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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】省スペース機能付きリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   A61G 3/08 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
A61G3/08
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019544794
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017059034
(87)【国際公開番号】W WO2018081706
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】15/339,360
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519154494
【氏名又は名称】ヴァレダ カンパニー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルドナ,エドガード
(72)【発明者】
【氏名】ジラルディン,パトリック
【合議体】
【審判長】草野 顕子
【審判官】高橋 学
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-76704(JP,A)
【文献】実開昭58-182757(JP,U)
【文献】特開2007-222278(JP,A)
【文献】特開2006-290124(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2398547(GB,A)
【文献】実開平5-80924(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/08
A61G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リトラクタであって、
スプール、
前記スプールの周囲の少なくとも一部の周りに回転可能であるガイド、
前記スプールの周りに巻きついて、前記ガイドのガイド開口部を通って通過可能であるベルト、
所定の角度範囲内の前記ガイドの回転運動を制限する開口部を有するハウジング、及び
前記ハウジングの開口部に設けられた、前記スプールからのベルト取り出し角度を示す視覚的インジケータ、
を有する、リトラクタ。
【請求項2】
前記ベルトが前記スプールの上半分における前記ベルトの引き出し点から引き出される、請求項1に記載のリトラクタ。
【請求項3】
前記スプールは、少なくともマンドレルの両側近傍に位置するエンドプレートを有する前記マンドレルを備え、前記ガイドは離間したガイド部材によって分離された2枚のガイドプレートを備え、ここで前記ガイド開口部の上限及び下限は前記ガイド部材によって画定され、前記ガイドプレートは、前記マンドレルの両側を受容する開口部を有し、それにより、前記ガイドは、前記マンドレルの周りを回転することができ、前記ガイドプレートは、スラストベアリングにより前記エンドプレートから分離され、前記ベルトは、前記スプールの上半分における前記ベルトの引き出し点から引き出される、請求項1に記載のリトラクタ。
【請求項4】
車椅子用固定システムにおけるリトラクタであって、
スプール、
前記スプールの周囲の少なくとも一部の周りに回転可能であるガイド、及び
前記スプールの周りに巻きついて、前記ガイドのガイド開口部を通って通過可能であるベルト、を備え、
前記ベルトが、前記スプールにおける前記ベルトの引き出し点から、前記ガイドを通って、前記ベルトの終端が固定できる前記車椅子まで延び、前記ベルトが、前記スプールと前記車椅子との間でほぼ直線状に延び、
ハウジングの開口部に設けられた、前記スプールからのベルト取り出し角度を示す視覚的インジケータを含む、
リトラクタ。
【請求項5】
前記スプールは、少なくともマンドレルの両側近傍に位置するエンドプレートを有する前記マンドレルを備え、前記ガイドは離間したガイド部材によって分離された2枚のガイドプレートを備え、ここで前記ガイド開口部の上限及び下限は前記ガイド部材によって画定される、請求項1および4のいずれかに記載のリトラクタ。
【請求項6】
前記ガイドプレートは、前記マンドレルの両側を受容する開口部を有し、それによって前記ガイドが前記マンドレルの周りを回転することができる、請求項5に記載のリトラクタ。
【請求項7】
前記ガイドプレートが、スラストベアリングにより前記エンドプレートから分離される、請求項6に記載のリトラクタ。
【請求項8】
所定の角度範囲内の前記ガイドの回転運動を制限する開口部を有するハウジングを更に含む、請求項7に記載のリトラクタ。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記視覚的インジケータに隣接して配置されるゲージを含む、請求項1および4のいずれかに記載のリトラクタ。
【請求項10】
前記ゲージが、角度数および/または色を含む、請求項9に記載のリトラクタ。
【請求項11】
前記ガイドは、所定の角度でロック可能である、請求項1および4のいずれかに記載のリトラクタ。
【請求項12】
前記ガイドは、所定の角度に偏っている、請求項1および4のいずれかに記載のリトラクタ。
【請求項13】
車輪付き移動装置のための固定システムにおいて使用するように意図されたリトラクタであって、
スプールと、
前記スプールの周りに少なくとも部分的に巻かれ、前記スプールにおける前記ベルトの引き出し点から、ベルトの終端が、前記スプールと前記終端との間でほぼ直線状に固定され得る、前記車輪付き移動装置まで延びるように適合されるベルトと、を備え、
前記スプールは、ハウジング内に含まれ、前記ハウジングは、開口部を含み、前記ベルトが、前記スプールの上半分における前記ベルトの引き出し点から前記ベルトの終端のフックまでほぼ直線状に延びるとき、前記スプールの軸の周りを回転可能であるガイドを貫通して通過する、
リトラクタ。
【請求項14】
車輪付き移動装置のための固定システムにおいて使用するように意図されたリトラクタであって、
スプールであって、前記スプールは、ハウジング内に含まれ、前記ハウジングは、開口部を含む、スプールと、
前記スプールの周りに少なくとも部分的に巻かれるベルトの一部であって、前記ベルトが、前記スプールから前記開口部を通って、前記ベルトの終端が、前記スプールのベルトの引き出し点と前記終端との間でほぼ直線状に固定され得る、前記車輪付き移動装置まで延びるように適合される、ベルトの一部と、を備えるリトラクタ。
【請求項15】
前記開口部が、頂部開口部である、請求項14に記載のリトラクタ。
【請求項16】
前記頂部開口部は、ハウジングのベースの反対側である、請求項15に記載のリトラクタ。
【請求項17】
前記ベルトは、前記スプールの上半分で前記スプールを離れる、請求項14、15および16のいずれかに記載のリトラクタ。
【請求項18】
前記開口部内に配置された可動ガイドをさらに備え、前記ベルトは、前記可動ガイドを通って通過し、前記可動ガイドは、前記ベルトが、車輪付き可動装置と前記スプールとの間のほぼ真っすぐな経路で提示されるようにする、請求項15又は16に記載のリトラクタ。
【請求項19】
逆駆動する事象の間、前記可動ガイドを偏らせる付勢部材をさらに備える、請求項18に記載のリトラクタ。
【請求項20】
前記逆駆動する事象の間、前記付勢部材が、前記可動ガイドを所定の角度に偏らせる、請求項19に記載のリトラクタ。
【請求項21】
前記頂部開口部が、スプールのベルト取り出し角度を所定の角度範囲に制限するため前記可動ガイドの運動を制限する、請求項18~20のいずれか1項に記載に記載のリトラクタ。
【請求項22】
前記可動ガイドの運動を制限するロックをさらに備え、それによって、スプールのベルト取り出し角度が固定され得る、請求項18、19、20、および21のいずれかに記載のリトラクタ。
【請求項23】
前記スプールのベルト取り出し角度を示す角度インジケータをさらに備える、請求項14、15、16、17、18、19、20、21、および22のいずれかに記載のリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載され主張される実施形態は、概してリトラクタに関する。いくつかの実施形態では、リトラクタは、スプール上に巻き付くことからのねじれを防ぎ、ウェビングをスプール上の中心に保持し、及び/又はウェビングをスプールの頂部から引き出すウェビングガイドを有する。一用途では、リトラクタは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第62/341,570号に開示されている車椅子固定システムと共に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
車椅子固定用リトラクタは、数フィートのウェビング又は他のストラップを含むことが多い。その近位端で、ウェビングはスプールに取り付けられている。その自由端で、ウェビングはアンカー、通常はフックに取り付けられ、それは車椅子に係合して固定する。フックを車椅子に固定するためにリトラクタスプールからウェビングを引き出すとき、オペレータはウェビングにねじれを引き起こすことがあり、これはウェビングが引っ込められるときにリトラクタスプールに巻きつくことがある。これらのねじれは、リトラクタを詰まらせるか、そうでなければリトラクタの適切な機能を妨げる可能性がある一方で、ウェビングの摩耗も増加させる可能性がある。同様に、ウェビングがリトラクタに入ると、中心から外れて、リトラクタのギア/歯に支障をきたし、ギア/歯に損傷を受ける可能性がある。
【0003】
現在、ウェビングガイドにはいくつかの形式がある。これらのウェビングガイドは、スプールの周りに巻き取られている間、ウェビングを中心に保つという同じ目的を果たし、ウェビングのねじれを防ぐこともある。例えば、車椅子の固定産業においては、ウェビングをガイドするのを助けるように特に設計された「口」を有するリトラクタカバーを見つけることが一般的である。時々、リトラクタはリトラクタフレームの前方に取り付けられた小さな別々の構成要素を含むことがある。既存のウェビングガイドの全ての例において、それらの設計は、ウェビングがリトラクタから一点で出ることを可能にし、それがリトラクタを出るときにそのウェビングに関して限られた範囲の動きを提供するように制限されている。つまり、既存のガイドは、リトラクタから出るときのウェビングの角度からのいかなる変動にも適応できない「一点」ウェビングガイドとしての役割を果たす。固定角度設計のため、スペースの制約が大きい車椅子環境で使用される既存のリトラクタは、ウェビングが通常0度の角度でスプールから真っ直ぐ外に出る必要があるため、必要以上に広いスペースを占有し、フレームの前方に取り付けられたリトラクタハウジング又は他の構成要素の形態の別個のウェビングガイドを通過しなければならず、これらは両方とも必要とされるスペースを占有し続ける。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示され主張される実施形態は、既存のウェビングガイド設計の欠点の少なくともいくつかを解決する。一実施形態では、ウェビングガイドがスプールの軸を中心に回動可能であり、これによってベルトが任意の角度でリトラクタのスプールから引き出すことが可能になる。この設計はウェビングの取り出し点をリトラクタから後方にずらすことができ、それによって適切な車椅子の固定に必要なスペースを減少させ、同時にウェビングのねじれ及び偏心を防止し、それによってウェビングがリトラクタの歯/ギアに支障をきたしたり、ギア/歯が損傷を受けたりしない。
【0005】
第2の実施形態では、従来技術のようにリトラクタスプールの下側とは対照的に、ウェビングがリトラクタスプールの頂部から引き出されるようにリトラクタが設計されている。この設計はまた、取り出し点を後方にシフトさせ、既存のリトラクタによって使用されていたスペースの一部をさらに排除することができる。
【0006】
第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態の態様が組み合わされている。
【0007】
いくつかの実施形態では、リトラクタ用のハウジングは、開いた頂部を有し、指がリトラクタの頂部に入った結果としての露出したギア/歯との接触及び意図しない傷害からユーザを保護するように設計され得る。
【0008】
他の実施形態では、リトラクタは、ウェビングガイドの運動範囲を制限するように設計されてもよい。例えば、いくつかの国際規格は安全のために動作範囲を要求する。例えば、これらの角度が30度から50度である場合、回転ウェビングガイドをその範囲内でのみ動作可能に制限するようにリトラクタを設計することができる。
【0009】
他の実施形態では、ウェビングガイドは、所望の又は最適な動作角度(又は角度範囲)をユーザに警告するための視覚的インジケータを特徴とし得る。この視覚的インジケータは、実際の範囲を示す数値、又はベルト角度が有効な固定のための動作範囲内にあることを正又は負の色値を介して示すカラーシステムなどの多くの形態を含み得る。
【0010】
さらに他の実施形態では、回転ウェビングガイド用のロック可能な機構を提供することができる。そのような特徴は、保守、保管などの様々な目的のためにウェビングガイドを最適な角度に保持するため、又はリトラクタからのフックのより簡単な取り外しを可能にするために役立ち得る。
【0011】
さらに他の実施形態では、ウェビングガイドには、ばね荷重又は張力の偏りが与えられてもよい。そのような偏りは、ウェビングガイドを例えば90度などの所定の角度に押すことを容易にすることができる。90度になると、ウェビングガイドはクラッシュ時にウェビングが効果的に進入するのを容易にする角度になり、改善された後部可動域につながる。ばね荷重又は張力の偏りがないと、ウェビングガイドを90度の角度まで「押す」ためにウェビング自体が必要となり、それ故、ウェビングガイドを通ってリトラクタハウジング内にウェビングが容易に進入するのを妨げる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に記載され、主張される実施形態のこれら及び他の特徴、態様、目的、及び利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面を考慮するとよりよく理解されるようになる。
【0013】
図1図1は、省スペース機能を含むリトラクタの例示的な実施形態の斜視図である。
図2図2は、ハウジングを取り外した状態のリトラクタの第2の斜視図である。
図3図3は、リトラクタのスプールユニットの斜視図である。
図4図4は、スプールユニットの正面図である。
図5図5は、スプールユニットの分解図である。
図6図6Aは、典型的な従来技術のリトラクタで前方から固定された車椅子を示す図である。図6Bは、本明細書に記載のリトラクタの一実施形態を用いて前方から固定された車椅子を示す図である。
図7図7は、省スペース機能及び視覚的インジケータを含むリトラクタの第2の例示的実施形態の斜視図である。
【0014】
図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態はグラフィック記号、仮想線、概略図及び部分図によって示されることがあることを理解されたい。場合によっては、本明細書に記載及び主張している実施形態を理解するのに必要ではない、又は他の詳細を理解するのを困難にする詳細は省略されている。当然のことながら、本明細書に記載の発明は必ずしも例示した特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。実際、当業者であれば、本主張の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に示し説明した実施形態と類似及び同等の多数の代替構成を考案できることが予想される。
【0015】
以下の図面の詳細な説明において、図から図への類似又は類似の部分を指すのに類似の参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
省スペースの特徴を含むリトラクタ10の実施形態が図1図5に示されている。リトラクタ10は、スプールユニット100からウェビング40(又は他の種類のベルトもしくはストラップ)を通すための開口部30を有するハウジング20を含み得る。図示されるように、ウェビング40はその近位端でスプールユニット100に固定されてもよく、ある長さのウェビング40がスプールユニット100の周りに巻かれてもよい。リトラクタ10のスプールユニット100は、モータ60、減速ギア70、及び駆動シャフト80を使用して一方向又は両方向に動力を供給され得る。リトラクタ10には、追加的又は代替的に、スプールユニット100がウェビング40をスプールユニット100上に引っ張るようにするばね付勢が設けられてもよい。ウェビング40は、図示のようにスプールユニット100をスプールユニット100の頂部に残すように構成されてもよく、又はスプールユニット100をスプールユニット100の底部に残すように構成されてもよい。ウェビング40は、車椅子又は他の貨物に取り付けるために、図に示されるフック50のようなアンカーにその終端部で固定されてもよい。
【0017】
スプールユニット100は、1つ又は複数のスプロケット110、1つ又は複数のガイドプレート120、1つ又は複数のウェビングパッド130、1つ又は複数のベアリング140、1つ又は複数のエンドプレート150、1つ又は複数のマンドレル160、及び1つ又は複数のウェビングガイド部材170を含み得る。示されるように、スプールユニット100は、スプールユニット100の両側に配置された2つのスプロケット110を含み得る。各スプロケット110は、その周囲に係止爪(図示せず)と係合するための複数の歯116を含むことができる。係止爪(図示せず)は、歯116と選択的に係合してスプールユニット100を一方向又は両方向に係止する(すなわち、ウェビング40がリトラクタ10から引き出されるのを防ぐ、及び/又はウェビング40がリトラクタ10内に巻き取られるのを防ぐ)。スプロケット110はまた、それを通して駆動シャフト80を受けるための中央穴114を含み得る。中央穴114は、駆動シャフト80の形状に対応する形状を備えることができ、それによって、モータ60からのトルクは、減速ギア70、駆動シャフト80及びスプロケット110を介してスプールユニット100に伝達され得る。スプロケットはまた、マンドレル160上の1つ又は複数の突起(又は雄型係合部材)162を受容するための1つ又は複数の穴(又は雌型係合部材)112を含むことができ、これによってモーター60からのトルクは、スプロケット110を介してマンドレル160にさらに伝達され得る。穴112及び突起162は、図に示されている三日月形などの相補的な形状を有することができる。一実施形態では、突起162を穴112に圧入してスプールユニット100を一体として保持し、2つのスプロケット110の歯116と中央穴114とを整列させることができる。
【0018】
示されるように、スプールユニット100はまた、ウェビング40を保持するためのスプール145を含み得る。スプール145は、2つの間隔を置いて配置されエンドプレート150がその対向端部の近傍又は両端部でマンドレル160に取り付けられた1つのマンドレル160によって画定することができる。各エンドプレート150は、内向きタブ154を有する中央開口部152を含み得る。マンドレル160は、エンドプレート150の中央開口部152に挿入するために円形又は半円形に構成することができ、それによってウェビング40をマンドレル160に接続し、エンドプレート150の間でマンドレル160の周りに円筒形に巻き付けることができる。マンドレル160は、エンドプレート150を所定の位置に固定するために使用される溝164を含み得る。エンドプレート150を設置するために、エンドプレート150が溝164内に押し込まれるように、マンドレル160を少量圧縮することができる。マンドレル160がもはや圧縮されなくなると、マンドレル160はその元の直径に戻り、エンドプレート150を溝164内に捕捉して固定する。示されるように、マンドレル160は半円形であり、エンドプレート150上のタブ154を受ける間隙166を有する。タブ154は、マンドレル160の間隙166に係合するように構成され、それによってモータ60からのトルクは、マンドレル160を介してエンドプレート150にさらに伝達され、それによってマンドレル160及びエンドプレート150は一緒に回転する。
【0019】
さらに、スプールユニット100は、ウェビング40を受け入れてスプール145上にまっすぐにガイドし、ウェビング40のねじれがスプール145上に引き起こされるのを防止する、ガイド開口部175を有する回転可能なウェビングガイド115を含むことができる。ウェビングガイド115は、スプール145の周囲を中心に回転可能である。ウェビングガイド115は、ウェビング40をスプール145と整列させた状態に維持し、ウェビングがスプロケット110を横切るのを防止し、それにより早期摩耗を低減する。ウェビングガイド115の開口部175はまた、ウェビング40がスプール145内でねじれるのを防ぐウェビング40を可能にする狭く細長いスロットを提供する。ウェビングガイド115はさらに、ウェビング40がスプール145上の巻き付けウェビング40の周囲と常に直接の経路で提示されることを確実にすることができ、それによってリトラクタ及び固定点での負荷を軽減することができる。ウェビングガイド115は、図7に示すような視覚的インジケータ180を含み、これは、ベルト角度が有効な車椅子の固定のために最適化されていることを数値又は色値によってユーザに警告する。図7に示されるように、視覚的インジケータ180は、角度数(「45°」など)及び/又は通常の及び/又は最適な動作角度を示す色(緑色など)、及び角度数(「0°」及び/又は「90°」など)、及び/又は角度の上限及び/又は下限を示す色(赤色など)を有することができる、色付き又は線付きゲージ184に隣接するウェビングガイド115上の矢印インジケータ182を含むことができる。ウェビングガイド115は、ウェビングの侵入を最大にするためにガイド115を理想的な幾何学的形状に位置決めすることによって偏位を減少させるばね付勢をさらに備えてもよい。
【0020】
ガイド開口部175は、一対の間隔を置いて配置されたウェビングガイド部材170によって分離された2つの対向して配置されたガイドプレート120によって画定されてもよい。ガイド開口部175は、ウェビングガイド部材170とガイドプレート120との間に配置された一対のウェビングガイド部材170とウェビングパッド130とによって代替的に画定されてもよい。ウェビングガイド部材170は、ウェビング40がガイド開口部175を通過する際のウェビング40の磨耗を低減するために、湾曲又は滑らかな縁部及び/又は表面を有するシリンダ又は他の長手方向部材を含み得る。同様に、ウェビングパッド130には、ウェビング40がガイド開口部175を通過する際のウェビング40の摩耗を低減するために、湾曲又は滑らかな縁部及び/又は表面が設けられる。他の実施形態では、ガイド開口部175は、滑らかな又は湾曲した縁部を有する単一構造によって提供されてもよい。示されるように、ガイドプレート120は、ウェビングパッド130上の開口部134と整列する開口部124を含み得る。開口部124及び134は、ウェビングガイド部材170の両端部のねじ付き開口部174と係合するねじ135を受容し得る。この点に関して、ネジはガイドプレート120、ウェビングパッド130、及びウェビングガイド部材170を一緒に保持し、ネジが締め付けられるとウェビングパッド130はウェビングガイド部材170とガイドプレート120との間に拘束される。
【0021】
ウェビングガイド115のガイドプレート120は、マンドレル160の直径よりわずかに大きい直径を有する中央開口部122を含むことができ、それによって中央開口部122はマンドレル160を受容することができ、ウェビングガイド115はマンドレルの周りを回転することができる。ウェビングガイド115の幅はスプール145の幅よりもわずかに大きいので、図4に最もよく示されるように、ガイドプレート120はエンドプレート150の外側に位置するが、スプロケット110の内側に配置される。スラストベアリング140がエンドプレート150とガイドプレート120の各組の間に設けられており、これによりウェビングガイド115が、スプールユニット100の残りの構成要素から独立して、ウェビング40が、ガイド開口部175にある角度で進入し、ウェビングガイド115を横方向に引っ張る場合でも、その回転軸の周りを自由に回転できるようになる。いくつかの実施形態では、ウェビングガイド115は、ウェビング40をスプール145上にガイドして、360°の回転に沿って異なる角度でリトラクタケースに出入りすることを可能にする。ウェビングガイド115はスプール145の軸を中心に360°自由に回転し、ウェビング40が異なる角度でリトラクタケースを出ることを可能にする。その結果、リトラクタ10を様々な位置に設置して、物体を固定するのに必要なスペースを減らすことができる。例えば、図2に示されるリトラクタ10は、ウェビング40及びフック50がリトラクタ10の後部から出る場所(この場合、示されるように、ウェビング40はスプール145の底部からではなく、スプール145の頂部から外れる)で向きを変えることができる。いくつかの他の実施形態では、ウェビングガイド115の回転はある範囲の角度に制限されてもよい。例えば、図1に示す実施形態は、ウェビングガイドの回転運動を特定の所定の角度範囲に制限する開口部30を有するハウジング20を含む。
【0022】
(回転可能なウェビングガイドとスプールの頂部から引き出されるウェビングとを含む)図1図5に示されるリトラクタ10は、ウェビングが理想的にはリトラクタと車椅子との間に約35~55°の角度で延在し、スプールの底部からウェビングを出し、リトラクタの前方に位置決めされた固定ウェビングガイドを含む従来技術のシステムと比較すると、車椅子固定システムにおいて省スペースをもたらすことができる。省スペースは、図6A及び図6Bに最もよく示されている。スプールの底部(図6A)ではなくスプールの頂部(図6B)からウェビングを引き出すことによって、リトラクタからの取り出し点190は、スプールの先端ではなく、スプールの後端へと後方にシフトし、そしてDの省スペースが実現される。さらに、リトラクタの前部に固定して位置決めするのではなく(図6A)、ウェビングガイドを回転させることができるので(図6B)、従来技術のウェビングガイドによって占められるスペースDも省略される。両方の機能(すなわち、回転可能なウェビングガイド及び頂部から引き出されるウェビング)をリトラクタに組み込むことにより、車椅子をリトラクタにより近い総距離D(=D+D)に固定することが可能になり、それによって車椅子を固定するのに必要なスペースのサイズが縮小される。省略は、使用されているリトラクタの種類によって異なり、場合によっては、省スペースは最大6インチ(15.24センチメートル)以上になることがある。車椅子後部のリトラクタに同じ構成を使用すると(使用されている場合)、省スペースの合計を2倍にすることができる。
【0023】
本明細書に記載し、主張した発明は、特定の実施形態を参照してかなり詳細に記載されているが、当業者は本明細書に記載し、主張した発明を、限定目的ではなく、例示目的で提示したこれらの実施形態以外によっても実施できることを理解するであろう。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7