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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】追従走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20200101AFI20241216BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20241216BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20241216BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241216BHJP
   B60T 8/17 20060101ALN20241216BHJP
【FI】
B60W30/16
F02D29/02 301D
F02D29/02 311F
B60T7/12 F
G08G1/16 E
B60T8/17 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021020506
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123285
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山下 元裕
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260514(JP,A)
【文献】特開平06-087355(JP,A)
【文献】特開2000-310138(JP,A)
【文献】特開2001-310649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
F02D 29/00-29/06
G08G 1/00- 1/16
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車とその前方の先行車との実車間距離が目標車間距離に保持されるように、前記自車を加減速させることにより、前記自車を前記先行車に追従して走行させる追従走行制御装置であって、
前記自車の加減速を制御する加減速制御手段を備え、
前記加減速制御手段は、
前記実車間距離が前記目標車間距離よりも短くなった場合に、前記実車間距離と前記目標車間距離との差分距離と、前記自車と前記先行車との相対速度とに基づいて、前記自車の目標減速度を決定する目標減速度決定手段を備え、
前記加減速制御手段は、
前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が所定の閾値を超えたことを条件として、前記実車間距離を前記目標車間距離にするための本減速制御を行い、
前記目標減速度が前記所定の閾値を超える前において、前記実車間距離が前記目標車間距離を保つのに加速が不要になったときには、前記実車間距離を前記目標車間距離にするための前記本減速制御を行うときの減速度よりも小さい減速度にて事前減速制御を行いつつ、燃料の供給停止を禁止し、
前記加減速制御手段の前記事前減速制御は、ホイールシリンダに油圧を付与することで行う
ことを特徴とする追従走行制御装置。
【請求項2】
前記加減速制御手段は、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が前記自車の速度に応じて定められたエンジンブレーキ相当の減速度を超えたことを含む所定の解除条件が成立した場合に、前記燃料の供給停止の禁止を解除することを特徴とする請求項1に記載の追従走行制御装置。
【請求項3】
前記所定の解除条件は、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が前記エンジンブレーキ相当の減速度を超えてから所定時間が経過したこと、または、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が前記エンジンブレーキ相当の減速度を超えてからさらに前記目標減速度が増加したこと、であることを特徴とする請求項2に記載の追従走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車を先行車に追従して走行させる追従走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の車両には、自車を先行車に追従して走行させる機能、いわゆるアダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)機能が搭載されてきている。
【0003】
ACC機能による追従走行時には、自車の車速から自車と先行車との車間距離の目標が設定され、その目標車間距離を実際の車間距離から減算して車間距離偏差(=車間距離-目標車間距離)が求められる。また、自車と先行車との相対速度が求められる。そして、車間距離偏差および相対速度に応じた目標加減速度が設定され、自車が目標加速度で加減速するように、自車のエンジンの出力または摩擦ブレーキの制動力が制御される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-186097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなACC機能を備える車両において、例えば追従中に先行車の速度が低下した場合、目標加減速度(目標減速度)が増加するが、直ちにブレーキ制御が行われずに、目標減速度が予め定められた閾値にまで増加したタイミングでブレーキ系統に減速度要求がなされ、目標減速度に向けた自動ブレーキ制御が行われる。しかしながら、減速度要求がなされてからブレーキ液圧がブレーキが作用する液圧に上昇するまでにはタイムラグがあるため、想定よりも車間距離が縮まった状態で目標減速度に到達することになる。このため、運転者は自動ブレーキのタイミングを遅く感じてしまうおそれがある。
【0006】
また、目標減速度の閾値は、減速のつながりが悪くならないように、通常はエンジンブレーキ相当の減速度よりも大きな値が設定される。この場合、目標減速度が、減速度要求が行われる閾値に達して自動ブレーキが作動する前に、燃料供給が停止されることに起因する大きな減速度が発生する場合があり、必要以上の制動力により運転者が違和感を抱くおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した課題を鑑みてなされたものであり、先行車に所定の車間距離を保って追従する機能を有する車両において、自動ブレーキを作動させるときに、減速要求に応じた制動力となるまでの時間を短縮するとともに、当該制動力が発動する前の燃料供給カットによる不快な減速を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る追従走行制御装置は、自車とその前方の先行車との実車間距離が目標車間距離に保持されるように、前記自車を加減速させることにより、前記自車を前記先行車に追従して走行させる追従走行制御装置であって、前記自車の加減速を制御する加減速制御手段を備え、前記加減速制御手段は、前記実車間距離が前記目標車間距離よりも短くなった場合に、前記実車間距離と前記目標車間距離との差分距離と、前記自車と前記先行車との相対速度とに基づいて、前記自車の目標減速度を決定する目標減速度決定手段を備え、前記加減速制御手段は、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が所定の閾値を超えたことを条件として、前記実車間距離を前記目標車間距離にするための本減速制御を行い、前記目標減速度が前記所定の閾値を超える前において、前記実車間距離が前記目標車間距離を保つのに加速が不要になったときには、前記実車間距離を前記目標車間距離にするための前記本減速制御を行うときの減速度よりも小さい減速度にて事前減速制御を行いつつ、燃料の供給停止を禁止し、前記加減速制御手段の前記事前減速制御は、ホイールシリンダに油圧を付与することで行うことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
また、前記加減速制御手段は、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が前記自車の速度に応じて定められたエンジンブレーキ相当の減速度を超えたことを含む所定の解除条件が成立した場合に、前記燃料の供給停止の禁止を解除してもよい(請求項2)。
【0010】
また、前記所定の解除条件は、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が前記エンジンブレーキ相当の減速度を超えてから所定時間が経過したこと、または、前記目標減速度決定手段により決定された前記目標減速度が前記エンジンブレーキ相当の減速度を超えてからさらに前記目標減速度が増加したことであってもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、実車間距離を目標車間距離にするための減速制御(本制御)を行う前に、実車間距離を目標車間距離にするための減速制御を行うときの減速度よりも小さい減速度にて減速制御を行う。このようにすると、本制御の前にホイールシリンダ圧が与圧されるため、本制御において目標減速度への減速要求を行ってから、実際の減速度が目標減速度となるまでの時間を短縮できる。また、目標減速度が所定の閾値を超える前において、実車間距離が目標車間距離を保つのに加速が不要になったときには、本制御のときよりも小さな減速度にて減速制御(事前制御)を行うが、このとき燃料の供給停止を禁止する。すなわち、一般的に当該減速制御を行う際には燃料の供給停止を行なうところ、本発明では当該減速制を行なう際には燃料供給のカットが行われないようにする。この場合、加速が不要になったときに実行され得る燃料供給の停止に起因する一時的な大きな減速度(当該減速制御による減速度とエンジンブレーキによる減速度との重なり)が発生するのを防止でき、本減速制御の前に燃料供給がカットされた場合に生じる不快な減速を防止できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、燃料供給の停止に起因して発生する一時的な大きな減速度を、事前制御の減速度よりも大きな減速度となる本制御中に発動させることで、燃料供給がカットされた場合に生じる不快な減速を和らげることができる。また、燃料の供給停止の禁止を解除することにより、燃費の向上を図ることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、エンジンブレーキによる減速のショックを和らげる効果がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る追従走行制御装置が搭載された車両の要部の構成を示すブロック図である。
図2】事前減速制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3】本減速制御処理の流れを示すフローチャートである。
図4】燃料カット禁止解除処理の流れを示すフローチャートである。
図5】従来の減速制御の流れを示すタイムチャートである。
図6】本発明の減速制御の流れを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
<車両の電気的構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る追従走行制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示すブロック図である。
【0017】
車両1は、エンジンを駆動源とする自動車である。エンジンの動力は、変速機を介して、左右の駆動輪に伝達される。変速機は、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であってもよいし、有段式の自動変速機(AT:Automatic Transmission)であってもよいし、手動変速機(MT:Manual Transmission)であってもよい。
【0018】
エンジン2は、たとえば、ガソリンエンジンであり、スロットルボディ2a、燃料を吸入空気に噴射する燃料インジェクタ2bなどが設けられている。スロットルボディ2aは、燃料や空気を取り込み、エンジン2の燃料室に送る部品であり、エンジン2の燃焼室への吸入空気量を調整するための電子スロットルバルブ、電子スロットルバルブの開度を検知するスロットルポジションセンサ、停車などのアイドリング時の吸気量を調整するためのコントロールバルブなどを備えている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。
【0019】
車両1の車室内には、運転席の足下に、車両1の加減速のために操作されるアクセルペダルと、車両1の制動のために操作されるブレーキペダルとが設けられている。アクセルペダルおよびブレーキペダルは、運転席に着座した運転者の右足での足踏み操作が便利な位置に配置されている。
【0020】
また、車両1には、油圧ブレーキが搭載されている。油圧ブレーキは、ブレーキブースタ、マスタシリンダおよびブレーキアクチュエータ3を備えている。ブレーキペダルが踏まれると、そのブレーキペダルに入力された踏力がブレーキブースタに伝達される。ブレーキブースタに伝達された踏力は、ブレーキブースタの負圧によって増幅(倍力)され、ブレーキブースタからマスタシリンダに入力される。マスタシリンダでは、ブレーキブースタから入力される力に応じた油圧が発生する。マスタシリンダの発生油圧は、ブレーキアクチュエータ3に伝達される。そして、ブレーキアクチュエータ3の機能により、各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧(ブレーキ液圧)が分配され、その油圧により各ブレーキから駆動輪を含む車輪に制動力が付与される。
【0021】
また、ブレーキアクチュエータ3には、電動ポンプが内蔵されており、自動ブレーキの作動時には、電動ポンプがバッテリからの電力で駆動されて、電動ポンプで発生したブレーキ液圧が各ホイールシリンダに供給される。
【0022】
車両1には、マイコン(マイクロコントローラユニット)を含む構成の複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)4a,5,6が備えられている。マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。図1には、本発明に関連するECU4a,5,6のみ図示しているが、車両1には、各部を制御するため、ECU4a,5,6と同様の構成を有する複数のECUが搭載されている。ECU4a,5,6を含む複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
【0023】
フォワードレコグニションカメラ4(以下、FRカメラ4という場合もある)は、例えば、ステレオカメラである。ステレオカメラは、所定のフレームレートで静止画を連続して撮影可能なカメラであり、視差情報から撮影した画像中の物標の位置までの距離を検出可能である。ステレオカメラは、車両1の前方を広角で撮像可能なように、たとえば、車室内の前部中央のルームミラー背面側のフロントガラス面に設置されている。また、車両1には、外界を認識するユニットとして、ステレオカメラに加えて、レーダが設けられていてもよい。レーダは、車両1の前部に設置されており、車両1の前方の所定の探索範囲の状況を探知するためのセンサである。レーダは、探索範囲にレーダ波(ミリ波、レーザ)を照射し、探索範囲内に存在する物体からの反射波を受信して、その反射波に応じた検出信号を出力する。
【0024】
この実施形態では、FRカメラ4はカメラECU4aを備える。カメラECU4aは、FRカメラ4が撮影した画像に基づいて、先行車などの物標と車両1との相対速度や、先行車との目標車間距離、先行車に追従しているときの目標加減速度など、ACC機能を作動させるために必要なデータの算出などを行う。
【0025】
また、先行車と車両1との車間距離が目標車間距離より広がって加速が必要になった場合に、EFI/トランスミッションコントロールECU5にエンジン出力要求信号を送信する。EFI/トランスミッションコントロールECU5は、カメラECU4aからエンジン出力要求信号を受信した場合、当該信号に基づく加速度を実現すべく、スロットルボディ2aにスロットル制御信号を送信し、スロットル開度を制御するとともに、燃料インジェクタ2bに燃料噴射制御信号を送信し、燃料の噴射量を制御する。
【0026】
また、先行車と車両1との車間距離が目標車間距離よりも縮まって減速が必要になった場合に、VSC-ECU6に減速度要求信号を送信する。VSC-ECU6は、カメラECU4aから減速度要求信号を受信した場合、当該信号に基づく減速度を実現すべく、ブレーキアクチュエータ3にバルブ制御信号を送信し、ブレーキ液圧制御バルブ(図示せず)の開閉量を制御して四輪それぞれに設けられたブレーキ装置(図示せず)に付与するブレーキ液圧を調整する。ACC機能については後述する。
【0027】
EFI/トランスミッションコントロールECU5は、通常(ACC機能を作動させていない状態)はアクセルセンサ(図示せず)により検出されたアクセル操作量(アクセル開度)に応じた駆動トルクを出力するために、エンジンのスロットル開閉度を制御するとともに、燃料インジェクタ2bよる燃料の噴射量を制御する。一方、ACC機能が作動している場合は、上記したように、アクセル操作量によらず、エンジン出力要求信号に基づいて、当該信号に応じた加速度となるようにスロットル開度と燃料の噴射量を制御する。
【0028】
また、EFI/トランスミッションコントロールECU5は、トランスミッションの制御も行う。
【0029】
VSC-ECU6は、車両1の操縦安定性を向上させるために、例えば各車輪に設けられた車輪速センサなどの情報に基づいて横滑りなどの状況を検知した場合は、横滑りを防止すべく、EFI/トランスミッションコントロールECU5にエンジン出力調整を要求したり、ブレーキアクチュエータ3を制御する。
【0030】
また、VSC-ECU6は、ACC機能が作動している場合において、カメラECU4aからの減速度要求信号に基づいてブレーキアクチュエータ3の電動ポンプを作動させて、各ホイールシリンダに所定の油圧(減速度要求信号に応じた減速度となるブレーキ液圧)を付与する(自動ブレーキ)。
【0031】
車速センサ7は、たとえば、車両1の走行に伴って回転する磁性体からなるロータと、ロータと非接触に設けられた電磁ピックアップとを備え、ロータが一定角度回転する度に電磁ピックアップから出力されるパルス信号を出力する。このパルス信号の周波数は、車両1の実車速に対応している。VSC-ECU6では、車速センサ7から入力される信号の周波数が求められて、その周波数が車速に換算される。
【0032】
車両1には、走行支援機能として、アダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)機能が搭載されている。
【0033】
ACC機能は、車両1をその前方を先行する他の車両である先行車に追従して走行させる追従走行機能である。たとえば、ステアリングホイールには、ACC機能に関する操作スイッチ(図示せず)が設けられている。操作スイッチには、ACC機能をオン/オフするACCメインスイッチ、現在の車両1の車速を設定車速としてセットするセットスイッチ、車両1と先行車との車間距離の長短を切り替える設定車間切替スイッチ、ACC機能の作動を解除するキャンセルスイッチおよび前回の設定車速でACC機能を再作動させるレジュームスイッチが含まれる。
【0034】
ACCメインスイッチが押操作されると、ACC機能が作動する。その後、セットスイッチが押操作されると、現在の車両1の車速が設定車速にセットされる。設定車速は、レジュームスイッチまたはセットスイッチの押操作により変更可能である。すなわち、レジュームスイッチの押操作により、設定車速を上げることができ、セットスイッチの押操作により、設定車速を下げることができる。また、設定車間切替スイッチの押操作により、たとえば、車間距離を長めに設定するか、短めに設定するか、または、その中間に設定するかを切り替えることができる。
【0035】
設定車速がセットされると、各ECU4a,5,6により、車両1をその前方の先行車に追従して走行させるACC制御(追従走行制御)が開始される。ACC制御では、先行車の有無に応じて、スイッチ操作により設定された設定車速を上限車速とする先行車への追従走行と、その設定車速での定速走行とが自動的に切り替えられる。追従走行時には、車両1とその前方の先行車との車間距離が目標車間距離に保持されるように、車両1が加減速される。
【0036】
具体的には、車両1の車速から車両1と先行車との車間距離の目標が設定され、カメラECU4aにより、その目標車間距離と実際の車間距離との車間距離偏差(=実際の車間距離-目標車間距離)が求められる。また、カメラECU4aにより車両1と先行車との相対速度が求められる。そして、カメラECU4aにより車間距離偏差および相対速度に応じた車両1の目標加速度が設定される。ECU4aのマイコンに内蔵されている不揮発性メモリには、車間距離偏差および相対速度に対する目標加速度の特性(関係)がマップの形態で目標加速度マップとして記憶されている。目標加速度が設定されると、車両1がその目標加速度で加減速するように、エンジンの出力またはブレーキの制動力が制御される(自動加速、自動ブレーキ)。
【0037】
(従来の減速制御)
ここで、ACC機能を作動させている状態で先行車が減速や停止した場合など、車両1に減速が必要となった場合における、従来の減速制御について図5を参照して説明する。なお、目標加速度が正の値から負の値に変化して、目標加速度が名目上、目標減速度に変化した場合であっても直ちに目標減速度に向けた減速制御が行われる訳ではなく、目標減速度が所定の閾値(Ta)に達したときに、当該目標減速度に向けた減速制御が行われるものとする。以下では、目標加速度が正の値から負の値に転じ、目標減速度(負の加速度)がTbになった場合を例とした減速制御について説明する。
【0038】
カメラECU4aは、車間距離偏差と先行車との相対速度に基づいて周期的に目標加速度(目標加速度、目標減速度)を設定している。ここで、車両1が、目標減速度(目標加速度)が所定値で先行車に追従している状態(図5の時刻t1)で先行車の停止や減速したことにより、目標加速度が小さくなると、それに応じてスロットル開度が小さくなるように制御される。その後、カメラECU4aによる設定された目標加速度が0m/sになるタイミングが生じる(時刻t2)。このとき、スロットル開度が0に制御される。
【0039】
時刻t2から所定の燃料カット作動条件が成立した場合(時刻t3)、カメラECU4aは燃料カット作動フラグをONに設定する。燃料カット作動フラグのON設定に関する情報は、CAN通信を介してEFI/トランスミッションコントロールECU5に送信され、これを受信したEFI/トランスミッションコントロールECU5は、燃料噴射の中止制御を行う(図5(c)参照)。所定の燃料カット作動条件が成立する状態とは、例えば、車両1が加速を必要とせず惰性で走る状態になった場合など、必要とされる駆動力が0になった状態である。
【0040】
スロットル開度を小さくすると、車両1には、いわゆるエンジンブレーキに基づく減速度が発生する。なお、時刻t3では、燃料カットに起因して一時的に大きな減速度が発生する(図5(d))。
【0041】
時刻t3から目標減速度がさらに大きくなり(目標加速度の負の値がさらに大きくなり)、目標減速度閾値Taに達すると(時刻t4)、カメラECU4aは、減速度要求フラグをONに設定する(図5(b))。減速度要求フラグのON設定に関する情報は、CAN通信を介してVSC-ECU6に送信され、これを受信したVSC-ECU6は、カメラECU4aが決定した目標減速度になるようにブレーキアクチュエータ3を制御する(減速制御)。
【0042】
このとき、時刻t4での目標減速度はTaであるが、その後に目標減速度が変化した場合、VSC-ECU6は、変化後の減速度になるように減速制御を行う。例えば、図6(a)において、時刻t7では目標減速度Tbであるため、VSC-ECU6は、時刻t7では減速度がTbになるように減速制御を行う。
【0043】
なお、VSC-ECU6がブレーキアクチュエータ3に制御信号を送信してから実際にブレーキが効き始めるまでにはタイムラグ(図5(e)のガタ詰めにかかる時間)がある。ブレーキ装置は、ブレーキ液圧が所定値以上なければブレーキが作用しないようになっており、このタイムラグはブレーキ液圧が当該所定値になるまでにかかる時間である。
【0044】
したがって、時刻t4でVSC-ECU6が減速制御を開始しても、実際にブレーキ効き始めるのは時刻t6となり、実際の減速度がカメラECU4aにより設定された目標減速度Tbになるのは時刻t8となる(図5(f))。
【0045】
(本発明の減速制御)
本発明の減速制御について図6を参照して説明する。なお、本発明においても、目標加速度が正の値から負の値に変化して、目標加速度が名目上、目標減速度に変化した場合であっても直ちに目標減速度に向けた減速制御が行われる訳ではなく、目標減速度が所定の閾値(Ta)に達したときに、当該目標減速度に向けた減速制御が行われるものとする。以下では、目標加速度が正の値から負の値に転じて目標減速度になって、目標減速度がTbになった場合を例とした減速制御について説明する。
【0046】
カメラECU4aは、車間距離偏差と先行車との相対速度に基づいて周期的に目標加速度(目標加速度、目標減速度)を設定している。ここで、車両1が、目標減速度(目標加速度)が所定値で先行車に追従している状態(図6の時刻t1)で先行車の停止や減速したことにより、目標加速度が小さくなると、それに応じてスロットル開度が小さくなるように制御される。その後、カメラECU4aによる設定された目標加速度が0m/sになるタイミングが生じる(図6の時刻t2)。このとき、スロットル開度が0に制御される。
【0047】
また、カメラECU4aは、時刻t2で目標加速度が0m/sになると、減速度要求フラグをONに設定する(図6(b))。減速度要求フラグのON設定に関する情報は、CAN通信を介してVSC-ECU6に送信され、これを受信したVSC-ECU6は、所定の減速度になるようにブレーキアクチュエータ3を制御する(事前減速制御)。なお、所定の減速度については、カメラECU4aのメモリに車両1に車速に応じてマップとして記憶されており、当該マップに基づいてVSC-ECU6に減速度要求がなされる。このときの減速度は、後述する目標減速度が閾値Taになったときに要求される減速度よりも小さい値であって、エンジンブレーキ相当の減速度がマップに設定されている。
【0048】
さらに時刻t2において、カメラECU4aは、燃料カット禁止要求フラグをONに設定する(図6(d))。燃料カット禁止要求フラグのON設定に関する情報は、CAN通信を介してEFI/トランスミッションコントロールECU5に送信され、これを受信したEFI/トランスミッションコントロールECU5は、時刻t2のあとに燃料カット作動条件が成立しても燃料噴射のカットを禁止する。
【0049】
なお、図5を参照して説明した従来の減速制御と同様に、VSC-ECU6がブレーキアクチュエータ3に制御信号を送信してから実際にブレーキが効き始めるまでにはタイムラグ(図6(f)のガタ詰めにかかる時間)がある。ブレーキ装置は、ブレーキ液圧が所定値以上なければブレーキが作用しないようになっており、このタイムラグはブレーキ液圧が当該所定値になるまでにかかる時間である。
【0050】
したがって、時刻t4でVSC-ECU6が減速制御を開始しても、実際にブレーキ効き始めるのは時刻t3aとなり、実際の減速度がエンジンブレーキ相当の値になるのは時刻t3bとなる(図6(f)、図6(g))。
【0051】
なお、燃料カット禁止要求フラグがONに設定されているため、時刻t2で目標加速度(目標減速度)が0m/sになったあと、所定の燃料カット作動条件が成立した場合であっても、EFI/トランスミッションコントロールECU5は、燃料噴射を中止しない。したがって、VSC-ECU6によりエンジンブレーキ相当の減速度に制御されるまでの間に、燃料カットに起因した一時的な大きな減速度が発生しない。
【0052】
時刻t3bから目標減速度がさらに大きくなり(目標加速度の負の値がさらに大きくなり)、目標減速度閾値Taに達すると(時刻t4)、カメラECU4aは、再度、減速度要求を行う。目標減速度の閾値Taについては、減速のつながりが悪くならないようにエンジンブレーキ相当の減速度(時刻t2で要求したエンジンブレーキ相当の減速度)よりも大きい値に設定されている。当該減速度要求に関する情報は、CAN通信を介してVSC-ECU6に送信され、これを受信したVSC-ECU6は、カメラECU4aが決定した目標減速度になるようにブレーキアクチュエータ3を制御する(本減速制御)。
【0053】
このとき、時刻t4での目標減速度はTaであるが、その後に目標減速度が変化した場合、VSC-ECU6は、変化後の減速度になるように減速制御を行う。例えば、図6(a)において、時刻t7では目標減速度Tbであるため、VSC-ECU6は、時刻t7では減速度がTbになるように減速制御を行う。
【0054】
なお、本減速制御が行われる前まで、事前減速制御は継続している。すなわち、目標減速度がTaになるまでエンジンブレーキ相当の減速制御は継続している。そのため、本減速制御の前にブレーキ液圧が与圧された状態となり、従来の減速制御であったような、VSC-ECU6がブレーキアクチュエータ3に制御信号を送信してから実際にブレーキが効き始めるまでのタイムラグは発生しない。
【0055】
したがって、VSC-ECU6が減速制御(本減速制御)を開始したタイミングと、実際にブレーキ効き始めるタイミングとが略同じ時刻t4となり、実際の減速度がカメラECU4aにより設定された目標減速度Tbになるのは時刻t7となる(図6(g))。つまり、本発明では、VSC-ECU6が減速制御(本減速制御)を開始してから実際の減速度が目標減速度になるまでにかかる時間(時刻t4→時刻t7)は、従来の減速制御において、VSC-ECU6が減速制御(本減速制御)を開始してから実際の減速度が目標減速度になるまでにかかる時間(時刻t4→時刻t8)と比較してブレーキのガタ詰めの時間がない分短くなる。したがって、想定よりも車間距離が縮まった状態で目標減速度に到達するという問題が生じにくい。
【0056】
また、時刻t2以降は、エンジンの駆動力が必要ない状態となっており、燃料カット作動条件が成立しているが、燃料カット禁止解除条件が成立するまでは、燃料カット禁止要求フラグがONに設定されるため、燃料カットが行われない。
【0057】
例えば、燃料カット禁止解除条件が時刻t5で成立した場合、カメラECU4aは、燃料カット禁止要求フラグをOFFに設定するとともに(図6(d))、燃料カット作動フラグをONに設定する(図6(c))。
【0058】
燃料カット禁止要求フラグのOFF設定に関する情報、および、燃料カット作動フラグのON設定に関する情報は、CAN通信を介してEFI/トランスミッションコントロールECU5に送信され、これを受信したEFI/トランスミッションコントロールECU5は、時刻t5において燃料噴射を中止する。したがって、時刻t5では、燃料カットに起因した一時的な大きな減速度が発生する(図6(e))。
【0059】
ただし、一時的な大きな減速度は、従来の減速制御のように実際の減速度が比較的小さいタイミングではなく、エンジンブレーキ相当の減速度よりも大きな減速度となる本減速制御中に発生する(図6(e)、図6(f))。したがって、燃料カットに起因する一時的な大きな減速度による不快感を強めの減速中(本減速制御中)に発生させて分かりにくくすることができる。
【0060】
なお、燃料カット禁止解除条件は、例えば、目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を上回ったあとに予め設定された所定の時間を経過することとしてもよいし、目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を上回ったあとに、カメラECU4aにより設定される目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度よりも大きい減速度となることとしてもよい。このときの所定の時間については、目標減速度がエンジンブレーキ相当の値よりも十分に大きくなることを確保する時間であり、予めカメラECU4aのメモリなどに記憶されている。なお、燃料カット禁止解除条件については、目標減速度が目標減速度の閾値Taを超えたあとに予め設定された所定の時間を経過することとしてもよいし、目標減速度が閾値Taに到達してからカメラECU4aにより設定される目標減速度が閾値Taよりも大きい減速度となることとしてもよい。
【0061】
(事前減速制御処理)
本発明の事前減速制御処理の流れについて、図2を参照して説明する。
【0062】
先行車と追従中において、カメラECU4aは、車間距離偏差および相対速度に基づいて周期的(50ms)に目標減速度を決定している。そして、先行車が減速したり停止したりして加速が不要になったか否かを判定する。すなわち、カメラECU4aは、周期的に決定する目標減速度が0になったか否かを判定する(ステップS1)。
【0063】
目標減速度が0になったと判定されるまではステップS1の処理を繰り返す(ステップS1でNO)。ステップS1で目標減速度が0になったと判定した場合、カメラECU4aは、減速度要求フラグをONに設定して、VSC-ECU6にエンジンブレーキ相当の減速度になるように要求する(ステップS2)。
【0064】
減速度要求を行った後、カメラECU4aは、燃料カット禁止要求フラグをONに設定して、EFI/トランスミッションコントロールECU5に燃料カットの作動の禁止要求を行い(ステップS3)、当該処理を終了する。これにより、減速度要求(事前減速の要求)があった後に所定の燃料カット作動条件が成立しても、燃料カットが禁止される。
【0065】
(本減速制御処理)
本発明の本減速制御処理の流れについて、図3を参照して説明する。
【0066】
カメラECU4aは、周期的に決定する目標減速度が閾値Ta以上になったか否かを判定する(ステップS20)。目標減速度がTaになるまでは、閾値TaになるまでステップS20の処理を繰り返す(ステップS20でNO)。つまり、先行車との車間距離が縮まってきている状況であっても、目標減速度が閾値Taになるまでは、実際の車間距離を目標車間距離にするための減速制御は行わない。
【0067】
そして、周期的に決定する目標減速度が閾値Ta以上になった場合(ステップS20でYES)、カメラECU4aは、再度の減速度要求をVSC-ECU6に行って(ステップS21)、当該処理を終了する。なお、閾値Taはエンジンブレーキ相当の減速度よりも大きな値が設定されており、本減速制御にかかる減速度はエンジンブレーキ相当の減速度よりも大きな値となる。
【0068】
(燃料カット禁止解除処理)
本発明の燃料カット禁止解除処理の流れについて、図4を参照して説明する。
【0069】
カメラECU4aは、周期的に決定する目標減速度が車両1のエンジンブレーキ相当の減速度を上回ったか否かを判定する(ステップS31)。なお、エンジンブレーキ相当の減速度については、車両1の車速に応じてマップとして記憶されている。
【0070】
次に、カメラECU4aは、目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を上回っていない場合(ステップS31でNO)、上回るまでステップS31の処理を繰り返す。
【0071】
目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を上回った場合(ステップS31でYES)、カメラECU4aは、一定時間経過したか、あるいは、目標減速度がさらに増加したか否かを判定する(ステップS32)。
【0072】
目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を上回ったあと、一定時間経過するか、目標減速度がさらに増加するまではステップS32の処理を繰り返す(ステップS32でNO)。
【0073】
目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を上回ったあと、一定時間経過したか、あるいは、目標減速度がさらに増加した場合(ステップS32でYES)、カメラECU4aは、燃料カット禁止要求フラグをOFFに設定し(ステップS33)、当該処理を終了する。なお、当該フラグのOFF設定に関する情報を受信したEFI/トランスミッションコントロールECU5は、燃料カット作動条件が成立した場合は燃料噴射の中止制御を行う。
【0074】
<作用効果>
したがって、上記した実施形態によれば、先行車との実車間距離を目標車間距離にするための減速制御(本減速制御)を行う前に、本減速制御の減速度よりも小さい減速度(エンジンブレーキ相当の減速度)で減速制御を行う。このようにすると、本減速制御の前にホイールシリンダに与圧できるため、本減速制御においてカメラECU4aが目標減速度にするための減速度要求をVSC-ECU6に行ってから実際の減速度が目標減速度になるまでの時間を短縮することができる。
【0075】
また、本減速制御の前にホイールシリンダに与圧しない構成の場合、VSC-ECU6がブレーキアクチュエータ3を制御し始めてから実際のブレーキ液圧がブレーキを発生させるために必要な液圧になるまでは、制動力が発生しない。この場合、VSC-ECU6がブレーキアクチュエータ3の制御を開始してから実際の減速度が目標減速度になるまでの時間が想定よりも長くなることから、想定よりも車間距離が縮まった状態で目標減速度に到達することになり、運転者は制動のタイミングが遅く感じるおそれがある。一方、この実施形態では、本減速制御の前にホイールシリンダに与圧しておくことで、実際の車間距離が縮まった状態で目標減速度に到達するのを防止できるため、運転者が制動のタイミングを遅く感じる違和感を防止できる。
【0076】
また、本減速制御の前にブレーキ液圧の与圧を行わない構成で、VSC-ECU6がブレーキアクチュエータ3を制御し始めてから実際のブレーキ液圧がブレーキを発生させるために必要な液圧になるまでの時間を短くする方法として、ブレーキアクチュエータ3の電動ポンプのモータ容量を大きくしてホイールシリンダ圧を高速に昇圧する方法があるが、高価なモータが必要となる。この点、この実施形態では、高価なモータを用いる必要がない。
【0077】
また、本減速制御の前に事前減速制御を行うため、本減速制御の前に微妙な減速度の調整が可能になる。特に、従来の減速制御の場合に生じる本減速制御の前のエンジンブレーキでは減速しすぎてしまう場合に、エンジンブレーキ相当の減速度よりも小さい減速度に調整することができる。
【0078】
また、目標減速度が所定の閾値Taを超える前において、先行車との実車間距離が目標車間距離を保つのに加速が不要になったとき(目標減速度(目標加速度)=0m/s)には、エンジンブレーキ相当の減速度にて減速制御(事前減速制御)を行うが、このとき燃料の供給停止を禁止する。この場合、加速が不要になったときに実行され得る燃料供給の停止に起因する一時的な大きな減速度が発生するのを防止できるため、本減速制御の前に燃料供給がカットされた場合に生じる不快な減速を軽減できる。
【0079】
また、燃料供給の停止の禁止は、目標減速度がエンジンブレーキ相当の減速度を超えてから所定時間が経過するか、あるいは、エンジンブレーキ相当の減速度を超えてから目標減速度がさらに増加したときに解除される。このようにすると、燃料供給の停止に起因して発生する一時的な大きな減速度を、事前減速制御の減速度よりも大きな減速度となる本減速制御中に発動させることができ、燃料供給がカットされた場合に生じる不快な減速を和らげることができる。また、燃料供給のカットの禁止を解除することで燃費の向上を図ることができる。
【0080】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、上記した実施形態は、ガソリン車に限らず、電気自動車、ハイブリッド車、自動運転車にも適用することができる。
【0082】
また、この実施形態では、カメラECU4aがフォワードレコグニションカメラ4に備える構成について説明したが、カメラECU4aとフォワードレコグニションカメラ4(例えばステレオカメラ)とが別体で設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1:車両(自車)
4a:カメラECU(加減速制御手段、目標減速度決定手段)
5:EFI/トランスミッションコントロールECU(加減速制御手段)
6:VSC-ECU(加減速制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6