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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】イメージセンサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20241216BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L27/146 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020017961
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2020129795
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0015675
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 ミン 雄
(72)【発明者】
【氏名】金 昇 埴
(72)【発明者】
【氏名】安 正 チャク
(72)【発明者】
【氏名】李 宰 圭
(72)【発明者】
【氏名】任 東 模
(72)【発明者】
【氏名】趙 東 錫
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221261(WO,A1)
【文献】米国特許第10103193(US,B1)
【文献】国際公開第2005/083790(WO,A1)
【文献】特開2006-245522(JP,A)
【文献】特開2013-207321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0140305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/33
H04N 23/11
H04N 23/20 -23/30
H04N 25/00
H04N 25/20 -25/61
H04N 25/615-25/79
H01L 27/14 -27/148
H01L 29/76
H10K 39/32 -39/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光に反応して電荷を生成するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードから転送される電荷を格納するフローティング拡散領域と、
転送信号に応答して前記フォトダイオードを前記フローティング拡散領域に連結する転送トランジスタと、
前記フローティング拡散領域の容量を拡張するためのダイナミックレンジキャパシタと、
高照度モードの動作時には前記ダイナミックレンジキャパシタと前記フローティング拡散領域とを連結し、低照度モードの動作時には前記ダイナミックレンジキャパシタから前記フローティング拡散領域を遮断する2重変換利得トランジスタと、
リセット信号に応答して前記2重変換利得トランジスタと電源電圧とを連結するリセットトランジスタと、
前記フローティング拡散領域の電位を増幅する駆動トランジスタと、を備え、
前記ダイナミックレンジキャパシタは、前記フローティング拡散領域とは異なる半導体層にシリンダー型の電極及び誘電体で形成され、
前記低照度モードは、前記高照度モードが終了した後に開始され
前記2重変換利得トランジスタのソースは、前記フローティング拡散領域に接続され、
前記リセットトランジスタのドレインは、電源電圧に接続され、
前記ダイナミックレンジキャパシタの一端は、前記2重変換利得トランジスタと前記リセットトランジスタとの間に接続され、
前記ダイナミックレンジキャパシタの他端は、前記駆動トランジスタのドレインに接続されることを特徴とするイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関し、より詳細には、ワイドダイナミックレンジ(Wide Dynamic Range)イメージセンサ及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサの品質を表すに当たって、重要な判断基準となるものの一つがダイナミックレンジ(Dynamic Range)である。ダイナミックレンジは、一般的に入力信号を歪曲せずに信号を処理できる最大の範囲を示す。イメージセンサの場合には、ダイナミックレンジが広いほど広い照度範囲内で鮮明なイメージを得ることができる。
【0003】
一般的に、イメージセンサは、ダイナミックレンジが狭くて特定のカラーの飽和状態になると、イメージの元の色をよく表現できない限界を有している。これらのダイナミックレンジが狭い欠点を克服するために、ワイドダイナミックレンジ(Wide Dynamic Range:WDR)ピクセルを実現するための多様な技術が試みられている。例えば、イメージセンサにおいて光の照射時間を調節しながらワイドダイナミックレンジ(WDR)を実現するようにする技術や、フローティング拡散領域(Floating Diffusion:以下、FD)の容量を増加させる方法などがある。
【0004】
しかし、上述した技術の実現時には、比較的大きな面積が必要であるか、又は高照度と低照度のイメージの併合時に発生する信号対雑音比ディップ(SNR dip)の問題から解放されない。従って、小さい面積でも実装可能であり、低照度及び高照度のイメージの併合時に発生する信号対雑音比ディップがないワイドダイナミックレンジ(WDR)技術が切実に要求されている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2018/0182807号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0324916号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0347049号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0203956号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0317061号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0276572号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0141079号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0332022号明細書
【文献】米国特許第9,077,922号明細書
【文献】米国特許第9,607,971号明細書
【文献】米国特許第9,337,228号明細書
【文献】米国特許第10,026,771号明細書
【文献】米国特許第9,613,994号明細書
【文献】米国特許第9,749,569号明細書
【文献】米国特許第6,975,355号明細書
【文献】米国特許第6,927,796号明細書
【文献】米国特許第10,021,331号明細書
【文献】米国特許第9,774,801号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】David Schor, “IEDM 2017: Sony’s 3-layer stacked CMOS image sensor technology”, https://fuse.wikichip.org/news/763/iedm-2017-sonys-3-layer-stacked-cmos-image-sensortechnology,February 3, 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、小面積でも実装可能であり、低照度及び高照度イメージの併合時に発生する信号対雑音比ディップが少ないワイドダイナミックレンジ(WDR)のピクセルイメージセンサ及びその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるフローティング拡散領域と電源電圧との間に形成されるダイナミックレンジキャパシタを含むイメージセンサの駆動方法は、フォトダイオードからのオーバーフロー電荷を前記フローティング拡散領域及び前記ダイナミックレンジキャパシタに集積する段階と、前記集積されたオーバーフロー電荷によって前記フローティング拡散領域に形成された第1の電圧をサンプリングする段階と、前記フォトダイオード、前記フローティング拡散領域、及び前記ダイナミックレンジキャパシタを前記電源電圧に連結してリセットする段階と、前記リセットされたフローティング拡散領域のリセットレベルをサンプリングする段階と、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を前記フローティング拡散領域に転送する段階と、前記フローティング拡散領域に形成された第2の電圧をサンプリングする段階と、を有する。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるイメージセンサは、入射する光に反応して電荷を生成及び蓄積するフォトダイオードと、前記フォトダイオードから転送される電荷を格納するフローティング拡散領域と、転送信号に応答して前記フォトダイオードを前記フローティング拡散領域に連結する転送トランジスタと、前記フローティング拡散領域の容量を拡張するためのダイナミックレンジキャパシタと、高照度モードの動作時には前記ダイナミックレンジキャパシタと前記フローティング拡散領域とを連結し、低照度モードの動作時には前記ダイナミックレンジキャパシタから前記フローティング拡散領域を遮断する2重変換利得トランジスタと、リセット信号に応答して前記2重変換利得トランジスタと電源電圧とを連結するリセットトランジスタと、を備え、前記ダイナミックレンジキャパシタは、前記フローティング拡散領域とは異なる半導体層にシリンダー型の電極及び誘電体で形成される。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様によるイメージセンサの駆動方法は、フォトダイオードからのオーバーフロー電荷を第1のフルウェルキャパシティ(full well capacity)に集積(Integrate)する段階と、前記第1のフルウェルキャパシティに集積されたオーバーフロー電荷によって形成された第1の電圧をサンプリングする段階と、フローティング拡散領域のリセットレベルをサンプリングする段階と、前記フォトダイオードに蓄積された(Accumulated)電荷を前記第1フルウェルキャパシティよりも小さい第2フルウェルキャパシティに集積(Integrate)する段階と、前記第2フルウェルキャパシティに集積された電荷によって形成された第2の電圧をサンプリングする段階と、前記第1の電圧及び前記リセットレベルを使用して高照度のイメージ信号を生成し、前記第2の電圧及び前記リセットレベルを相関2重サンプリング方式で処理して低照度のイメージ信号を生成する段階と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、小面積でも実装可能になってピクセルの縮小に有利であり、信号対雑音比ディップが少ない高感度のイメージが提供可能なイメージセンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるイメージセンサを示すブロック図である。
図2図1のピクセルアレイを構成するピクセルセンサの垂直構造を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態による一つのピクセルセンサの構成を示す回路図である。
図4】本発明の一実施形態によるピクセルセンサの駆動方法の一例を示すタイミング図である。
図5】本発明の一実施形態による高照度モードで動作するピクセルセンサの特徴を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による高照度モードで動作するピクセルセンサの特徴を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による低照度モードで動作するピクセルセンサの特徴を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による低照度モードで動作するピクセルセンサの特徴を示す図である。
図9】本発明の一実施形態によるピクセルセンサを使用してワイドダイナミックレンジ(WDR)を実現するイメージセンサの動作方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態によるイメージセンサの拡張されたダイナミックレンジを示すグラフである。
図11】本発明の効果を簡単に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。上記一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が例として理解されるべきであり、請求された発明の付加的な説明が提供されるものとみなすべきである。参照符号が本発明の実施形態に記載されており、その例が図面に表示されている。いくつかの可能な場合にも、同じ参照符号が同じ又は類似の部分を参照するために説明及び図面に使用される。
【0014】
以下、イメージセンサ(Image Sensor)が、本発明の特徴及び機能を説明するための例として使用される。しかし、この技術分野に精通した人は、ここに記載された内容に基づいて、本発明の他の利点及び性能を容易に理解し得る。本発明は、他の実施形態を通じて実現又は適用される。更に、詳細な説明は、本発明の範囲、技術的思想、及び他の目的から逸脱せずに、視点及びアプリケーションに応じて修正又は変更される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるイメージセンサを示すブロック図である。図1を参照すると、イメージセンサ100は、ピクセルアレイ110、行デコーダ120、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)130、出力バッファ140、及びタイミングコントローラ150を備える。
【0016】
ピクセルアレイ110は、2次元的に配列された複数のピクセルセンサ(Pixel Sensor)を含む。各々のピクセルセンサは、光信号を電気信号に変換する。ピクセルアレイ110は、行デコーダ120からの選択信号SEL、リセット信号RG、2重変換利得制御信号DCG、及び転送信号TGのようなセンサ駆動信号によって制御される。また、センサ駆動信号に応答して、各々のピクセルセンサによって検出された電気信号は、複数の列ラインCLmを介してアナログ/デジタルコンバータ130に提供される。
【0017】
ピクセルアレイ110に含まれる複数のピクセルセンサは、各々ダイナミックレンジキャパシタCDRを含む。ピクセルセンサは、高照度モードの動作時に、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用してフォトダイオード(Photo Diode:以下、PD)からオーバーフロー(Over-flow)した電荷を格納する。高照度モードの動作時に、フォトダイオードPDで光露出による光電荷が蓄積(Accumulate)される。そしてフォトダイオードPDからオーバーフローした電荷は、飽和(Saturation)せずに、フローティング拡散領域FDによる容量CFD及びダイナミックレンジキャパシタCDRによる容量に収容される。例えば、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、好ましくは限られた面積の中で十分な容量を提供するシリンダー型のキャパシタで構成される。ピクセルセンサの各々の構造及び動作は、後述する図面を介して詳しく説明する。
【0018】
行デコーダ120は、タイミングコントローラ150の制御に基づいて、ピクセルアレイ110のいずれか1つの行を選択する。行デコーダ120は、複数の行の中からいずれか1つの行を選択するために選択信号SELを生成する。そして行デコーダ120は、選択された行に対応するピクセルに対してリセット信号RG及び転送信号TGを順次活性化させる。そうすると、選択された行のピクセルセンサの各々から生成された高照度のセンシング信号S1、リセットレベルR、低照度のセンシング信号S2が、順次的にアナログ/デジタルコンバータ130に伝達される(図4参照)。
【0019】
アナログ/デジタルコンバータ130は、高照度のセンシング信号S1、リセットレベルR、及び低照度のセンシング信号S2をデジタル信号に変換して出力する。図示していないが、アナログ/デジタルコンバータ130は、相関2重サンプリング(Correlated Double Sampling)方式によって、高照度のセンシング信号S1、リセットレベルR、及び低照度のセンシング信号S2をサンプリングした後に、デジタル信号に変換する。このために、アナログ/デジタルコンバータ130の前段に相関2重サンプラー(Correlated Double Sampler:CDS)が含まれる。
【0020】
出力バッファ140は、アナログ/デジタルコンバータ130によって提供された各々の列単位のイメージデータをラッチして出力する。出力バッファ140は、タイミングコントローラ150の制御に基づいて、アナログ/デジタルコンバータ130から出力されたイメージデータを一時的に格納し、その後列デコーダ(図示せず)によって、順次的に、ラッチされたイメージデータを出力する。
【0021】
タイミングコントローラ150は、ピクセルアレイ110、行デコーダ120、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)130、出力バッファ140などを制御する。タイミングコントローラ150は、ピクセルアレイ110、行デコーダ120、アナログ/デジタルコンバータ130、出力バッファ140などの動作のために、クロック信号(Clock signal)、タイミング制御信号(Timing control signal)などのような制御信号(Control signals)を供給する。タイミングコントローラ150は、ロジック制御回路(Logic control circuit)、位相ロック・ループ(Phase Lock Loop:PLL)回路、タイミング制御回路(Timing control circuit)、通信インターフェース回路(Communication interface circuit)などを含む。
【0022】
以上、本発明の一実施形態によるイメージセンサ100の構成を簡単に説明した。特に、ピクセルアレイ110を構成するピクセルセンサの各々は、ピクセルセンサ内で積層可能であり、信号ラインの構成が簡単なシリンダー型のダイナミックレンジキャパシタCDRを含む。ダイナミックレンジキャパシタCDRを介したピクセルセンサの各々は、限られた面積の中で十分な容量を提供する。加えて、ダイナミックレンジキャパシタCDRを含むピクセルセンサを低照度モード及び高照度モードで駆動する場合には、低照度と高照度とのイメージの併合時に発生する信号対雑音比ディップが少ないワイドダイナミックレンジ(WDR)を実現することができる。
【0023】
図2は、図1のピクセルアレイを構成するピクセルセンサの垂直構造を示す断面図である。図2を参照すると、ピクセルセンサ110aは、積層された複数の板構造(Plate structure)で構成される。例えば、1つのピクセルセンサは、下板111、上板112、透明電極層113、カラーフィルタ114、及びマイクロレンズ115を含む。
【0024】
下板111には、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)を含む多様なロジック回路が形成される。下板111に形成されるイメージセンサの構成は、図示したものだけに限定されない。例えば、下板111には、出力バッファ140(図1参照)やメモリが形成される。或いは、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)は、下板111ではないピクセルセンサの外部から提供される可能性もある。
【0025】
上板112には、フォトダイオードPD、フローティング拡散領域FD、トランジスタ、及びダイナミックレンジキャパシタCDRが形成される。上板112にピクセルセンサを構成するための基本的な構成が形成される。フォトダイオードPDは、有機物質(Organic)、量子ドット(Quantum Dot:QD)、a-Si、又は化合物半導体などの材料であり、薄膜(Thin film)の形態で製造される。フォトダイオードPDに蓄積された光電荷は、ビア(Via)のような構造及び転送トランジスタTXを介してフローティング拡散領域(FD)に転送される。特に、ピクセルセンサが高照度モードで駆動される場合に、フォトダイオードPDに蓄積された光電荷は、オーバーフロー(Over-flow)してダイナミックレンジキャパシタCDR及びフローティング拡散領域FDに伝達される。
【0026】
高照度モードで、フォトダイオードPDからオーバーフロー(Over-flow)した大量の光電荷を収容するために、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、図示したように、シリンダー型で提供される。キャパシタ(Capacitor)の容量は、一般的に、キャパシタの有効表面積と誘電体の誘電率とに比例する。高照度モードでオーバーフロー(Over-flow)した光電荷を蓄積する容量を提供するために、本発明のダイナミックレンジキャパシタCDRは、大幅に増加したキャパシタの有効表面積を有する。例えば、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、ディーラム(DRAM)のメモリ用キャパシタの形態で形成される。即ち、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、少なくとも一つのシリンダー型のキャパシタで形成される。
【0027】
ダイナミックレンジキャパシタCDRは、上部及び下部の電極にポリシリコンを使用し、誘電膜にSiO/SiNを使用するSIS(Silicon-Insulator-Silicon)形態のシリンダーで構成される。このようなキャパシタの形態は、一般的なディーラム(DRAM)セルのキャパシタに対応する形態である。しかし、ダイナミックレンジキャパシタCDRの構造は、この開示に限定されず、デザインルールの変更や多様な条件の変更に応じて、多様な形態に変更可能である。
【0028】
上板112の上部には、透明電極層113、カラーフィルタ114、及びマイクロレンズ115が形成される。透明電極層113は、例えば、薄型メタル(Thin metal)、グラフェン(Graphene)、透明導電性酸化膜(Transparent Conducting Oxide:TCO)などで形成される。カラーフィルタ114は、異なる波長の光を透過させる。カラーフィルタ114は、ピクセルアレイ110の構造に応じていずれか1つのピクセルセンサに複数のフィルタを含む。更に、カラーフィルタ114の上部には、マイクロレンズ115を含む。
【0029】
以上、例示した本発明のピクセルセンサは、ワイドダイナミックレンジ(WDR)の実現のためのダイナミックレンジキャパシタCDRを含む。ダイナミックレンジキャパシタCDRは、好ましくは少なくとも一つのシリンダー型のキャパシタ構造で形成される。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による一つのピクセルセンサの構成を示す回路図である。図3を参照すると、ピクセルセンサ112aは、一つのフォトダイオードPD、5つのNMOSトランジスタ(TX、RX、DX、SX、DCGX)、及びダイナミックレンジキャパシタCDRを含む構造で実現される。ピクセルセンサ112aは、図2の上板112に形成される回路構成に対応する。
【0031】
ダイナミックレンジキャパシタCDRの一端は、リセットトランジスタRXと2重変換利得トランジスタDCGXとの間に連結される。例えば、ダイナミックレンジキャパシタCDRの一端は、リセットトランジスタRXのソース(Source)又は2重変換利得トランジスタDCGXのドレイン(Drain)に連結される。ダイナミックレンジキャパシタCDRの他端は、電源電圧VPIXに連結される。
【0032】
高照度モード時に、リセットトランジスタRXがターンオフ(Turn-off)され、2重変換利得トランジスタDCGXがターンオン(Turn-on)されると、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、フローティング拡散領域FDに連結される。高照度モード時に、フォトダイオードPDからフローティング拡散領域FDにオーバーフロー(Over-flow)した電荷がダイナミックレンジキャパシタCDRによって共有(Sharing)される。高照度モードでは、フォトダイオードPDからオーバーフローした大量の電荷がダイナミックレンジキャパシタCDRによって捨てられずに集積(Integrate)される。即ち、フォトダイオードPDからオーバーフローした大量の電荷が捨てられずに相対的に高い照度下で検出されたイメージ情報として使用される。
【0033】
低照度モードで、2重変換利得トランジスタDCGX)がターンオフすると、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、フローティング拡散領域FDから電気的に遮断される。従って、低照度モード時にフォトダイオードPDからフローティング拡散領域FDに転送される電荷は、フローティング拡散領域FDのみに格納される。フローティング拡散領域FDによって提供される容量に電荷が格納されるため、より高い変換利得(High Conversion Gain)及び低ノイズ特性が提供される。
【0034】
ダイナミックレンジキャパシタCDRの構造は、上述したディーラム(DRAM)のメモリ用キャパシタに類似したシリンダー型で形成される。シリンダー型のキャパシタ構造を介して、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、高照度モードでフォトダイオードPDからオーバーフローした大量の電荷を十分に収容することができる。
【0035】
フォトダイオードPDは、入射光の光量や光の強度に応じて電荷を生成及び蓄積する光検出素子である。フォトダイオードPDは、フォトトランジスタ(Photo Transistor)、フォトゲート(Photo Gate)、埋め込みフォトダイオード(Pinned Photo Diode:PPD)などでも実現される。
【0036】
転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をフローティング拡散領域FDに転送する。転送トランジスタTXは、一般的に1つのトランジスタで構成され、行デコーダ120から提供される転送信号TGに応答してスイッチングされる。本発明の転送トランジスタTXは、高照度モード時に、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を効果的にフローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに転送するように特性が設定される。即ち、転送トランジスタTXは、高照度モード時に、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷がフローティング拡散領域FD側に効果的に転送されるレベルの電位障壁を有するようにチューニングされる。
【0037】
フローティング拡散領域FDは、入射する光量に対応する電荷を検出する機能を有する。フローティング拡散領域FDは、フォトダイオードPDから提供される電荷を転送信号TGが活性化される時間の間に集積する。フローティング拡散領域FDは、ソースフォロワ(Source follower)増幅器として駆動されるドライブトランジスタDXのゲート端に連結される。フローティング拡散領域FDには、リセットトランジスタRX及び2重変換利得トランジスタDCGXによって電源電圧VPIXが提供される。
【0038】
リセットトランジスタRXは、フローティング拡散領域FDをリセット信号RGに応答してリセットする。リセットトランジスタRXのソースは、2重変換利得トランジスタDCGXのドレインに連結される。そして、2重変換利得トランジスタDCGXのソースは、フローティング拡散領域FDに連結される。リセット信号RG及び2重変換利得制御信号DCGが活性化されると、リセットトランジスタRX及び2重変換利得トランジスタDCGXがターンオンする。そうすると、電源電圧VPIXがフローティング拡散領域FDに伝達される。この場合、フローティング拡散領域FDに集積された電荷は電源電圧VPIXに放出され、フローティング拡散領域FDの電圧は電源電圧VPIXのレベルにリセットされる。
【0039】
2重変換利得トランジスタDCGXは、2重変換利得制御信号DCGに応答してピクセルセンサの変換利得(Conversion Gain)を可変する。2重変換利得トランジスタDCGXは、高照度モードでターンオンされ、低照度モードでターンオフされる。即ち、高照度モードで、2重変換利得制御信号DCGが活性化されて2重変換利得トランジスタDCGXがターンオンされると、ダイナミックレンジキャパシタCDRはフローティング拡散領域FDに連結されてフォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を集積する。一方、低照度モードで、2重変換利得制御信号DCGが非活性化されて2重変換利得トランジスタDCGXがターンオフされると、ダイナミックレンジキャパシタCDRはフローティング拡散領域FDから遮断される。従って、2重変換利得トランジスタDCGXによって、高照度モードと低照度モードとで異なる変換利得が提供される。
【0040】
ドライブトランジスタDXは、フローティング拡散領域FDに対するソースフォロワアンプ(Source Follower Amplifier)の役割を提供する。ドライブトランジスタDXは、フローティング拡散領域FDの電気的ポテンシャルの変化を増幅し、これを、選択トランジスタSXを経由して列ラインCLiに伝達する。
【0041】
選択トランジスタSXは、行単位で読み出すピクセルセンサを選択するときに使用される。選択トランジスタSXは、行単位で提供される選択信号SELによって駆動される。選択トランジスタSXがターンオンされると、ドライブトランジスタDXを介して、フローティング拡散領域FDのポテンシャルが増幅されて選択トランジスタSXのドレインに伝達される。転送トランジスタTX、リセットトランジスタRX、選択トランジスタSXの駆動信号ライン(TG、RG、SEL)は、同じ行に含まれる単位ピクセルが同時に駆動されるように、行方向(水平方向)に延長される。
【0042】
以上、本発明の一実施形態によるピクセルセンサ112aの構造を例として説明した。本発明の実施形態によるダイナミックレンジキャパシタCDRは、金属酸化膜半導体(MOS)のキャパシタや金属/絶縁体/金属(MIM)キャパシタでは提供できない大容量を提供する。従って、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用すると、高照度モード時にフォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を集積することができる。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態によるピクセルセンサの駆動方法を例として示すタイミング図である。図4を参照すると、ピクセルセンサ112aは、高照度モードで、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用することで、オーバーフローした電荷の損失なしにセンシングを行うことができる。
【0044】
T0の時点で、ピクセルセンサ112aに提供されるリセット信号RG、2重変換利得制御信号DCG、及び転送信号TGがターンオンされると、リセットトランジスタRX、転送トランジスタTX、及び2重変換利得トランジスタDCGXがターンオンされて、フローティング拡散領域FD及びフォトダイオードPDが電源電圧VPIXに連結される。フローティング拡散領域FD及びフォトダイオードPDに存在する電荷は、電源電圧VPIX側に放出される。その結果、フローティング拡散領域FD及びフォトダイオードPDがリセットされる。
【0045】
T1の時点で、高照度モードが開始される。即ち、T1の時点後に、2重変換利得制御信号DCGはハイレベルを維持し、リセット信号RG及び転送信号TGはローレベルを維持する。2重変換利得制御信号DCGがハイレベルである状態で、リセット信号RGがローレベルに提供されるに伴い、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、フローティング拡散領域FDに連結される。即ち、フローティング拡散領域FDのキャパシタCFDとダイナミックレンジキャパシタCDRとが並列連結される。加えて、転送信号TGのローレベル状態によって、転送トランジスタTXは、ターンオフされる。このような状態下で、多量の光がフォトダイオードPDに入射すると、フォトダイオードPDでは光電変換が発生する。光電変換によって生成された電荷は、優先的にフォトダイオードに蓄積され始める。
【0046】
T2の時点で、フォトダイオードPDに蓄積された電荷がオーバーフローし始める。フォトダイオードPDで光電変換による電荷生成及び電荷蓄積に基づいて転送トランジスタTXのゲート電位障壁を越えてオーバーフローした電荷がフローティング拡散領域FDに移る。即ち、オーバーフローした電荷がフローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに集積されると、フローティング拡散領域FDの電圧VFDは、電源電圧VPIXから次第に減少し始める。
【0047】
高照度モードが終了する前の時点((3)で表示)で、高照度モードでのサンプリングが行われる。即ち、高照度モードでのサンプリングによってフォトダイオードPDからオーバーフローした電荷によってフローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに充電された電荷量に対応する第1の電圧S1がサンプリングされる。
【0048】
T3の時点で、リセット信号RGがハイレベルに遷移すると、リセットトランジスタRXがターンオンされる。高照度モード区間で、フローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに充電された電荷は、リセットトランジスタRXを経由して電源電圧VPIXに放出される。それにより、フローティング拡散領域FDの電圧VFDは、電源電圧VPIXのレベルにリセットされる。
【0049】
T4の時点で、リセット信号RG及び2重変換利得制御信号DCGが各々ローレベルに遷移すると、2重変換利得トランジスタDCGXがターンオフされてフローティング拡散領域FDとダイナミックレンジキャパシタCDRとは、電気的に遮断される。加えて、フローティング拡散領域FDは、電源電圧VPIXからも遮断される。これは、高照度モードが終了したことを意味する。
【0050】
T4の時点とT5の時点との間で、リセット後に、安定化されたフローティング拡散領域FDの電圧がリセットレベルRとしてサンプリングされる。即ち、フローティング拡散領域FDが安定的なリセット状態を維持する時点((4)で表示)で、リセットレベルRがサンプリングされる。
【0051】
T5の時点で、転送信号TGがハイレベルに遷移する。T5の時点で、低照度モードが始まる。転送トランジスタTXがターンオンされ、フォトダイオードPDに蓄積された電荷がフローティング拡散領域FDに移動する。このとき、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、フローティング拡散領域FDから遮断された状態である。従って、フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、フローティング拡散領域FDのみに移動する。
【0052】
T6の時点で、転送信号TGがローレベルに遷移すると、転送トランジスタTXは、ターンオフされ、フォトダイオードPDに蓄積された電荷のフローティング拡散領域FDへの移動は遮断される。
【0053】
T6の時点とT7の時点との間((5)で表示)で、低照度モードサンプリングが行われる。即ち、低照度モードサンプリングによってフローティング拡散領域FDに充電された電荷量に対応する第2の電圧S2がサンプリングされる。
【0054】
T7の時点で、リセット信号RG及び2重変換利得制御信号DCGがハイレベルに遷移されると、フローティング拡散領域FDに充電された電荷は、リセットトランジスタRXを経由して電源電圧VPIXに放出される。それにより、フローティング拡散領域FDの電圧VFDは、電源電圧VPIXのレベルにリセットされる。
【0055】
以上のタイミング図に説明したように、本発明のイメージセンサは、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用する高照度モードでは、低い変換利得(Low Conversion Gain)を提供する。そして、本発明のイメージセンサは、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用しない低照度モードでは、高い変換利得(High Conversion Gain)を提供して低ノイズ及び高感度のサンプリングを行うことができる。従って、本発明のイメージセンサを介して効率的にワイドダイナミックレンジ(WDR)の機能を実現することができる。
【0056】
図5図6は、本発明の一実施形態による高照度モードで動作するピクセルセンサの特徴を示す図である。図5は、高照度モードで、ダイナミックレンジキャパシタCDRによって実現される低い変換利得条件を示す回路図である。図6は、高照度モードで、本発明のピクセルセンサ112aのポテンシャル状態を示す図である。
【0057】
図5を参照すると、高照度モードで、ピクセルセンサ112aのフローティング拡散領域FDは、ダイナミックレンジキャパシタCDRに電気的に連結される。即ち、本発明の高照度モードでは、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷が放出されず、拡張されたフルウェルキャパシティ(Full Well Capacity:FWC)に格納される。拡張されたフルウェルキャパシティFWCによるフローティング拡散領域FDのポテンシャルの変化は、オーバーフローする電荷量に比べて相対的に小さくなる。即ち、高照度モードで、ピクセルセンサ112aの変換利得(Conversion Gain)は小さくなる。このために、ピクセルセンサ112aに提供される2重変換利得制御信号DCGは活性化され、2重変換利得トランジスタDCGXがターンオンされる。2重変換利得トランジスタDCGXは、高照度モードで動作する区間で、常にターンオンの状態に維持される。このような2重変換利得トランジスタDCGXのターンオン区間は、上述した図4の時間の区間(T1~T3)に該当する。
【0058】
2重変換利得トランジスタDCGXのターンオンによってフォトダイオードPDからオーバーフローした電荷は、フローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに蓄積される。シリンダー型のキャパシタで提供されるダイナミックレンジキャパシタCDRによって、ピクセルセンサ112aのフルウェルキャパシティFWCは、フローティング拡散領域FDによって提供される容量CFDに比べて大幅に増加(例えば、約100倍以上)する。ダイナミックレンジキャパシタCDRの活用を通じて、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷は、捨てられずに高照度の光を検出してサンプリングするのに寄与する。
【0059】
図6は、2重変換利得トランジスタDCGXがターンオンされた状態で、増加したフルウェルキャパシティFWCを使用した高照度モードのセンシング動作を示す。高照度モードでのピクセルセンサ112aのフルウェルキャパシティFWCは、フローティング拡散領域FDの容量CFDとダイナミックレンジキャパシタCDRとを加えた値になる。従って、高照度モードでは、フローティング拡散領域FDの容量CFDよりも、はるかに大きいフルウェルキャパシティFWCが提供される。このようなフルウェルキャパシティFWCの増加の条件下で、高照度モードの動作は、大きく3つの段階に区分することができる。このような3つの段階は、上述した図4において、各時点((1)、(2)、(3))に対応する。
【0060】
先ず、(1)の時点で、高照度モードの初期動作であるフォトダイオードPDの電荷蓄積(Accumulation)の段階が進行する。一般的に、フォトダイオードPDでは、入射光に応答して光電変換が発生し、転送トランジスタTXがターンオンされるまで生成された電荷が蓄積される。転送トランジスタTXのチャンネルの電位障壁によって、フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、フローティング拡散領域FDに移動できずに遮断される。ここで、フローティング拡散領域FDとダイナミックレンジキャパシタCDRとの連結によるフルウェルキャパシティFWCが大幅に増加した状態であることを確認することができる。即ち、フルウェルキャパシティFWCは、フローティング拡散領域FDとダイナミックレンジキャパシタCDRとの容量の合計(CFD+CDR)に対応することが確認される。
【0061】
(2)の時点で、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷がフローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに格納されるオーバーフローの段階を示す。一般的に、フォトダイオードPD内に収容される最大容量値を超える電荷が生成されると、電荷は、オフ状態にある転送トランジスタTXのチャンネルの電位障壁(Channel potential barrier)を超えてオーバーフローする。このような現象はブルーミング(Blooming)現象と称される。ブルーミング現象によって、オーバーフローした電荷が、オフ状態にある転送トランジスタTXのチャンネルの電位障壁を超えて他のピクセルセンサのフォトダイオードPDに広がるようになる。このようなブルーミング(Blooming)現象を防ぐためには、オーバーフローした電荷が放出されて捨てられる必要がある。
【0062】
本発明のピクセルセンサ112aは、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を放出させずに、フローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに格納する。本発明のダイナミックレンジキャパシタCDRを介して確保されるフルウェルキャパシティFWCの大きさは、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を十分に収容することができる。図示したように、オーバーフローした電荷の集積によってフローティング拡散領域FDの電位は、低くなる。
【0063】
(3)の時点で、高照度モードでオーバーフローした電荷によって形成されたフローティング拡散領域FDの電圧がサンプリング(又は、読み出し)される。即ち、高照度モードで、オーバーフローした電荷量に対応するフローティング拡散領域F)の電位がサンプリングされる。高照度モードでのフローティング拡散領域FDの電圧S1をサンプリングする動作を第1のサンプリングと称する。
【0064】
以上、図5図6の説明を通じて、本発明における高照度モードの動作を説明した。高照度モードで、本発明のピクセルセンサ112aは、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用して格納することができる。本発明は、オーバーフローした電荷を放出させずに低い変換利得でサンプリングすることにより、高照度の光が飽和せずにセンシングされるワイドダイナミックレンジ(WDR)を実現する。
【0065】
図7図8は、本発明の一実施形態による低照度モードで動作するピクセルセンサの特徴を示す図である。図7は、低照度モードで、ダイナミックレンジキャパシタCDRがフローティング拡散領域FDから遮断されることによって実現される高い変換利得(High Conversion Gain:HCG)条件を示す回路図である。図8は、低照度モードで、本発明のピクセルセンサ112aのポテンシャル状態を示す図である。
【0066】
図7を参照すると、低照度モードで、ピクセルセンサ112aのフローティング拡散領域FDは、ダイナミックレンジキャパシタCDRから電気的に遮断される。即ち、本発明の低照度モードで、フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、フローティング拡散領域FDのみに格納される。比較的に小容量のフローティング拡散領域FDを使用するサンプリングによって、低照度モードでは、高い変換利得(HCG)を提供することができる。このために、ピクセルセンサ112aに提供される2重変換利得制御信号DCGは非活性化され、2重変換利得トランジスタDCGXがターンオフされる。一方、リセット信号RGは活性化され、リセットトランジスタRXがターンオンされる。2重変換利得トランジスタDCGXは、低照度モードで動作する区間で、常にターンオフの状態に維持される。このような2重変換利得トランジスタDCGXのターンオン動作の区間は、上述した図4の時間の区間(T6~T7)に該当する。
【0067】
リセットトランジスタRXのターンオン及び2重変換利得トランジスタDCGXのターンオフ状態によってフォトダイオードPDに蓄積された電荷は、転送トランジスタTXがターンオンされると、フローティング拡散領域FDに格納される。低照度モード時に、ダイナミックレンジキャパシタCDRからの遮断によって、ピクセルセンサ112aのフルウェルキャパシティFWCは、高照度モード時に比べて急激に減少する。低照度モードのサンプリングを通じて、低ノイズ及び高感度のイメージセンシングが可能になる。
【0068】
図8は、図4に示した2つの時点((4)、(5))でのポテンシャルの状態を示す。先ず、時点(4)では、フローティング拡散領域FDのリセット、及びリセットされたフローティング拡散領域FDのリセットレベルRをサンプリングする動作が行われる。時点(5)では、低照度モードでのフローティング拡散領域FDの電圧レベルS2をサンプリングする第2のサンプリング動作が遂行される。
【0069】
高照度モードでの第1のサンプリングが完了すると、ピクセルセンサ112aのフローティング拡散領域FDはリセットされる。即ち、2重変換利得トランジスタDCGX及びリセットトランジスタRXがターンオンされて、フローティング拡散領域FDに蓄積された電荷は、電源電圧VPIXに放出される。フローティング拡散領域FDのリセットが完了すると、リセットレベルRに対するサンプリングが行われる。リセットレベルRのサンプリングは、転送トランジスタTX及びリセットトランジスタRXがターンオフされた状態で行われる。
【0070】
リセット動作及びリセットレベルRのサンプリングが完了すると、T5の時点とT6の時点との間で転送トランジスタTXがターンオンされる。そうすると、低照度モードでフォトダイオードPDに蓄積された電荷がフローティング拡散領域FDに流入する。低照度モードで、フローティング拡散領域(FD)は、ダイナミックレンジキャパシタCDRから電気的に遮断される。低照度モードで、フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、フローティング拡散領域FDのみに格納される。低照度モードでのピクセルセンサ112aのフルウェルキャパシティFWCは、フローティング拡散領域FDの容量CFDに対応する。従って、転送トランジスタTXがターンオンされると、比較的に電荷が高速でフローティング拡散領域FDに充電される。
【0071】
フォトダイオードPDからフローティング拡散領域FDへの電荷転送が完了すると、転送トランジスタTXは、ターンオフされる。そして低照度モードで、集積された電荷量によって形成されたフローティング拡散領域FDの電位レベルS2がサンプリングされる第2のサンプリングS2が遂行される。低照度モードで、フルウェルキャパシティFWCの減少に応じたピクセルセンサ112aは、相対的に低ノイズ及び高感度で動作する。
【0072】
以上、本発明の実施形態による時点毎のピクセルセンサのポテンシャル状態を簡単に説明した。本発明では、高照度及び低照度で異なるフルウェルキャパシティFWCを提供して、ワイドダイナミックレンジ(WDR)を構成することができる。
【0073】
図9は、本発明の一実施形態によるピクセルセンサを使用してワイドダイナミックレンジ(WDR)を実現するイメージセンサの動作方法を示すフローチャートである。図9を参照すると、本発明のイメージセンサ(100、図1参照)は、電荷を失わずにワイドダイナミックレンジ(WDR)のイメージをサンプリングすることができる。
【0074】
S110のステップで、イメージセンサ100は、高照度モードでダイナミックレンジキャパシタCDRを使用してフォトダイオードPDからオーバーフローした電荷を失わずに蓄積する。即ち、高照度モードで、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、フローティング拡散領域FDに連結される。このような状態で、フォトダイオードPDに蓄積(Accumulated)された電荷がオーバーフローし始める。オーバーフローした電荷は、ダイナミックレンジキャパシタCDR及びフローティング拡散領域FDによって提供される容量(CFD+CDR)に集積(Integrate)される。オーバーフローした電荷(例えば、負電荷)の集積により、フローティング拡散領域FDのポテンシャルは、電源電圧VPIXよりも次第に低くなる。
【0075】
S120のステップで、高照度モードでの第1のサンプリングが行われる。即ち、高照度モードでのサンプリングによって、フォトダイオードPDからオーバーフローした電荷によってフローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに集積された電荷量に対応する第1の電圧S1がサンプリングされる。
【0076】
S130のステップで、フローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRのポテンシャルはリセットされる。即ち、高照度モードで、フローティング拡散領域FD及びダイナミックレンジキャパシタCDRに集積された電荷は、リセットトランジスタRXを経由して電源電圧VPIXに放出される。それにより、フローティング拡散領域FDの電圧VFDは、電源電圧VPIXレベルにリセットされる。
【0077】
S140のステップで、フローティング拡散領域FDのリセットレベルRがサンプリングされる。リセット後に、2重変換利得トランジスタDCGXがターンオフされると、フローティング拡散領域FDとダイナミックレンジキャパシタCDRとは、電気的に遮断される。それにより、フローティング拡散領域FDのポテンシャルは、リセットレベルRに安定化される。すると、リセットレベルRがサンプリングされる。
【0078】
S150のステップで、低照度モードが開始される。転送トランジスタTXがターンオンされ、フォトダイオードPDに蓄積された電荷がフローティング拡散領域FDに移動する。このとき、ダイナミックレンジキャパシタCDRは、フローティング拡散領域FDから遮断された状態である。従って、フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、フローティング拡散領域FDのみに移動する。
【0079】
S160のステップで、低照度モードでのサンプリングに対応する第2のサンプリングが行われる。転送トランジスタTXは、ターンオフされ、フローティング拡散領域FDに集積された電荷が提供する電位がサンプリングされる。即ち、第2のサンプリングによってフローティング拡散領域FDに集積された電荷に対応する第2の電圧S2がサンプリングされる。
【0080】
S170のステップで、高照度モードでサンプリングされた光に対応する第1のサンプリング信号(S1’=S1-R)、及び低照度モードでサンプリングされた光に対応する第2のサンプリング信号(S2’=S2-R)が計算される。ここで、第1のサンプリング信号(S1’=S1-R)は無相関2重サンプリング方式により生成され、第2のサンプリング信号(S2’=S2-R)は相関2重サンプリング方式により生成される。
【0081】
S180のステップで、高照度モード(HIM)でのイメージ信号に対応する第1のサンプリング信号S1’と、低照度モード(LIM)でのイメージ信号に対応する第2のサンプリング信号S2’との併合が行われる。
【0082】
上述したように、本発明のイメージセンサ100は、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用する高照度モードで低い変換利得(Low Conversion Gain)を提供する。そして、本発明のイメージセンサは、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用しない低照度モードで高い変換利得(Low Conversion Gain)を提供して低ノイズ及び高感度のサンプリングを行うことができる。従って、本発明のイメージセンサを介して効率的にワイドダイナミックレンジ(WDR)の機能を実現することができる。
【0083】
図10は、本発明の一実施形態によるピクセルセンサの拡張されたダイナミックレンジを示すグラフである。図10を参照すると、本発明のピクセルセンサ112aは、ダイナミックレンジを拡張するためにフルウェルキャパシティFWCを制御することにより、信号対雑音比ディップを著しく減らすことができる。
【0084】
低照度モード(LIM)で、ピクセルセンサ112aのフルウェルキャパシティFWCは、フローティング拡散領域FDによって提供される容量CFDに対応する。ここで、フローティング拡散領域の容量CFDを約10keVと仮定すると、光の強度Iまで、低照度モード(LIM)で飽和せずにセンシングされる。
【0085】
そして、光の強度Iよりも大きい高照度モード(HIM)では、フルウェルキャパシティFWCがダイナミックレンジキャパシタCDRを使用して拡張される。それにより、フォトダイオードPDからオーバーフローする電荷を収容することができる。即ち、ダイナミックレンジキャパシタCDRを介して提供される容量CDRが約1MeVと仮定すると、100倍以上のダイナミックレンジに拡張される。従って、本発明のピクセルセンサ112aは、光の強度I以下に対応する照度では飽和せずに線形的な特性を提供する。
【0086】
本発明の実施形態によるピクセルセンサ112aの動作方式によると、オーバーフローする電荷の量をサンプリングする際にもフローティング拡散領域FDを介してサンプリングを行う。従って、信号の併合時に、低照度の信号と高照度の信号との間に線形性(Linearity)を維持することができる。
【0087】
図11は、本発明の効果を簡単に示すグラフである。図11は、光の強度によるピクセルセンサ112aの信号対雑音比(SNR)の曲線をフルウェルキャパシティFWCの大きさに応じて図示している。
【0088】
曲線C1は、ダイナミックレンジキャパシタCDRを適用しないデフォルトの動作モードにおける信号対雑音比(SNR)を示す。例えば、フルウェルキャパシティFWCの大きさが2fFであるフローティング拡散領域FDの容量CFDのみが提供される場合の特徴を曲線C1に示している。曲線C2は、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用したフルウェルキャパシティFWCの大きさが32fFに拡張された場合の信号対雑音比(SNR)の特徴を示している。この場合、デフォルトの動作モードでは、信号対雑音比(SNR)に比べて約4dBの信号対雑音比ディップが示される。曲線C3は、ダイナミックレンジキャパシタCDRを使用したフルウェルキャパシティFWCの大きさが64fFに拡張された場合の信号対雑音比(SNR)の特徴を示している。この場合、デフォルトの動作モードでは、信号対雑音比(SNR)に比べて約7dBの信号対雑音比ディップが示される。
【0089】
本発明のピクセルセンサ112aの駆動方法によると、ダイナミックレンジが変化する場合には、信号対雑音比ディップが存在するが、発生する信号対雑音比ディップの大きさは、大きくないことが分かる。
【0090】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 イメージセンサ
110 ピクセルアレイ
111 下板
112 上板
112a ピクセルセンサ
113 透明電極層
114 カラーフィルタ
115 マイクロレンズ
120 行デコーダ
130 アナログ/デジタルコンバータ(ADC)
140 出力バッファ
150 タイミングコントローラ
DR ダイナミックレンジキャパシタ
FD フローティング拡散領域による容量
CLi、CLm 列ライン
DCG 2重変換利得制御信号
DCGX 2重変換利得トランジスタ
DX ドライブトランジスタ
FD フローティング拡散領域
FWC フルウェルキャパシティ
PD フォトダイオード
R リセットレベル
RG リセット信号
RX リセットトランジスタ
S1、S2 高照度、低照度のセンシング信号
SEL 選択信号
SX 選択トランジスタ
TG 転送信号
TX 転送トランジスタ
FD フローティング拡散領域の電圧
PIX 電源電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11