラス転移温度(Tg)は一般にDSC、DMA、TMAなどの測定方法で測定される。一例として、本実施形態はガラス転移温度(Tg)をDSC測定方法で測定し、この際の適用規格はISO 11357-2であり得る。また、測定設備はTA instrument,Q20が用いられ、測定温度範囲は-50~200℃、昇温速度20℃/minで測定して2次加熱曲線を用いて分析するが、ガラス転移温度(Tg)結晶はInflection point methodを用いることができる。
【0042】
そのため、本発明の一実施形態による二次電池用電極において、第1バインダ100および第2バインダ200は上述した範囲のガラス転移温度を有し、常温で第2バインダ200が溶けていない状態で第2バインダ200が第1バインダ100の表面に付着しており、第1バインダ100の固まる現象を防止することができる。
【0043】
また、後の電極製造工程上で、温度が上昇して第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)以上になる場合、第2バインダ200は溶け得るため、第1バインダ100の繊維化が進められ得、そのため、活物質粒子の間のブリッジングまたは活物質粒子と集電体の間のブリッジングが行われ得る。
【0044】
すなわち、第1バインダ100および第2バインダ200は上述した範囲のガラス転移温度(Tg)により第1バインダ100の繊維化時点を効果的に調節することができる。
【0045】
これとは異なり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)が第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)より低い場合、第2バインダ200が第1バインダ100より先に溶けて、第1バインダ100の表面に残った第2バインダ200が減少するかまたはなくなる。この場合、第1バインダ100の繊維化時点を調節できない問題はなく、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)が常温より低い場合、第1バインダ100の繊維化が常温で進められ、第1バインダ100の固まる現象を防止することが難しいという問題がある。
【0046】
これと共に、第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)が上述した温度範囲より低い場合、第2バインダ200の少なくとも一部が常温で溶け、第1バインダ100の繊維化が常温で進められ、第1バインダ100の固まる現象を防止することは難い。そのため、前記電極組成物内部の粒子間のブリッジング効果が低下し、引張強度もまた、大きく減少し得る。
【0047】
これとは逆に、第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)が上述した温度範囲より高い場合、電極製造工程で第1バインダ100および第2バインダ200を溶かすために温度を昇温させる過程で求められる製造時間、製造設備などをさらに必要とし、第1バインダ100の繊維化もまた進められないといった問題がある。
【0048】
また、バインダ100,200の含有量は前記電極組成物の全体重量を基準として0.51重量%以上11.99重量%以下であり得る。より好ましくは、バインダ100,200の含有量は前記電極組成物の全体重量を基準として1重量%以上11重量%以下であり得る。一例として、バインダ100,200の含有量は前記電極組成物の全体重量を基準として1重量%以上10重量%以下であり得る。
【0049】
そのため、本実施形態による二次電池用電極はバインダ100,200が上述した範囲の割合で含まれ、バインダの繊維化を最大化することができ、電極組成物内部の粒子間のブリッジング効果に優れ、引張強度に優れる。これと共に、前記バインダの固まる現象を防止し、分散性を向上させることができ、前記電極組成物を含む電極の抵抗減少効果に優れる。
【0050】
これとは異なり、バインダ100,200の含有量が0.51重量%未満の場合には、前記電極組成物内部の粒子間のブリッジング効果が低下し、引張強度もまた、大きく減少し得る。また、バインダ100,200の含有量が11.99重量%超過である場合は、前記電極組成物を含む電極で第1バインダ100および第2バインダ200が抵抗として作用し、高い出力を期待しにくいという問題がある。
【0051】
また、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は0.1:10~10:0.1の比率を有することができる。より好ましくは、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は0.5:10~10:0.5の比率を有することができる。一例として、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は1:10~10:1の比率を有することができる。
【0052】
そのため、本実施形態による二次電池用電極は、第1バインダ100および第2バインダ200が上述した範囲の割合で含まれ、バインダの繊維化を最大化することができ、前記電極組成物内部の粒子間のブリッジング効果に優れ、引張強度に優れる。これと共に、前記バインダの固まる現象を防止し、分散性を向上させることができ、前記電極組成物を含む電極の抵抗減少効果に優れる。
【0053】
これとは異なり、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比が0.1未満:10超過である場合、バインダの繊維化の程度が減少し、第2バインダ200のみ含まれている場合には電極製造が不可能であるという問題がある。また、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比が10超過:0.1未満の場合、前記バインダの固まる現象がよく発生し、電極の抵抗減少効果が低下し、電池性能もまた低下し得る。
【0054】
前記活物質は正極活物質であり得る。前記正極活物質は、一例として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2);リチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);バナジウム酸化物;Niサイト型リチウムニッケル酸化物;リチウムマンガン複合酸化物;スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3等を含むことができる。
【0055】
一例として、前記活物質はリチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)を含むことができる。ここで、前記活物質は電極組成物の全体重量を基準として85重量%~99重量%で含まれ得る。より好ましくは、前記活物質は電極組成物の全体重量を基準として87重量%~98重量%で含まれ得る。一例として、前記活物質は電極組成物の全体重量を基準として89重量%~97重量%で含まれ得る。
【0056】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としてはカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、グラフェン、炭素繊維などの炭素系物質;天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用できる。ここで、前記導電材は電極総重量に対して1重量%~10重量%で含まれ得る。
【0057】
上述した二次電池用電極は、本発明の他の一実施形態による二次電池で正極として含まれ得る。より具体的には、本発明の他の一実施形態による二次電池は前記正極、負極、および前記正極と前記負極の間に介在した分離膜を含む電極組立体と電解質を含むことができる。
【0058】
前記負極は前記二次電池用電極のように、負極活物質、高分子物質、導電材などが含まれた負極スラリーが負極集電体に塗布されて製造される。
【0059】
前記負極はまた、負極活物質を含む負極スラリーが負極集電体上に付着または塗布される形態で製造されることができ、前記負極スラリーも負極活物質と共に、前記で説明したような導電材および高分子物質をさらに含むことができる。
【0060】
前記負極活物質は当業界で通常のリチウム二次電池用負極活物質を使用でき、一例として、リチウム金属、リチウム合金、石油コークス、活性炭(activated carbon)、グラファイト(graphite)、ケイ素、スズ、金属酸化物またはその他炭素類などのような物質が使用できる。
【0061】
前記負極集電体は電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金などが使用できる。
【0062】
前記分離膜は負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常リチウム二次電池でセパレータとして使用できるものであれば特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ電解液含湿能力に優れるものが好ましい。また、本発明で使用される電解液としてはリチウム二次電池の製造の際、使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0063】
具体的には、前記電解液は有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。前記有機溶媒としては電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をするものであれば、特に制限なく使用できる。前記リチウム塩はリチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供できる化合物であれば特に制限なく使用できる。
【0064】
前記電解液には前記構成成分の他にも電池の寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリメチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n‐グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれることもできる。この時、前記添加剤は電解液総重量に対して0.1重量%~5重量%で含まれ得る。
【0065】
図2は本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法に関するフローチャートである。
図2を参照すると、本実施形態による電極の製造方法は、活物質、導電材、およびバインダを混合するプレミキシング段階(S10)、高せん断力を加えて電極組成物を製造するミキシング段階(S20)、前記電極組成物を使用してフリースタンディングフィルムを製造する段階(S30)、および前記フリースタンディングフィルムを電極集電体上に付着した後ラミネーション工程により電極を製造する段階(S40)を含む。
【0066】
プレミキシング段階(S10)は活物質、導電材、およびバインダを乾式で混合する。前記バインダは第1バインダおよび第2バインダを含み、前記第1バインダと前記第2バインダは互いに異なってもよい。前記第2バインダは前記第1バインダの表面に付着している。
【0067】
以下では、より具体的な実施例により本発明の内容を説明するが、下記実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではない。
【0068】
<実施例1>
活物質、導電材、および第1バインダ、第2バインダを、Waring社のブレンダ(blender)装備を用いて乾式で混合した混合物を製造するプレミキシング段階(S10)を行った。ここで、前記活物質は92重量%のリチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)であり、前記導電材は2重量%のSuper C65である。
【0069】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE,Polytetrafluoroethylene)である第1バインダとアクリル系高分子である第2バインダの総含有量は6重量%である。ここで、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は70:30である。また、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏34度であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏55度である。この時、プレミキシング段階(S10)は5000rpmで常温で1分間行われた。
【0070】
その後、Irie Shokai社のPBV‐0.1L設備を用いて、プレミキシング段階(S10)で製造された混合物にせん断力を加えて電極組成物を製造するミキシング段階(S20)を行う。この時、ミキシング段階(S20)は30rpmで摂氏100度で5分間行われた。
【0071】
<実施例2>
前記実施例1で、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は40:60である。また、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏40度である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0072】
<実施例3>
前記実施例1で、前記活物質は97重量%のリチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)であり、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量は1重量%である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0073】
<実施例4>
前記実施例1で、前記活物質は88重量%のリチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)であり、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量は10重量%である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0074】
<実施例5>
前記実施例1で、また、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏90度であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏106度である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0075】
<比較例1>
前記実施例1で、前記活物質は97.5重量%のリチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)であり、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量は0.5重量%である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0076】
<比較例2>
前記実施例1で、前記活物質は86重量%のリチウムマンガン酸化物(LMO,Lithium Manganese Oxide)であり、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量は12重量%である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0077】
<比較例3>
前記実施例1で、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は100:0である。また、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏25度である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0078】
<比較例4>
前記実施例1で、第1バインダ100と第2バインダ200の含有量比は0:100である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0079】
<比較例5>
前記実施例1で、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏-10度であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏-40度である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0080】
<比較例6>
前記実施例1で、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏11度であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏-12度である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0081】
<比較例7>
前記実施例1で、また、第1バインダ100のガラス転移温度(Tg)は摂氏110度であり、第2バインダ200のガラス転移温度(Tg)は摂氏120度である。この点を除いては実施例1と同様に電極組成物を製造した。
【0082】
<実験例1(引張強度の測定)>
図2を参照すると、実施例1~5、比較例1~6でそれぞれ製造された前記電極組成物は井上製作所社のロールミル(Roll Mill)設備を用いて、20mmの長さおよび20mmの幅の大きさを有するフリースタンディングフィルムを製造するフリースタンディングフィルムの製造段階(S30)が行われた。製造されたそれぞれのフリースタンディングフィルムに対して両端をジグで固定した後、Instron社のUTM設備を用いてフリースタンディングフィルムの引張強度を50mm/minの速度でそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0083】
【0084】
<実験例2(放電容量測定)>
図2を参照すると、実施例1~5、比較例1~6に対して、実験例1でそれぞれ製造されたフリースタンディングフィルムをアルミニウム箔である集電体上にロールプレスした後、ローディング値を5mAh/cm
2とし、空隙率(porosity)は30%の条件で正極を製造する電極製造段階(S40)が行われた。その後それぞれ製造された正極と共に、200μmの厚さを有するリチウム金属を負極とし、コインハーフセルを製造した。その後、製造されたそれぞれのコインハーフセルに対して3.0~4.3V電圧範囲で0.1C/0.1C条件で充放電後の最初cycleの放電容量値計算し、その結果を表2に示した。
【0085】
【0086】
<実験結果分析>
図3は本発明の実施例および比較例における二次電池用電極のバインダの含有量に応じた引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。特に、
図3は表1および表2に示す結果のうち、実施例1、実施例3、実施例4、比較例1、および比較例2の引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。この際、比較例1、実施例3、実施例1、実施例4、比較例2は第1バインダと第2バインダの含有量比が同一であるが、比較例1、実施例3、実施例1、実施例4、比較例2の順に第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量が増加する。
比較例1の場合、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量が0.5重量%で実施例に比べて小さい含有量を有し、比較例2の場合、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量が12重量%で実施例に比べて大きい含有量を有する。
【0087】
図3を参照すると、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量が増えるほど、引張強度は優れるが、初期放電容量が減少することを確認することができる。すなわち、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量が過度に小さい場合は引張強度が低下する問題がある。また、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量が過度に大きい場合、バインダ含有量の増加によりバインダの抵抗も大きくなり、初期放電容量が低下する問題がある。そのため、実施例1、実施例3、実施例4のように、第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量を有する場合、引張強度および初期放電容量が全般的にすべて優れることを確認することができる。
【0088】
図4は本発明の実施例および比較例における二次電池用電極の第1バインダおよび第2バインダの含有量比に応じて引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。特に、
図4は表1および表2に示す結果のうち、実施例1、実施例2、比較例3、および比較例4の引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。この際、実施例1、実施例2、比較例3、および比較例4は第1バインダ100および第2バインダ200の総含有量は同一であるが、含有量比が互いに異なる。ここで、比較例4、実施例2、実施例1、および比較例3の順に、第1バインダの含有量は徐々に増加し、第2バインダの含有量は徐々に減少する。
【0089】
図4を参照すると、まず、比較例4のように前記バインダに第2バインダのみ含まれる場合は、乾式混合時に電極の製造が難しく、そのため引張強度および初期放電容量が測定されない。そのため、本発明による二次電池用電極で第1バインダは必須として含むべきであることを確認することができる。
【0090】
また、
図4を参照すると、比較例3のように前記バインダに第1バインダのみ含まれる場合は引張強度および初期放電容量がすべて低下することを確認することができる。これは、第1バインダを単独で使用時、常温での第1バインダの固まる現象が発生して粒子間のブリッジング効果が低下し、これに伴う抵抗も大きくなるからである。
【0091】
そのため、実施例1および実施例2のように、第1バインダ100および第2バインダ200の含有量比率を有する場合、引張強度および初期放電容量が全般的にすべて優れることを確認することができる。
【0092】
図5は本発明の実施例および比較例における二次電池用電極の第1バインダおよび第2バインダのガラス転移温度に応じて引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。特に、
図5は表1および表2に示す結果のうち、実施例1、実施例5、比較例5、および比較例6の引張強度および初期放電容量をそれぞれ比較したグラフである。この時、実施例1、実施例5、比較例5、比較例6、および比較例7は第1バインダ100および第2バインダ200の含有量および含有量比がすべて同一であるが、第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度は異なる。ここで、比較例5、比較例6、実施例1、実施例5、および比較例7の順に第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度は増加する。この際、比較例7は引張強度および初期放電容量が測定されず、
図5では省略した。
【0093】
図5を参照すると、第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度が増加するほど引張強度および初期放電容量が徐々に増加することを確認することができる。
【0094】
すなわち、比較例5および比較例6のように、第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度が過度に小さい場合、常温で第2バインダ200が溶けて、第1バインダ100の表面に第2バインダ200が付着しにくいこともある。そのため、過度に小さいガラス転移温度を有する第2バインダ200を含む場合、常温で発生する第1バインダ100の固まる現象を防止することが難しくなる問題がある。
【0095】
これと共に、比較例5および比較例6のように、第1バインダ100のガラス転移温度より第2バインダ200のガラス転移温度が低い場合、第2バインダ200が第1バインダ100より先に溶けて、第1バインダ100の固まる現象をより防止することが難しいという問題がある。
【0096】
また、表1および表2を参照すると、比較例7のように第1バインダ100および第2バインダ200のガラス転移温度が過度に大きい場合、工程温度で第1バインダ100が繊維化されず、引張強度および初期放電容量が測定できないことを確認することができる。そのため、実施例1および実施例5のように、第1バインダ100および第2バインダ200がガラス転移温度を有する場合、第1バインダ100の固まる現象が効果的に防止されながらも優れた繊維化が行われ、引張強度および初期放電容量が全般的にすべて優れることを確認することができる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。