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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】牽引台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20241216BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20241216BHJP
   B62D 61/00 20060101ALI20241216BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20241216BHJP
   B62B 3/14 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B62B3/02 F
B62B3/00 A
B62D61/00
B62B5/00 C
B62B3/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020106918
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001471
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.2020年2月19日~21日 国際物流総合展2020 INNOVATION EXPOにて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】592184706
【氏名又は名称】SBS東芝ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸義
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳奈
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108795(JP,A)
【文献】特開2019-156382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0225007(US,A1)
【文献】独国実用新案第202007011085(DE,U1)
【文献】独国特許出願公開第10116546(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
B62D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向に対して直交する方向に対の突起を有する第1台車の前記対の突起の間に挿入可能、且つ、前記第1台車を前記走行方向に複数配置可能なフレーム、及び、前記フレームの前端に固定され、前記第1台車の幅と同じか又は大きい幅に形成され、重力方向に立設される矩形枠状の縦フレームを有する基部を具備するベースと、
前記走行方向の前方端部の下面に設けられた、前記走行方向に対して直交する方向に前記ベースを間に挿入可能に離間する突起状の一対の被保持部を有し、前記第1台車と異なる前記対の突起を有さない第2台車を内側に複数配置可能な枠状に形成され、内側に配置した前記第2台車の荷台の側面に当接可能であるか又は載置物を載置可能である固定フレームを有するサブベースと、
前記ベース及び前記固定フレームに設けられた複数のキャスターと、
前記ベースに固定され、搬送車に連結可能な第1連結部と、
を備え、
前記固定フレームは、前端に、孔が形成された一対のアーム及び前記孔に挿入される一対のピンを有する被連結部を有し、
前記基部は、前記縦フレームに設けられ前記ピンが挿入されるとともに、前記アームの前記孔と重ねられる孔が形成された第2連結部を有し、
前記走行方向に対して直交する方向において、前記一対のアームの間隔及び前記第2連結部の間隔は、前記一対の被保持部の間隔よりも大きい、牽引台車。
【請求項2】
前記ベースは、後端に前記第1台車の移動を規制するストッパーを有する、請求項1に記載の牽引台車。
【請求項3】
前記固定フレームは、前記第2台車が通過可能なゲートを有し、
前記サブベースは、前記ゲートを開閉する可動フレームを有する、請求項1に記載の牽引台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、牽引台車に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産ライン等において荷物を積載及び移動するための器具として、台車やパレットが知られている。台車やパレットは、例えば、搬送車に連結または載置され、積載した荷物とともに搬送される。搬送車としては、例えば、床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、無人走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)が知られている。また、AGVによって牽引されることで、複数の台車を搬送できる牽引台車も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6464304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した牽引台車は、内側に台車を配置する構成であることから、牽引台車の幅が大きくなる。このため、牽引台車を走行させる走行路に求められる幅が大きくなる。AGVの走行ルートは、工場内に敷設されることから、場所によっては、走行路が狭いことや、人の歩行領域の確保等も要求されることがある。
【0005】
また、牽引台車は、搬送車に牽引されるところ、カーブする搬送路を走行するときに、牽引台車の走行ラインが膨らむことを抑制できる必要がある。例えば、キャスターに固定輪を用いることが考えられるが、固定輪はその構造上、台座部分が大きくなり、牽引台車に取り付けるときに、設置用の面積が大きくなる、という問題もある。これは、牽引台車の幅方向の寸法を大きくする要因ともなる。これらのことから、幅寸法が小さい牽引台車が求められる。
【0006】
また、牽引台車の幅寸法が大きくなると、牽引台車の保管場所に広いスペースを要することや、使用する材料が多くなることから重量が重くなる、という観点からも、幅寸法が小さい牽引台車が求められる。
【0007】
そこで、本発明は、複数の台車を牽引可能であって、幅寸法を小さくできる牽引台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様として、牽引台車は、走行方向に対して直交する方向に対の突起を有する第1台車の前記対の突起の間に挿入可能、且つ、前記第1台車を前記走行方向に複数配置可能なフレーム、及び、前記フレームの前端に固定され、前記第1台車の幅と同じか又は大きい幅に形成され、重力方向に立設される矩形枠状の縦フレームを有する基部を具備するベースと、前記走行方向の前方端部の下面に設けられた、前記走行方向に対して直交する方向に前記ベースを間に挿入可能に離間する突起状の一対の被保持部を有し、前記第1台車と異なる前記対の突起を有さない第2台車を内側に複数配置可能な枠状に形成され、内側に配置した前記第2台車の荷台の側面に当接可能であるか又は載置物を載置可能である固定フレームを有するサブベースと、前記ベース及び前記固定フレームに設けられた複数のキャスターと、前記ベースに固定され、搬送車に連結可能な第1連結部と、を備え、前記固定フレームは、前端に、孔が形成された一対のアーム及び前記孔に挿入される一対のピンを有する被連結部を有し、前記基部は、前記縦フレームに設けられ前記ピンが挿入されるとともに、前記アームの前記孔と重ねられる孔が形成された第2連結部を有し、前記走行方向に対して直交する方向において、前記一対のアームの間隔及び前記第2連結部の間隔は、前記一対の被保持部の間隔よりも大きい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の台車を牽引可能であって、且つ、台車牽引時の幅を小さくできる牽引台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図2】同牽引台車の構成を示す斜視図。
図3】同牽引台車の構成を示す分解斜視図。
図4】同牽引台車の構成を示す側面図。
図5】同牽引台車の構成を示す平面図。
図6】本発明の第2の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図7】同牽引台車の構成を示す分解斜視図。
図8】同牽引台車に用いられるサブベースの構成を示す分解斜視図。
図9】同サブベースの構成を示す平面図。
図10】本発明の第3の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図11】本発明の第4の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図12】本発明の第5の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図13】同引台車の構成を示す斜視図。
図14】本発明の第6の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る牽引台車1を図1乃至図5を参照して説明する。
【0012】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る牽引台車1の構成を示す斜視図である。なお、図1は、牽引台車1に平台車200を配置した状態を示し、図2は、平台車200を配置するときの状態を示す。図3は、牽引台車1の構成を示す分解斜視図である。図4は、牽引台車1の構成を示す側面図であり、図5は、牽引台車1の構成を示す平面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、牽引台車1は、連結部12により搬送車100に連結され、搬送車100の移動に伴い、キャスター13により床面に沿って移動する。また、牽引台車1は、ベース11により平台車200を複数保持した状態で搬送車100により牽引される。
【0014】
先ず、搬送車100及び平台車200の説明をする。
【0015】
搬送車100は、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の無人搬送車や、ターレットトラック等の有人搬送車である。搬送車100は、例えばAGVであり、本実施形態においては搬送車100をAGV100として、以下説明する。AGV100は、例えば、工場の構内における荷物の搬送のため、搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、無人走行する。AGV100は、牽引台車1に連結される被連結部100aを有する。
【0016】
平台車200は、荷台211と、荷台211に取り付けられる複数のキャスター212と、を備える。荷台211は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成される。また、荷台211は、下面に、一方向に所定の間隔を開けて突出する対の突起211aを含む。ここで、一方向とは、平台車200が牽引台車1に配置されたときに、牽引台車1の走行方向に対して直交する方向(幅方向)である。また、対の突起211aの所定の間隔とは、対の突起211a間に牽引台車1の後述するベース11を配置可能な間隔である。例えば、対の突起211aは、幅方向で所定の間隔を有して配置されていればよい。例えば、図4及び図5に示すように、走行方向に並んで二箇所に対の突起211aが設けられる、所謂二対の突起211aであってもよく、幅方向で一方の突起211aが1つ設けられる一対の突起211aであってもよい。また、突起211aの形状は、矩形柱状であってもよく、また、主面が走行方向に延設される平板状であってもよい。
【0017】
キャスター212は、荷台211を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台211の四隅に一つずつ設けられる。四つのキャスター212は、例えば自在輪である。
【0018】
次に、牽引台車1について説明する。図1乃至図5に示すように、牽引台車1は、ベース11と、連結部12と、複数のキャスター13と、を備える。図1乃至図5に示すように、ベース11は、フレーム21と、基部22と、ストッパー23と、を備える。フレーム21は、一方向に長い棒状に形成される。例えば、フレーム21は、一方向に長い複数の矩形柱状又は矩形筒状のシャフト21aを長手方向に直交する方向(幅方向)に所定の間隔を開けて複数、例えば、3つ並列に配置し、連結することで形成される。フレーム21は、一端に基部22が設けられ、他端にストッパー23が設けられる。フレーム21は、両端に設けられた基部22及びストッパー23の間に複数の平台車200、例えば、本実施形態においては6台の平台車200を配置可能な長さに設定される。
【0019】
フレーム21の幅は、平台車200の対の突起211aの間隔より若干小さい幅に形成される。即ち、フレーム21は、対の突起211a間に配置可能な幅に設定される。フレーム21の幅方向の側面は、平台車200に設けられた対の突起211aと幅方向で対向することで、平台車200が幅方向へ移動したときに、対の突起211aの内面と当接し、幅方向への平台車200の移動を規制する。
【0020】
基部22は、フレーム21の前端に固定される。基部22は、フレーム21の長手方向に直交する方向に長い。基部22の幅は、例えば、平台車200の幅と同じ幅か又は若干大きい幅に設定される。基部22は、平台車200の側面と当接可能に構成される。即ち、基部22は、フレーム21に配置された複数の平台車200のうち、最前に位置する平台車200の前側面と当接することで、平台車200の進行方向の移動を規制する。
【0021】
また、基部22は、平台車200、平台車200に載置した荷物、及び、走行ルート上の障害物等と接触したときのための複数の緩衝材を含む。具体例として、例えば、基部22は、平台車200と当接する後面に設けられた第1緩衝材22aと、重力方向に立設される矩形枠状の縦フレーム22bと、縦フレーム22bに設けられる第2緩衝材22cと、縦フレーム22bの幅方向の下端側に設けられる第3緩衝材22dと、を備える。
【0022】
第1緩衝材22aは、平台車200が当接したときの衝撃を吸収する。縦フレーム22bは、矩形枠状の主面方向が、幅方向となる姿勢で、基部22に設けられる。第2緩衝材22cは、平板状に形成され、主面方向が幅方向及び重力方向に延設される。例えば、第2緩衝材22cは、複数の矩形柱状の部材を組み合わせることで平板状に形成される。第2緩衝材22cは、ベース11の進行方向で前端側に設けられ、台車200の荷台211、311に載置した荷物の進行方向への転倒や飛び出し等の移動を規制する。
【0023】
第3緩衝材22dは、縦フレーム22bの下端側部に設けられる。第3緩衝材22dは、走行路上の障害物と接触したときの衝撃を緩衝し、障害物又は縦フレーム22bの破損等を抑制する。第1緩衝材22a、第2緩衝材22c及び第3緩衝材22dは、衝撃を緩衝可能、又は、非接触物を保護可能に、弾性変形可能な部材、例えば、ゴム部材、発泡性樹脂材料又は中空部材で形成されたクッション等により形成される。
【0024】
ストッパー23は、フレーム21の後端に回転可能に固定される。ストッパー23の一端は、例えば、固定用のボルト23aによって、フレーム21の後端に回転可能に固定される。ストッパー23は、図2に示すフレーム21の長手方向に沿った横姿勢及び図1に示すフレーム21の長手方向に直交する方向に沿った立姿勢の2つの姿勢間で回転する。また、ストッパー23は、横姿勢及び立姿勢のそれぞれにおいて、固定され、該姿勢を維持できる。ストッパー23の各姿勢における固定方法は適宜設定でき、例えば、固定ピンによって固定してもよく、また、ロック機構を設ける構成であってもよい。図2に示すように、ストッパー23は、横姿勢において、横姿勢における上面が、フレーム21の上面と面一か、又は、フレーム21の上面よりも低い。
【0025】
また、図1及び図5に示すように、ストッパー23は、立姿勢において、立姿勢における上面(先端)が、フレーム21の上面よりも高く、且つ、平台車200の荷台211の下面よりも高い。即ち、図1及び図4に示すように、立姿勢のストッパー23は、平台車200の側面と当接可能に形成される。これにより、ストッパー23は、横姿勢において、フレーム21へ平台車200を配置可能とし、そして、立姿勢において、フレーム21へ配置された平台車200の進行方向とは逆の方向への移動を規制する。
【0026】
ストッパー23の他端の幅方向の各角部23bは、例えば、面取り状に傾斜される。換言すると、ストッパー23の他端は、漸次幅が小さくなるように、ボルト23aでフレーム21に接続される端部側から他端(先端)側に向かって傾斜する。ここで、ストッパー23の他端(先端)とは、固定用のボルト23aによってフレーム21に固定される端部とは反対側の端部であり、横姿勢においては後端となり、立姿勢においては上端となる。ストッパー23の他端の角部23bは、傾斜することで、平台車200の対の突起211a間を挿入するときの案内面となる。
【0027】
連結部12は、ベース11とAGV100とを連結可能に構成される。具体例として、図1乃至図5に示すように、連結部12は、例えば、ベース11の基部22に固定される。図3に示すように、連結部12は、例えば、基部22に固定される取付部31と、取付部31と一体に設けられ、AGV100の被連結部100aに固定される固定部32と、を備える。取付部31は、例えば、基部22の縦フレーム22bに固定される。
【0028】
固定部32は、取付部31から延びる棒状に形成され、AGV100の被連結部100aに固定可能に構成される。例えば、AGV100の被連結部100aが円柱状のピンを有する構成である場合には、固定部32は、先端にピンが挿入される孔を有し、ピンと孔とが係合することで、固定部32が被連結部100aに固定される。なお、牽引台車1が走行ルートのうちカーブのルートを走行しやすいよう、固定部32は、取付部31及び被連結部100aの少なくとも一方に対して、進行方向及び幅方向の双方に直交する方向(重力方向)に沿った軸周りで回転可能に接続される。
【0029】
図3に示すように、キャスター13は、フレーム21又は基部22に取り付けられる取付部13aと、取付部13aに設けられた本体13bと、本体13bに車軸を介して取り付けられた車輪13cと、を備える。例えば、キャスター13は、取付部13aをボルト座として、ボルト13d等によってフレーム21又は基部22に取り付けられる。例えば、キャスター13は、フレーム21の長手方向(走行方向)でフレーム21及び基部22のいずれか複数箇所に設けられ、該長手方向の各位置において、幅方向に複数設けられる。
【0030】
例えば、本実施形態において、キャスター13は、フレーム21の長手方向でベース11の4箇所に設けられ、長手方向の各位置において、例えば、幅方向に2つ設けられる。即ち、ベース11には、2つを対としたキャスター13が四対設けられる。例えば、フレーム21の長手方向で、ベース11の両端側のそれぞれに一対のキャスター13が設けられ、そして、ベース11の長手方向で中央に二対のキャスター13が設けられる。例えば、長手方向でベース11の両端側に設けられる二対のキャスター13は、自在輪であり、一方の対のキャスター13は基部22に設けられ、他方の対のキャスター13は、フレーム21の後端側に設けられる。また、基部22に設けられる対のキャスター13は、基部22の長手方向(幅方向)の両端側に設けられる。
【0031】
また、フレーム21の長手方向でフレーム21の中央側に設けられる二対のキャスター13は、固定輪であり、フレーム21の中央側に近接して設けられる。なお、フレーム21の幅が小さいことから、キャスター13を対で取り付けることができない場合には、フレーム21に設けられるキャスター13は、フレーム21の長手方向の各位置に対ではなく、単数設ける構成であってもよい。なお、このような構成とする場合においても、基部22には、対のキャスター13が設けられる。
【0032】
なお、キャスター13の構成は、フレーム21の長手方向で、ベース11の4箇所に設けられる例を説明しているが、キャスター13は三箇所に設けられる構成として、基部22、フレーム21の中央側及びフレーム21の後端側の3箇所に配置する構成としてもよい。このような構成とする場合には、基部22に設けられるキャスター13及びフレーム21の後端側に設けられるキャスター13を自在輪とし、フレーム21の中央側に設けられるキャスター13を固定輪とすることが好ましい。また、フレーム21に設けられるキャスター13は、長手方向の各位置において単数でも対でもよい。
【0033】
さらに、キャスター13は、二箇所に設けられる構成として、基部22に自在輪の対のキャスター13を設け、フレーム21に固定輪の単数又は対のキャスター13を設ける構成としてもよい。なお、二箇所にキャスター13を設ける場合において、フレーム21の長さが長い場合には、ベース11の旋回時の半径を小さくするために、フレーム21に設けられるキャスター13はフレーム21の後端でなく、該後端よりも中央側に配置されてもよい。即ち、キャスター13の設けられる位置は、ベース11が転倒せず、そして、ベース11の旋回が好適に行われる配置に設定されれば、適宜設定できる。
【0034】
このように構成された牽引台車1は、平台車200と、以下の関係に設定される。図4に示すように、キャスター13の接地面からフレーム21の上面までの高さをH1、平台車200のキャスター212の接地面から荷台211の下面までの高さをH2、平台車200のキャスター212の接地面から突起211aの下端までの高さをH3としたときに、H3<H1<H2の関係に設定される。また、キャスター13の接地面から立姿勢のストッパー23の上面までの高さをH4としたときに、H2<H4の関係に設定される。また、基部22は、平台車200の側面と当接可能に形成される。
【0035】
よって、牽引台車1及び平台車200がこれらの関係に設定されることで、牽引台車1がAGV100等に牽引されたときに平台車200が走行方向及び幅方向で、ベース11に当接する。具体的に説明すると、走行方向においては、最前に位置する平台車200の前側面が基部22の後側面に、最後尾に位置する平台車200の後側面が立姿勢のストッパー23の前側面に当接できる。また、幅方向においては、各平台車200の突起211aの内側面がフレーム21の幅方向の外側面に、それぞれ当接できる。加えて、走行方向に配置された複数の平台車200は、互いに対向する側面同士が当接できる。よって、牽引台車1が走行したときに、平台車200がベース11に当接するため、牽引台車1は、平台車200を牽引できる。
【0036】
このように構成された牽引台車1によれば、複数の平台車200は、平台車200に設けられた対の突起211a間に配置されたフレーム21、フレーム21の両端に設けられた基部22及びストッパー23によって牽引台車1の走行時に保持される。このため、牽引台車1の走行時の幅は、基部22の幅、平台車200の幅、及び、平台車200に載置された荷物の幅のいずれかが最大幅となる。よって、牽引台車1の走行時の幅を極力小さくすることができることから、走行ルートの走行路の幅が狭い場合であっても、牽引台車1によって複数の平台車200を搬送することができる。
【0037】
また、牽引台車1のベース11は、フレーム21が主構成となるところ、フレーム21の形状を小さくできることから、牽引台車1の重量も低減できる。また、フレーム21の製造に要する材料も少なくて良く、安価に牽引台車1を製造することができる。
【0038】
また、フレーム21に平台車200を配置する作業は、ストッパー23を横姿勢とし、ストッパー23の先端からフレーム21へ平台車200を移動させるだけでよく、容易に平台車200をフレーム21に配置することができる。また、所定の台数の平台車200をフレーム21に配置した後に、ストッパー23を横姿勢から立姿勢へ回転させて、ストッパー23を固定するだけで、平台車200をベース11に保持することができる。また、フレーム21から平台車200を取り出す作業は、ストッパー23を立姿勢から横姿勢に回転させて、フレーム21に沿って移動させるだけでよい。よって、牽引台車1は、容易に平台車200の配置及び取り出しが可能となる。
【0039】
また、ストッパー23は、先細となるように、先端に傾斜する角部23bを有することで、平台車200の対の突起211a間にストッパー23を挿入し易くなる。よって、牽引台車1は、さらに、容易に平台車200をベース11に配置できる。特に、平台車200の下面に対の突起211aが配置される構成であるところ、作業者は、該突起211aを視認することが困難である。しかしながら、ストッパー23の角部23bが案内面を構成することで、平台車200のストッパー23への挿入性が向上し、結果として、牽引台車1は、高い作業性を有する。
【0040】
上述したように、本実施形態に係る牽引台車1によれば、複数の台車200を牽引可能であって、且つ、台車牽引時の幅を小さくできる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、牽引台車1は、ベース11によって牽引可能な複数の台車(平台車)200以外の台車、例えば、カゴ台車300を搬送できるサブベース14を含む構成であってもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
このようなサブベース14を含む牽引台車1の第2の実施形態を、以下図6乃至図9を用いて説明する。なお、第2の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図6は、第2の実施形態に係る牽引台車1の構成を示す斜視図であり、図7は、牽引台車1のベース11及びサブベース14を分離させた状態を示す斜視図である。図8は、サブベース14の構成を示す分解斜視図であり、図9は、サブベース14の構成を示す平面図である。
【0044】
第2の実施形態に係る牽引台車1は、ベース11と、ベース11に着脱可能に形成されたサブベース14と、を備える。
【0045】
サブベース14は、平台車200と異なる台車として、カゴ台車300を牽引可能に形成される。なお、平台車200と異なる台車は、カゴ台車300に限定されないが、少なくても、サブベース14で牽引可能な台車は、搬送路の床面(キャスター43の接地面)から荷台の下面までの高さが、該床面からベース11のフレーム21の上面の高さよりも高い台車である。
【0046】
先ず、カゴ台車300について説明する。図6に示すように、カゴ台車300は、荷台311と、柵312と、荷台311に取り付けられる複数のキャスター313と、を備える。荷台311は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成される。柵312は、例えば、荷台311の三辺に沿って荷物の載置面に垂直に設けられ、荷台311から荷物が脱落することを防止する。なお、柵312は、荷台311の四辺に沿って設けられ、一部が開閉可能な構成であってもよい。
【0047】
キャスター313は、荷台311を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台311の四隅に一つずつ設けられる。キャスター313は、例えば自在輪である。なお、カゴ台車300のキャスター313は、平台車200のキャスター212に比べ大径に構成される。これにより、平台車200及びかご台車300の接地時において、カゴ台車300の荷台311の下面は、平台車200の荷台211の下面よりも高い位置にある。
【0048】
次に、サブベース14について説明する。サブベース14は、一部にゲート41aを有する固定フレーム41と、ゲート41aを開閉する可動フレーム42と、キャスター43と、を備える。また、サブベース14は、固定フレーム41及び可動フレーム42で囲われる領域を分割できるサブ可動フレーム44を備える。また、例えば、サブベース14は、かご台車300と当接する内面の一部、例えば、固定フレーム41の前端側の後面、可動フレーム42の前面及びサブ可動フレーム44の前面に、緩衝材45を有する。
【0049】
サブベース14は、固定フレーム41及び可動フレーム42により複数のカゴ台車300を取り囲み可能に形成される。なお、サブベース14は、パレット等の載置物を載置可能に形成されていてもよい。また、サブベース14は、フレーム21が移動したときに、固定フレーム41及び可動フレーム42、又は、固定フレーム41及びサブ可動フレーム44で取り囲んだカゴ台車300を押すことで、カゴ台車300を移動させる。
【0050】
例えば、固定フレーム41は、一部、例えば、後端にカゴ台車300を通過可能なゲート41aを有する。固定フレーム41の内面はカゴ台車300の側面と当接可能に形成される。例えば、固定フレーム41は、カゴ台車300の幅方向の側面及び、最前のカゴ台車300の前側面を押圧可能な台車押し部41bを有する。なお、台車押し部41bのカゴ台車300の側面と当接する内側面に、緩衝材が設けられていてもよい。
【0051】
また、固定フレーム41は、前端に、ベース11の基部22に連結される被連結部51と、ベース11のフレーム21と当接する被保持部52と、を有する。被連結部51は、例えば、孔が形成された一対の棒状のアーム51aと、各アーム51aの孔に挿入されるピン51bを含む。そして、図7に示すように、ベース11の基部22の例えば、縦フレーム22bに、ピン51bが取り付けられる孔を有する連結部22fが一対設けられる。このような基部22及び固定フレーム41は、アーム51aの孔と縦フレーム22bの連結部22fの孔とを重ねた状態で、これら孔にピン51bを挿入することで、縦フレーム22b及びアーム51aがピン51bによって連結される。
【0052】
被保持部52は、固定フレーム41の前端の下面に設けられ、幅方向に所定の間隔を開けて突出する矩形柱状の一対の突起52aにより形成される。一対の突起52aの所定の間隔とは、対の突起52a間にベース11のフレーム21を配置可能な間隔である。被保持部52は、フレーム21の幅方向の側面と対向する。被保持部52は、フレーム21と当接することで、フレーム21に保持され、これにより、サブベース14の走行方向に直交する方向の移動が規制される。
【0053】
このような、固定フレーム41は、被連結部51によって、機械的にベース11の基部22に連結され、そして、被保持部52によって、牽引台車1の走行時の幅方向の移動が規制される。また、固定フレーム41は、被連結部51のピン51bを取り外すことで、ベース11から取り外し可能となる。
【0054】
可動フレーム42は、固定フレーム41のゲート41aを開閉する。可動フレーム42は、閉じることで、固定フレーム41とともに、かご台車300を配置する矩形の領域を形成する、走行方向に長い矩形枠状となる。例えば、可動フレーム42は、一端が、走行方向に沿った軸周りに回転可能に、ボルト等で固定フレーム41に取り付けられる。可動フレーム42は、図6に示す横姿勢において、ゲート41aを閉じることで、最後尾のカゴ台車300の後側面と当接可能となる。即ち、可動フレーム42は、ゲート41aを閉じたときに、最後尾のカゴ台車300の後側面を押圧可能な台車押し部を構成する。
【0055】
図8に示すように、キャスター43は、固定フレーム41の下面に取り付けられる取付部43aと、取付部43aに設けられた本体43bと、本体43bに車軸を介して取り付けられた車輪43cと、を備える。例えば、キャスター43は、取付部43aをボルト座として、ボルト43d等によって固定フレーム41に固定される。キャスター43は、固定フレーム41の複数箇所、本実施形態においては、固定フレーム41の長手方向(走行方向)で3箇所に設けられ、固定フレーム41の長手方向の各位置において幅方向に2つ設けられる。即ち、2つを対としたキャスター43が三対設けられる。例えば、固定フレーム41の長手方向で、両端側のそれぞれに一対のキャスター43が設けられ、そして、固定フレーム41の中央に一対のキャスター43が設けられる。例えば、長手方向で固定フレーム41の両端側に設けられる二対のキャスター43は、自在輪であり、固定フレーム41の長手方向で中央側に設けられる一対のキャスター43は、固定輪である。なお、キャスター43は、長手方向の二箇所に設けられる構成とし、前方のキャスター43を自在輪とし、後方のキャスター43を固定輪とする構成であってもよい。また、キャスター43の配置は、適宜設定できる。
【0056】
キャスター43は、ベース11のキャスター13に比べ大径に構成され、そして、かご台車300のキャスター313に比べて小径に構成される。これにより、サブベース14の接地時において、固定フレーム41の下面は、フレーム21の上面よりも高い位置にあり、そして、カゴ台車300の荷台311の下面よりも低い位置にある。
【0057】
サブ可動フレーム44は、例えば、固定フレーム41及び可動フレーム42で構成されるカゴ台車300を配置する矩形の領域を分割する。例えば、サブ可動フレーム44は、カゴ台車300を配置する矩形の領域を、例えば1つのカゴ台車300を配置できる領域に区切り、そして、カゴ台車300の後側面と当接可能となる。即ち、サブ可動フレーム44は、閉じることで、区切ったカゴ台車300を配置できる領域に配置されたカゴ台車300の後側面を押圧可能な台車押し部を構成する。例えば、サブ可動フレーム44は、一端が、走行方向に沿った軸周りに回転可能に、ボルト等で固定フレーム41に取り付けられる。具体例として、可動フレーム42及びサブ可動フレーム44は、同じ構成であり、固定フレーム41に設けられる位置のみが異なる。
【0058】
このように構成された牽引台車1は、ベース11に着脱可能なサブベース14を備えることで、ベース11で牽引する台車(平台車)200と異なる台車(カゴ台車)300を牽引することが可能となる。また、サブベース14は、ベース11に着脱可能に形成されることから、牽引する台車や、走行路の幅に応じて使用態様を選択的に変更することができる。例えば、走行路に広い幅を確保できる場合には、ベース11により平台車200を牽引すること、及び、サブベース14によりカゴ台車300を牽引することを選択でき、また、走行路の幅が狭い場合には、サブベース14を用いず、ベース11により平台車200を牽引することができる。また、サブベース14は、サブ可動フレーム44を有することから、牽引するカゴ台車300の台数を変更できる。なお、サブ可動フレーム44によって牽引できる台車の台数は、適宜設定できる。
【0059】
このように構成された第2の実施形態に係る牽引台車1によれば、選択した異なる種類の台車200、300を牽引可能であって、且つ、選択的に台車牽引時の幅を小さくできる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、牽引台車1の第3の実施形態を、以下図10を用いて説明する。なお、第3の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る牽引台車1及び第2の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
図10は、第3の実施形態に係る牽引台車1の構成を示す斜視図である。第3の実施形態に係る牽引台車1は、ベース11と、ベース11に着脱可能に形成されたサブベース14Aと、を備える。
【0062】
サブベース14Aは、平台車200やカゴ台車300を牽引可能に形成ではなく、例えば、載置物としてのパレット、段ボール箱及び折り畳みコンテナ等を載置可能に形成される。なお、本実施形態においては、サブベース14Aは、パレットを載置可能な例を説明する。
【0063】
サブベース14Aは、矩形枠状のフレーム41Aと、キャスター43と、フレーム41Aの上面に設けられた滑り止め45Aと、載置したパレットの移動を規制するストッパー46と、を備える。
【0064】
フレーム41Aは、上面にパレットを載置可能であれば、適宜設定できる。固定フレーム41Aは、前端に、ベース11の基部22に連結される被連結部51を有する。なお、フレーム41Aは、ベース11のフレーム21と当接する被保持部52を有していてもよい。被連結部51は、例えば、孔が形成された一対の棒状のアーム51aと、各アーム51aの孔に挿入されるピン51bを含む。そして、ベース11の基部22の例えば、縦フレーム22bに、ピン51bが取り付けられる孔を有する連結部22fが一対設けられる。このような基部22及び固定フレーム41は、アーム51aの孔と縦フレーム22bの連結部22fの孔とを重ねた状態で、これら孔にピン51bを挿入することで、縦フレーム22b及びアーム51aがピン51bによって連結される。
【0065】
キャスター43は、上述した第2の実施形態に係るフレーム41に取り付けられるキャスター43と同様の構成である。具体例として、長手方向で固定フレーム41Aの両端側に設けられる二対のキャスター43は、自在輪であり、固定フレーム41Aの長手方向で中央側に設けられる一対のキャスター43は、固定輪である。
【0066】
滑り止め45Aは、載置したパレットが搬送時に移動することを抑制する。なお、滑り止め45Aは、緩衝材の機能を備えていてもよく、また、設けられない構成であってもよい。
【0067】
ストッパー46は、例えば、牽引台車1の搬送時に、フレーム41A上に載置したパレットが移動し、フレーム41Aから落下することを防止する。例えば、ストッパー46は、フレーム41Aの前端縁及び後端縁の複数箇所に設けられる。なお、ストッパー46の数、位置及び形状は、フレーム41A上に載置したパレットが移動することを規制できれば適宜設定可能である。例えば、搬送路にカーブが多い場合には、例えば、ストッパー46は、フレーム41Aの外周縁に設けられていても良い。
【0068】
このように構成された牽引台車1は、ベース11に着脱可能なサブベース14Aを備えることで、ベース11で牽引する台車(平台車)200とは別に、フレーム41A上に載置されるパレット等の搬送品を搬送することが可能となる。また、サブベース14Aは、ベース11に着脱可能に形成されることから、台車200を牽引するときと、パレット等を搬送するときとで使用態様を選択的に変更することができる。
【0069】
また、フレーム41Aは、パレット等の載置する品の幅に応じた幅に設定すればよく、設計上で可能な最小の幅とすることができる。また、フレーム41Aは、上面にパレット等を載置する構成であることから、フレーム41Aの下面にキャスター43を取り付けるスペースが確保しやすい。よって、比較的取付面積の確保が必要な固定輪をキャスター43に用いた場合であっても、取り付るスペースの確保が容易であり、キャスター43の種類によってフレーム41Aの幅寸法を大きくすることを要しない。
【0070】
このように構成された第3の実施形態に係る牽引台車1によれば、選択した台車200又はパレット等を搬送できるとともに、台車牽引時の幅を小さくできる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、牽引台車1の第4の実施形態を、以下図11を用いて説明する。なお、第4の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る牽引台車1及び第2の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
図11は、第4の実施形態に係る牽引台車1の構成を示す斜視図である。
【0073】
第4の実施形態に係る牽引台車1は、ベース11と、ベース11に着脱可能に形成されたサブベース14Bと、を備える。本実施形態における牽引台車は、サブベース14Bによって、下面に一対の突起211aを有さない台車400を搬送する構成である。なお、下面に一対の突起211aを有さない台車400としては、平台車やドーリーである。本実施形態のいては、台車400としてドーリーを用いる例を説明する。以下、台車400をドーリー400として説明する。
【0074】
サブベース14Bは、平台車200と異なる台車として、ドーリー400を牽引可能に形成される。なお、平台車200と異なる台車400は、ドーリーに限定されないが、少なくても、サブベース14Bで牽引可能な台車は、搬送路の床面(キャスター43の接地面)から荷台の下面までの高さが、該床面からベース11のフレーム21の上面の高さよりも高い台車である。
【0075】
先ず、ドーリー400について説明する。図11に示すように、ドーリー400は、荷台411と、荷台411に取り付けられる複数のキャスター413と、を備える。荷台411は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成されるとともに、外周縁に重力方向に縁設された縁部を有する。
【0076】
キャスター413は、荷台411を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台411の四隅に一つずつ設けられる。キャスター413は、例えば自在輪である。なお、ドーリー400のキャスター413は、平台車200のキャスター212と同径であってもよく、異なる径であってもよい。
【0077】
次に、サブベース14Bについて、図11を用いて説明する。サブベース14Bは、一部にゲート41aを有する固定フレーム41Bと、キャスター43と、を備える。また、例えば、サブベース14Bは、ドーリー400と当接する内面の一部、例えば、固定フレーム41Bの前端側の後面に、緩衝材45を有する。
【0078】
サブベース14Bは、固定フレーム41B及びベース11のフレーム21の後端に設けられたストッパー23により、複数のドーリー400を取り囲み可能に形成される。例えば、固定フレーム41Bの幅方向の内寸法は、ドーリー400の幅寸法よりも若干大きく設定される。なお、サブベース14Bは、パレットを載置可能に形成されていてもよい。また、サブベース14Bは、フレーム21が移動したときに、固定フレーム41B及びストッパー23で取り囲んだドーリー400を押すことで、ドーリー400を移動させる。
【0079】
例えば、固定フレーム41Bは、一部、例えば、後端にドーリー400を通過可能なゲート41aを有する。固定フレーム41Bの内面はドーリー400の側面と当接可能に形成される。例えば、固定フレーム41Bは、ドーリー400の幅方向の側面及び、最前のドーリー400の前側面を押圧可能な台車押し部41bを有する。なお、台車押し部41bのドーリー400の側面と当接する内側面に、緩衝材が設けられていてもよい。
【0080】
また、固定フレーム41Bは、前端に、ベース11の基部22に連結される被連結部51と、ベース11のフレーム21と当接する被保持部52と、を有する。被連結部51は、例えば、孔が形成された一対の棒状のアーム51aと、各アーム51aの孔に挿入されるピン51bを含む。そして、ベース11の基部22の例えば、縦フレーム22bに、ピン51bが取り付けられる孔を有する連結部22fが一対設けられる。このような基部22及び固定フレーム41Bは、アーム51aの孔と縦フレーム22bの連結部22fの孔とを重ねた状態で、これら孔にピン51bを挿入することで、縦フレーム22b及びアーム51aがピン51bによって連結される。
【0081】
被保持部52は、固定フレーム41Bの前端の下面に設けられ、幅方向に所定の間隔を開けて突出する矩形柱状の一対の突起52aにより形成される。一対の突起52aの所定の間隔とは、対の突起52a間にベース11のフレーム21を配置可能な間隔である。被保持部52は、フレーム21の幅方向の側面と対向する。被保持部52は、フレーム21と当接することで、フレーム21に保持され、これにより、サブベース14の走行方向に直交する方向の移動が規制される。
【0082】
このような、固定フレーム41Bは、被連結部51によって、機械的にベース11の基部22に連結され、そして、被保持部52によって、牽引台車1の走行時の幅方向の移動が規制される。また、固定フレーム41Bは、被連結部51のピン51bを取り外すことで、ベース11から取り外し可能となる。
【0083】
キャスター43は、例えば、全て自在輪である。
【0084】
このような、第4の実施形態に係るサブベース14Bは、牽引対象である台車がドーリー400である構成であり、キャスター43の全てが自在輪であり、そして、可動フレーム42及びサブ可動フレーム44を有さず、ストッパー23でドーリー300の移動を規制する構成において、上述した第2の実施形態に係るサブベース14と異なる。
【0085】
このように構成された牽引台車1は、ベース11に着脱可能なサブベース14Bを備えることで、ベース11で牽引する台車(平台車)200と異なる台車(ドーリー)400を牽引することが可能となる。また、サブベース14Bは、ベース11に着脱可能に形成されることから、牽引する台車や、走行路の幅に応じて使用態様を選択的に変更することができる。例えば、一対の突起211aを有する台車200を牽引する場合には、ベース11により台車200を牽引し、一対の突起211aを有さない台車400である場合には、サブベース14Bにより台車400を牽引することを選択できる。
【0086】
また、ドーリー400及びドーリー400で搬送する搬送物は、比較的軽量であり、このような場合には、上述したように、キャスター43を全て自在輪とすることができ、固定輪は、ベース11に設けられたキャスター13のみでよい。このため、サブベース14Bに自在輪であるキャスター43を取り付けるためのスペースが小さくてよく、固定フレーム41Bの幅を小さくすることができる。
【0087】
このように構成された第4の実施形態に係る牽引台車1によれば、選択した異なる種類の台車200、400を牽引可能であって、且つ、選択的に台車牽引時の幅を小さくできる。また、牽引台車1のサブベース14Bは、固定フレーム41Bの幅を小さくできる。
【0088】
(第5の実施形態)
次に、牽引台車1の第5の実施形態を、以下図12及び図13を用いて説明する。なお、第5の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、上述した第2の実施形態に係る牽引台車1及び第4の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0089】
図12及び図13は、第5の実施形態に係る牽引台車1の構成を示す斜視図である。
【0090】
第5の実施形態に係る牽引台車1は、ベース11と、ベース11に一体に形成されたサブベース14Cと、を備える。本実施形態における牽引台車1は、ベース11が牽引する台車200とは異なる台車を牽引するサブベース14Cがベース11に一体に設けられる構成である。なお、本実施形態において、ベース11が牽引する台車200と異なる台車の例として、ドーリー400を説明するが、ドーリー400でなくカゴ台車300であってもよく、また、一対の突起211aを有さない平台車300であってもよい。
【0091】
次に、サブベース14Cについて、図12及び図13を用いて説明する。サブベース14Cは、一部にゲート41aを有する固定フレーム41Cと、キャスター43と、を備える。また、例えば、サブベース14Cは、ドーリー400と当接する内面の一部、例えば、固定フレーム41Cの前端側の後面に、緩衝材45を有する。
【0092】
サブベース14は、固定フレーム41C及びベース11のフレーム21の後端に設けられたストッパー23により、複数のドーリー400を取り囲み可能に形成される。例えば、固定フレーム41Cの幅方向の内寸法は、ドーリー400の幅寸法よりも若干大きく設定される。なお、サブベース14は、パレットを載置可能に形成されていてもよい。また、サブベース14は、フレーム21が移動したときに、固定フレーム41C及びストッパー23で取り囲んだドーリー400を押すことで、ドーリー400を移動させる。
【0093】
例えば、固定フレーム41Cは、一部、例えば、後端にドーリー400を通過可能なゲート41aを有する。固定フレーム41Cの内面はドーリー400の側面と当接可能に形成される。例えば、固定フレーム41Cは、ドーリー400の幅方向の側面及び、最前のドーリー400の前側面を押圧可能な台車押し部41bを有する。なお、台車押し部41bのドーリー400の側面と当接する内側面に、緩衝材が設けられていてもよい。固定フレーム41Cは、前端がベース11の基部22に一体に形成される。
【0094】
キャスター43は、例えば、全て自在輪である。固定フレーム41Cは、ベース11と一体に構成されることから、全て自在輪としても、ベース11の固定輪のキャスター13によって、ベース11及び固定フレーム41Cの旋回時の半径を小さくすることができる。
【0095】
このような、第5の実施形態に係るサブベース14Cは、ベース11と一体に設けられる構成が、上述した第2の実施形態に係るサブベース14及び第4の実施形態に係るサブベース14Bと異なる。
【0096】
このように構成された牽引台車1は、ベース11に一体にサブベース14Cが形成されることで、ベース11で牽引する台車(平台車)200と異なる台車(ドーリー)400を牽引することが可能となる。例えば、一対の突起211aを有する台車200を牽引する場合には、該台車200をサブベース14C内に配置することで、該台車200がサブベース14Cの幅方向の内寸法よりも幅寸法が小さい場合であっても、ベース11により台車200を牽引でき、そして、一対の突起211aを有さない台車400である場合には、サブベース14Cにより台車400を牽引することができる。
【0097】
また、サブベース14Cは、ベース11と一体であることから、キャスター13の一部を固定輪とすることで、牽引する台車及び台車に載置する載置物の重量によらず、サブベース14Cのキャスター43を全て自在輪とすることができる。このため、サブベース14Cに自在輪であるキャスター43を取り付けるためのスペースが小さくてよく、固定フレーム41Cの幅を小さくすることができる。
【0098】
このように構成された第5の実施形態に係る牽引台車1によれば、選択した異なる種類の台車200、300、400を牽引可能であって、且つ、選択的に台車牽引時の幅を小さくできる。また、牽引台車1のサブベース14Cは、固定フレーム41Cの幅を小さくできる。
【0099】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、ベース11で牽引する台車は平台車200に限定されず、対の突起211aを有すれば、他の台車であってもよい。また、上述したサブベース14は、台車押し部41bを有する構成を説明したがこの台車押し部41bは、特許第6464304号公報に開示されるように、内側に選択した異なる複数種の台車を複数配置でき、そして、上面に複数のパレットを配置できる構成としてもよい。このような構成とする場合には、サブベース14は、台車押し部41bの高さを可変可能とすればよい。
【0100】
また、上述した例では、ベース11は、フレーム21の後端にストッパー23を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、ベース11は、後端のストッパー23に加えて、単数又は複数のストッパー23をさらに有する構成としてもよい。このような構成とすることで、フレーム21に配置し、そして、ベース11で一度に牽引できる台車の数を可変することができる。具体例として、フレーム21の長手方向に中央にさらにストッパー23を有することで、ベース11は、牽引可能な最大数の半数の台車を搬送可能となる。また、ベース11は、牽引可能な最大数Nと同数のストッパー23を設けることで、牽引可能な台車の台数を1台からN台まで選択できる。このような構成の場合には、複数のストッパー23の位置は、各台数における最後尾の台車の後側面と当接できる位置に設定される。
【0101】
また、上述した第2の実施形態においては、サブベース14においては、ストッパーとしての可動フレーム42、44で、固定フレーム41内に配置した台車300の移動を規制する例を説明した。また、上述した第4の実施形態乃至第5の実施形態においては、ベース11のフレーム21のストッパー23がサブベース14B、14Cに配置した台車400の移動を規制する例を説明した。しかしながら、サブベースに配置される台車のストッパーはこれらの構成に限定されない。
【0102】
例えば、図14に示す第6の実施形態に係る牽引台車1のサブベース14Dのように、固定フレーム41Dに、着脱可能なストッパー23Dを設ける構成であってもよい。例えば、ストッパー23Dは、二つの外郭体90aと、内郭体90bと、を備える。そして、ストッパー23Dは、内郭体90bに対して二つの外郭体90aがそれぞれ移動可能に、ボルト等を用いて連結される。
【0103】
ストッパー23Dは、内郭体90bに対して外郭体90aが移動することで、全長が可変する。換言すると、ストッパー90Bは、作業者が、内郭体90bに対して外郭体90aの位置を変えることで、長手方向の幅を広げること及び狭めることができる。また、ストッパー23Dは、固定フレーム41Dに固定できる。また、ストッパー23Dの長さを調整可能であることから、ストッパー23Dは、例えば、かご台車300を牽引する固定フレーム41に固定することもできる。
【0104】
また、図14の牽引台車1は、サブベース14Dがベース11に一体に形成される例を示しているが、このような構成の場合においては、例えば、一対の突起211aを有する台車200及び一対の突起211aを有さない台車300の双方を、サブベース14Dと当接させて牽引させる構成であってもよい。このような構成とする場合には、図14に示すように、ベース11のフレーム21長さは、固定輪であるキャスター13を好適な位置に配置できる長さであればよい。例えば、図14に示す例では、フレーム21の長さは、サブベース14Dの中央の位置までフレーム21が延設され、そして、フレーム21の後端に固定輪であるキャスター13が配置される例である。また、ストッパーとして、サブベース14Dに可動フレーム42、44の少なくとも一方を設けるか、また、ストッパー23Dを設ける。このような構成とすることで、牽引台車1は、固定輪による効果を得られる。
【0105】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 走行方向に対して直交する方向に対の突起を有する台車の前記対の突起の間に挿入可能、且つ、前記台車を前記走行方向に複数配置可能なベースと、
前記ベースに設けられた複数のキャスターと、
前記ベースに固定され、搬送車に連結可能な連結部と、
を備える牽引台車。
[2] 前記ベースは、後端に前記台車の移動を規制するストッパーを有する、[1]に記載の牽引台車。
[3] 前記走行方向の前方端部の下面に設けられた、前記走行方向に対して直交する方向に前記ベースを間に挿入可能に離間する突起状の対の被保持部を有し、内側に前記台車を複数配置可能な枠状に形成され、内側に配置した前記台車の荷台の側面に当接可能なサブベースを備える、[1]又は[2]に記載の牽引台車。
[4] 前記サブベースは、前記台車が通過可能なゲートを有する固定フレーム、及び、前記ゲートを開閉する可動フレームを有する、[3]に記載の牽引台車。
[5] 内側に前記台車を複数配置可能な枠状に形成され、内側に配置した前記台車の荷台の側面に当接可能な、前記ベースに一体に形成されたサブベースを備える、[1]又は[2]に記載の牽引台車。
[6] 前記走行方向の前方端部の下面に設けられた、前記走行方向に対して直交する方向に前記ベースを間に挿入可能に離間する突起状の対の被保持部を有し、載置物を載置可能なサブベースを備える、[1]又は[2]に記載の牽引台車。
【符号の説明】
【0106】
1…牽引台車、11…ベース、12…連結部、13…キャスター、13a…取付部、13b…本体、13c…車輪、13d…ボルト、14、14A、14B、14C、14D…サブベース、21…フレーム、21a…シャフト、22…基部、22a…第1緩衝材、22b…縦フレーム、22c…第2緩衝材、22d…第3緩衝材、22f…連結部、23…ストッパー、23a…ボルト、23b…角部、31…取付部、32…固定部、41、41A、41B、41C、41D…固定フレーム、41a…ゲート、41b…台車押し部、42…可動フレーム、43…キャスター、43a…取付部、43b…本体、43c…車輪、43d…ボルト、44…サブ可動フレーム、45…緩衝材、51…被連結部、51a…アーム、51b…ピン、52…被保持部、52a…突起、100…搬送車、100a…被連結部、200…平台車(台車)、211…荷台、211a…突起、212…キャスター、300…カゴ台車(台車)、311…荷台、312…柵、313…キャスター、400…ドーリー(台車)、311…荷台、313…キャスター。
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