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  • 特許-施設提案装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】施設提案装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241216BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241216BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G06Q50/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021035438
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135550
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】藤原 学
(72)【発明者】
【氏名】坂本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】岩本 太郎
(72)【発明者】
【氏名】村本 政忠
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075971(JP,A)
【文献】特開2020-169956(JP,A)
【文献】特開2001-349739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングで施設に関する関連情報を出力する関連情報出力手段と、
前記関連情報の出力に対する利用者の反応を検出する反応検出手段と、
前記反応検出手段により検出された利用者の反応に基づいて、施設の推奨情報を作成する推奨情報作成手段と、
前記推奨情報を利用者に提案する推奨情報提案手段と、
を備え、前記反応検出手段による検出の対象となる利用者の反応は、利用者の快/不快の感情であり、
前記関連情報出力手段は、タイミングをずらして複数の前記関連情報を出力し、
前記推奨情報作成手段は、利用者が快の感情を示した前記関連情報に対応する施設の推奨情報を作成するものであって、複数の前記関連情報のそれぞれに対して前記反応検出手段によって検出された利用者の反応の中で、利用者が感じる快の程度が最も大きい前記関連情報に対応する施設の推奨情報を作成することを特徴とする施設提案装置。
【請求項2】
前記関連情報は、施設に関連する香り、音、映像のいずれか一つあるいは2つ以上の組合わせであることを特徴とする請求項1に記載の施設提案装置。
【請求項3】
利用者の顔を撮像するカメラをさらに備え、
前記反応検出手段は、前記カメラによって撮像された利用者の表情に基づいて利用者の反応を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の施設提案装置。
【請求項4】
利用者の音声を集音するマイクロホンをさらに備え、
前記反応検出手段は、前記マイクロホンで集音された利用者が発する音声に基づいて利用者の反応を検出することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の施設提案装置。
【請求項5】
前記関連情報出力手段は、タイミングをずらして複数の前記関連情報を出力し、
前記推奨情報作成手段は、これら複数の前記関連情報のそれぞれに対して前記反応検出手段によって検出された利用者の反応に基づいて、施設の推奨情報を作成することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の施設提案装置。
【請求項6】
前記所定のタイミングは、走行中の自車位置が、前記関連情報に対応する施設に所定のしきい値を超えて接近したときであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の施設提案装置。
【請求項7】
前記所定のタイミングは、所定の時刻に達したときであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の施設提案装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に利用施設を提案する施設提案装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示画面内に目的地または通過地点が入った場合、場所-香りの対応関係テーブルを参照し、その目的地または通過地点を示す場所ジャンルに対応して設定されている香り番号に該当する香りを放出させることにより、車両運転者が、表示画面内に入っている目的地または通過地点に対応する香りを嗅覚によって認識することができるようにした車載用案内装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-349739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された車載用案内装置では、目的地等の場所に関連付けて香りを発生させているだけである。一方で、従来から利用者が指定したジャンルに属する施設を表示することが行われているが、上述した香りの発生を組み合わせた手法は今までなかった。また、予め利用者自身がジャンルを指定する場合にはそのための操作が必要になり、特に運転の合間に操作を行おうとすると、走行中は操作が制限されることもあり、操作が煩雑になるという問題があった。そのため、煩雑な操作を行うことなく、利用者の意思を反映して施設の推奨情報を得ることができる手法が望まれている。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、煩雑な操作を行うことなく施設の推奨情報を提案することができる施設提案装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の施設提案装置は、所定のタイミングで施設に関する関連情報を出力する関連情報出力手段と、関連情報の出力に対する利用者の反応を検出する反応検出手段と、反応検出手段により検出された利用者の反応に基づいて、施設の推奨情報を作成する推奨情報作成手段と、推奨情報を利用者に提案する推奨情報提案手段とを備え、反応検出手段による検出の対象となる利用者の反応は、利用者の快/不快の感情であり、関連情報出力手段は、タイミングをずらして複数の関連情報を出力し、推奨情報作成手段は、利用者が快の感情を示した関連情報に対応する施設の推奨情報を作成するものであって、複数の関連情報のそれぞれに対して反応検出手段によって検出された利用者の反応の中で、利用者が感じる快の程度が最も大きい関連情報に対応する施設の推奨情報を作成している。
【0007】
施設の関連情報を出力したときの利用者の反応を検出して施設の推奨情報を作成しているため、利用者自身は煩雑な操作を行うことなく、施設の推奨情報を作成し、利用者に対して提案することが可能となる。
【0008】
また、上述した関連情報は、施設に関連する香り、音、映像のいずれか一つあるいは2つ以上の組合わせであることが望ましい。また、上述したように、反応検出手段による検出の対象となる利用者の反応は、利用者の快/不快の感情であり、推奨情報作成手段は、利用者が快の感情を示した関連情報に対応する施設の推奨情報を作成している。施設を連想させる香り、音、映像を用いることにより、その時点における利用者の反応によって、利用者がその施設に対してどのような感情を抱くかを予想することができるため、利用者が欲する施設の推奨情報を提供することが可能となる。
【0009】
また、利用者の顔を撮像するカメラをさらに備え、反応検出手段は、カメラによって撮像された利用者の表情に基づいて利用者の反応を検出することが望ましい。カメラで利用者の表情を撮像することにより、眼や口の周りの表情筋の動きに基づいて、利用者が関連情報の出力に対してどのように思っているかを知ることができる。
【0010】
また、利用者の音声を集音するマイクロホンをさらに備え、反応検出手段は、マイクロホンで集音された利用者が発する音声に基づいて利用者の反応を検出することが望ましい。関連情報の出力時に利用者が口にした内容(音声)を集音することにより、利用者が関連情報の出力に対してどのように思っているかを知ることができる。
【0011】
また、上述したように、関連情報出力手段は、タイミングをずらして複数の関連情報を出力し、推奨情報作成手段は、これら複数の関連情報のそれぞれに対して反応検出手段によって検出された利用者の反応に基づいて、施設の推奨情報を作成している。特に、上述した関連情報出力手段は、タイミングをずらして複数の関連情報を出力し、推奨情報作成手段は、これら複数の関連情報のそれぞれに対して反応検出手段によって検出された利用者の反応の中で、利用者が感じる快の程度が最も大きい関連情報に対応する施設の推奨情報を作成することが望ましい。これにより、複数の施設について、利用者が推奨情報の作成を最も希望する施設を推測することが可能となる。
【0012】
また、上述した所定のタイミングは、走行中の自車位置が、関連情報に対応する施設に所定のしきい値を超えて接近したときであることが望ましい。これにより、近くにある施設に関する推奨情報を、利用者が欲する場合に限って提案することが可能となる。
【0013】
また、上述した所定のタイミングは、所定の時刻に達したときであることが望ましい。これにより、利用時間が限られる施設(例えば、昼食や夕食の時間帯)に関する推奨情報を、利用者が欲する場合に限って提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態の車載装置の構成を示す図である。
図2】施設提案動作プログラムをCPUによって実行することで動作する施設提案処理部の機能ブロックを示す図である。
図3】所定のタイミングで施設に関する関連情報を出力し、そのときの利用者の反応をみてさらに施設の推奨情報を出力する動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の施設提案装置を適用した一実施形態の車載装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一実施形態の車載装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車載装置は、ヘッドユニット1やスピーカ4、マイクロホン5、カメラ100、香り発生装置110を含んでいる。
【0017】
本実施形態の車載装置では、一般的なナビゲーション動作を行う動作と並行して、所定のタイミングで施設に関する関連情報を出力し、そのときの利用者(運転者)の反応を検出し、この反応が良好な場合にこの施設に対応する推奨情報を作成して出力する動作(施設提案動作)を行う。
【0018】
ヘッドユニット1は、例えばダッシュボードの中央位置に設置されており、ナビゲーション処理部10、操作部20、入力制御部26、表示処理部30、表示装置32、デジタル-アナログ変換器(D/A)40、アナログ/デジタル変換器(A/D)42、CPU50、メモリ60、入出力インタフェース部(I/O IF)80を備えている。
【0019】
ナビゲーション処理部10は、メモリ60に記憶されている地図データを用いてヘッドユニット1が搭載された車両の走行を案内するナビゲーション動作を行う。このナビゲーション動作には、GPS装置12を用いた自車位置検出や、自車位置周辺の地図表示、目的地までの走行経路を計算する経路探索、計算した走行経路に沿って目的地までの走行を案内する経路誘導、利用者の操作に基づく施設検索などの各動作が含まれる。
【0020】
操作部20は、ヘッドユニット1に対する利用者による操作を受け付けるためのものであり、表示装置32の周囲に配置された各種の操作キー、操作スイッチ、操作つまみ等を含んで構成されている。また、表示装置32に各種の操作画面や入力画面が表示された時点で、これらの操作画面や入力画面の一部を利用者が指などで直接指し示すことにより、操作画面や入力画面の表示項目を選択することができるようになっており、このような操作画面や入力画面を用いた操作を可能とするために、指し示された指などの位置を検出するタッチパネルが操作部20の一部として備わっている。なお、タッチパネルを用いる代わりに、リモートコントロールユニット等を用いて操作画面や入力画面の一部を利用者の指示に応じて選択するようにしてもよい。入力制御部26は、操作部20を監視しており、その操作内容を決定する。
【0021】
表示処理部30は、各種の操作画面や入力画面等を表示する映像信号を出力して表示装置32にこれらの画面を表示するとともに、ナビゲーション処理部10による処理内容や操作画面を表示したり、施設に関する関連情報や推奨情報を表示する。表示装置32は、運転席と助手席の中央前方に設置されており、例えば液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0022】
デジタル-アナログ変換器40は、ナビゲーション処理部10などの処理によって生成される音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカ4から車室内に向けて出力する。なお、実際には、デジタル-アナログ変換器40とスピーカ4の間には信号を増幅する増幅器が接続されているが、図1ではこの増幅器は省略されている。
【0023】
アナログ-デジタル変換器42は、マイクロホン5によって集音されて出力される利用者の発話音声(アナログの音声信号)をデジタルの発話データに変換する。
【0024】
CPU50は、メモリ60に格納された所定のプログラムを実行することにより、ヘッドユニット1の全体を制御するとともに、関連情報の出力や推奨情報の出力などの施設提案動作を行う。施設提案動作の具体的な内容については後述する。
【0025】
メモリ60は、CPU50の動作プログラムを格納するとともに、CPU50の動作に必要な各種データを格納する作業領域として用いられる。CPU50によって実行される動作プログラムには、ヘッドユニット1が施設提案動作を行うための施設提案動作プログラムが含まれている。メモリ60は、例えば、ROMやRAM等の半導体メモリによって構成されており、これら以外にハードディスク装置などを含むようにしてもよい。
【0026】
入出力インタフェース部80は、各種の入出力機器との間で信号(データ)の入出力処理を行う。本実施形態では、信号の処理対象となる入出力機器として、カメラ100と香り発生装置110などが接続されている。
【0027】
カメラ100は、主に車室内の利用者(運転者)を撮像するためのものであり、運転者の前方に設定されている。香り発生装置110は、主に利用者に向けて香りを発生させる。この香りは、最終的に施設の推奨情報の提案の有無を判定するためのものであって、利用者が利用を希望する施設を選択するために用いられる。例えば、昼食時あるいは夕食時に特定の料理の香りを発生させる場合などを想定している。具体的には、代表的な料理の香り成分を噴霧したり、複数の料理の香りを再現するために必要な複数種類の香り成分を適宜組み合わせて噴霧する場合などが考えられる。
【0028】
図2は、施設提案動作プログラムをCPU50によって実行することで動作する施設提案処理部の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、施設提案処理部50Aは、嗜好情報収集部51、出力タイミング判定部52、関連情報出力処理部53、反応検出部54、推奨情報作成部55、推奨情報提案部56を含んで構成されている。
【0029】
嗜好情報収集部51は、利用者の施設利用に関する嗜好情報を収集する。例えば、昼食時、夕食時、それ以外の時間帯のそれぞれにおいて利用頻度が高い飲食店のジャンルやチェーン店名、あるいは、食事以外でよく利用する施設のジャンルなどの情報が嗜好情報として収集される。これらの施設やジャンルの特定は、例えば、ナビゲーション処理部10を用いて行われる施設検索の情報を用いたり、実際に過去に利用したことがある施設の情報を用いたりすることが考えられる。
【0030】
出力タイミング判定部52は、提案対象として候補施設を連想すると思われる施設の関連情報の出力タイミングを判定する。具体的には、走行中の自車位置が候補施設に所定のしきい値を超えて接近したとき(例えば、1km以内になったとき)や、所定の時刻に達したとき(例えば、午前11時を過ぎたとき)、あるいはこれらを組み合わせる場合などが考えられる。
【0031】
関連情報出力処理部53は、出力タイミング判定部52によって判定された出力タイミングにおいて、利用者の嗜好に合った施設の関連情報を出力する。この関連情報には、香り、音、映像のいずれか一つあるいは2つ以上の組み合わせが含まれる。例えば、利用者が昼食時にカレー専門店をよく利用する場合には、カレーの香辛料の香りを関連情報として出力したり、この香りの出力と並行してカレーの映像を関連情報として作成して表示装置32に表示する場合が考えられる。同様に、利用者が夕食時に焼き肉店をよく利用する場合には、焼き肉を焼いているときに出る香りや音、焼き肉を焼いている映像などを関連情報として用いる場合が考えられる。
【0032】
特定の香りの発生は、関連情報出力処理部53から香り発生装置110に対して香りの出力を指示することにより行われる。また、特定の音の出力は、関連情報出力処理部53によって生成した音データ(例えば、焼き肉を焼いているときの音データ等が予め作成され、メモリ60に格納されているものとする)をデジタル-アナログ変換器40を通してスピーカ4から出力することにより行われる。さらに、特定の映像の表示は、関連情報出力処理部53によって生成した画像データ(例えば、焼き肉を焼いている様子を示す画像データ等が予め作成され、メモリ60に格納されているものとする)を表示処理部30を通して表示装置32で表示することにより行われる。
【0033】
反応検出部54は、関連情報出力処理部53によって関連情報が出力されたときに、この出力に対応する利用者の反応を検出する。利用者の反応として、利用者の快/不快の感情が検出される。この検出は、関連情報が出力された際の利用者の表情と利用者の発する音声の少なくとも一方に基づいて行われる。利用者の表情として、カメラ100による撮像によって得られた利用者の顔画像、特に、口と眼の周囲の表情筋の動きを観察することにより、その時点における利用者の感情が快状態にあるのか不快状態にあるのかを判別することができる。また、利用者が発してマイクロホン5で集音される音声に、積極的に関連情報に対して同意を示す音声(例えば、「いいね」や「××が食べたい」など)が含まれている場合には、利用者が快状態にあると判別することができる。
【0034】
推奨情報作成部55は、反応検出部54によって利用者の快状態が検出されたときに、この快状態の検出対象となった施設に関する推奨情報を作成する。例えば、カレーの香りや映像の出力に対して利用者の快状態を検出した場合を想定すると、自車位置周辺のカレー専門店を検索してその店舗の紹介を含む推奨情報を作成する。具体的には、この推奨情報には、店舗名や自車位置からの距離、駐車場の有無などの情報を示す画像データや音声データが含まれている。
【0035】
推奨情報提案部56は、推奨情報として画像データを用いて推奨情報を示す映像を表示装置32に表示するとともに、推奨情報としての音声データを用いて推奨情報を示す音声をスピーカ4から出力する。
【0036】
上述した関連情報出力処理部53、香り発生装置110、表示処理部30、表示装置32、デジタル-アナログ変換器40、スピーカ4が関連情報出力手段に、反応検出部54、カメラ100、マイクロホン5、アナログ-デジタル変換器42が反応検出手段に、推奨情報作成部55が推奨情報作成手段に、推奨情報提案部56、表示処理部30、表示装置32、デジタル-アナログ変換器40、スピーカ4が推奨情報提案手段にそれぞれ対応する。
【0037】
本実施形態の車載装置はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。
【0038】
図3は、所定のタイミングで施設に関する関連情報を出力し、そのときの利用者の反応をみてさらに施設の推奨情報を出力する動作手順を示す流れ図である。なお、嗜好情報収集部51による嗜好情報の収集動作は、この動作手順以前から並行して行われており、その内容が適宜更新されるものとする。
【0039】
自車両の走行時に出力タイミング判定部52は、関連情報の出力タイミングが到来したか否かを判定する(ステップ100)。出力タイミングでない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、出力タイミングが到来するとステップ100の判定において肯定判断が行われる。例えば、午前11時を過ぎた場合などに肯定判断が行われる。
【0040】
次に、関連情報出力処理部53は、関連情報を作成する1つの施設を特定する(ステップ102)。例えば、利用者の嗜好情報を考慮して、その時点で利用者が最も利用したいであろう施設や、その時点における自車位置に近い施設であって利用者の嗜好にあった施設などが特定される。
【0041】
次に、関連情報出力処理部53は、特定した施設の関連情報を作成する(ステップ104)。特定した施設を連想することができる関連情報(香り、音、映像の中の一つあるいは組合わせ)が作成される。また、関連情報出力処理部53は、この作成した関連情報を出力する(ステップ106)。
【0042】
次に、反応検出部54は、この出力された関連情報に対応する利用者の反応を検出する(ステップ108)。具体的には、利用者の表情や利用者が発する音声が検出される。また、反応検出部54は、この検出した利用者の表情や音声に基づいて、利用者が快感情を有するか否かを判定する(ステップ110)。例えば、出力された関連情報が利用者によって好ましいものである場合には、利用者が満足した表情を示すことが多く、表情筋の動きを観察することにより利用者の快感情を知ることができる。また、出力された関連情報が利用者によって好ましいものである場合には、利用者は肯定的な言葉を発することもあり、この発した言葉(音声)からも利用者の快感情を知ることができる。利用者が快感情を有しているとはいえない場合にはステップ110の判定において否定判断が行われる。この場合には、ステップ100に戻って関連情報の出力タイミング判定が繰り返される。
【0043】
また、利用者が快感情を有していると考えられる場合にはステップ110の判定において肯定判断が行われる。次に、推奨情報作成部55は、利用者の快感情の対象となった関連情報に対応する施設に関する推奨情報を作成する(ステップ112)。また、推奨情報提案部56は、この作成された推奨情報を表示や音声を用いて利用者に提案する(ステップ114)。その後、ステップ100に戻って関連情報の出力タイミング判定が繰り返される。
【0044】
このように、本実施形態の車載装置では、施設の関連情報を出力したときの利用者の反応を検出して施設の推奨情報を作成しているため、利用者自身は煩雑な操作を行うことなく、施設の推奨情報を作成し、利用者に対して提案することが可能となる。
【0045】
特に、施設を連想させる香り、音、映像を用いることにより、その時点における利用者の反応によって、利用者がその施設に対してどのような感情を抱くかを予想することができるため、利用者が欲する施設の推奨情報を提供することが可能となる。
【0046】
また、カメラ100で利用者の表情を撮像することにより、眼や口の周りの表情筋の動きに基づいて、利用者が関連情報の出力に対してどのように思っているかを知ることができる。
【0047】
また、関連情報の出力時に利用者が口にした内容(音声)をマイクロホン5で集音することにより、利用者が関連情報の出力に対してどのように思っているかを知ることができる。
【0048】
また、走行中の自車位置が、関連情報に対応する施設に所定のしきい値を超えて接近したときに関連情報を出力することにより、近くにある施設に関する推奨情報を、利用者が欲する場合に限って提案することが可能となる。あるいは、所定の時刻に達したときに関連情報を出力することにより、利用時間が限られる施設(例えば、昼食や夕食の時間帯)に関する推奨情報を、利用者が欲する場合に限って提案することが可能となる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、反応検出部54によって検出された利用者の感情として快と不快の2種類を判別したが、さらに多くの判別を行うようにしてもよい。例えば、快と不快をさらに以下に示すように細分化する場合が考えられる。また、細分化した場合には快の程度に応じて推奨情報の内容に差を設けることが望ましい。
【0050】
+4:極端に快(施設のアイコンを地図上に表示し、音声で知らせ、目的地設定を促す)
+3:非常に快(施設のアイコンを地図上に表示し、音声でも知らせる)
+2:快(施設のアイコンを地図上に表示)
+1:やや快(施設検索時に選択しやすくする、例えば検索リストの上位に配置)
0:快でも不快でもない
-1:やや不快
-2:不快
-3:非常に不快
-4:極端に不快
また、上述した実施形態では、関連情報の出力対象の施設を1つ特定したが(図3のステップ102)、関連情報出力処理部53は、複数の施設を特定し、タイミングをずらしてそれぞれの施設に対応する複数の関連情報を順番に出力し、推奨情報作成部55は、これら複数の関連情報のそれぞれに対して反応検出部54によって検出された利用者の反応に基づいて、それぞれの施設に対応する推奨情報を作成するようにしてもよい。このとき、推奨情報作成部55は、これら複数の関連情報のそれぞれに対して反応検出部54によって検出された利用者の反応の中で、利用者が感じる快の程度が最も大きい関連情報に対応する施設の推奨情報を作成する。これにより、複数の施設について、利用者が推奨情報の作成を最も希望する施設を推測することが可能となる。あるいは、複数の施設のそれぞれに対応する推奨情報を並行して、あるいは、順番に(例えば、快の程度が大きい順に出力するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、香り発生装置110によって発生する香りについては特に限定しなかったが、例えば、実際に施設を利用した際に香りセンサで収集したその施設特有の香りをデータ化し、その施設に対応する関連情報としての香りとして、このデータを用いてその施設特有の香りを再現するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上述したように、本発明によれば、施設の関連情報を出力したときの利用者の反応を検出して施設の推奨情報を作成しているため、利用者自身は煩雑な操作を行うことなく、施設の推奨情報を作成し、利用者に対して提案することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 ヘッドユニット
4 スピーカ
5 マイクロホン
10 ナビゲーション処理部
20 操作部
40 デジタル-アナログ変換器(D/A)
42 アナログ-デジタル変換器(A/D)
50 CPU
50A 施設提案処理部
51 嗜好情報収集部
52 出力タイミング判定部
53 関連情報出力処理部
54 反応検出部
55 推奨情報作成部
56 推奨情報提案部
100 カメラ
110 香り発生装置
図1
図2
図3