(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】蓄熱式燃焼設備
(51)【国際特許分類】
F23L 15/02 20060101AFI20241216BHJP
F23L 7/00 20060101ALI20241216BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20241216BHJP
F23C 9/08 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
F23L15/02
F23L7/00 Z
F23K5/00 303
F23C9/08 402
(21)【出願番号】P 2022183830
(22)【出願日】2022-11-17
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】仲井 和成
(72)【発明者】
【氏名】大倉 莉奈
(72)【発明者】
【氏名】尾松 大輔
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-259905(JP,A)
【文献】特開2019-039590(JP,A)
【文献】特開2002-098328(JP,A)
【文献】国際公開第2018/148478(WO,A1)
【文献】特開2022-114243(JP,A)
【文献】特開2022-015464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0123667(US,A1)
【文献】特開2017-025840(JP,A)
【文献】特開2013-095618(JP,A)
【文献】米国特許第03982878(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00-15/02
F23L 7/00
F23K 5/00
F23C 3/00
F23C 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱体が収容された蓄熱部を通して加熱された燃焼用空気を給排気口から炉内に噴出させると共に、燃料噴出ノズルから燃料ガスを噴出させて、燃料ガスを燃焼用空気と混合させて燃焼させる燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーと、燃料噴出ノズルから燃料ガスを噴出させないようにし、燃料ガスが燃焼された後の燃焼排ガスを炉内から給排気口を通して蓄熱部に収容された蓄熱体に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱体に蓄熱させる蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナーとが対になって設けられ、対になった蓄熱式燃焼バーナーにおいて燃焼動作と蓄熱動作を交互に行う蓄熱式燃焼設備において、
前記の燃料ガスに炭化系水素ガスを用いない水素ガスを用い、燃焼動作を行う前記の蓄熱式燃焼バーナーにおいては、燃料噴出ノズルに水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを供給すると共に、前記の蓄熱体が収容された蓄熱部に導く燃焼用空気に希釈用ガスを加えて加熱させ、前記の燃料噴出ノズルから水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを炉内に噴出させると共に、前記の加熱された燃焼用空気と前記の希釈用ガスを前記の給排気口から炉内に噴出させ
、水素ガスを用いた燃料ガスの一部を支燃ガスと混合させて炉内で一次燃焼させ、また希釈用ガスが加えられて酸素濃度が低くなった燃焼用空気を蓄熱部で加熱させて給排気口から炉内に噴出させ、一次燃焼されなかった燃料ガスの水素ガスを、酸素濃度が低くなった燃焼用空気と混合させて二次燃焼させることを特徴とする蓄熱式燃焼設備。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄熱式燃焼設備において、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーに供給する燃焼用空気に前記の希釈用ガスを加えるにあたり、希釈用ガスとして、不活性ガスを使用することを特徴とする蓄熱式燃焼設備。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄熱式燃焼設備において、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーに供給する燃焼用空気に希釈用ガスを加えるにあたり、前記の希釈用ガスとして、蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナーの蓄熱部における蓄熱体に熱を蓄熱させた後の燃焼排ガスを使用することを特徴とする蓄熱式燃焼設備。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の蓄熱式燃焼設備において、燃料ガスの水素ガスを燃料噴出ノズルに供給するにあたり、アンモニア改質分離装置によりアンモニアガスから分離させた水素ガスを燃料噴出ノズルに供給することを特徴とする蓄熱式燃焼設備。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄熱式燃焼設備において、アンモニアガスから水素ガスを分離させた後の窒素ガスを含むガスを、前記の希釈用ガスとして使用することを特徴とする蓄熱式燃焼設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱体が収容された蓄熱部を通して加熱された燃焼用空気を給排気口から炉内に噴出させ、燃料噴出ノズルから噴出させる燃料ガスを前記の燃焼用空気と混合させて、燃料ガスを炉内で燃焼させる燃焼動作と、燃料供給ノズルからの燃料の供給を停止させ、炉内において燃料ガスが燃焼された後の燃焼排ガスを給排気口から蓄熱部に導いて蓄熱部に収容された蓄熱体に燃焼排ガスの熱を蓄熱させる蓄熱動作とを交互に行う対になった蓄熱式燃焼バーナーを備えた蓄熱式燃焼設備に関するものである。特に、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスに、CO,CO2やNOx等が含まれて排出され、環境を害するのを防止するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋼材などの各種の被処理物を加熱処理する工業炉などにおいては、炉内において燃料を燃焼させた燃焼排ガスの熱を有効に利用するように、特許文献1、2等に示されるように、蓄熱体が収容された蓄熱部を通して加熱された燃焼用空気を給排気口から炉内に噴出させ、燃料噴出ノズルから噴出させる燃料ガスを前記の燃焼用空気と混合させて、燃料ガスを炉内で燃焼させる燃焼動作と、燃料供給ノズルからの燃料の供給を停止させ、炉内において燃料ガスが燃焼された後の燃焼排ガスを給排気口から蓄熱部に導いて、蓄熱部に収容された蓄熱体に燃焼排ガスの熱を蓄熱させる蓄熱動作を交互に行う対になった蓄熱式燃焼バーナーを備えた蓄熱式燃焼設備が広く利用されている。
【0003】
ここで、前記のような蓄熱式燃焼設備においては、燃料ガスとして、一般に都市ガス等の炭化水素系ガスが広く使用されている。
【0004】
しかし、都市ガス等の炭化水素系ガスを燃焼用空気と混合させて燃焼させた場合、温暖化の原因とされているCO,CO2等が発生し、このような燃焼排ガスをそのまま排気すると環境を害するという問題があった。
【0005】
また、従来からCO,CO2等を発生しない燃料ガスとしては、燃焼性の高い水素ガスH2が知られている。
【0006】
しかし、前記のような蓄熱式燃焼バーナーの燃料ガスに燃焼性の高い水素ガスを使用し、加熱された燃焼用空気と混合させて燃焼させた場合、燃焼時における火炎の温度が高くなってNOxが多く発生しやすくなり、このようなNOxを多く含む燃焼排ガスをそのまま排気させた場合にも環境を害するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6545739号公報
【文献】特許第4602858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、蓄熱体が収容された蓄熱部を通して加熱された燃焼用空気を給排気口から炉内に噴出させ、燃料噴出ノズルから噴出させる燃料ガスを前記の燃焼用空気と混合させて、燃料ガスを炉内で燃焼させる燃焼動作と、燃料供給ノズルからの燃料の供給を停止させ、炉内において燃料ガスが燃焼された後の燃焼排ガスを給排気口から蓄熱部に導いて蓄熱部に収容された蓄熱体に燃焼排ガスの熱を蓄熱させる蓄熱動作を交互に行う対になった蓄熱式燃焼バーナーを備えた蓄熱式燃焼設備における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記のような蓄熱式燃焼設備において、蓄熱式燃焼バーナーの燃料ガスに、燃焼時にCO,CO2等を発生しない水素ガスを使用して、加熱された燃焼用空気と混合させて燃焼させる場合に、燃焼時における火炎の温度が高くなってNOxが発生するのを抑制し、蓄熱式燃焼設備から排気される燃焼排ガスによって環境が害されることがないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蓄熱式燃焼設備においては、前記のような課題を解決するため、蓄熱体が収容された蓄熱部を通して加熱された燃焼用空気を給排気口から炉内に噴出させると共に、燃料噴出ノズルから燃料ガスを噴出させて、燃料ガスを燃焼用空気と混合させて燃焼させる燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーと、燃料噴出ノズルから燃料ガスを噴出させないようにし、燃料ガスが燃焼された後の燃焼排ガスを炉内から給排気口を通して蓄熱部に収容された蓄熱体に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱体に蓄熱させる蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナーとが対になって設けられ、対になった蓄熱式燃焼バーナーにおいて燃焼動作と蓄熱動作を交互に行う蓄熱式燃焼設備において、前記の燃料ガスに炭化系水素ガスを用いない水素ガスを用い、燃焼動作を行う前記の蓄熱式燃焼バーナーにおいては、燃料噴出ノズルに水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを供給すると共に、前記の蓄熱体が収容された蓄熱部に導く燃焼用空気に希釈用ガスを加えて加熱させ、前記の燃料噴出ノズルから水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを炉内に噴出させると共に、前記の加熱された燃焼用空気と前記の希釈用ガスを前記の給排気口から炉内に噴出させ、水素ガスを用いた燃料ガスの一部を支燃ガスと混合させて炉内で一次燃焼させ、また希釈用ガスが加えられて酸素濃度が低くなった燃焼用空気を蓄熱部で加熱させて給排気口から炉内に噴出させ、一次燃焼されなかった燃料ガスの水素ガスを、酸素濃度が低くなった燃焼用空気と混合させて二次燃焼させるようにした。
【0011】
そして、前記のように燃料ガスに炭化系水素ガスを用いない水素ガスを用い、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおいて、燃料噴出ノズルから水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを炉内に噴出させると、水素ガスを用いた燃料ガスの一部が支燃ガスと混合されて炉内で一次燃焼されるようになり、また希釈用ガスが加えられて酸素濃度が低くなった燃焼用空気を蓄熱部で加熱されて前記の給排気口から炉内に噴出させ、一次燃焼されなかった燃料ガスの水素ガスを、前記のように酸素濃度が低くなった燃焼用空気と混合させて二次燃焼させるようにしたため、従来のように、燃料ガスの水素ガスが、加熱された燃焼用空気と酸素濃度が高い状態で、急激に一度で燃焼されるということがなくなり、燃焼時における火炎の温度が高くなってNOxが発生するのが防止されるようになる。
【0012】
ここで、本発明の蓄熱式燃焼設備において、前記のように燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーに供給する燃焼用空気に希釈用ガスを加えるにあたり、希釈用ガスとしては、窒素ガスN2等の不活性ガスを使用することができ、また蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおいて、蓄熱部に収容された蓄熱体に熱を蓄熱させた後の燃焼排ガスを希釈用ガスとして使用することもできる。
【0013】
また、燃料ガスの水素ガスを燃料噴出ノズルに供給するにあたっては、水素ガスそのものを燃料噴出ノズルに供給する他、アンモニア改質分離装置によりアンモニアガスNH3から分離させた水素ガスを、燃料噴出ノズルに供給することもできる。
【0014】
さらに、前記のようにアンモニアガスから水素ガスを分離させた後の窒素ガスを含むガスを前記の希釈用ガスとして使用して、燃焼用空気に混合させるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明における蓄熱式燃焼設備のように、対になった蓄熱式燃焼バーナーにおいて燃焼動作と蓄熱動作を交互に行うにあたり、燃料ガスに炭化系水素ガスを用いない水素ガスを用い、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおいて、燃料噴出ノズルに水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを供給すると共に、前記の蓄熱体が収容された蓄熱部に導く燃焼用空気に希釈用ガスを加えて加熱させ、前記の燃料噴出ノズルから水素ガスを用いた燃料ガスと支燃ガスとを炉内に噴出させると共に、前記の加熱された燃焼用空気と前記の希釈用ガスを前記の給排気口から炉内に噴出させるようにすると、燃料噴出ノズルから噴射された水素ガスの一部が支燃ガスと混合されて炉内で一次燃焼され、次いで、一次燃焼されなかった残りの水素ガスが、蓄熱部で加熱されて給排気口から炉内に噴出された酸素濃度が低くなった燃焼用空気と混合されて二次燃焼されるようになる。
【0016】
この結果、本発明における蓄熱式燃焼設備においては、従来のように、燃料ガスの水素ガスが燃焼用空気と酸素濃度が高い状態で急激に一度で燃焼されるということがなく、燃焼時における火炎の温度が高くなるのが防止され、蓄熱式燃焼バーナーの燃料ガスにCO,CO2等を発生しない燃焼性の高い水素ガスを用いた場合にも、燃焼時にNOxが発生するのを防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蓄熱式燃焼設備を示し、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおいて、燃料噴出ノズルから燃料ガスの水素ガスと支燃ガスとを炉内に噴出させて、燃料ガスの水素ガスの一部を一次燃焼させると共に、燃焼用空気を蓄熱体が収容された蓄熱部に導く途中の空気案内管に希釈用ガスを加え、希釈用ガスが加えられて酸素濃度が低くなった燃焼用空気を蓄熱部で加熱させて給排気口から炉内に噴出させ、一次燃焼されなかった燃料ガスの水素ガスを、酸素濃度が低くなった燃焼用空気と混合されて二次燃焼される状態を示した概略説明図である。
【
図2】前記の実施形態における蓄熱式燃焼設備の第1変更例を示し、燃焼用空気に希釈用ガスを予め加え、希釈用ガスにより希釈された燃焼用空気を、前記の空気案内管により燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおける蓄熱部に導くようにした状態を示した概略説明図である。
【
図3】前記の実施形態における蓄熱式燃焼設備の第2変更例を示し、希釈用ガスとして、蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおける蓄熱部に収容された蓄熱体に熱を蓄熱させた後の燃焼排ガスを用い、前記の燃焼排ガスを燃焼用空気に予め加え、燃焼排ガスによって希釈された燃焼用空気を、前記の空気案内管により燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおける蓄熱部に導くようにした状態を示した概略説明図である。
【
図4】前記の実施形態における蓄熱式燃焼設備の第3変更例を示し、燃料ガスの水素ガスとして、アンモニア改質分離装置によりアンモニアガスから分離させた水素ガスを用いると共に、アンモニアガスから水素ガスを分離させた後の窒素ガスを含む希釈用ガスを燃焼用空気に予め加え、希釈用ガスによって希釈された燃焼用空気を、前記の空気案内管により燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナーにおける蓄熱部に導くようにした状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る蓄熱式燃焼設備を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る蓄熱式燃焼設備は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0019】
この実施形態における蓄熱式燃焼設備においては、
図1に示すように、対になった第1の蓄熱式燃焼バーナー10aと第2の蓄熱式燃焼バーナー10bとを工業炉からなる炉1の内部に向けて対向するように設け、対になった各蓄熱式燃焼バーナー10a,10bにおいては、それぞれ燃料噴出ノズル11a,11bを設け、各燃料噴出ノズル11a,11bに対して、それぞれ燃料ガスの水素ガスH
2を供給する燃料ガス供給管12a,12bと、空気や酸素ガス等の支燃ガスGsを供給する支燃ガス供給管13a,13bとを設けている。また、前記の各燃料ガス供給管12a,12bにそれぞれ開閉弁121a,121bを設けると共に、各支燃ガス供給管13a,13bにそれぞれ開閉弁131a,131bを設けている。ここで、実施形態における蓄熱式燃焼設備に設けた前記及び後述する全ての開閉弁に関しては、開いた状態を白抜きで示し、閉じた状態を黒塗りで示した。
【0020】
そして、
図1に示すように、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナー10aにおいては、前記の燃料ガス供給管12aに設けた開閉弁121aを開けると共に、前記の支燃ガス供給管13aに設けた開閉弁131aを開けて、燃料噴出ノズル11aに水素ガスH
2と支燃ガスGsとを供給し、この燃料噴出ノズル11aから水素ガスH
2と支燃ガスGsとを炉1内に噴射させて、水素ガスH
2の一部が支燃ガスGsと混合されて炉1内で一次燃焼させるようにしている。
【0021】
つまり、このときの支燃ガスGsの流量は、燃焼を還元状態とし、水素ガスH2の一部だけが燃えるような(水素ガスH2が全部燃えてしまわないような)流量としている。
【0022】
一方、蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナー10bにおいては、前記の燃料ガス供給管12bに設けた開閉弁121bを閉じると共に、前記の支燃ガス供給管13bに設けた開閉弁131bを閉じて、燃料噴出ノズル11bに水素ガスH2と支燃ガスGsを供給しないようにしている。
【0023】
また、この実施形態における蓄熱式燃焼設備においては、前記の各蓄熱式燃焼バーナー10a,10bにおいて、送風ブロワー21により燃焼用空気Airを送風させて、蓄熱体xが収容された各蓄熱部20a,20bにそれぞれ燃焼用空気Airを供給する空気供給管22a,22bを設けると共に、窒素ガス等の不活性ガスからなる希釈用ガスGiを、前記の対応する空気供給管22a,22bに供給する希釈用ガス供給管23a,23bを設け、前記の各空気供給管22a,22bにそれぞれ開閉弁221a,221bを設けると共に、各希釈用ガス供給管23a,23bにそれぞれそれぞれ開閉弁231a,231bを設けている。
【0024】
そして、
図1に示すように、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナー10aにおいては、前記の空気供給管22aに設けた開閉弁221aを開けると共に、前記の希釈用ガス供給管23aに設けた開閉弁231aを開け、空気供給管22aを通して供給される燃焼用空気Airを希釈用ガスGiにより希釈させて、酸素濃度を低下させた状態で燃焼用空気Airを蓄熱体xが収容された蓄熱部20aに導き、蓄熱部20aに収容された蓄熱体xに蓄熱された熱により、酸素濃度が低下した燃焼用空気Airを加熱させて、前記の蓄熱式燃焼バーナー10aにおける給排気口24aを通して炉1内に噴射させ、前記の一次燃焼によって燃焼されなかった水素ガスH
2と混合させて二次燃焼させるようにしている。
【0025】
ここで、前記のように燃料噴出ノズル11aから水素ガスH2と支燃ガスGsとを炉1内に噴射させて、水素ガスH2の一部を炉1内で一次燃焼させた後、希釈用ガスGiにより酸素濃度が低下した燃焼用空気Airを、蓄熱部20aで加熱させて給排気口24aから炉1内に噴射させ、前記の一次燃焼によって燃焼されなかった水素ガスH2と混合させて二次燃焼させるようにすると、従来のように、燃料ガスの水素ガスH2が、加熱された燃焼用空気Airと酸素濃度が高い状態で急激に一度で燃焼されるということがなくなり、燃焼時における火炎の温度が高くなってNOxが発生するのが防止される。
【0026】
また、この実施形態における蓄熱式燃焼設備においては、前記のように燃料ガスの水素ガスH2を燃焼させた後の燃焼排ガスGrを、炉1内から各蓄熱式燃焼バーナー10a,10bにおける各給排気口24a,24bから各蓄熱部20a,20bを通して煙突30から排気させるにあたり、各蓄熱部20a,20bに導かれた燃焼排ガスGrを、吸引ブロワー31により各排ガス案内管32a,32bを通して吸引させるようにし、各排ガス案内管32a,32bにそれぞれ開閉弁321a,321bを設けている。
【0027】
ここで、
図1に示すように、燃焼動作を行う蓄熱式燃焼バーナー10aにおいては、排ガス案内管32aに設けた開閉弁321aを閉じた状態にして、水素ガスH
2を燃焼させた後の燃焼排ガスGrが、炉1内から給排気口24aを通して蓄熱部20aに導かれないようにしている。一方、蓄熱動作を行う蓄熱式燃焼バーナー10bにおいては、前記の排ガス案内管32bに設けた開閉弁321bを開けて、前記の吸引ブロワー31により炉1内における燃焼排ガスGrを吸引し、前記の給排気口24bを通して蓄熱部20bに導き、燃焼排ガスGrにおける熱を蓄熱部20bに収容された蓄熱体xに蓄熱させた後、この燃焼排ガスGrを前記の排ガス案内管32bにより煙突30に導いて排気させるようにしている。
【0028】
そして、この実施形態における蓄熱式燃焼設備においては、対になった第1の蓄熱式燃焼バーナー10aと第2の蓄熱式燃焼バーナー10bとにおいて、前記のような燃焼動作と蓄熱動作と切り換えて交互に行うようにしている。
【0029】
次に、前記の実施形態における蓄熱式燃焼設備の第1変更例を
図2に基づいて説明する。
【0030】
第2の第1変更例における蓄熱式燃焼設備においては、窒素ガス等の不活性ガスからなる希釈用ガスGiを対応する前記の窒素ガス等の不活性ガスからなる希釈用ガスGiを燃焼用空気Airと混合させて、各蓄熱式燃焼バーナー10a,10bにおける蓄熱部20a,20bに導くにあたり、燃焼用空気Airを送風ブロワー21によって送風させる前の上流側の位置に、希釈用ガス供給管23により希釈用ガスGiを供給して燃焼用空気Airを希釈させ、このように希釈用ガスGiによって希釈された燃焼用空気Airを、前記の送風ブロワー21により燃焼動作を行う空気供給管22a,22bに供給するようにしている。
【0031】
このようにすると、第1の第1変更例における蓄熱式燃焼設備においては、希釈用ガスGiを各空気供給管22a,22bに供給する希釈用ガス供給管23a,23bを個別に設ける必要がなく、設備コストを低減させることができる。
【0032】
次に、前記の実施形態における蓄熱式燃焼設備の第2変更例を
図3に基づいて説明する。
【0033】
第2変更例における蓄熱式燃焼設備においては、燃焼用空気Airを希釈させる希釈用ガスGiとして、水素ガスH2を燃焼させた後の燃焼排ガスGrを利用するため、水素ガスH2を燃焼させた後の燃焼排ガスGrを、各排ガス案内管32a,32bを通して吸引ブロワー31により吸引して煙突30に導くにあたり、前記の吸引ブロワー31と煙突30との間に、吸引ブロワー31によって吸引した燃焼排ガスGrを、燃焼用空気Airを送風させる前記の送風ブロワー21の上流側の位置に導く排ガス戻し管33を設けている。
【0034】
そして、送風ブロワー21の上流側の位置に導く燃焼排ガスGrの量を調整するため、前記の排ガス戻し管33に第1流量調整弁331を設けると共に、前記の排ガス戻し管33の下流側における煙突30との間に第2流量調整弁332を設け、第1流量調整弁331と第2流量調整弁332とを通して流れる燃焼排ガスGrの量を調整して、燃焼用空気Airを希釈させる希釈用ガスGiの量を制御するようにしている。
【0035】
このようにすると、燃焼用空気Airを希釈させる希釈用ガスGiとして、窒素ガス等の不活性ガスを別に準備して供給する必要がなくなり、ランニングコスト等を低減させることができるようになる。
【0036】
次に、前記の実施形態における蓄熱式燃焼設備の第3変更例を
図4に基づいて説明する。
【0037】
第3変更例における蓄熱式燃焼設備においては、対になった各蓄熱式燃焼バーナー10a,10bにおける各燃料噴出ノズル11a,11bに燃料ガスの水素ガスH2を供給するにあたり、原料としてアンモニアガスNH3を用い、このアンモニアガスNH3をアンモニア改質分離装置40により、燃料ガスの水素ガスH2と窒素ガスを含む希釈用ガスGiに分離させるようにしている。
【0038】
そして、このようにアンモニア改質分離装置40によって分離された燃料ガスの水素ガスH2を、前記の各燃料噴出ノズル11a,11bにおける各燃料ガス供給管12a,12bに対して、それぞれ燃料ガス案内管41a,41bを通して供給させる一方、アンモニア改質分離装置40によって分離された窒素ガスを含む希釈用ガスGiを、希釈用ガス案内管42を通して燃焼用空気Airを送風させる送風ブロワー21の上流側の位置に供給し、燃焼用空気Airを前記の窒素ガスを含む希釈用ガスGiによって希釈させるようにしている。
【0039】
このようにすると、燃料ガスの水素ガスH2を別に製造しなくても、アンモニアガスNH3を、燃料ガスである水素ガスH2の原料として有効に利用することができ、燃料ガスの水素ガスH2を製造するめのコストを低減することができると共に、アンモニアガスNH3から分離された窒素ガスを含む希釈用ガスGiを有効に利用できるようになる。
【符号の説明】
【0040】
1 :炉
10a,10b :蓄熱式燃焼バーナー
11a,11b :燃料噴出ノズル
12a,12b :燃料ガス供給管
13a,13b :支燃ガス供給管
20a,20b :蓄熱部
21 :送風ブロワー
22a,22b :空気供給管
23 :希釈用ガス供給管
23a,23b :希釈用ガス供給管
24a,24b :給排気口
30 :煙突
31 :吸引ブロワー
32a,32b :排ガス案内管
33 :排ガス戻し管
40 :アンモニア改質分離装置
41a,41b :燃料ガス案内管
42 :希釈用ガス案内管
121a,121b :開閉弁
131a,131b :開閉弁
221a,221b :開閉弁
231a,231b :開閉弁
321a,321b :開閉弁
331 :第1流量調整弁
332 :第2流量調整弁
Air :燃焼用空気
Gi :希釈用ガス
Gr :燃焼排ガス
Gs :支燃ガス
H2 :水素ガス(燃料ガス)
NH3 :アンモニアガス
x :蓄熱体