IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7604094光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置
<>
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図1
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図2
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図3
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図4
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図5
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図6
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図7
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図8
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図9
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図10
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図11
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図12
  • 特許-光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20241216BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20241216BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B41J2/447 101F
G03G15/04
G03G21/16 104
G03G21/16 161
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019224693
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021091191
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2024-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雄太
(72)【発明者】
【氏名】細井 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】石館 毅洋
(72)【発明者】
【氏名】百家 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】福本 亮太
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】道祖土 新吾
【審判官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-72321号公報
【文献】特開平2-150882号公報
【文献】特開2019-3113号公報
【文献】特開2008-173811号公報
【文献】特開2008-99200号公報
【文献】特開2019-82503号公報
【文献】特開2006-218656号公報
【文献】米国特許公開第2009/0250080号明細書
【文献】特開2019-142167号公報
【文献】特開2011-88384号公報
【文献】特開2017-149122号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
G03G 15/04
G03G 21/16
H04N 1/024
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に対し挿抜自在に設けられた清掃部材であって、
前記画像形成装置は、光を出射する複数の発光素子を有する基板と、前記発光素子から出射される光を感光体の表面に集光するレンズと、前記レンズを前記感光体に対向させて支持する支持部を有する金属製のホルダーと、を備え、
前記画像形成装置の前記ホルダーは、前記レンズの光軸方向である第2の方向に交差し且つ前記ホルダーの長手方向に交差する第1の方向に関し互いに対向する、第1の壁部と第2の壁部とを有し、
前記第1の壁部及び前記第2の壁部は、前記第2の方向において前記レンズの出射面から離れるように前記支持部から延出し、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部及び前記第2の方向における前記第2の壁部の端部が前記第2の方向において前記基板に対し前記支持部と反対側に位置し、
前記清掃部材は、
棒状の棒状体と、
前記棒状体に前記第2の方向において前記レンズの光出射面と対向して設けられ、前記レンズの光出射面を摺擦して清掃する摺擦部と、
前記第2の方向における前記第1の壁部の端部と接触する第1の接触部と、
前記第2の方向における前記第2の壁部の端部と接触する第2の接触部と、
前記第1の方向において前記第1の壁部と対向し、前記第1の方向において前記第1の壁部に対し前記第2の壁部の反対側に位置する第3の壁部と、
前記第1の方向において前記第2の壁部と対向し、前記第1の方向において前記第2の壁部に対し前記第1の壁部の反対側に位置する第4の壁部と、を備え、
前記摺擦部は、前記第1の接触部と前記第2の方向における前記第1の壁部の端部とが接触し、且つ、前記第2の接触部と前記第2の方向における前記第2の壁部の端部とが接触することによって、前記レンズの光出射面から離れる方向への移動が規制され、
前記第1の接触部は、前記第3の壁部において前記第2の方向における前記第3の壁部の端部から前記第4の壁部に向かって突出する第1の突出部に設けられ、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部に鉛直方向下側から接し、
前記第2の接触部は、前記第4の壁部において前記第2の方向における前記第4の壁部の端部から前記第3の壁部に向かって突出する第2の突出部に設けられ、前記第2の方向における前記第2の壁部の端部に鉛直方向下側から接し、
前記第1の方向において、前記第1の突出部の前記第2の突出部に近い端部と、前記第2の突出部の前記第1の突出部に近い端部と、の間の距離は、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間の距離よりも短い、
ことを特徴とする清掃部材。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記第1の壁部を有する第1部材と、前記第2の壁部を有する第2部材と、を有し、
前記第1部材は、前記第2の方向において、前記清掃部材に対して前記第1の接触部よりも遠くへ延出せず、
前記第2部材は、前記第2の方向において、前記清掃部材に対して前記第2の接触部よりも遠くへ延出しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項3】
前記支持部と、前記第1の壁部と、前記第2の壁部とは板金の曲げ加工によって形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項4】
前記第2の方向における前記第1の壁部の端部は、前記第1の壁部をなす板金が折り曲げられた曲線状であり、
前記第2の方向における前記第2の壁部の端部は、前記第2の壁部をなす板金が折り曲げられた曲線状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃部材。
【請求項5】
前記第1の突出部と前記第2の方向における前記第1の壁部の端部の間と、前記第2の突出部と前記第2の方向における前記第2の壁部の端部の間に、潤滑材であるシール部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の清掃部材。
【請求項6】
前記第3の壁部は、前記第2の方向において前記第1の壁部よりも長く、
前記第4の壁部は、前記第2の方向において前記第2の壁部よりも長い、
ことを特徴とする請求項に記載の清掃部材。
【請求項7】
前記摺擦部は、可撓性を有するブレードである、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の清掃部材。
【請求項8】
前記摺擦部は、前記棒状体に着脱自在に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の清掃部材。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
光を出射する複数の発光素子を有する基板と、
前記発光素子から出射される光を感光体の表面に集光するレンズと、
前記レンズを前記感光体に対向させて支持する支持部と、前記レンズの光軸方向である第2の方向に交差し且つ前記基板の長手方向に交差する第1の方向において、互いに対向する第1の壁部及び第2の壁部であって、前記第2の方向において前記レンズの出射面から離れる方向に前記支持部から延出し、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部及び前記第2の方向における前記第2の壁部の端部が前記第2の方向において前記基板に対し前記支持部と反対側に位置している第1の壁部及び第2の壁部と、を有する金属製のホルダーと、
画像形成装置に対し挿抜自在に設けられた清掃部材と、を備え、
前記清掃部材は、
棒状の棒状体と、
前記棒状体に前記第2の方向において前記レンズの光出射面と対向して設けられ、前記レンズの光出射面を摺擦して清掃する摺擦部と、
前記第2の方向における前記第1の壁部の端部と接触する第1の接触部と、
前記第2の方向における前記第2の壁部の端部と接触する第2の接触部と、を有し、
前記摺擦部は、前記第1の接触部と前記第2の方向における前記第1の壁部の端部とが接触し、且つ、前記第2の接触部と前記第2の方向における前記第2の壁部の端部とが接触することによって、前記レンズの光出射面から離れる方向への移動が規制される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記ホルダーは、前記第1の壁部を有する第1部材と、前記第2の壁部を有する第2部材と、を有し、
前記第1部材は、前記第2の方向において、前記清掃部材に対して前記第1の接触部よりも遠くへ延出せず、
前記第2部材は、前記第2の方向において、前記清掃部材に対して前記第2の接触部よりも遠くへ延出しない、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記支持部と、前記第1の壁部と、前記第2の壁部とは板金の曲げ加工によって形成される、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2の方向における前記第1の壁部の端部は、前記第1の壁部が折り曲げられた曲線状であり、
前記第2の方向における前記第2の壁部の端部は、前記第2の壁部が折り曲げられた曲線状である、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記清掃部材は、前記第1の方向において前記第1の壁部と対向し、前記第1の方向において前記第1の壁部に対し前記第2の壁部の反対側に位置する第3の壁部と、
前記第1の方向において前記第2の壁部と対向し、前記第1の方向において前記第2の壁部に対し前記第1の壁部の反対側に位置する第4の壁部と、を有し、
前記第1の接触部は、前記第3の壁部において前記第2の方向における前記第3の壁部の端部から前記第4の壁部に向かって突出する第1の突出部に設けられ、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部に鉛直方向下側から接し、
前記第2の接触部は、前記第4の壁部において前記第2の方向における前記第4の壁部の端部から前記第3の壁部に向かって突出する第2の突出部に設けられ、前記第2の方向における前記第2の壁部の端部に鉛直方向下側から接している、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1の突出部と前記第2の方向における前記第1の壁部の端部の間と、前記第2の突出部と前記第2の方向における前記第2の壁部の端部の間に、潤滑材であるシール部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第3の壁部は、前記第2の方向において前記第1の壁部よりも長く、
前記第4の壁部は、前記第2の方向において前記第2の壁部よりも長い、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第1の方向において、前記第1の突出部の前記第2の突出部に近い端部と、前記第2の突出部の前記第1の突出部に近い端部と、の間の距離は、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間の距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記摺擦部は、可撓性を有するブレードである、
ことを特徴とする請求項乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記摺擦部は、前記棒状体に着脱自在に設けられている、
ことを特徴とする請求項乃至17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光プリントヘッドを清掃するための清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムを露光する露光装置として、例えばLED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)等の複数の発光素子を備えた光プリントヘッドを採用した画像形成装置が提案されている。この光プリントヘッドには、複数の発光素子が感光ドラムの回転軸線方向(露光装置の主走査方向)に沿って配列されている。そして、各々の発光素子から出射される光を感光ドラムの表面に集光させるために、光プリントヘッドは各発光素子に対向させるように主走査方向に複数の屈折率分布型レンズを並べたレンズアレイを有している。このレンズアレイは、焦点距離が極めて短いため、感光ドラムを露光する際にレンズアレイが感光ドラムに近接した位置に位置するように配置されている。
【0003】
上記のように、レンズアレイは感光ドラムに近接した位置に位置されるため、レンズアレイの光出射面にはトナーや紙粉等の異物が付着しやすい。レンズアレイの光出射面に異物が付着していると、感光ドラムを露光する際に発光素子から照射した光の光量が不均一になりやすく、その結果、画像形成した記録材には濃度むらなどの画像不良が生じていた。そこで、レンズアレイ(詳しくは光出射面)を清掃するために、光プリントヘッドに着脱可能な清掃手段が提案されている(特許文献1)。この場合、ユーザやサービスマン等の作業者は画像形成装置に清掃部材を挿入して、挿入した清掃部材を手動により主走査方向に往復動させる。すると、清掃部材の先端に設けられたクリーニングブレードがレンズアレイを摺擦しながら移動されるので、摺擦部材によりレンズアレイの光出射面の異物が除去され得る。
【0004】
特許文献1に記載の装置では、レンズアレイや発光素子を保持する保持体(筐体)に凸部が主走査方向に沿って形成されており、この凸部によって清掃部材を主走査方向に案内するガイド溝が形成される。この構成の場合、作業者は清掃部材を光プリントヘッドに装着する際に、清掃部材に形成されている係合部を保持体の凸部(ガイド溝)に係合させる。これにより、作業者はクリーニングブレードをレンズアレイの光出射面に摺擦させた状態で、光プリントヘッドに対し清掃部材を往復動し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-3113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した保持体は樹脂によって形成されている。ただし、保持体が樹脂製であると、成型時の反りや本体稼働中の温度上昇に伴う線膨張などによって変形する虞がある。上述したように、レンズアレイは焦点距離が極めて短い故に、保持体が僅かでも変形してしまえば、レンズアレイの焦点が感光ドラムの表面に合わなくなって感光ドラムを適切に露光することが難しくなる。そこで、保持体を樹脂よりも変形し難い板金(電気亜鉛メッキ鋼板など)を曲げ加工して形成することが考えられる。しかしながら、その場合には、保持体が樹脂製である場合に比べ、上記した凸部の加工を行ってガイド溝を形成することが難しく、手間がかかる、コストが高くなるなどの課題がある。また、予め凸部を形成した板金を含めて複数の板金を溶接して保持体を形成することも考えられるが、このような構成も手間がかかりまたコストが高くなるので適当でない。それ故、保持体を金属で形成した場合、従来の清掃部材の係合部では保持体に係合することが難しかった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、クリーニングブレードとレンズアレイとを摺擦させた状態に維持して、作業者が金属製の保持体に対し移動させることが可能な光プリントヘッドの清掃部材、清掃部材を備えた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る清掃部材は、画像形成装置に対し挿抜自在に設けられた清掃部材であって、前記画像形成装置は、光を出射する複数の発光素子を有する基板と、前記発光素子から出射される光を感光体の表面に集光するレンズと、前記レンズを前記感光体に対向させて支持する支持部を有する金属製のホルダーと、を備え、前記画像形成装置の前記ホルダーは、前記レンズの光軸方向である第2の方向に交差し且つ前記ホルダーの長手方向に交差する第1の方向に関し互いに対向する、第1の壁部と第2の壁部とを有し、前記第1の壁部及び前記第2の壁部は、前記第2の方向において前記レンズの出射面から離れるように前記支持部から延出し、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部及び前記第2の方向における前記第2の壁部の端部が前記第2の方向において前記基板に対し前記支持部と反対側に位置し、前記清掃部材は、棒状の棒状体と、前記棒状体に前記第2の方向において前記レンズの光出射面と対向して設けられ、前記レンズの光出射面を摺擦して清掃する摺擦部と、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部と接触する第1の接触部と、前記第2の方向における前記第2の壁部の端部と接触する第2の接触部と、前記第1の方向において前記第1の壁部と対向し、前記第1の方向において前記第1の壁部に対し前記第2の壁部の反対側に位置する第3の壁部と、前記第1の方向において前記第2の壁部と対向し、前記第1の方向において前記第2の壁部に対し前記第1の壁部の反対側に位置する第4の壁部と、を備え、前記摺擦部は、前記第1の接触部と前記第2の方向における前記第1の壁部の端部とが接触し、且つ、前記第2の接触部と前記第2の方向における前記第2の壁部の端部とが接触することによって、前記レンズの光出射面から離れる方向への移動が規制され、前記第1の接触部は、前記第3の壁部において前記第2の方向における前記第3の壁部の端部から前記第4の壁部に向かって突出する第1の突出部に設けられ、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部に鉛直方向下側から接し、前記第2の接触部は、前記第4の壁部において前記第2の方向における前記第4の壁部の端部から前記第3の壁部に向かって突出する第2の突出部に設けられ、前記第2の方向における前記第2の壁部の端部に鉛直方向下側から接し、前記第1の方向において、前記第1の突出部の前記第2の突出部に近い端部と、前記第2の突出部の前記第1の突出部に近い端部と、の間の距離は、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間の距離よりも短い、ことを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成装置であって、光を出射する複数の発光素子を有する基板と、前記発光素子から出射される光を感光体の表面に集光するレンズと、前記レンズを前記感光体に対向させて支持する支持部と、前記レンズの光軸方向である第2の方向に交差し且つ前記基板の長手方向に交差する第1の方向において、互いに対向する第1の壁部及び第2の壁部であって、前記第2の方向において前記レンズの出射面から離れる方向に前記支持部から延出し、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部及び前記第2の方向における前記第2の壁部の端部が前記第2の方向において前記基板に対し前記支持部と反対側に位置している第1の壁部及び第2の壁部と、を有する金属製のホルダーと、画像形成装置に対し挿抜自在に設けられた清掃部材と、を備え、前記清掃部材は、棒状の棒状体と、前記棒状体に前記第2の方向において前記レンズの光出射面と対向して設けられ、前記レンズの光出射面を摺擦して清掃する摺擦部と、前記第2の方向における前記第1の壁部の端部と接触する第1の接触部と、前記第2の方向における前記第2の壁部の端部と接触する第2の接触部と、を有し、前記摺擦部は、前記第1の接触部と前記第2の方向における前記第1の壁部の端部とが接触し、且つ、前記第2の接触部と前記第2の方向における前記第2の壁部の端部とが接触することによって、前記レンズの光出射面から離れる方向への移動が規制される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置に挿入された清掃部材がレンズを支持したホルダーに対し移動する際に、摺擦部がレンズの光出射面を摺擦した状態に維持することが簡単な構成で実現でき、もって作業者は清掃部材によるレンズの清掃を適切に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の概略断面図。
図2】ドラムユニット及び現像ユニット周辺の構造について説明するための図であり、(a)は装着された状態、(b)は離脱途中の状態。
図3】露光ユニット一部を示す斜視図であり、(a)は露光装置が露光位置にある場合、(b)は露光装置が退避位置にある場合。
図4】露光装置を説明するための模式図。
図5】(a)基板を示す斜視図、(b)基板を感光ドラム側から見た図、(c)基板上の発光素子を示す図、(d)レンズアレイを感光ドラム側から見た図、(e)レンズアレイを示す斜視図。
図6】昇降機構の一部を示す拡大図。
図7】本実施形態の清掃部材を示す斜視図。
図8】清掃部材を用いたレンズアレイの清掃動作について説明するための図。
図9】(a)清掃部近傍を示す斜視図、(b)清掃部近傍を示す断面図。
図10】清掃時における清掃部と保持体との位置関係を説明するための断面図。
図11】シール部材について説明するための断面図。
図12】棒状体への清掃部の装着手順について説明するための図であり、(a)第一手順、(b)第二手順、(c)第三手順、(d)第四手順。
図13】他の実施形態について説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
<画像形成装置>
まず、画像形成装置1の概略構成について、図1乃至図2(b)を用いて説明する。図1に示す画像形成装置1は感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを下方から露光ユニット520Y、520M、520C、520Kにより露光する、所謂「下面露光方式」を採用した装置である。なお、画像形成装置1は、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを上方から露光する「上面露光方式」を採用した装置であってもよい。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4基の画像形成部102Y、102M、102C、102K(以下、総称して「画像形成部102」とも称する)を備える。そして、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、それぞれ感光ドラム103Y、103M、103C、103K(以下、総称して「感光ドラム103」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kをそれぞれ帯電させる帯電器104Y、104M、104C、104K(以下、総称して「帯電器104」とも称する)を備える。画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを露光し静電潜像を形成する露光ユニット520Y、520M、520C、520K(以下、総称して「露光ユニット520」とも称する)を備える。これら露光ユニット520は、詳しくは後述するように、光を出射可能な露光光源としてLED(Light Emitting Diode)を有している。さらに、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、現像器106Y、106M、106C、106K(以下、総称して「現像器106」とも称する)を備える。これら現像器106は、感光ドラム103上の静電潜像をトナーによってトナー像に現像する。
【0015】
画像形成装置1は、感光ドラム103に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107と、感光ドラム103に形成されたトナー像を中間転写ベルト107に順次転写させる一次転写ローラ108Y、108M、108C、108Kを備える。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送されてきた記録材Pに転写させるための二次転写ローラ109と、二次転写された画像を記録材Pに定着させるための定着器110とを備える。なお、記録材Pとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙、光沢紙、印画紙等の用紙、プラスチックフィルム、布など、といった様々な種類のシート材が挙げられる。
【0016】
<画像形成プロセス>
露光ユニット520Yは、帯電器104Yによって帯電された感光ドラム103Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム103Yには静電潜像が形成される。次に、現像器106Yは、感光ドラム103Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム103Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写ローラ108Yによって中間転写ベルト107上に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで中間転写ベルト107に転写される。
【0017】
中間転写ベルト107上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト107によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2に配置された二次転写ローラ109には、トナー像を記録材Pに転写するための転写バイアスが印加されている。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ109の転写バイアスによって、給紙部101から搬送されてきた記録材Pに転写される。トナー像が転写された記録材Pは定着器110に搬送される。定着器110は、熱と圧力によって記録材Pにトナー像を定着させる。定着器110によってトナー像が定着された記録材Pは、排紙部111から機外に排出される。
【0018】
<ドラムユニット及び現像ユニット>
図2(a)、図2(b)に示すように、画像形成装置1には、ドラムユニット518Y、518M、518C、518K(以下、総称して「ドラムユニット518」とも称する)が取り付けられる。ドラムユニット518は、ユーザやサービスマン等の作業者によって交換されるカートリッジである。ドラムユニット518は、感光ドラム103を回転可能に支持している。
【0019】
また、画像形成装置1には、ドラムユニット518と別体の現像ユニット641Y、641M、641C、641K(以下、総称して「現像ユニット641」とも称する)が取り付けられている。現像ユニット641は、図1に示す現像器106とトナー収容部とが一体化されたカートリッジである。現像器106は、現像剤を担持する現像スリーブ(不図示)を備える。現像ユニット641にはトナーとキャリアを攪拌するためのスクリュを回転させるためのギアが複数設けられている。これらのギアが経年劣化等した際には、作業者が現像ユニット641を画像形成装置1の装置本体1Aから取り外して交換する。なお、ドラムユニット518及び現像ユニット641は別々のカートリッジとして構成されることに限らず、ドラムユニット518と現像ユニット641とを一体化したプロセスカートリッジとして構成されてもよい。
【0020】
画像形成装置1は、板金で形成されている前側板642と後側板643とを備える。前側板642は画像形成装置1の手前側に設けられた側壁であり、画像形成装置1本体の手前側において装置本体1Aの筐体の一部を成す。後側板643は画像形成装置1の奥側に設けられた側壁であり、画像形成装置1本体の奥側において装置本体1Aの筐体の一部を成す。前側板642と後側板643とは対面して配置され、両者の間には梁として不図示の板金が橋架されている。なお、本明細書において手前側とは、作業者がドラムユニット518を装置本体1Aに対し挿抜する側を指す。
【0021】
作業者が画像形成装置1の手前側からドラムユニット518及び現像ユニット641を挿抜自在に、前側板642には開口が形成されている。ドラムユニット518及び現像ユニット641は、開口を介して画像形成装置1本体の所定の位置に装着される(装着位置)。また、画像形成装置1は、装着位置に装着されたドラムユニット518と現像ユニット641の双方の手前側を覆うカバー558Y、558M、558C、558K(以下、総称して「カバー558」とも称する)を備える。カバー558は、一端がヒンジによって画像形成装置1本体に固定されており、ヒンジによって画像形成装置1本体に対して回動可能となっている。作業者がカバー558を開いて本体内のドラムユニット518あるいは現像ユニット641を取り出し、新しいドラムユニット518あるいは現像ユニット641を挿入してカバー558を閉じることによって交換作業が完了する。
【0022】
ここで、図2(b)に示すように、以下の説明では装置本体1Aに対して前側板642側を前側(手前側若しくは正面側)、後側板643側を後側(奥側若しくは背面側)と記す。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kが配置されている側を右側、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yが配置されている側を左側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向及び左右方向に直行する鉛直方向の上向きを上方向、鉛直方向の下向きを下方向と呼ぶ。感光ドラム103の回転軸線方向は図2(b)に示した前後方向と一致し、また後述する露光装置105の長手方向も図2(b)に示した前後方向と一致する。つまり、感光ドラム103の回転軸線方向と露光装置105(図3(a)参照)の長手方向とは同じ方向である。
【0023】
<露光ユニット>
次に、露光ユニット520について、図1を参照しながら図3(a)乃至図6を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態では、感光ドラム103を下方から露光するために、露光ユニット520が感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向下側に設けられている。そして、露光ユニット520は、図3(a)及び図3(b)に示すように、露光装置105と、支持部材526と、リンク機構530と、位置決めピン514と、挿入ガイド550とを有する。なお、ここでは図示を省略したが、リンク機構530と位置決めピン514は露光ユニット520の前側だけでなく後側にも設けられている。
【0024】
まず、露光装置105(光プリントヘッド)について説明する。露光装置105は感光ドラム103の回転軸線方向に延びる長手形状をなし、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って配列されたLED等の複数の発光素子を用いて感光ドラム103を露光するLED露光方式のものである。図4に示すように、露光装置105は、基板502と、保持体505と、レンズアレイ506とを備える。基板502とレンズアレイ506は、鉛直方向に互いに対向するように保持体505に保持される。本実施形態の場合、レンズアレイ506は感光ドラム103が配置される配置側にレンズアレイ506の光出射面を露出させるように支持部582により支持されている。そして、基板502は、レンズ507(後述する図5(d)参照)の光軸方向に交差する幅方向で対向し、支持部582から感光ドラム103の配置側とは反対側に向けて延設された2つの対向壁部(580、581)により保持されている。
【0025】
保持体505は、例えば亜鉛メッキ鋼板や冷間圧延鋼板などにメッキ処理が施された板金を折り曲げて形成した金属製の部材である。露光装置105による感光ドラム103の露光を適切に行わせるため、露光装置105が後述の露光位置にあるとき、レンズアレイ506の焦点が常に感光ドラム103の表面に合うように、保持体505には外力や熱などによって変形し難い強度が必要である。そこで、本実施形態では、板金を略コの字状に折り曲げることによって形成した保持体505を用いている。保持体505が板金を曲げ加工によって形成されることで、外力や熱などによって変形し難い強度が確保され、また製造コストを抑制することができる。
【0026】
図5(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が実装され、基板502の他方の面にはコネクタ504が設けられている。また、基板502には図示を省略したが、各LEDチップ639に制御信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ504には、例えば不図示のフレキシブルフラットケーブル(FFC)の一端が接続される。このFFCの他端は、画像形成装置1本体に設けられている不図示の制御部に接続される。この場合、画像形成装置1の制御部からFFC及びコネクタ504を介して制御信号が入力されると、LEDチップ639は配線を介して供給される制御信号に応じて駆動する。
【0027】
図5(b)に示すように、基板502の一方の面には、複数のLEDチップ639-1~639-29(ここでは29個)が配列されている。各LEDチップ639-1~639-29にはそれぞれ、基板502の長手方向(感光ドラム103の回転軸線方向)に沿って516個のLEDが一列に配列されている。図5(c)に示すように、LEDチップ639において隣り合うLED503の中心間距離k2は、画像形成装置1の解像度に対応している。例えば、画像形成装置1の解像度が「1200dpi」である場合、隣り合うLED503の中心間距離k2が「21.16μm」となるようにして、LED503は一列に配列される。この場合、露光装置105の露光範囲は「約316mm」である。ここで、感光ドラム103の感光層は回転軸線方向に関し、例えば「316mm」以上の幅を持つように形成されている。A4サイズの記録材の長辺の長さ及びA3サイズの記録材の短辺の長さは「297mm」であるため、本実施形態の場合、露光装置105はA4サイズの記録材及びA3サイズの記録材に画像形成可能な露光範囲を有している。
【0028】
上記のLEDチップ639-1から639-29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるように、交互に配置されている。即ち、図5(b)に示すように、図の左側から数えて奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29が基板502の長手方向に一列に実装される。そして、偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28が基板502の長手方向に一列に実装される。こうすると、図5(c)に示すように、隣り合う異なるLEDチップ639における一方のLEDチップ639の一端に配置されたLED503と、他方のLEDチップ639の他端に配置されたLED503との中心間距離k1を中心間距離k2と等しくできる。
【0029】
なお、本実施形態では発光素子としてLED503を用いた構成を示したが、発光素子として有機EL(Organic Electro Luminescence)を用いてもよい。
【0030】
また、図5(d)に示すように、LEDチップ639が実装された基板502の一方の面には、レンズアレイ506が設けられている。レンズアレイ506はレンズ507を複数有し、複数のレンズ507は複数のLED503の配列方向に沿って二列に並べられたものであり、LED503から出射された光を集光する機能を有する。図5(e)に示すように、レンズアレイ506の各レンズ507は、一方の列のレンズ507の配列方向において隣り合うレンズ507の両方に接するようにして、他方の列のレンズ507が配置されている。レンズ507は例えば円柱状に形成された硝子製のロッドレンズであって、LED503から出射された光が入射する入射面と、入射面から入射した光が出射する出射面とを有する。なお、レンズ507の材質は硝子製に限らず、プラスチック製であってもよい。また、レンズ507の形状は円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱であってもよい。
【0031】
図5(e)に記載の点線Zは、レンズ507の光軸を示す。本実施形態の場合、後述するように、レンズアレイ506の焦点距離(例えば、3.0±0.3mm)にあわせて露光装置105を感光ドラム103に近接させるべく、露光装置105は点線Zで示すレンズ507の光軸に概ね沿った方向に移動される。なお、ここで言うレンズ507の光軸とは、レンズ507の光出射面の中心と当該レンズ507の焦点とを結ぶ線である。
【0032】
本実施形態の場合、図4に示すように、レンズアレイ506は、LED503から出射した光束を等倍正立像として感光ドラム103上に結像する。このとき、LED503からレンズアレイ506の入射面506bまでの距離と、レンズアレイ506の光出射面506aから感光ドラム103の表面までの距離は、ほぼ等しい。LED503からレンズアレイ506の入射面506bまでの距離は、レンズアレイ506の焦点距離にあわせてミクロンオーダーの高い精度が求められる。そのため、この距離を厳密に調整したうえで、基板502とレンズアレイ506とは保持体505に接着により固定される。
【0033】
次に、感光ドラム103に近傍した露光位置と、感光ドラム103から離間した退避位置との間を、露光装置105を往復動させる機構について、図2(a)を参照しながら図3(a)乃至図3(b)並びに図6を用いて説明する。露光位置は露光装置105が感光ドラム103の表面を露光可能である感光ドラム103に近傍した位置であり、退避位置は清掃作業などメンテナンスのために露光装置105が感光ドラム103から離間された位置である。本実施形態の場合、露光装置105はカバー558の開閉に応じて露光位置と退避位置との間を移動する。
【0034】
図3(a)に示すように、露光装置105の保持体505には、位置決めピン514が設けられている。本実施形態において、位置決めピン514は金属製のストレートピンである。露光装置105が退避位置から露光位置に向け移動すると、この位置決めピン514がドラムユニット518に突き当たる。これにより、レンズアレイ506の光出射面506a(図4参照)と感光ドラム103の表面との間に、レンズアレイ506の焦点距離に応じた間隙が形成された状態で、露光装置105は停止する。こうして、感光ドラム103に対する露光装置105の露光位置が決まる。本実施形態において、露光装置105が露光位置に位置するときの感光ドラム103の表面とレンズアレイ506の光出射面506aとの間の間隔は、レンズアレイ506の焦点距離である約3mmに調整される。そうなるように、位置決めピン514は長さが決められて、保持体505に溶接若しくは接着により固定される。
【0035】
支持部材526は、リンク機構530を介し露光装置105を支持する。リンク機構530は大リンク部材535と小リンク部材536とを有し、大リンク部材535が保持体505を支持している。支持部材526は、例えば感光ドラム103の回転軸線方向に延びる長手形状の板金を、その長手方向に対し垂直に切断したときに略コの字状の断面となるように折り曲げられて形成される。そうすることで、支持部材526に上記のリンク機構530や後述のスライド部材525などを配置できるようにしている。支持部材526は、長手方向の一端側(前側)が前側板642に固定され、長手方向の他端側(後側)が後側板643に固定されることで、画像形成装置1の装置本体1Aに固定されている。
【0036】
支持部材526には、支持部材526の長手方向に移動可能なスライド部材525が設けられている。スライド部材525は画像形成装置1の前側に設けられたカバー558の開閉動作に伴い、支持部材526に対し前後方向にスライド移動する。スライド部材525が支持部材526に対してスライド移動することに応じて、大リンク部材535及び小リンク部材536が回動することにより、露光装置105が支持部材526に対して接離するように往復動される。以下、詳しく説明する。
【0037】
まず、露光装置105が図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態へ、即ち露光位置から退避位置へ移動する場合について説明する。カバー558が開かれることに応じて、スライド部材525は前側から後側へスライド移動する。スライド部材525が前側から後側へスライド移動すると、大リンク部材535は反時計回りに回動する。小リンク部材536は一端側が支持部材526に対して回動可能に接続されているため、大リンク部材535の回動に連動して支持部材526に対して時計回りに回動する。ここで、大リンク部材535の他端側は保持体505に対して回動可能に接続されているため、スライド部材525に連動して大リンク部材535が反時計回りに回動することで、保持体505が感光ドラム103から離れる方向へ移動する。こうして、露光装置105は露光位置から退避位置へ移動される。本実施形態では、露光装置105が退避位置にある場合、清掃部601の一部が保持体505の端部と支持部材526との間に入り込んで通過できるだけの隙間が長手方向に確保されている(後述する図10参照)。
【0038】
次に、露光装置105が図3(b)に示す状態から図3(a)に示す状態へ、即ち退避位置から露光位置へ移動する場合について説明する。カバー558が閉じられることに応じて、スライド部材525は後側から前側へスライド移動する。スライド部材が後側から前側へスライド移動すると、大リンク部材535は時計回りに回動する。同時に、小リンク部材536が反時計回りに回動する。こうしてスライド部材525に連動して大リンク部材535が時計回りに回動することで、保持体505が感光ドラム103に近付く方向へ移動する。こうして、露光装置105は退避位置から露光位置へ移動される。なお、本実施形態において、退避位置と露光位置とを移動する露光装置105の移動方向はレンズアレイ506の光軸方向と略一致する。
【0039】
図6に示すように、大リンク部材535の端部には、片持ち軸540が設けてある。一方、保持体505にはねじりコイルバネ547が張架されており、その一部に片持ち軸540がほぼ直交する方向で接している。大リンク部材535が時計回りに回動すると、片持ち軸540がねじりコイルバネ547を押して間接的に保持体505を押し上げる。そして、上記のように、保持体505には位置決めピン514が設けられている。リンク機構530によって保持体505が押し上げられ、この位置決めピン514の先端がドラムユニット518の所定位置に突き当たると、保持体505は停止する。即ち、リンク機構530のストロークは必要量より多めに設定されており、ねじりコイルバネ547がそのオーバーストロークを吸収しながら付勢することで、ドラムユニット518に対し保持体505を適切な位置に停止させることができるようにしている。こうしてドラムユニット518に対する保持体505の位置が決まったとき、感光ドラム103とレンズアレイ506の光出射面506a(図4参照)との間隔も決まって、露光装置105の露光位置への移動が完了する。
【0040】
なお、支持部材526の長手方向の一端側(前側)には、後述する清掃部材600(図7参照)が差し込まれる挿入ガイド550が設けられている。支持部材526は画像形成装置1の装置本体1Aに固定されることから、挿入ガイド550も画像形成装置1の装置本体1Aに固定される。挿入ガイド550は、装置本体に対し挿抜自在に設けられた清掃部材600の挿入時に、清掃部材600を保持体505に向けて正しく案内するために、清掃部材600の動きを規制している。
【0041】
<清掃部材>
ところで、既に述べている通り、レンズアレイ506の光出射面506aが感光ドラム103などから落下したトナーや紙粉などの異物によって汚れてしまうと、複数のレンズ507のうち汚れた箇所から出射される光が部分的に遮光される。これは、記録材Pに形成する画像に濃度むらなどの画像不良を生じさせる原因となるので好ましくない。そこで、レンズアレイ506(詳しくは光出射面506a)を清掃可能な清掃部材が予め用意されている。
【0042】
図7は、本実施形態の清掃部材600を示す斜視図である。図7に示すように、本実施形態の清掃部材600は、清掃部601と把持部602と棒状体603とを有する。細長い棒状に形成された棒状体603には、長手方向の一端側にレンズアレイ506を清掃するための清掃部601が設けられ、他端側に把持部602が設けられている。作業者は把持部602を把持して清掃部材600を画像形成装置1に対して抜き差しすることで、レンズアレイ506の光出射面506aを清掃することができる。
【0043】
清掃部材600は、例えば、画像形成装置1の前側に開閉可能に設けられたフロントカバーの内側に取り付けられる。ここで言うフロントカバーは画像形成装置1の前側に設けられ、ドラムユニット518や現像ユニット641などの交換や、清掃部材600を用いてレンズアレイ506の清掃を行うために、作業者によって開閉される扉である。作業者は、レンズアレイ506を清掃する必要が生じたとき、画像形成装置1のフロントカバーの内側から清掃部材600を取り外す。なお、清掃部材600はフロントカバーに設置されることに限らず、画像形成装置1のその他の部分に設置されてもよいし、また画像形成装置1に設置されていなくてもよい。あるいは、清掃が必要な都度、サービスマン(作業者)が清掃部材600を持参するようにしてもよい。
【0044】
ここで、清掃部材600を用いたレンズアレイ506の実際の清掃動作の概要について、図8を用いて説明する。作業者は露光装置105を清掃するために、まずフロントカバーを開け、その後にカバー558(図2(a)参照)をさらに開ける。本実施形態の場合、カバー558はフロントカバーの開閉に連動して開閉される。カバー558が開かれることに応じて、露光装置105は露光位置から退避位置に移動される。
【0045】
そして、作業者は開いたフロントカバーから清掃部材600を取り外し、取り外した清掃部材600を挿入ガイド550に差し込む。そうすると、差し込まれた清掃部材600の挿入方向先端に設けられた清掃部601が挿入ガイド550に導かれて、退避位置に移動されている露光装置105に挿入される。そして、詳しくは後述するように、作業者による清掃部材600の往復動に伴って、清掃部601は露光装置105を清掃しながら移動する。
【0046】
ところで、露光装置105において板金を曲げ加工した金属製の保持体505を用いる場合には、既述したように、樹脂製の保持体に比べると、清掃部材600をガイドするためのガイド溝を保持体505に形成することが容易でなかった。ただし、清掃部材600によりレンズアレイ506を確実に清掃させるためには、作業者により往復動される清掃部材600をガイドする必要がある。そこで、本実施形態では、既述した凸部を形成するなどの清掃部材600をガイドするための加工が施されていない保持体505、つまりはガイド溝が形成されていない保持体505を用いた場合に、清掃部材600をガイドできるようにしている。そうするために、本実施形態の清掃部601はレンズ507の光軸方向に関し、清掃部材600が露光装置105に挿入された状態で、感光ドラム103が配置される側と反対側の保持体505の端部に外側から接触し得るように形成されている。なお、ここでは「下面露光方式」を例に挙げているので、清掃部601は保持体505の下端部に外側から接触する。以下、それを実現するための構成について、図9(a)乃至図10を用いて説明する。
【0047】
本実施形態の清掃部601は、壁面部682を有する。壁面部682は、清掃部材600が露光装置105に挿入された状態で、レンズアレイ506に対向する位置に設けられている。そして、図9(a)及び図9(b)に示すように、壁面部682にはクリーニングブレード606が着脱自在に取り付けられている。クリーニングブレード606は例えば厚さ0.5mmのウレタンゴム製の可撓性を有する部材であり、壁面部682からレンズアレイ506側(内側)に向け例えば約3mm突出されるようにして固定されている。
【0048】
摺擦部材としてのクリーニングブレード606は、清掃部材600の往復動作に応じてレンズアレイ506を摺擦して、レンズアレイ506を清掃する。本実施形態の場合、レンズ507の光軸方向(図5(e)の点線Z参照)に交差し且つ棒状体603の長手方向に交差する幅方向に関し、クリーニングブレード606は壁面部682の略中央を基準に幅方向に延設されている。こうすると、清掃部材600の往復動作時に、クリーニングブレード606とレンズアレイ506との間の反力と、後述する突出部680a、681aと保持体505との間の反力とによって生じるモーメントを小さくし得る。その結果、清掃部材600が往復動された際に、清掃部601の姿勢が安定するので、作業者はスムーズにレンズアレイ506の清掃を行い得る。
【0049】
なお、上述したクリーニングブレード606の厚みや材質はあくまで一例を示すものであり、クリーニングブレード606は例えばシリコンゴム製や樹脂製であってもよい。また、クリーニングブレード606を用いる代わりに、スポンジで形成されたクリーニングパッド、あるいはスポンジ表面に不織布を貼ったクリーニングパッドなどを用いてよい。
【0050】
また、本実施形態の清掃部601は、対向壁部580(第一対向壁部)と対向壁部581(第二対向壁部)のそれぞれに対向して設けられた2つの側壁部680、681を有する。ここでは、幅方向に関し壁面部682の両端側に、互いに向かい合うようにして第1の側壁部680と第2の側壁部681とが設けられている例を示した。
【0051】
図10に示すように、これら側壁部680、681は壁面部682の両端側において、壁面部682から保持体505側に向けて延設されている。この側壁部680、681は、清掃部材600が露光装置105に挿入された状態で、保持体505の対向する対向壁部580、581の外側に位置する。即ち、清掃部601の挿入方向右側の側壁部680は保持体505の対向壁部580よりも図中右側(外側)に位置され、挿入方向左側の側壁部681は保持体505の対向壁部581よりも図中左側(外側)に位置される。言い換えれば、清掃部601は、側壁部680、681が保持体505を左右方向から挟むように配置されている。ただし、側壁部680と対向壁部580との間、また側壁部681と対向壁部580との間には、若干の隙間がそれぞれ確保されている。したがって、この隙間の分だけ、清掃部601は保持体505に対する左右方向の移動が許容される。
【0052】
さらに、本実施形態の清掃部601はレンズ507の光軸方向に関し、清掃部材600が露光装置105に挿入された状態で、感光ドラム103が配置される側と反対側の保持体505の下端部に外側から接触し得るように形成されている。具体的に、図9(a)に示すように、清掃部601の側壁部680、681には内側に突出する突出部680a、681aが形成されている。この突出部680a、681aは幅方向に関し、側壁部680、681からそれぞれに対向する保持体505の対向壁部580、581よりも内側に突出する長さに形成されている。また、突出部680a、681aはレンズ507の光軸方向に関し、対向壁部580、581の下端部に当接した状態で、壁面部682のクリーニングブレード606がレンズアレイ506に接触するように、側壁部680、681に形成されている。
【0053】
本実施形態では、突出部680a、681aと側壁部680、681とが規制部を構成する。即ち、清掃部601は清掃部材600の往復動作に伴って移動する際に、突出部680a、681aが対向壁部580、581それぞれの先端に対して、レンズ507の光軸方向において感光ドラム103が配置されている側とは反対側から突き当たる。これにより、清掃部601は保持体505に対するレンズ507の光軸方向への移動が規制される。本実施形態の場合、画像形成装置1は下面露光方式を採用した装置であるため、突出部680a、681aが対向壁部580、581それぞれの先端に鉛直方向の下方から突き当たる。こうして清掃部601のレンズ507の光軸方向への移動が規制されることによって、壁面部682に設けられたクリーニングブレード606はレンズアレイ506の光出射面に鉛直方向の上側から摺擦させた状態に維持される。
【0054】
また、清掃部601は側壁部680、681により、清掃部材600の往復動作に伴って移動する際に、保持体505に対する左右方向(副走査方向)への移動が規制される。清掃部601の左右方向への移動が規制されることによって、移動の際に清掃部601が保持体505から外れ難くなる。言い換えるならば、保持体505は、その全体が、クリーニングブレード606をレンズアレイ506に接触させた状態で保持体505を覆うように配置した清掃部601の長手方向への移動をガイドするガイドレールの如く機能する。これにより、清掃部601はクリーニングブレード606とレンズアレイ506との接触状態が維持されたまま、保持体505に対し長手方向に移動し得る。
【0055】
上述したように、突出部680a、681aが対向壁部580、581それぞれの先端に鉛直方向の下方から突き当たることで、清掃部601の保持体505に対する移動が「規制」されるが、若干の移動は許容される。具体的には、清掃部601がレンズアレイ506の光出射面に接触した状態であれば、清掃部601が感光ドラム103に近付く方向へ向けて移動しても構わない。例えば、部品間同士の公差の範囲内あるいは清掃部材600が保持体505に係合した状態での若干のがたつきの範囲内で、清掃部601の保持体505に対する移動が規制されればよい。
【0056】
以上のように、本実施形態では、レンズアレイ506を保持する金属製の保持体505に対し、清掃部材600が挿入された状態で、清掃部601の一部が感光ドラム103を配置した側と反対側の端部に外側から接触するようにした。そうするために、清掃部601には、クリーニングブレード606がレンズアレイ506に接触した状態で、保持体505の対向壁部580、581の下端部に当接する突出部680a、681aを側壁部680、681に形成した。こうした簡単な構成により、清掃部601の一部を保持体505の端部に外側から接触させることができ、もって清掃部601は保持体505に対するレンズ507の光軸方向への移動が規制される。これにより、清掃部601はクリーニングブレード606とレンズアレイ506との接触状態を維持したまま保持体505に対し往復動されるので、作業者は清掃部材600によるレンズアレイ506の清掃を適切に行うことが容易にできる。
【0057】
<他の実施形態>
なお、図10に示すように、保持体505は、対向壁部580、581において突出部680a、681aと摺擦する先端が、ヘミング曲げ等の曲げ加工によって鉛直方向の上側に向け折り曲げられて曲線状に形成されているのが好ましい。こうすることで、清掃動作に伴い摺擦された際に、金属製の保持体505によって清掃部601が削られてしまうことに起因して異物が生じるのを抑制できる。ただし、保持体505の形状や製造上の制約などによっては、保持体505において突出部680a、681aと摺擦する箇所を、上記のような曲線状に形成し難い場合がある。そうした場合は、図11に示すように、保持体505(詳しくは対向壁部580、581の下端部)と突出部680a、681aとの間に、潤滑部材としてのシール部材571を配置してよい。こうすることによっても、清掃動作に伴い清掃部601が削れることに起因して異物が生じるのを抑制できる。シール部材571は、対向壁部580、581の下端部に長手方向の全域に亘って設けられていてもよいし、あるいは突出部680a、681aに設けられていてもよい。
【0058】
なお、清掃部601は棒状体603に着脱自在に設けられていてもよい。棒状体603への清掃部601の装着手順について、図12(a)乃至図12(d)を用いて簡単に説明する。まず、清掃部601を棒状体603に装着する前に、図12(a)に示すように、清掃部601に設けられた孔608にクリーニングブレード606を挿入し固定しておく。そして、図12(b)及び図12(c)に示すように、清掃部601を棒状体603に対し、挿入方向手前側を支点として回動させる。清掃部601を棒状体603に対して回動させると、棒状体603の先端部609に設けられている凹部609aに、クリーニングブレード606のうち清掃部601から上端側に突出するように残されている上端部が収められる。そして、図12(d)に示すように、清掃部601に設けられているスナップフィット部610が棒状体603の被係合部に係合されて、清掃部601が棒状体603に固定される。なお、清掃部601だけでなく、把持部602も棒状体603に着脱自在に設けられていてよい。
【0059】
なお、上述した実施形態では、清掃部601において幅方向の両端部に突出部680a、681aが形成された側壁部680、681を有するものを示したが、これに限らない。例えば、図13に示すように、清掃部601において幅方向の一端側にのみ突出部680aが形成された側壁部680を有する、所謂片持ちの構成であってもよい。ただし、片持ちの構成とした場合、片持ちの側壁部680だけでは清掃部601の左右方向への移動の規制が難しくなり、移動の際に清掃部601が保持体505から外れやすくなる。そこで、片持ちの構成とした場合には特に、装置本体側に清掃部601の幅方向への移動を規制する規制部材691を設けるのが好ましい。この規制部材691は、例えば図示のようにドラムユニット518に設けられてよいし、あるいは現像ユニット641(図2(a)参照)に設けられてもよい。勿論、清掃部601において幅方向の両端部に突出部680a、681aが形成された側壁部680、681を有する場合であっても、この規制部材691を設けてもよい。また、片持ちの構成とした場合に、清掃部601の幅方向の他端側に、片持ちの側壁部680に向かい合うようにして、側壁部680よりも長さの短い規制壁部690を設けてもよい。図13に示した例の場合、規制壁部690は保持体505の対向壁部581に接触して、清掃部601の左右方向への移動を規制し得る。
【0060】
なお、本実施形態の画像形成装置1は図示を省略したが、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを上方から露光ユニット520Y、520M、520C、520Kにより露光する、所謂「上面露光方式」の画像形成装置にも適用可能である。また、画像形成装置1は、図1に示したような複数の画像形成部102Y、102M、102C、102Kを備えたフルカラー画像用の装置に限られず、例えばブラックの画像形成部102Kを1つだけ備えたモノクロ画像用の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…画像形成装置、1A…装置本体、103(103Y~103K)…感光ドラム、502…基板、503…発光素子(LED)、505…保持体、506…レンズアレイ、507…レンズ、571…潤滑部材(シール部材)、580…対向壁部(第一対向壁部)、581…対向壁部(第二対向壁部)、582…支持部、600…清掃部材、601…清掃部、603…棒状体、606…摺擦部材(クリーニングブレード)、680(681)…規制部(側壁部)、680a(681a)…規制部(突出部)、690…規制壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13